学習指導要領の改訂で学校教育が変わる 第39回 特別活動でいまある課題の解決を学ぶ
専門家・プロ:藤田由美子
今回は、中学校、高等学校の特別活動で指導されている「男女相互の理解と協力」と「思春期の不安や悩みの解決」を紹介します。
学校生活、社会生活を送るための必須の力をはぐくむ
特別活動は、各教科等で育成された資質・能力を、集団や自分自身の課題を解決するために実践することにより、実生活で資質・能力を発揮できるようにすることを目的としています。特別活動では、学校生活を送るうえで基盤となる力や、社会で他者とかかわって生きていく力をはぐくむ活動として実践されてきました。また人間形成の面では、とくに心のもち方や態度面に関する資質・能力を育成することが重視されてきました。
男女がたがいに尊重し合うことが男女共同参画社会の原点
中学校、高等学校の特別活動では、生徒は、男女がたがいに相手のよさを認め合うことを理解し、共に尊重し合い、ルールやマナーを大切にして人間関係を築くことを学びます。学校教育を通して、男女が協力し合って充実した学校生活を送るためです。
中学生は、男女の身体面、精神面の特徴が顕著にあらわれ、異性への関心が高まる時期です。中学生のときに、異性を尊重し合い、協力することを理解することはとても重要です。
次期学習指導要領では、特別活動において、生徒がテーマに基づいて課題を発見し、情報を収集し、課題の解決方法を考え、意見を交換し合うといった学習活動が推奨されています。
たとえば、男女共同参画社会の実現に向けて、日本が抱えている課題について、インターネットや新聞、雑誌などから情報を収集し、課題を見つけ、課題解決策について話し合います。
「ジェンダー・ギャップ指数*1」は、世界144カ国中で日本は114位(2017年)。日本では企業の女性管理職、女性の政治家の数が少ない現実をとらえ、解決策を話し合うのも意義のある取組みです。
*1 世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」をもとに作成された、経済、教育、保健、政治の分野ごとの男女間の格差を示す指標。下の表は「内閣府男女共同参画局」のウェブサイトに掲載されたもの。
出典:内閣府男女共同参画局ウェブサイト
高等学校の特別活動では、具体的に男女共同参画社会における働き方について、自分のキャリア形成と合わせて考えます。高等学校の「家庭基礎」では、男女が相互に協力して、家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性を学びます。