くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て 「早く早く!」から卒業する方法
専門家・プロ:松井美香
言わない方がいいとわかっていても
お母さんが常勤で働くことが当たり前の時代になってきました。仕事も家事も頑張るお母さんはいつも何かに追われていて、我が子にも「早く、早く」と言ってしまいがち。
かつてのわたしも同じです。
「早く起きなさい!」から1日が始まり、
「早く食べなさい」「早く支度しなさい」「早く行きなさい」「早く宿題しちゃいなさい」「早く手伝って」「早く片付けて」「早くお風呂に入りなさい」「早く寝なさい」などなど・・・
「早く」という言葉を使わない日はなかったと思います。言わないように気をつけていても、いつもこんな調子でした。
子どもはグズグズ・ダラダラ、親はイライラ
親であるわたしたちは、子どもが期待通りに行動するとほめ、期待通りにできないと叱るのが当たり前になっています。
早く行動すれば「えらいわね」「すごい!やればできるじゃない」「あなただけね、いつも早いのは」などとほめ、
早く行動しないと
「なんで早くしないの!」「何やってるの!早く!って言ってるでしょ!」「早くしないと、おやつあげないわよ」などの言葉で叱るのです。
わたしたち自身、子どものときこのように育てられてきたので、もしかしたらそれ以外の方法があることを知らないからかもしれません。ですが、本当にこのような方法で、子どものグズグズやダラダラは改善されるのでしょうか?そもそも、これは親の都合を優先した対応であって、子どもには理解されないのです。
「なんで早くしないの!」と叱っても効果はありません
子どもが期待通りに行動しないと、「なんで?」と聞きたくなってしまいますが、原因を探ったところで、ほとんどの場合は解決につながりません。アドラー流子育ては、「原因」を探るよりも「目的」を考えます。つまり、子どもがグズグズ・ダラダラする目的を考えてみるのです。
このコラムで何度もお伝えしているように、
人は注目されるところが強化する、とアドラー流では考えます。
良いことも悪いことも、注目されればされるほど、その行動をしてしまうものなのです。子どもの行動の目的。そのほとんどは、親に愛されたい、認めてもらいたい、注目してほしい、無視されたくない、です。無視されるよりは、叱られたい(注目されたい)のです。
グズグズ・ダラダラしている方が親にかまってもらえる
グズグズ・ダラダラしている方が、親の気を引くことができることを、子どもたちは経験を通して学んでいます。