くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て 「早く早く!」から卒業する方法
だから、それを繰り返すのです。だとしたら、親であるわたしたちはどのように対応すれば良いのでしょうか。
そうです。
「早くしなさい」と命令したり、叱るのではなく、子ども自身が自分の行動を決め、やる気になるような環境づくりをすることが大事です。
子どものこういった行動が繰り返されるのは、親の対応が効果的ではないということを意味しています。いつもとは違う対応をしてみることで、子どもの反応も変わってきます。まずは、イライラする気持ちを深呼吸などでコントロールし、冷静になりましょう。もしかしたら、子どもがグズグズ・ダラダラしていることに過剰に反応しているだけかもしれません。
子どもに勇気を与え続けましょう
まずは、子どもの行動に振り回されないように気をつけたいものです。「同じ土俵で戦わない」ようにするのです。つまり、子どもの態度に感情的に反応せず、一貫した態度を示すことが大切なのです。
例えば、子どもがダラダラと食事をしていたら、
「お母さんは、そろそろ片付けたいんだけど、もうそろそろ食事は終わりにできるかな?」
と提案してみます。
それでも、まだダラダラとしているようなら
「じゃ、お母さんはほかの用事があるから、あとの片付けはよろしくね」と言って、その場を離れてしまうのです。叱る必要など全くありません。
また、親というものは、どこか「親が思うようにできて当然」と思っている節があります。親の目から見れば、決して早く行動しているようには見えないけれど、本人はそれなりに頑張っていることがあるものです。
ほんの少しでも努力していたら、それを見逃さずに、
「今日は頑張ってるね」という言葉をかけてあげましょう。「良いところ探し」をするのです。
わたしたち親ができることは限られていますが、どんなときも子どもへの「勇気づけ」を心がければ、子どもはやがて自分の行動を自分で管理できるようになっていくものです。
松井美香(まついみか)東京音楽大学ピアノ専攻卒業。「勇気づけの音楽家」。大学卒業後約10年間公立中学校に勤務。その頃偶然、教員研修でアドラー心理学に出会い、岩井俊憲氏の元で学び約25年が経過。自身のピアノ教室や子育てにおいてアドラー心理学を実践する中、子どもたちが音楽や部活動を続けながらも有名大学に続々と合格し夢を叶えている。
長男(21歳)と双子(18歳)三人の男子の母。