こどもの皮膚科ドクターが語る 塗り薬の選び方のお話
「軟膏」とはベタベタした油っぽい基剤ですね。
- 同じ薬剤であれば軟膏基剤の方が副作用は少ないです。
- ゆるやかな効果が長く続く傾向があります。
- 塗り心地の悪さが難点です。
クリーム基剤
- 油に近いクリームや水っぽいクリームなどがあります。塗り心地はいずれも軟膏よりも良好です。
- 痛み止めなどで使われるゲル化剤は、おおむねクリーム剤に近い傾向があります。
ローション
- サラリとしているためベタつきが少なく塗り心地は良好です。
- 乾燥しやすいので、軟膏よりも効果が長持ちしません。
- 短時間のうちに薬剤が吸収されますから、副作用の出方も効果の強さもローションの方が軟膏よりも強くなるといえます。
泡で出るフォーム材もローションに近いと考えて良いでしょう。
「どこに?」「だれに?」「いつ塗るの?」いろいろ考えて選んでマス
どんな基剤を処方するかについては、「どこに」塗るのか?「だれに」塗るのか?「いつ」塗るのか?ということについても考慮する必要があります。
どこに
まず「どこに」塗るのかです。汗をかく場所に軟膏は適していません。どうしても汗で軟膏がグチョグチョしてしまいますからね。足の裏に塗る水虫の薬にクリームやローションが多いのはそのような理由からです。また頭皮に軟膏を塗るとどうしてもベタベタしたり、てかってしまいますので、塗りやすいローションを使用することが多くなります。
だれに
次は「だれに」塗るのかです。これは2つの意味があります。
まず年齢です。
小さな赤ちゃんは汗っかきです。したがってベタベタする基剤を使用するとどうしてもあせもができてしまいます。赤ちゃんには一般的にサラッとしたローションなどを使用することが多くなります。逆に乾燥傾向があり、弱い肌となっている高齢者には刺激の少ない軟膏基剤を選びます。もう1つは塗ってくれるかどうかです。極端な話ですが、自分では薬を塗ろうとしなかった子どもたちに泡ででるタイプの薬剤を渡したところ、面白がって塗るようになり、軟膏を使ったとき以上に症状が良くなったなどということがありました。
いつ
最後に「いつ」塗るのかです。塗り薬は、塗る回数に比例して効果の出る薬であるため、きちんと指示通りの回数を塗ってくれるかどうかが大切になります。
忙しい人にはあえて塗りやすいローションを選択することもありますし、サラリーマンの方なら朝にはローションをさっと塗り、夜はゆっくりと軟膏を塗るという方法を取ってもらうこともあります。