子育て情報『こどもの皮膚科ドクターが語る 塗り薬の選び方のお話』

こどもの皮膚科ドクターが語る 塗り薬の選び方のお話

季節要因も大事な点となります。日本では夏は非常に蒸し暑いために汗も多く出ますし、汗疹も発生します。したがってローションのようなさらりとした薬剤にした方がよいですが、冬はとても乾燥するため、ローションは不向きであり、クリームや軟膏を選ぶ必要があります。

このように皮膚科医は外来で、非常に多くのことを考えながら基剤を選択し、塗るべき薬を処方しているのだということを知ってもらえたらうれしいです。

最後に最初のお話の答え合わせをしていきましょう。

実例1は、赤ちゃんに保湿剤として軟膏を出していた例です。赤くなっていたのは軟膏のせいで汗疹ができていただけでしたので、軟膏からローションに切り替えたところきれいになりました。

実例2は、患部が頭部でしたのでセオリー通りローションが出されていました。
しかしどうも効きが悪く乾燥していましたので、軟膏基剤に切り替えたところ十分な効果が得られ、赤みがなくなりました。患者さんの状況に応じて、必要であればあえてセオリーを外すこともあるというお話でした。

実例3は、フォーム剤が処方されていました。ちょうど冬場で乾燥の時期に入っていましたので、クリームに替えたところ乾燥は改善しました。なお、それでも乾燥が良くならない場合はさらに軟膏に近い薬剤に切り替えることも検討していました。

こどもの皮膚科ドクターが語る 塗り薬の選び方のお話
野﨑誠(のざきまこと)わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市・皮膚科、小児皮膚科)院長。国立成育医療センター(小児皮膚科)、東京都立東大和療育センター(皮膚科)勤務。2001年山形大学医学部卒業山形大学医学部皮膚科入局山形県公立置賜病院(山形県長井市)、国立成育医療センター(東京都世田谷区)、はせがわ小児科医院(東京都武蔵野市)などの皮膚科・小児皮膚科を経て、2013年、わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市)開院。
院長を務めるかたわら、専門家向け、一般向け、教育機関(保育園、幼稚園、小学校、中学校など)向けの各種講演会、勉強会を精力的にこなす。雑誌他執筆多数。広い年齢層の皮膚病、あざの治療やスキンケアに携わる。
わかばひふ科クリニックWebサイト
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