「時間をかけて慎重に議論していただきたい」日本PTA全国協議会が9月入学の議論に関する緊急要望書を発表
編集部:学研キッズネット編集部
日本PTA全国協議会が2020年5月1日に9月入学に関する議論に対しての要望書を文部科学省に提出、その内容を発表しました。9月入学は、教育のみならず社会の在り方全体に大きな影響を与えるものとし、時間をかけて慎重に検討していただきたいと記しています。
緊急要望書全文
公益社団法人日本PTA全国協議会は、都道府県・指定都市64協議会により構成する保護者と教職員の全国組織であり日本最大の社会教育関係団体として、子ども達の心身の健やかな成長を願い、教育環境の向上と社会教育及び家庭教育の充実、発展のために積極的に活動を展開しています。新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止が喫緊の課題となる中、学校の休業など子どもたちを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、見通しの持てない状況から子ども達と保護者は大きな不安とストレスを抱えています。また学校現場では、このような状況においても最善の学びを提供しようと学校の先生方が尽力してくださっております。
このような中での、突然の9月入学に関する議論の高まりは、子どもたちに更なる不安を与え、我々保護者にとっても多くの戸惑いを生むものです。また、現下の状況においても最善の学びを提供しようと尽力してくださっている学校の先生方のご努力と熱意が、これにより失われてしまうことも懸念されます。むしろ今は、学校休業期間における子どもたちの学びの保障、心と体のケア、感染防止対策を徹底した上での学校再開、子どもたちに不公平が生じないよう入学試験の弾力的な取扱い等に予算と時間と労力を費やし、最大限の力を尽くしていただくことが必要です。
9月入学は、教育のみならず我が国の社会の在り方全体に大きな影響を与えるものです。本来は社会全体で議論を尽くすべき事柄であり、現在のような社会の混乱期に一気に導入する、という性格のものではないと考えます。
具体的には、下記のような懸念事項もあることから、文部科学省及び政府におかれては、9月入学に関しては時間をかけて慎重に検討していただきたいと考えます。
【懸念事項一覧】
1.学校現場へのさらなる負担を強いるのではないか
現在、学校の先生方は子どもたちの学力保障のために尽力しつつ、学校再開に向けた準備をしている。さらには心と体のケアも行っている。9月入学となった場合、教育計画の変更や行事計画の変更などが必要になると考えられ、現場の先生方の負担は大きくなることが強く懸念される。