夜におしっこをしてしまう子どもは少なくないと思いますが、「子どものおもらしだから」と見過ごしていませんか?放っておけば治るケースが多いのですが、実は夜尿(やにょう)症であり適切な受診をすることで早く治せるということもあります。
おねしょと夜尿症の見極めが難しいところではありますが、違いはどのようなところでしょうか。また、治すためにどのような対策を取ったらよいのかを知っておきましょう。
1. おねしょと夜尿症の違いは年齢
まずは夜尿について知っておきましょう。「おねしょ」「夜尿症」などと呼ばれますが、寝ている時に知らず知らずの内におしっこをもらしてしまうことを総じて「夜尿」と言います。
その違いのポイントは年齢です。幼児期の夜尿を「おねしょ」といい、小学校入学前後以降の夜尿を「夜尿症」というのが一般的です。
夜尿は、夜眠っている間に作られるおしっこの量と、おしっこをためる膀胱の大きさとのバランスが取れていないために起こりますが、成長と共にバランスが取れるようになり夜尿をしなくなります。
● 赤ちゃん
まだ膀胱が小さく昼夜の区別なくおしっこが作られるので、一晩に何度もおしっこをします。
● 2~3歳
膀胱にためられるおしっこの量が増えてくると同時に、夜に作られるおしっこの量も減ってきます。その結果夜尿が減り、夜尿の割合としては二人に一人となります。
● 4~5歳
さらに膀胱が安定し夜間の尿量も減るので70~80%の子どもが夜尿をしなくなります。
● 6歳〜
小学校入学時に夜尿が見られる子どもは10~15%程です。小学校3年生で約8%、小学校5年生でも約5%いるとされる程、頻度の高い病気です。
2.夜尿症となるさまざまな原因
夜尿症の原因はさまざまですが、多くはこういった原因が複数見られることが一般的です。どんな原因があるのでしょうか。
(1) 夜間の尿量が多い
夕方以降の水分摂取量が多い場合と、水分摂取量が適当であっても夜間の尿量が多い場合があります。夜間の尿量をコントロールするのに重要な抗利尿ホルモンは、昼間は分泌が少なく夜になると多く分泌されます。夜尿症の子どもは夜だけ抗利尿ホルモンの出方が悪いため夜間の尿量が多くなっていることがあります。
(2) 夜間の膀胱容量が未熟
膀胱機能は子どもの成長とともに発達していき、4~5歳になると夜間トイレに一度も行かなくてよい程の量をためられるようになります。