2016年10月3日 18:00
発達障害の診断は必ず受けるべき?医療でもできること、医療でしかできないこと―児童精神科医吉川徹(2)
幼児期早期に受診した子どもが成人し、時には老年期まで診療することがあります。自分一人でそれを見届けることができなくても、連綿と書き綴られたカルテから、比較的若い医師でも目の前の患者の若い頃の姿を確かめることができるのです。
多数の患者に関わる医師は、残念ながら養育者や他の領域の支援者に比べると「その子自身」の専門家になれる機会は限られます。そのかわり「自閉スペクトラム症」の専門家、「注意欠如多動症」の専門家などには、なりやすい立場です。
多くの例に長く関わっているからこそ、行いやすい見立てや助言があります。それは例えば、
・将来を見越して今優先すべき支援の領域を考えること
・本人や家族のリソースの配分を考えること
・進路の決定などの場面でのアドバイスです。
このように医療による支援のなかには、医療でないとできないこと、医療でもできること、そして医療が得意なことと苦手なことがあります。皆さんにはこうした医療による支援の特性をうまく理解して頂いて、上手につきあっていただきたいと思います。
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