2017年7月21日 17:00
ユニバーサルデザインとは?定義や事例、バリアフリーとの違いを詳しく解説します!
ノース・カロライナ州立大学センター・フォー・ユニバーサル・デザインの所長であり、建築家でもあったメイス氏は、自身もポリオにより障害がありました。
メイス氏がユニバーサルデザインを提唱するきっかけとなったのは、1990年にアメリカで施行された「ADA(Americans with Disabilities Act )」という法律です。
「ADA」は、障害のある人が利用しにくい施設を「差別的」と位置づけ、雇用の機会均等と、製品やサービスへのアクセス権を保障した画期的な法律でした。たとえば、「建物であれば必ずどこかに、車いす利用者の入れるスロープを設けなければならない」などといった細かな規定が盛り込まれていました。
しかしADAも、すべての製品やサービスを対象としているわけではありませんでした。また、法律の基準を満たしているからといって、障害のある人が日常生活であらゆる不便を感じなくなるということでもありません。
メイス氏はこうした法律の限界を踏まえ、障害のある人を特別視せずに、あらゆる人が快適に暮らせるデザインとしてユニバーサルデザインを提唱したのです。
ユニバーサルデザインの基本的な考え方
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10186003678
ユニバーサルデザインには、「これは完璧なユニバーサルデザインだ!」と言えるようなデザインはありません。
たとえば、壁に取り付けられた室内照明のスイッチについて考えてみましょう。
壁にスイッチがなかった時代は、天井からつり下げられた電球についた紐で照明のオン・オフを行っていました。紐に手が届かない人や指先の複雑な動作ができない人は、照明を点けたり消したりすることができなかったのです。技術の進展とともに壁にスイッチができると、小柄な人や子どもでも簡単に照明を操作できるようになりました。最近ではこれまでに比べて押しボタンが大きいスイッチも登場し、指先を動かすのが得意でない人も、両手に荷物を持った人も肩を使ってスイッチを押せるようになりました。
では、このような大きくなったスイッチは「完璧なユニバーサルデザイン」と言えるのでしょうか。
スイッチに手が届かない人や、身体が全く動かせない人は、このスイッチでも使うことはできません。紐を使って照明のオン・オフをしていたころに比べれば、たしかに大きなスイッチは”より”ユニバーサルなデザインであるといえます。