2017年5月20日 11:00
不登校の女の子との「無言のカウンセリング」?それでも学校に行けるようになったわけ
初夏から始まった面談も初冬にさしかかっていました。
母親は高校進学のことを気にし始めました。私も引き受けてくれる学校があるか気になりました。そんなある日、母親が思いがけないことを話しだしたのです。
「娘は、高校はイラストやデザインが学べるところにしたいと言っています。中学校で尋ねたらA高校のデザイン科があると言われたそうで、そこを受験したいと言うのですが、先生どう思いますか」。
この話も三者面談の中でした。私は母親に「それは素晴らしい。
本人が受けたいと言うのならぜひ受けさせるべきです」と言いました。
本人が高校には行きたいと言い、志望校もはっきりと言った。母親はこのことには喜んでいましたが、実際受験するにあたっては、相談室登校で学力がきわめて不安、試験や面接に行けるかどうか、受験に失敗したらもっと落ち込みがひどくなるのではないかなど、心配でたまらないようでした。
私は、「本人が自分で道を切り開こうとしているのです。今はそれを応援しましょう。失敗したらその時に次を考えましょう」と言い背中を押しました。
その後。その子は自宅でも受験勉強をし、中学校では専願という受験方法を示され、無事試験会場にも行け、めでたく志望の高校、学科に合格したのです。
娘さんの高校入学後も母親はしばらくの間、「また、いつ登校しなくなるか不安だから」と言い、私との心理相談にやってきましたが、不登校が生じやすい5月の連休明けまで様子を見ても特に問題は起こらず、母親も安心して心理相談を終了しました。
ずっと黙っていた娘が、なぜもう一度学校に行けるようになったのか
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161010250
その後も娘さんが私の相談室に来ることはなく、毎日他の生徒と同じように登校し授業を受けており、部活もバスケットボール部に入り元気に活躍しているとのことでした。
母親は「嘘みたい、今までのはなんだったの」とキツネにつままれたかのようでした。
心理相談を続けている間は一言も発さなかった娘さんが、なぜこのように劇的な変化を起こしたのでしょうか。
私が思うに、その子自身の伸びる力がもともと眠っており、表面には出ない間も、じっくりと力を蓄えていたのだと思います。
不登校、相談室登校は彼女にとって不快な経験だったと思います。