2018年1月12日 11:50
親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【後編】
手帳の種類・度数によっては税制面での優遇もあります。
立石
医療費の助成もありますよね?
渡部
身体障害者手帳か療育手帳の重度判定の方は、所得によって医療費が1割負担、もしくは無料になります。20歳未満は世帯主の所得が対象なので1割負担、20歳になると本人の所得が対象なので無料になる、というパターンが多いですね。市町村によっては、精神保健福祉手帳を所持している人や中度判定の方も助成対象になるところもあります。
編集部
いずれもお住まいの地域によって違いもあるので、行政の窓口で相談してほしいと思います。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/josei/marusyo.html
参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)| 東京都福祉保健局
立石
いろいろ伺って、やっぱり手帳は、持っていてメリットはあるけれど、デメリットはないなと思いました。
渡部
障害状態が軽いと判断され、交付されないお子さんもいます。でも申請しなければ交付されることもないわけですから、私は「まずは申請してみたほうがいいですよ」とお話しています。
立石
手帳は3種類ありますが、ボーダーのお子さんは知的障害が軽いと判断されて、療育手帳が取れないこともありますよね。知的には高くても、いろんな困難を抱えているお子さんも多い…。
渡部
発達障害に該当しているような場合は、「精神障害者保健福祉手帳」を申請してはどうかとアドバイスをしています。手帳が取れない場合でも、ドクターや児童相談所の判断で受けられる福祉サービスもあります。お住まいの地域によってもサービスは異なるので、そういう情報を得るためにも、行政の窓口に行ったり、地域の集まりに顔を出したりしておいたほうがいいと思います。自分から申請しないと、福祉サービスは受けられないですから。
立石
手帳については、母親は取りたいと思っているけれど、夫や義親が反対するケースもよく聞きます。
渡部
手帳を持たせたくない、つまり親や祖父母が、子どもや孫の障害を認めたくないということかなと思います。
それぞれが障害や手帳に対して異なるイメージや感情を抱いているときは、無理に説得してもうまくいかない例が多いです。個人的には、お母さんが動いて手帳を取っておくというのも、一つの手段ではないかと思います。いざ必要になる時まで、タンスにしまっておけばいいわけですから。