発達障害の凸凹を包み込む社会へ、企業の新しい視点を切り開くーLITALICO発達ナビミートアップvol.4
岩本さんの研究テーマは、自身が障害者雇用の枠で採用され、仕事する中で感じたことにありました。「配慮を受けているんだから」と言われると仕事を断れず、どんどん業務がたまってしまったそうです。配慮そのものへの疑問を抱き、「配慮がある社会」から配慮が当たり前になり、「みんながフラットに、お互いさまの精神で働く社会」になるための研究をしています。
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発達障害の「生き方」研究所|Hライフラボ
発達障害の特性を自覚することなく過ごしてきた岩本さん。社会人生活がスタートしたとき、電話の対応でつまずきました。話を聞きながらメモをとることができなかったのです。先輩からの引き継ぎでも、メモを取れず、分からなくても聞き直したり、話しかけたりすることができないという困りごとに直面しました。疲労がたまり、うつ病で1年間休職することになります。
当時は、発達障害の診断前。主治医が変わったことでうつ病ではなく、発達障害向けの薬を処方され、そこでようやく自分の状況を理解しました。しかし、「支援を受けましょう」「工夫して仕事をしましょう」というアドバイスしかなく、手探りの対策ではうまくいきませんでした。発達障害を周囲に開示していたものの、一般雇用だったこともあり、電車に乗れなくなるほど精神的に追い詰められました。
このままではいけないと、「働かなければいけない」「こうであるべき」といった社会の価値観で行動するのではなく、自分にあった生き方を選択するために、障害者雇用枠で転職。「自立」「主体性」が発達障害の二次障害を防ぐという研究の目標は実体験から得たものでした。
「いろんな人が、頑張って無理して一般社員として働いている。それを『おたがいさまだよね』と自然体で働ける社会をつくりたい」と発達障害がある大人の当事者が置かれている現状を変えようとしています。
「『私とは違う人をどう理解するか』のスキルがあると、自分のこともよく分かる。自分のことが分かると、強み、何がやりたいかが明確になり、主体的になれて、クリエイティブになれたり、社会課題に目覚めたり…といった変化が出てくる」
発達障害の有無にかかわらず、誰にでも必要とされるスキルであると考え、研修プログラムにできないかと、模索しているそうです。
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岩本さんの講演後は、参加者がグループワークに取り組みました。