子育て情報『話題の本『学校に行きたくない君へ』。横尾忠則さん、樹木希林さんら著名人への体当たり取材の裏側、込めた想い。不登校新聞編集長に聞いた』

2018年9月27日 08:00

話題の本『学校に行きたくない君へ』。横尾忠則さん、樹木希林さんら著名人への体当たり取材の裏側、込めた想い。不登校新聞編集長に聞いた

石井:本には載っていませんが、みうらじゅんさんの取材に行ったときに、本当に良かったなと思ったんですよね。まさに「私はこの先どうやって生きていけばよいのだろうか」という話を聞けたから。不登校をしたときって人生終わった、人生詰んじゃったと思ったんです。なんでそんなふうに考えるのかというと、やっぱり先が見えないからなんです。

自分のこの先が、学校に戻ることだったらそんなにつまんない人生はない。でも、もしかしたら…もしかしたら、自分が本やテレビで見ている「あの人」みたいに私も生きることができるのではないか、そんなことが聞きたくて取材に行きました。子ども若者編集部の子たちにも、それを聞いてほしくて今も取材を続けています。

石井:映画監督・演出家等として知られる押井守さんの取材では、「もう一生人と関わらなくていいかなぁ」と聞いた子がいます。
彼は10年以上引きこもっていたんですけれど、年間を通じて会話をした人が5人しかいなかった。

――家族含めて5人?

石井:そうです。両親、祖父母、そして私。6人目が押井守さんだった。彼の聞きたいことは「もう人と関わりたくない。10年引きこもっていて外に出ることは考えたくない。だけど、このままの自分でいいのだろうか?」ということだったんです。それを聞いた押井さんは「それでいいんだよ」と答えたんですね。
「世の中きっとおもしろくなる。自分も学生のころ引きこもっていたことがあって、だんだんおもしろくなってきて外に出て行った」と。質問した彼はそれを聞いてすごく安心したんですよね。

彼は取材のためにわざわざ名古屋から出てきて、押井さんの取材の次の年も取材をしました。だんだんと仲間と出会えたことが嬉しくなり、打ち上げで飲みに行くのも楽しくなり、飲むのも好きになって。そして今年の4月に友達と一緒にバーを開きました。お客さんを招き入れて自分がお酒を注いで話をする。

彼が「もうだめだ、人と関わりたくない」と思ったときに「いいんだよ」と背中を押されて、本当にやりたかったことが分かったんだと思うんです。
人と関わりたくないというのは、関わりたいけど怖いとか、関わったら楽しいと思うけどできないという思いがあるんです。コントロールしようとするのではなくて、その気持ちを受け入れる。インタビューだけではなく、親子関係でも大事なことだなと思いながら取材をしています。

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