2019年12月27日 10:00
医療少年院の職員と少年がASDのある人の知覚世界をVR体験――知的障害や発達障害がある少年たちの支援での配慮を考えるワークショップを開催
見え方、聞こえ方は、どうしても「このくらい聞こえるだろう、見えるだろう」という風に自分基準になりがちですが、少年たちの特性を踏まえて対応していきたいと思いました。VR体験では、感覚の過敏さがあると、外出するのも、対人関係の形成も、しんどそうだということを体感しました。
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――どのような職務で、どのような支援をしていますか?
入院してすぐの環境面の支援、退院後の帰住先の確保、保護者との調整等を行っています。
――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?
指導の中で、「なぜダメなのか、なぜそれをしてはいけないのか」を常に伝えていますが、こちらから伝えてもなかなか本人の意識を変えることが難しいと感じています。ワークを受けて、少年たちにこうしたことを伝える際に、本人たちがその言葉を受け止められるような伝え方も大事なのだと思いました。
例えば、自分は大声で叱っているつもりはなくても、少年たちは叱られていると感じてしまうかもしれず、そうすると心を閉ざして言うことを聞きたくなくなるかもしれない――今後は、照明や声量などにも気をつけて、怖そうに見えていないか少年たちの気持ちをより想像しながら支援していきたいなと思いました。
少年たちへの授業では「自己理解」をすすめて
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2日目のワークショップでは、約1時間かけて少年たち向けの授業を行いました。一部の生徒には、VRも体験してもらいました。
授業では、
・発達障害と感覚過敏についての基礎的な講義
・ASDがある人の視覚や当事者による日常生活での困難と対処法に関する映像の視聴
・自分自身の感覚や対処法に関するワーク
などを行いました。
少年たちも積極的に発言を行い、自分自身の感覚を改めて考え、なぜ辛さがあるのかなどの原因を考える機会となりました。
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授業のあと、少年たちは学んだことをそれぞれ言葉にして整理をしました。そこで書かれた内容の一部を紹介します。
自分の感覚が理解されにくい、特異であることに気づき、困難さを抱えていた生徒たちは、感覚の過敏さの原因や、どのように対処している人がいるのかについて具体的に知ることで、気持ちが軽くなったり、自分なりの対処方法を見出したいと感じたようです。
「いつも自分だけの考えだけだったので、いろいろな人がいるのだということを知りました。