2021年6月20日 14:15
集団行動はムリ、ことばも遅いけれど。幼稚園での「クレヨン」事件が、自閉症ハルの成長を喜べるきっかけに
初めての幼稚園生活
初めての幼稚園生活。
といっても、幼稚園で何一つ活動に参加せず、それを「幼稚園生活」と呼んでいいかわからなかったです。
とりあえずは登園時間に登園し、木の上からみんなの活動を見守る任務を果たす日々を送り、降園してくる状態だったので…
それでもそれを見守ってくださる加配の先生。
そんな毎日も、そのことがとってもありがたかったです。
なぜならショッピングモールやファミレスでは、肩身の狭い思いをしてばかりで足が遠のいたし、公園ではひとつの場所にじっとしておらず、移動しすぎて公園常連の子たちに認識されていませんでした。
さながら忍者でした(笑)
Upload By beth(ベス)
そんな毎日のなかで、幼稚園では加配の先生や担任の先生、他クラスの先生、園長先生が気にかけてくれて、存在そのままを受け入れてくれていることを肌で感じました。
そんなある日、ちょっとだけ不思議なことがありました。
お迎えに行くと、担任の先生が興奮気味にかけよってきました。
「今日ハルくん、すごかったんですよ!」
ちょっと不思議なクレヨン事件
わたしは先生のリアクションを見て、『えっ!ハル、ついに自分のクラスに入ってみんなとの活動に参加できたとか!?』と思いました。
でも聞いてみると…ちょっと予想とはジャンルの違うお話でした。
クレヨンが大好きなハル。
クレヨンで絵を描くのではなく、クレヨンそのものが好きなのでした。
幼稚園に着くと、木に登る前に、クレヨンの箱を開けるのが日課だったそうです。
等間隔に並んだその色とりどりのクレヨンたちを眺めたり、中身を確認しては、ふぅ…と満足げにまたしまっていたそうなのです。
ところがこの日は、朝からクレヨンがない!
先生たちはハルのお道具箱を一目見て、気がついたそうです。
周りの子に聞いてもわからない。ハルに聞いても、もちろん答えないのでわからない。
ハルは当時、「なくて困った」とか、「なくしちゃった」とか言えませんでした。
先生たちは、「ハルくんは顔にはでないけれど、さぞ困っているだろう…」と心配し、必死に探してくれたそうです。ハルのほかの持ち物も、ほかの子のロッカーも、そのほか、教室中。
みんながクレヨン探ししてくれている中、ハルは…
ないない、と探してくれる先生がふと後ろを見ると、ハルが立っていたそうです。