子育て情報『園・学校に行きたくない!夏休み明けの子どものSOS。親だからわかること、できないこと、対応方法もーー精神科医・田中康雄先生』

2021年9月19日 14:15

園・学校に行きたくない!夏休み明けの子どものSOS。親だからわかること、できないこと、対応方法もーー精神科医・田中康雄先生

お腹が痛いとトイレにこもる、頭が痛いと布団から出て来ないなどです。

朝起きができない、眠たいという訴えは、だって夜にずっと携帯を見ていたから、ゲームや映像を見ていたから、ということになると、症状でなく自業自得となります。大人にとって原因がわかっていると、起きられないことよりも、ゲームなどを早く終えるように、ちゃんと寝るように言っても、したがってくれず、結局は叱られることになります。

言動では、ぐずったり癇癪をおこしたり、イライラして大声を上げたり、慌てて困り果てることにもなります。

ここで、腹痛や頭痛を軽減する方法、あるいは癇癪を抑える方法を試行錯誤しても、ほとんど解決しないはずです。子どもにとって、わかってほしいのは、これらの「症状」を取り払うことでなく、園や学校に行きたくない思いのほうです。

これを「症状にある本当の意味」と言います。症状をSOSとして捉えることができると、SOSというサインより、その意味が大切なはずです。


なので、僕はこうしたサインを持って相談に来られた親子に対して、園や学校に行かない日にそのサインが登場するかどうか確認し、もしお休みのときはサインもお休みしているときは、『体と心が休ませて』と言っていると解釈します。

そしてその子に「明日から症状がなくてもちゃんと家で休んでくださいね。1週間、学校(園)には行ってはいけませんよ」と伝え、「次に来たときにその1週間の様子を教えてね」とお願いします。

この公認されたお休みの間、多くの子どもは、症状が薄まり、次回相談に来る前日から症状が強くなることがあれば、学校(園)に行くことが大きな負担であるという仮説が成り立ちます。時に、それでも症状が改善しない場合もあり、そのときは、それ以上に「今を生きる」ことに難しさを痛感していると仮説します。

ただいずれにしても、症状を無理になくすことより、どうすれば、生活が楽になるかを検討します。

休んで多少なりとも楽になったときは、症状でなく、その学校(園)の生活のなにが負担かを確認します。

学校(園)は、①そこで学ぶこと、②そこにある友人関係、③担当してくれる大人との関係が、いかにうまくいっているかで良い場所かどうかがわかります。
僕はこの3点について子ども本人に確認し、負担に感じている項目を探ります。あとは当然のように、登校(登園)よりも、そこにある課題の解決を関係者を交えて一緒に考え続けます。

関連記事
新着子育てまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.