2022年1月5日 14:15
微細運動(びさいうんどう)とは?乳幼児の手指の発達目安や、発達障害(神経発達症)がある子どもに多いつまずき、トレーニング方法も紹介
なお、生活に必要な動きのみではなく、手芸や工作などさらに精密な動きをするようになっていくためには、「こういうものをつくりたい」という心の発達が必要であり、どんな人でもトレーニングが必要です。立つ、歩くといった粗大運動とは少し違い、自然にできるようになるものではありません。
発達障害(神経発達症)がある場合に見られる微細運動の特徴(併存症として発達性協調運動症がある)
それでは、発達障害(神経発達症)があった場合、微細運動の発達には何か影響があるのでしょうか。それはなぜなのでしょうか。
●協調運動の課題
発達障害(神経発達症)がある場合、神経伝達がうまく伝わらないことがあります。「皿の上にあるボーロを取って、口に運んで食べたい」と脳で思っても、そのとおりに体を動かせないために、ボーロをつまめない、つまめたとしても力が軽すぎて落としたり、逆に強すぎてつぶしてしまう、また、そのあと口元まで運ぶことがうまくできない、ということがあります。
●感覚過敏があるため、物に触りたがらない
もうひとつの発達障害(神経発達症)の特徴として、感覚過敏があります。そもそも違和感のあるものを触りたがらないために、微細運動の発達の遅れがみられる場合があります。
物の温度・手触り・色・材質・形・におい・その物が発する音などについて、温度覚、触覚、視覚、嗅覚・聴覚等が関わってきます。そうしたものについて、いやな思いをしてしまうと、同じ色のものは触りたがらない、といった傾向もあらわれます。
また、特に冬場の空気が乾燥しているときには静電気もあり、パチッという感覚を怖がって、物を触らないことがあります。これは、発達障害(神経発達症)がない子どもにも、あることです。
こうして、発達障害(神経発達症)がある子どもの場合、微細運動の発達に遅れがみられることがあります。それぞれの動作ができるようになる時期の目安は前述の通りですが、たとえば1歳半を過ぎたころになっても、ものをつかむときに指を使わず手のひら全体でつかもうとしたり、フォークやスプーンがうまく使えなかったりといったことがあります。一般的にいわれる「不器用」というのは、感覚とこうした手指の動きがうまく連動できないということです。体の感覚統合がうまくいっていない場合に起こります。
* 感覚統合とは
人間の感覚には、既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)