子育て情報『発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月22日 14:15

発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー

入学後に1年次の基礎科目でつまずいて卒業の見通しが全く立たなくなっていた学生さんがいました。

親御さんは困り果て、学科の先生方も事務職員もどう支援して良いのか分からず途方に暮れているようでした。ご本人にお会いしてみると、いわゆる二次障害が酷く、深い絶望感を抱えている人でした。

最初の1年は、休学した上で面談を継続し、関係性づくりだけに費やしました。絶望感からの回復には、成功体験を実感していただくことも必要です。そのため、翌年からは少しずつ基礎科目の単位取得から勉学に復帰しましたが、この過程では事務職員の力を大いに借りることになりました。同じ領域の科目群の中でどの科目・どの先生なら単位取得をしやすいかとか、基礎科目と応用科目の順番を考慮し無理のない履修計画を立てるといったことを、本人を含めて関係の事務職員が学期ごとにミーティングを開いて確認しました。遮音のためのヘッドホン装着など初めての支援策については、各教員の理解を得られるよう個別の折衝を重ねました。


――じっくり時間をかけて支援を続けられたのですね。

山科先生:そうですね。最終的に入学から7年半かけて卒業し、障害者枠で一般企業に就職しましたが、この過程で、発達の特性がある大学生の支援のためには、心理的な関与、精神医学的なアセスメント、そして何より関係者の理解を得ていくためのソーシャルワークが必須だということが分かりました。

その経験から、アクティビティの高い心理職を学部事務室に配置してソーシャルワーク的な役割を担ってもらう、という支援の方法に辿り着きました。具体的には、「発達障害に関する精神医学の知識を運用できるだけでなく、学生の困りごとを具体的に把握できる面接を行う能力があり、かつフットワークが軽く多職種連携ができる人」というイメージを持ちました。そして、呼称をキャンパスソーシャルワーカーに決めたのです。


支援者は「孤立しない」ことが大切

発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビューの画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=07800061877

――学生支援に携わる人たちへの願いは何でしょうか。

山科先生:学生本人が支援を求めてくるのを待っていては、効果的な支援体制は作れません。
具体的にはその組織に応じたやり方があるのだと思いますが、困っている学生に、少しだけ「おせっかい」

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