子育て情報『発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月22日 14:15

発達特性がある大学生、支援に必要な「連携」をどうつくる?――中央大学教授・山科先生インタビュー

する教員と、それに呼応する事務職員、そして大学生の成長に「伴走」することを喜びと感じるような支援員がいてくれることを、私は願っています。

ただし、発達の特性は百人百様です。診断名で支援の内容が決まることはありません。全て個別のオーダーメイド支援になります。「この学生さんにはこういう支援が望ましい」ということをその都度考え、当事者を含めて話し合い、関係者でコンセンサスを作り上げていく必要があります。

――支援は連携が重要なのですね。

山科先生:そうですね。発達の特性を有する学生への支援は、教員であれ専門職であれ、ひとりの努力で完遂することはあり得ません。
多くの関係者が、支援に関する全体的な理念も、個別の学生の理解についても、共有することが必要です。孤立せずに、「話の通じる仲間を増やしていくこと」は、支援者にも必須なことだと思います。

――この本を、どのように役立ててほしいとお考えでしょうか。

山科先生:大学で発達の特性を有する学生の支援に関わっている方を主たる読者として想定していました。支援の方法は、大学によって異なって当然であろうと思いますが、私たちの方法の背後にある思想については、どの大学であっても通底するものではないかと思います。

手前味噌にはなりますが、「発達障害とは何か」「診断とはどういうものか」ということについて、私なりに考えてきたことを自分の分担した第6章で記述しました。そこも含めていくつかの章は、当事者の親御さんにもお読みいただける内容になっていると思っています。

執筆/LITALICO発達ナビ編集部

<目次>
・第1部キャンパスソーシャルワーカー導入の経緯
第1章:キャンパス内での支援のかたち―キャンパスソーシャルワーカー(CSW)の学内配置に焦点を当てて

・第2部理論・研究編
第2章:精神医学的観点からみた大学生の発達障害、第3章:発達障害のある大学生の課題と支援のあり方をめぐって―外国語教員の視点から、第4章:発達障害当事者からみた「自己」をめぐる問題、第5章:発達障害特性を有する大学生の“自己治療”としてのインターネット依存―一般大学生のアンケート調査から
・第3部臨床実践編
第6章:発達障害特性を有する大学生の自己理解に寄与する支援のあり方、第7章:学生の成長に寄与する支援者の関わり―理工学部CSWとして7年間を振り返る、第8章:キャリア支援と自己理解―法学部キャンパスソーシャルワーカーとして5年間を振り返る

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