場面緘黙がある自閉症息子の受験面接。「きっとうまく話せない」あきらめかけた母が見た姿は
担任の先生からすると、これまでの太郎くんとの関わりの中で、気を付けることを厳選すると、「短い言葉で大きな声で」なのだとつかんでいらしたのですね。そこさえクリアできればと信じてくださっていた面もあるかもしれません。ともあれ、先生の要点を押さえた指導と、太郎くん側の心の準備とががっちり一致した体育祭後の面接練習だったのかなと想像します。機が熟した感じがしました。
高校の入学のために学力試験や作文面接などさまざまなものが求められますが、そうしたものへの子どもたちの取り組み方は目を見張るものがあると感じています。義務教育である中学までとの違い、面接・作文・試験であれ自分でアクションを起こすことが入学の第一歩ということを子どもたちはよく分かっているなと思います。良くも悪くも、身近な大人からすると、“これまで通り”の展開なのではと予想してしまいますが、そうじゃない、本人なりの飛躍的な展開が出てくることも多いように感じます。太郎くんも自分の進路を自分でつかみ取るために、心の中でもいろいろと準備を進めてきたことが面接での様子から分かりましたね。
成長を感じます。もちろん、狙う対象によってその“努力”や結果は変わってくるので、事前の準備(志望校決めなど)はとても重要ですが、本人なりの頑張りが発揮されそうなところ・本人が頑張りたくなるようなところを本人と一緒に考えていただいた保護者の方の尽力のおかげでもあり、“あとは本番で本人が頑張るだけ”までご準備ありがとうございましたと思うところです。そして、高校受験は人生の節目の1つでしかなく、今後もさまざま岐路が出てくると思いますが、今回の面接の手応えが、太郎くんにとってますます次の成長につながる経験となっているといいなと思います。
https://h-navi.jp/column/article/35030319
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。