発達障害グレーゾーンでも学校で合理的配慮を受けられる?学校での実例は?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
発達障害グレーゾーンの子ども、学校での支援や配慮はどうなる?
発達障害のグレーゾーンとは、定型発達と発達障害の間の境界領域を指すときに使われます。明確な定義はありませんが、医学的な診断基準は満たさないものの発達障害のいくつかの特性がみられ、その特性により日常に困難がある場合使われることがある言葉です。
子どもが学校で困りごとがあるけれど、発達障害の診断がない、または「グレーゾーン」と言われている場合、不安や疑問を感じる保護者は少なくありません。「診断がなくても、支援を受けられるのか」「どこまでお願いして良いものなのか」などと悩む人も多いのではないでしょうか。
発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。
小学4年の自閉症グレーゾーンの息子がいます。今まで普通級でみんなと同じようにやれてきています。
でも、やはりしんどい部分はあるようで、家では荒れたりしています。
今まで何とかやってこれましたが、次は高学年なので、ますますしんどくなるのでは、と思っています。
https://h-navi.jp/qa/questions/172992
今回はそのような発達障害グレーゾーンのときの学校との連携について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。
発達障害グレーゾーンのとき、学校で合理的配慮を受けられる?
A:特に「診断がない場合」にどのような配慮や支援を受けられるかは、お子さんの状態や困りごとだけでなく、学校の環境や人員によっても変わってきます。
合理的配慮については、合理的配慮が定められている「障害者差別解消法」の中では「障害のある人」を対象としています。合理的配慮は、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。法律上、合理的配慮の対象者に診断書の提示は必須とされていませんが、実務上は診断書や障害者手帳等の提示を求められることがあります。そのため、医学的な診断がなく「障害のある人」に該当しない場合には、合理的配慮としての調整が難しいこともあるかもしれません。
例えば、「入試の解答時間を延長してほしい」など、入学や進路に大きく影響するような場合や学校の負担が大きい場合などには、診断書や医師など専門家の意見書、検査の結果が必要なこともあります。