発達障害グレーゾーンでも学校で合理的配慮を受けられる?学校での実例は?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
本人が何に困っていて、どのような支援が必要なのかを客観的に示したほうが、配慮を受けやすくなることもあるでしょう。
一方で、お子さんが学校で困っていることがある場合には、診断がなくとも学校への相談は可能で、状況に応じて配慮や支援を受けられる場合もあります。
例えば、学校や教室の状況にもよりますが、日々の学校生活の中で先生の負担が比較的小さい範囲でできる支援もあるかと思います。
・座席を前のほうにしてほしい
・授業の予定変更がある場合や教科書の何ページを開くかなど、口頭指示だけでなく黒板にも書いてほしいなど
このような支援は、診断がなければ相談できないことはなく、診断の有無にかかわらず、先生と相談していくと良いでしょう。
保護者の中には、学校へ支援や配慮の相談をすることに不安を感じる人もいるかもしれません。まずは連絡帳に書いて先生へお伝えし何度かやりとりをした後に、対面で相談の機会を設けるという方法も1つの選択肢です。また担任だけでなく特別支援教育コーディネーターや養護教諭など、保護者自身が相談しやすい方を窓口にするのも良いと思います。

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まとめ:さまざまな合理的配慮の例を参考にしてみよう
保護者が合理的配慮のいろいろな事例を知ることも、わが子に合う支援を見つけていくことに役立つかもしれません。
内閣府が合理的配慮の例をインターネット上で公開しているので、参考にしてみても良いでしょう。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/
◇参考:合理的配慮等具体例データ集合理的配慮サーチ|内閣府
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)