「子どものために良かれと思って……」子どもが困難にぶち当たったとき、パタパタパタと飛んできて助ける。子どもが困らないように頭上を旋回し見守る。これが行き過ぎると“ヘリコプターペアレント”になってしまいます。
そこで、『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』の著者の立石美津子が教育専門家としての経験を元に“ヘリコプターペアレントに育てられると、どうなるか”についてお話します。
筆者は仕事で保育園や幼稚園で多くの幼児に接してきましたが、こんな光景がありました。
●忘れ物
保育士が持ち物のハンカチやタオルを忘れた子に「忘れ物をしないようにね」と注意すると「だってママが入れてくれなかったんだもん!」と親のせいにする。
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子どもは帰宅後「ママ、どうしてハンカチ入れてくれなかったの」と親を責める
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母親は「ごめんね。ママが入れ忘れちゃって……」と子どもに謝る
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次回、忘れたときは、ママが保育園に慌てて飛んできて届ける。
これが“ヘリコプターペアレント”です。
子どもはどうなるかというと…
・自分の物を自分で準備する習慣がいつまでもつかない
・忘れ物をしても人のせいにして、自分のことを反省しない
結果、“自分のことを自分でできる子”になかなかなれないのです。
子ども同士の喧嘩

(C)あべゆみこ
「優しい子になってほしい」「友達とトラブルを起こしてほしくない」この思いが強すぎて、まだ喧嘩をしていないうちから「仲良く遊ぶのよ」と釘を差すパターン
また、トラブルを起こすとなんとかして「ごめんね」「いいよ」の謝罪や許容の言葉を子どもの口から必死に引き出そうとして、形式的に謝らせるパターン

(C)あべゆみこ
子ども同士本気でぶつかって喧嘩して、心から反省したときに謝り、心から許せるときに許しの言葉を言わせないと、社会性やコミュニケーション能力は育っていかないのです。
すぐに親が代弁する
保育参観日。制作の時間に保育士がクレヨンを子ども達に配りました。一人の子どもに配り忘れてしまいました。子どもはモジモジしています。すると後ろにいた母親がすかさず「先生、うちの子にクレヨンがないのですが」と言ってきました。
でも、ここで気が付いても放っておくほうがよいのです。なぜなら「先生、僕のクレヨンがありません」と言わせることで自分が困ったときに他人に助けを求める、SOSを出せるようになるからです。
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