「苦手つぶし」していませんか? 教育熱心な親が子どもの成績を下げている
新年が明けて二週間が経ちました。小中学校では冬休みが終わり、3学期が始まった頃でしょう。約2ヶ月半と、ほかの学期に比べてとても短い3学期。うかうかしていると、あっという間に新年度がやってきます。よい新年度のスタートを切るには、これから始まる3学期をどう過ごすかが重要です。
以前、算数はRPGと同じ「積み上げ型」の科目だとお話ししましたね。前に習った単元の積み重ねがあって初めて、新しい単元を理解することができる。それは言い換えれば、前の単元でのつまずきが、あとあとまで響いてくるということでもあります。
わからない単元を持ち越したまま新年度を迎えたら、進級して早々、学習につまずいてしまうかもしれません。
そこで今回は、これまでのポイントを振り返りつつ、3学期を有意義に過ごし、子どもの成績アップにつなげるためのヒントを探っていきたいと思います。
朝学習×短時間型=効果的な学習法
思い込みや経験則を離れ、データに基づいた科学的な知見を重視する「エビデンス・ベースド」の考え方――本連載では、そんな「エビデンス・ベースド」の視点に立ち、算数のニガテが生まれる原因から効果的な学習法まで、データが示すさまざまな事実を見てきました。
3学期になると、学校や塾では子どもに「総復習」をさせます。でもじつは、「総復習」は効率が悪く、おすすめできない方法。第6回連載でお話ししたように、この時期本当に取り組むべきは、算数の理解を支える「2~3桁の位の理解」「図形の組み立て、立体の基礎」「目盛りの読み方」「円と直径・半径の理解」の4つの土台の見直しです。
そして、新年度までの限られた時間で効果的に見直しを行なうには、効率よく学習することが欠かせません。第4回、第7回の連載でも触れましたが、効率的な学習の鍵を握るキーワードは、「朝学習」と「短時間型」。
朝の10分は、夜の20分にも相当します。集中力が切れにくい朝に、毎日少しずつ復習を進められたら理想的ですね。
子どもの「苦手」より「得意」に目を向けて
ここからは、おうちの方が子どもにできること、そして理想的なおうちの方の「あり方」についてお話ししたいと思います。RISUでの教育事業を通して多くのご家庭と接するなかで、私は日々、「最近の親御さんには本当に熱心な方が多い」と感じています。しかし、なかにはその熱心さが逆効果になってしまっているケースもありました。