「苦手つぶし」していませんか? 教育熱心な親が子どもの成績を下げている
ひとつめのケースが、「苦手つぶし」です。子どもの苦手を見つけると、それをつぶそうと必死になるおうちの方は多いもの。しかし多くの場合、おうちの方が必死になるほど子どもの成績は下がっていきます。たとえば先日、あるおうちの方から、こんなメールが届きました。
「時計の範囲はやっと100点がとれましたが、時間がかかりすぎました。もっと復習を頻繁に出していただきたいです。」
教育熱心な方ほど、成功のなかにもマイナス面を探し出してしまうようです。苦手な範囲で100点をとれたのに、きっとこの子はほめられてはいないでしょう。これでは、子どものモチベーションは下がる一方です。
「時間はかかったけど、100点をとれたね。やったね!」
こんなふうに、「できた」部分をほめてあげることが大切です。子どものために親ができる最大のことは、モチベーションをアップさせること。子どもの「得意」に注目して、自信をもたせることのほうが、「苦手」に注目するよりもずっと効果的なのです。
教えるべきは、「解き方」ではなく「考え方」
もうひとつ、熱心なおうちの方が陥りがちなケースがあります。それは、「教える」のではなく「自分で解いてしまう」というもの。
私たちはよく、ショッピングモールなどで教材の紹介イベントをしています。そこでときどき目にするのが、子どもの代わりに自分が問題を解いてしまうおうちの方です。
子どもが問題を解こうと一生懸命考えていますが、なかなか手が動きません。すると、30秒もした頃、おうちの方が後ろから問題をのぞき込み、パパッと解いてしまう。そして、「ほら、こうやって解くのよ」と言うのです。
このように、自分自身で解答を出して、それを示すことが「教えること」だと勘違いしているおうちの方は少なくないよううです。しかしこのやり方は、子どもが試行錯誤し、自分で考えるチャンスを取り上げてしまっています。子どもの目の前で解いてみせるのでは、教えたことにはなりません。もし教え方に悩んだ際は、お子さまに合った学習教材や専門家の力を頼っていただければと思います。
周りの大人にできることは、ほんのわずか
ここまで読んでくださったおうちの方は、きっと「子どもの能力を伸ばしたい」「子どもの学力を底上げしたい」など、お子さんのことを本当によく考えていらっしゃる方のはず。
子どものためを思うからこそ、つい気になってあれこれ手を焼いてしまう気持ちはよくわかります。