罰を与えるのは絶対にNG! 我慢ができない子どもに足りない「未来を想像する力」
です。
「満足を先延ばしできる能力」を調べるため、マシュマロを子どもたちの前に用意し、いま食べるなら1個、15分我慢したら2個あげることを伝えます。結果は、すぐ食べた子、我慢した子、ほぼ半々だったそうです。そして、その後の彼らの人生の追跡調査で判明したのは、「我慢した子のほうが、成績優秀で社会的成功を収めていた」という事実でした。
我慢することは、大人でも難しいものです。それが子どもならなおさらですよね。前述したような、理由も説明もなくただ「我慢しなさい」と頭ごなしに言うことは、子どもにとって苦痛以外の何物でもなく、圧力に押さえつけられた感情はかなりの精神的ダメージとなってしまうでしょう。
一方、マシュマロ・テストのように、「マシュマロを多くもらえるから、我慢する」というのは、報酬を得るという目的があっての我慢です。
我慢したらよいことがあるとわかっているから、自制心が働きますし、最終的には達成感を得られるので、精神的にもプラスです。つまり、我慢には目的が必要ということ。京都大学大学院発達心理学准教授の森口佑介氏は、目的を達成するための自発的な我慢を「真の我慢」と呼んでいます。
お子さまは、自分の感情をコントロールできていますか?
教育学博士のアグネス・チャン氏によると、「真の我慢」をするためには、ふたつの能力が必要なのだそう。
まずは「想像力」。我慢することで得られる未来を想像する必要があります。「我慢したらおいしいケーキが食べられる」「我慢したら公園で遊べる」など、未来を想像する力が行動のモチベーションになります。これは人生で試練にぶつかり、困難を乗り越えるときに、希望を見いだすための大きな力となります。
もうひとつは、「自分を慰める力」。つらいとき、気持ちをぐっとこらえて、気を紛らわせてなんとか乗りきること、ありますよね。我慢に待つ時間はつきもの。「いま食べたいのに」「いまやりたいのに」というとき――。駄々をこねず、歌を歌ったり、本を読んだり、体を動かしたり……子どもは、目的達成のために気持ちを切り替える術を学ぶことで、自分の感情をコントロールする力、つまり自制心を身につけます。「ママに怒られるから」ではなくて、「なぜいま我慢しないといけないのか」を理解することが重要なのです。
小さな我慢を積み重ねていくうちに、筋トレのように着実に自制心が育まれ、「真の我慢」