子育て情報『在宅でデキる!? 認知症の進行を遅らせる“音楽回想療法”の効果と注意点』

在宅でデキる!? 認知症の進行を遅らせる“音楽回想療法”の効果と注意点

在宅でデキる!? 認知症の進行を遅らせる“音楽回想療法”の効果と注意点

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

筆者はこれまでに『パピマミ』に寄稿したコラムの中で何度か『音楽療法』についてとり上げてまいりました。

しかし、それらはいずれも『音楽回想療法 』と呼ばれるべき『回想法』という手法を取り入れた心理療法の一つであり、本当であれば先に回想法全般についてのお話をさせていただくのが正しい順番であったのではないかと、今は考えております。

そんなわけで今回は、筆者の実際の介護体験からも認知症の進行抑制に効果が感じられた 『回想法』や『音楽回想療法』について、心理療法に造詣の深い精神科・老人科の医師にうかがったお話を参考にしながら、ご紹介してまいりたいと思います。

●回想法とは何か

『回想法とは、1963年に米国の精神科医で老年医学者であったロバート・バトラー博士によって創始された心理療法です。

バトラー博士は、高齢者にとってイキイキと暮らしていた時代のことを回想すること は自信や自己肯定感を回復させ脳を活性化させる、さらに過去の懐かしい思い出を誰かに話すことで脳が刺激され精神状態を安定させる効果が期待できると提唱しました。

以来欧米を中心に高齢者の抑うつ感の改善・認知症の予防や進行の抑制に効果のある心理療法として発展し、わが国でも厚生労働省所管の国立研究開発法人である国立長寿医療研究センターでその有効性が検証されています。


認知症が治るというほどの劇的な効果が期待できるわけではありませんが、やらなかった人よりは認知症の進行を遅らせる ことができ、表情もやわらかくなれるという意味で、在宅でも取り入れていただきたい認知症の対症療法の一つです』(50代男性/関東地方精神科・老人科クリニック院長、医師)

関東地方のとある中堅都市で精神科・老人科クリニックを開院するA先生はこのように述べ、回想法は自宅でも家族がセラピスト役になって簡単にできる方法なのでぜひ試してみてほしいとおっしゃっています。

●「特に優れた回想法」(日野原重明医師)としての“音楽回想療法”

さて、この回想法を実施するにはそれこそいろいろなツールが考えられるわけです。

たとえば高齢者のかたたちが子どものころに遊んだ玩具や折り紙などを用いて、夢にあふれていた少年少女時代を回想する方法。あるいは戦後、焼け跡からの出発ではあったにせよ自由と民主主義を手にしたことによって男女の恋愛をおおらかに描いた映画を堂々と観られるようになった青春時代。

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