2019年10月15日 14:40
「やる気あるの?」というコーチングでは伸びない。高校サッカー強豪の監督が無冠で気づいた「選手に響く」伝え方の重要性
「サッカー面では許せることが増えた分、学校生活の面での部分はしっかりと締めたい。ただ、そのバランスが難しい」。
「オラオラ系」指導者だった以前と比べて選手を叱る機会は減りましたが、今いる選手がこれまでの姿を知りません。「私的には柔らかくなったつもりでも、選手にとってはまだ怖いみたいで(笑)。サッカー面で叱る回数は減ったのですが、日常生活の部分でやれていないことを注意したら選手がビクッとするのが分かるんです。怖いと思われ距離を置かれてしまったら、伝わる物も伝わらなくなるので、そこのバランスの取り方は悩みどころです」
選手の足りない部分を指摘する際に優しい言い方を意識しているつもりでいても、伝える内容は選手の欠点を指摘しているため、指導者が思っている以上にきつく受け取られるのでしょう。今の田邊監督が意識しているのはズバッと指摘するのではなく、本人が足りない部分に自ら気付けるような言い回しができるかどうか。「『私はここが足りてないんですね』と自分から言い出したり、自ら欠点を克服する努力ができるようになる選手を増やすのが本当の教育ではないかって思うんです」。
これらの考え方は知識として頭にあっても、実体験が伴わないと腑に落ちず自らの考えとして身に付かないのかもしれません。
「知っている」と「できる」はまた別物なのです。様々な情報が簡単に手に入る現代は、知っただけで満足している人も多いのではないでしょうか。
しかし、その情報を子どもたちが役立つ物に変えるには、大人に経験が必要なのかもしれません。
田邊友恵
日ノ本学園高等学校サッカー部監督。東京女子体育大学サッカー部時代には、関東大学女子サッカーリーグにて得点王、ベストイレブンに選出。2002年結成の「アルビレックス新潟レディース」初期メンバーで、FWとして活躍。2007年現役引退。
2008年よりJAPANサッカーカレッジレディースの監督に就任。2012年より現職に。
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