2020年2月10日 12:00
判断力がある子は中学でグッと伸びることも。三菱養和のコーチに聞く、サッカーの判断力を高める方法
やはり、自分がいま何をすべきかを常に考えて行動ができる子は、試合中も自分で考えて判断して、プレーしていると思います。そのような人としてのベースがあれば、小学生時代に結果を残せなくても、中学生になってグッと伸びることもあります。
冨田:日常生活がサッカーに通じることは、たくさんあります。たとえば、練習が終わったあとに、用具をどこに片付ければいいかを考えて実行できる選手は、試合中もよく考えて動いています。私は養和のOBなので、「考えて行動する」という部分を大切にしてきた歴史を肌で感じてきました。いまはコーチの立場として、選手になにか伝言をするときにも「この選手に頼めば、自分の意図が他の選手たちにしっかり伝わるだろう」といったことも考えています。
■コーチが言ったプレーがベストとは限らない。選手自身が判断することが大事
――サッカー面で判断力を高めるために、どのようなアプローチをしていますか?
田中:まずはコーチがチームとしての方向性を整えますが、最終的には「ボールを持って判断して、実行するのはキミだよ」という形です。
そこでいいプレーをすると褒めますし、「いまはのタイミングだと、少し遅かったぞ」「背後のスペースに走ってもいい状況だったよね」といった会話を積み重ねていきます。練習の前には、トレーニング状況の説明と目的を話します。小学生にどこまで理解できるかは未知数ですが、それを積み重ねることで理解が深まっていくのだと思っています。
冨田:判断を良くするためには、判断をする材料を持っている必要があります。三つある判断材料の中で、一番良い判断をするという風にすれば、小学生にも伝わりやすいのかなと思っています。ボールを持った選手が、前に行くのか、斜めなのか、横なのか。サッカーはゴールを奪い、ゴールを守るスポーツなので、優先順位はゴールです。ゴールを目指したいけど、前にいる相手にボールを取られたくない。
その中で、良い判断をすることが大切で、プレーを成功させるためには技術も必要になります。右足しか使えない選手は両足を使える選手と比べて、選択肢が減ってしまいますよね。そのために、右足も、左足も使えるように練習に取り組んでいます。
コーチが言ったプレーとは違う選択をしても、選手自身の決断を削がないようにあえて何も言わないこともあるという冨田コーチ
――判断力を高めるために、指導をする上で気をつけていることはなんでしょうか?
田中:コーチの言うことが、すべて正解と受け取られないように、気をつけています。