トップアスリートのメンタルトレーナーが教える、先の見えない不安を和らげる方法
そんな皆様に、今、お伝えしたいことは、「どうか自分の今の自分の気持ちに素直になってください」ということです。
なぜなら、「ガッカリしていても大会がないことは変わらないから意味がない」「誰のせいでもないのにこんなことでイライラする自分はダメだ」などと、自分の気持ちを否定することは、最大のストレスになります。
同様に、子どもを励ましたいという想いから、「残念だけど気持ちを切り替えよう!」などと声をかけたくなることがあると思いますが、実はこれも「自分の気持ちを否定された」という感覚を与えてしまい、ストレスになることもあります。
■感情を言語化することで整理され、落ち着いて行動できる
では、周りの大人は子どもにどう接すれば良いのでしょうか?
それはまず、子どもに「どんな気持ち?」と尋ねることで、子ども自身が自分の気持ちを言葉にする機会を持てるようにすることです。
そして、「なぜ、そんな気持ちになったのかな?」とさらに理由を尋ねてみてください。
子どもが、大会に向けて一生懸命練習をしてきたからこそ、好きなサッカーができないからこそ、ガッカリすることもできれば、イライラする気持ちを持つこともできるのです。
これらは、子どもの"本気の想いがあったからこそ生じる感情"、つまり"本気の証"なのです。
子どもにこのことに気づいてもらうことためにも、保護者の皆様との会話が大切だと思います。
感情は私たちに大事なことをお知らせする機能を持っています。感情からのメッセージに耳を傾けることがとても大切です。
イラつきは、例えば、何か自分に正論があって、それに相反する出来事が起こっていることを知らせています。焦りや緊張は、例えば、それだけ自分にとって大切な出来事であることを知らせてくれています。そして、落ち込みや悲しみは、例えば、失ったものがどれだけ大事なものであったかを知らせてくれているのです。
このような感情は、とても大きなエネルギーを持っているので、簡単に抑え込むことはできないものです。無理に抑え込もうとすれば、誰にこの想い(エネルギー)をぶつけていいのかわからず、もっとガッカリしたり、最初のイライラとは関係のないイライラまで抱えることにもなりかねません。自分の感情を無視して抑え込もうとするのではなく、その感情になった理由を考えてみること、そして、本気だった自分を認めてあげることが、今はまず大事になります。