2020年5月13日 15:12
献身的で頑張り屋だけど覇気がない息子をどうすればいいか問題
さまざまな経験を糧にして脚力を強化しなくてはいけません。それなのに、ずっと杖を持たされていたら、彼の脚は鍛えられません。
今まで取材してきて、そういう子をたくさん見てきました。杖を渡すお母さんも見てきました。アドバイスを求められると、このように杖の話をします。すると、なかには「無駄な挫折は必要ない」とおっしゃる方もいます。
私は無駄な挫折などないと思っているし、無駄かどうかは本人が決めることです。少なくとも、味わう前から決めることではないでしょう。
■子どもがまだ幼くて自己決定できないことを、親が代役で決めなくていい
そのようなことを踏まえて、お母さんに、三つアドバイスをします。
ひとつめ。
お母さんが息子さんのことを考えるとき、ぜひ、主語を息子さんに転換してください。
「ぼくの個性をみんなにわかってあげてほしい」
「ぼくに嫌なことはしないでほしい」
「ぼくは自信をもって楽しくプレーしたい」
そのように、息子さんが自分で考え、その欲求を叶えるために自分で行動に出るまで、お母さんは黙って見守ってあげてください。
「見守って」というと、みなさん「我慢しろってことですよねえ。我慢するのって辛いんですよ」とおっしゃいます。
でも、私は我慢を強いてるわけではありません。考え方を転換してほしいだけです。
「自信を持って楽しくプレーしてもらうためには環境を変える事が良いのか、今の環境で頑張る事が良いのか」と迷っていた。でも、よく考えれば、それは息子が自分で考えて解決することだ、と。
「どこまで理解できているか疑問」
お母さん自身、率直な気持ちを書いていらっしゃるように、子どもがまだ幼くて自己決定できないことを、親が代役で決めなくていい。これが二つ目です。
そして、三つ目。
委縮している息子さんを、頑張れ、頑張れと心のなかで応援し続けてください。お母さんが「頑張っているのに、そんなにきつく言われて......」と同情すると、そこに「かわいそう」という感情が生まれますよね。「かわいそう」が生まれると、血のつながった親ですから、何とかして助けてあげたくなる。
杖を与えたくなる。感情に負けて杖を与えてしまうと、子どもの成長を阻んでしまいます。
したがって、息子さんをぜひ厳しく育ててください。日本では「厳しく育てる」というと、怒鳴ったり、叱って罰を与えることだと考える人が多いですが、それは違います。