2020年12月18日 16:27
相手にボールを奪われると取り返しに行けない子、ボールの奪い方をどう理解させたらいい?
■「個を育てる」の意味を取り違えていないか
少年サッカーにかかわる大人たち、コーチや保護者の皆さんは「誰が点を取ったか?」に注目しがちではないでしょうか。例えば練習中のミニゲームなどで、どちらかが負けているという場面があります。そこで、大人は「負けてるほうは、どうするの?」と問いかけて、考えさせなければいけません。
この場合、「負けてるチームのみんなは、どうするの?」は、しっかりやれと発奮させるための言葉がけではなくてどうすればいいか?に注目してもらうのです。そうすると、おのずとボールを自分たちのものにしなくてはいけないことがわかり、子どもたちは動き始めます。
ところが、大人は個人の評価ばかりしているように見えます。
日本の育成では、長らく「個を育てる」ことが言われてきましたが、意味を取り間違えてはいないでしょうか?
■みんなでボールを奪いに行く意識づけができない背景
「個人の技術を高めるために、個人の技術を増やすと、チームを感じられない選手を育ててしまう」
そんなことを、ドイツの体育学の学者が論文に書いています。
日本では、子どもがボールを持つと「いけ!」「勝負!」と盛んに言われます。ひとりでやるプレーだけでなく、チームのために走る、みんなでボールを奪いに行くといった意識づけがなぜできないのかを考える必要がありそうです。
私が考える「奪い返しに行かない理由」は、日ごろの練習がゲームやオープンスキルのメニューが中心になっていないから。点数をちゃんと数える、勝ち負けを子どもに理解させる、など彼らの「勝ちたい」という気持ちを育ててあげることが重要です。
「どうしたら勝てるかな?」
「点を取っても、取られると負けちゃうよね?」
「相手に点を取られないようにするのは、どうしたらいいですか?
そんなことを問いかけ続けてください。そうやって練習や試合で勝ち負けをたくさん経験し、負けたくない気持ちに火をつけてあげてください。
■勝ち負けに執着する気持ち自体を育てないといけない時代。成功体験を積ませよう
したがって、今実践している練習を変えたり、この選手の「大切な時間を潰してしまったのではないか」などと思い悩む必要はありません。この指導をぜひ続けてください。
まずは賢い選手を育てることに軸足を置きましょう。それが私の指導の大前提でもあります。自分で考えられる子どもに育てていけば、カテゴリーが進むにつれて次々とハードルが現れても「チャレンジしよう。