2020年12月19日 11:00
インド伝統楽器「シタール」の音色に導かれた小学生演奏家 好奇心を見守る親の眼と審美眼を育てる大切さ
子どものころからの習い事のひとつに、楽器を上げる人もいるでしょう。一般に楽器の習い事とというと、ピアノやバイオリンなどが多いと思いますが、今回紹介する小学6年生のショウタくんが興味をもったのはインド伝統楽器の「シタール」。なぜ「シタール」に興味をもったのでしょうか? 本人に聞いてみました。
インド伝統音楽で用いられる楽器「シタール」とその発展型「シタレレ」
シタレレという楽器をご存じでしょうか。インド伝統音楽で用いられる楽器「シタール」の奏者ヨシダダイキチ(※)さんが開発した楽器です。
紀元前10世紀には文献に記録が残されているというインド伝統音楽は、ダイキチさんいわく「厳格なしきたりもあり、うかつに踏み込めるジャンルではない」が、その音楽性の楽しさに誰にでも気軽に触れてもらえるようにと、シタールよりも小型でより自由な表現ができるエレクトリック楽器を考案しました。
鎌倉に住む小学6年生のショウタくんは、受験勉強の傍ら、ダイキチさんから定期的にシタレレのレッスンを受けています。親御さんが勧めたわけでも、ダイキチさんが生徒を募集していたわけでもなく、そこにはショウタくんの強い意志があったようです。
初めて聴いたシタールの音色に痺れた、その感性のルーツ
ショウタくんが初めてシタールの音色を聴いたのは、一年前にあるきっかけで訪れたダイキチさんのコンサート。それまではインド音楽もシタールの音色も聴いたことがなかったショウタくんでしたが、ショウタくんいわく「シタールの音がすごくかっこよかった。これだ!と思った」と、そのときの衝撃を語ります。シタールはショウタくんの体にはまだ大きく手が届かないので、シタレレを弾きたい、と思うのにそう時間はかからなかったそう。
「ショウタにどうしてシタレレを弾きたいのかと聞いたら、『ギターとかヴァイオリンとは違って、日本人の心に伝わるものがあるのかなあ。お米とか、仏教とか』と言ったんです。驚きました。おじいさんみたいなこと言うから(笑)」と話すのは、ショウタくんのお母さんの未来さん。「ショウタなりに、インド音楽に備わっている民族性を解釈していたんだと思います。幼い頃から鎌倉のお祭りで演奏される雅楽に耳慣れていたことも背景にあるのかもしれません」
ショウタくんの感受性の新しい一面に驚いたようでした。

「そんなこと言ったっけ?」
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