2020年11月12日 06:30
校内清掃はいい教育? それとも児童労働? 海外から見た学校清掃の実態
というところ。授業を受けて、掃除して、部活をしてから、塾に行って、帰宅は20時で、学校の宿題もある…というような中学生に、洗濯も行わせるにはスケジュールがハードすぎます。
「何かを増やすためには、何かを減らす」ということを怠ると、スケジュールは無限に増えていきます。この課題を乗り越えるには、多少予算を割いて清掃スタッフを雇ってでも、生徒の清掃の負担は軽くするべきでしょう。
それができないのであれば、生徒に清掃させるのは「教育のため」ではなく、少なからず「コストカットのため」となり、つまりは児童労働であるという批判がされてもおかしくありません。「たかが10~20分程度の清掃で大げさな」とも思うかもしれませんが、清掃に給食の配膳、日直の仕事など、すべての仕事量を5年、10年続けるとなれば膨大な仕事量になります。
世界各国の教育者と話して、私が感じたこと
「校内清掃は教育課程の中で重要だから、これからも続けていくべきだ」
「自立心を育てるのであれば、校内清掃だけでなく、家庭での清掃も重視するべきだ」
これらはそれぞれ根拠があり、完全に対立するような意見ではありません。しかしながら「両方よさそうだから、両方取り入れよう」としてしまうと、先生の仕事も子どもたちのタスクも無限に増えていってしまいます。
たとえばですが、毎年ある決まったひと月だけ、清掃業者が校内清掃を行い、生徒は毎日20分ほど家庭で家事することはできるかもしれません。乗り越えないといけない課題は山のようにあり、まだまだ現実的なアイデアではありませんが、それでも諸外国が学校清掃にかけている予算から比べると、遥かに少ない金額で実行できるでしょう。
場合によっては、予算をかけずにクラス規模で取り組めるようなよいアイデアがほかにあるかもしれません。いずれにしても、海外から見た「日本の学校の生徒による清掃」という視点をもとに、少しでもよい変化につながるよう進めていきましょう。
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平岡 慎也
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