2022年5月6日 15:00
英語学習をやり抜く脳はスモールステップによる達成感で育つ
と言います。「ですから、事前に一人ひとりの学習者の特性を知ったうえで、達成感を与える方法を考えたほうがいいと思いますね。」ということです。
画像提供:細田千尋氏 Hosoda et al. (2020)
■ 子どもの「やり抜く力」のために親ができること
続けて、細田先生に、子どもの「やり抜く力」について伺いました。「最近、親子を対象とした実験をしているのですが、子どもの非認知能力は親の非認知能力から予測できます。」とのこと。「その要因が遺伝なのか環境なのかはまだわかりませんが、特に母親の非認知能力と相関していました。ですから、親は、子どもにばかり『やり抜きなさい』と言うのではなく、普段の生活を省みて、自分自身も変容していく必要があると思います。子どもは、親が思っている以上に、親の中に規範を見つけて、無意識に真似するからです。」と話しています。
そのほかにも、子どものやり抜く力を育てるため大切なこととして、以下の点を挙げていただきました。
・親が子どものことをよく見て、その子どものタイプに合った学習方法にすること
・特に発達段階にある幼児期については、愛着形成をメインに考えること
・幼児期を過ぎた子どもについては、親が承認して、自己効力感を保てるようにケアしてあげること
今回の細田先生のお話から、親が子どもの英語学習について心がけるべきポイントが二つあると考えられます。
1.英語習得のカギは、一人ひとりの「やり抜く力」に合った学習方法にすること
2.特に幼児期は、「やり抜く力を育てなければ」と焦って子どもに何かを強制しないこと
やり抜く力に関わる脳部位は、思春期の手前までにかけてゆっくりと発達していきます。また、細田先生の研究結果が平均年齢20歳代の成人を対象とした実験から得られているため、大人になってからであっても、経験によって脳もやり抜く力も変化することは明らかです。さらには、子どものやり抜く力は親のやり抜く力と相関しています。
子どもに「最後までやりなさい」と言い聞かせようとするよりも、まずは親が何かをやり抜く姿を見せ、さまざまな体験や声かけを通じて「自分は目標のために努力できる」という自信を少しずつつけさせてあげるほうが、英語学習を続けられる子どもに育てることにつながるのではないでしょうか。詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。
■<医学博士・東北大学大学院 情報科学研究科 細田 千尋 准教授>インタビュー〜
前半:
https://bit.ly/3KgSxqk後半:
https://bit.ly/3sesB8D
■ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(World Family's Institute Of Bilingual Science)