2022年5月19日 13:00
VRなどの仮想環境を用いた外国語学習・効果的になるための3要素
調査対象となった全研究で得られた有意な結果が語彙、スピーキング、ライティング、学習動機、異文化学習に良い影響があることを示していた。
大学生や大学院生を対象とした研究は、調査された全研究の約50%を占め、ほかの年齢層(小学生、中学生、高校生、教師)を対象とした研究よりも割合が多かった。
■ 小学生にとってVRなどの没入型技術を活用した外国語学習が効果的になるための3要素
1.社会性
「Sociocultural Theory(社会文化理論)」(Lantolf 2006; Vygotsky 1978)、「Usage-Based Theory((言語)使用基盤モデル)」 (Tomasello 2003)、「Comprehensible Input(理解可能なインプット)」(Krashen 1988)、「Interaction Hypothesis(インタラクション仮説)」(Long 1996)などの理論は、オーセンティックな文脈の中での社会的相互作用が言語習得につながる、という考え方において大まかに共通している。
VRは、学習していることばが実際に使われる環境に生徒を置くことで、オーセンティックな文脈をつくり出すことができる(例:空港で道を尋ねる)。そして、ほかの人やコンピュータが操作するプレイヤーとのやりとりを通じて、意味のあるやりとりを体験させることができる。VRゲームは、学習者がすぐにフィードバックを得られるように、そして、学習者の自律性や自発的な発見、反復学習、リフレクション(振り返り)を促せるように設定することができる。
2.動機づけ
学習者の動機づけは、外国語学習の成功に大きく関係する(Dornyei and Ushioda 2009; Dewaele 2022)ため、これもARやVRの技術を活用した学習が効果的であった要因であると考えられる。ゲームは、生徒の意欲や興味・関心を引き出すうえで重要な役割を果たす(Peterson 2010)。
児童たちは、仮想世界のゲームで成功体験を得たあと、間違った英語を使うことはあっても、英語でコミュニケーションをとる意欲が高まっていた。スコアやランキングを見られる機能があったことによって、このVRゲームでもっと学習したいという気持ちになった。また、ヒントカードや学習カード、スキップ機能などが取り入れられていたことで、タスクを完了しやすくなり、学習に対する不安が軽減されたことも報告されている。