コミックエッセイ『離婚してもいいですか?翔子の場合』を描いたイラストレーター、野原広子さんにお話を伺いました。「離婚」の2文字を胸に秘めて結婚を続けている妻は、きっと多い。夫への不満は募るばかり。でも子どものことを思えば、離婚も簡単ではない。結婚生活の堂々巡りを描いて反響を呼んだ、野原広子さんの『離婚してもいいですか?』。その続編に当たる本書もまた、「結婚って、幸福って、何だろう」と考えさせる、共感必至のコミックエッセイだ。シリーズの始まりは、雑誌『レタスクラブ』の編集長からの「離婚をテーマにした、モヤモヤと答えのないものを描いてみませんか」という提案だったそう。「周囲を見渡しても、話を聞いてみても、多くの奥さんたちが『離婚したい』と思っていることを知りました。けれど、踏み出しているかといえばそうでもない。『3組に1組が離婚する』といわれる時代ですが、実際には翔子のように、離婚を考えても踏み出さない、踏み出せない人は、離婚した人よりずっと多いのではないかと思ったんですね」妻に作ってもらったごはんに、能天気に点数を付け、家では何もしない夫。専業主婦の翔子に対し、「翔子さんなんてラクしてるじゃない」と言う共働きの義姉。無神経な物言いで翔子を追い詰めていく、そんな無自覚さがリアルだ。「『聞いて聞いて』という人が本当に多くて、ネタには困りませんでしたね。むしろ、翔子に使ったネタはもっと闇が深くて、少し柔らかくしたくらいです」離婚に後ろ向きだった翔子だが、心療内科の医師の言葉で力を得たことが、その後の翔子を変えていく。「翔子のパート先の同僚が、『怒っていいんですよ』という弁護士さんの言葉に背中を押されたエピソードは実話。同僚は怒ることすらしなくなってしまっている状態で、その自覚さえ失ってました。第三者からの冷静な言葉に背中を押されるのは、大きな意味があると感じました」翔子の最後の選択。このラストには賛否両論あるかもしれないが、「結果として翔子が自分自身で決めたことなので、不幸な選択ではないと思っているんです。この本を読んでくれた読者が、自分の心を見つめて『あれっ、もしや私も?』と気づいてくれたらうれしいです」『離婚してもいいですか?翔子の場合』 専業主婦の翔子は、夫が大嫌い。けれど毎日夫の好物を献立に入れる。不満を押し込め続ける結婚生活の行方は?雑誌連載に描き下ろしを加え書籍化。KADOKAWA1000円©野原広子/KADOKAWAのはら・ひろこイラストレーター。神奈川県生まれ。出産を機にフリーのイラストレーターになり、『娘が学校に行きません』(KADOKAWA)で、コミックエッセイデビューを飾る。※『anan』2018年8月1日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年07月28日『40歳までにオシャレになりたい!』を発売したトミヤマユキコさんにお話を伺いました。いまよりちょっとおしゃれな私。センスよく変身できるコツが満載。<おもしろい服なら得意なのだ>おしゃれかどうか判断しづらい、個性的な<圏外ファッション>で通してきたトミヤマユキコさん。しかし、ある気づきを得る体験があった。「グレーのパーカを着て、ニコ生の放送に出ていたんです。すると『トミヤマさん、テレビ局のADみたい』と視聴者からのテロップが。私の着こなしがどうというより、好きな服を好きなように着ていてもダメな年齢なのではないかと悟ったんです。けれど、一日中、気の張るファッションでいるとか、ヒールを履いてるとかはつらいなぁという年齢でもあります。そのちょうどいい塩梅の参考書が何もなかった。となれば、自分を実験台にしてやるしかないのかな。それを必要としてくれる人のところに届けばいいな、と。おもしろく読んでくれる人がいたら実験台になった甲斐があります」かつて無難すぎてつまらないと敬遠していたコンサバ服<圏内ファッション>を取り入れながら、自分らしい大人の装いができる自分になれないものか。そう考えたトミヤマさん自身が、おしゃれの大改革に取り組み、導き出した法則をまとめたのが本書だ。ベースにあるのは、おしゃれになりたいけれど、いまひとつ自信のない女性たちが普段から抱いている切実な悩み。雑誌に出てくるモデル並みのおしゃれ感を目標にしているわけではないので、ちょっと背伸びするだけというのが好もしい。扱うトピックは、トップスからアウター、アクセサリーやメイクなど、上から下まで網羅。骨格レベルで体型が変化していき、若いときから好きだった服が似合わなくなるのが40歳前後だろう。「それを自覚するといま着るべき服も見えてくるのですが、実はその年齢までに『こういう色は似合わない。こういう服は着ない』というヘンな自分ルールができている人も多いと思う。そういう思い込みは外したほうがいい。私の場合はカラー診断に行ったのがとても良かったです」好きな服を否定したいわけではない。ただ、おしゃれのチャンネルをもう一つ増やそうというような気持ち、とトミヤマさん。「私が体を張って試行錯誤をしておきましたので、読者のみなさんは、その迷路をショートカットしていただければ幸いです(笑)」『40歳までにオシャレになりたい!』 グラビアやイラストも多数。また、何がおしゃれなのか似合うのかがなかなかわからないメガネや腕時計などにまで踏み込んでいて重宝する。扶桑社1200円ライター、早稲田大学文化構想学部助教。著書に『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『大学1年生の歩き方先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(左右社、清田隆之氏との共著)がある。※『anan』2018年8月1日号より。写真・土佐麻理子(トミヤマさん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年07月26日これまでに30か国以上を訪れた田辺誠一さんが手がける、初の旅エッセイ集『欧州旅日記』が発売された。でも、旅行をしたときの記録は、ほとんど残していないのだそう。読んだ後に“旅をしたい”と思ってもらえたら嬉しいです。「全部、頭の中で思い返しながら書きました。どうやら記憶力がいいようで、幼稚園くらいからのほとんどのことを覚えています。芝居のロケ地を通ったときには“あの役者さんとこんな話をした”とか、そのときの気持ちが蘇ってくるんです。写真もあまり撮らないのが理想。それよりも記憶に残したり、状況を堪能することに集中したいですね。でも、エッセイにも書いている、デンマークの『ノーマ』とスペインの『カン・ロカ』という2つのガストロノミーを訪れる旅では、料理を記録に収めるために、いいカメラを持っていきました。人のブログを見たり、“このアングルで、光は横か後ろから入れるようにして…”などと、撮り方の研究もしましたね」そんなふうに、最近では、食が旅のきっかけになることが多いそう。「昔は観光地に行きたいとか、ショッピングを楽しみたいという気持ちが強かったんですが、スペインにある『ムガリッツ』というガストロノミーで食事をしてから変わりました。マリモみたいな見た目のものや、自分でゴマをすって食べるもの、液体をかけると泡になるような料理をいただき、これはアートだと思いました。素晴らしい空間のなかで、信じられないようなアイデアと美しさとシンプルさがある料理をいただく。ほかの芸術は観るというアプローチが多いなかで、体の中に入れて体感することができる。そんな芸術として素晴らしいジャンルがあったことを気づかされ、いろいろなところに行ってみたいという気持ちが芽生えました。今、気になっているのは、ベストレストラン50の上位が集まっているといわれるペルー。日本食とペルーの郷土料理をマッチングさせた『MAIDO』というお店の料理が食べたいです」デンマークにある『ノーマ』へ行くことを決めたのは、出発の10日前だったという田辺さん。「ホームページを見ていて、10日後に空きが出たことを知り決意しました。フットワークは子供の頃から軽いです。軽さしかないです(笑)。小学生のとき、杉並区にある学校の窓から新宿のビルが見えて、行きたくなって。行ってみたら『藤子スタジオ』と書いてあったので、トントンと扉を叩いて『藤子先生はいますか?何か描いてください!』と。すべてがそういう感じです。やってダメでも地球がひっくり返るわけじゃないし、後悔するほうが嫌なんです。それに、自分が知らない場所に行ったり、新しいことをする経験って楽しいじゃないですか。旅も予定どおりにいかないことが多いですけど、そこが醍醐味のひとつだと思っています。そう、最近、伊丹十三さんの『ヨーロッパ退屈日記』という本を読んで、何十年も前の作品なんですが、すごく面白いと感じました。欲を言えば、僕のこの本も、何十年も後に読んだ人にも楽しんでもらえるとありがたいですよね。そして、“旅がしたいな”“新しい体験をしてみたいな”と思っていただけたら、そんな嬉しいことはないです」『欧州旅日記』一流レストランを目指してヨーロッパを訪れたときの記録や旅先でのハプニング、荷物や文化にまつわる役立つ小技などが綴られたエッセイ集。田辺さんが描いた、かわいいイラストも満載です。産業編集センター1300円たなべ・せいいち1969年4月3日生まれ。俳優、映画監督として活躍する一方、「かっこいい犬」のイラストで画伯としても人気。『にっぽん!歴史鑑定』(BS-TBS)ではMCを担当中。※『anan』2018年5月16日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年05月13日掃除や洗濯、ご飯の支度など、ママは365日家族のために頑張っています。掃除や洗濯は、たまに休むことはできても、ご飯の支度はそうはいきません。待ったなしで朝昼夜のご飯作りがやってきます。とはいえ、疲れて何も作る気がしない、献立のレパートリーが尽きて毎日考えるのもしんどい…なんてこともありますよね。毎日のことだからこそ、少しでも楽しくご飯作りができたらいいですよね。そこで今回は、料理のモチベーションを上げてくれるエッセイを紹介します。少しでもラクにおいしく作る知恵や料理をする意欲を湧き立たせてくれるものなど、さまざまなシーンに合った4冊をピックアップ。優しさやパワーに満ちた言葉に触れることで、いつもとは違った気持ちで食事作りができるかもしれませんよ。子どもや自身の悩みを抱えているママに「佐藤初女さんの心をかける子育て」佐藤初女小学館[概要]心に苦しみを抱えている人を迎えて、話を聞きながら一緒に食事をするという活動を行ってきた佐藤初女さん(94歳)。“食”で子どもも大人も変わることをさまざまな体験を通して語ったエッセイです。[おすすめポイント]不登校やいじめ、ママのイライラなど、さまざまな悩みを抱えた人が、一緒に食事をしたり料理をすることで変わっていく…そんな経験から得た初女さんの育児論がつづられています。人が生きる基本である「食べる」ということは何よりも大切で、おざなりにしてはいけないということが、読むほどにストンと心に入ってきます。食材を物ではなく命と捉え、その命を生かすように心をかけて調理することや、親子で料理をする意義など、具体的な例を挙げながら、母のように優しく語りかけてくれます。素直にありのままに、初女さんの言うことも自分のことも受け止められる…そんなエッセイだからこそ、食に向き合う気持ちが穏やかに、そして確実に変わっていきます。頑張りすぎて疲れ気味なときに「小林カツ代の日常茶飯食の思想」小林カツ代河出書房新社[概要]NHKの料理番組などで活躍した料理研究家の小林カツ代さん。仕事と家庭の両立に奮闘した経験を活かし、より早くおいしく作ることや無駄なものを削ぎ落とすことなど、料理の固定概念を覆した斬新かつユニークな発想が満載のエッセイ。[おすすめポイント]料理本にはたいてい「フライパンをよく熱してから食材を入れる」「根のものは水から、葉ものは湯から茹でる」と書いてありますが、小林さんは違います。絶対にこうじゃなくちゃいけないなんてことは少ない、便利で無駄が少なく味のいい方法を選べばいいと言います。栄養やカロリーにこだわることよりおいしく食べること、手をかけるのではなく気をかけることなど、読めば読むほど、どんどん心が軽くなっていくのは私だけではないはず。中でもおもしろいのが、無駄を削ぎ落としたい人におすすめの料理法「ひと皿盛り」。お子さまランチのように、ひと皿に彩り良く盛り付けることで、見た目がおいしそうなうえに自然と栄養バランスが取れて、盛り付けの勉強にもなる。洗い物が少ないのでエコだし、時間短縮にもなる。1人遅く帰ってきた人にもお年寄りにも、おもてなしにもぴったりの料理法なのだとか。年子と格闘しながら生まれた料理や、仕事と育児の奮闘ぶりを小気味よく語った講演トークも掲載。笑って学べて元気にもなる一石三鳥のエッセイです。もっとパワーがほしい!カツを入れたいと思うときに「食といのち」辰巳芳子文春文庫[概要]半年先まで予約でいっぱいの「スープの会」主催者であり、現役料理研究家・随筆家の辰巳芳子さん(93歳)。看護師や小児科医など、各界の第一人者と「食といのち」をテーマに語った対談集。[おすすめポイント]料理するのが面倒だなぁ、やる気が出ないなぁ…なんてときに、襟を正してくれるのが「食といのち」です。私は自分にカツを入れたいときに手に取るのですが、見事に気合いが入ります。この本は、震災後の日本で何を根幹に命を養うべきかについて、看護師や小児科医などの各界の第一人者との対談をまとめたもの。育児のほかに介護や病人食、日本の食文化、辰巳さん発案の料理法「展開法」についてなど、食にまつわる哲学や知恵、学ぶべきことがふんだんに書かれています。当たり前だけど当たり前のように365日食事の支度をするには、克己心が求められる…と語る辰巳さん。その言葉は、私の日々の食事作りを支え続けています。台所仕事を讃え、価値を見いだす哲学は辰巳さんならでは。読めば誰もが気づきと学びを得られる1冊です。とにかく忙しい!知恵がほしいママに「元気がでるふだんのごはん」山本ふみこ講談社文庫[概要]疲れたときも落ち込んだときも、活力の源であるご飯をおいしく食べたい。著者自身が経験した母子家庭ならではのやりくりや知恵が詰まった1冊。イラスト付きの簡単レシピも。[おすすめポイント]忙しくてバタバタの毎日。少しでも簡単でおいしく家計にも優しい料理の知恵がほしい…そんなときには、この本がおすすめです。著者自身が2人の娘を抱えて離婚した経験から得た、生活に役立つ知恵がぎっしり詰まった1冊です。1日1人600円の食費でやり繰りした家計簿を公開したり、何の支度もしていないときに使える「フルコース作戦」、手薄な料理をカバーするために考えた「お膳立て」、栄養バランスを1日ではなくを1週間単位で振り返るなど、誰もが手軽に実践できるアイデアが満載。また、作っておくと便利なドレッシングやソース類、スープ、おもてなしサラダなど、イラスト付きの簡単レシピも掲載されています。著者がバタバタ奮闘しながら仕事家事育児をする姿も、子育て真っ最中の人にとって励みになる1冊です。今の自分にぴったりな1冊を読むことで、キッチンに立つときの気持ちが少しでも楽しくなるといいですね。(文:フリーランス記者岩本亜実)
2018年04月21日不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんが当時を振り返って綴る治療の体験談です。いよいよ移植となると注射やお薬、とさらに準備が進められるようです。移植日が決まる卵胞ホルモン剤(プレマリン)を服用しだして12日目、診察のためクリニックへ。子宮内膜が8mm以上あれば黄体ホルモンの投与を開始して、排卵後の状態に戻すそう。プレマリンは子宮内膜を厚くしていって着床可能な状態にする働きと、勝手に排卵しないようにする役割もあるとのこと。ジャスト8mm。合格です。4日後の移植が決定しました。初回はグレードが一番よかった凍結胚を一つ移植予定です。移植日のスケジュールとしては朝、凍結胚盤胞を融かし、昼過ぎに回復と生存確認をします(凍結・融解によってダメージを受ける場合があるため)。私の通っているクリニックでは生存率90%、10個に1個の割合でダメージを受けるデータとのことでした。融解に関しては同意書が必要になります。生存が確認できたら、午後に移植となります。移植後もプレマリン、黄体ホルモンは継続して投与します。黄体ホルモンは基本注射だけれども、希望すれば膣座薬に変更可能とのこと。1日4個、まあまあ多い…。しかし、クリニックに通う大変さ(片道1時間半)を考えると座薬のほうがよさそうです。移植後10日で血液検査によって妊娠判定を行います。そんなに早く分かるものなのねぇ。妊娠していれば更に黄体ホルモンとプレマリンは継続します。黄体ホルモンは妊娠8週まで、プレマリンは妊娠12週までとのこと。これは、自然妊娠の場合は、排卵した後の卵巣の黄体からホルモンが補充されるのだけど、わたしはプレマリンを使っているため排卵が抑えられており、その状態では黄体が作られないため、胎盤からホルモンが作られるようになるまで外的に黄体ホルモンを投与する必要があるとのことでした。ドクターにちゃんと聞けばよかったと後悔移植日が決まり、ドクターから「戻す卵は1個でいいよね?」と念を押されました。診察が終わり立ち上がっている途中だったので「あ、はい…!」と慌てて即答してしまいました。たしか前の診察でも確認をされたのでした。1個移植と2個移植とどういうメリットデメリットがあるか聞けばよかった…とあとで後悔しました。私のドクターは寡黙な方で、さらに方針なのか、治療に対しての説明は質問しないと詳しく話してもらえません。説明を聞いたうえで、それはどういう意味? とかじゃあこういう場合は…などの質問も生まれてくると思うのですが。最近はネットで情報が氾濫しているから余計な混乱は避けようという考えでしょうか。毎回、診察までに質問することを考えておかないと、あっという間に診察が終わってしまい、聞けばよかったぁ…と後悔したことがよくありました。私は頭がパパッと回らないほうなので余計にそうなのかもしれません。治療仲間は、毎回提出する基礎体温表に質問を書いたメモを挟んでいました。口頭でうまく伝えられない人にはよい方法かもしれません。また、ドクターには聞けないけれど、看護師さんには気軽に聞けるという人もいました。子宮内膜の厚みが基準に達したので、黄体ホルモンの投与が開始されました。その日は注射(プロゲストン50mg)でした。排卵誘発の注射ほど痛くはないけれど、よく揉まないと翌日にコリコリに硬くなりました。その後3日は膣座薬(朝夕2個ずつ)で、移植前日だけ地元の産婦人科クリニックで注射することになりました。注射&座薬以外に、錠剤のお薬(デュファストン)も毎食後、飲みます。プレマリンとバファリンもあるし、薬だらけです。飲み忘れないか不安になります。準備は整いました。次はいよいよ移植となります。とうとう、ここまで来たか…ここに辿り着くまでに、上がったり下がったり、自分の中の様々な感情を味わってきました。もう「頑張ろう」などそういう次元ではなく、来るべき未来がどんなものであろうと丸ごとそのままを受け入れようという心持ちです。心の中には凪いだ海がどこまでも続いています。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年04月11日産後うつを経て気がついた、自分を許すことの大切さ。およそ10人に1人が経験するといわれる、産後うつ。2013年に女の子を出産した藤田あみいさんは、自分がうつ状態になったことを最初は受け入れがたかったようだ。「子どもを産むまでふわふわ生きてきたというか、地に足がついていなかったと思うんです。目の前にか弱い生き物が出てきた瞬間に、母になったのだから変わらなきゃいけないと思ってしまったんでしょうね」はじまりは、娘が発達障害かもしれないという不安が生じたことだった。インターネットを検索しては不安になり、周りの人や医師に「問題ない」と言われてもほっとするのは一瞬で、強迫性障害を発症してしまう。娘を愛する気持ちは、変わらないどころか日々強くなるのに、治りたいという意志とは裏腹に症状が悪化。本書は入院中に1週間ほどで書き上げたそうで、「懺悔」という言葉にはこんな思いが込められていた。「私にとって、懺悔は3段階ありました。娘の障害を疑うようになったとき、まず世間体を気にしてしまったのがひとつ目。その後も不安が拭えなくて、懺悔の対象が娘と夫に変わってきて、最終的には自分自身に許してもらえなければ、抜け出せないような状況でした」散々迷惑をかけて、周りの人を不幸にしている自分や、当たり前の生活を送れなくなった自分を許せなかったのだが、その気持ちこそが藤田さんを苦しませていたのだ。「そのことにずっと気づけなかったんですよね。自己犠牲なんて、最初からいらなかったんです」藤田さんの場合は母になったことでこうした状況に陥ってしまったわけだが、仕事や人間関係などにおいても、理想とかけ離れていることに自己嫌悪を抱いてしまう人は、意外に多いのではないだろうか。そして「こうでなければならない」と本来望んでいないような世間的ルールを、自分自身に強いてみたり…。「娘がどうしたら幸せになれるんだろうって考えたら、不安要素がどんどん出てきてしまったのですが、娘にとっては私がそばにいてあげるだけでよかったんです。変わらなくていいということに気づいたら、すごく自由な気持ちになれました」自分自身を受け入れる。現代社会を健やかに生きるうえで大切なことに、この本は気づかせてくれる。ふじた・あみいイラストレーター。女性誌やウェブにてコミックエッセイを連載。ウェブで「ぜんぶ、無印良品で暮らしています。〜三鷹の家大使の住まいレポート〜」を執筆、2016年に書籍化。産後うつの状態から心を取り戻すまでの葛藤を綴った、「Hanakoママweb」連載の書籍化。今を生き抜くための学びが多い一冊だ。マガジンハウス1500円※『anan』2018年4月4日号より。写真・土佐麻理子(藤田さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年03月29日anan人気連載「美女入門シリーズ」1000回の節目に、林さんからanan読者に愛のメッセージが届きました!美女入門シリーズが、なんと一千回を迎えることとなった。一年に四十九週分。千を四十九で割ると約二十。なんと二十年以上もこのエッセイを書いていたことになる。その前のシリーズを入れるともっと長い。一時中断したこともあったが、これほど長く書いてこられたのも、ひとえに読者の皆さんのおかげである。本当にありがとうございます。最近対談で、若い女優さんやタレントさんに会うと、かなりの確率で、「お母さんが、ハヤシさんのアンアンのエッセイを読んでいました」と言われる。ありがたいことだ。私としてもよくもまあ、この長きにわたってダイエットとおしゃれについて書いてきたものだと感心する。中にはひどい人がいて、「ネタのために、ずっとデブでいるんでしょ」などと言う。が、私が憶えている限り、五回くらいはダイエットに成功してます!「すっかりスリムになったマリコさん」とグラビアに出ているのである。最後は七年前ぐらいだと憶えている。今より十数キロは痩せていた。が、この時はクリニックへ行き、クスリ(といっても食欲抑制)で痩せたため、皆から大ブーイング。「顔が土気色になっている」「ものすごくフケた」と言われ、私は落胆した。「なんだ、痩せてもちっともキレイにならないじゃないの」この失敗例が、その後の長い肥満人生を決定づけたといってもいい…。まあ、それはそれとして、このエッセイを書いていたから、お洋服もうんと買い続けた。それなりに流行やおしゃれには気を遣った。しかしファッショナブルにはほど遠い私。仕事や遊びでマガジンハウスの女性編集者と会うたびに、「世の中には生まれつきセンスがある人がいるんだ」という事実にぶつかる。そういう人たちが、ファッション誌の編集者になるのだ。さりげないニットの着こなし、アクセのつけ方…などとても真似出来ない。私は一生ムリ。おしゃれでキレイな女性になることは、私の見果てぬ夢で、だからこそずっと「美女入門」を書き続けられたのであろう。そしてここで育まれた友情も私の大切な財産である。編集者のテツオは結婚しないまま、出世階段をかけ上がっていった。今やマガジンハウスの取締役だ。テッちゃん、長い間一緒に遊んでくれて本当にありがとう。読者の皆さまもありがとうございました。※『anan』2018年2月7日号より。
2018年02月01日学んで知識を身につける、お金を出して物を買う。あるいは友達や知り合いを増やす。豊かになるのは素敵ですが、持ち物が多いと、身動きが取れなくなることもある。行き詰まったら、増えすぎた荷物を“捨てる”のも選択肢の一つ。いろいろ捨てて、幸せに。経験者・松尾たいこさんの書き下ろしエッセイからそのヒントをもらえるはず。今でこそ私は、周りから「いつも楽しそうね」とか「好きなことをのびのびやっている」というような印象を持たれますが、以前は、ものすごーくネガティブで「あれができない」「これも持っていない」と自分にないことばかりを数え上げ、だから自分はダメなんだと落ち込んでいました。それが変わったのは、30代半ば頃でしょうか。「あんなにすてきな絵が描けるってすばらしいことだよ。人ができることはその人に任せればいいじゃない」と、出会ったばかりの今の夫の言葉も大きかったです。それまでの私は、人の目を気にして他人が持っているものばかり追いかけていたんですね。そうして「本当にそれがしたいのか」と自分の物差しでいろんなことを見るようになると、「私には必要ないもの」がどんどんクリアになっていきました。だけど、「捨てたらいいもの」をいきなり全部捨てられたわけではありません。目標やゴールは高くすればするほど、しんどいし挫折感も味わいます。たとえば、会話の中で否定的な言葉を使わないことから始めませんか。「でも」「だって」「私なんか」などの代わりに「嬉しい」「そうだね」「ありがとう」と答える。私の人生のモットーは、小さなハードルを越えていくこと。「いらない」と決めたものを少しずつ捨てていき、そのたびに「えらい!」と自分をほめて、気がつくと笑顔でいる日が多くなっていったのです。捨てること(物や人間関係も含めて)で、もしかしたら後で「しまった」って思うこともあるかもしれません。だけど、その時点では捨てることが必要だったのだから、後悔はしないでほしいです。捨てたことで、時間や気持ち、あるいは部屋の中に余白ができ、そうするとまた今の自分に必要なものに出合えるはずだから。ギチギチだと、そんな出合いにも気がつけませんよ。苦しそうに生きないでください。もちろん人生には苦しいことはいっぱいあります。私もそうです。楽しいことを見つけられたらいいけど、なくてもとりあえず楽しそうにしてみる。楽しそうにするのはとても得です。だって、笑顔の人には、すてきな人もチャンスも絶対に近づいてくるから。「年齢を重ねていけば、変わっていけるものですか?」って聞かれることもありますが、それだけでは無理じゃないでしょうか。「何を選び、何を見るか」「誰と付き合うか」「そこで何を考えるか」で人は作られていくから。「自分の人生の主役は自分」。自分が幸せじゃないと、人にもやさしくできないです。まずは自分を大切にして、自分の責任で自由になっていってほしいです。まつお・たいこアーティスト、イラストレーター。約10年の自動車メーカー勤務の後、35歳でイラストレーターに。企業の広告や書籍の装丁などで、幅広く活躍中。様々なものを捨てた経験を記した著書『35歳からわたしが輝くために捨てるもの』(かんき出版)が話題。2/12まで六本木ヒルズ A/Dギャラリーで、個展を開催中。※『anan』2018年1月31日号より。イラスト・micca(by anan編集部)
2018年01月28日お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さんがコミックエッセイを上梓。矢部さんと大家さんとの絶妙な関係を描いた作品なのだそう。お笑い芸人の本業以外での活躍が目覚ましいが、またまた新たな名作が誕生した。カラテカのボケを担当する矢部太郎さんによる本作は、現在87歳の大家さんとの日常を描いたコミックエッセイ。大家さんと京王プラザホテルでお茶をしていたところを、マンガ原作者の倉科遼さんに目撃され、一風変わったその関係をマンガに描いてみることに。「大家さんのことを変わっているとは思っていたのですが、一緒にいる僕は正常だと思っていたんです。倉科さんに指摘されて初めて、僕も大家さんの感覚に相当引き込まれていることに気がつきました(笑)」8年ほど前から大家さんの一軒家の2階に間借りしているという矢部さん。大家さんは「ごきげんよう」とあいさつする上品な方で、矢部さんの洗濯物が夜露に濡れるからと、勝手に取り込んでおいてくれたり、頻繁に食事を共にしたり。その距離感に戸惑いながらも、大家さんとの“ふたり暮らし”を楽しむように。「僕が知らないことや興味のなかったことに気づかせてもらえるんですよね。たとえば新宿中村屋って、普通はカレーを食べに行くところだと思っているじゃないですか。だけど大家さんは、そこに飾られている絵が見たいから行くんです。全然違う価値観を持っているのが面白くて」新宿伊勢丹が大好きな大家さんは、コンビニやスーパーなど“最近できたもの”を信用していない。だけど初めて食べたグミはお気に入りだったりして、なんだかとってもお茶目なのだ。そんなほのぼのとしたやり取りも、永遠には続かないのだとふっと気づかされる瞬間も……。「たとえば本当にいいバラエティ番組って、ムチャクチャ面白くて笑えるけれども、しんみりしたりするじゃないですか。そういう笑いはひとつの理想かもしれません」隣近所との付き合いが希薄な都会で、ふたりの関係は奇跡のように思えるが、実はそうでもないらしい。「このマンガを読んだ人から『私も大家さんと仲がいいです』という声が結構届いたりして、僕らだけじゃないんだなって思いました。思いがけず反響が大きくてびっくりしていますけど、こういう作品を読んでくれる人がいっぱいいるなんて、まだまだ温かい世の中ですよね」やべ・たろうお笑いコンビ、カラテカのボケ担当。芸人としてだけでなく、舞台やドラマなどで俳優としても活躍。父親は絵本作家のやべみつのり。本書は初めて描いたマンガ。『大家さんと僕』48歳差の大家さんとの穏やかだけど刺激的な日常を綴ったコミックエッセイ。矢部さんの優しい眼差しに笑って泣き、大家さんの人柄に女性として憧れます!新潮社1000円※『anan』2018年1月24日号より。写真・土佐麻理子(矢部さん)水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子
2018年01月20日出産という女性にとって最大の命題を笑いも交えつつ軽やかに(そして泣ける!)綴ったエッセイ『産まないことは「逃げ」ですか』。著者の吉田潮さんにお話を伺いました。自分を主語にして決断すれば、産んでも産まなくても後悔はない。子どもを産みたいかどうか、多くの女性は一度は考えたことがあるのではないだろうか。苦労なく授かる人もいれば、子どもは必要ないという人もいるし、産みたくても叶わない人も。だけど、なぜ欲しいのか、あるいは欲しくないのかじっくりと理由を問われると、そこは意外と曖昧だったりもする。34歳で「子どもが欲しい病」にかかり、39歳で不妊治療をして、結果的に「産まない人生を選んだ」という吉田潮さんも、当初は深く考えていなかったという。「過去の日記を掘り起こしたら、子どもがすごく欲しくて不妊治療をしていたはずなのに、妊娠していないとわかったとき、『ホッとした』って書いていたんです。あのときの自分は、不妊治療を頑張っていることを世間にアピールしたかっただけというか、自分ではないものに突き動かされていたのかもと思いました」突き動かされていたものの正体は「女性は子どもを産むべき」という世間一般の価値観や、「親が喜ぶに違いない」という思い込み。“自分”がどうしたいかではなく、“世間”や“親”などに主語がすり替わり、不自由さを感じていたからこそ本音が漏れてしまったのだ。「女に生まれたからには産んでおかなきゃっていう内なるプレッシャーがあった、という知人がいるのですが、彼女も自分が産みたいかどうかではなかった。勝手にリミットを設けて焦る人も多いと思うんです」吉田さんは、封印しておきたかったであろう不妊治療のときの心境や、具体的な費用、夫とのやりとりを赤裸々に綴り、「産む・産まない・産めない」それぞれの立場の間に存在する溝や、両親や夫の胸の内、本書のタイトルになっているドキリとする疑問にも軽やかに切り込んでいく。「『自分が主語』ってわがままに聞こえるかもしれないけれど、産む産まないに関しては特に、そうしたほうが気が楽になると思うんです。絶対正しい答えなんてない。一方からしか見ていなかったものは、反対側から見たら全然違う!っていうような気づきがあると嬉しいですね」“自分が主語”という考えは、産む産まないに限らず、家族とのあり方、働き方など、生き方そのものについても共通なのだと気づかされる。豪快だけど繊細な吉田さんの優しさ溢れるメッセージは、女として最強の友を得たような気持ちになれる。よしだ・うしおライター兼絵描き。『週刊新潮』での「TVふうーん録」ほか、アラサー女性応援サイト「WOTOPI」で「産むも人生 産まないも人生」を連載。コメンテーターとしても活躍。『産まないことは「逃げ」ですか』出産という女性にとって最大の命題を笑いも交えつつ軽やかに(そして泣ける!)綴ったエッセイ。ひとりで抱え込まず、パートナーにも読ませるべし!KKベストセラーズ1200円※『anan』2017年10月18日号より。写真・土佐麻理子文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年10月16日ふと周りを見回すと、彼のいる女子ってけっこう少ないかもしれない。そう気がつくと焦りは消える。だから今日も動かない。でも、ずっとこのままでいいのかな?と自分に聞いてみてほしい。「それじゃ嫌だ」と思うなら、心を決めなくてはいけない。ここに行こうと決めなくては、人は目的地にたどりつくことはできないのだ。だからまずは宣言しよう、今日から私は恋をすると。以下では、作家・山崎ナオコーラさんからの寄稿「この心を恋と言いたい」をご紹介。言葉なんて、好きなように使えばいいのだ。同じ心の動きでも、それを自分が「恋だ」と言えば恋になるし、「一時の思い込みだ」と言えば一時の思い込みになるし、「執着だ」と言えば執着になるし、「ファン心理です」と言えばファン心理になる。辞書というものがあるが、あれにはべつに言葉の正解が書いてあるわけではない。世界には、最初から言葉があったわけではなくて、もともとはモヤモヤだけがあった。モヤモヤのあとに言葉が作られたのだ。つまり、後付けだ。だから、完璧な辞書はない。心にあるモヤモヤは人の数だけあるのだから、ひとつの言葉を、万人が真に同じ意味で使うことはありえない。様々な話者が、自分なりの意味を考えて、好きに使っていくしかない。もちろん、恋という言葉にも、絶対的な意味などない。人それぞれの、恋っぽい感覚があるだけだ。でも、私も、子どもの頃はそんな風に思っていなかった。恋は万国共通の絶対的な感情で、大人になったら自然と、誰にでも等しく湧き起こるものだと考えていた。童話やマンガでは、なんの努力もしなくても、自然と恋が始まる。少女マンガの主人公はおおむね鈍感で受け身な性格で、友だちが「あんた、どうもあいつの前で態度が違うね」なんて具合に指摘してくれて、「え?私があいつを好き?そんなわけないし」などと否定までしても、勝手に恋愛物語が動き出す。相手が好意を示してくれても気がつかずにあっさりと流す主人公は、「鈍いね」と可愛らしさに通じる言い方で周りからちやほやされ、むしろ鈍さは長所であるかのような描かれ方をする。「恋をしたらすべての人が同じ感情を抱く」「同じ意味で恋という言葉を使用する」という価値観をみんなで共有しているから、主人公が自分の心を探らなくても、周囲の人が解釈してくれるのだ。しかし、成長するに従って、違うとわかってきた。十代になって、周りの友人たちが恋愛を始めたとき、「恋というのは思い込みだ」と感じた。特別な感情ではなくて、人づき合いの中で湧き起こる感情のヴァリエーションのひとつにすぎず、「恋」と「恋でないもの」とをはっきり区別する方法はない。誰もが、人と接すれば、心が波立つ。大きな波もあれば、小さな波もある。大きな波が起きてもでんと構えて、自分のやるべきことに集中する人もいれば、小さな波にも敏感に反応し「恋かもしれない」と考えて行動を起こす人もいる。傍目には、「恋かもしれない」とすぐに考えがちな人は、思い込みが強そうで滑稽に見えてしまう。でも、周りに自分がどう見られようと気にせず、周囲に頼らずに自分の心を見つめる人は、本人なりの幸せに近づいていく。傷つくことも多そうだが、恋が始まる率も高まる。恋心の解釈に正解はないから、「この気持ちは、恋だと思う」と言ったところで「それは間違い」と他人から指摘されることはない。「本当に好き」というのは、自分で適当に言っていい言葉、いや、責任を持って自分が適当に言うしかない言葉だ。感情は言葉や行動と共に増幅するから、恋の自覚を持たずにじっとしている人は、穏やかな心のままで過ごすことになる。マンガの世界では、主人公が恋愛相手や友だちと言葉の意味や価値観を共有できているので、周りが察してくれたり、お膳立てしてくれたりするが、現実世界は複雑で、みんなバラバラなので、大抵は心の内を察してもらえない。恋の物語は始まらない。まあ、でも、じっとしていることは決して罪ではない。恋愛、恋愛、とメディアでは声高にうたわれるが、みんながみんな恋をしなくていい。仕事や趣味など他にやりたいことがある人や、自身の療養や家族の介護など他にやらなければならないことがある人は、恋に対して鈍感で受け身なままで、まったく問題はない。恋なんかにかまけずに、他の努力をした方が人生がキラキラしていくに決まっている。恋愛に興味がないという人は結構たくさんいるので、全人類で見たら、実は少数派ではないのではないか。また、恋愛が好きな人でも、自分自身が恋愛するより、小説やマンガや映画で恋愛の雰囲気を味わう方が好きだと考える人もいっぱいいるわけで、そういう人はリアルな人間関係では鈍感で受け身でも、フィクションを楽しむ感受性が豊かでありさえすれば幸せな生活を送れるから、やはり、性格を変える必要は全然ない。でも、「自分にも恋が始まらないかな」という期待を少しでも胸に持っている人の場合は、鈍感で受け身な性格は損だ。昔、世の中では「口説く」という言葉が頻繁に使われていた。女性は何も考えていない状態で生きているという前提があり、男性が意思を持って近づき、女性をその気にさせるアクションを起こさなければならない、つまり男性が「口説く」ということをしなければ恋が始まらない、とされていた。男性は大変だったと思う。しかし、だんだんと「口説く」は死語になった。社会の中で女性が強くなったので、男性は女性を立てるために気を遣うようになり、優しくなる努力を始めてくれた。だが、女性は相変わらず、恋愛シーンではじっとしている。口説かれなくてもいいが、察したり、読み取ったりしてもらえないと動けないという女性は多い。男性に対し、「優しさを身につけて、こちらを尊重しながらも、依然として強さも残し、昔のままにリードは続けてくれ」という、おそろしい希望を持っている。女性だけが楽をしようとしている。これは、男性に対して失礼すぎる。前出のように、私が若かった頃から少女マンガは鈍感で受け身な主人公が多かったのだが、最近の作品では変わってきているのかな、と思ったら、どうやらさらに増している。もちろん色々な種類の作品が生まれているに違いないが、書店の棚を見ると、多くの少女マンガの表紙が、困っている女の子の顔と、強引そうな男の子の顔で構成されている。「困っている顔が可愛い」「もっと困らせたい」などの定番のセリフもあるみたいだ。わけのわからない理由で嫌々一緒に住み始めることもある。いや、批判したいわけではない。妄想なのだから、まったく構わない。むしろ、マンガの中ではこの感じを突き詰めていった方が面白くなるはずだ。でも、リアルな世界では、「私は困っている顔だけするので、あとは察して、物語を進めてくれ」というのは虫が良すぎるし、男性がかわいそうだ。そういうわけで、「恋をしよう」と決めて、自分の心の波立ちに敏感になるのは、結構面白そうだ。自分なりの解釈で、恋という言葉を、軽く自由に使ってみるのもいいかもしれない。もうちょっと広く考えて、恋人になりたいという気持ちだけでなく、雑貨屋で見つけた醤油差しの形にきゅんとして「絶対に買う」と決めるのも、よく行くうどん屋の女性店員の優しい接客にドキドキして「これからこのうどん屋に来るのが楽しくなりそう」と思うのも、恋と言いたければ恋と言って良いのだ。日常の中に小さな恋をいっぱい見つけるのも一興だ。山崎ナオコーラさん‘04年、『人のセックスを笑うな』が文藝賞を受賞し、作家デビュー。すべての人に温かい視線を注ぐエッセイも人気。著書に、『昼田とハッコウ』(講談社文庫)、『美しい距離』(文藝春秋)など。最新刊は、『母ではなくて、親になる』(河出書房新社)。※『anan』2017年10月11日号より。イラスト・アサノマイコ文・熊坂麻美(by anan編集部)
2017年10月05日こんにちは! イラストレーターのにわゆりです。連載を開始してから、男の子大変だ~! という記事ばかり書いてきましたが今回は、男の子ってかわいい!男の子で良かった~! と思わせてくれたエピソードを書こうと思います。男の子って本当に甘えん坊なんですよね。上が男の子で下が女の子の子を持つママさんが、女の子って全然べたべたくっついてこなくてびっくりした!と言っていたのが印象的でしたが、やっぱりそういうものなのでしょうか?もちろんべったり甘えん坊な女の子もたくさんいると思うのですが、男の子は成長しても甘えん坊。我が家の子ども達も赤ちゃんの頃から現在に至るまで、かーちゃんにべったりです。もうすぐ6才のモン太、たまにかーちゃんがくつろいでいるところにきてぎゅーっと抱きついてきます。いつも我慢させているので、こういう時は甘えさせてあげないとね。とモン太に構っていると、すかさずキーちゃんがダイブ!モン太にどいて! と怒るのですが、モン太も意地になりなかなかどきません。その間に挟まれたかーちゃんはもみくちゃ…。2人ともいい加減にしろ~! と思う手前、いつまでこうやって取り合ってくれるんだろうと密かに思うかーちゃんです(笑)結局最後は離れていくモン太、そこはやっぱりお兄ちゃんですね。寝かしつけの時もキーちゃんに集中してしまうのでいつも寂しそうなのですがいつしか寝る時になると「手をつないで寝よう」とかわいいことを言ってくれるように。手をつないで寝ると安心してすぐに寝てくれるのです。お兄ちゃんといえど、まだまだ小さいモン太。わんぱくな時は本当にげっそりしてしまいますが(笑)こうやって素直に甘えてくれる姿はかわいいな~と、寝顔を見ながらしみじみ思います。そして思わず笑ってしまったかわいいエピソード。幼稚園のお友達と公園で遊んでいたときのことです。みんな自由奔放に遊んでいたのですが、1人の男の子が談笑しているかーちゃん達の元へ戻ってきました。すると、近くで摘んだお花をお母さんに「ママ~!あげる!」と渡していました。わ~なんてかわいいの~!!嬉しいね~!とかーちゃんが騒いでいると、その様子を見ていたモン太が何かを探しに行きました。あ、もしやかーちゃんにもお花もってきてくれるのかな、とわくわくしながら待っていると…「はい!どうぞ!」と雑草を渡してくれました。雑草~!!!!思わず笑ってしまいましたが、かーちゃんの為に持ってきてくれたことに感動!男の子って本当単純ですよね!やんちゃすぎて毎日爆発しているかーちゃんですが、こういう単純でわかりやすいモン太がかーちゃんは大好きなのでした。(笑)
2017年08月17日読むのに真面目な理由も目的も不要。ただただ楽しいエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』について、著者・朝井リョウさんに話をうかがいました。トリュフチョコレートを彷彿させる色合いに金色の飾り文字が並ぶ表紙。どんな重厚な作品かと思ったら、朝井リョウさんのエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』である。「装丁はできるだけ名作っぽくしてください、ってお願いしました」本を開きページをめくってまた驚く。紙がやたらと、妙に、分厚い。「間違えて2枚めくっちゃった、って思いますよねー。名作らしくボリューム感を出したかったんです」小説家の随筆集は、新聞や雑誌に載ったものを収録する場合が多い。だが本作は書き下ろしがメイン。「新聞連載分以外は全部、雑誌に掲載した数本も含め、この本のために書きました。エッセイを書くこと自体が楽しくて幸せなんです」眼科医との攻防、作家仲間・柚木麻子さんと臨んだ結婚式の余興、レンタル彼氏との騙し合い…。軽妙な語り口に笑いつつも、自分の感情を客観視するバランスの良さに感服。日頃から自発的に書くそうで、「一日のうちにある程度枚数を書かないと、全然生産していなくていいのかという気分になってしまう。なので小説が進まなかった日は、発表するあてがなくてもエッセイを書くんです。エッセイ用の語彙は別腹のようで、言葉が湯水のように出てくる。小説で堅苦しい言葉を使うと気取った感じになりますが、エッセイだとそれが面白かったりする。使える言葉の範囲が広がるので、小説を書いている時より辞書をよく使います。それも楽しくて」帯には<ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに>とある。「小さい頃、本が好きなのに“読んで何か得なければ”と感じることもありました。そうしたプレッシャーが一切なく読めたのがさくらももこさんの『もものかんづめ』から始まるエッセイ三部作。どこから読んでも、5分だけ読んでも1時間読んでも面白くて、何も試されることなく文章を読む楽しさを味わえて、ありがたかった。その感謝の気持ちもあって、自分も作家になったらそういうものを出したいと思っていました。さくらさんに倣って三部作を目指します」噴き出すこと間違いなしなので人前で読むのは危険。また、278、282ページは人前で開くのも危険かも…。理由は見れば分かります。あさい・りょう作家。1989年生まれ。‘09年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。‘13年『何者』で直木賞、‘14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞受賞。※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年08月07日歌手・俳優として活躍する星野源のエッセイ「いのちの車窓から」が、3月30日(木)より発売されることが決定しているが、この度その著書の発売に先駆け、カバービジュアルが公開された。「コウノドリ」「逃げるは恥だが役に立つ」や大河ドラマ「真田丸」に出演し、4月には劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』で主演を務めるなど話題作に立て続けに出演する星野さん。本著書は、星野さんが雑誌「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)で2014年12月号より現在も連載中のエッセイ「いのちの車窓から」に、新たに書き下ろしを加えて単行本化したもの。話題のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」撮影現場での秘話から、念願だった紅白出場、“兄さん”こと大泉洋の存在…などなど、約2年間にわたり彼がが見てきたもの、感じてきたことが満載の一冊となっている。そして今回、発売される著書のカバービジュアルがいち早く公開!今回カバーイラストを手掛けたのは、TVアニメ「キルラキル」のキャラクターデザインも務めたすしお。装丁は大ヒットシングル「恋」のジャケットなども担当した吉田ユニが手掛けている。また、このカバーにはちょっとしたサプライズ(?)が隠されているという。どんなサプライスなのかは、ぜひ手に取って確認してみて。星野源著書「いのちの車窓から」は3月30日(木)より発売。(cinemacafe.net)
2017年02月17日アンバー・ハードが雑誌にドメスティック・バイオレンス(DV)についてのエッセイを発表した。アンバーは今年5月にジョニー・デップとの離婚を申請、顔にあざができた写真を公表してジョニーからDVを受けたと主張し、否定するジョニー側と争ったが、8月に離婚の合意に達した。アンバーはファッション誌「Porter」に「あなたは1人じゃない。閉ざされた扉の後ろで1人苦しんでいるかもしれないけれど、あなたは1人じゃない。それを知ってほしい」と、DVに苦しむ女性たちに訴えかけた。「自分に強さがあることを思い出してほしい。あなたを背後から静かに支える何人もの女性たちの数も掛け合わせてきた強さです」「冷たくつらい真実から始めましょう。女性が前に出て、不正や彼女の苦しみについて語ると、助けや尊重、支えの代わりに彼女が直面するのは敵意と懐疑の眼差し、そして恥辱です。彼女の真意や目的は疑われ、真実は無視されます」と綴った。「私は、自立して他者を頼らない人間になるよう育てられました」とふり返るアンバーは誰かが自分を救ってくれるとは思わなかったという。「 “被害者”というレッテルを貼られることに憤慨しました」というアンバーは「今日、これを書きながら、私は沈黙の中で苦しんでいる女性たち1人1人に約束できる。あなたは1人じゃない。私たちの姿は見えないかもしれないけれど、私たちはここにいます」と結んだ。(text:Yuki Tominaga)
2016年12月14日大泉洋が自ら綴った、北海道時代や「水曜どうでしょう」の裏話などを凝縮したエッセイ「大泉エッセイ ~僕が綴った16年」が、台湾・香港・マカオにて発売されることが決定。大泉さんから感謝のコメントが到着した。北海道を拠点に活動していた1997年から雑誌3誌で連載・執筆していた幻の原稿108編に加え、「水曜どうでしょう」秘話、「TEAM NACS」にまつわる爆笑話、“大泉洋の在り方”についての自身の考察、また自身の“プロポーズ”時に起きた思わず泣ける感動エピソードなど、大量書き下ろしを加え、「大泉洋が綴った16年のすべて」を一挙収録したこのエッセイ。2013年に発売され、2015年に角川文庫化、日本国内でエッセイとしては驚異の累計発行部数40万部を突破している。今回の“海外進出”は、大泉さんのファンである台湾の編集者から、「大泉洋さんは何か特別なものを持っている人。彼の青春、仕事への情熱、何かを信じて自分や家族に向き合うこと、そういった彼の面白さが詰まったこのエッセイを広めたく、ぜひ自分の手でこの本を手掛けさせていただきたい」と、熱い手紙が届いたことがきっかけ。熱烈なオファーを受け、翻訳版が発売されることになった。マンガ家・あだち充が描いた装画はそのままに、来年1月には台湾、香港、マカオの書店に並ぶ予定。ついに、彼の唯一無二な“面白さ”が海を越える!<大泉洋コメント>果たして、私の人生の失敗ばかりを綴ったあの赤裸々なエッセイを、私をよく知らない海外の人たちがどう読んでくれるのか?そもそも誰が読んでくれるのか(笑)?不安と期待でいっぱいです。でも、めちゃめちゃ嬉しいです!ありがとう!台湾、香港、マカオ!「大泉エッセイ」(海外版)は台湾、香港、マカオにて2017年1月予定。「大泉エッセイ~僕が綴った16年」(日本版)はKADOKAWAにて発売中。(text:cinemacafe.net)
2016年12月08日大ヒット痛快エッセイ「世界一周ひとりメシ」の著書で旅人、エッセイストのイシコの新刊大人旅エッセイ「世界一周飲み歩き」(朝日文庫/620円+税)が好評発売中だ。著者のイシコは、旅のエッセイやブログを中心に執筆活動を行う旅人エッセイスト。2008年より1都市1週間のペースで旅をするプロジェクト「セカイサンポ」を始め、世界一周を達成。帰国後に発行された「世界一周ひとりメシ」は、2万5千部を突破(2016年7月時点)。自称旅ベタで人見知り、どこへ行ってもピンチの連続なのに、どんな場所でもそれを楽しんでしまうような底なしの明るさを秘めた著者が贈る肩に力の抜けたエピソードが満載の一冊。本書は、アジア編、ヨーロッパ編、南米・アフリカ編の3部構成で、犬ぞりで向かう雪原の店(スウェーデン)、地元のおじさんとビールを片手に見た夕日(タイ)、朝から立ち飲み屋をはしご(スペイン)、デモから逃げ込んだバーには…(アルゼンチン)など、著者の目を通した世界中の街角が一冊の中に詰め込まれている。「今年の夏は旅行に行けなかった」、「これからバカンスを計画中」という人にもぴったり。ゴーイングマイウェイな旅のすすめに一冊いかが?(text:Miwa Ogata)
2016年09月01日2016年2月12日、重力波の初観測が発表されました。それはアインシュタインが存在を予言してからおよそ100年後のことでした。でも「重力波」と聞いても「いったい何のことだか、さっぱりわからない」そんな人が、ほとんどではないでしょうか。当然ですよね。これまで体感したことのない未知の波長ですから。かぎりないロマンをかきたてるサイエンス。でも科学の世界はむずかしく、敷居が高いもの。そんな文系女子におすすめの「わかりやすくて深いサイエンス本」を紹介します。■猫たちが語りだすサイエンス『真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ』(薬袋摩耶/イラスト浅生ハルミン/亜紀書房)猫の集会。それは人間にとっては謎だらけのシロモノでしかありません。ところが、この本ではちがいます。毎週水曜日の夜、猫たちはひとところに集まって勉強会をひらきます。ある夜は「ウイルスと細菌は、どのようにちがうのか」。別の晩は「ワクチンと免疫について」と、いうふうに。また、「iPS細胞とは何か」などと最新の科学の話題を猫にでも理解できる言葉で語っています。個性的な猫たちの会話に楽しく耳をかたむけながら、サイエンスの専門用語を覚えることができます。そして、科学が抱える問題点がみえてくる、ユニークな入門書です。■原因不明の病を克服した、サイエンスライター『生命(いのち)のふしぎ』(柳澤桂子/集英社文庫)著者は生命科学者として、またサイエンスライターとして活躍中。経歴だけに注目すると「まあ、エリートなのね」と、いいたいところですが、彼女はおよそ20年間も寝たきりの生活を送っていました。まったく原因がわからず、病名もあいまい。そのためにどのように治療をすればよいのか、方針がたてられなかったのです。しかし、あるうつ病の薬が効き、劇的に回復します。そんな奇跡の人の言葉の、ひとこと、ひとことが胸にひびきます。「孫が生まれてから、私は地球の行く末を今までより深刻に考えるようになった。(中略)この子がお嫁さんになって、子供を産んで、またその子が子供を産んで、と連綿と続く未来が具現化して、心に映るようになった。その子供たちは、延々と私の遺伝子のコピーを受け継いでいくのである。私という個体が消滅したのちも、私の一部が残っていく。そして、いつかは人類滅亡の日を迎えるであろう。私は、子供を産んでしまったことをなかば悔いているが、子供や孫の存在が幸せをもたらしてくれることも確かである」(本書より抜粋)サイエンスエッセイとしてはもちろんですが、ことばに奥行きがあり、人生論としても逸品です。■なぜ、私は私なの?『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下巻あり(ダニエル・Eリーバーマン/訳・塩原通緒/早川書房)ヒトの体のしくみは、謎につつまれています。この本は健康本でもなければ、人類学の解説書でもありません。けれども、なぜ人間は人間になったのか。という疑問にいどむためには、進化の歴史は避けて通れない道。現在、私たちの体内ではなにかが変わりはじめているのでしょうか? それを知るためには人類史をたどり、科学の発達していく過程をあきらかにすることが必要なのです。おもしろそうだけど初心者には読みこなすのが大変そう。そんなため息が聞こえてきそうですが、ひとつひとつの章が短いので、すぐに読破できました。登場人物が多い外国の小説を読むよりも、むしろ理解しやすいかもしれません。物事を大きなスケールで考えられるようになる大作です。ミステリアスで、簡潔なサイエンスの世界のドアをノックしてみませんか?
2016年04月17日移動中でもリラックスタイムでも、場所と時間を選ばないで読めるエッセイ。笑いがついつい噴き出してしまうものから、人生を少し考えさせられるものまで、大人女子のためのエッセイを3冊紹介します。■爆笑必至「生きるコント」(大宮エリー/文藝春秋)作者の大宮エリーさんは、高学歴で元大手広告代理店に勤めていたという経歴をもつ女性。現在は映画監督から芸術家までと、あらゆる才能を発揮されています。そんな彼女が実際に体験したエピソードをつづったエッセイが「生きるコント」です。電車の中で読むことは絶対にオススメしません!なぜなら面白くて笑いが抑えられないから。ひとりで大爆笑すること間違いなしの一冊です。大宮エリーさんはたびたびトークショーも開催しているので、内容の濃い話を聞きに行ってみるのもおススメです。■衝撃の仕事内容が満載「督促OL 修行日記」(榎本まみ/文藝春秋)クレジットカード会社に新卒採用された榎本まみさん。配属となった部署では毎日が督促の電話業務。ときおり四コマ漫画が描かれており楽しみながら読める本ですが、仕事内容に関しては大変さがうかがえます。督促電話をしてこんなことをいわれた! など日々の業務を愉快に紹介しています。どんな仕事でも苦労は絶えないものですが、笑いあり涙あり自分も頑張ろうと奮起させられる一冊です。■女性なら誰もが考える「結婚願望」(山本文緒/角川書店)結婚願望がある人も、ない人にもオススメな一冊。山本文緒さん自身の結婚と離婚経験について書かれているエッセイ。最終的に結婚とは何なのか、に対するヒントがこの本で見つかるかもしれません。ただただ笑いたい時間をつくりたいときと、じっくり自分と向きあう時間をつくりたいときと、自分のペースに合わせて読めるエッセイをチョイスしてみました。本を手にとって週末に自宅でゆっくり、リフレッシュしてみてはいかが。
2016年01月21日みずほ銀行はこのたび、12月3日に開催された「MCPC(※) award 2015」 において、「セキュリティ委員会特別賞」を受賞したと発表した。これにより全業界で唯一5年連続の受賞となるという。「MCPC award 2015」は、総務省、経済産業省、日本商工会議所、東京商工会議所等が後援している(※) MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)は、業界の枠を越えてモバイルコンピューティング、IoT/M2Mシステムを普及促進することを目的とし、1997年に発足した任意団体。モバイルコンピューティングの導入により高度なシステムを構築し、顕著な成果をあげている企業や団体を表彰する日本で初めての試みとして「MCPC award」を2003年度より開催。モバイルシステム、M2M/IoT技術の導入により「業務効率化」「コスト削減」「売上拡大」「業績向上」や「モバイル、M2M/IoT技術の効果的活用」などの顕著な成果をあげている企業や学校・団体・自治体の事例を募集・顕彰し、今後導入を検討しているユーザの手本となるよう紹介。○邦銀初のウェアラブル端末を活用した銀行サービスの提供などが評価みずほ銀行によると、「『みずほダイレクトアプリ』のApple Watch対応を6月より開始しているが、今回の受賞は、この邦銀初のウェアラブル端末を活用した銀行サービスの提供に加え、スマートフォン向けバンキングの高いセキュリティが評価されたことによるもの。なお、2011年から2014年は奨励賞を受賞している」としている。○スマートフォン・ウェアラブル向けバンキングの特徴先進的なUI/UX:ユーザインターフェース(UI)やユーザエクスペリエンス(UX)の分野において高い知見を持つMoneySmartと連携することで、顧客にとって利便性の高いサービスを提供。アプリは野村総合研究所と協働で開発簡易認証の導入:Apple Watch上のアイコンタップのみで、顧客によるログイン入力操作の必要なく、簡便かつセキュアに残高照会ができる認証技術を活用プッシュ通知機能:家賃の振込や貯蓄預金への振替などあらかじめ登録された振込や振替を知らせる機能を実現
2015年12月07日ふと手に取った本からインスパイアされて、旅に出たくなることはありませんか? 表紙の色合いや佇まいが気になって、なんとなく手にしただけなのに、パラパラとページを繰り、写真や絵や行間から立ち昇る街の匂いやざわめきに触れた途端、一瞬にして心を奪われてしまうことが…。いわゆるガイドブックとはひと味もふた味も違って、旅そのものへの憧憬をかきたて、心を自在に羽ばたかせてくれる魅力的な本を、3冊ご紹介しましょう。わざわざ休暇をとらなくても大丈夫。今すぐ旅立てますよ。さあ、行ってらっしゃい!「北欧とコーヒー」が連れていってくれるお洒落な北欧巡り表紙のきれいなブルーが目に留まり、書店で思わず手に取ったら、中身が濃くておもしろく手離せなくなりました。著者の萩原健太郎さんは、デンマークに留学経験もあるライター&フォトグラファー。北欧デザインに心惹かれたことが、出合いの発端だそうです。「なぜ、ヨーロッパの辺境から、世界中の人々に愛されるデザインが生まれたのか。何度も北欧を訪れ、現地の人々と会話を重ね、自分なりに見えてきたものがあるが、まだ確信は持てていない。ただ、彼らが自分たちの生き方に誇りを持ち、幸せを感じながら暮らしていることはわかった。そして、彼らのかたわらには、いつもコーヒーがあった」と、素敵な前書きにもあるように、本書はコーヒーで北欧を巡るユニークな切り口の本。カフェ、雑貨、ムーミン…、一杯のコーヒーから見えてくる北欧のライフスタイルが楽しい! 感激したのは「フィンランド映画とコーヒー」という章。アキ・カウリスマキ監督の「街のあかり」やクラウス・ハロ監督の「ヤコブへの手紙」など、映画の中のコーヒーを飲むシーンから、彼らとコーヒーの関係を味わい深く描き、芳しい余韻を残します。「台湾旅ノート」で満喫できるゆったりした時間が愛おしいふんわりと優しい色合いのイラストに惹かれ、読み進むうちに、ああ、これは台湾の穏やかで優しい人々の印象と同じだなあ、と感じてなごみました。旅するイラストレーター・おおのきよみさんが描くイラストは、ナチュラルでたゆたうような時間が流れる台湾の温度や香りまでも活写。彼女の鮮烈で豊かな旅の記憶が、私たちを旅路へと誘います。「旅行中はいつでもスケッチブックと一冊のノートを持ち歩く」というおおのさん。その時思ったことや会話の切れ端、お天気や食べたものをささっとメモ。「スケッチブックとともに生まれるこの旅のノートは私の旅そのものであり、帰国後の自分に贈る最高のお土産でもある」と語る彼女が、2008年から2014年までの7年間、台湾各地を巡って書いた旅ノートとスケッチを再構成し、丁寧に編まれたのが本書です。「行列のできる麺店」「また泊まりたいホテル」「思い出の食堂」「旅のお土産」といったお役立ち情報も満載ですが、大好きなのは「台湾色見本」という、街の壁や植物などのカラーサンプルを分類したページ。「感動した風景を持ち帰りたい」気持ちが色合いに特化されていて嬉しいです。「簡単な絵の描き方」が載ったページも。ぜひお試しを!「インド ラージャスターンのカラフルな街」を読んで来年こそインドに行きたい鮮やかな表紙を目にした瞬間、スパイスと果実が混ざったような香りが漂ってきた気がして、うっとり! 著者の石竹由佳さんは、イタリア留学でジュエリーを学び、帰国後はジュエラーの名店に勤務しますが、世界40カ国以上を旅するうちに、インドの伝統的で繊細なハンドクラフトに魅せられ、2013年、インドのジュエリーやテキスタイルを輸入販売する会社を設立した方。本書は、インドに日常的に通いつめる彼女の美意識の結集です。インド北西部、ラージャスターン州。ピンクの街ジャイプル、青の街ジョードプル、黄金の街ジャイサルメール、白亜の街ウダイプルと、街ごとに色分けして描かれているのが美しく魅惑的。石竹さんお気に入りのホテルやアーユルヴェーダでデトックスするクリニックなども、インドに精通する彼女ならではの親身なチョイスが素敵で、今すぐ訪れたくなります。そんな石竹さんにインドの魅力を伺ってみました。「インドの人は、私が思うに世界で一番、ホスピタリティに溢れてる人々です。たくさん旅をしているとはいえ、ここまで深く海外の人と関わったのは、インドが初めて。1ヵ月滞在した後、またすぐに3週間行き、帰国したばかりなのに、また行きたくなる。ヨーロッパよりも刺激的。インドではすべての神経が刺激されるんです。もちろん良い時も嫌な時もあるけれど、なにより人が魅力。人との結びつきが激しいのが魅力。人とふれあいながら、こんな人がいるのか! こういう人生もあるんだ(笑)! と思う瞬間が好きです。人と違っても批判しない。どんな人も受け容れる包容力がインドの魅力かな」インドに呼ばれた人しかインドには行けない、と聞いたことがあって、自分は呼ばれてないと思ってましたが、この本を読んで、来年こそは…という気持ちが湧いてきました。いかがでしたか? 人生も旅の楽しみ方も人それぞれですが、できるなら味わいつくしたいですよね。この3冊で、新たな旅立ちへと心を向けられますように…。
2015年11月13日これまでポップカルチャーを中心に執筆してきた“ロック漫筆家”安田謙一の、初の全編書き下ろしによるエッセイ『神戸、書いてどうなるのか』が11月26日(木)に発売される。本書は、神戸生まれ神戸在住の氏がこれまでに体感してきた“神戸というまち”の魅力を、さまざまな角度から綴った内容となっている。神戸を知る人はもちろん、そうでない人にとっても、神戸という街が浮かび上がってくるような、“ガイドブックには載らない神戸案内”と言える1冊だ。また、発売に先駆けてVIDEOTAPEMUSICが手がけた予告編プロモーション・ビデオも2バージョン公開されている。そして、12月には本書の刊行記念イベントが続々と決定。東京では「Time Out Cafe & Diner」にて前述のVIDEOTAPEMUSICのほか、町あかり、DJ2741、松永良平らが出演するパーティが開催される。さらに書店等でのトークショウも各地で開催。神戸は「旧グッゲンハイム邸」にて、ゲストにtofubeatsを迎えるほか、京都は元・恵文社一乗寺店店長の堀部篤史による新店「誠光社」で堀部篤史と、そして大阪は「FOLK old bookstore」にて、著者の盟友でありPVのナレーションも担当したキングジョーと、それぞれトークイベントを行う。■安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』刊行記念イベント「ビデオナイトラウンジ -世界各国の夜。そして神戸の夜-」12月11日(金)東京・恵比寿Time Out Cafe&Diner[リキッドルーム2F]ライブ:町あかりDJ:VIDEOTAPEMUSIC、DJ2741、キングジョー、松永良平トーク:安田謙一×松永良平「電波の届かない場所 2015 思い出し怒りのデス・ロード」12月12日(土)東京・高円寺円盤トーク:安田謙一×キングジョー「神戸、喋ってどうなるのか 神戸編」12月17日(木)神戸・旧グッゲンハイム邸トーク:安田謙一×tofubeats「神戸、喋ってどうなるのか 京都編」12月23日(水・祝)京都・誠光社トーク:安田謙一×堀部篤史「神戸、喋ってどうなるのか 大阪編」12月26日(土)大阪・FOLK old book storeトーク:安田謙一×キングジョー※番外編「藤脇邦夫×安田謙一 ダブル刊行記念トークショー&サイン会」12月16日(水)大阪・スタンダードブックストア心斎橋トーク:藤脇邦夫×安田謙一■『神戸、書いてどうなるのか』安田謙一2015年11月26日(木)発売1500円+税978-4-8356-2853-0四六版並製本256ページ
2015年11月05日今年5月、1976年に放送を開始してから10,000回を越えたことで話題になった、「徹子の部屋」でおなじみの女優・黒柳徹子さん。アラフォー世代にとっては、子どもの頃から毎日テレビで見るタレントのイメージが強いと思いますが、戦後最大のベストセラーとなった自伝『窓ぎわのトットちゃん』を始め、エッセイを多数出版されています。そんな著書を通して、黒柳徹子さんの愛され続ける理由と、魅力的な女性になるヒントを学びたいと思います。女性が一人で生きていくのは大変!徹子さんの文章は一節が長く、句読点が多いのが特徴。あちこちに話が飛んで、まるで直接お話を聞いているよう。テレビで見るイメージそのまま、好奇心旺盛、ユーモア溢れる筆致で、どんどん読み進められます。今年発売された最新刊、『トットひとり』でもそれは変わらず。懐かしい「ザ・ベストテン」の裏話や、親交の深かった森繁久彌さん、家族のように慕っていた渥美清さんと沢村貞子さん、向田邦子さんとのエピソード、子どもの頃の思い出、お見合いの話、トレードマークとなっている玉ねぎヘアの秘密などが綴られています。その中でも触れられているのが、38歳のときに仕事を休業して1年間ニューヨークに留学したときの話。徹子さんは当時テレビ女優として、過労で体を壊すほど活躍していました。留学中も雑誌での連載は続けていたものの、一番売れているときに仕事を離れるのは不安もあったであろうし、次々と新しい才能が現れる業界で、大きな決断だったと思われます。「朝はインスタントでないコーヒーをゆっくり飲んで、このままずっと、この仕事をやり続けていけるかどうかを考えたりもしたかった。(中略)芸能人でなく、普通に生きる人間としての、女としての、感情や感覚を忘れたらいけない、きちんと笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら、自分だけの人生を作っていかないといけない、とつくづく思ったのだ」(『トットひとり』より引用)そうして1年間を過ごすことになったニューヨークで、演劇やダンス、歌の教室に通い、女優を続けられるかどうかという迷いが吹っ切れたという徹子さん。それまでは有名人として甘やかされていたといいますが、初めての一人暮らしを通して、“女が生きていくのは、大変だ”ということもよく分かったのだそう。自分は自分。個性を活かす。もともと“自分の子供に絵本を上手に読んであげたい、絵本の読み方を教えてくれるだろう“と、テレビの世界に足を踏み入れた徹子さん。入った当初は、自由奔放で個性が強いあまり、役を降ろされたりいじめられたこともあったそうですが、持ち前の“鈍感力”で楽観的にとらえ、あまり気にはしなかったのだとか。「仕事場には、自分よりできる人や、成績のいい人、きれいな人とか、いろんな人がいますけど、でもやっぱり、人と自分を比べるのはムダね。私は、そう思います。どんなに他人を羨んでも、自分は自分なんです。だったら、その個性を活かしていくしかない」(『徹子さんの美になる言葉』より引用)徹子さんがよく著書で書かれているのが、通っていた小学校の校長先生に言われた「君は本当はいい子なんだよ」と、初めて合格したオーディションで脚本家から言われた「あなたの、そのままが、いいんです!」という、信頼する二人からの言葉。自ら“素直さが長所”と書いていますが、人を信頼し、言葉に素直に耳を傾けられる純粋な心を持っている気がします。「私は、いくつになっても、自分よりもモノを知っている人に、何かを教えてもらいたいと思うのね。その人の教養や知性を吸収したい。自分の知らないことを知りたい。そういう欲が強いんです」「いつまでも若々しく、きれいでいたければ、「何だろう?」「もっと知りたい!」っていう好奇心を持って過ごすこと。せっかく生まれてきたからには、自分の魂が自由でいられる環境に、常に自分を置くようにしないと、もったいないですよね」(どちらも『徹子さんの美になる言葉』より引用)テレビの黎明期から活躍する大御所でありながら、自分のことを“大したものだと思っていない。そうそう認められなくてもしょうがない”という、謙虚さも見習いたいところです。好きなことだけをする。「徹子の部屋」は放送開始から約40年経ち、「同一司会者によるトーク番組最多放送」のギネス世界記録に認定され、「世界・ふしぎ発見!」も1986年にスタートして以来毎回登場。それらテレビでの活躍のほか、年に一回のペースで舞台の公演を行い、1984年からユニセフ親善大使を務めたり、日本で初めてのろう者の劇団を支援する社会福祉法人「トット基金」を設立するなど、徹子さんはどの仕事も精力的に、長く続けています。特にユニセフの活動はボランティアという気持ちからではなく、“どんな場面に遭遇しても、「イヤだなあ、つらいなあ」と思ったことはない”のだそう。長く続けられる理由は、無理をしないこと。医者から死ぬまで病気をしないためには、「好きなことだけをやって、生きていきなさい」と言われて以来、進んでやりたいと思うことだけを選んできたからなのだとか。「仕事をするうえで大切なことは、どんな仕事であれ、「自分で選んだ」と納得することね。そうしたら、何か嫌なことがあっても、「自分で選んだ道だから」と思って、人のせいにしないですむでしょう? あとは、仕事には早く慣れた方がいいけれど、世の中とか、世間一般の常識には、慣れない方がいいように、私は思います。「きっと世の中こんなもんだろう」と思い込まないことね。常に、自分自身の視点で、物事を見るようにした方がいいんじゃないかしら」(『徹子さんの美になる言葉』より引用)ご紹介できたエピソードはほんの一部。そのほかにも、毎日ヒンドゥースクワットを50回とウォーキングを続けて、元気で仕事を続けるための体力作りをしていたり、仕事への姿勢も知れば知るほど頭が下がります。ご紹介した本の中には現在手に入りにくいものもありますが、繰り返し書かれているエピソードも多いので、まずは最新刊の『トットひとり』から手に取ってみては? 徹子さんのエッセイには、魅力的に生きるヒントが詰まっています。
2015年07月17日肩ヒジ張らずに読めて、爽快な読後感を味わえる秀逸なエッセイに出会った時の歓びは、ささくれた心を、洒脱なユーモアで包み込んでくれる親友を得たようなもの。そのおもしろさに快哉を叫びながら、大きく深呼吸できるような気分になれるから不思議です。著者がアラフォー、あるいは、アラフォーの頃に書かれたエッセイ集で、クスリと笑えるのにジンとくる、味わい深い珠玉の3冊をご紹介しましょう。類まれなるセンス。片桐はいりさんの文才にハマる!▼『わたしのマトカ』片桐はいり(幻冬舎文庫)片桐はいりさんという俳優をもともと好きだったのですが、2006年に出版された彼女の初エッセイ集「わたしのマトカ」を読んだとき、あまりのおもしろさと類まれな文章センスにぶっ飛びました。2005年、映画「かもめ食堂」の撮影のため、フィンランドに1カ月間滞在したことをきっかけに、書き下ろされたエッセイが本書。マトカは、フィンランド語で「旅」という意味だそうです。撮影の待ち時間、フィンランド人の若手俳優と「ヤッチマイナ!」と「キル・ビル」ごっこをしたり、フィンランドの鬼才、アキ・カウリスマキ監督映画の常連俳優との共演に胸ときめかせたり、サルミアッキという甘塩っぱいゴムみたいなお菓子に驚いたり、「大根おろしが食べたい」と発作のように思ったり、フィンランドの魅力のみならず、片桐さんの役者人生と世界各地への旅がレイヤーで描かれ、息もつかせぬおもしろさ。映画好き、芝居好きという芳醇な愛情が根底にピシッと1本通っており、生き方にも感銘を受けずにおれません。この後に出た『グアテマラの弟』(幻冬舎)、『もぎりよ今夜も有難う』(キネマ旬報社)も間違いなくおもしろいので、心から一読をお勧めします。電車で読んだら危険!? 報復絶倒のエッセイ『ワタシは最高にツイている』小林聡美(幻冬舎文庫)女優の小林聡美さんが、30代から40代にかけての3年間に書いたエッセイがまとめられ、2007年に出版されたもの。「かもめ食堂」つながりというわけではないのですが、主演された映画の撮影期間はこの3年間に含まれるので、ヘルシンキ滞在中のエッセイも2編。もちろん映画を観ていない人にも楽しめる内容で、笑いなしには読めません。長期滞在者向けのアパート型ホテルで、鉢植えの花を窓辺に飾って愛で、ささやかな幸せを満喫しながらも、控えめそうな国民性なのになぜか目立つ若者の尻出し率(パンツの位置が下過ぎ)を憂う。また、フィンランドと日本のスタッフが双方の言葉を覚えて、互いに「ホンバンイキマ~ス」「ウスコマトンタ(信じられない)!」などとやりとりする現場の雰囲気を活写。それ以外にも、3年分のリアルアラフォー感が味わえます。かつて夫であった三谷幸喜さんが、原稿が書けなくて七転八倒し、リビングルームで気分転換に彼女の本を手に取ったら、おもしろ過ぎてかえって自信をなくした…というエピソードが残っているくらいの名文家。同じく幻冬舎から出ている『マダム小林の優雅な生活』『マダムだもの』なども、報復絶倒なので電車の中では読まないほうがいいかもしれません。一切ハンパなし! 妄想炸裂の爆笑エッセイ『お友だちからお願いします』三浦しをん(大和書房)作家の三浦しをんさんは、もちろん小説も素晴らしいですが、エッセイの絶品さは他の追随を許さないものが。脳内で妄想が炸裂し、血中濃度の臨界点を振り切った描写は、一切ハンパなし。とはいえ、これは、様々な新聞や雑誌に書かれたものが1冊にまとめられ、2012年に刊行されたエッセイ集。帯に「よそゆき仕様・自社比」とある通り、初心者の方にも非常に入りやすく、食わず嫌いの方にも読みやすい内容となっています。「私はふだん、『アホ』としか言いようのないエッセイを書いているのだが、本書においてはちがう!(自社比) よそゆき仕様である!(あくまで自社比)」という前書きから始まり、個々のタイトルからして、「オヤジギャグのマナー」「加齢の初心者」「ヴィゴ・モーテンセンと妄想旅行」「町田も東京だったんだ」など、妙にそそられるものばかり。また、後書きで「いかがでしたでしょうか。お友だち以上になっていただけそうですか? 『なれるわけないだろ、ごるぁ!』という怒声が聞こえてくるようだ。精一杯よそゆきの姿勢を装ってみたつもりなのだが、ほうぼうで本性が表れてしまってるもんなあ……。今回読み返して、自分のあまりのダメぶりに、『お友だちですらご免です』と思った」としをんさん。いえいえ、もうお友だちですってば。よそゆきじゃないほうをお望みなら、新潮文庫の『しをんのしおり』『人生激場』『乙女なげやり』をぜひ!この3冊は、すべて“旅”が通底しています。それも魅力のひとつかもしれません。笑ったりジワッとしたりスカッとしたり…脳内の果てしない旅をどうぞお楽しみください。・ 『わたしのマトカ』(幻冬舎文庫) 片桐はいり ・ 『ワタシは最高にツイている』(幻冬舎文庫) 小林聡美 ・ 『お友だちからお願いします』(大和書房) 三浦しをん
2015年05月18日「今食べるべき、本当に旨い一杯はどれか」をコンセプトとした、関西最強のラーメンを決める「第1回 究極のラーメンAWARD関西」が、10月1日発売のムック本『究極のラーメン2013関西版』(ぴあ)にて発表された。関西を代表する有名ラーメンブロガー4名が選考委員を務め、1000店以上ものノミネート店の中から総合グランプリに選んだのは、大阪・難波の人気店「中華そば ○丈」。毎日店主自らが打つ自家製麺とコク旨醤油スープを武器に、2010年に現在の場所に移転して以来、確実に実力と人気を伸ばしてきた気鋭店だ。沖山欣也選考委員長から初代グランプリの記念盾が店に贈呈され、店主の丈六達司さんは「感激です。創作メニューにも力を入れていきますので、これからも応援よろしくお願いします」と受賞の喜びをかみしめた。また、新店をはじめ、醤油、塩、豚骨、鶏白湯、味噌、つけ麺などの各部門のグランプリ&準グランプリ店も同時に発表された。
2012年10月01日先日、タレントの坂上みきさんが第一子となる男児を53歳で出産。50歳を超える“超高齢出産”のリスクを乗り越えての出産は、たくさんの女性を勇気づけた。女性の社会進出によるライフスタイルの変化から、高齢出産が普通になってきている昨今であるが、はじめての妊娠・出産には不安はつきもの。新しい命の誕生に、楽しみ半分・不安も半分。そんな初心者ママを応援しようと行われている面白い取り組みがある。持田ヘルスケア株式会社が行なっている 『スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト』 では、「妊娠・出産」をテーマに先輩ママや専門家の方の体験談をコンテスト形式で展開されている。今回はなんと12回目。■一人ひとりにドラマあり 妊婦を勇気づける感動エピソード出産の大変さを家族の愛で乗り切るエビソードがたくさん。読んだ後、ほっこりいい気分になるエッセイばかり。陣痛が始まってから生まれるまで、妊婦の不安だけでなく、その周りの家族や友人にも参考になる企画となっている。■優秀エッセイ30作品の中から、一番素晴らしいと思った作品に投票!前回、第11回で大賞に輝いたのは、「14歳差のおとうと」と題されたエッセイ。小さな弟の誕生前から小学生になるまでの成長を描いている作品。子育てに悩んでいる人も、これを読むことでまた子育ての楽しさを再認識できるかも。自分の置かれている立場と照らし合わせるのもあり、また全く逆のエピソードに感動するのもあり。さまざまな読み応えがあるストーリーが盛りだくさん。第12回の一次審査通過作品は こちら から。あなたのグッときたストーリーはどれ?ぜひ投票して。 第12回 スキナベーブ赤ちゃんエッセイコンテスト~赤ちゃんへの手紙~
2012年09月20日「いい仏壇.com」は、フォトエッセイ「手を合わせてつながる絆~お仏壇と家族のストーリー~」を募集する。今回募集するエッセイは、家族の絆が失われていく現代社会において、古来より家族のつながりの場として存在していた仏壇を通じ、家族とのつながりの大切さを伝えようというもの。入選作品はWebサイト上に掲載し、金賞1名には賞状および現金10万円、銀賞2名には賞状および現金3万円、銅賞5名には賞状および現金1万円が贈られる。応募は、仏壇と家族にまつわるエッセイと写真を合わせて投稿する。エッセイの文字数は600字以内で、写真は仏壇と人物(または仏壇のみ)が写っているもの。応募方法はメールまたは郵送、ファクスで。締め切りは10月31日。詳細は「いい仏壇.com」のキャンペーン概要を参照のこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月04日文芸誌「パピルス」にて2005年12月号から連載している中谷美紀氏のエッセイが、この度、一冊の本としてより幻冬舎から刊行される。およそ6年振りになる、待望の単行本発売だ。「自宅のベランダにひと粒だけなった南高梅」「厄落としと体質改善を兼ねての断食チャレンジ」「旅先で出会った忘れられない味と人々」など。何気ない毎日が、愛おしく思えてくる、珠玉のエッセイ集。自身による写真も多数掲載している。今回、著者・中谷に刊行にあたってのインタビューを行った。●中谷さんにとってエッセイを綴ることとは?様々な場面での素晴らしい出逢いについて、口から発する言葉では伝えきれないことを、文字にしています。●作品を書くことと、女優として演じること。その共通点と相違点は?他人の価値観を演じるストレスを自著で発散するのが初期の目的でしたが、いつしか演技と同様、私個人の気持ち云々よりも、優れた先人の話に耳を傾け、媒介に徹して書くことが心地よくなって来ました。●自分のエッセイを映像化するとしたらどう演出したい?今回のエッセイに書かせていただいた方々は皆さん魅力的なので、ドキュメンタリーで長期にわたって追いかけたいです。●今回の作品のオススメ点は?7年の間に、成長と後退を繰り返しながらずいぶんと変化を遂げましたが、「女心と秋の空」のタイトルのごとく、不確かな人生の変遷を見守っていただけたら嬉しいです。●最近他にハマっていることは?糖質制限で、強靱な肉体と精神を培っています。●今後チャレンジしたいことは?質問力を磨いて、人間の本質に迫りたいです。お問い合わせ:幻冬舎 tel. 03-5411-6211
2012年07月19日