11月24日シアタートラムにて、iakuの新作公演『モモンバのくくり罠』が開幕し、舞台写真と主宰の横山拓也からコメントが到着した。2年ぶりの新作公演となる本作は、親が形成した「家族価値」とそこに縛られた子の生き方を見つめる作品。枝元萌、祷キララ、緒方晋(The Stone Age)、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎が出演する。■横山拓也(主宰)コメント新作を発表するときはいつも不安ばかりがチラつくものですが、今回、久しぶりに稽古場の段階で自分が心から愛せる作品になりました。そして初日を迎え、自分が「観たい!」と思える演劇作品に仕上がりました。自給自足の山暮らしという、ときどきテレビのドキュメンタリーなどで見かける家族の未来を想像して書きました。「くくり罠」という狩猟、命をいただくこと、家族の価値観、大人になるとは、普通の暮らしとは……様々な要素がいろんな角度から語られます。自分自身が育ってきた環境に抗ってみても、それはどうしようもなく人生につきまとい、逃げても逃げても追いかけてきて、包み込んできたり、しがみついてきたり、もうどうしたらいいかわからなくなるときがあると思います。家族によって培われた価値観について葛藤する登場人物たちの議論に、客席から一緒に参加するような体験をしてもらえたらと思います。<公演情報>iaku『モモンバのくくり罠』『モモンバのくくり罠』ビジュアル東京公演:11月24日(金) ~12月3日(日) シアタートラム大阪公演:12月8日(金) ~10日(日) ABCホール作・演出:横山拓也出演:枝元萌、祷キララ、緒方晋(The Stone Age)、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎iaku 公式サイト:
2023年11月27日稲垣吾郎さんの最新舞台は、近年、劇作した『あつい胸さわぎ』が映画化されたり、小説『わがままな選択』で小説家デビューを果たすなど、注目を集める演劇ユニット・iakuの横山拓也さんの書き下ろし『多重露光』。多重露光とは、1枚のフィルムに複数の画を重ねるカメラの撮影技法のこと。親から継いだ町の写真館を営みながらも、どこか手応えなく生きている主人公・純九郎(稲垣)。そんな彼の元に、子供時代から毎年家族写真を撮りに来ていた憧れの一家の娘・麗華(真飛聖)が、ひとり息子・実(杉田雷麟・小澤竜心/ダブルキャスト)を連れて訪れたことから始まる物語。過去に閉じ込めてきた想いが発露した先に、見えてきたものとは――。横山拓也(以下、横山):最初にお話をいただいたときは驚きました。稲垣さんといえば、僕が昔からテレビで拝見していた方でしたから、「僕でいいですか?」ってところからでした。稲垣吾郎(以下、稲垣):僕は横山さんの小説も読んでいましたし、今回オリジナルで書いてくださるのがとても楽しみだったんです。しかも演出家の眞鍋卓嗣さんも初めてで、ワクワクしているんですよ。真飛さんとは、鈴木聡さん作の舞台シリーズで、最初にご一緒してからもう…10年?真飛聖(以下、真飛):えっ、もうそんなに経っているんですか?稲垣:初共演は2012年だから、もう10年以上。真飛:その頃の私、ピチピチしてました?稲垣:当時から全然変わってないですよ。あのときの『恋と音楽』のシリーズはミュージカルで、僕は単独主演のミュージカルなんて初めてだったから、真飛さんにものすごく助けていただきましたから。真飛:それはこちらもです。私は宝塚歌劇団を退団して初めてのミュージカルでしたし。稲垣:でも初共演のときに驚いたんですよ。宝塚でトップスターまでされていた方なのに、いまだにこんなに役や作品のことを考えるんだって。僕も真飛さんも人見知りで、稽古が始まってから2週間くらい、全然会話していなかったんですけど…。真飛:たぶん「おはようございます」くらいですよね。稲垣:そんななか、ある日芝居のことを相談されて、すごく真面目な方なんだなと思ったし、本当にお芝居が好きな方なんだなというのが伝わってきたんですよね。真飛:あのとき、私が役のことで悩んでいるのに気づいて、吾郎さん、わざわざ連絡をくださって、じっくり話す機会をもうけてくださいましたよね。稲垣:あの当時はグループの仕事が忙しくて、稽古場にあまりいられなかったから…。真飛:それまでパブリックイメージもあって、近寄り難い人のように感じていたけれど、そこでお互いの話もして距離が縮まって、お芝居が楽しくなったんです。それで吾郎さんと「いつかストレートプレイも一緒にやりたいね」って話してたんで、叶って嬉しいです。稲垣:本当だよね。横山:僕の中で真飛さんは、かっこいいクールなイメージがあったんです。それで最初は“お嬢様”っていう記号的なところからスタートして、後半で壊れていって僕らの知らない部分を見せてもらえたらなと思って、そういう役として書かせていただきました。そしたら稽古が始まって、自分の役に対して引っかかる部分を僕に言ってくださったんですよね。僕ら作り手と同じ熱量で作品に向かってくださっているってことだから、すごく嬉しかったし、信頼のおける俳優さんだなと思って。真飛:何回も「文句じゃないですよ」って言いながら…。横山:でも、ああやって言ってくださったことで、僕だけでは気づけなかったことに気づかせていただいたので、本当にありがたかったです。真飛:吾郎さんは、普段はクールに見える方ですけれど、内面が本当に優しいですよね。初共演のときに、吾郎さんですごく印象的だったことがあるんですけど…。当時、宝塚を辞めたばかりで女子としてどう居たらいいかもわからない状況だったんですね。そんななか私が低いヒールを履いていたら、吾郎さんに「なんで高いの履かないの?」って聞かれたんですよ。「私、背が高いですし、そんな女子がヒールって可愛げなくないですか?」って言ったら、「ヒールは女の子の特権だよ。綺麗に見えるんだから、気にしないで履いていいんだよ」って言ってくれて、なんて男前なんだって思って、ちょっと泣きそうになったんです。横山:僕は以前から稲垣さんのラジオをよく聴いていたんですが、昔思っていたイメージよりずっと生っぽい方なんだなというのが印象にあったんです。稲垣:嬉しいですね。横山:あと、昨年観た『窓辺にて』という映画で、ナチュラルにミステリアスな演技をされている稲垣さんが衝撃的で。あの生っぽさとかリアルな感じとか、今回結構参考にさせてもらった部分があります。稲垣:これまでわりと普通の人間じゃない…ファンタジーも多いですし、そういう人を演じることが多かったですからね。僕、以前に真飛さんが言った言葉ですごく面白いなと思ったのがあって、宝塚時代のことを“竜宮城にいたみたい”だって表現したんです。僕もその感覚がよくわかるから、勝手に使わせてもらってるんだけど。真飛:使ってるんですね(笑)。稲垣:本当に不思議なんだよ。僕は人に見られるのも苦手だし、人見知りだし、本当は舞台なんて好きじゃないはずなのにやってるんだから。なんでこの仕事やってるんだろうって思うくらい。だから、なんで紅白歌合戦とか出られてたのか全然わからないし、いまとなっては夢だったんじゃないかって思うこともあるくらい(笑)。真飛:だいぶやってますし、ここにいる全員が見てますよ(笑)。でも根がすごく優しい方だから、みなさんに求められていると思うと、やってしまうんでしょうね。塩対応に見えて意外と…。稲垣:ひとりが好きとか言いつつ、結局、共演者とかスタッフとか、お客さんも含めてみんなで共有している時間っていうのが好きなのかもしれない。意外に、自分の中に人間らしさを感じたりして…。真飛:私は役があると人前に出るのも大丈夫なんですけどね…。稲垣:わかる。真飛聖を演じてるから、あんな大きな劇場で羽根を背負って立ててたってことあるよね。真飛:そうなんです。立場がそうさせてくれていたというか。稲垣:僕も、さっきの話じゃないけど紅白歌合戦とか東京ドームとか、よく立ってたなって思っちゃうもん。ただやっぱり幼い頃からこの世界にいて世間知らずではあるんで、今回のような知らない職業だったり知らない感覚をお芝居の中で体験できるっていうのは、すごく面白いです。自分が見たことのない景色を、役を通して擬似体験していく感覚とか。でも、横山さんが書かれているキャラクターって、一見普通だけれど、ちょっと変わっていますよね。横山:これは僕自身もそうなんですけれど、自分が過去に傷ついたことだったり寂しいと思う気持ちだったりを、大人になる過程で、蓋して気づかないふりができるようになってきたと思うんです。その過去を閉じ込めている感覚がどこかアナログカメラに通じる気がして、そこが家族の物語としてうまく重ねられたらいいのかなと思ったんです。ただ、ここまでそれなりにごまかしながらうまくやっていたのが40代に入って、自分の中の欠落しているものや処理できていないことに対して埋めたい想いがだんだん発露し始めて…ってところから今回のドラマが始まるんですけれど。稲垣:僕もだんだん器用になって、そういうことに鈍感になっちゃったけど、やっぱり解決できないこととか執着していることとかありますからね。横山:そういうことって、誰にもきっとありますよね。稲垣:とても面白くて興味深い脚本だなと思いました。真飛:あと会話がすごく面白いですよね。普通に人が話すようなテンションですし言葉のチョイスも面白くて。ただ、私が演じる麗華に関しては、まだつかめてない部分が多いです。そんな私に、演出の眞鍋さんが、すごく歩み寄ってくださって、感情がちゃんと流れているかとか、何か疑問がないかとか、すごく聞いてくださるのでありがたいです。台本の読み合わせの段階から、横山さんの書いたセリフに対しての解釈をみんなでディスカッションする時間を作ってくださいましたし。横山:眞鍋さんと「このセリフって氷山の一角だよね」という話をよくするんですが、しゃべっている言葉の下に隠された感情というのがあって。眞鍋さんは、稽古場で、俳優さんと話し合いながらそこを見つけていこうとしてくださる演出家だなと思います。稲垣:読み終わってもまだ、これはどういうことだったんだろうってわからない部分もあるんですけど、その余韻が残る感じもとても演劇的な作品だと思います。(写真中央)いながき・ごろう1973年12月8日生まれ、東京都出身。弊誌の映画連載も好評。近作に映画『窓辺にて』、ドラマ『風よ あらしよ』など。11月10日に主演映画『正欲』が公開予定。(写真右)まとぶ・せい1976年10月13日生まれ、神奈川県出身。元宝塚歌劇団花組トップスター。現在、出演ドラマ『姪のメイ』(テレビ東京系)が放送中。近作に、『落日』(WOWOW)。ブラウス¥37,400(ソブ/フィルム TEL:03・5413・4141)スカート¥35,200(ダブルスタンダードクロージング/フィルム)その他はスタイリスト私物(写真左)よこやま・たくや1977年1月21日生まれ、大阪府出身。自身が主宰するiakuの作・演出を手がけるほか、外部への作品提供も多数。iaku『モモンバのくくり罠』は11月に開幕。『多重露光』写真館の2代目店主のカメラマン・山田純九郎(稲垣)の元に突如現れる麗華(真飛)。その息子と関わっていく中で純九郎はかつて求めた家族の愛情に触れられる予感を持つ。作/横山拓也演出/眞鍋卓嗣出演/稲垣吾郎、真飛聖、杉田雷麟・小澤竜心(ダブルキャスト)、竹井亮介、橋爪未萠里、石橋けい、相島一之10月6日(金)~22日(日)日本青年館ホールS席1万2500円A席7500円車イス席1万2500円※『anan』2023年10月11日号より。写真・魵澤和之(まきうらオフィス)スタイリスト・栗田泰臣(稲垣さん)津野真吾(impiger/真飛さん)ヘア&メイク・金田順子(June/稲垣さん)yumi(Three PEACE/真飛さん)インタビュー、文・望月リサ撮影協力・シャングリ・ラ 東京(by anan編集部)
2023年10月06日横山拓也が代表を務めるiakuの新作公演『モモンバのくくり罠』が、11月24日(金) から12月3日(日) にシアタートラム、12月8日(金) から10日(日) にABCホールで上演されることが決定した。iakuでは2年ぶりの新作公演となる『モモンバのくくり罠』は、親が形成した「家族価値」と、そこに縛られた子の生き方を見つめる作品。山中に住居を構えたある夫婦。猟期には、くくり罠で鹿や猪を捕獲、小さな畑で野菜もつくり、出来るかぎりの自給自足生活を目指した。娘は、幼い頃から当たり前に山で暮らしてきたが、徐々にこの生活に違和感をもち、また周囲から「モモンバ」と呼ばれる母のことも嫌で、ついには山を降りてひとりで生きていくことを選ぶ――。出演者には、枝元萌、祷キララ、緒方晋(The Stone Age)、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎が名を連ねている。<公演情報>iaku『モモンバのくくり罠』東京公演:11月24日(金) ~12月3日(日) シアタートラム大阪公演:12月8日(金) ~10日(日) ABCホール作・演出:横山拓也出演:枝元萌、祷キララ、緒方晋(The Stone Age)、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎iaku 公式サイト:
2023年07月19日本日4月15日より、三鷹市芸術文化センター 星のホールにてiaku『あたしら葉桜』が開幕し、舞台写真とコメントが到着した。本公演では、岸田國士初期の名作『葉桜』をモチーフに、横山拓也が現代的な視点から母娘を描く『あたしら葉桜』を二本同時上演。口語劇のパイオニアといえる岸田戯曲とiakuの関西弁口語を並べることでその影響や系譜を確認し、エンタテインメントに昇華する。演出は、iakuで長く横山とコンビを組んできた上田一軒。キャストには、第20回(2017年度)関西現代演劇俳優賞・女優賞の林英世と同・奨励賞の松原由希子の関西の実力派女優の二人が並ぶ。<作・演出・出演者 コメント>■作・横山拓也岸田國士『葉桜』朗読との2本立てに、ある種の企画性や、番外公演的な印象をお持ちかもしれませんが、これこそiakuというものをふんだんに楽しめる公演になりました。iaku黎明期から演出家として関わり、この何年かは外側から見つめてきた上田一軒さんが、改めてiakuが目指してきたものを示してくれたように思います。ともに2017年に関西現代俳優賞の女優賞と同奨励賞を受賞している林英世さんと松原由希子さんという、大阪を代表する二人の名優が、大正末期と現在の母娘を連続で演じる醍醐味。100年前の口語と、関西弁現代口語を見比べる面白さも浮かび上がりました。ストイックに稽古を積み上げきて、研ぎ澄まされた俳優二人が、シンプルで逃げ場のない空間に生き生きと立っている様を、どうぞご堪能ください。■演出・上田一軒和歌の世界に「本歌取り」という手法がありますが、横山拓也の『あたしら葉桜』は岸田國士の『葉桜』をこれ以上ないくらいみごとに本歌取りした、まさに本歌取りのお手本のような作品です。母と娘、娘の結婚、母と娘の関係性やすれ違いなどの要素は本歌そのままに、ほぼ同じテーマを時代や社会背景を変えて描いています。また、横山拓也はこの作品で岸田國士の作劇の方法やセリフを書くアプローチ、ユーモアセンスまで本歌取りしているように見えます。が、同時にまごうことなき横山拓也独自の作品に仕上がってもいます。どちらの戯曲も一場のみの30分~40分の2人芝居というシンプルな作りがゆえに、読めば読むほどセリフの構成の巧みさが際立って見えます。それを俳優と共に汲み取って舞台上に移し替える作業は大変繊細に行わなければならず、苦労しましたが、苦労の甲斐はあったと思います。『あたしら葉桜』の上演をより楽しんでもらう為に、『葉桜』の方は〈朗読〉形式とし、いくつかの表現上の要素は削ぎ落としていますが、朗読の一形式として楽しんでもらえるのではないかと思います。また、林英世さん、松原由希子さん、2人の女優の役の呼吸を皮膚感覚で追っていくような繊細な演技も素晴らしいです。是非、劇場で『あたしら葉桜』の本歌取りの巧みさを楽しんでいただきたいです。■出演・林英世初めまして、三鷹芸術文化センター。3年前、来るはずだった星のホール。前回、コロナで中止になった時、またいつかやらせてくださいと、横山さんにお願いしましたけど、正直、本当にやれるとは思っていませんでした。年齢的にもギリかな、次は私じゃないかなと思っていたので。この機会を頂いて、一軒さん、松原さんとこの作品にまた取り組めて、本当に良かったです。初演から数えて3度目の稽古場は、いろんなものが広がって、繋がって、だからこそ迷路にはまって、見失って、見つけて、捨てて、拾っての繰り返しでした。俳優として、また生活者としての自分が試される稽古場でした。そして、そんな果てしない旅を、飽くことなく楽しみました。横山さんの作品はとても柔らかくて、どんな形にもなります。だから関わる人達が違うと別の作品になるんでしょうね。同じような人生でも、ひとつひとつが違うように。さて、私たちの『あたしら葉桜』がどんなふうに出来上がったのか……是非、劇場へ見届けにいらしてください。お待ちしてます。■出演・松原由希子コロナによって上演中止となってから3年。長い間待ち望んでいた作品を、やっと上演できて嬉しいです。この機会に感謝して、演じたいと思います。岸田國士『葉桜』、横山拓也『あたしら葉桜』どちらも演じるには難易度の高い作品。苦戦しました。しかし、この2作を並べて演じることで、戯曲の面白さが何倍も鮮明になって、やっぱり楽しい。お客様とその面白さを共有していきたいなと思います。<公演情報>iaku『あたしら葉桜』『あたしら葉桜』ビジュアル作:横山拓也演出:上田一軒出演:林英世/松原由希子(匿名劇壇)【東京公演】2023年4月15日(土)~23日(日)会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール4月15日(土) 14:00★【託】/18:00★【託】4月16日(日) 14:00★4月17日(月) 休演日4月18日(火) 19:304月19日(水) 14:004月20日(木) 14:00/19:304月21日(金) 19:304月22日(土) 14:00/18:004月23日(日) 14:00※開演の1時間前より受付開始、30分前開場※上演時間は約70分を予定★:早期観劇割引公演【託】:託児サービス【チケット料金】一般:前売 3,500円/当日 4,000円U-25(25 歳以下):前売 2,000円/当日 2,500円(当日、年齢が確認できる書類拝見)高校生以下:前売・当日とも1,000円(当日学生証拝見)■早期観劇割引一般:前売 3,000円/当日 3,500円U-25(25歳以下):前売 1,500円/当日 2,000円(当日、年齢が確認できる書類拝見)高校生以下:前売・当日とも500円(当日学生証拝見)※全席指定※「U-25」及び「高校生以下」は、いずれも公演当日の年齢。※未就学児入場不可【大阪公演】2023年4月28日(金)~30日(日)会場:インディペンデントシアター2nd4月28日(金) 19:004月29日(土) 14:00/18:004月30日(日) 14:00※開演の1時間前より受付開始、30分前開場※上演時間は約70分を予定しています【チケット料金】一般:前売 3,500円/当日 4,000円U-25(前売・当日共):2,200円高校生以下(前売・当日共):1,100円※全席指定※「U-25」及び「高校生以下」は当日年齢を確認できるものを提示※未就学児入場不可チケットはこちら:公式ホームページ:
2023年04月15日iaku『あたしら葉桜』が、4月15日(土) より三鷹市芸術文化センター 星のホールにて上演されることが決定した。本公演では、岸田國士初期の名作『葉桜』(朗読劇)と、『葉桜』をモチーフに横山拓也が現代的な視点から母娘を描く『あたしら葉桜』を二本同時上演。口語劇のパイオニアといえる岸田戯曲とiakuの関西弁口語を並べることで、その影響や系譜を確認しエンタテインメントに昇華させる。演出は、iakuで長く横山とコンビを組んできた上田一軒。キャストは、第20回(2017年度)関西現代演劇俳優賞・女優賞の林英世と同・奨励賞の松原由希子の関西の実力派女優の二人が出演する。■作・横山拓也 コメント現代のテレビドラマなどに見る口語セリフの第一人者とも言われる岸田國士。セリフの書き様に徹底的こだわった岸田國士にシンパシーを持っています。彼の初期作品の数々から、当時に生きる人たち(庶民よりは少し裕福な人たち)の日常のニオイが嗅げる面白味は、戯曲が時代を越えて存在する意義を感じさせてくれます。私もセリフにこだわった作品づくりを行なっているので、いつか時代を経ても楽しんでもらえるものを書ければ、と思っています。『葉桜』(朗読)と『あたしら葉桜』の連続上演は、二つの時代と、二人の作家を並べて見つめる企画です。文豪に肩を並べる気はさらさらありませんが、こうやって勝手に真っ向勝負を挑めるのはなかなか楽しいです。コロナで中止になってから3年。ようやくリベンジの時が来ました。劇場でお会いできますことを、心より楽しみにしています。<公演情報>iaku『あたしら葉桜』作:横山拓也演出:上田一軒出演:林英世/松原由希子(匿名劇壇)【東京公演】2023年4月15日(土)~23日(日)会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール4月15日(土) 14:00★【託】/18:00★【託】4月16日(日) 14:00★4月17日(月) 休演日4月18日(火) 19:304月19日(水) 14:004月20日(木) 14:00/19:304月21日(金) 19:304月22日(土) 14:00/18:004月23日(日) 14:00※開演の1時間前より受付開始、30分前開場※上演時間は約70分を予定★:早期観劇割引公演【託】:託児サービス【チケット料金】一般発売:2月17日(金)一般:前売 3,500円/当日 4,000円U-25(25 歳以下):前売 2,000円/当日 2,500円(当日、年齢が確認できる書類拝見)高校生以下:前売・当日とも1,000円(当日学生証拝見)■早期観劇割引一般:前売 3,000円/当日 3,500円U-25(25歳以下):前売 1,500円/当日 2,000円(当日、年齢が確認できる書類拝見)高校生以下:前売・当日とも500円(当日学生証拝見)※全席指定※「U-25」及び「高校生以下」は、いずれも公演当日の年齢。※未就学児入場不可【大阪公演】2023年4月28日(金)~30日(日)会場:インディペンデントシアター2nd4月28日(金) 19:004月29日(土) 14:00/18:004月30日(日) 14:00※開演の1時間前より受付開始、30分前開場※上演時間は約70分を予定しています【チケット料金】一般発売:2023年2月18日(土)一般:前売 3,500円/当日 4,000円U-25(前売・当日共):2,200円高校生以下(前売・当日共):1,100円※全席指定※「U-25」及び「高校生以下」は当日年齢を確認できるものを提示※未就学児入場不可チケットはこちら:公式ホームページ:
2023年01月13日8月4日、iaku『あつい胸さわぎ』が初日を迎え、舞台写真と作・演出の横山拓也の開幕コメントが届いた。本作は、2019年の初演時に東京・大阪全23ステージが満員となり、出演者の枝元萌が第27回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど各所で話題を呼んだ舞台。再演となる今回は、平山咲彩、枝元萌(ハイリンド)、橋爪未萠里、田中亨、瓜生和成(小松台東)が出演する。■横山拓也 コメント横山拓也暑い夏の物語が、大雨の中で開幕しました。コロナにまつわる様々な苦悩が、この雨で洗い流されれば良いのに。どうにか無事に初日を迎えました。3年ぶりの再演。上演時間が約10分伸びました。台本はほぼ変わっていません。セリフの行間の演技が濃密になり、じっくりと見守り続けたい表情、心情が色濃くなったんだと思います。この生き辛く、見通しの悪い時代に、人の優しさや、応援の気持ちに触れていただければと思います。恥かしいくらいにストレートですが、こんなに誰かの心の支えになれる作品は当分つくれる気がしません。たくさんの方に観ていただきたいです。<公演情報>iaku『あつい胸さわぎ』iaku『あつい胸さわぎ』メインビジュアル【日程】東京:8月4日(木)~14日(日) 下北沢 ザ・スズナリ大阪:8月18日(木)~22日(月) インディペンデントシアター2nd作・演出:横山拓也出演:平山咲彩 / 枝元萌(ハイリンド)/ 橋爪未萠里 / 田中亨 / 瓜生和成(小松台東)【アフタートーク】■東京公演8月5日(金) 18時の回上演後出演者全員 / 横山拓也8月10日(水) 18時の回上演後まつむらしんご監督 / 横山拓也■大阪公演8月19日(金) 19時の回上演後まつむらしんご監督 / 横山拓也公式HP
2022年08月05日8月に東京と大阪で上演されるiaku『あつい胸さわぎ』のアフタートークの詳細が発表された。横山拓也が作・演出を手がける本作は、2019年の初演時に東京・大阪全23ステージが満員となり、出演者の枝元萌が第27回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど各所で話題を呼んだ。小説家を志して、芸大に進学した千夏と、縫製工場で働く母・昭子は、決して裕福ではないが笑いの絶えない母娘の二人暮らしを送っている。あるとき、昭子の会社に中途採用でやってきた木村からの提案で、サーカスを観に行く約束が交わされた。さらにひょんなことから、千夏の幼馴染で密かに思いを寄せる光輝と、昭子の同僚で千夏が憧れる女性、透子もサーカスに同行することに。しかし、娘が受けた健康診断の結果が悪く、彼女たちの生活はこれまで通りにはいかなくなり……。再演となる今回は、平山咲彩、枝元萌(ハイリンド)、橋爪未萠里、田中亨、瓜生和成(小松台東)が出演する。8月5日のアフタートークは、横山をはじめ出演者全員が登壇。初演と再演で変わった部分や、改めてそれぞれの出演者に聞いてみたいことなどがクロストークで届けられる。また10日と19日は映画監督のまつむらしんごを迎え、本作を原作とした2023年初めに公開される映画『あつい胸さわぎ』の撮影秘話や映画化に至るまでの苦労話などが披露される予定だ。■横山拓也 コメントiaku『あつい胸さわぎ』、アフタートークの詳細が決まりました。5日は、作・演出の横山拓也と出演者全員が登壇します。初演と再演で変わった部分や、改めてそれぞれの出演者に聞いてみたいことなど、クロストークでお届けします。そして10日と19日(大阪)に来ていただくのは映画監督のまつむらしんごさん。本作を原作とした、2023年初めに公開される映画『あつい胸さわぎ』の撮影秘話や、映画化に至るまでの苦労話など、詳しくインタビューしたり、改めて舞台の感想を伺ったりします。稽古も終盤に入ってきました。日々、通し稽古をしています。新たな舞台美術も俳優の身体に馴染んできました。初演のときの舞台美術は90センチ四方の高さの異なる台を段違いに並べ、登場人物たちの不安定な心理を写したのに対し、今回は丸みのある、包み込むようなイメージのデザインです。劇場との相性もバッチリだと思います。東京の劇場はザ・スズナリ。「一度はスズナリで」という長年の希望がようやく叶いました。スズナリという空間は、作品に強大な求心力を与えてくれます。劇場で立体化されるのが待ち遠しいです。<公演情報>iaku『あつい胸さわぎ』作・演出:横山拓也出演:平山咲彩、枝元萌(ハイリンド)、橋爪未萠里、田中亨、瓜生和成(小松台東)■東京:8月4日(木)~14日(日) 下北沢 ザ・スズナリ【チケット情報】※全席指定 / 税込一般前売:5,500円、当日:6,000円U-25(25歳以下):2,200円、高校生以下:1,100円早期観劇割引(8月4日(木)~7日(日) 公演)一般前売:5,000円、当日:5,500円※「U-25」及び「高校生以下」は、当日年齢を確認できるものを提示。※未就学児入場不可【アフタートーク】8月5日(金) 18:00公演:平山咲彩、枝元萌、橋爪未萠里、田中亨、瓜生和成、横山拓也8月10日(水) 18:00公演:まつむらしんご、横山拓也■大阪:8月18日(木)~22日(月) インディペンデントシアター2nd【チケット情報】※全席指定 / 税込一般前売:4,400円、当日:5,000円U-25(25歳以下):2,200円、高校生以下:1,100円※「U-25」及び「高校生以下」は、当日年齢を確認できるものを提示。※未就学児入場不可【アフタートーク】8月19日(金) 19:00公演:まつむらしんご、横山拓也チケット購入リンク:【公演に関するお問い合わせ】iaku・E-Mail: info.iaku@gmail.com(mailto:info.iaku@gmail.com)・TEL:080-9759-2383(公演期間中のみ)【チケットに関するお問い合わせ】サンライズプロモーション東京TEL:0570-00-3337(平日12:00~15:00)詳細はこちら:
2022年07月25日細やかで、リアリティあふれる会話によって市井の人々の等身大の姿を描き出すiaku。主宰の横山拓也が書き下ろす新作が『フタマツヅキ』だ。フタマツヅキ、二間続き。この言葉は、主人公の父子が暮らす市営団地の間取りを言い表している。新しいマンションのようにドアできっちりと区切られているのではなく、開けようと思えばすぐ開けられる、声も、衣擦れの音さえ筒抜けの襖だけで仕切られた部屋。父はおそらくさほど売れもしなかった元噺家で、そんな父に対して嫌悪感を抱く息子――。父を演じるのはモロ師岡。元々コメディアンとしてキャリアをスタートさせた諸岡は、一人コントを落語に仕立てた「サラリーマン落語」もライフワークとして30年近く続けている。そんな彼が噺家くずれを演じるというだけで、期待が高まる。息子役はドラマや映画で活躍しながら今回が初舞台となる杉田雷麟。さらに、横山が幾度か戯曲を書き下ろしている劇団俳優座の清水直子や、名古屋を拠点とする劇団オイスターズの主宰・平塚直隆らも集う。8人の出演者がそれぞれ出自も活動拠点もみごとにバラバラで、だからこそこんなバラバラの彼らがどのようにひとつの世界を立ち上げるのか、興味が増す。横山は関西弁の作品を多く作ってきたが、最近は標準語のものも書いている。今作も標準語で紡がれるらしい。日本各地から集ってきた役者の顔ぶれを見ると、「標準語」という言葉の意味を改めて考えたくなる。今作は東京はシアタートラム、大阪はABCホールで開催される。横山が描く会話のごとく丁寧に一作一作を重ねてきたiaku。初めてのシアタートラムで、「この数年培ってきた中劇場での上演の集大成として取り組みます」と宣言されれば、これは見逃すわけにはいかないだろう。文:釣木文恵iaku『フタマツヅキ』【東京公演】2021年10月28日(木)~2021年11月7日(日)会場:シアタートラム【大阪公演】2021年11月12日(金)~2021年11月14日(日)会場:ABCホール
2021年10月28日iakuの『逢いにいくの、雨だけど』が三鷹市芸術文化センター星のホールにて上演中だ。関西弁による、緻密でありながらくだけていて、リアリティあふれる対話を描く横山拓也の演劇ユニット、iaku。『逢いにいくの、雨だけど』は、2018年末の初演時に評判を呼び、鶴屋南北戯曲賞ノミネート、OMS戯曲賞佳作受賞などの評価も得た彼らの代表作のひとつ。横山自身、「戯曲としては集大成、演出としては新たな境地」と語る今作が、2年半ぶりの再演となる。舞台は平成3年と30年。家族ぐるみの付き合いをする、仲良しの幼い二人。しかしある日、ともに通う絵画教室で、ちょっとしたもめごとが原因で男の子が片方の目を失明してしまい、二人は被害者と加害者に分かれてしまう。27年後、事故以来会っていない彼に、彼女は会いに行こうと決意する。たった一度の不慮の事故。それが、当事者二人だけでなく、彼らを囲む家族をも変えていく。二つの時代のできごとが同時に紡がれていき、観客は次第にその変化を知ることになる。取り返しのつかないできごとを、忘れることのできない後悔とわだかまりを、人はどうやって乗り越えるのか。許すことと許されることの難しさ、複雑さは、大なり小なり誰しも感じたことがあるはずだ。この物語は、抽象的なセットの中で繰り広げられる。その一見単調にも思えるセットが、場面によって表情を変えていく。役者たちのセリフの応酬によって、背景が色づいていく。観客の想像力に委ねるこの演出は、演劇の面白さを存分に味わえる魅力のひとつだろう。年月を重ねて関係性と感情とが変化していくさまを描く今作が、2年半ぶりに初演のキャストが全員揃った状態で上演される。初演からの変化を感じられるのか、それとも変わらない8人が観られるのか。そのさまを目撃しに行きたい。東京公演の上演は4月25日(日)まで、三鷹市芸術文化センター星のホールにて。文:釣木文恵【横山拓也オフィシャルコメント】初演とはまた違った印象の舞台が立ち上がりました。舞台美術はより機能的になり、俳優の演技はより確かになりました。1991年と2018年に生きる、それぞれの登場人物の葛藤に立ち会っていただければと思います。なかなか人と逢うことが難しい時世ですが、このタイミングで同じキャスト、同じスタッフで再び逢い、初演を見てくれたお客様、新たなお客様とお逢いできる喜びを噛み締めています。公演情報iaku『逢いにいくの、雨だけど』作・演出:横山拓也出演:尾方宣久 / 異儀田夏葉 / 橋爪未萠里 / 近藤フク / 納葉 / 松本亮 / 川村紗也 / 猪俣三四郎【東京公演】上演中~2021年4月25日(日)会場:三鷹市芸術文化センター星のホール【大阪公演】2021年5月8日(土)・9日(日)吹田市文化会館(メイシアター) 中ホール
2021年04月19日人と人の議論や口喧嘩を覗き見するような感覚を抱かせる演劇ユニットiakuの最新作『The last night recipie』が本日10月28日(水)に開幕する。iakuは、劇作家・横山拓也による演劇ユニット。横山のオリジナル作品を日本各地で発表していくこと、また各地域の演劇(作品および情報等)を関西に呼び込む橋渡し役になることを目指して、関西弁口語による緻密な会話劇を展開してきた。カフェやギャラリーで紡ぐ濃密な劇空間も、大きなホールで行う作り込まれた大規模公演も、交互にこなす実力派である。本公演に向けての公式サイトには、コロナ禍を受けての横山の苦悶が入念に綴られている。「『ぜひ観に来てください!』とすら言いづらく、そもそも客席数も半分に減らす予定なので、宣伝そのものに矛盾が生じかけています」という葛藤に満ちた宣伝文だ。コロナの3文字にまつわるたくさんの矛盾。それでも演劇を辞めないのは、これからも演劇を続けてゆくためであると横山。「これまでの人生でやってきたように、選択、判断、決定をしなければいけない」と前進を決断した。そんな彼らが今回おくるのは、妻を亡くした男に押し寄せる人間関係の物語である。結婚してから毎日、昨晩食べた料理をネットにアップし続けている夫婦。「私たちの最後の晩餐は何やろね」と他愛もない話をしていた妻が突然亡くなった。「申し訳ない」と過干渉してくる妻の両親。同居を迫る夫の父親。弔問にやってくる妻の自称「親友」。夫はひとり、『ラストナイトレシピ』を振り返りながら、自分の来し方行く末を思案する——。出演に福本伸一(ラッパ屋)と竹内都子のベテラン勢が名を連ねるほか、8本のiaku作品に出演している劇団赤鬼の橋爪未萠里をはじめ、横山が深い信頼を置く俳優陣が、それぞれの事情を背負った登場人物たちを細やかに演じる。公演は11月1日(日)まで座・高円寺1にて。伊丹市公演あり。文:小川志津子iaku『The last night recipe』作・演出:横山拓也出演:橋爪未萠里 / 杉原公輔 / 緒方晋 / 伊藤えりこ / 小松勇司 / 福本伸一 / 竹内都子【東京公演】2020年10月28日(水)~2020年11月1日(日)会場:座・高円寺1【兵庫・伊丹公演】2020年11月5日(木)~2020年11月8(日)会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
2020年10月28日劇団俳優座の公演『雉はじめて鳴く』が1月10日(金)から19日(日)まで東京・俳優座劇場にて上演される。iakuの横山拓也が脚本を書き下ろし、俳優座の眞鍋卓嗣が演出を務める作品は今回が2作目となる。このタッグで2018年に行われた公演『首のないカマキリ』は、骨髄バンクや卵子の冷凍保存、献体などさまざまな形の命のつなぎかたを描き、「命の距離」を見つめる作品だった。横山は主宰する演劇ユニット・iakuのほか、幅広い脚本提供を行っている劇作家。病気や福祉、社会問題などを題材として取り上げることがたびたびあり、その部分が注目を集めがちだが、彼の真骨頂はその会話の細やかさにある。自然な会話が丁寧に積み重ねられるうち、登場人物それぞれの立場や気持ちが顕になって眼前に迫ってくる。今作の舞台は学校。県立高校に2学期からやってきたスクールカウンセラー、2年生の担任を務める教師、その教師とあるクラスメートとの関係を疑う生徒……。学校というコミュニティの中でのそれぞれの立ち位置と関係性が描き出される。「雉はじめて鳴く」とは季節を区分する二十四節気をさらに分けた七十二候のひとつ。雉のオスがメスを求めて鳴きはじめる頃を表し、ちょうど公演が行われている1月15〜19日頃をさす。10代の生徒たちが恋を自覚することと意味がかかっているのかどうか、劇場で確かめたい。文:釣木文恵
2020年01月10日軽妙な会話のやりとりの中にいまの社会が透けてみえる。そんな物語を紡ぐ関西出身の劇団、iaku。新作『あつい胸さわぎ』が、9月13日から東京・こまばアゴラ劇場で上演される。iakuの主宰であり、脚本・演出の横山拓也に話を聞いた。新作は久々に全編関西弁で、いつにも増してテンポよくカラッとした会話が繰り広げられる。「今回は意識的に関西出身の役者さん中心に集まってもらいました。関西の地域性、彼らの培ってきた明るさと、そんな人たちがシビアな問題にどう立ち向かうのかという部分が出せたらなと思っています」。題材として取り上げるのが、AYA世代と呼ばれる若年世代の乳がん。「わかりやすいので“乳がんを扱う”部分が注目されますが、いつも複合的なものを描きたいと思っています。いつも変わらない日常の中で、がんに出会った登場人物はどんな態度をとるのか、生活がどう変化するのか。むしろ描きたいのはそのときの人間の振る舞いなんです。それともうひとつ、恋愛が難しくなっている現代の、親世代と子世代それぞれの恋愛も描きたいなと考えています」。iakuでは、横山の脚本を演出家の上田一軒が手がけることが多いが、今作では横山が演出、上田はドラマトゥルク(脚本に関するリサーチ、あるいはアドバイスなどを行う役割)を担っている。初稿を読んだ上田の「エンタテインメント性はあるけれど、母娘関係が単調だ」という意見を受けて、座組内で話しあったのだという。結果、役者から挙がったある母娘の思春期のエピソードを盛り込むことにした。「娘が大人になっていくことをうまく受け入れられない親がいる。その要素を入れることで母娘関係が複雑になって、ドラマが重層的になったかなと思います」。前作から、演出面でのチャレンジも行っている。「前回の『逢いにいくの、雨だけど』から、美術家に先に作品のイメージやキーワードを伝えて、舞台美術のデザインを作ってもらってから脚本を書き出すということをやっています。これまではワンシチュエーション、ひと連なりの時間をリアルタイムで描くことが多かったのですが、シーンも時間も移動するという作品をつくろうとしたとき、抽象的な舞台であればやれることが増えるんじゃないかなと思っていま試しているところです」。常に現代の社会的な課題を織り込みながらも、「その周りでうごめく人間を描いている」横山の脚本は、これまでも多くの演出家によって繰り返し上演されている。「再演に耐えうるような作品作りには意識的に取り組んでいます。そのために毎年1作は自分が本当に今やりたい、かつ10年先にも誰にでもやってもらえるような作品を目指してiakuで新作をつくっています」。この先さまざまな演出家によって繰り返し上演されるだけの強度をもった作品がまたひとつ生まれた。今回の公演は、そんな作品が濃密な空気を感じられるサイズの劇場で、横山本人の演出で見られる貴重な機会と言えるだろう。取材・文:釣木文恵
2019年09月09日末期ガンの母親を持つ兄弟と、望まぬ子供を授かった夫婦の2組を軸に、命や家族のあり方を描いた、演劇ユニット・iakuの舞台『粛々と運針』。昨年初演の今作は、正解のない複雑な題材に、さまざまな視点からリアルに迫りつつ、時に笑いを交えて綴った、出色の舞台だった。「これまで僕は、固定した場のみで物語を展開させる戯曲を書いてきたんです。でももし、人間関係や場所、空間を超えて、他人同士の2組が議論を重ねたとしたら…。これまで課してきた枷を外して、いまの自分の筆致でどんなことがやれるのかチャレンジしたのがこの作品。ときどき、書きながらある種の手応えを感じる時があるんですが、これにもまさにそんな感触がありました」とは、脚本・演出を手がけた横山拓也さん。この傑作を含め、横山さん脚本の過去4作が「iaku演劇作品集」として一気に上演される。「ユニットの立ち上げ当初からの方針は、戯曲を使い捨てにしないこと。作家として、新作を次々やるより、寡作でも先々にまで残っていく強靭な作品を書いていきたいし、それを繰り返し上演していくことで、多くの人に届けたい。今回の試みが、作品をレパートリー化させていく第一歩になればと思っているんです」せっかくなので、横山さんに他の上演作品の紹介をお願いした。「『梨の礫の梨』は、パートナーの不在や親子の確執など、現実に生きづらさを感じている女性たちの物語です。母娘の会話劇である岸田國士の『葉桜』に触発されて書いた『あたしら葉桜』は、岸田作品と同時上演することで、近代と現代の母娘の関係性や恋愛観、結婚観を照らし合わせながら観ていただけるのではと思います。右腕を欠損した同僚を見舞った後の女性の会話劇『人の気も知らないで』は、女性同士ならではのあるあるが詰まった作品です」なんと同じ時期に、老舗劇団の俳優座から依頼を受けて書き下ろした『首のないカマキリ』も上演される。「それぞれテーマは違えど、人と人とが互いの主張を貫き通そうと言い合ううち、正論の裏の本音が見えてくる。ごまかそうと必死になる人間くささを僕はつい観察しちゃうし、そこを面白く描きたいんです」よこやま・たくや演劇ソロユニットiaku代表。劇作家、演出家。昨年、文化庁芸術祭賞新人賞を受賞。『首のないカマキリ』は、5月18日より上演。5月16日(水)~28日(月)こまばアゴラ劇場一般前売り3000円一般予約3300円一般当日3500円(すべて税込み)ほかライトアイ TEL:080・9759・2383地方公演あり。『粛々と運針』撮影:堀川高志※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年05月18日