今年は春のアリーナツアー「YOASOBI ARENA TOUR 2023“電光石火”」や、初のアメリカ公演など、精力的にライブ活動を行ったYOASOBI。ボーカルのikuraさんにとって印象的だったステージの一つを振り返ってくれた。「11月の6日と7日に行われたColdplayさんの東京ドーム公演に、私たちYOASOBIがゲストアクトとして出演させていただきました。Coldplayさんのお客さんたちの前で歌わせていただくということは一つの挑戦でしたし、そこで『YOASOBIのライブめっちゃいいじゃん!』って言ってもらえたらいいなと思っていたんです。皆さんにすごく温かく迎えていただいて、東京ドームにいた方たち全員でとても良い空間を作れたなというのをすごく実感できて、自分の中でも大きな経験になりました。その後、Coldplayさんのライブも観させていただいて、ワールドクラスでツアーをまわっている方たちの演出や、クリス・マーティンさんのボーカリストとしての存在感や素晴らしさも感じました。勉強させていただいたことがたくさんあったし、これからYOASOBIもどんどん海外でライブをしたりする経験を積んでいきたいと思っているので、自分の中で昇華して活かしていけたらいいなと思える出来事でした」そんな大舞台の数々を経験するなかで、ステージ上でのikuraさんの顔つきの変化を感じた人も多かったのでは。フロントマンとしての責任やライブに込めた想いの強さが表情に、より表れるようになったというか。「最近よく言われます(笑)。やっぱり今年一年で、私はライブバンドのボーカリストなんだという覚悟が生まれたんだなと思います」2023年の怒涛の日々を駆け抜けてきたikuraさん。Ayaseさん同様、彼女もオフの時間には、ボーカリストとして、心と体の健康を整えるために過ごしているそう。「お休みの日には、仕事を健康的にやり続けるための心と体のメンテナンスをしています。具体的にはボイトレに通ったり、整体に通ったり。整体にしても、普通の整体とボーカリストが喉のコンディションを整えるための整体と両方通っていたりして。他にも少しでも時間があると、仕事で120%発揮するための準備をしています。それも仕事といえば仕事ですけど(笑)、心と体が健康でないと活動を続けられないので。心の健康という意味では家族に会ったり、1泊2日でも旅行に出かけて大自然に身を置いてみたり、そんなことをしています。温泉に行ってリラックスするのもいいですね。そうしてリフレッシュすることで、いい気分で仕事に向かえるように。もう本当に健康的ですよね(笑)。音楽で幸せになるために日々を過ごしているんです」全力でライブ・パフォーマンスができるように日々を過ごす、そしてそれがYOASOBIにとっての幸せに繋がっていくという。「もうここ3~4年はそんな生活をしていると思います。やっぱりどちらかが止まってしまえばライブができなくなってしまうし、そうするとチーム全体が止まっちゃう。それが一番自分が苦しいというか、悔しいことなので」ひとりでは決して引き出せない、たくさんの歌い方が生まれました。作品をリリースするごとに、ボーカリストとして本当にたくさんの引き出しを開けるように多彩な歌声を聴かせてくれるikuraさん。ご自身ではどんな変化を感じているのでしょう。「YOASOBIは小説を音楽にするユニット。違う方が書いた原作の小説が全ての曲にあって、それをAyaseさんが曲にして、そのバトンをもらって私が歌を乗せるという流れ。つまりそれぞれの作品で映し出したい世界は変わるし、主人公も違うし、なので必然的に全ての曲でその曲の世界に見合った人物を歌わなきゃいけない。そこで新しい自分の歌を引き出してもらえている感覚は確かにあります。『アイドル』にしても、初めてあんなにかわい子ぶる声を出したので、『私こんな歌も歌えるんだ?』って自分でもびっくりしましたし(笑)。自分がひとりで活動していたら、ああいう歌い方は生まれなかったと思います。なのでYOASOBIの活動があったからこそ今のたくさんの自分の声が生まれたなと感じています」最後にikuraさんから見たAyaseさんの2023年の変化について意見を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。「最初にお会いしたときからずっと思慮深い人なので、すごくいろんなことをいろんな方向に考えて、チームを引っ張ってくれていると感じます。Ayaseさんは『自分はYOASOBIの外交担当なので』と言っているようにバンドのメンバーや、何百人といるスタッフさんともちゃんと深い関わりを持ちながら引っ張っていく力があるんです。私とAyaseさんのコミュニケーションにおいても『今こういう時期だからこうだよね』とか『今こんな気持ちかな、こんなふうに話しかけてみようかな』とか、お互いに想像力を持って接することができています。その濃密さはここ一年でも増したんじゃないかなと。コンポーザーとしてのAyaseさんは、もう私は何も言うことはないですが、人間としての深さをより感じることのできた一年でした」イクラYOASOBIのボーカル。ソロの幾田りら名義ではシンガーソングライターとして活動。あのとダブル主演を務めるアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が来年3月と4月に公開予定。ミリタリーブルゾン¥88,000(NKGW/ノントーキョー TEL:03・6432・6079)ナイロンブルゾン¥23,100パンツ¥24,200(共にパメオポーズ/パメオポーズ 表参道本店 TEL:03・3400・0860)ピアス¥30,800リング¥34,650(共にプリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777)その他はスタイリスト私物ヨアソビ2019年に結成した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット。コンセプトは“小説を音楽にするユニット”。シングル『勇者』の〈完全生産限定盤〉(CD+巻物ブックレット)が発売中。※『anan』2023年12月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・船橋翔大ヘア&メイク・YOUCAプロップスタイリスト・松尾 優森井耕作取材、文・上野三樹撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2023年12月24日4月にリリースした「アイドル」の歴史的なメガヒットや、初の単独アリーナツアーで全国を駆け抜けたYOASOBI。そんな音楽ユニットYOASOBIのコンポーザー・Ayaseさんとボーカル・ikuraさんのインタビューをお届けします。怒涛の’23年を振り返る。世界に届いた曲とライブ。――デビューから4年というキャリアの中で、YOASOBIにとって2023年はどんな一年だったのだろうか。ふたりに振り返ってもらった。Ayase:やっぱり2023年はYOASOBIにとってライブの一年だったなと感じています。もちろん「アイドル」がたくさんの人に聴いてもらえたことは嬉しいですし、そこで日本のみならず海外の方たちにも注目してもらえたり、活動の幅が広がったのは間違いないんですけど。僕たちが活動をするなかで、自分たち発信で大きなモチベーションにもなった初めてのアリーナツアーがすごく印象的な一年でした。単純にライブに向き合うことが僕らにとって大事なことでしたし、その中でYOASOBIに対する向き合い方や考えることも多くて、成長できたなと感じました。海外での公演や、国内でのフェス出演など、一つひとつに意味がありましたけど、やっぱりアリーナツアーで得た実感は大きかったですね。チームで一緒に動き続けて、一つの目標を掲げて一緒に乗り越えていくという、その経験が初めてだったので。ikura:私も2023年を振り返るとライブの年だったなと思います。アリーナツアーを通じて確実に私たちYOASOBIチームの結束は強まりました。もちろん楽曲を作ってリリースをする普段の活動のなかでもチーム感自体はあるんですけど、もっと大勢で一つのライブ空間を作っていくときって大きな船でみんなで旅に出るような感覚なんです。その大きな船でいろんな地方をまわって、お客さんと夢のような空間を一緒に作っていく。今年初めて経験した、そんな旅のようなアリーナツアーを経ての結束力がこれからのYOASOBIの土台になるんじゃないかな。みんなで最高の時間を作るために、ボーカルとしてしっかり会場を引っ張っていかなきゃという意識も強くなりましたし、チームとしてもikuraとしてもこの一年でかなりパワーアップしたと感じています。――今年の4月に配信リリースされた「アイドル」が世界的なヒットとなり、国内にとどまらず海外まで広がっていったYOASOBI。その人気を本人たちはどのように受け止めていたのか。Ayase:「アイドル」に関しては、リリース直後から僕もリアルタイムでサーチしていたので、すぐに大きな反響を感じていました。海外の方たちにも聴いてもらえたことは本当に嬉しい限りです。今年の夏に初めてアメリカでライブをしたときにも、お客さんたちがすごく一緒に盛り上がってくれて。待っていてくれたんだなということも感じましたし、それは「アイドル」の効果が大きかったのかなと思いました。――9月には韓国のTV番組『M COUNTDOWN』で「アイドル」を披露したことも大きな話題に。ふたりも出演を楽しんだ様子。ikura:日本の音楽番組とは雰囲気が違うので、面白かったですね。本当に「アイドル」という曲がいろんなところに届いて受け入れてもらえたんだというのを韓国でも実感しました。Ayase:韓国にもいろんなジャンルの音楽がたくさんあるわけですが、そんななかでもK‐POPに特化した音楽番組に僕らが出させていただいて、しかも日本語で歌わせていただいたというのも、珍しいことだなと思います。ステージの組み方やカメラワークなども日本とは違っていて、まるで職場体験みたいで楽しかったです。――また、YOASOBIはこの一年の活動を通じてアルバム形式よりもシングルでのリリースを制作活動の中心に置いたり、アリーナツアーでは観客による写真撮影がOKだったりと、世界に水準を合わせたスタイルを取り入れてきた。海外に向けた活動についてはどんな想いがあるのか。Ayase:あんまり偉そうなことは言えないですけど(笑)、海外からも求める声をいただけたら全力で応えていきたいです。自分たちとしては、いい曲を作って、いいパフォーマンスをして、自分たちが楽しいとかカッコいいと思える音楽スタイルでやり続けることが一番大事なので、そのなかでいろんな可能性が広がっていけば僕らも飛び込んでいきたいです。でもそのあたりは肩肘張らずにナチュラルに活動していけたらと。11月にColdplayの東京ドーム公演にゲスト出演させていただきましたけど、彼らみたいにワールドツアーをやってみたいなとか、そんな気持ちもあります。規模が大きくなるってすごいことですし、嬉しいことですけど。まずはいろんな国の方たちとコミュニケーションをとりたいし、より多くの国の人々に自分たちの音楽が届いてる実感が得られたら、僕らの人生はより楽しいだろうなと思います。――TVアニメ『葬送のフリーレン』に「勇者」、『【推しの子】』に「アイドル」などTVアニメのOPテーマやEDテーマとして曲を書き下ろすことも多い彼ら。今回の特集「エンタメ NEW FILE」にからめてアニメタイアップ曲における、制作上の大変さや面白さについて聞いてみた。ikura:アニメーションがあって、曲ができて、そこに歌を乗せていくときは、正解が最初はなかなか見つからないことが多いので、何時間も探りながらレコーディングをすることも。声色や歌い方のニュアンスを決めていく段階では、どのタイアップ曲においても時間をかけています。大変さはありますが、みんなで宝探しをしているような時間って意外と楽しいんですよね。Ayase:「勇者」は特に時間がかかりました。アニメのタイアップ曲の歌入れの場合は3パターンあるんです。ikuraが自分で用意して考えてきた歌声が本当にフィットしてそのままレコーディングするパターンと、僕の頭の中にあるこういう声が欲しいっていうイメージをベースに生み出していくパターン、あとは歌ってみないと正解がわからないなというパターン。「勇者」に関しては僕のなかでも何個か選択肢がある感じだったので、どれが正解なのかという選定に時間がかかりました。後悔したくないから、こだわり始めると細かくこだわっちゃうゾーンに入るときがありますね(笑)。――これまで制作されたアニメタイアップ曲がいずれも大きな話題になっているのは、まさに作品の持つ力とYOASOBIの相乗効果の賜物。自分たちの楽曲とアニメとの相性の良さには自信がある。Ayase:YOASOBIの楽曲とアニメーションはすごく親和性が高いと感じています。僕らはMVにしても、アニメーションのものばかりですし。やっぱりストーリーミュージックを手掛けているので、YOASOBIにアニメの主題歌を担当させてくれれば、絶対間違いないですよっていう気持ちでいます。作品に対する理解度は誰よりも持って作っているつもりですし、納得してもらえる曲を作る自信があるんです。ヨアソビ2019年に結成した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット。コンセプトは“小説を音楽にするユニット”。シングル『勇者』の〈完全生産限定盤〉(CD+巻物ブックレット)が発売中。アヤセ(写真右)YOASOBIのコンポーザー。全ての作詞・作曲を手掛けている。2018年からボカロPとして活動。LiSAや鈴木雅之ら数々のアーティストに楽曲提供などを行う。’22年より自身がボーカルを務めるソロ活動もスタート。ダブルジャケット¥31,900(ルイス/ルイス EX ストア トウキョウ TEL:03・6452・5544)中に着たブルゾン¥35,200(ブルーナボイン/ブルーナボイン代官山店 TEL:03・5728・3766)パンツ¥16,940(メゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店 TEL:03・6451・1660)ブーツ¥44,000(アシックス/アシックスジャパン お客様相談室 TEL:0120・068・806)イクラ(写真左)YOASOBIのボーカル。ソロの幾田りら名義ではシンガーソングライターとして活動。あのとダブル主演を務めるアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が来年3月と4月に公開予定。パーカ¥74,800(ハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239)リブトップス¥29,700(ウィザード/ティーニーランチ TEL:03・6812・9341)キャミソールドレス¥63,800(エボニーinfo@ebony00.com)ブーツ¥24,200(アメリ/アメリヴィンテージ TEL:03・6712・7887)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年12月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・船橋翔大ヘア&メイク・YOUCAプロップスタイリスト・松尾 優森井耕作取材、文・上野三樹撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2023年12月23日コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット・YOASOBIが22日、神奈川・ぴあアリーナMMで行われた「MTV VMAJ 2023 Pre-Show」に登場した。「MTV VMAJ」は、全米最大規模の音楽授賞式「MTV Video Music Awards」の日本版として、2002年以来開催されている音楽アワード。音楽シーンの多岐にわたる部門において最も優れた作品を発表する“ミュージックビデオの祭典”で、YOASOBIは「アイドル」で「Song of the Year」を受賞した。「MTV VMAJ 2023」に先駆けて行われたプレイベント「MTV VMAJ 2023 Pre-Show」では、Paramount+(パラマウントプラス)のブランドカラーをイメージした、“ブルーカーペット”にアーティストが登場した。ikuraは、ブルーカーペットについて「私たちあまりこういった経験がないので、ワクワクドキドキしています」と感想をコメント。ファンへの感謝も述べ、「これからもどうぞよろしくお願い致します」と呼びかけた。
2023年11月22日『【推しの子】』のOP主題歌「アイドル」を担当する、YOASOBIのふたりに、作品を音楽で表現した制作の裏側を聴きました。――主題歌「アイドル」が、グローバルなヒットになりました。ikura(以下i):嬉しさとともに驚きもあります。ここまで世界中のみなさんに届くとは予想していなかったので。Ayase(以下A):想像以上の反響に驚いていますね。――原曲は、Ayaseさんがコミックスを読まれた際に制作されたそうですね。A:そうなんです。シリアスな展開もあるのですが、物語として面白すぎて、これを楽曲として表現したいと個人的にデモを作りました。サウンドは当時のものがそのままベースになっています。――その後、原作者の赤坂アカ先生がYOASOBIさんのために書かれた短編小説「45510」を基に歌詞を書かれたと。A:「アイドル」という存在、それを取り巻く芸能界をテーマにしました。小説を音楽にするユニットなので「45510」を中心に、漫画から受けたインスピレーションや、オープニングとして視聴者がワクワクする楽曲としてバランスをとっていきましたね。i:ボーカルとしても「アイドル」らしさを意識しています。今回の曲にはラップパートもあるのですが、ラッパーのようにカッコよく表現するのではなく、アイドルのキュートさやキャッチーさを考えながら声色を作りました。――『【推しの子】』以外にもアニメの主題歌を数多く担当されていますが、心がけていることは?A:アニメのオープニングは毎週流れるものになるので、物語の始まりだけでなく、全体像を捉えることを心がけています。物語が進む中でだんだんと面白みが増していくような、視聴者にも(物語の展開に)気づきが与えられるような楽曲が目指しているところです。――『【推しの子】』では芸能界の裏側も描かれますが、おふたりから見てもリアルに感じますか?A:はい。特に、炎上のようなネガティブな現象に対して描かれるキャラクターたちの心情が。i:確かに、キャラクターたちの心の動きは、同じ人間であるのを実感させられるくらいリアル。――『【推しの子】』ではSNSの意見に揺れる若者たちが描かれています。おふたりにも様々な意見が届くと思いますが、自信や自己肯定感を保つ秘訣はありますか?A:いや、僕自身は自己肯定感がまったくなくて。というより、SNSがこれだけ普及した世の中だと、持ちにくいと思いますね。i:ミュージシャンとしてではなく、自分が生きる上での自己肯定感で言うなら、私は高い方だと思います。幼少期にアメリカに住んでいたのが大きくて、自分らしさが尊重される環境でした。日本だと周りに合わせるのが正しいとされる場面も多いように感じるので、その違いはあるかなと。――なるほど。では、おふたりがYOASOBIを続ける上で大切にしているモチベーションとは?A:最強のJ‐POPアーティストになることを目標としているので、評価されることはひとつの軸です。ただ、今後はこの「アイドル」のヒットを超えないといけない…という新たな重圧も正直あります。なので、ヒットとは別に、身近な人が頑張りを認めてくれることが、自分にとって励みになっていますね。i:私は、Ayaseさんが作った曲にフィットする最高のボーカルを乗せることが大きなモチベーションです。今回の「アイドル」も、見たことのない自分に出会えた喜びがあります。挑戦の連続で心身ともに疲弊するのですが、これからも楽しみながら頑張ります。ヨアソビコンポーザー・Ayaseと、ボーカル・ikuraによる小説を音楽にするユニット。2019年に結成。「アイドル」はBillboard世界チャート(米国を除く)で1位に。TVアニメ『【推しの子】』原作は、赤坂アカと横槍メンゴによる同名漫画(2020年より『週刊ヤングジャンプ』にて連載中)。伝説的な人気を誇る夭逝のアイドル・アイと彼女の子で双子のアクアとルビーを中心に、華やかだがシビアで残酷な芸能界やアイドルの世界をリアルに描いた作品。各配信サイトで配信中。©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会※『anan』2023年7月19日号より。取材、文・森 樹(by anan編集部)
2023年07月18日島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さん、この4人の直木賞作家とのコラボ企画を始動させたYOASOBI。4つの短編小説を一冊にまとめた書籍『はじめての』が発売され、これらを原作とする楽曲を順次発表していく。まさに「小説を音楽にするユニット」としての真骨頂とも呼べる企画に、Ayaseさんもikuraさんも純粋に楽しんで取り組んでいる様子です。――これまでも「小説を音楽にするユニット」として活動されてきましたが、お二人は今回の企画にどんなやりがいを感じていますか。Ayase:今回は名だたる作家さんたちに、お力を貸していただいているというのもあって、今まで以上に原作に触れてくれるリスナーも増えるんじゃないかと思っています。まさにYOASOBIの神髄みたいな企画なので、この一年をかけて、あらためて皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。ikura:私も今回の企画のお話を聞いた時から、どんな作品を書いていただけるんだろうってワクワク、楽しみにしていました。――では、お二人が4作の短編を読んで感じたことは?Ayase:当たり前すぎて言うのも憚られますが、どの作品も本当にめちゃくちゃ面白かった。“はじめての”というテーマで皆さん全然異なる世界観で表現されて、それぞれのゴールに向かっていく。初めて読んだ時の鮮度を落とさないよう、最初に読み終えて感じたことはメモに書き留めました。どの曲も一番最初に感じたことをもとに音楽を作っていきます。ikura:どの作品も読み終えた時に、私は経験していないのに、心の奥底に潜んでいた自分の経験を呼び起こしてもらったような感覚がして。すごく神秘的な体験でした。私も、いつも小説を読む時のワクワク感から始まって、読み終えた後の余韻まで純粋に楽しみました。その後に「この感動を歌でも伝えなきゃ」って気持ちに切り替わりました。――第一弾となる楽曲「ミスター」は島本理生の短編小説「私だけの所有者」をもとに書き下ろされました。アンドロイドと所有者による切ない物語ですが、Ayaseさんが音楽に落とし込みたいと思った部分は?Ayase:「ミスター」に関しては、白のイメージがあって、曲調の話をざっくりすると、ちょっと’80年代のシティポップっぽいものになっています。僕は小説を読む時に常に映像として登場人物や背景を思い浮かべるんですが、「私だけの所有者」はすごく懐かしい色褪せ方をしている世界観だなと思ったので。アンドロイドの無機質さと、近未来のSF感を出したくて音を選んでいきました。――切ない物語ですが、ポップで口ずさみやすい曲調になりました。Ayase:はい。原作はわりとメッセージ性のある話だと思うし、アンドロイドと他の登場人物との関係性や事件は、時代を風刺している気も。そういうシリアスな原作を読んだ時には、僕はどちらかというとポップな曲が思い浮かぶんです。シリアスさを内に秘めたままポップな感じを出すと、アンドロイドの感情にリンクするなと。――ではikuraさんは「ミスター」を聴いて、どんなふうに歌と向き合いましたか。ikura:私がアンドロイドの気持ちになった時、すごく悲しかったんです。心の中が温かくなったつもりでも、芯の部分は機械だから、やっぱり冷たい。そこに儚さや切なさを感じて。ただ感情的に歌えばいいわけではなくて、どこかに陰や闇の部分を声色でも出せたらなと。そのバランスは意識しました。レコーディングの時は、主人公であるアンドロイドのあの子だったらどんなふうに歌うかなって考えたら、“降りてきた”感じがして。――アンドロイドまで“降ろせる”ってすごい技術ですよね。ikura:確かに、初めての経験でした(笑)。――私がこの短編小説集『はじめての』を読んで感じたのは、作家さんたちそれぞれの世界観で描かれながら、どこか通じているものがある気がしたんです。それはYOSOBIが持っているYOASOBIらしさや表現世界が、少なからず作家さんにもインスパイアを与えたのではないかと思ったんですが。Ayase:それは僕はあんまり感じなかったですね。そもそもYOASOBIらしさみたいなものを意識したことがないです。常に良い作品を作ろう、楽しくやろうってことしか考えてなくて。その結果、人それぞれでYOASOBIらしさみたいなものを感じてもらえたらと思います。『はじめての』¥1,760(水鈴社)。島本理生「私だけの所有者」を原作にした第一弾楽曲「ミスター」配信中。他楽曲も順次配信予定。3月23日には初のライブ映像作品集『THE FILM』がリリースされる。【完全生産限定盤(2BD+特製バインダー+ライブ写真集)】¥10,000(ソニー・ミュージックエンタテインメント)ヨアソビ右・Ayase(コンポーザー)と左・ikura(ボーカル)からなる「小説を音楽にするユニット」。2019年に公開した「夜に駆ける」が大ヒット。’21年に初のCD『THEBOOK』をリリース。同年、初の有観客ライブ「NICE TOMEET YOU」を日本武道館で2日間開催するなど勢いはとどまるところを知らない。Ayaseさん・ニット¥105,600パンツ¥87,450(共にKIDILL×rurumu/Sakas PR TEL:03・6447・2762)靴¥19,800(PG/PRAYGROUND TEL:03・5738・1872)ネックレス¥15,400(JieDa TEL:03・6427・8464)ikuraさん・シャツ¥28,600パンツ¥27,500(共にPHEENY TEL:03・6407・8503)ベスト¥23,100(F/CE.(R)/F/CE. Flagship Store Tokyo TEL:03・6452・5867)靴¥39,600(MANA/コンコルディア TEL:03・5829・6611)ピアス¥26,400(LEVENS/Comcode Showroom TEL:03・6804・3108)※『anan』2022年2月23日号より。写真・澤田健太スタイリスト・藤本大輔(tas)ヘア&メイク・YOUCAインタビュー、文・上野三樹(by anan編集部)
2022年02月20日シンガーソングライター・幾田りらが新曲「Answer」を発表。リリース日は未定となっている。“小説を音楽にするユニット”YOASOBIのボーカル・ikuraとしても活動し、アコースティック・セッション・ユニットのぷらそにかにも参加している、シンガーソングライターの幾田りら。そんな彼女が新曲「Answer」を発表した。「Ansewer」は、2月16日(火)より放映される、東京海上日動あんしん生命のCMソングに決定。幾田自身が作詞・作曲を務めた本楽曲は、自身が感じてきた環境の変化や葛藤、悩みなどの日常的な経験への想いを、“チャレンジすることを応援したい”というメッセージに重ねて制作したという。優しい歌声とリスナーの日常に寄り添った歌詞で生まれた、幾田の新たな楽曲を是非チェックしてみて。【詳細】幾田りら「Answer」リリース日:未定
2021年02月18日小説、音楽、映像など、あらゆるメディアを通じて作品を展開し、いま若者の音楽シーンを席巻する音楽ユニット・YOASOBI。何度でも聴きたくなるやみつきの音楽性と、こだわり抜かれた世界観で言葉を操る、最注目の二人に迫ります。横断的なメディア展開で、若者から中毒者が増加中!“小説を音楽にする”をコンセプトに誕生したYOASOBIは、作詞・作曲ほか楽曲制作のすべてを手がけるAyaseと、ボーカルのikuraからなる男女2人組音楽ユニット。昨年11月に「夜に駆ける」のミュージックビデオ(以下、MV)を初公開、その約1か月後に同曲のダウンロード/ストリーミング配信がスタート。若者たちの間で“歌ってみた”動画が拡散され、デビューわずか半年足らずで大注目のアーティストに急成長を遂げた。小説+楽曲+MVと、メディアを自由自在に操り、それぞれのクリエイティブで作品を配信し続けるYOASOBIの、そのダイナミックな仕掛けや、活動内容を追ってみた。派生する世界観を解説!YOASOBIマップ【NOVEL】物語の世界観を音楽で表現するYOASOBIにとって、小説はその核となる要素。一般公募にて選出された小説や、プロの作家による小説などを原作として、楽曲を制作している。原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』(双葉社)も9/18に発売!【MUSIC】原作小説をもとに、コンポーザーのAyaseが作詞・作曲を手がけ、ボーカルのikuraが歌を乗せる。デビューから約8か月の間に配信された以下の4作品に加え、9/1には5作目となる最新曲、「群青」が配信されたばかり。CMソングにも起用されている。【VIDEO】YOASOBIを構成する大事な一要素。原作小説や楽曲の配信だけで終わらず、さらに世界観をイメージしやすく視覚化させたMVは、基本アニメーションで展開。毎回曲の世界観に合った異なるアニメーターを起用し、より鮮度が上がったキャッチーな物語が展開される。1st『夜に駆ける』Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート「Streaming Songs」では総再生回数1億回を突破した、YOASOBIのデビュー作であり代表作。【NOVEL】『タナトスの誘惑』星野舞夜【MUSIC】テーマ:夏の夜、君と僕の焦燥。【VIDEO】映像・藍にいな2nd『あの夢をなぞって』花火大会をキーに、予知夢を見たクラスメイトの少年少女の恋物語を描いた作品を、楽曲にしたもの。胸がキュンとする夏のラブソング。3rd『ハルジオン』作家の橋爪駿輝氏原作の楽曲。エナジードリンクとのタイアップソングで、リモート演劇「劇団ノーミーツ」が8月に行った公演の主題歌にも。4th『たぶん』これまでのドキドキするようなキャッチーな恋愛ソングとは違い、別れを描いたミドルテンポの切ないラブソング。今年7月に公開された。ボカロPのAyaseがインスタでikuraを発見!――自己紹介と、YOASOBIの成り立ちを教えてください。Ayase:僕はYOASOBIの楽曲の作詞と作曲を手がける、いわゆるコンポーザーです。ikura:私はAyaseさんが作った曲を歌っていますが、普段は自分で曲を作って歌う、シンガーソングライターとしても活動しています。Ayase:YOASOBI誕生のきっかけは、“小説を音楽にする”というコンセプトで楽曲を作りませんかとお声がけいただいたことから。僕はボカロP(音声合成ソフト“ボーカロイド”を使って曲を作る人)でもあるし、バンドでも自作の曲で歌っていたんですが、誰かが書いた物語を曲にして世に出すという新しい試みに興味を持ちました。ボーカル探しを始めたら、インスタでカバー動画を上げていたikuraを発見して、連絡をしたんです。ikura:“小説にまつわるユニット”という説明を聞いて最初は「なんじゃそりゃ」って思ったけど(笑)、YouTubeでAyaseさんの曲を聴いた時に、音とメロディにすごく中毒性を感じて衝撃を受けて、それで一緒にやりたいって返事をしました。――他のアーティストにはない活動内容が注目を集めていますね。Ayase:はい。テーマを決めて小説を募集し、その中から1作品を選んでサブスクリプションに楽曲をリリース、そしてMVを発表する。ネットの世界が主軸です。ikura:第一印象は、明るい私に対して暗い方なのかなって思ってたけど…。Ayase:人見知りしてたかな。僕もめちゃめちゃ明るいです(笑)。ikuraは素直でピュアな心を持ちつつ、しっかりした女の子だなっていうのが第一印象。想像通りで求めていた歌声でした。言葉のインスピレーションが生む創造性。――小説は楽曲に対してどんな位置づけなのでしょうか。Ayase:小説、楽曲、MVがすべて1つの作品だと考えると小説は“骨”。歌詞は“肉”で、ikuraの歌は“皮膚”かな。となるとMVは“服”になるのかな。ikura:うん、MVのビジュアルから入る人もいるからね。――なるほど、すごく腑に落ちました。小説を選んでから歌詞はどのように作り上げるんですか?Ayase:曲にすることは考えずに小説として読んで面白い作品を選び、直感で言葉を拾うんです。――各作品から、お二人がピンときた言葉が知りたいです。Ayase:「夜に駆ける」の原作『タナトスの誘惑』なら“さよなら”。Aメロの始まりが“さよなら”なんですが、最初に結論を匂わせておいて完結した時に、あ、これが最初の“さよなら”だったんだとわかる。伏線を張るような作り方をするのが好きなのかも。ikura:私は“ニッコリと笑っていた”。小説ではハッとして答え合わせが始まるシーンで、曲では転調する大事な言葉。あと“夜空に向かって駆け出した”も。Ayase:僕も同感。駆け出したというのは自殺してしまったことなんだけど、そういうグロテスクな感じのものってポップな表現で包むほど、グロテスクさが際立つと思っていて、言い回しがキレイだと思った。「あの夢をなぞって」の原作『夢の雫と星の花』では“好きだよ”かな。こういうストレートな表現は、物語が複雑に絡んでいる中にポンと入ることで一気に現実感を帯びるんです。ikura:私は“光のカーテンのように目の前いっぱいに広がっている”が好きなシーン。曲ではサビの頭の“あぁ”で花火が上がり、花火が反射した光のカーテンが広がるイメージで歌いました。――曲を作る人と歌う人とでは、選ぶ言葉やシーンが違いますね。Ayase:そうですね。「ハルジオン」の原作『それでも、ハッピーエンド』は“わたしたちは美しかった”の過去形の一文に時間の流れや二人の関係性、今の私は美しくないといういくつもの意味が集約されているように感じた。小説『たぶん』に関しては曲のタイトルは「たぶん」以外の選択肢がなかった。目を閉じて始まり、物語は“たぶん”で進んでいくから。ikura:私が気になったのは“同居人”という言い回し。主人公が男性か女性かあえてわからないようにしているけど、もし性別がはっきりしていたら違う歌い方になったと思う。それと10テイクぐらい録り直して苦労したのが、思わず零れ落ちたというニュアンスの“お帰り”。深い意味はなく、無意識に零れ落ちるような“お帰り”は本当に難しかったです。そして“埃”という言葉。この小説のテーマが“埃っぽい朝のこと”なんですが、“埃”の一文字で明確に描かれてはいない二人の結末に切なさを感じました。Ayase:へぇ~、ikuraちゃんの気持ちをいま初めて聞きました(笑)。面白いですね。ヨアソビコンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」。2019年11月に公開された第1弾楽曲「夜に駆ける」は、各種配信チャートで1位を席巻し、さらにストリーミング総再生回数は1億回を突破。原作小説の書籍化やコミック化も発表し、ますます展開の幅を広げている。Ayaseさん・ジャケット¥94,000シャツ¥44,000ニットパンツ¥54,000ネックレス¥41,000(以上アーネスト ダブル ベイカー/ジャックポット TEL:03・3352・6912)ピアス、リングは本人私物ikuraさん・ブラウス¥62,000(アクネストゥディオズ/アクネ ストゥディオズ アオヤマTEL:03・6418・9923)キャミワンピース¥31,000(フィーニー TEL:03・6407・8503)ピアス¥38,000(オール ブルース/エドストローム オフィス TEL:03・6427・5901)パンプス¥41,000(フミエ タナカ/ドール TEL:03・4361・8240)※『anan』2020年9月23日号より。写真・宮崎健太郎スタイリスト・服部昌孝ヘア&メイク・上川タカエ(mod’s hair)インタビュー、文・若山あやJASRAC 出 2007271-001(by anan編集部)
2020年09月17日