1月28日、日本初の「わりかん保険」が発売になった。わりかん保険とは、加入者の誰かにもしものことが起きたとき受け取る保険金を、加入者の割り勘でまかなうというもの。少額短期保険を扱うジャストインケースが、がん保険としてリリースした。そんな、わりかん保険について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■40歳未満なら月500円という保険料の安さも魅力わりかん保険は、がんの診断で保険金が一律80万円出ます。保障はこれだけ、とてもシンプルです。加入者が払う保険料はいくらか、加入者が1万人でかんになった人が2人のケースで見てみましょう。保険金は80万円×2人=160万円で、保険会社の経費(30%)も支出に加えます。これをがんになっていない9,998人で割り勘すると、保険料は229円になります。がんになった人への保険金はいったん保険会社が立て替え、こうして計算された保険料を、加入者は翌月後払いするのがわりかん保険の特徴です。保険料の中身がわかる透明性がメリットでしょう。わりかん保険は、がんになる人がいなければ保険料はゼロですが、がんになる人が多くても、保険料には上限があります。年代ごとに20~39歳が500円、40~54歳が990円、55~74歳は3,190円。がんになる確率に応じた負担上限です。注意したいのは、少額短期保険なので、保険契約者保護機構の対象外ということ。保険会社が倒産したら保険料は戻らない可能性も。ただ1年契約の月払いなので、個人の被害額は大きくなりませんが。保険は本来、仲間同士でお金を積み立て、お金が必要な仲間に用立てる助け合いの仕組みでした。しかし今の保険は、保険料を前払いし、その中から保険金が支払われます。保険料がいくら集まり、保険金がいくら支払われたか、また、保険会社がいくら利益を得ているかなどが見えにくいため、保険会社への不信感が根強いです。ジャストインケースは、加入者の募集から、クレジットカードなどでの支払い、毎月の保険料もメール連絡と、一連の流れがインターネットで完結します。だから、毎月清算の後払いという手間はかかっても、仲間の助け合いを実感できる仕組みを作ることができたのでしょう。ただし、再発した場合のフォローはありません。私はわりかん保険の登場で、保険がシンプルでわかりやすいものに変わるのではないかと期待しています。「保険はハズレを引いた人が保険金をもらうくじ引き」ですから、「保険はむずかしい」という思い込みをなくしましょう。たとえば自動車保険なら、事故後の交渉など、保険会社によるアフターフォローが重要ですが、自分で診断書を取り提出すれば保険金が下りる生命保険に、アフターフォローはありません。もらえる保険金額が同じなら、保険料の安い保険がよい保険。選ぶのも簡単です。このようなタイプの保険は、海外ではすでに注目を集め、特に中国では、1年間で1億人の加入者を集めた保険もあるといいます。日本でも、犬種ごとのペット保険が今年中にリリースされる予定です。今後の広がりに注目しましょう。「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月14日交通事故で被害を受けた際には、加害者側の保険を利用して賠償金を請求するのが一般的なイメージですが、一定の場合には労災保険を適用して保険金を受け取ることもできます。労災保険と自賠責保険の両方が使える場合は、どちらを使うかによって損することがあるので仕組みについて正しく理解しておくことが重要です。そこで本記事では、労災保険と自賠責保険の違いや給付の種類などについて詳しく解説します。仕事中に交通事故の被害に遭われた方は、ぜひ参考にしてください。労災保険の対象とは?労災保険とは仕事中に発生した事故などについて一定の保険金が給付される保険のことで、交通事故の適用範囲は次の2種類があります。業務災害仕事中に交通事故の被害に遭った場合に適用でき、具体的には次のようなケースをいいます。トラックドライバーが運転中に事故に遭ったタクシードライバーが業務中に事故に遭った営業マンが自動車を運転して取引先に向かう途中に事故に遭ったこのようなケースは、交通事故の損害に対して労災保険を適用することが可能です。通勤災害出勤途中や帰宅途中に交通事故の被害にあった場合は、通勤災害として労災保険の対象となります。ただし、帰宅途中に居酒屋などに立ち寄ってそのあとに事故に遭ったような場合については、居酒屋に立ち寄った段階で帰宅が完了していると考えられるため、業務命令の接待などでなければ原則として労災保険は使えません。自賠責保険の対象とは?[adsense_middle]自賠責保険の補償の種類会社で加入している労災保険に対し、自賠責保険は交通事故の加害者側の加入している保険に対して保険金を請求することになります。自賠責保険は交通事故の中でも人身事故の被害者に対して最低限の補償を約束するためにある保険で、すべてのドライバーに加入が義務付けられている強制加入保険です。自賠責保険の補償の種類は主には、次のようなものがあります。治療に関する損害交通事故によって怪我をしたことに対して発生する損害に対する補償で、補償される上限金額は120万円です。ただ、この120万円の中に含まれる項目が次のように非常に多いので、治療期間が長引くと金額をオーバーして足りなくなってしまうことも少なくありません。治療費入通院交通費看護費用雑費義肢、義足の費用診断書の作成費用文書費用慰謝料治療費怪我の治療にかかった費用の実費について、自賠責保険から補償が受けられます。ただし、際限なくどんな治療でも実費を請求できるというわけではないため注意が必要です。例えば、交通事故でむち打ちになった場合、病院であれば整形外科で治療をしますが中には接骨院や整骨院、マッサージなどに通う人もいるでしょう。基本的に治療費として認められるのは医師の指示に基づく治療に限られるので、その他の治療院での治療費は自賠責保険が適用できないことがあるのです。医師の指示による場合など一定の場合なら認められることもありますが、後で解説する後遺障害認定まで考えた場合はできるだけ医師の治療を受けることをおすすめします。腕の悪い柔道整復師に当たってしまうとかえって症状を悪化させてしまうこともあり、加害者側から被害者側の治療を受ける際の過失だと指摘される可能性があるので、どこで治療するのかについては慎重に判断する必要があるのです。入通院交通費治療のために通院するための交通費や入院費用も、自賠責保険から補償を受けられます。ただし、どうせ保険が使えるからといって公共交通機関ではなくタクシーを使ってもタクシー代は補償されません。医師からタクシーの必要性を指摘されていれば別ですが、原則として公共交通機関での通院が可能な場合はその分の交通費しか支払われないので注意しましょう。また、駅から遠く自動車で通院するしかない場合はガソリン代や駐車代が補償の対象になりますが、高速道路代についてはよほどの事情がなければ認められるのは厳しいと考えらえれます。看護費用症状がひどく看護が必要な場合は看護費用も自賠責保険から補償が受けられます。看護費用はプロの看護師を雇った場合ではなく、家族が看護する場合でも請求が可能です。具体的には入院看護1日あたり4,100円、自宅看護や通院看護の場合は1日2,050円が原則です。ただし、それ以上に収入が減ったなどの立証ができれば近親者の場合で最高19,000円、近親者以外はその地域の家政婦料金の相場を限度として実費が補償されます。雑費入通院においてかかる雑費も補償の対象です。具体的には入院1日あたり1,100円で、万が一超える場合は必要かつ妥当な範囲で実費が補償されます。義肢、義足の費用怪我の影響で義肢や義足の作製が必要になる場合、必要かつ妥当な範囲で実費が補償されます。また、眼鏡が必要になった場合は50,000円を限度として補償を受けられます。診断書の作成費用医師に診断書の作成を依頼した場合にかかる費用も、自賠責保険から実費が補償されます。特に後遺障害認定をする際には後遺障害診断書が必要になるので、必ずかかる費用です。ここまでは病院関係でかかる費用ですが、以下の項目についても同じく傷害(治療)に関する損害として同じカテゴリに分類されます。文書費用保険金を請求する際に必要となる交通事故証明書(いわゆる事故証明)の取得にかかる発行手数料についても、実費が補償されます。休業損害交通事故で怪我をしたことで仕事を休まなければならなくなった場合は、それによる減収分の補償として休業損害を請求することができます。原則として1日あたり5,700円で、それ以上の損害が立証できる場合は例外的に19,000円を限度として実費が補償されます。ただし、労働としての対価ではない収入を得ている人については、たとえ交通事故で仕事を休んだとしても休業損害は請求できません。たとえば、会社役員で配当金を受け取っているような場合については、仕事を休んでも減収は発生しないので請求はできません。慰謝料交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対する損害賠償で、1日あたり4,200円で計算をします。慰謝料の対象となる期間は、原則として治療期間の範囲に限られるので、治療が終了したらそれ以降は請求できません。治療の終わりは誰が決める?怪我が完治すればそれによって治療が終わり、慰謝料の請求も終了するのですが怪我の内容によってはいくら治療を続けてもそれ以上の回復が難しい場合も出てきます。医学的には後遺症といったりしますが、交通事故の補償の範囲は医師がそう判断した時点までの治療費について加害者に請求でき、それ以降についてはいくら治療を続けても治療費は補償されないというルールがあるのです。医師が今以上の回復が難しいと判断することを症状固定といい、症状固定以降の治療費はすべて実費になります。このように傷害による損害の項目は非常に多いので、一見すると手厚い補償が受けられるように感じるかもしれませんが、実はこれらすべて含めて120万円までしか補償されないので、実際のところは自賠責保険だけでは十分な補償が受けられないことが多いです。自動車の修理費用は?ちなみに自賠責保険は人身事故に対する補償なので、基本的に物損事故つまり自動車の修理費用に対する補償は一切ありません。自動車の修理費用の補償を受けるためには、加害者側の加入している損害保険の対物賠償に請求するか、自分自身で加入している損害保険を使って補償を受けることになります。もちろん加害者本人に請求することも可能ですが、現実的には上記のいずれかの方法で自動車を修理するケースがほとんどです。労災保険の補償範囲&請求に関する疑問労災保険の補償範囲は、概ね先ほどの自賠責保険と同じですが補償される金額に違いがあります。具体的には以下の通りです。治療費は原則として全額が補償の対象休業損害は、平均賃金の80%が補償の対象このように、上限金額は違いますが補償している範囲は自賠責保険とほぼ重なっています。となるとこんな疑問が湧いてくるでしょう。両方に請求すると金額は2倍になるの?労災保険と自賠責保険を両方適用させて、より多くの補償を受けようと考える被害者の方が時々いますが、基本的に同じ損害項目について両方の保険から重ねて補償を受けることはできません。火災保険で言うところの、いわゆる焼け太りはできないので、両方適用するというよりはどちらを優先して適用するかという判断が必要になります。[adsense_middle]法的な手続きの優先順位は?労災保険を管轄する厚生労働省の通達によると、基本的には自賠責保険を使うことと示していますが強制力はありません。実際、自賠責保険を使うよりも労災保険を使ったほうが結果的に得られる金額が大きくなることもあるため、適用にあたっては慎重に判断する必要があります。労災保険を優先すべきケース労災保険最大のメリットは、治療費などが過失割合に基づく過失相殺の対象にならないという点にあります。例えば、次のような交通事故が発生したと想定します。損害総額=100万円のうち50万円が治療費過失割合=加害者7:被害者3この場合、過失相殺によって被害者が請求できるのは100万円の損害総額のうち70%に当たる70万円となります。このうち50万円が治療費として自賠責保険から支払われると、残り加害者に請求できる金額は20万円だけになってしまいます。対して、労災保険を使うと治療費については過失相殺の対象から外れるので、50万円全額を労災保険から補償を受けた上で残りの50万円に対して過失相殺が行われます。つまり、50万円の70%である35万円を加害者に請求できることになるので、自賠責保険を使った場合に比べて請求できる金額が15万円も増えることになるのです。交通事故は自分自身が被害者だと思っていても、お互いの自動車が動いている時にぶつかった場合は、被害者であっても一定の過失割合がつくことが多いので、過失相殺の影響を受けない労災保険を使ったほうがより多くの補償を受けられるケースが出てきます。後遺障害の結果が変わる?交通事故で一定の後遺症が残った場合は、後遺障害認定を受けることで後遺障害慰謝料という通常の慰謝料とは別の慰謝料を請求できるようになります。実は労災保険も自賠責保険も同じように後遺障害認定があり、基本的には基準も同じなのですが審査している組織が違うため、認定結果に違いが出てくることが多々あるのです。基本的には労災保険の方が審査が緩やかな傾向があり、自賠責保険よりも等級が認定されやすいと言われています。そのため、自賠責保険の後遺障害認定で非該当となっても労災保険で等級が認定されれば、その結果をもって再度自賠責保険の異議申し立てをすることで等級が認定される可能性が上がります。労災保険を使うデメリット労災保険を使うためには、勤務先の協力が必要不可欠です。ただ、業務中に事故を起こしたことで労災保険を使って会社に迷惑をかけたくないという方が多いという現実もあります。実際、保険金を請求するとなると会社の捺印が必要になる書類が複数あるので、諦めて自賠責保険だけ請求する人もいるようです。自賠責保険の場合は、加害者側の損害保険会社が窓口となって手続きを行ってくれるので、請求の流れとしてはとても簡単で使い易くなります。損害保険に加入していない場合加害者が損害保険に加入していない場合は、自賠責保険からしか保険金が出ないため、限られた上限金額を有効に活用する必要性が出てきます。そのため、できるだけ労災保険から補償を受けられる部分は労災保険で補償を受けて、その他の部分の補償について自賠責保険を使うといった工夫も必要です。詳しくは弁護士に確認することをおすすめします。交通事故における労災保険に関するまとめ今回は交通事故における労災保険と自賠責保険の違いなどについて詳しく解説してきました。給付の種類は非常に似ていますが、過失相殺の部分で取り扱いが大きく異なるので、もしも仕事中に交通事故の被害に遭われた場合は、どちらの保険から優先的に適用するのかについて弁護士に相談してから決めることをおすすめします。会社に気が引けて労災保険を使いにくいという場合もあるかもしれませんが、そもそも労災保険はこのような時のために保険料を支払っているので遠慮する必要はありません。特に自分自身にも過失割合がつくケースでは、労災保険を有効活用したほうが最終的に手元に残る金額が多くなるので判断は慎重にすることが大切です。
2020年02月11日政府は、’23年度からマイナンバーカードを介護保険の保険証(以下、介護保険証)としても利用できるようにする。介護保険証は、おもに65歳以上の人が持つケアプランの作成などに必要なものだ。そんなマイナンバーカードについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。マイナンバーカードは顔写真や住所、氏名と12ケタの個人番号(マイナンバー)などが記載されたカードです。’16年から交付が始まったが、普及率は今も15%を超えません(’19年11月・総務省)。そのため、普及率を上げる施策が次々打ち出されています。介護保険証も普及率を上げる施策の一環です。’21年3月から健康保険証として使えることは、昨年発表されていますので、医療と介護2枚の保険証がマイナンバーカード1枚で済むと取得を勧めたいのでしょう。ほかにも、国家公務員や地方公務員には今年度中にマイナンバーカードの全員取得を促しています。’22年度からは国立大学の職員や学生の証明書を、’23年からは生活保護受給者への医療扶助の医療券をマイナンバーカードで代用できるようにします。さまざまな方の生活が、マイナンバーカードにひもづけられようとしています。マイナンバーカードは金融機関、財産課税に持ち込みたい思惑があるといわれます。さらに、社会保障や家計から生活全般まで、国に管理される日がくるかもしれません。「女性自身」2020年2月4日号 掲載
2020年01月24日自己都合や会社都合など、様々な理由から離職した場合「失業保険」について考えると思います。次の仕事が見つかるまでの間、失業保険(雇用保険のうち基本手当)としていくらを、何日くらい貰えるのかが頭に浮かんでくる方がほとんどではないでしょうか。しかし、退職後しばらくして条件の合う仕事に就くことが出来た場合に、この基本手当ではなく、別にもらえる給付金があることをご存知ですか?基本手当ほど知られていませんが、実は「再就職手当」と言う手当が存在します。今回はこのあまり聞きなれない再就職手当について、解りやすくポイントを絞って解説していきます。雇用保険における給付金の種類雇用保険でもらえる給付金の中で、一番有名なのは「基本手当」です。これはいわゆる「失業保険」「失業手当」と呼ばれるもので、前の仕事を辞めた後から次の仕事が見つかるまでの間の最低限の生活費として、一定の期間もらうことが出来る給付金です。実はこの他にも、雇用保険に加入している方が受け取ることが出来る手当や給付金は様々あります。代表的な物をいくつかご紹介します。求職者給付求職者給付とは、何らかの事情があって働くことが出来ない場合の、最低限の生活費の補償としてもらうことが出来る給付金です。代表的な物は、冒頭でも紹介した「基本手当」もこの求職者給付に含まれます。次によく耳にするのは「傷病手当」ではないでしょうか。傷病手当とは、失業認定のあと求職活動をしている期間に、所定の働くことが出来ない状態に該当した場合に生活費のサポートとして受け取ることが出来ます。他に「技能習得手当」「高年齢求職者給付金」などもあります。教育訓練給付教育訓練給付とは、必ずしも求職活動中である必要はなく、働きながらスキルアップをしたい場合でも受け取ることが出来ます。この教育訓練給付には「一般教育訓練給付」「専門教育訓練給付」「教育訓練支援給付金」の3種類があります。それぞれ給付金の上限額や、受給に関する要件の違いなど細かい違いは様々ありますが、いずれも働くために必要なスキルを身に付けるための制度です。スキルアップをすることで、会社側・勤労者の双方にとって雇用環境の改善にもつながります。実際に専門学校などに通う場合の費用や、該当する通信教育の受講料などがこの対象となります。雇用継続給付雇用継続給付は、働く意思や能力が有るにもかかわらず、高年齢であることや、育児・介護の当事者とっなってしまい、今までの様に働くことが出来なくなってしまった場合でも、少しでも安心して働き続けることが出来るように支給される給付金です。「育児休業給付」「介護休業給付」「高年齢雇用継続給付」の3種類があります。就業促進給付就業促進給付は、大きく分けて「就業促進手当」「移転費」「求職活動支援費」の3種類があります。就業促進手当は、本来まだもらえるはずの失業手当が残っている期間のうちに、新しい就職先が決定した場合に受け取ることが出来る給付金です。本記事のテーマである「再就職手当」は「就業促進手当」のうちの手当のひとつです。「就業促進手当」には、このほかに「就業促進定着手当」「就業手当」「常用就職支度手当」があります。再就職手当とはここまでで「再就職手当」が「就職促進給付」のうちの一つであると解説しました。「再就職手当」の概要について更にポイントをご紹介します。再就職の祝い金のようなもの再就職手当とは「失業保険を受給しながら求職活動をしている期間に、次の勤務先に就職が決まった場合、本来もらえる権利のある失業保険(基本手当)のうち、残りの日数分のうち所定の割合に応じて一時金として受け取ることが出来る手当」です。平たく言うと「再就職の祝い金」のような手当です。早く再就職すると損?失業手当の受給日数を残して再就職すると、フルで手当をもらうことが出来なくなり損するのではないか?と考える方も中にはいらっしゃいます。もちろん失業保険を限度いっぱいまでもらう場合よりは、再就職手当の方がトータルで考えると少ないですが、再就職が決まれば生活も安定しますし、働く意欲がある方にとっては、一日も早く新たなスタートを切ることがベストです。失業保険をもらうことが出来る期間一杯まで再就職をせずに失業保険をもらい続けるより、再就職をして現役並みに給与をもらい、条件を満たした再就職手当を受け取る方が、結果的に金銭的でも大きな安心になることは言うまでもありません。再就職手当は、新たに就職するだけでなく自営業の開始でも、事業計画書などの提出によって要件に該当する場合があります。自営業を開業して再就職手当を希望する場合の詳しい要件に関しては、ハローワークまでお尋ねください。支給額の算出根拠再就職手当の算出の根拠となるものには、以下の3つがあります。この3つをかけ合わせると、再就職手当の支給額となります。全ての算出根拠に共通して、早く再就職をすることで、より高い再就職手当を受け取ることに繋がります。つまり、なぜ再就職手当が存在しているかというと、より早期の再就職を促進しているということです。失業手当の支給日数の残基本手当日額所定の給付率1、支給日数の残失業手当をもらいながら求職活動を行い、その中で再就職が決まった場合、あと何日分の支給日数が残っているかは給付額に大きな影響を与えます。残日数が多いほど、再就職手当の額はあがるということになります。2、基本手当日額基本手当日額は、前職での給与などで差があります。もともと働いていた会社での働き方によって日額は違いますので、ここを増やしたり減らしたりすることは出来ません。3、所定の給付率所定の給付率は、残りの残日数によって変わります。再就職が早く決まれば決まるほど、高い給付率で再就職手当を受け取ることが出来ます。おおむね50%~80%のうちのいずれかとなります。一時金として支給されるこれらの3つの数字をかけ合わせて、再就職手当の額が決まります。その際、一時金として一括で振り込まれます。再就職手当・受給の条件再就職手当を受給するためには、以下の受給要件を満たす必要があります。7日間の待期期間の満了新しい勤務先と再就職先に関連がないこと事前に再就職することが決まっていた会社ではないこと新しい勤務先での就業が1年以上の長期であること再就職先でも雇用保険に加入すること(正社員など)直近3年以内に類似の給付金を受給していないこと[adsense_middle]失業保険の受給資格の有無がポイント再就職手当をもらうためには、本来もらえるはすだった失業保険の給付日数の残が1/3以上あることが大前提です。ここでポイントとなるのは「給付額の残」ではなく「給付日数の残」が必要であるとういうことです。自己都合退職の場合自己都合退職の場合は、7日間の待期期間ののちに給付制限がありますが、その給付制限の1か月目までの間に再就職を決める際は、ハローワーク経由の求人か人材紹介会社経由の求人であることが条件となります。ハローワークや人材紹介会社以外での自己発見や個人の紹介、縁故などでの再就職では条件を満たしません。再就職手当・受給する際の注意点正社員での再就職だけでなく、パートやアルバイトでも要件さえ満たせば再就職手当を受給することが出来ます。また、この要件を満たしていると認定され、一時金で再就職手当を受け取った後でやむを得ない事情から退職することになっても、特に返還しなければならない決まりはありません。しかし、雇用保険全般において給付金の不正受給は厳しく罰せられます。手続きの流れ再就職が決まったら、まずはハローワークに再就職する旨を届け出る必要があります。そこで「再就職手当支給申請書」を受け取ります。ここに記載されている項目全てを埋める必要があります。聞きなれない用語なども申請書には多く出てきますので、わからない箇所はハローワークで訊ねながら、正しく記入していくと良いでしょう。なお、提出期限は、実際に再就職した日から1か月以内と決まっています。再就職したばかりで仕事に慣れるのにも時間がかかる時期ですので、つい失念してしまう方が多いのも事実です。せっかくもらう権利がある給付金ですから、もらい忘れることがないよう、早めに記入し早めに提出することを心がけましょう。審査には時間がかかる実際に再就職手当が振り込まれるまでには、申請後約1カ月ほどかかります。ここまでにも解説したとおり、再就職手当をもらうまでにはクリアしなければならない条件がいくつもあります。雇用保険全体の公平性を守るためにも、しっかり審査をして正しい支給をする必要があります。このことから、どうしても約一カ月程度の時間を要することになります。失業保険・再就職手当に関するまとめ再就職手当や失業手当などは、一生懸命に働いている方々の万が一に備えたお守りとなる手当です。例えば再就職先が遠方である場合などは、この再就職手当が一時金としてまとまってもらえることで、転居費用などに充てることもできます。失業手当を全額もらうことと、途中で再就職をして手当をもらうことと、どちらが損か得かではなく、心身ともに健康で、働く意欲があり能力もあるのであれば、やはり一日も早く再就職することに越したことはありません。いずれにしても、支給された給付金を最大限活用して、ご自身の望む形での再就職が出来るように求職活動を進めていく必要があります。注意点として、手続きを失念していてもらえなかった、となると非常に勿体ないことになりますので、必ず提出期日を守ってしっかり手続きを済ませましょう。この記事を読んで少しでも心当たりや不明点が生じた場合には、一度雇用保険の担当機関であるハローワークに直接訊ねてみると良いかと思います。
2020年01月14日社保と国保、よく比較されるこれらの社会保障の違いは何でしょうか。医療保険の「社保と国保」の違いやそのメリットについて解説します。社保と国保の違い”国保”は、国民健康保険の略称です。これに対して”社保”という言葉は「健康保険」と「厚生年金保険」を指すことが多く、このうち国民健康保険と同じ役割なのは健康保険です。医療保険における「社保と国保」の違い、つまり健康保険と国民健康保険の違いを確認していきましょう。保険者保険者とは、保険事業を行っている者です。社保と国保それぞれに、大きく分けて2つの保険者がいます。社保健康保険は、①主に中小企業を対象とした「全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)」と、②加入できる従業員が700人以上の大企業が認可を得て組織する「健康保険組合(以下、健保組合)」があります。同じ社保でも、②健保組合のほうが保険料が安く給付内容が充実している傾向があります。国保国民健康保険では、③都道府県と市町村がともに行う国民健康保険と(以下、市町村国保)、④同種の事業に就いている人を対象にする「国民健康保険組合(以下、国保組合)」があります。保険料社保協会けんぽ協会けんぽの保険料は毎年改定され、都道府県によって異なります。2019年度現在の保険料率は、収入に対して10%程度です。都道府県によって保険料が異なるのは、地域によって収入水準や年齢にばらつきがあるからです。収入が低い都道府県は保険料の確保のために、年齢が高い都道府県は負担する医療費の確保のために、保険料率が高く設定されています。健保組合健保組合では、協会けんぽより保険料が安いことが多いです。通常は保険料を企業と従業員で2分の1ずつ負担しますが、企業がより多くの割合を負担してくれる組合もあります。協会けんぽ・健保組合とも、法律上の保険料の上限は13%です。国保市町村国保市町村国保では、保険料は自治体によって違います。収入が上がるほど保険料は高くなり、2019年度の保険料上限は96万円(1カ月あたり8万円)です。所得に応じてかかる、所得割額世帯の加入者の人数に応じてかかる、均等割額1世帯ごとにかかる、平等割額加入者の固定資産に応じてかかる、資産割額これら4項目を組み合わせて計算します。算式や保険料率は市町村によって異なり、資産割や平等割を使っていない市町村もあります。国保組合国保組合では、保険料は組合によって違います。収入に応じた保険料がかかる組合があるほか、額に関係なく1人いくらと保険料が固定されている組合も多いです。扶養健康保険では「被扶養者」の制度があります。収入が少ない一定の親族も、一緒に医療保険を使えます。扶養している人が1人でも5人でも、かかる保険料は変わりません。いっぽうの国保には「被扶養者」の概念はありません。未成年の子どもや専業主婦の妻も含めて、1人1人が被保険者です。国保組合では、組合員と同じ世帯に属する者も被保険者となれます。傷病手当金・出産手当金ケガや病気で仕事を休んだ時、健康保険であれば「傷病手当金」が支給されます。出産のため休んだ期間には「出産手当金」が支給されます。市町村国保では、傷病手当金・出産手当金の制度を行っていません。一部の国保組合では、これらの手当金が支給されます。任意継続健康保険には、退職してしまった後も、2年間引き続き健康保険を利用できる「任意継続被保険者」の制度があります。また、一定の健保組合では、退職後2年を過ぎても利用できる「特例退職被保険者」の制度があります。10~20年以上勤務し、年金を受け取っているなど、条件を満たした高齢者が特例退職被保険者になれます。国保には任意継続の制度はありません。社保と国保の仕組み健康保険は、原則として事業所単位で加入します。法人(株式会社、合同会社…)個人事業のうち、5人以上が勤める一定の事業これらの事業主は、健康保険に加入しなければいけません。書類を届け出て全国健康保険協会の適用事業所になり、保険料を納めます。700人以上の従業員がいる場合は、認可を受けて健康保険組合を設立することもできます。健康保険(協会けんぽ・健保組合)、国保組合、どちらの医療保険も対象にもならない人は、市町村国保の対象になります。社保と国保の加入条件日本は”国民皆保険”になっており、すべての人が何かしらの医療保険に加入しなければいけません。[adsense_middle]勤務先は?勤務先が①②の健康保険の対象になっているのなら、フルタイムで勤務する場合は、健康保険の加入対象になります。おおむね週30時間以上働いている場合や、大企業・一部の中小企業で週20時間以上働いている場合は、短時間勤務でも健康保険の加入対象になります。会社員は必ず社保?株式会社などの法人に勤めている人は基本的に社保(健康保険)が適用されますが、例外もあります。法人であっても、国保組合が適用されている事業所もあります。公務員や独立行政法人の職員など、共済組合の被保険者になる場合もあります。国保でも、保険料を比較する市町村国保では収入が高くなると保険料が上がる一方で、国保組合では保険料を一律としているところも多いです。フリーランスで仕事をしている場合など、自分が入ることができる国保組合がないか調べて、市町村国保との保険料を比較してみましょう。無業なら市町村国保仕事がない人は、家族の健康保険の被扶養者になるか、家族の国民健康保険組合にともに加入するかを検討します。そうでなければ市町村国保に加入しましょう。75歳になったら後期高齢者どの医療保険に加入していても、あるいは被扶養者になっていても、75歳の誕生日を迎えると脱退します。脱退後は、市町村が行う「後期高齢者医療制度」に加入します。生活保護受給者は国保の対象外生活保護(医療扶助)を受ける場合は、国保や後期高齢者医療制度には加入しません。いっぽう、生活保護を受けていても、社保(健康保険)の被保険者・被扶養者になっている場合は、社保の資格は継続します。社保と国保のメリット社会保険のメリット・デメリット社会保険のメリットは保険料が安くなることが多いこと、給付が充実していることが挙げられます。国保よりお得な部分が多いです。保険料は安くなる…とは限らない会社が半分負担してくれる加入している年齢層被扶養者もしもの時の給付保険料は安くなる…とは限らない社保と国保でどのくらい保険料に差があるかは、個別に計算してみないと分かりません。一般的に社保のほうが保険料が安くなりやすいのには、次のような理由が挙げられます。会社が半分負担してくれる約10%の保険料がかかっても、2分の1は会社が負担してくれます。加入している年齢層社保の加入者は働き盛りの10~60歳代が多いのに対し、国保の加入者は、会社を退職した高齢者や無職の人が中心です。集める保険料が少ないなかで運営しなければいけないことが、市町村国保が割高な原因のひとつに挙げられます。被扶養者被扶養者の制度があるおかげで、家族が増えても負担する保険料が変わりません。もしもの時の給付ケガをした時の傷病手当金など、健康保険だから受けられる給付も多いです。健康保険と併せて加入する厚生年金のおかげで、老後の年金額も多くなります。国民健康保険のメリット・デメリット社保と比較すると、給付内容が薄いことが国保のデメリットです。ただし保険料負担のみを比較するのであれば、同じ収入で国保料のほうが安い人もいます。【比較】受給額vs保険料負担同じ収入で、国保と社保の場合を比較してみます。条件は次のとおりです。月収30万円、年収360万円(給料)家族3人(本人35歳、配偶者35歳、中学生1人)保険料筆者の住む愛媛県松山市の保険料です。(2019年度)まず、保険料で大きな差が付きました。市町村国保では、12カ月分を10回に分けて納付するため、1回に納付する額はこれより大きくなります。傷病手当金仮に骨折で1カ月休んだ場合、社保であれば傷病手当金として収入の一部が補填されます。各年金給付ここまで医療保険の違いについて触れてきましたが、医療保険で「社保と国保」の違いがあれば、年金保険でも「社保と国保」の違いがあります。健康保険に加入する場合は「厚生年金保険」に加入、国民健康保険に加入する場合は「国民年金保険」に加入することが多いでしょう。40年間同じ条件で加入した場合、もらえる年金額には大きな差が付きます。社会保険に加入すると老後の年金が増えるほか、障害状態になったとき、遺族を遺して亡くなったときに、年金が受け取れる可能性が広がります。受給できる年金額も、国保より社保のほうが多いです。社会保険と国民健康保険に関するまとめ医療保険での”社保と国保”、健康保険と国民健康保険の違いを確認してきました。給付や保険料を比較すると、社保には多くのメリットがあります。サラリーマンでいると、こうしたメリットを意識しないうちに享受しているのです。また国保に加入する場合、市町村国保か国保組合かで、保険料や給付内容が違ってくることも覚えておきましょう。社会保険が適用される人の範囲は年々広がっています。これまで対象でなかった業種や、アルバイト・パートタイマーなど「今は国保に入っている」という人も社保の対象になるかもしれません。保険料の負担額ばかり目につきがちな医療保険ですが、給付の内容もしっかり把握しておきたいですね。
2020年01月08日「今年度、6〜10%以上の大幅値上げがあった火災保険ですが、’20年度にも同程度の値上げが決まりました。火災保険を見直すとしたら、いまがラストチャンスです」こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。長尾さんは『よい保険・悪い保険』(宝島社)の監修者でもある“保険のプロ”だ。昨年9〜10月に発生した台風15号、19号、21号によって、東日本各地に甚大な被害が出た。台風15号では、住宅がゴルフ練習場の鉄柱の下敷きになり、再建費用は原則、自前の火災保険で、と報じられたのも記憶に新しい。「一昨年には、台風21号によってタンカーが押し流されて関西空港の連絡橋に衝突するなど、関西を中心に大きな被害が出ました。被災された方の多くが『何十年も住んでいるけど、こんな被害ははじめて』と話されています。気候温暖化の影響もあり、毎年、襲来する台風被害が甚大化しているのは明らか。火災保険にはきちんと加入しておくのが鉄則です。『うちはもう建物が古いから』などと、火災保険に加入していない人は早急に加入を検討するべきでしょう」(長尾さん・以下同)一方、木造一軒家の場合だと、火災保険料(建物と家財を合計して)は年間6万〜12万円。10年一括だとかなりの負担になることも事実。そこで、長尾さんに「火災保険」選びの条件を教えてもらった。■加入するなら「10年契約」にせよ保険選びの基準にまず長尾さんが挙げるのは契約期間だ。「以前は数十年の長期契約も可能でしたが、低金利の影響や支払いリスクの増加などから、現在は最長でも10年。もともと長期のほうが割安に設定されているうえ、近年の自然災害の急増で今後も値上げは必至。今年入るなら、最長の10年契約を選ぶべきです」■古い住宅でも、補償額は「新築に建て替えられる額」にせよ建物の保険金額はどのくらいにすればいいのだろう?「自宅の建物を建て替えるために必要な金額を目安にするとよいでしょう。最近は、この金額を基準にしている保険会社が多いです。古い建物でも新規加入するときや中古物件を購入したときには、新築のときの金額で契約しておかないと、損害額どおりの補償が出ないケースや、ムダな保険料を支払うことにつながります。万が一、家が全焼した場合でも、新しい家を建てられる金額を想定して補償額を決めることをお勧めします」それでは、家財に設定する補償額は何が目安になるのか?「『家財にまで保険を掛ける必要があるのか』という人もいますが、火災や水災で家電や家具、洋服などをすべて買い換えなければならなくなったときには相当な費用が掛かります。これを補償してくれるのが家財保険。35歳前後で子どもが1人いる家庭を想定した場合で1,000万円が目安となるでしょう」■「免責額は1万円以下」に設定せよ次に免責について。火災保険には、自動車保険と同じような免責条項がある。これは支払い保険金の計算に当たって、損害額から差し引く自己負担金のこと。保険会社によって異なるが、1万円、3万円、5万円、10万円などがあり、免責金額が高くなるほど、支払う保険金は安くなる。だが、保険金が安くなるからと免責を10万円に設定するのはやや早計だという。「補償内容のうち、いちばん請求対象になりやすいのが『破損・汚損』です。建物でいえば、物をぶつけて窓ガラスが割れたり、家財でいえば、テレビを倒して壊してしまったといったケースで、修理費用は数万円のことが多い。免責10万円だと、全額自己負担になってしまいます。免責を最低額の1万円にすることで、こういうときでも差額の保険金をしっかり受け取ることが可能になります」経験したことのないような雨風が甚大な被害をもたらした昨年の台風。いつまた襲いかかってくるかわからない自然の猛威には、十分な保険でいまからきちんと備えておくことが大切だ。「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月08日パートで仕事をするとき、社会保険に加入すれば保険料で手取りが減るので、加入したくないという人も多いのではないでしょうか?雇用保険も広い意味での社会保険の一種ですが、健康保険や厚生年金とは入るための条件が違ってきます。本記事では、パートで働く人が雇用保険に入るための条件やメリットについて説明しますので、参考にしていただければ幸いです。雇用保険の仕組みと対象厚生労働省二事業の保険料率とは?雇用保険の二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業のことです。雇用安定事業には、事業主に対する助成金、中高年齢者等への再就職支援、若者や子育て中の女性に対する就労支援が含まれます。能力開発事業には、在職者・離職者に対する訓練、事業主が行う教育訓練への支援などがあります。これらの二事業は、事業主の保険料のみを財源として行われています。条件を満たせば入る義務がある雇用保険に入りたい場合、加入条件を満たしている必要があります。また、加入条件を満たしていれば、入りたくなくても入らなければなりません。加入手続きはどうやってする?加入手続きは、事業主が行います。加入条件を満たしていても、事業主が手続きしてくれなければ入ることができません。会社が入らせてくれない場合には?雇用保険の手続きは、ハローワーク(公共職業安定所)で取り扱っています。加入条件を満たしているにもかかわらず入らせてもらえない場合には、ハローワークに行って相談しましょう。雇用保険加入に必要な労働時間や日数の条件は?ハローワークインターネットサービスもし被保険者証を受け取っていなくても、会社で保管しているケースがあります。手元になければ、会社に確認してみましょう。被保険者証を紛失した場合でも、ハローワークで再発行の手続きができます。退職するときには離職票が発行される会社は従業員が退職したら、ハローワークに離職証明書を提出し、ハローワークから離職票の発行を受けます。失業保険をもらうには、会社から受け取った離職票を提出しなければなりません。なお、再就職が決まったら、再就職先に被保険者証を提出して、雇用保険の引き継ぎを行います。最大のメリットは失業保険パートでも仕事を辞めて次の仕事が見つからなければ、収入が減って困ることには変わりありません。雇用保険に入っていれば、失業中にお金をもらうことができます。[adsense_middle]失業保険とは失業保険とは雇用保険の「基本手当」のことで、失業した人の生活を支えるものとなります。基本手当の金額は、在職していたときの賃金にもとづいて計算されます。失業保険がもらえる条件離職の日以前の2年間に、被保険者だった期間が通算して1年(12か月)以上という要件があります。なお、失業保険をもらうには、ハローワークで求職申し込みをし、失業認定を受けなければなりません。働く意思があっても、病気やケガ、妊娠・出産などの理由によりすぐに働けないときには、失業保険はもらえないことになっています。失業保険がもらえる期間基本手当がもらえるのは、離職後1年間です。ただし、誰もが1年間継続してもらえるわけではなく、加入期間や仕事を辞めた理由により90日から360日の間で給付日数が決まります。待期期間とは基本手当は求職の申込みをした後、7日間は受給できません。この期間を待期期間といいます。また、会社都合ではなく自己都合で仕事を辞めた場合には、その後さらに3か月の給付制限があります。受給期間の延長ができるケースとは?受給期間内に病気や出産などで引き続き30日以上働けない期間があった場合には、受給期間の延長ができます。延長できる期間は最長で3年間になります。失業保険でもらえる金額基本手当を計算する基準となる金額が、賃金日額です。賃金日額は、在職中の平均賃金で、次の計算式で出します。賃金日額=離職日直前の6か月に支払われた賃金の合計÷180(日)基本手当日額は賃金日額の50%~80%となり、これを給付日数分もらえます。基本手当以外の手当ももらえる失業したときには、基本手当以外に、就職促進給付ももらえます。就職促進給付には、次のようなものがあります。教育訓練給付や雇用継続給付ももらえる雇用保険に入るメリットは、失業保険だけではありません。失業していなくてももらえる給付金もあります。スクールや通信講座の費用を出してもらえる!雇用保険には「教育訓練給付」という制度があります。教育訓練給付とは、スクールや通信講座などを利用し、厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講し終了した場合に、費用の一部を支給してもらえるものです。教育訓練給付には、次の表のとおり、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の2種類があります。育休中や介護休暇中の賃金も保障される!雇用保険には、「雇用継続給付」という制度もあります。雇用継続給付とは、雇用の継続を促進・援助するための給付で、次のようなものがあります。パートの雇用保険に関するまとめパートの場合には、労働時間が基準を上回ると、雇用保険の加入義務が発生します。と言っても、給料が大きく減るわけではないので、あまり気にする必要はないでしょう。雇用保険に入っていれば、仕事を辞めたときに失業保険がもらえます。雇用保険にはスクールや通信講座の受講料金が安くなる教育訓練給付の制度もあるので、キャリアアップのための勉強や資格取得にも活用するのがおすすめです。
2019年12月21日来年の通常国会提出は見送りになったものの、医療費の自己負担額の引き上げは“時間の問題”。それほどまでに日本の医療財政はひっ迫しており、解決が難しいという現状があるのだ。「75歳以上の高齢者の医療費自己負担額(窓口負担額)は、現行1割。しかし、これを2割に引き上げる法案を、政府が国会に提出する準備を進めていることが11月ごろから報道されました。じつは高齢化が進む日本において、医療費が抱える財政問題は、年金と同じくらい“深刻”。75歳以上の後期高齢者だけでなく、すべての国民にとって自己負担額の引き上げは、避けて通れそうにないのです」※70歳以上が3割負担になるのは、「課税所得」が145万円を超えた場合そう指摘するのは、経済評論家の加谷珪一さん。冒頭の法案については、12月4日に、来年1月の通常国会に提出することが“見送りになった”と一部で報じられた。「“議論が不十分である”というのが理由とされていますが、安倍政権にはいま『桜を見る会』問題や、頻発する閣僚の不祥事などについて、さまざまな批判が集中している。衆議院の任期が折り返しの2年を過ぎ、解散総選挙を控える折、“これ以上国民の反発を招きたくない”という意図があるのでしょう」(政治部記者)だが、負担額引き上げの見送りは“一時的”なものにすぎないと加谷さんは語る。「’17年度の国民の医療費は総額で43兆710億円。政府の年間の基本的な予算である『一般会計』の予算規模は100兆円ですから、“国家予算の約半分”と考えると、どれほど巨額かがわかります。このうち半分を国民からの保険料収入でカバーし、残りを窓口での自己負担と一般会計などからの税金で補填しているのですが、保険料を納める現役世代の人口減少が止まらない。しかし、医療費がかかる高齢者の数はどんどん増えていく……。もはや何かしらの施策をとらなければ、“いつでも、だれでも医療のサービスが受けられる”という医療制度は維持できない、と政府も認識しているはずです」さらに政府の予想をはるかに超えるような少子化も、これから先の医療費問題に追い打ちをかけているーー。「従来の人口予測や、政府が発表している“かなり甘め”な経済予測を前提に、現状の物価ベースで試算しても、医療費はこれから20年で約10兆円上がる計算です。こうなると、いよいよ現行では財政が立ち行かなくなる。解決策の一つとして、政府は現役世代の給料から天引きされる『保険料率』を段階的に引き上げるのではないでしょうか」現在、健保組合の保険料は全国平均9.2%、自営業者などが加入する協会けんぽの保険料率は10%。だが、これから20年でそれぞれ11.1%、11.8%に引き上げられる見込みだという。これは、年収600万円の会社員の手取り給与が年間約10万円減額される計算だ。
2019年12月12日社会保険とは、個人ひとりでは対応できないリスクに備えて、対象になる国民全員から保険料を集めて、もしもの時にお金を給付するものです。民間の保険と比べて、次のような特徴がみられます。保険料だけでなく、国が負担するお金で運営本人の意思に関わりなく加入義務がある健康状況によって保険料が変わらない今回は自営業からアルバイトまで、どんな社会保険制度の対象になるか、タイプ別に確認します。社会保険には5つの分野がある日本の社会保険は、次の5分野があります。分野ごとにカバーしているリスクがあります。収入が減ってしまうことに対して「年金」「手当金」が支給されたり、治療や介護サービスを利用する時の本人負担が軽くなったりします。社会保険制度を一覧でおさらいどの制度の対象になるかは「雇われているかどうか」「職業は」「年齢は」「住んでいるところは」などで区分されています。雇われて働いている人が対象になる保険は被用者保険と呼ばれます。厚生年金保険や、船員保険などが被用者保険です。被用者保険の対象にならない、地域の住民を対象にした保険は地域保健と呼ばれます。国民健康保険、後期高齢者医療保険などが地域保健です。タイプ別:どの社会保険に加入するか社会保険には5つの分野がありますが、5つすべてに加入するわけではありません。次の働き方を例に挙げました。A~Eの例を見ながら、どんな場合に、どの社会保険制度に加入するのかチェックしましょう。会社員専業主婦学生バイト個人事業主法人の社長A.会社員Aさん(45歳)は、正社員として株式会社に勤めています。会社員として就職すると、社会保険の手続きはほとんど会社任せで完結します。そのため、自分がどんな保険の対象になっているか、把握していない人も多いでしょう。こうして見ると、社会保険で幅広いリスクをカバーされていることは会社勤めのメリットとも感じられます。B.専業主婦Aさんの妻、Bさん(45歳)は専業主婦です。Aさんの配偶者として、国民年金の「第3号被保険者」になります。第3号被保険者は、国民年金の保険料を納める必要はありません。第3号被保険者になるのは、20歳以上60歳未満の期間です。仕事に就いていないので、雇用保険や労災保険には加入していません。C.学生アルバイトAさんの子供、高校生のCさん(16歳)はアルバイトをしています。学生は、原則として雇用保険には加入しません。労災保険は当然に対象になります(一部の農林水産業を除く)。Cさんはまだ年金保険には加入していませんが、もしも高校卒業後18歳で会社員になれば、その時から厚生年金保険に加入します。いっぽう大学に進学する場合は、20歳になった時に国民年金保険に加入します。20歳前に厚生年金保険の適用がない事業所に就職した場合は、20歳になったら国民年金に加入する必要があります。D.個人事業主Dさん(50歳)は、個人事業を営んでいます。会社員のAさんと違い、加入の手続きはどれも自分でする必要があります。手続きを忘れていると、無保険や保険料滞納になってしまうかもしれません。国民健康保険は疾病の原因が業務災害かを問わないので、仕事で負ったケガでも、国民健康保険を使って治療を受けることができます。労災保険は、希望すれば特別に加入できる制度があります。E.法人の社長Eさん(30歳)は、株式会社を立ち上げて、代表取締役に就きました。同じように1人で事業をしていても、個人事業とするか法人とするかで、社会保険の中身は大きく違ってきます。会社の代表者・個人事業主はどちらも雇用保険に加入できません。役員の場合は、労働者性があれば、雇用保険に加入できることもあります。協会?組合?国保組合?違いを確認社会保険の5分野の中で、特にたくさんの制度に分かれているのが医療保険です。その医療保険を実施している組織には、とても名前の似通ったものがあります。全国健康保険協会健康保険組合国民健康保険(都道府県)国民健康保険組合「健康保険組合」と「国民健康保険組合」は名前はよく似ていますが、全く違う制度です。混同しがちな両者について、違いを押さえておきましょう。[adsense_middle]1.雇われている人の保険「協会けんぽ」「健保組合」会社員など雇われて働く人を対象にした健康保険。健康保険の事業を行っている組織は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合全国で幅広く事業をする「協会けんぽ」全国健康保険協会は「協会けんぽ」とも呼ばれます。健康保険が適用になる会社のうち”健康保険組合がない会社”が対象です。中小企業など、社員が1人の会社でも加入することができます。厚生労働省の「平成29年度健康保険・船員保険事業状況報告」によると(以下同じ)、被扶養者も含めて、約3,800万人が加入しています。より会社に密着したサービス「健康保険組合」主に大企業では、企業ごとに組織される「健康保険組合」があります。約1,400の組合があります。解散や合併で、健康保険組合の数は減少傾向です。被扶養者も含めて、約2,900万人が加入しています。法律で決まっている最低限の給付のほか、組合が独自で給付を手厚くすることができます。従業員の健康意識は組合の財政に繋がるので、禁煙プログラム、メタボ解消キャンペーンなど、積極的に健康増進に取り組む組合も多くあります。2.健康保険の対象にならない人は「国保」「国保組合」健康保険・船員保険・共済保険などの対象にならない場合は、国民健康保険の対象になります。健康保険との違いは、家族を扶養にする制度が無いこと、退職後の任意継続が無いこと、傷病手当金が(基本的に)無いことなどが挙げられます。都道府県と市区町村が行う国民健康保険国民健康保険組合原則は”都道府県が行う国民健康保険(国保)”の対象に原則として、都道府県の区域内に住所があれば、都道府県が行う国民健康保険の対象になります。その都道府県の中にある市区町村は、都道府県と一緒に運営を行います。各々役割分担があり、加入している人の直接の窓口は市区町村です。国保組合もある特定の職業に就いている個人事業主や、個人事業の従業員を対象に、「国民健康保険組合」が組織されている場合もあります。全国に約160の組合があります。医師・歯科医師薬剤師建設・土木税理士美容師など全国どこでも加入できる組合と、職業も地域も限定されている組合があります。社会保険の種類に関するまとめ5分野の社会保険について、仕事のタイプ別に加入する制度をチェックしました。20歳になったとき、40歳になったとき、就職、退職…など、ライフステージによって加入する社会保険は変わります。せっかく持っている保障なので、イザという時に使えるように把握しておきましょう。
2019年12月04日失業保険とは、簡単にいうと「雇用保険に加入する働き方をしていた人が、離職した場合などに受給できる最低限の生活費」です。もちろん、基本的には受け取る権利のあるお金ですので、どなたでも平等にその権利はあります。しかし、該当事由を満たしていない場合や、違反行為に抵触しながら気づいていない場合もあり、その際は不正受給とみなされ罰則やペナルティを課されることになります。今回はこの「不正受給」について解説していきます。失業保険とは何らかの理由により(会社都合・自己都合)離職した場合に、受け取る権利の発生するお金のことを、一般的に「失業保険」や「失業手当」と呼びます。正式には、失業保険ではなく「雇用保険」と言い、失業手当ではなく「基本手当」という名称です。ここからは、雇用保険と基本手当について概要を解説します。管轄はハローワーク雇用保険の申請の手続きに関して管轄はハローワークです。ヤングハローワークや、マザーズハローワークなどの簡易的な機能のみの施設ではなく、お住まいの地域の要となっているハローワークにて手続きをしなければなりません。前の勤め先を退職された際に、雇用保険被保険者証などの書類を一式受け取ると思いますので、それらを持参して手続きを行うことになります。雇用保険について雇用保険で受給できるお金には、以下のものがあります。基本手当(いわゆる失業手当や失業保険と呼ばれるもの)就職促進給付(再就職手当など)教育訓練給付(一般教育訓練給付金など)雇用継続給付(高年齢雇用継続給付など)基本手当について雇用保険で受給できる権利のあるお金のうち、最も代表的なものは「基本手当」です。これは「失業保険」や「失業手当」と一般的に呼ばれているもので、離職後に次の仕事が決まるまでの間、所定の要件を満たすと「生活費」としてもらえる給付金です。ちなみに、雇用保険における基本手当は所得とはみなされず、非課税扱いとなります。基本手当給付の内容と流れ雇用保険における基本手当を受給するためには、一定の要件を満たし、所定の手続きを済ませる必要があります。ここからは、その一連の流れについてそれぞれ解説していきます。手続きの方法離職(退職)した場合、退職時にこれまで勤めていた会社から「雇用保険被保険者証」などの書類を受け取ります。これは、在職時に雇用保険に加入していた証明書となり、基本的には離職時に必ず受け取ることになります。これらの書類を持って管轄のハローワークへ行き、離職票に記入し基本手当を受給するための準備に入ります。受給開始までの流れ受給開始までには、一定の期間と手続きを踏む必要があります。一般的には以下の流れになります。離職受給資格決定受給説明会への参加(日程は予め決まっています)失業の認定を受けるまでの期間の求職活動失業の認定(4週に1度は活動状況をチェックされます)受給開始受給開始までの期間について雇用保険における基本手当の受給が実際に開始されるまでには、前職を離職した理由によって期間の差があります。離職理由は大きく二つで「会社都合」と「自己都合」に分けられます。会社都合とは、勤務先の倒産などによるやむを得ない離職の場合です。自己都合とは、転職を希望して退職した場合など働いている側の意志で退職した場合です。不正受給は詐欺とても残念なことに、本来であれば「働きたい人を応援するお金」である雇用保険に関して、不正受給をする(しようとする)人が少なからずいることも確かです。手当の不正受給は必ずばれます。不正受給は雇用保険法で厳しく罰せられます。これらの中でも特に悪質な場合は、詐欺罪として刑事告訴され処罰を受けることもあります。不正受給がばれた場合のペナルティについては以下の項目で詳しく紹介します。[adsense_middle]該当した場合のペナルティ不正受給が発覚した場合、その日以降の基本手当は打ち切りとなります。さらに、これまで受け取った給付金の全額返還を命じられます。この返還命令の金額とは別に、ペナルティとして「不正受給の額の約2倍の額以下の金額」を納めなければなりません。これを、いわゆる「3倍返し」と呼び、不正受給がいかに厳罰に処されるかおわかりいただけるかと思います。さらに、納付命令分の全額及び不正受給した金額の返還が全て終わるまでの間、年に5%の延滞金が発生します。また、命令に従わず放置していると財産の差し押さえもあります。これまでの受給分を全額返還+不正受給額の約2倍以下のペナルティ納付=3倍返し不正は必ず発覚するハローワークでは、このような不正が行われないように、様々な調べ方を用いて徹底して不正を取り締まっています。不正受給を見逃してしまうことは、正しく受給している方たちとの不均等を生むことにもなります。正しく受給している方たちへ迷惑をかけないためにも、ハローワークでは常に取り締まりを強化しています。具体的な調査方法不正を取り締まる為の具体的な調査方法には、一般的に以下のようなものがあります。ただし、これら一つだけの調査で発覚するのではなく、二重、三重での調査を行っているため、小さな不正でも見逃さないよう徹底されています。勤務先の帳簿や各種書類による記録照合直接、雇用保険被保険者を訪ね事情を訊く直接、会社などを訪問し会社側から事情を訊く一般の方からの通報(電話、メール、投書など)会社側への調査協力依頼雇用保険被保険者による不正だけではなく、その不正に協力した雇い主(会社側)も厳しく罰せられます。不正受給の主な動機と内容不正受給には、二つのパターンが考えられます。ひとつは「わかっていてバレないだろうと不正をする」場合、もうひとつは「勘違いから結果的に不正受給をしたことになる」場合です。前者の場合は本人の意思で不正をしているので罰せられるべきですが、少なくとも後者の「勘違い」や「認識不足」の結果として不正をしていた場合に関しては、正しい知識をもって未然に防ぐことが出来ます。また、判断に悩む場合は必ずハローワークに相談しましょう。不正受給の主な動機不正受給をしてしまった方の動機として、よくあるものは以下のものがあります。これらは全て不正受給に該当します。離職後に自営業を始めたが開業届も未提出だからバレないと思った超短期のアルバイトで給与手渡しの為バレないと思った知り合いの仕事を少し手伝った際の謝礼程度は不正にならないと思った知人を手伝っただけで交通費しか受け取っていないから良いと思った居住地ではない他県での短期アルバイトだからバレないと思った不正受給の事例具体的な不正受給の事例として、よくあるものを以下に紹介します。「こんなことも不正受給にあたるのか」と感じるような事例も中にはあるかもしれませんが、万が一不正受給をしてしまうと認識の甘さでは済まされませんのでお気を付けください。退職後に再就職するつもりがないにも関わらず、求職活動を行ったようにみせかけ基本手当を満額受給するアルバイト等賃金の発生する行為をしたにも関わらず、失業認定申告書に記載しなかった前職の離職後、自営業など会社員以外の働き方を始めたにもかかわらず偽りの申請をしたそもそも求職活動を行っていないのに「失業認定申告書」に偽りの内容を記載した「失業認定申告書」とは失業認定申告書とは、離職に伴う手続きをハローワークで行った後、受給説明会に参加することで発行されます。受給説明会は、簡単に言うと雇用保険制度についての講習会です。ここで正しい基本手当の受給について等を学びます。この失業認定申告書は、失業認定に必要な項目が記載されており、正しい求職活動をしているにもかかわらず、働く意欲があるのになかなか仕事が見つからない状態であることの証明になります。一カ月に一度程度、失業の認定のためにハローワークに出向く必要がありますが、その際にはこの申告書と「雇用保険受給資格者証」などを持参しなければなりません。意図しない不正受給を防ぐためにはここまでで、雇用保険についての基礎知識や手続きの流れ、どのようにして受給するか等についてお解りいただけたと思います。不正受給は厳しく罰せられますから絶対にしてはいけません。しかし、上にまとめた事例の中で、ひょっとしたら「これくらいでも不正に当たるのか」と思う項目があった方もいらっしゃるかもしれません。また、不正と気付かずに抵触する行為を行おうとしていた場合もあるかもしれません。不正受給を防ぐために大切なことは、良いか良くないかをご自身で判断するのではなく、実際の状況に関して正しい内容をハローワークへの提出書類に記しましょう。離職後の働き方に関することであったり、実際に受給するまでの間や、基本手当受給前後のアルバイトなどに関しても申告すべき内容になります。偽りなく申告することで、自分の身を自分で守ることにも繋がります。不正受給を防ぐためには、自己判断は絶対にせずハローワークに正しい内容を申告しましょう。失業保険・不正受給に関するまとめいかがでしたか。ご本人の意志で不正受給をすることはもちろん絶対にやってはいけない行為ですが、ご本人の知らない間に違反行為に抵触している場合も考えられます。失業保険を受給することになった際には最低限の知識をもって、普段から気を付けておくことをオススメします。不正受給の罰則は厳しく、その不正は必ず露呈します。最も重い罰として、詐欺罪でも刑事告訴もあり得ますので「ばれないだろう」という安易な気持ちで不正に手を染めることは絶対にやめましょう。不正受給に抵触してしまうのではないか?などの判断に悩む場合は、早めにハローワークに相談しましょう。
2019年12月04日仕事を退職したら、それまで使っていた健康保険証はどうなるのでしょうか。社会保険のうち「健康保険」には、退職後も加入し続けられる”任意継続”の制度があります。退職したあと高額になりがちな保険料を抑えられるメリットがあります。任意継続以外にどんな選択肢があるのかも知っておきましょう。基本:退職したら、翌日から健康保険は使えない勤務先を退職する場合、翌日から健康保険の給付を受ける資格は無くなります。健康保険証は会社の指示に従って、速やかに返却しましょう。退職日までに会社へ返却できるとよいでしょう。保険証を持っていても、使ったらダメ!医療機関で提示を求められなかったからといって、うっかり退職の翌日以降に、在職時の保険証の情報のまま治療を受けたらどうなるのでしょうか。もし自己負担3割で治療を受けた場合、後から治療費の7割を返還しなければいけません。返還の手続きには手間もかかります。被扶養者になっている家族の保険証も、退職日の翌日からは使用できません。家族が持っている保険証も含めて、返却漏れがないようにしましょう。例外:資格喪失後も受け取れる給付がある実は、退職して健康保険証を返却した後でも、一定の期間に限り受け取れる給付があります。いずれも、給付額は在職時と変わりません。傷病手当金・出産手当金の継続給付(収入の約3分の2)退職日に傷病手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、支給開始日から最大1年6カ月まで引き続き傷病手当金を受け取ることができます。出産手当金も同様です。退職日に出産手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、出産の日後56日まで出産手当金を受け取ることができます。埋葬費、埋葬料(最大5万円)退職した本人が、退職後3カ月以内に亡くなった場合、健康保険から「埋葬料」もしくは「埋葬費」が支給されます。金額は最大で5万円です。そのほかにも、退職した後の傷病手当金を受けている人や、傷病手当金の支給が終わってから3カ月以内に死亡した人も受給できます。退職後の出産育児一時金(1児につき42万円)退職した日の翌日から6カ月以内に、被保険者だった本人が出産した場合は、出産育児一時金が支給されます。一児につき原則42万円です。ただし、退職日まで引き続き1年以上被保険者であった場合に限ります。なお、退職したあと家族の健康保険の扶養になった場合は、家族の健康保険からの「家族出産育児一時金」を受給する資格も発生します。重ねて受給はできないため、どちらかを選んで受給します。退職後も医療保険に加入しなければいけない期間をあけずに再就職し、再就職先で健康保険に加入できる場合は、続けて健康保険の被保険者になるため、医療保険の心配はないでしょう。もし次のように健康保険に加入できない事情がある場合は、失業中にも何かしらの公的医療保険に入らなければいけません。再就職するまで期間がある再就職先が決まっていない再就職するが、就職先で健康保険に加入できないたとえ病院にかかる予定がなくても、公的医療保険には必ず加入しなければいけません。加入していなかったことが後から分かった場合は、保険料をさかのぼって請求されることもあります。健康保険が途切れる場合、3つの選択肢では退職後の公的医療保険には、どんな選択肢があるでしょうか。家族の健康保険の被扶養者になる前の会社で入っていた健康保険を任意継続する市区町村で国民健康保険(国保)に加入する続けて健康保険に加入できない場合は、この「1→2→3」の順に検討してみましょう。家族の被扶養者に健康保険の被扶養者が増えても、被保険者が負担する保険料は増えません。まずは被扶養者になれるかどうか検討してみましょう。国保・任意継続保険料などを比較保険料や給付など、両制度を比較してみましょう。国民健康保険の保険料は、市区町村のHPなどで試算もできます。個別に計算してみないと判断できませんが、退職直後は国民健康保険のほうが保険料が高くなるケースが多いようです。国民健康保険では、前年の所得額や、家族の人数に応じて保険料を計算します。国民健康保険(国保)と任意継続の保険料、家族の保険料も含めどちらが安くなるか計算してみましょう。倒産や解雇による離職は、国保料が安くなることも倒産・解雇・雇止めなどの理由で退職した場合には、国民健康保険料の軽減を受けられることがあります。お住いの市区町村に相談してみましょう。任意継続被保険者とはでは、3つの選択肢から「任意継続被保険者になる」ことを選んだ場合、受けられる給付や支払う保険料はどうなるでしょうか。任意継続とは文字通り、健康保険に加入する資格を”任意”に”継続”できる制度です。[adsense_middle]任意継続の給付内容傷病手当金と出産手当金を除いて、被保険者だった時と同じ給付が受けられます。負担割合や給付額も、被保険者であるときと変わりません。配偶者・子・親など、被扶養者の治療についても引き続き給付が受けられます。任意継続被保険者の保険料従業員として勤めている間は、健康保険料のうち2分の1が給与から天引きされ、残った2分の1は会社が負担していました。ところが任意継続被保険者になると、保険料の全額を負担しなければいけません。簡単に言えば、負担する保険料は退職前の2倍になります。任意継続の場合、標準報酬月額は退職時の金額を使用しますが、保険者ごとに上限があります。協会けんぽであれば、令和元年度は標準報酬月額(月収)30万円が上限です。任意継続できる条件・年数任意継続被保険者になるための条件離職する日まで継続して2カ月以上被保険者であった離職した翌日から20日以内に、保険者に申し出た任意継続被保険者になるためには、そう細かい要件はありません。退職後、健康保険・船員保険・後期高齢者医療などの医療保険制度で被保険者になる場合は、任意継続できません。加入できる期間退職した翌日から2年間限りです。延長はできません。手続きは、退職翌日から20日以内に任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に保険者に申し出なければいけません。保険者…保険事業を行うもの。全国健康保険協会もしくは各健康保険組合。手続きをする場所加入している健康保険が、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県にある支部で手続きができます。健康保険組合に加入している場合は、各健康保険組合に問い合わせるなどして、手続き方法を確認しておきましょう。保険料の支払い毎月の保険料は、その月の10日までに支払います。例えば4月分なら、4月10日までに支払います。初回の保険料は、保険者が指定する日に支払います。例えば3月31日から4月29日までの間に退職した場合、4月分から保険料を支払い始めます。保険料の未払いは、資格喪失に初回の保険料を期日までに支払わなかった場合には、始めから任意継続被保険者になれなかったことになります。2回目以降の保険料も、納付期日までに保険料を支払わなければ、翌日から資格を失ってしまいます。くれぐれも気を付けましょう。在職時の保険証は返却して、任意継続の保険証を受け取る任意継続被保険者としての保険証は、在職時の保険証とは別のものです。任意継続を申し出てから2~3週間ほどで、本人の手元に新しい保険証が届きます。保険証が届くまでに医療機関にかかる場合は、医療機関の窓口で、まだ保険証が届いていないことを伝えましょう。もし10割負担で治療を受けた場合、自己負担を超えた金額は、保険証が届いた後で保険者に請求できます。全国健康保険協会では、令和元年10月から、申出後1週間程度での保険証交付が可能になりました。早めの交付を希望する場合は、任意継続の申出をするときに、退職証明書等を添付する必要があります。[adsense_middle]任意継続をやめる時いったん任意継続被保険者になると、自分の希望で任意継続をやめることはできません。「やっぱり国民健康保険に変更したい」と思っても2年間は手続きできないのです。どんなときに任意継続が終わるかは、決められています。任意継続被保険者になってから2年が経った死亡した保険料を支払わなかった後期高齢者医療の対象になった再就職などで健康保険・船員保険に加入した再就職しなかったり、再就職先に健康保険がなかったりと、何もないまま2年が経つと、任意継続被保険者の資格を失います。この場合は、市区町村で国民健康保険に加入しましょう。退職時、健康保険以外の手続きは?被用者保険のなかで、任意継続の制度があるのは健康保険だけです。勤務先で他に加入していた社会保険はどうなるのでしょうか。年金保険制度…「免除」の手続きも20歳以上60歳未満の人が失業した場合は、退職日の翌日が属する月の分から、年金保険料を支払います。扶養していた配偶者がいる場合は、配偶者の年金保険料もかかります。保険料は月額16,410円(令和元年度)ですが、失業後は保険料を支払うことが負担になることもあるでしょう。国民健康保険は、失業を理由として保険料の免除申請ができます。保険料全額の免除や、一部金額の免除があります。4分の1免除半額免除4分の3免除全額免除再就職して経済的に余裕ができた場合に、後から保険料を納めることもできます。社会保険(健康保険)の任意継続に関するまとめ健康保険の任意継続ができる期間は、退職翌日から20日間と短いです。また任意継続をする以外にも、国民健康保険に加入したり被扶養者になるなど、他の選択肢もあります。退職してから慌てて考えるのではなく、事前に検討して手続きの方法を確認しておくことをおすすめします。
2019年11月29日勤め先で健康保険に加入していると、病気やケガのとき3割の自己負担で医療機関を受診することができます。この健康保険には、病院での自己負担額を抑える以外に、病気やケガで働けなくなった時の収入をカバーする保障もあります。それが「傷病手当金」です。身近な病気やケガでも使えますが、自分で申請しないと受け取れません。申請手続きも難しくないので、病気やケガに備えて知っておきましょう。傷病手当金の内容病気やケガが理由で仕事を休んだ場合、休んだ間は給料が貰えなかったり、給料が減ってしまったりすることがあります。この場合に、減った収入の一部を保障してくれるのが傷病手当金です。健康保険の被保険者である人が利用できます。対象になる健康保険の「被保険者」とは勤務先で、健康保険に加入している本人が対象です。市区町村で加入手続きをする「国民健康保険」に加入している場合は、傷病手当金制度はありません。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合どちらが保険者になっている健康保険も対象になります。親や配偶者の「被扶養者」になっている場合は、傷病手当金を受け取ることはできません。手元の健康保険証をチェック医療機関を受診するときに使う「健康保険証」をご覧になってみてください。被保険者本人であれば、自分の勤め先が書いてあり、”本人(被保険者)”といった印字があります。この場合、傷病手当金を申請できる「被保険者」です。家族の扶養になっている場合は、家族の勤め先が書いてあり、”家族(被扶養者)”といった印字があります。傷病手当金が受給できる条件傷病手当金を受給するためには、次の1~4の要件をすべて満たす必要があります。1)療養のために休んでいること必要と認められれば、自宅で療養する場合や、自費診療を受けた場合も対象になります。一方で美容を目的とした整形手術は、対象になりません。通勤中のケガ、業務に関連するケガ・病気は対象外業務災害・通勤災害によって負ったケガや病気は、対象になりません。この場合は、健康保険ではなく労災保険から給付が行われるからです。給与明細には「労災保険料」と書かれていることはないので、「自分は労災保険の対象になるの?」と分からない人もいるでしょう。実は、ほとんどの労働者は労災保険の給付を受けることができます。労災保険の保険料は、事業主が全額を支払っています。労働者を1人でも雇ってる事業主は、当然に労災保険が適用されます(一部の農林水産業を除く)。アルバイトでも、勤務時間に関わらず対象になります。労働災害が起こった場合は、労災保険から給付を受けましょう。2)仕事をすることができないことここでいう仕事の内容は、傷病手当金を受ける本人の本来の業務に就けるかどうかで判断します。会社に出勤はできない状態だったが、自宅で副業はしていた→〇:本来の業務に就けないので、支給される医師が許可したので、半日だけ出勤した→✕:半日でも本来の業務に就けるので、支給されない3)連続する3日間の待機期間が完成していること3日間継続して、休業している必要があります。傷病手当金が受け取れるのは、早くても4日目以降の期間です。3日間の待期期間には、会社の定休日や、有給休暇も含めることができます。勤務時間中に病気が発生して途中から働けなくなった場合は、この1日目も待期期間に含めます。一方で、退勤後に働けなくなった場合は、翌日から待期期間を計算します。待機期間は、同じ傷病について1度だけ計算します。その後に出勤日を挟んで、再度休業が必要になったとしても、2回目以降は「連続して3日の待期期間」は必要はありません。4)報酬が支払われていない、または少ない傷病手当金を受け取る休業日に、事業主から給料が支払われているときは、原則として傷病手当金は支給されません。有給休暇を使っている日は、待期期間に数えることはできますが、”有給”の休暇なので傷病手当金は支給されません。なお、給与が支払われていても、その額が傷病手当金の額よりも少ないときは、その差額が支給されます。他の給付金と調整で受け取れないことも傷病手当金以外の給付金を受け取ることができる場合は、傷病手当金の金額が調整されたり、受給額がゼロになったりします。同じ疾病に限らず、別の疾病で給付金を受け取っている場合も調整の対象になります。健康保険の出産手当金障害厚生年金、障害手当金労災保険の休業補償給付(退職後に傷病手当金を受け取る場合は)老齢基礎年金、老齢厚生年金受け取れる日数は、最大1年6カ月傷病手当金は、同じ病気・ケガに対して支給開始日から1年6ヵ月を限度に支給されます。支給開始日とは、3日間の待期期間が終わったあと、初めて傷病手当金を受け取る日です。途中でケガ・病気が治って出勤していた期間も、この1年6カ月に含みます。そのため、1年6カ月中に出勤した期間がある場合、受け取ることができる日数は1年6カ月より短くなります。傷病手当金の金額傷病手当金は、休業1日ごとに支給されます。1日あたり支払われていた報酬の額を「標準報酬月額」をもとに算定し、その3分の2程度が傷病手当金の額になります。標準報酬月額とは、社会保険料を決める際に基準にするおおよその月給のことです。その人に支払われている4~6月の賃金をもとに年1回見直されるほか、昇給や減給があった際にも変更されます。[adsense_middle]実際に、傷病手当金を計算してみましょう次のような収入の場合、傷病手当金の額はいくらになるでしょうか。①直近12カ月間における標準報酬月額の平均を求める(30万円×9カ月+34万円×3カ月)÷12=31万円「継続する12カ月間」が対象になります。例えば入社してから5カ月しか経っていない場合は[5カ月間の標準報酬月額の合計額÷5]で計算します。このように支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合、30万円が上限になります(平成31年4月以降に支給開始の場合)。②30で割り、1日あたりの金額を求める31万円÷30=10,333.33…≒10,330円10円未満の端数は四捨五入します。③3分の2の金額を求める10,330円×2/3=6,886.66…≒6,887円1円未満の端数は四捨五入します。1日あたり6,887円、30日あたり206,610円の傷病手当金が受け取れます。組合によっては独自の”付加給付金”があるところも健康保険事業を行う「保険者」は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)…主に中小企業健康保険組合…主に大企業健康保険の事業を行っているのが「健康保険組合」である場合、法律で決まった金額にプラスして独自の給付金を支給しているところもあります。例えば1日の給付額が本来は「3分の2(約67%)」のところ「80%、85%」などに増額されたり、給付期間が「最長1年6カ月」のところ「2年、3年」と長く受け取れたりする場合があります。詳しくは、加入している健康保険組合に確認しましょう。傷病手当金の受給手続き申請するタイミング傷病手当金は、実際に休業したあとに申請できます。休業”見込み”では申請できません。休業期間が4日~1カ月程度であれば、疾病が治り復職してから申請すればよいでしょう。休業の1日ごとに2年を経過すると、時効によって権利が消滅してしまい請求できなくなります。数カ月にわたって休む場合は、何日分をまとめて申請するかは法律で決まっていません。協会けんぽでは、給与の締め切り日ごと・1カ月単位の申請を勧めています。必要な書類申請書には、自分を含めて3者の記入欄があります。被保険者本人の記入欄事業主が証明する欄医師が意見を記入する欄申請書は、健康保険事業を行う保険者によって違います。協会けんぽであれば、ホームページから印刷して使用できます。申請先医師の記入をもらってから、会社を経由して申請するのがスムーズでしょう。協会けんぽの場合は、事業主経由ではなく、協会けんぽに直接郵送することもできます。退職した後の期間は受け取れるか?治療が長引いて仕事に就くことができず、やむなく会社を退職することもあるかもしれません。条件を満たせば、退職日のあとも引き続き傷病手当金が受け取れる場合があります。退職しても引き続き受給できるケース2つの条件をクリアする必要があります。まず、退職した時点で傷病手当金を受けることができる状態にあることです。退職日に出勤したときは、退職後の傷病手当金は受け取りできません。加えて、引き続き1年以上の被保険者期間があることです。「引き続き1年以上の被保険者期間」は、1日も空白期間のない被保険者期間です。空白がなければ、転職で勤務先が変わったり、組合から協会けんぽに保険者が変わったりしても、期間を通算することができます。任意継続被保険者であった期間は含めません。短い休み…有給休暇とどっちを使う?たとえばインフルエンザで1週間会社を休んだ場合も、傷病手当金は受け取ることができるのでしょうか?受給要件を満たせば、もちろん受け取ることができます。1週間の休みであれば、最大4日分の手当金です。(休業1週間ー待機期間3日間)ですが、休業が数日程度であれば傷病手当金を受け取らずに有給休暇を使うという選択肢もあるでしょう。休業開始から3日間は有給休暇を使い、4日目から傷病手当金を申請することもできます。傷病手当金の申請の際には、医療機関にも書類を記入してもらう必要があるので、手間はゼロではありません。状況によって、どちらの制度を使うか判断するとよいでしょう。社会保険の傷病手当金に関するまとめ傷病手当金は、申請しないと受け取れない給付金です。病気・ケガで4日以上休業する際は、勤務先にも相談して受給漏れのないようにしましょう。
2019年11月21日母子家庭では、病気やケガをしたときが不安だと思います。手術や入院をすれば、医療費の負担は大きくなってしまいます。経済的に厳しい母子家庭の医療費は免除してもらえるのでしょうか?今回は、母子家庭でかかる医療費を支援する制度や申請方法について解説しますので、これから離婚を考えている方は参考にしてください。母子家庭でかかる病院代や手術費用は免除になる?低収入で生活していくのが精一杯という母子家庭では、病気やケガの際にかかる医療費も心配です。健康保険では実際にかかる医療費の2~3割の負担ですみますが、長期間の通院や入院では負担が大きくならないかが心配でしょう。しかし、母子家庭には公的な援助の制度があります。母子家庭の数はどれくらい?まず、日本では現状どれくらいの母子家庭があるのかを見てみましょう。直近の国勢調査によると、母子世帯の数は約75万世帯です。ここでいう母子世帯には、離婚、死別、未婚のシングルマザーすべてが含まれます。また、母親と20歳未満の子供のみからなる世帯で、実家で親と同居しているケースは含まれていません。平成17年までは母子世帯の数は増加傾向でしたが、それ以降は横ばい状態になっています。一方、父子世帯の数の方は、ここ30年であまり変化がありません。母子家庭の収入は?次に、母子家庭の収入の状況を見てみましょう。厚生労働省が行った「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均年間就労収入は200万円となっています。収入の分布は、次のような割合です。平均年収が200万円と言っても、一部の高収入世帯が平均収入を押し上げているだけで、母子世帯の過半数が年収200万円未満であることがグラフから読み取れます。母子家庭の現状はかなり厳しいのが現実です。母子家庭には公的な医療費の助成がある収入の少ない母子家庭でも医療費の心配をせずに病院にかかれるように「ひとり親家庭医療費助成制度」が設けられています。ひとり親家庭の医療費は、一部を自治体が助成してくれます。助成制度があるおかげで、生活に余裕がない母子家庭でも安心して病院にかかれる仕組みになっています。医療費の負担が軽くなる!ひとり親家庭医療費助成制度とは?シングルマザーはひとり親家庭医療費助成制度により、医療費の負担を軽減できます。離婚する際の不安を解消するために、助成制度について知っておきましょう。自己負担額を超えると無料で診察が受けられる医療費助成制度の内容は、自治体によって異なります。一般には、自己負担額が決まっていて、それを超える金額の医療費を市町村に負担してもらえる内容になっています。金額は市町村によって異なるひとり親家庭医療費助成制度は自治体ごとに定められている制度なので、医療費の自己負担額も市町村によって違います。【例:大阪市の場合】1医療機関ごとに、入院・通院それぞれ1日あたり500円が限度額です。同一医療機関では自己負担額を月2回まで支払えばよく、3回目の診察料は無料になります。また、病院で院外処方箋を交付されて薬局を利用した場合には、薬局での費用は無料になります。大阪市では1か月の医療費負担額の上限は2,500円となっており、超過分は払い戻しが可能です。入院費も助成してもらえるひとり親家庭医療費助成制度でお金を払ってもらえるのは、通院の際の診察料だけではありません。入院費も助成の対象になります。手術費用がかかっても、保険適用の治療なら、自己負担額を超えた分は払わなくてもかまいません。親の医療費も対象自治体によっては子供の医療費が無料だったり、子供の医療費の一部が助成される制度が設けられていたりすることがあります。離婚しなくても子供の医療費の心配はないという人も多いでしょう。ひとり親家庭医療費助成制度のメリットは、親の医療費も支援してもらえる点です。自分一人で子供を守らなければならないシングルマザーだからこそ、体調を崩したときには病院にかかって早く治すことを考えなければなりません。医療費の心配なく病院を受診できることは、大きな安心感につながるでしょう。医療費助成の申請方法と受け方ひとり親家庭医療費助成制度の適用を受けたいなら、自治体で申請手続きをする必要があります。離婚したときには忘れないように役所で申請手続きをしましょう。[adsense_middle]申請方法は各市町村で確認医療費助成制度は自治体ごとに定められているので、申請方法も市町村によって異なります。自分の住んでいる市町村の役所で、申請手続きについて確認しましょう。申請に必要な書類は?健康保険証のほか、戸籍謄本が必要になることがあります。必要書類についても、自分が住んでいるところの役所で確認しましょう。医療費助成の受け方医療費助成の方法も、各自治体によって違います。【例:大阪市の場合】ひとり親家庭医療費助成の対象者には、医療証が発行されます。大阪府内の病院を受診するときには、保険証と一緒に医療証を病院の窓口に提出すれば、自己負担額の500円までしか請求されません。一方、大阪府外の病院では医療証は使えないため、通常の健康保険適用の金額を病院で支払った後、大阪市医療助成費等償還事務センターで払い戻しを受けることになります。医療費助成が受けられない人はいる?母子家庭であれば、必ず医療費助成が受けられるわけではありません。支援が受けられないケースについても知っておきましょう。所得制限をオーバーすると受けられないひとり親家庭医療費助成にも、所得制限があります。シングルマザーでも高所得の人は医療費助成が受けられません。所得制限については、ひとり親家庭向けに支給される児童扶養手当と同じになっているところも多くなっています。つまり、高収入シングルマザーは、児童扶養手当やひとり親家庭医療費助成などの優遇制度は受けられないということです。ひとり親家庭向けの優遇制度は、生活に困っている母子家庭や父子家庭を支援するためのものです。単に母子家庭というだけで優遇されることはありません。収入には養育費も加算される医療費助成の所得制限限度額を判断するときには、児童扶養手当と同様、働いて得た収入だけでなく、元夫からもらっている養育費も加算した収入が基準になるのが一般的です。無職のシングルマザーでも、養育費をたくさんもらっていれば、優遇が受けられない可能性があります。生活保護を受けている人は対象外生活保護受給者は、ひとり親家庭医療費助成の対象にはなりません。生活保護では、医療扶助として医療費を全額支援する制度があります。生活保護を受けていれば、ひとり親家庭医療費助成を受けるまでもなく、医療費は無料ということです。医療費助成を受ける際の注意点母子家庭になって自治体から医療費助成を受けることになったとき、注意しておきたいのは次のような点です。公的医療保険の対象とならないものはカバーされない医療費助成制度で負担してもらえるのは、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)が適用される医療費です。保険適用外の治療には助成が受けられません。たとえば、風邪やインフルエンザで病院にかかった際の治療費はカバーされますが、ホクロの除去などで美容外科にかかった際の費用や歯科インプラント、眼科のレーシック手術などの費用はカバーされません。医療費控除で税金を安くできることも母子家庭向けの優遇ではありませんが、医療費の負担を軽減する制度として、医療費控除があります。医療費控除は所得控除の1つで、年間で払った医療費の合計額が10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合に控除が受けられるというものです。保険適用外の治療でも、医療費控除が受けられるものはあります。医療費の負担を軽減するためには、医療費控除も忘れずに活用しましょう。助成が受けられるのは子供の高校卒業まで母子家庭でかかる病院代を自治体に支援してもらえるのは、子供が18歳になった次の3月31日までです。子供が高校を卒業すると、親も子供も医療費の助成が受けられなくなってしまいます。継続的に病院に通っている場合、子供が高校を卒業した途端負担が増えることが考えられます。早めに病院に行って治療ができるものは、早めにすませておくのがおすすめです。シングルマザーも保険に入った方がいい?もしものときの不安を解消するためには、生命保険や医療保険に入っておくのが有効です。保険に入るとなると保険料の負担があるため、生活の厳しいシングルマザーは躊躇してしまうことも多いでしょう。保険に入らなくても、公的な支援が受けられることもあります。シングルマザーが保険に入る必要性について考えてみましょう。[adsense_middle]社会保険による補償も受けられるシングルマザーの場合、自分に万一のことがあったら、子供のことが心配です。リスクをカバーするために、公的な社会保険制度によっても補償が用意されています。保険に入る前に、社会保険制度からどのような補償が受けられるのかを知っておきましょう。遺族年金シングルマザーが亡くなったら、子供には遺族年金が支給されます。遺族年金には、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は年額で約78万円です。これに、社会保険の加入状況により遺族厚生年金が加算されることになります。生命保険に入っていなくても、ある程度の補償は受けられます。遺族年金で足りない分をカバーしたいなら、無理のない範囲で生命保険に入ることを検討しましょう。傷病手当金病気やケガで会社を休まなければならなくなったとき、健康保険から給付が受けられるのが傷病手当金です。傷病手当金としては、給料の3分の2程度の金額が、最長1年6か月の間支給されます。病気等で働けなくなって給料が入ってこなくなっても、会社員なら傷病手当金があるので当面の不安は解消できます。なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はないので、自営業やフリーランスの人は民間の所得補償保険や就業不能保険に入っておくと安心です。もしものときのリスクは収入保障保険でカバーシングルマザーが入っておくと安心できる保険として、収入保障保険があります。収入保障保険は、あらかじめ定められた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金を年金形式で受け取れるものです。収入保障保険に入っておくと、死亡または高度障害になった場合に、残された子供の生活費を賄うことができます。収入保障保険は保険料も安いので、シングルマザーでも入りやすい保険です。遺族年金と組み合わせれば、もしもの場合の安心感が得られます。学資保険で教育費を確保子供が小さいうちに学資保険に加入している人は多いと思います。学資保険に入っていれば、親に万一のことがあっても予定している子供の教育費を用意できます。学資保険では、貯金と同様、毎月保険料を払って学資金を積み立てます。貯金と違うのは、保険期間中に親が亡くなったら、残りの保険料の支払いが免除されるという点です。たとえば、子供の大学進学前に200万円が支払われる学資保険に入っていれば、死亡により保険料を払いきれなくても、必ず200万円を受け取れることになります。シングルマザーの場合、自分が亡くなったせいで子供が進学できなくなってしまうことは避けたいでしょう。学資保険に入っていれば、もしものことがあっても教育費を確保できるというメリットがあります。シングルマザーが医療保険に入るならシングルマザーは医療費助成が受けられるので、治療費についてはあまり心配する必要はありません。しかし、母親の入院によって収入が途絶えてしまうと、子供の生活にも影響が出てしまいます。医療保険に入るなら、入院保障によって子供の生活費を賄うことをメインに考えるとよいでしょう。母子家庭の医療費に関するまとめ母子家庭には医療費助成制度があるので、通院や入院でかかる治療費については心配いりません。ただし、シングルマザーが働けなくなって収入が途絶えたら、子供が即困ってしまいますので、そのための準備はしておいた方がよいでしょう。社会保険でカバーできない部分については、民間の保険を活用し、リスクに備えておくのがおすすめです。
2019年11月21日今回のテーマは「失業保険の給付制限」についてです。失業保険とは一般的な名称であり、正式には「雇用保険のうちの失業手当の給付について」ということになります。この失業手当については、一度でも転職や退職を経験された方ならご存知ではないでしょうか。失業したらすぐに失業手当がもらえるのか?失業保険とはどのようなシステムになっているのか、等を項目別に詳しく説明していきます。また、この記事の内容はあくまでも一般的な解説です。ご自身の給付内容についての詳細はハローワークにてお尋ねください。管轄はハローワーク退職後はやらなければならないことが多く、会社勤めの社会保険から国民健康保険への切り替えや、厚生年金から国民年金への変更手続きも必要な為、一体どこに何をしに行って良いのか混乱する場合もあるかと思います。退職後の手続きについては、まず一番にハローワークへ行きましょう。離職票など、退職時に前の勤め先から渡される必要な書類を持参してハローワークを訪ね、「求職票」に所定の事項を記入し提出しなければいけません。曜日や時間帯によっては、かなり待たされてしまうこともありますので、時間には余裕を持って行動しましょう。退職後の手続きをする場所以前は公共職業安定所と呼ばれていましたが、現在ハローワークと呼ばれるようになりました。これに付随して、土日祝日も開所していて、遅い時間まで空いており利用しやすい出張所のような関係施設も増えてきました。そこでは主に、求人情報の閲覧や職業相談を行っています。たとえば若者支援コーナーやマザーハローワークコーナー等のような施設ですが、このような関係施設では退職後に行わなければならない求職票の記入、提出などを行うことができない場合がほとんどです。退職後まず最初の手続きについては、お住まいの地域の要となるハローワークで行う必要がありますので、退職時に受け取る書類などで事前に調べてから手続きに向かうようにしましょう。雇用保険とは雇用保険=失業保険と考えている方がほとんどだと思います。しかし、雇用保険はこれ以外にも大切な役割を担っています。メインは「失業手当」ですが、他にも、求職活動の促進・働く人の能力開発などの教育支援・働く人の働く環境を改善し、あらゆる年齢や性別の方でも平等に払炊くことが出来る機会を与えられるよう推進すること等を目的としています。ハローワークの掲示板には、公共職業訓練の資格取得講座や各種セミナー募集の張り紙を見かけることもありますが、このようなことも雇用保険の一環です。職業訓練には2種類あり、ひとつは失業手当を受け取ることが出来る人が対象の「公共職業訓練」もうひとつは、失業手当の給付対象ではない人向けの「求職者支援訓練」です。失業保険の対象で、失業給付の受給権を持っている方は「公共職業訓練」でスキルを身に付け、次のお仕事へのステップにすることができます。簿記などの資格取得を目指すコースや、パソコンスキルを身に付けるコースなど様々な講義があります。是非ハローワークにてお尋ねください。育児休業給付金雇用保険は、働く意思があるのに事情があって働けない方をサポートする目的があります。育児休業給付金という制度も、実は雇用保険の制度として利用できます。失業手当について失業手当とは、正式名称「基本手当」のことを指します。基本手当とは退職する前の2年間の中で、連続して12カ月以上雇用保険に加入している人が退職した場合に受け取る権利が発生します。この際の失業手当の額は、退職する6カ月前の「平均賃金日額」の5~8割部分を日額として計算し、退職した理由や雇用保険に加入していた期間などから「いくら(基本手当)」を「いつまで(受給期間)」もらえるか決まります。[adsense_middle]期間や受給額は人それぞれ基本手当を受給できる日数や受給金額などは、離職理由や年齢、これまでに何年間雇用保険に加入していたか等によって差があり、決して一律ではありません。基本手当を受けられる期間は離職日翌日から1年間という条件は統一されています。実際に受給できるまでの期間実際に失業手当(基本手当)をもらえるようになるまでには、どれくらい時間がかかるのでしょうか。退職した条件によって給付額や給付期間が変わります。以下「会社都合退職」と「自己都合退職」にわけて解説します。会社都合の場合リストラや勤務先の倒産など、本人の都合ではなく勤務先の都合で退職せざるを得ない場合を「会社都合」と呼びます。この場合は、最短で7日間の待期期間の後、受給開始となります。会社都合の場合、雇用保険に加入していた本人はまだ働く意思が有ったにも関わらず退職せざるを得ない状況であり、突然無職になるわけですから、当然給付制限なしですぐに失業手当をもらうことができます。自己都合の場合自己都合退職(離職)の場合、7日間の待期期間の後、さらに3ヶ月の待期期間(給付制限)があります。したがって、早くても3ヶ月と7日間経った後からの受給開始となります。いずれの場合も給付制限後すぐに失業手当をもらえるわけではありません。手当の所定の振込日が決まっていますので、最短の締め切り日後の振込日に受給できることになります。2週間~1か月後と思っておく方が確実です。給付制限の意味とは?雇用保険に加入していて離職した場合、すぐに失業手当などを受給できるわけではありません。なおかつ、離職後に働く意思がない場合などは「求職者」に認定されず、失業手当の受給条件に該当しない場合もあります。ここから給付制限の概要と、なぜ給付制限が設けられているのかについて解説します。給付制限は原則3ヶ月自己都合退職の場合、原則として3ヶ月の給付制限があります。そもそも自己都合退職で、失業保険をもらっているという状況は「働く意思があり、少なくとも認定日には必ずハローワークに行き就職活動をしているにも関わらず、なかなか仕事が見つからない」状態のことです。この給付制限の3ヶ月の間には、十分な就職活動をしたとみなされる必要があります。このことから、求職活動をするのに十分な期間ということで、自己都合退職の場合のみ給付制限が3ヶ月とされます。【補足】特定理由離職者自己都合の場合は必ず3ヶ月の給付制限があることは、すでに解説しました。一部、給付制限が免除になるケースがあり、これを「特定理由離職者」と呼びます。主に、急を要しやむを得ない離職理由である場合です。これらのいずれかに該当すれば特定理由離職者となり、給付制限なしで失業給付を受給することができる場合があります。ドクターストップの場合(医師から勤務継続が困難であると診断された場合)家庭環境の急変により勤務困難になった場合(家族の死亡など)結婚による転居や、勤め先が変わり長距離通勤の必要がある場合(往復4時間が目安)家族の長期看病(または看護)により勤務不可能(おおむね30日以上が目安)失業保険の給付制限に関するまとめいかがでしたか。一度も退職、転職をしたことがない方には未知の世界だったことと思います。失業保険は雇用保険のことですが、雇用保険の核は失業手当ですが、失業した時だけでなく、育児中の給付金やスキルアップのための教育訓練にも利用できます。給付制限は、離職理由によって差があることもお解りいただけたと思います。特定理由離職者の概念も覚えておかれると心強いでしょう。ご自身の意思での退職の場合はもちろん、意図しない離職に見舞われた際にもお役に立てるかと思います。是非ご参考になさってください。
2019年11月20日自分で事業を立ち上げる場合、健康保険、労災保険などの社会保険はどうなるのしょうか。事業の代表者として、社会保険にを放ったらかしにしておくと「知らないうちに法律違反をしていた」「思っていたよりたくさんの保険料がかかってしまった」ということになりかねません。今回は、個人事業主の社会保険について解説します。そもそも、個人事業主とは自分がリーダーになって事業を始めるには、大きく2つの選択肢があります。法人を立ち上げて、その代表者になる個人事業主になる法人…株式会社、合同会社など法人を立ち上げるには、必要な書類を揃え、法務局で申請をするなどの手順があります。社長1人しかいなくても会社は作れますし、合同会社の場合、5万円もあれば設立登記も可能です。株式会社の代表に就任すれば「代表取締役」、合同会社であれば「代表社員」を定めて経営者になります。個人事業主…個人名や、屋号で活動会社を立ち上げずに、個人で継続して事業を行う場合は「個人事業主」です。1人で事業を行う場合に限らず、従業員を雇って事業を行う場合もあります。”オフィス〇〇”、”〇〇商店”など屋号を付けることもできます。同じ”自営業”でも、個人にするか・法人にするかで社会保険の扱いは大きく違います。個人事業主になった場合、社会保険はどうなるのでしょうか?個人事業主でも、社会保険に加入?個人事業主である”代表者自身”は、社会保険の対象になりません。労災保険を除いて、任意に加入することもできません。ただし、経営する事業所には社会保険が適用されることがあります。つまり「事業主は」社会保険に加入できなくても、雇っている「従業員を」社会保険に加入させる必要があります。個人事業主でも、従業員数や業種によって、従業員を社会保険に加入させる手続きや、社会保険料の支払いをしなければいけないのです。各社会保険が適用される条件社会保険の種類ごとに詳しく確認しましょう。「厚生年金保険と健康保険」、また「雇用保険と労災保険」では、互いの取り扱いが似ているところがあります。[adsense_middle]1.厚生年金保険・健康保険老齢・死亡・障害状態のとき、年金が受け取れる厚生年金保険。また病気やケガのとき、治療にかかる負担額を抑えてくれる健康保険。行っている事業が「強制適用事業所」に該当する場合は、厚生年金保険・健康保険が適用されます。ただし、個人事業主自身は厚生年金保険・健康保険に加入できません。従業員数・業種によって、社会保険の加入義務個人事業の場合、次の2つをどちらも満たす場合に、強制適用事業所になります。常時5人以上の従業員がいること適用業種であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など16業種)なお、一定の船舶も強制適用事業所になります(厚生年金の場合)。強制適用事業所ではない場合は?従業員が5人未満の場合や、非適用業種の場合は、当然には厚生年金保険・健康保険が適用されません。「暫定任意適用事業」と呼ばれ、次のステップを踏んで、適用事業所となることができます。労働者の2分の1以上の同意を得る事業主が申請する厚生労働大臣が認可するなぜ、わざわざ申請して、社会保険の適用事業所になるの?求職者や従業員にとっては、自分で支払う「国民年金・国民健康保険の保険料」は大きな負担です。そのため”社会保険完備”の職場を選ぶ求職者も多いでしょう。求人の際にプラスに働く可能性があります。2.雇用保険失業、休職、職業訓練などの際に、給付を受けられる雇用保険。労働者を1人でも雇うと、雇用保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、雇用保険に加入できません。農林水産業では加入がゆるやか個人経営で、農林業・畜産業・養蚕業・水産業(船員を雇用する場合を除く)、かつ常時5人未満の労働者しかいない場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には雇用保険が適用されません。暫定任意適用事業の場合は、厚生年金保険・健康保険と同様に、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。3.労災保険仕事中のケガなどに対し、治療費や収入を補填してくれる労災保険。労働者を1人でも雇うと、労災保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、この”労働者”にはあたりません。個人経営で、農林水産業、かつ雇用する従業員の数が一定数以下(危険作業のない農業の場合は5人未満、など)の場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には労災保険が適用されず、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。事業主は、希望があれば労災保険に加入できる個人事業主自身は、通常は労災保険で保証されません。ただし、希望する事業主が”特別に加入”できる制度があります。中小事業主の特別加入従業員数の少ない中小事業の代表者は、労災保険の「特別加入」を申請できます。なお、特別加入するためには、労働保険の事務処理を「労働保険事務組合」に委託します。一人親方の特別加入人を雇わずに、次の個人事業をしている場合も、労災保険の特別加入を申請できます。個人タクシー、個人運送業大工の一人親方林業、漁業など一人親方で組織する組合などを通して、申請する必要があります。妻や子供が、雇用者の場合は?従業員が、同居している親族”のみ”の場合、これらの親族は「労働者」とはみなされません。同居の親族以外にも従業員がいる場合は「ほかの従業員と同じように、事業主の指揮命令に従っていることが明確である」などの条件を満たして、各社会保険に加入できる場合があります。個人事業主自身が、社会保険に加入する方法ここまで見てきたように、労災保険を除いて、個人事業主自身は社会保険に加入できません。事業主が社会保険に入りたい場合はどうすればよいでしょうか。社会保険に加入したいなら”会社をつくる”個人事業主と異なり、代表取締役などの「法人の代表者」は、加入できる社会保険が増えます。社会保険に加入すると、負担が増える?社会保険に加入すれば、もちろん保険料を支払わなくてはなりません。会社員として勤めていると、保険料の負担は2分の1です。しかし経営者としては、残った2分の1も会社負担分として納付しなければなりません。従業員に支払う給与や自分が受け取る報酬に、上乗せして負担がかかります。事業主+事業主の家族の保険料=安くなることもいっぽうで、社会保険に加入できない事業主は「国民年金保険料」や「国民健康保険料(国保)」など、別の保険料を納める必要があります。国民健康保険料は世帯人数に応じた保険料がかかるため、扶養する家族がいると特に割高になりがちです。家族がいる”ひとり社長”は、社会保険に加入することでかえって保険料が安くなる可能性もあります。国保だけでは保障が不安だから…と、さらに民間の保険に加入している場合もあるかもしれません。社会保険に加入することで、こうした保険は節約できます。個人事業主の社会保険に関するまとめ事業をスタートする時、個人で始めるか、法人を立ち上げるかは、大きな選択肢です。その判断材料には「税金がお得なのは」「事務作業の手間は」「取引先からの信用は」といったもののほか、「社会保険」も必須の事項として考える必要があります。個人事業にも社会保険料がかかる場合があることや、個人事業主自身は社会保険に加入できないことなど、ポイントを押さえておきましょう。
2019年11月13日年をとるごとにつのる老後への不安。どうにかしたいという一心で、投資や財テクに手を出そうと検討している人も多いだろう。でも、あなたが選ぼうとしているのは老後破綻の入口かもーー。「老後2,000万円不足問題や、年金受給開始年齢の引き上げ論などがメディアで話題となり、リタイアが見えてきた50代の人たちの多くは“時間がないから、何か手を打たなくては”と焦っていることでしょう。しかし、そんな老後不安を抱える人たちの資産が狙われているんです」こう警鐘を鳴らすのは、「やってはいけない!老後の資産運用」(ビジネス社)の著書もある、ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほさんだ。「老後のため、よかれと思ってやったことが大失敗ーー。そんなことにならないよう、陥りやすい落とし穴を押さえておきましょう」岩城さんが、老後不安につけ込まれて、ついやってしまう「お金のタブー」を解説してくれた。【タブー1】50歳以降に医療保険に入る「50代が加入しようとすると、一般的な医療保険で月の保険料は1万円程度です。年齢がさらに高かったり、持病があったりすると、引受基準緩和型医療保険となり、さらに割高になります」しかし、高額な保険料に見合った保障を受ける人は少ない。月額保険料1万円、入院時日額1万円受け取れる商品で計算すると……。「入院平均日数で計算した場合、60代女性が受け取る医療保険は平均で年間約3万6,000円。これに対し年間12万円の保険料は、高いといえるでしょう」そもそも国保や社保などで、3割負担で医療を受けられるし、高額の医療費が生じた場合は、高額療養費制度によって、一定額を超えた医療費が全額戻ってくる。「いざというときに使える50万〜100万円ほどの貯蓄があれば、医療保険に入る必要はありません」【タブー2】終身保険に加入する生きている間、毎月、保険料を払いこみ、死亡時にまとまった保険金を受給できる終身保険。「自分の葬式代にあてようと、死亡保障を200万〜300万円に設定しているケースが多いようですが、おすすめできません。たとえば、某社の100万円の引受基準緩和型終身死亡保険に50歳で加入すると、65歳までに死亡しないと元が取れない計算になります」勧誘文句のひとつに「死亡すると、銀行口座が凍結されるのでその対策に」というものもあるが……。「相続法の改正により、遺産分割協議が終わる前でも、相続人は預貯金の一部を引き出せるようになりました」よかれと思ってやったのに、大きく損をしてしまった……。そんなことがないように、「お金のタブー」を頭にたたき込もう!
2019年11月09日働く人が職場で加入する保険のことを「被用者保険」と言います。雇用保険健康保険(+介護保険)厚生年金保険これらの保険料は、給与から天引きされ支払います。このうち「健康保険・厚生年金保険」を、特に社会保険と呼んだりします。40歳以上65歳未満であれば、健康保険料と併せて、介護保険料も支払います。パートタイマー・アルバイト従業員は、どのくらい働いた場合に社会保険に加入することになるのでしょうか。実は、「勤務先の規模」によっても異なります。パート・アルバイトの定義とはパートタイマー、アルバイトという言葉は、健康保険法や厚生年金保険法には登場しません。パートやアルバイトといった働き方を、これらの法律では「短時間労働者」と呼んでいます。ここでいう短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が「同一の事業所に雇用される”通常の労働者”に比べて短い労働者」です。所定労働時間…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働時間のことです。これに対し、「法律で」決まっている労働時間の上限のことを「法定労働時間」と呼びます。通常の労働者とは、いわゆる「正社員」のことです。同じ職場に正社員がいない場合は、正社員に準ずるような働き方をしている社員を基準にします。同じ業務に就いている正社員より勤務時間が短い場合は、無期限で雇われていても「短時間労働者」となります。パートしかいない会社の場合は?パートタイマーしか勤務しておらず、比較できる正社員がいない場合は、パートタイマーが通常の労働者になってしまうのでしょうか?この場合は「事業所の営業時間に対して、どのくらい勤務しているか」などをもとに総合的に判断されます(日本年金機構疑義照会より)。正社員を雇うことのある会社で、たまたまパートタイマーしかいない場合などでは、パートタイマーが「通常の労働者」にはならないということです。パートタイマーが社会保険に加入する条件事業所の中には、社会保険が適用される「適用事業所」と、そうでない事業所があります。適用事業所であれば、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、①4分の3基準、②5要件と呼ばれる2つの決まりで判断します。どちらかに該当すれば、社会保険に加入し、保険料を支払う必要があります。①4分の3基準では、週30時間以上働く場合に対象となる可能性が高く、②5要件では週20時間以上働く場合に対象になります。ただし、これらの条件を満たしても適用除外となる場合もあるので、併せて説明します。①4分の3基準を満たす次の2つの条件に、どちらも当てはまる場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。1週間の所定労働時間が、通常の労働者と比べて4分の3以上1カ月の所定労働日数が、通常の労働者と比べて4分の3以上所定労働日数…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働日数のことです。4分の3基準を満たす場合は、次の5要件に関係なく、被保険者となります。一般的に、正社員の労働時間は法律の上限と同じ「週40時間」になっていることが多いです。そのため「正社員の4分の3」とは「週30時間」を目安にできます。[adsense_middle]②5要件を満たす4分の3基準のどちらか片方でも当てはまらない場合には、次の5つの要件すべてに当てはまるとき、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。労働時間が週20時間以上1年以上雇われる見込みがある月給8.8万円以上ある学生ではない大企業、もしくは労使合意のある中小企業に勤めている5つの要件を詳しく確認しましょう。1)1週間あたりの決まった勤務時間が20時間以上であること20時間以上かどうかは「あらかじめ決められた」労働時間で判断します。たとえば、普段は18時間勤務だが、残業でたまたま20時間以上になった場合などは、残業時間は判断に含めません。2)雇用期間の見込みが1年以上であること期間を決めずに(ずっと)雇われる場合や、契約期間が「1年」「2年」などの場合は、雇用期間1年以上の見込みがあると判断されます。雇用期間が「6カ月」などと短い場合でも、次のような場合には雇用期間の見込みが1年以上と判断されます。「更新の可能性有り」と契約書で明らかにされている同じ条件で働く他のパートタイマーが、実際に1年以上雇われている実績がある3)賃金の月額が88,000円以上であることあらかじめ決まった賃金で判断します。年額だと105.6万円の賃金ですが、判断は「月額の賃金」で行います。残業した分の賃金は除いて判断するなど、次の手当は計算に含めません。精勤手当、皆勤手当通勤手当家族手当時間外労働・休日労働・深夜労働に対して払われる賃金賞与これらの賃金は、88,000円以上かどうかの判断をする際には賃金に含めません。ただし、保険料を計算する時には、これらの賃金も含めた金額をもとに保険料が発生します。4)学生等でないこと昼間学生を指します。夜間学校・定時制・通信制などに通う人は、加入対象になります。5)従業員数の要件被保険者数が501人以上の会社で働いている被保険者数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている「国・地方公共団体に属する事業所」もこの中に含まれます。人数は店舗・支店ごとではなく、企業全体で判断します。適用除外(加入できない場合)適用除外に当てはまる場合は、たとえ「4分の3基準」や「5要件」を満たしていても、健康保険・厚生年金保険が適用されません。日雇労働者(※健康保険では、日雇労働者のための保険制度もあります)2カ月以内の期間限定で働く1年のうちのある季節だけ行われる仕事で働く(…酒造業など)臨時的事業で働く(…博覧会など)所在地が一定しない事業所で働く(…サーカスなど)日雇いで働く人が1カ月より長く働いた場合や、当初2カ月と決めていたが3カ月働くようになった場合は、それより後は被保険者になります。季節を定めていても4か月を超える期間働く場合や、臨時的事業でも6カ月を超えて働く場合は、はじめから被保険者になります。船員保険・国保組合・後期高齢者医療は優先また、健康保険の場合「船員保険」「国民健康保険組合」「後期高齢者医療保険」に加入している人も適用除外です。健康保険ではなく、これらの保険が優先されます。「国民健康保険”組合”」と「国民健康保険」は別のものです。国民健康保険組合とは、医師国保・土木建築国保など、同じ業種の組合員で組織されています。国民健康保険とは、職場で健康保険に加入していない人を対象に、市区町村単位で運営されています。扶養されているかどうかは、加入要件に関係ない適用除外の中には「被扶養者であること」という条件はありません。被扶養者…扶養されている人のこと。たとえば、会社員の夫と短時間パートの妻の場合「妻」のことを指して言います。家族の被扶養者になっていても、基準を超えて働けば、社会保険に必ず加入しなければいけません。扶養に入るか、勤務先で保険に加入するかを自分で選択することはできません。扶養にもなれず、勤務先で保険に加入できない場合もある勤務時間の短いパートタイマーだが時給が高い場合や、ボーナスが高額な場合などです。被扶養者になるには年収基準(130万円未満/60歳未満の場合)があるので、年収が高くなると被扶養者にはなれません。自分の勤務先で保険に加入しようと思えば、4分の3基準、もしくは5要件で決まっている労働時間以上働いている必要があります。「配偶者の扶養にもなれないし、勤務先で社会保険にも加入できない」という場合もあり得るのです。(国民健康保険や、国民年金に加入する必要があります)[adsense_middle]パートタイマーでも、社会保険の対象者が増える!?今後の法改正の動向実は、この5要件が登場したのはごく最近です。近年、社会保険の加入対象者が広がっています。”被用者保険の適用拡大”と言われるものです。今後はどうなるでしょうか。2016年大企業を中心にパート加入者拡大前述の「5要件」が新設され、大企業と国の事業所を中心に、パートタイマーの社会保険適用が拡大されました。この時は、国の事業所・被保険者数501人以上の企業のみ対象でした。2017年500人以下の企業も加入できるように2017年4月からは、被保険者数500人以下の企業でも労使合意があれば、パートタイマーの適用拡大が可能になりました。地方公共団体に属する事業所も適用対象になりました。そして…501人以上、の決まりは廃止?保険に加入するパートタイマーをさらに増やすことが、厚生労働省で議論されている途中です。この9月にも最新の検討状況が明らかにされたところです。501人以上、という企業規模の条件をなくし、すべての中小企業を対象にする賃金月額8.8万円以上、という要件をなくす特に企業規模の要件については、撤廃すべきと議論に上がっています。就職活動をするとき、通常は労使合意があるかまでは分かりません。入社した会社によって保険に入れないのは不合理…とも考えられます。健康保険・厚生年金保険、適用が広がる背景には…適用拡大の背景には、女性・高齢者の労働参加や、人手不足が挙げられます。パートでも自分の職場で社会保険に加入できれば、”130万円の壁”と呼ばれる扶養の要件を気にする必要はなくなります。扶養から外れないようにと年末にシフトを少なく調整し、現場では人手不足…といった問題の解消も狙っています。「主婦パート→厚生年金」は意外と少なく、約2割ただし、適用が広がったため社会保険に加入した人のうち、国民年金第3号被保険者(いわゆる主婦パート)だった人は2割ほどに留まります。実は一番多いのは、自分で保険料を納めないといけない「国民年金第1号被保険者」だった人で、約4割です。これらの人のうち約半分は、国民年金保険料が未払いだったり、減免されていたりしました。社会保険に加入することで、年金保険料を確実に納め、年金額を増やすことができます。保障がなかった人が、社会保険の対象にここから分かるのは、社会保険の適用拡大は、”配偶者に扶養されていた”いわゆる主婦パートの人のみを対象にしているのではないということです。生活スタイルや家族の形も多様化しています。これまで将来の年金が確保できなかった人たちにとっては、生活を支える大きな保障になります。社会保険に加入する利点健康保険・厚生年金保険に加入して「被保険者」になると、受け取れる給付金も増えます。いずれも、被扶養者であれば受け取れないものです。私生活のケガ、病気で仕事を休んだ…傷病手当金出産で仕事を休んだ…出産手当金老後の年金、2階建て部分…老齢厚生年金比較的軽い(3級)障害でも受け取れる年金…障害厚生年金受け取れる遺族の範囲が広い年金…遺族厚生年金納めた保険料は「出費が増えるから損」ではなく、もしもの時のリスクに備えるお金になっています。これだけの保障を、加入時の健康状態にかかわらずカバーしてくれます。パートの社会保険加入に関するまとめ社会保険に加入しなければいけないパートタイマー・アルバイトの人の範囲は、年々広がっています。社会保険に入りたくても入れなかった人にとっては、嬉しい流れと言えるでしょう。今は社会保険に入っていないという人も、法律の改正によって、将来は加入の対象になる可能性があります。「家族の扶養に入れるかどうか」で労働時間を調整する働き方は、一般的でなくなるかもしれません。加入する要件や、加入した場合のメリットについて、今のうちに押さえておきましょう。
2019年11月01日生きていくうえで欠かせないもののひとつといえば、医療。私たちが安心して暮らせるのも、医療の現場を支えてくれる人がいるからこそですが、今回は普段知ることのできない様子を垣間見ることができる注目の映画をご紹介します。その作品とは……。珠玉のドキュメンタリー『人生、ただいま修行中』!【映画、ときどき私】 vol. 272本作の主人公となるのは、パリ郊外にある看護学校に通う生徒たち。年齢も出身も異なる彼らが看護師になるという夢を叶えるため、実際の現場で奮闘している姿に密着しています。そこで、40人の生徒たちを150日間にわたって見つめてきたこちらの方に、本作に込めた思いや彼らから学んだことについて語っていただきました。フランスのニコラ・フェリベール監督!これまでに『パリ・ルーヴル美術館の秘密』や『ぼくの好きな先生』といった名作ドキュメンタリーを次々と世に送り出し、現代ドキュメンタリー最高峰の一人ともいわれているフェリベール監督。11年ぶりの来日という貴重な機会にお話をうかがってきました。―本作では医療を題材にされていますが、最先端の手術やスーパードクターを追うのではなく、あえてスタート地点に立ったばかりの学生たちに密着しようと思った理由から教えてください。監督私は普段あまり表に出てこない人たちに敬意を捧げるような作品を作りたいと思って、今回は取り組みました。なぜなら、看護師というのは陰にいるような存在で、どちらかというとあまり高い評価を得られていないところがあるからです。医療の世界では、医者に比べて看護師は下に見られているようなところがあると感じたからこそ、そういう仕事に焦点を当てたいという意図がありました。そのなかでも、なぜ看護師の卵である学生たちを追いかけたかというと、彼らはまだ若い世代であるにもかかわらず、病気につきまとう苦悩や末期状態にいる患者たちの人生と向き合うこととなります。そこには恐れもあるでしょうし、未知のものを発見していくこともあるでしょう。でも、私はそこに生まれる彼らの若さと人生の終わりという強いコントラストに惹かれるものがあったのです。―確かに、医療の現場では普通の若者たちでは目の当たりにしないような現実と向き合うことになりますよね。監督それと、若い人たちを登場させることによって、観客のみなさんがより感情移入しやすくなるだろうと思ったのも理由のひとつです。たとえば、注射を打つ難しさを学んでいるところやさまざまな医療的な動きを覚えなければいけないところを見ると、「私だったらできるかな?」と誰もが自分と重ね合わせてしまうはずですから。私も看護を学ぶということがどれだけ難しくて時間のかかることかを知りましたが、いろいろな知識を習得しなければいけない看護師は、簡単になることのできない職業なんだと撮影を通して痛感しました。一命をとりとめた経験がテーマを明確にした―監督は2016年に塞栓症を患って救急搬送されたそうですが、その経験も本作を制作するうえでは大きな影響を与えているのでしょうか?監督もちろん、それもありました。以前から健康や保険制度をテーマにしたドキュメンタリーをいつか撮りたいと考えてはいましたが、どういう切り口で着手しようかというのが具体的には見えていませんでした。そんななか、自分が救命救急室に入ることになった出来事は、作品に影響を与えたと思います。つまり、自分の経験を通して、テーマが明確になったということです。医者というのは、いつもすごく急いでいますし、彼らの関心事の大半は技術的な部分や医療的なことですが、入院してみてよくわかったことは、看護師とのやりとりがいかに大事な部分を占めているかということ。つまり、患者としては人と話をして安心させてもらったり、誰かに寄り添ってもらったりすることが非常に必要なことなんですよ。だからこそ、“医療ヒエラルキー”のなかでは下のほうにいるかもしれない看護師や掃除係のような人たちが話しかけてくれたり、笑わせてくれたりするような交流が入院生活においては必要不可欠なことなんだと実感しました。―それは、ご自分で経験したからこそですね。とはいえ、日本でも看護師不足は問題となっており、このままいくと2025年には看護に関わる職員が6万から27万人ほど不足すると言われています。さらに、現在では約75%の看護師が仕事をやめたいと思っているというデータもありますが、看護師が希望を持って仕事を続けられるために改善すべき点はどんなことだと思いますか?監督この数字を聞くと、看護師をめぐる状況は、どこも同じなんだということがよくわかりますが、私の国であるフランスはもちろん、ヨーロッパも同じ問題を抱えていますよ。給料はそれほどよくないし、勤務時間もとても不規則なので、看護師になりたいという人たちがだんだん減っていることは理解できますよね。そういった条件的な厳しさはもちろんですが、彼らが直面している問題はほかにもあります。それは、人員や予算の削減といった経済的な部分がますます優先されるようになってきたことによって、本来であればもっとこういう看護したいという自分たちの思いを貫けない状況に追い込まれていることです。病院では看護師たちによるストもよく起きていますが、それは決して給料のアップだけを唱えているものではなく、もう少し自分たちの仕事に威厳を持って働けるように体制を整えて欲しいということを訴えているものでもあるんですよ。看護師の大変さを目の当たりにして驚いた―どこの国でも、まだまだ多くの問題が残されている状況ということですね。今回は彼らの生活に密着するなかで、さまざまな場面に遭遇したと思いますが、そのなかで印象に残っていることはどんなことですか?監督私が一番驚いたのは、彼らが学ぶべき知識や技術の幅の広さです。これまでの私は、看護師といえば、お医者さんの補佐役くらいのシンプルなイメージを持っていましたが、本当にさまざまなものを会得しなければいけないということを初めて知りました。それは技術的なことだけではなく、倫理的なことや道徳観、法律や権利的な概念、それから薬の配分には数学的なことも必要になりますし、薬理学もきちんと学ばなければいけないですよね。さらに、体力も必要ですし、責任感というのも持ち合わせなければならないので、多様なものを習得してはじめて看護師になれることを知りました。そのほかには、それぞれの人が持つストーリーのなかにある美しさに触れることができたのも印象に残っています。―全力で向き合う彼らを見ていて、もっと社会全体で彼らを支えるような寛容さを私たちも持つべきだと感じましたが、最後に監督がこの作品を通して観客に伝えたい思いを教えてください。監督作品を制作するときに私が心がけているのは、テーマ以上のものを映画が示唆するようにすること。今回は看護の世界を映し出していますが、私の作品はあくまでもその入口でしかないので、看護以上のことを訴えている人間の映画でもあります。彼らは人を看護するという非常に重要な職業に従事している人たちなので、私たちにとっても決して無関係のことではありません。それだけに、私たちをケアしてくれる人たちを私たちがもっとケアしなければいけないと思っています。つまり、彼らがよりよい条件のなかで仕事ができるように気を遣ってあげるべきだということ。そして、それは必ず私たち自身にも返ってくることでもあるというのをみなさんにも考えて欲しいです。人生には学びと感動が詰まっている!自分の仕事に対して誇りや希望を持って働くことの大切さを思い出させてくれる看護師たちの真剣な眼差しに、心を動かされる本作。病院で当たり前のように受けていた治療も、看護師たちの努力と熱意によって支えられていたものだと改めて感じさせられるはず。看護師不足が叫ばれる現代において、私たちが彼らをどのようにして支えていくべきかをひとりひとりが考えてみては?応援したくなる予告編はこちら!作品情報『人生、ただいま修行中』11 月 1 日(金) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:ロングライド©Archipel 35, France 3 Cinéma, Longride -2018
2019年10月28日東日本大震災、熊本地震と震災が身近で発生し地震保険への関心が高まっていますが、分譲マンションでも地震保険に加入できるとご存じですか?分譲マンションの地震保険は、戸建ての地震保険とは少々違う考え方で加入を検討します。今回は分譲マンション住まいにおける地震保険加入の必要性やメリットなどをご紹介します。地震保険の基礎知識まずは地震保険の基礎知識をご紹介します。地震保険で押さえておくべき基礎知識は3つ挙げられます。地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があります。地震保険に入りたいとお客さまからの問い合わせをいただくことがあるのですが、「地震保険は単体での加入はできないので火災保険と一緒に加入する必要があります」とご案内しています。地震保険を用意する場合は火災保険とあわせてご加入ください。地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる地震保険には4つの損害区分があります。全損大半損小半損一部損万一の際はこの4つの損害区分で損害を判定し、保険金が支払われます。損害区分が一つ違うと受け取る保険金が数十%違ってきます。査定は保険会社が指定する鑑定人によって行われますが、鑑定人により査定結果に差が出るので注意が必要です。建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険では、建物の構造や所在地により保険料が異なります。地震発生の際に被害が大きい首都圏では比較的高い保険料、地震が少ない地方では保険料が安く設定されています(下表は地震保険の保険料最安値と最高値)。保険料が高いため地震保険に入らない方もいらっしゃいますが、必要最低限の保障は用意されたほうがいいでしょう。※保険期間1年、地震保険金額1000万円、割引適用なしとして算出分譲マンション住まいの場合は地震保険に加入する必要性はあるの?地震保険は分譲マンション住まいも加入する必要があると考えています。東日本大震災や熊本地震以後、地震保険の加入率は上昇傾向にあり、2008年に22.8%だった地震保険の世帯加入率は2018年に32.2%となりました。このように地震保険の世帯加入率が10年間で10%増加したのは、大規模地震に備える方が増え、地震保険への関心が高まっているからだと推測されます。ここでは、まず地震保険の基礎知識を紹介し、次に分譲マンションの地震保険についてご紹介します。分譲マンションは専有部分と共用部分で分けて地震保険加入を検討する分譲マンションには専有部分と共有部分がありますが、分譲マンションで地震保険を検討する際はこれらを分けて検討します。専有部分は簡単に言うと部屋の内側、共有部分はそれ以外の場所です。注意したいポイントは、共有部分はエントランスや廊下だけでなく、排水、電気設備などや、ベランダや窓も共用部分に含まれる点です。専用部分で地震保険を検討する場合分譲マンションの専用部分の地震保険を検討する場合は、いくらの保障が必要なのかを考えます。ただし、地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があり、保険金額は火災保険の保険金の3割から5割の金額で設定します。これらに基づき、ご自身のマンションの価値がどれくらいなのか、被災したときにいくらの保険金を用意するのか、家財に対する保障はどうするのかを検討してください。共用部分で地震保険を検討する場合共用部分の地震保険加入にはマンションの全世帯の合意が必要なため、地震保険はマンションの管理組合が加入する場合がほとんどです。そして、共用部分に新たに地震保険をかける場合は金銭的な負担が生じるため、マンション全世帯の合意を取るのは難しいです。ですから現在共用部分で地震保険に加入していないマンションに住まれている場合は、ご自身が居住する専有部分の地震保険だけを検討するのが現実的です。分譲マンションを購入する際に確認しておきたいこと分譲マンションを購入する際には共用部分に地震保険が掛けてあるかどうかを確認してください。新築の場合は、マンションの管理組合が地震保険に加入する予定があるかどうかをご確認ください。マンションは構造的に強く造られているため、東日本大震災規模の地震が起きても大丈夫と言われたりもしますが、それ以上の震災が来ないとは言い切れません。また、共用部分の地震保険加入を検討中、もしくはすでに加入しているマンションであれば、万一の時を考えられる住人が多いマンションだという判断基準にもなります。非常事態のことに備えられる人たちが多いマンションだと万一の時に安心できますね。分譲マンションでは専有部分の建物と家財の地震保険のご用意を!分譲マンション住まいの場合、地震保険の加入は専有部分だけを検討することが現実的でした。次に地震保険の対象を詳しくご紹介します。[adsense_middle]地震保険の対象は建物と家財地震保険の対象は大きく分けて2つあります。建物家財地震保険の「建物」と「家財」は、火災保険の建物家財の保険金3割から5割の金額で保険金を決定します(建物の上限は5,000万円、家財の上限は1,000万円)。例えば、建物2,000万円、家財1,000万円の火災保険で地震保険に加入すると、600万円から1,000万円の建物の保険金、300万円から500万円の家財の保険金を設定できます。また、地震保険の対象は居住用の家とそこにある家財である点をご注意ください。建物の地震保険の内容建物の地震保険は、用途が居住の建物を保険の対象としています。法人や個人事業主が自宅を事務所として使っている場合も地震保険の対象です。家財の地震保険の内容家財の地震保険は、居住用として使用されるの建物の中にある家財を対象としています。対象外の家財は、30万円以上の貴金属などの装飾品、通貨、預貯金証書、印紙、切手、自動車等は対象外です。これは地震保険が「生活を立て直すため」に設立されたものであり、ぜいたく品や趣味嗜好性の高いものは対象外としているからです。分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイント分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイントは、2つあります。建物だけでも用意しておくと安心貯蓄でカバーできるなら必要なし建物だけでも加入しておくと安心分譲マンションで地震保険に加入する際は、建物だけでも加入しておくと安心できます。地震保険の保険金の用途は限定されていないので、建物、家財どちらかで資金が用意できれば問題ありません。仮にご自宅が被災し地震保険の保険金を受け取った場合、その保険金を生活費に充ててもいいし、新しい生活に必要なものをそろえる資金として活用できます。震災後に新しい生活を始める必要最低限の金額を建物の地震保険で受け取れるようにしておけば、家財の保障はいらない場合もあります。万一の時の資金が用意できるなら加入不要保険全般に言えることですが、万一の時に必要な資金を用意できる場合は保険に加入する必要はありません。生命保険や損害保険は本来、万一の時に今の生活を維持する保障を用意するのが目的です。保険加入が税金対策として有効な場合がありますが、基本的には必要のない保険には加入しないというスタンスで保険をご活用ください。分譲マンションの地震保険のメリット/デメリット最後に分譲マンションの地震保険に加入するメリット/デメリットをご紹介します。分譲マンションのメリット/デメリットとしていますが、地震保険全体のメリット/デメリットだと言っていいかもしれません。分譲マンションであっても戸建ての住宅であっても地震保険のメリット/デメリットは共通する部分が多いです。[adsense_middle]分譲マンションの地震保険のメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のメリットは2つ挙げられます。被災した際に時まとまった資金が用意できる地震保険料控除が受けられる被災した際にまとまった資金が用意できる筆者は熊本在住なのですが、熊本地震の際に地震保険に加入していて助かったという話をよく耳にします。保障内容は覚えていなかったけど、全損だったので2,000万円近く保険金が支払われたというお客さまもいらっしゃいます。地震保険に加入していれば万一の時にまとまったお金を受け取れるので、それを資金として新たな生活をすぐに始められます。被災して精神的に苦しい状態の中、当面のお金の心配をしなくていいことはとても重要です。地震保険料控除が受けられる地震保険に加入していると、毎年の所得税、住民税の控除が受けられます。所得税は地震保険の保険料に応じて保険料の全額~5万円までが控除され、住民税は地震保険料の控除に応じて保険料の全額~15,000円までが控除されます。例えば、地震保険を年間40,000円支払っている方だと、所得税で4,000円、住民税で2,000円、あわせて6,000円の節税効果があります(※所得税、住民税ともに10%として計算)。10年間で6万円、30年間で18万円の控除額になるのでメリットは大きいです。分譲マンションの地震保険のデメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のデメリットは3つ挙げられます。火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある時価査定のため、買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる地震保険は火災保険とあわせて加入する必要がありますが、地震保険に加入したいために火災保険に加入する場合は、火災保険が全く必要ない世帯だと火災保険の保険料が無駄になります。火災の発生割合は全国共通で、地震の発生割合は地域によって差があります。火災保険に加入するかしないかは考え方で違ってくるので個々の判断が重要です。査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある地震保険は、損害保険の鑑定人により査定結果が異なる場合があります。地震保険の査定基準で、1つ違えば受け取る保険金は数十%違ってきます。鑑定に不服の場合は再調査も依頼できますが、被災後の状況で早急に資金が必要な場合は時間をかけられないこともあります。また分譲マンションですので、階数や場所により被害状況が異なれば、査定結果も違ってきます。隣の部屋が大半損なのに自分の家は一部損だったということも十分考えられるので、そういったリスクを含んだデメリットもあるとご承知ください。時価査定のため買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる地震保険は保険金を支払うときの基準として時価査定を使っています。時価査定とは、被災して同じマンションを購入する際に、購入してから経過した年数を引いて査定することです。例えば2,500万円で購入したマンションが10年後被災して全損となった場合、マンション購入金額から10年経過分の金額数百万円を差し引いて保険金が支払われます。地震保険では、マンション購入から時間が経過している場合は、同じクラスのマンションを再購入する費用には足りないこともあるので注意が必要です。分譲マンションの地震保険に関するまとめ分譲マンションの地震保険はこれからますます需要が増えることが予想されます。地震保険では年間数万円の保険料で万一の時に新しい生活の資金を用意できます。万一の時に不安であったり、資金を用意できない場合は地震保険への加入をご検討ください。地震がいつ発生してもいいように、早めの検討をおすすめします。
2019年10月28日社会保険は、ケガや病気などのリスクに備えるため、法律で決められた制度です。保険会社が販売する民間の保険とは違い、法律で決められた要件に当てはまる場合は、本人の意思にかかわらず加入しなければなりません。社会人になると、いきなり社会保険料が給与から天引きされ始めますが、保障内容については事前に聞いていないことが多いのではないでしょうか。社会保険に加入する要件、加入するメリットについて解説します。「社会保険」という言葉の意味は、大きく分けて2通り「社会保険」と言うとき、大きく2通りの意味があります。広義の社会保険1つ目は”広い意味での”社会保険です。医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労働保険の5つがあります。社会全体でリスクに備えるための公的な保険を指します。個人が支払う保険料にプラスして、国も費用を出して運営されていることがほとんどです。狭義の社会保険(本記事で解説する社会保険)2つ目は”狭い意味での”社会保険です。会社などに勤務する人を対象にした保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つがあります。このうち「雇用保険・労災保険」の2つが「労働保険」と言われるのに対し、「健康保険・厚生年金保険」の2つが、「社会保険」と呼ばれています。”パートタイマーだが、社会保険に加入することになった”といった文脈で使われるときは、この2つの保険を「社会保険」と捉えていることが多いでしょう。アルバイトなど短時間で働く人が、段々と勤務時間を増やしていく場合は、次の順で保険の対象になることが一般的です。労災保険(必ず加入)雇用保険(週20時間以上働く)健康保険・厚生年金保険(正社員と比べて4分の3以上働く)今回は、狭い意味での社会保険である「健康保険」「厚生年金保険」について解説します。社会保険が適用される要件健康保険・厚生年金保険は、全ての労働者に適用されるわけではありません。事業所(会社など)が条件に合うかそれぞれの労働者が条件に合うか適用…「加入する」「対象になる」と言われる状態です。1.事業所(会社など)が条件に合うか次の事業所は、法律上当然に、健康保険・厚生年金が適用される”強制適用事業所”となります。国、地方公共団体の事業所法人(〇〇会社、〇〇法人など)個人経営で、常時5人以上の従業員がおり、かつ"適用業種"であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など)船員法で定める船舶(厚生年金のみ)個人経営の場合、適用業種に該当しないもの…①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業逆に、当然には適用事業所に該当しないものは次の通りです。個人事業で、従業員が常時5人未満個人事業で、業種が「①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業」強制適用事業所に該当しない場合は、事業主が厚生労働大臣に申請して認可を受けた場合のみ、健康保険・厚生年金が適用されます。2.それぞれの労働者が条件に合うか適用事業所に勤務すると、原則として、本人の意思にかかわらず、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。「社会保険に加入する・しない」を自分の意志で決めることはできません。ただし、日雇労働者・ごく短期間雇われる者などは適用が除外されます。被保険者…保険に加入している本人のことです。健康保険・厚生年金保険に加入できない労働者の例日雇労働者2カ月以内の期間限定で働く人パート・アルバイト等で一定の要件に当てはまらない人など契約書上は「日雇い」となっていても、1カ月を超えて雇用された場合は、それ以降社会保険に加入することになります。初めに短い期間で雇い入れたことだけを理由に、社会保険に加入させない、といった取り扱いはできません。社会保険の保険料は、給料の約15%健康保険料・厚生年金保険料は、いずれも毎月の給与から、事業所が控除(天引き)して支払います。社会保険料は合計して、給料の約15%程度が目安です。[adsense_middle]3つの保険料に共通の事項毎月受け取る給与から事業所が控除する実際に納付する義務があるのは事業所「標準報酬月額」に保険料率をかけて保険料を計算する標準報酬月額=だいたいの月給のこと給料の額にそのまま保険料率をかけると事務処理の手間がかかるため、健康保険では50等級・厚生年金保険では31等級の「標準報酬月額」が定められています。例えば、入社時の給料が198,000円だった場合、標準報酬月額は「20万円」になります。どの標準報酬月額に該当するかは、年に1回定期的に見直されるほか、大幅に昇給・減給があった場合にも見直されます。保険料は勤務先と従業員で半分ずつ負担するため、実際に従業員が負担する保険料は、この半分の額です。健康保険料主に中小企業に勤めている場合は「全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)」が保険事業を行います。保険料は都道府県ごとに決まり、毎年見直されます。おおむね約10%です。大企業の場合は、独自に保険事業を行う「〇〇健康保険組合」が設置されていることもあります。健康保険組合の保険料は各組合ごとに定めます。介護保険料40歳以上65歳未満の場合、健康保険料と併せて徴収されます。保険料率は毎年見直しされます。厚生年金保険料平成29年9月まで、段階的に引き上げられてきました。現在は18.3%で固定されています。年金財政が厳しくなった場合は「保険料を引き上げる」のではなく「給付額を減らす」ことで、保険料と給付額のバランスをとるように改正されたためです。(公務員・私学教職員はこれより低い保険料率でしたが、令和9年までに、会社員と同じ水準に引き上げられます)私立学校教員については、保険料は15.77%(令和元年)です。令和9年4月までに18.3%まで段階的に引き上げられ、会社員・公務員・教員の保険料が統一化されることになっています。さらに、雇用保険料がかかるこの3つの保険料のほかに、給与に対して雇用保険料がかかります。「一般の事業」の保険料率は0.9%で、従業員が負担するのは0.3%です。(平成31年度)なお、労災保険については、全額が事業主負担のため従業員が負担する保険料はありません。健康保険・厚生年金保険に加入するメリット保険料がかかるために、給料が減る、家計の負担が増えると敬遠されることの多い社会保険ですが、保険料を支払った分、様々な給付を受けることができます。健康保険のメリット(扶養されている時との違い)メリット1:ケガや病気で休んだとき、給料の一部が保障される健康保険の被保険者になると、業務に関係のない病気やケガで休業したときに”傷病手当金”が受け取れます。例えば、月給30万円だったが病気で会社を休み、給料が支払われなかった場合、1年半で最大約360万円が受け取れます。メリット2:出産のため休んだとき、給料の一部が保障される出産のため休んだ場合には”出産手当金”を受け取ることができます。例えば、月給30万円だった人が産休を取った場合、産前~産後の計約3カ月の休業に対し、合計約65万円が受け取れます。厚生年金保険のメリット(自営業など国民年金加入者との違い)メリット1:老齢年金の額が増える20歳以上60歳未満の人は、基本的に全員が、公的年金制度に加入しなければいけません。ほぼ同じ金額の保険料を支払った場合でも、国民年金か厚生年金かで将来受け取れる年金の額は差があります。この例では厚生年金のほうが年額47万円多く、20年間受け取った場合では約940万円のプラスになります。メリット2:障害状態になった時に、年金を受け取れる可能性が高まる業務に関係のないケガや病気で障害状態になり、障害年金の受給を申請する場合、初めて医師の診察を受けた「初診日」に厚生年金に加入していると、支給額がプラスになります。障害等級1級、2級の場合重い障害で、生活が自宅・病院の中に制限されるような場合です。老後に受け取る年金と同じように”2階建て年金”があり「障害厚生年金」を受給できます。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年未満・障害等級1級と認められ、障害基礎年金を受け取る場合、毎年約66万円の障害厚生年金がプラスされます。障害等級3級の場合1級・2級よりは軽度の障害の状態だが、働くことに制限がある…として障害等級3級と認められた場合です。初診日に厚生年金の被保険者であれば「障害厚生年金」が受給できます。国民年金にしか加入していなかった場合、3級の障害年金は受け取ることができません。3級の障害厚生年金では、最低でも毎年約58万円が受け取れます。メリット3:自分が亡くなったとき、年金を受け取れる遺族の範囲が広がる国民年金のみ加入していた人が亡くなって「遺族年金」を受け取ることができるのは、18歳年度末までの子供がいる場合のみです(障害状態の子は20歳年度末まで)。一方で、厚生年金の被保険者であった場合には、小さな子供がいない配偶者や、55歳以上の父母・祖父母など、年金を受け取ることができる遺族の範囲が広がります。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年だった場合、毎年約37万円が受け取れます。デメリット…受け取れなくなる手当もある夫婦どちらかが片方をずっと扶養していると、本人が65歳になってから受け取る老齢厚生年金に「配偶者加給年金」が加算されます。いわば”扶養手当”のようなもので、約22万円(年齢に応じ約3~16.5万円の加算あり)が、配偶者が65歳になるまで受け取れます。共働きでお互いに充分な厚生年金被保険者期間(20年以上)がある場合、この加給年金は受け取れません。社会保険に加入できないときはどうすればいい?勤務先で社会保険に入れない場合でも、何かしらの「公的医療保険」「年金保険」に加入しなければなりません。[adsense_middle]家族の「被扶養者」になる「扶養」という言葉が指すものも様々です。「所得税」を計算する時の”扶養”と、「社会保険」の”扶養”はそれぞれ別の判断基準です。被扶養者…扶養されている人のことです。主婦や主夫など。厚生年金での扶養厚生年金保険に加入している人の「配偶者」が、扶養されていると認定された場合、配偶者は国民年金の第3号被保険者となります。第3号被保険者である期間は、年金保険料を支払う必要はありませんが、厚生年金の受給額を増やすこともできません。健康保険での扶養健康保険では、配偶者以外も「被扶養者」になることができます。続柄(親兄弟や、おいめいも対象になる)同居か別居か(子・親・兄弟等は同居でなくでもOK)年収(130万円未満もしくは180万円未満で、同居の場合は被保険者の2分の1未満…など条件有)この3つを基準に判断されます。国民年金、国民健康保険の被保険者になる従業員5人未満の個人事業に勤めている生計を維持する家族がいない健康保険は親の被扶養者になっているが、年金保険には加入していないこういった場合、自分で年金保険・公的医療保険に加入する必要があります。健康保険の代わりに「国民健康保険」に、厚生年金保険の代わりに「国民年金保険」に加入します。居住地の市区町村役場で手続きができます。多くの場合で「健康保険」よりも「国民健康保険」のほうが保険料が高くなります。国民健康保険の保険料は、居住地の市区町村役場に確認してみましょう。勤務先で健康保険に加入できない場合は、まず家族の被扶養者になれないかを検討し、その後に国民健康保険の加入を検討することをおススメします。社会保険に関するまとめケガや病気による休業、長期の障害状態、老後の収入減少など、社会保険がカバーしているリスクは多岐に渡ります。民間保険を契約する場合は、社会保険の保障だけでは不足する部分を補うものと位置付けましょう。社会保険について知っておくことは「貰えるはずのお金の申請漏れを防ぐ」「必要以上の民間保険を契約しなくて済む」ことにも繋がります。
2019年10月25日年末調整で行う地震保険料控除申請がよくわからず地震保険料控除申請を行わない方もいらっしゃいます。毎年の地震保険料控除申請で減税できる金額は微々たるものでも、10年、20年と積み重なると数十万円を超える場合もあるので、地震保険に加入されている方は地震保険料控除申請を行うことをおすすめしています。今回は地震保険に加入されている方、加入を検討されている方向けに、地震保険の基礎知識と地震保険料控除のポイントをご紹介します。知っておきたい地震保険の基礎知識地震保険料控除に関するまとめ今回は年末調整時に行う地震保険料控除のポイントをご紹介しました。国が定める控除は私たちの利益につながるものが多いので、地震保険料控除だけでなくその他の税金に関する控除も積極的に活用して減税制度を最大限活用しましょう。小さいことの積み重ねが大きなお金を生み出します。ぜひ将来的に節税できる金額を想像しつつ、楽しんで地震保険料控除申請を行われてください。
2019年10月08日養老保険は、保険の契約期間中に死亡した場合でも、満期を迎えた場合でも同額の保険金を受け取ることができる生命保険です。そのため、死亡保険と貯蓄型保険の両方を兼ね備えた生命保険であると考えることもできますが、本記事では、オリコン顧客満足度ランキングの紹介と養老保険のメリットやデメリットといった特徴について触れていきます。オリコン顧客満足度ランキング:養老保険ランキングTOP10上記データは、価格.com 保険がWEBサイトで公開しているカカクコム・インシュアランスにおける契約申込者の割合ですが、養老保険の申込割合が驚きの0%です。データを見た人の中には、価格.com 保険だからではないか?といった反論をされる人もおられるかもしれませんが、今度は同じく比較情報サイトである保険市場の例を見てみましょう。保険市場の場合保険市場の場合、養老保険を選んで比較検討をしようとしても、条件に該当する保険商品がヒットせず、これは価格.com 保険と同じように、養老保険の申込をする人がいないことを意味します。なぜ、このようなことになっているのか、養老保険に加入するメリットとデメリットを紹介しながら、その理由について考えてみます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。つまり、養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用に、生存していた場合は、将来の老後資金や子供のための学資資金など、幅広く活用できるメリットがあります。養老保険に加入するデメリットとは養老保険に加入するデメリットは、メリット以上に多くあるのが現状であり、考えられる主なデメリットは以下の通りです。養老保険に加入するのに必要な保険料が高額死亡保障が一生涯ではない契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある満期保険金を受け取った場合で差益が生じた場合は課税対象になる不要な保障まで抱き合わせになる可能性がある(郵便局=かんぽ生命)など養老保険の返礼率が高いのは、もはや過去のお話養老保険が多くの保険会社で販売されていた当時は、解約返戻金の返礼率が高いことや一時払い(一括払い)で養老保険の保険料を払い込んでしまうことで、普通預金などでお金をコツコツ貯めるよりも多くのお金が得られるといった考え方が主流でした。しかしながら、現在ではこのような考え方はもはや過去のお話であり、時間とお金をかけてより多くの資産形成をする上で、適当な方法では無くなっているのが現状です。生命保険の予定利率が低くなっているのが現状こちらは養老保険に限りませんが、たとえば低解約型返戻終身保険、学資保険、個人年金保険など、生命保険の解約や満期を迎えることで得られる保険金も、保険会社の予定利率が低いことなどが原因で大きく期待できない状況です。そのような時代の中で、高額な保険料を支払ってまで養老保険に加入するメリットや期待値が大きく損なわれていることも、養老保険が個人の方から受け入れられない原因の1つであるとも考えられます。[adsense_middle]養老保険のシミュレーションが、WEBでほとんどできない一般に保険会社のWEBサイトでは、保険料などのシミュレーションが簡易にできるところも多くなっています。しかしながら、養老保険の場合、シミュレーションをWEBでほとんどできないのが現状となっており、見積もりを保険会社へ直接依頼しなければならない手間や時間がかかってしまっています。このような部分も、養老保険が個人に受け入れられない原因の1つなのではないかと思われます。養老保険を販売している主な保険会社(令和元年度現在)令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社を紹介しておきます。なお、紹介順はランキングではなく五十音順とします。かんぽ生命JA共済ジブラルタ生命住友生命ソニー生命第一生命第一フロンティア生命大樹生命日本生命プルデンシャル生命三井住友海上あいおい生命明治安田生命メットライフ生命令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社は13社あります。先に紹介したオリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、2位にランキングしていた東京海上日動あんしん生命保険では現在養老保険を販売していないという部分は、大きな特徴とも言えそうです。そもそもおすすめの養老保険はあるのか?こちらは筆者個人の見解となりますが、養老保険は、現代の生命保険の保障や資産形成を考慮する上で、残念ながらおすすめできるものではないと考えています。実際に養老保険を販売している保険会社も少ないことが、これまで解説した需要とのバランスを物語っているようにも思えますが、次項では参考情報として、オリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、3位までの養老保険について特徴をそれぞれ紹介しておきます。なお、2位の東京海上日動あんしん生命保険は販売を行っていないため、順位を繰り上げての紹介となります。[adsense_middle]第3位:第一生命保険「ジャスト養老保険」第一生命の「ジャスト養老保険」は、一定期間に渡って死亡保障を備えながら将来の資金を形成することができる特徴があり、特に時の経過に応じて解約返戻金が増える点が大きな特徴とも言えます。なお、主な概要は以下の通りです。契約年齢範囲:3歳~80歳保険期間:13歳~90歳保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:年一括払・半年一括払・月払保険金額:最低保険金額300万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:20歳 10,750円、30歳 14,630円、40歳 22,440円、50歳 45,720円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第2位:かんぽ生命保険「新フリープラン」かんぽ生命の「新フリープラン」の主な特徴として、保険金の倍額支払があり、不慮の事故や感染症で死亡した場合で所定の条件を満たしている場合、当初の死亡保険金の倍額が支払われる特徴があります。なお、保険期間は10年から最長50年の間で、1歳きざみに設定できる特徴もあります。契約年齢範囲:0歳~80歳(契約種類により異なる)保険期間:10年~50年(ただし、被保険者の年齢により異なる)保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:月掛保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額1,000万円(ただし、被保険者の年齢により異なる)診 査:告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:30歳 48,563円、35歳 63,679円、40歳 93,725円契約内容の変更:保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第1位:ソニー生命保険「5年ごと利差配当付養老保険」ソニー生命の「5年ごと利差配当付養老保険」は、責任準備金などの運用成果に応じて、契約後6年目から5年ごとに契約者配当金が支払われるほか、被保険者が不慮の事故により180日以内に所定の身体障害の状態になったときは、以後の保険料の払込が免除されます。また、保険金額が500万円以上の場合、高額割引制度が適用される特徴もあります。契約年齢範囲:0~78歳保険期間:20年~30年(5年きざみ)、60・65・70・77・88歳で選択保険料払込期間:年満期:保険期間と同一、歳満期:保険期間と同一保険料払込方法:年払・半年払・月払保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱等(契約年齢および保険金額により異なる)配当方式:5年ごと利差配当保険料例:25歳24,220円、30歳28,750円、35歳35,120円、40歳44,690円、45歳 60,580円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能養老保険のおすすめ人気ランキングに関するまとめ現状では、個人が生命保険の加入や見直しにあたり、養老保険を活用することは、一昔前とは異なり不利になってしまう点が多くあるため、あまりおすすめできる生命保険とは言えません。実際のところ、養老保険を販売している保険会社もさほど多くなく、さらに比較情報サイトを基に比較検討や情報を集めることができない現状も踏まえますと、いかに養老保険の需要が無いのかご理解いただけるのではないでしょうか。
2019年09月24日養老保険とは、保険契約を締結した保険期間(保障期間)に、養老保険の保障対象となる人(被保険者)が死亡した場合は死亡保険金が支払われ、生存していた場合は満期保険金が支払われる生命保険です。一般に、養老保険は貯蓄機能に優れていると言われることがあるのですが、現代の事情や若年者の皆さんの将来を考慮しますと、はたして養老保険に加入することは得策なのか疑問が残ります。そこで本記事では、養老保険のメリットやデメリットをはじめとした養老保険の考え方について解説を進めていきます。養老保険の仕組み養老保険とは、どのような生命保険なのか冒頭で紹介しましたが、改めて、図を活用して、その仕組みについて触れておきます。養老保険は、保険契約した時から満期までの保険期間(保障期間)に渡って死亡しても生存しても保険金が受け取れる生命保険であることが分かります。また、養老保険の契約の仕方によって異なるものの、保険料の払込期間(支払い続ける期間)も契約から満期までになっている点もポイントと言えます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用、生存していた場合は老後資金やその他の足しにといった具合に活用できるメリットがあります。養老保険のデメリットとは養老保険のデメリットは、保険料が、終身保険や定期保険などといった死亡などが原因で支払われる生命保険に比べて、かなり高額な点が挙げられます。併せて、養老保険の保障内容を提示された際の保険設計書に記載されている配当金は、あくまでも概算値であるため、将来必ず支払われる金額ではない点もデメリットと言えます。これ以外に考えられる養老保険のデメリットは次項の通りです。死亡保障が一生涯ではない養老保険に加入しますと、養老保険の被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われることになりますが、満期を迎えることによって満期保険金を受け取り保障が終了します。そのため養老保険は、終身保険のように死亡保障が一生涯ではないデメリットがあります。契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある養老保険は、契約の仕方によって元本割れを起こしてしまう可能性があり、将来受け取ることになる満期保険金と総支払保険料の差額がどのくらいになるのかしっかりと確認しておくことが極めて重要です。仮に、養老保険に加入する前に提案された保険設計書などで、将来の元本割れが起こる場合、加入を見送ったり、加入内容を見直したりする必要があります。養老保険の差益は課税対象になる養老保険に加入し、受け取った満期保険金が、これまで支払ってきた総支払保険料よりも多くなった場合、その差益は一時所得として課税対象になります。総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額たとえば、満期保険金が1,000万円、総支払保険料が900万円だったとしますと、50万円(1,000万円-900万円-50万円)が一時所得の金額となりますが、税法上、50万円の2分の1にあたる25万円が課税対象です。不要な保障まで抱き合わせになる可能性があるこちらはすべての養老保険ではありませんが、保険会社が販売している養老保険の中には、死亡保障だけではなく、医療保障など不要な保障まで抱き合わせで付帯されてしまう可能性があります。そのため養老保険に加入する前は、保険会社間の比較はもちろんですが、どのような保障が付帯されることになるのか、あらかじめしっかりと確認しておくことが大切です。養老保険への加入は、おすすめできるのか?養老保険のメリットとデメリットについて紹介しましたが、実際のところ、養老保険に加入することはどうなのか気になる人もおられると思います。こちらにつきましては、個々によって考え方は異なりますが、筆者個人の見解としては養老保険の加入をおすすめしません。以下、その理由について、参考程度となりますが紹介していきます。[adsense_middle]昔と今で時代が大きく変化しており、生命保険の活用方法や意味合いも変化しているため養老保険の活用を振り返りますと、一昔前は予定利率や解約返戻金の返礼率が高く、さらに養老保険は、死亡しても生存しても保険金が支払われる大きなメリットがあるため、評判や人気が高かったことは確かです。しかしながら、平成から令和の時代に入った現在におきましては、掛金が高額で、予定利率や解約返戻金の返礼率が低くなっており、貯蓄機能に優れている強みを活かすことがかなり難しくなっています。一時払い養老保険の強みも低下一時払い養老保険とは、たとえば、保険期間(保障期間)が10年の養老保険であれば、10年分の保険料を一括で支払うもので、いわば10年分の保障を一度に買ってしまうイメージです。一時払い養老保険も当初は、高い予定利率に貯蓄機能の強みもありましたが、現在では掛金が高額で低い予定利率によって強みが見出せず、さらにまとまった多額のお金があるのであれば、もっと効果の高いお金の活用ができる時代になっています。積立投資を活用した投資制度の充実現在、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、自助努力によって将来の老後資金などを作るための投資制度が充実しており、少なくとも養老保険に加入するよりも、これらの投資制度を活用した方が大きなメリットが得られます。たとえば、節税効果やお金の流れを表すキャッシュフローといった点におきましても、養老保険よりもこれらの投資制度を活用した方が有利になる場合がほとんどです。養老保険への加入と投資制度の活用を目的別に比較前項では、養老保険の加入をおすすめできない理由について、筆者個人の見解を紹介させていただきましたが、ここでは養老保険と投資制度の活用において、加入目的別に簡易に比較したものを2つ紹介しておきます。なお、比較する上において、養老保険を販売している某保険会社(公平性の観点から保険会社名は公開しません)が、保険料例としてWEBで公開している以下情報を下に考えていきます。[adsense_middle]比較の前提条件養老保険に加入契約した年齢は、30歳とし、満期は60歳とします死亡保険金および満期保険金は、1,000万円とします毎月の掛金(保険料)は、男性で30,110円、女性で29,900円としますつみたてNISAは、20年間で1,000万円の資産形成をするものとしますiDeCoは、30歳から60歳まで30年間、資産運用するものとします上記以外の条件は加味しないものとします将来が心配なので、特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいはじめに、将来が心配なので特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とつみたてNISAを活用する場合を比較してみます。1,000万円を準備するのに、養老保険では30年間という期間を要し、つみたてNISAでは20年間という期間を要していることがわかり、10年間の差は大きいことが確認できます。付け加えて、養老保険は差損益がマイナス、つみたてNISAではプラスとなっており、養老保険の活用がおすすめできない理由が明白であることが分かります。老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したい今度は、老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とiDeCoを活用する場合を比較してみます。iDeCoは、年齢が60歳になるまで老後資金を自ら準備するための投資制度であるため、仮に30歳からiDeCoに加入した場合、前提条件にある運用期間はいずれも30年で同じになります。この時、1,000万円を準備するのに、養老保険は差損益がマイナス、iDeCoではプラスとなっているほか、毎月の掛金が養老保険に比べてiDeCoは少なく済んでいるため、他の必要な部分にお金を充てられることも分かります。毎年の所得控除額による節税効果にも大きな差が生じる養老保険に拠出した1年間の生命保険料は生命保険料控除として所得控除の対象となり、iDeCoに拠出した1年間の掛金は、小規模企業共済等掛金控除としてこちらも所得控除の対象となります。しかしながら、これら2つの所得控除は税法上大きな違いがあり、前提条件を基にした1年間の所得控除額による違いは以下の通りです。養老保険の保険料とiDeCoの掛金に対する所得控除の取り扱いは全く異なり、iDeCoの掛金として拠出した場合、掛金の全額が所得控除の対象となるため、納めるべき所得税および住民税が大きく軽減される効果が得られます。同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが見出せないここまで、養老保険とつみたてNISAやiDeCoの活用を目的別に比較したものを紹介しましたが、それぞれの比較結果を踏まえますと、同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが残念ながら見出すことができないと筆者は考えます。筆者が、養老保険に加入することをおすすめできないと申し上げた理由には、先に紹介した比較内容や税法上の取り扱いなど、養老保険の加入者側が不利になる内容が多いからです。それでも養老保険に加入する場合、比較検討をして判断する養老保険に加入することをおすすめしない理由について、筆者個人の見解をお伝えさせていただきましたが、それでも養老保険に加入する場合、保険会社間で比較検討することが大切になります。また、あくまでも参考程度に留めておく必要がありますが、養老保険のランキングを比較検討するための材料として活用してみるのも1つの方法とも言えるでしょう。養老保険に関するまとめ養老保険には、保険金を必ず受け取れるメリットがあるものの、加入目的によっては、養老保険に加入するよりも得策なお金の活用方法があることは確かです。特に投資制度を活用した積立投資におきましては、同じ金額や同じ時間を活用した場合、養老保険よりも得られるメリットが大きくなることも十分考えられます。そのため、それぞれの効果を比較検討しながら、ご自身にとって効果的なお金の活用方法を探されてみることをおすすめします。
2019年09月23日「この10月から、全国的に火災保険料の大幅な値上げが実施されます。それは、損害保険会社が保険料算出の基準にする『参考純率』が、平均5.5%引き上げられたためです」そう語るのは、「保険相談サロンFLP用賀SBS店」所属で、ファイナンシャルプランナーの佐藤和士さん。建物や家財を守る火災保険。火事だけでなく、台風による窓の破損や床上浸水、雪の重みによる屋根の倒壊など、風災や水害、雪害も補償対象だ。住まいを守るために欠かすことのできないこの保険が値上がりした要因は、’18年5月、「参考純率」が4年ぶりに見直されたこと。火災保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」が決めた「参考純率」をもとにして、保険会社が個別の状況(経営状況、価格戦略等)をふまえて決めている。そしてこの保険料は地域や、建物構造(マンション・鉄骨造住宅・木造住宅の3種類)、築年数、補償内容などによって異なる。今回、「参考純率」が最も大きく引き上げられたのは鹿児島県のマンション。その改定率は40.1%と、平均を大きく上回っている。引き上げの背景を、佐藤さんは次のように話す。「近年、ゲリラ豪雨や台風などによる水害、豪雪の被害が多発し、保険金の支払いが急増していることが影響しているでしょう。これまで保険金の支払いは4,000億円前後だったのですが、’18年度には1兆円を超えてしまう見込みです」参考純率は’14年にも改定されているが、それ以降も大規模な雪害や水害が起こっている。九州を中心に襲った’15年の台風15号、記録的な暴風や猛烈な雨で被害をもたらした’18年7月の西日本豪雨……。とくに’18年9月の台風21号は大阪府をはじめとした地域が甚大な被害を受け、保険金の支払いは過去最高額の9,698億円に。莫大な保険金額を今後も支払うことを予想し、民間の各保険会社は値上げのプランを明らかにしている。東京海上日動の火災保険を例にとってみよう。次の都道府県、建物構造に当てはまる住居は、30%以上の値上げがなされる。■栃木県、群馬県、富山県、石川県、山口県、九州7県、沖縄県のマンション■山形県、栃木県、群馬県、山口県、熊本県、鹿児島県の鉄骨住宅■熊本県の木造住宅佐藤さんが続ける。「三井住友海上は築年数が10年以上の場合、大幅に値上げされることがほとんど。ただし、木造住宅はほか2つの建物構造と比べ、上昇率が据え置かれている印象です」
2019年09月19日住宅ローンを組むときに、団体信用生命保険に加入する人は、生命保険を見直しましょう。必要な死亡保障額を算出し、その分だけ民間の生命保険で賄えるようにすれば、保険金による十分なサポートを確保しつつ、月の支払いを抑えることができ、家計が楽になる可能性があります。■ 1. 住宅ローンと生命保険の関係は?スイマー / PIXTA(ピクスタ)一般的に、銀行等で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険(=団信)に加入することが条件とされることがほとんどです。1-1住宅ローンと団体信用生命保険住宅ローンの返済者が返済途中で死亡した場合は、団信の保険金で残りの住宅ローンが一括返済される仕組みになっています。つまり、団信は生命保険なのです。金融機関が団信加入を必須にするのは、ローン返済者がいなくなったときに債務が残らないようにするためです。住宅ローンを借りる人が併せて団体信用生命保険に加入することで、万一のことがあっても、銀行は住宅ローンの返済が滞る心配をしなくて済みます。遺族は住宅ローンの返済を免除されて住宅を手元に残すことができるようになっていて、住宅ローンの借り手・貸し手の双方にとってメリットがある保険といえます。団信加入不要の金融商品は「フラット35」ほか、数えるほどしかありません。1-2団信の補償内容と民間の生命保険の保障内容団信が生命保険ならば、自分の入っている民間の生命保険と同じ保障内容になっている可能性があるために、それぞれの保障内容を確認する必要があります。保障内容がかぶっているものがあれば、内容を精査し、最低限の保障内容になるようにしましょう。削減した場合は保険料が月数万円安くなる、総額で数百万円安くなる場合もあります。削減した保険料では貯蓄や住宅ローンの繰り上げ返済などに回すことができ、さらに住宅に支払う費用を抑える効果が期待できます。■ 2. 生命保険の内容、どう見直せばいいの?CORA / PIXTA(ピクスタ)生命保険見直しの必要性が理解できたら、次に、実際どのように見直せばよいかを見ていきましょう。2-1残される家族の生活費を考える契約者が亡くなってしまったあとは、ローンの残債に充てるお金のほかにも様々なお金が必要なはずです。例を挙げると、残された家族の住居費(家賃)、食費、光熱費、通信費、日用品費、娯楽費、医療費、教育費などがあると思います。それらをなるべく正確に算出しましょう。2-2必要保障額を算出する必要な費用の合計額を算出したら、そこから遺族年金や死亡退職金等の死亡後の収入、貯蓄額を差し引きます。この「必要保障額」が生命保険の保障金額にすべき金額です。2-3両方の保険を使ってカバーできるようにする団体信用生命保険により万一の場合のローン返済はされます。そのために、民間の保険では、必要保障額が補償金として支払われるように設定しましょう。両方の保険によってうまく保障内容を設定すれば、余分な出費がなくなります。■ 3.まとめtombo / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組んだら、団体信用生命保険に加入することになるため、既存の生命保険と保障が重複する場合があります。重複を避けるために、必要保障額を算出し、最低限のカバーができるように保障内容を再設定しましょう。ただし、ライフステージによって必要な死亡保障額が変わってくる可能性があります。定期的に見直しをすることを忘れないようにしましょう。ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員吉井希宥美
2019年09月18日生命保険は、死亡などによって保険金が支払われるものから、病気やけがによる治療によって保険金が支払われるものなど様々な種類があります。なお、税法上、受け取った保険金は、税金がかかるものとかからないものに分けられる特徴があるのですが、相続税がかかる生命保険とは、基本的に受け取った死亡保険金の金額や保険契約が大きく関係します。そこで本記事では、生命保険と相続税の関係についてポイントの解説を進めていきます。重要!相続税は、すべての人にかかる税金ではない法定相続人には、配偶者、子供、父母、祖父母、兄弟姉妹など、家族構成や人数が大きく関係しますが、妻や夫といった配偶者は、常に相続人になる決まりとなっています。なお、上記図の計算例では、夫が死亡し、法定相続人が配偶者である妻と子供1人の場合となっており、計算式にあてはめて計算すると相続税の基礎控除額は4,200万円と計算されます。法定相続人には順位が設けられている法定相続人は、法律上、故人の財産を相続できる順位が設けられており、ポイントは以下の通りです。法定相続人には、第1位順位から第3位順位まであり、ポイントは、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人にならないところにあります。たとえば、上記図の若草太郎さんが亡くなった場合で長男と長女が生存している場合、法定相続人は、配偶者と子供である長男および長女の3人になります。仮に、若草太郎さんが死亡した時点で両親や兄弟姉妹などが生存していたとしても法定相続人にはあたらず、基本的に財産を相続する権利が発生しません。相続税を考える上で、基礎控除額がいくらになるかが大きなポイント前項の例の場合、相続税は、故人の財産が4,800万円(3,000万円+600万円×3人)を超えた場合に課されると判定することができ、相続税を考える上において、まずは、基礎控除額がいくらになるかが大きなポイントになります。そのため、たとえば、生命保険の受け取った死亡保険金のみをベースに単独で相続税が課されるものではないため、故人の財産をトータルで考えることが極めて重要になるわけです。生命保険と相続税の重要ポイント配偶者=1,500万円-1,500万円×1,500万円÷3,000万円=750万円長男および長女=750万円-1,500万円×750万円÷3,000万円=375万円計算の結果、配偶者に課税される死亡保険金の課税対象は、受け取った死亡保険金1,500万円の内750万円、長男および長女に課税される死亡保険金の課税対象は、それぞれ受け取った死亡保険金750万円の内375万円ということになります。相続税の基礎控除額を超えない場合、相続税がかかることはない若草太郎さんが死亡した場合における相続税の基礎控除額は、法定相続人が配偶者、長男、長女の3人で4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人の数)です。この時、配偶者が受け取った死亡保険金の内750万円、長男および長女が受け取った死亡保険金の内375万円ずつが課税対象となるため、合計1,500万円(750万円+350万円+350万円)が相続税の課税対象になります。この時、基礎控除額4,800万円よりも金額が低いため、結果として、それぞれが受け取った死亡保険金に対して相続税がかからないと判定をすることができます。相続税が課税されるパターンは、基礎控除額を超えた場合相続税が、かからない場合故人の財産合計は6,600万円に対して、故人の債務や基礎控除額を合算した合計金額は6,700万円となっており、これらを差し引きますと、マイナス100万円(6,600万円-6,700万円)です。計算の結果、マイナスになった場合は、0円として取り扱われることになり、このような場合、相続税がかからないことになります。相続税が課税される場合、いつまでに税金を支払いする必要があるのか相続税が課税される場合は、相続税の申告期限までに相続税の申告書を作成し、亡くなった人の住所地を所轄する税務署に対して申告書類を提出しなければなりません。なお、相続税の申告期限とは、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっており、たとえば、1月10日に死亡した場合、その年の11月10日が申告期限になるイメージです。ちなみに、相続税の納付は、原則として申告期限までに金銭で納めることになっておりますが、延納や物納といった制度によって納付することもできます。相続税を納めている人の現状国税庁が公開している最新の統計データによると、2017年度に相続税が課税された人の割合は、8.3%となっており、さほど多くないことが分かります。相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられた法改正があってからは、相続税を納める人の割合が4%台から8%台に増加しているものの、それでも、全体的に見ると、相続税を納めなければならない人というのは、ごく僅かであることが見て取れます。相続税の納税金額を見ると、全体的にかなり高額であることも分かり、相続税は、自分とはご縁のないものと感じるのも無理のない話です。とはいえ、特に、不動産や上場株式をはじめとした金融商品は、故人の財産を評価する際、専門的な知識がなければならず、安易に考えることは、リスクが伴う場合があります。仮に、不動産や金融商品を多く抱えている場合は、税理士を通じて財産評価や相続税対策をしておくのが望ましいでしょう。まとめ生命保険の契約状況と受け取った死亡保険金額によって相続税がかかる場合とかからない場合があります。ただし、相続税は、故人の財産から故人の債務や非課税金額、基礎控除額を差し引くことで、はじめて、相続税がかかるのか、かからないのかが判定できるものとなります。そのため、生命保険のみの単独で判断できるものではなく、全体的な財産状況と債務状況を把握することが必要になることを理解しておく必要があります。
2019年08月18日生命保険に加入するためには、健康体であることや過去の病歴や治療歴に著しい問題がないと加入の申し込みをした保険会社から判断されることが必要です。ただし、現在では、長い期間に渡っていつまでも治らない、いわゆる持病を持っている人でも生命保険に加入できることは確かです。そこで本記事では、持病を持っている人を対象に、加入できる生命保険や加入しやすい生命保険を中心にポイントの解説を進めていきます。持病があっても加入できる生命保険持病がある場合、健康体の人が加入できる生命保険に加入することができない場合や加入できたとしても保障が手厚くない、保険料負担が重くなるなどのデメリットがあります。そのため、まずは、これらのデメリットを理解した上で、それでもなお生命保険の保障が必要と判断された人が加入するべきものであることを念頭に入れておく必要があるでしょう。ちなみに、持病があっても加入できる生命保険の1つに、無選択型の生命保険があります。無選択型の生命保険とは無選択型の生命保険とは、通常、生命保険に加入する際に必要な告知や医師の診査が求められない生命保険のことを言います。つまり、持病があることによって、生命保険に加入できない人や年齢制限によって生命保険に加入できない人であったとしても無選択型の生命保険であれば加入できることを意味します。ただし、次項で解説するようなデメリットをあらかじめ理解した上で契約加入する必要がある点に注意です。無選択型の生命保険は、保険料が高く保障が薄い無選択型の生命保険は、健康体の人が加入できる一般の生命保険や医療保険などに比べて保険料が高く保障が薄いデメリットがあります。たとえば、死亡保障を得るために無選択型の生命保険に加入したとしても、死亡した時期や契約日との関係によって、これまで払い込んできた保険料が戻ってくるだけといったこともあり、本来の加入目的がしっかりと果たせない場合もある点に注意が必要です。無選択型の生命保険は、免責範囲が広い免責とは、ざっくり言いますと、保険会社が保険金を支払わない部分のことを言い、無選択型の生命保険に加入したとしても、場合によっては、保険金が支払われないデメリットが生じます。当然のことながら、これでは何のために生命保険に加入しているのか分かりません。そのため、どのような場合に保険金が支払われ、どのような場合に保険金が支払われないのか、加入前に必ず保険約款や契約のしおりなどで確認する必要があります。無選択型の生命保険は、種類が少ない無選択型の生命保険は、無選択型終身保険や無選択型医療保険などがあるものの、実際に販売している保険会社は多くなく、種類も少ない特徴があります。そのため、生命保険の見直しや先々の保障準備をする上において、選択肢が限られてしまい、どこがいいのか比較検討しづらいデメリットがあります。無選択型生命保険の特徴を保険会社同士で比較無選択型の生命保険には、無選択型終身保険や無選択型医療保険があることを解説しましたが、ここでは、これらの生命保険の特徴を保険会社同士で比較してみます。なお、比較する上での前提条件は、以下の通りとします。無選択型終身保険は、アフラックとFWD富士生命の2社を比較し、それぞれ、各社が公開しているWEBサイトやパンフレッドの情報を基に比較したものとします無選択型医療保険は、太陽生命とチャブ保険の2社を比較し、それぞれ、各社が公開しているWEBサイトやパンフレットの情報を基に比較したものとします年齢は、50歳男性のものとします無選択型終身保険の特徴比較アフラックの場合、毎月の支払保険料が定額な特徴があり、FWD富士生命では、希望する保険金のプランに合わせて支払保険料が変化する特徴があります。いずれの保険も、契約日から2年以内に病気で死亡した場合は、既払込保険料相当額が保険金となる点には注意が必要です。たとえば、アフラックのどなたでも6,000円コースに加入し、契約から1年半後(18ヶ月)に病気で死亡した場合、死亡保険金は、108,000円(6,000円×18ヶ月)といったイメージです。無選択型終身保険は、保険料が掛け捨てではない無選択型終身保険は、他の生命保険に比べて保険料が割増に設定されているものの、保険料は掛け捨てではなく、中途解約をすることによって解約返戻金を受け取ることができます。ただし、貯蓄型の生命保険のように、解約返戻金がこれまで支払ってきた保険料を上回ることによって保険差益が得られず、むしろ、長い期間に渡って継続加入することで、累計払込保険料が保険金よりも上回る点に注意が必要です。加入するタイミングが重要な生命保険と言えます。無選択型医療保険の特徴比較無選択型医療保険の大きな特徴は、一般の医療保険と異なり、保障に免責期間が設けられているところにあり、契約から90日が経過し、91日目からでなければ保険金が支払われません。そのため、たとえば医師から、がんをはじめとした三大疾病や大きな病名を告げられたことによって、すべり込みで保険契約をしたとしても保険金が支払われることはありません。持病があっても加入しやすい生命保険無選択型の生命保険は、持病があっても加入できる生命保険でしたが、持病があっても加入しやすい生命保険として、引受基準緩和型生命保険があります。引受基準緩和型生命保険は、一般の生命保険と同じように、保険会社に対する告知は必要になるものの、告知事項が少なく、持病があっても加入しやすい生命保険です。また、保険の種類も、死亡保障を対象にしたものから医療保障やがん保障まで様々なタイプのものが販売されています。[adsense_middle]引受基準緩和型生命保険は、持病があっても入りやすいが確実ではない引受基準緩和型生命保険には、引受基準緩和型終身保険、引受基準緩和型医療保険、引受基準緩和型がん保険などの種類が販売されておりますが、保険会社によって取り扱いは全く異なります。また、現在の症状や過去の治療歴などによっては、引受基準緩和型生命保険の告知事項にすべて問題がなかったとしても、必ず加入できる生命保険になるものではありませんので、この点には注意が必要です。引受基準緩和型医療保険の安い保険料ランキングこちらは参考情報となりますが、引受基準緩和型生命保険の内、多くの保険会社で販売されている引受基準緩和型医療保険の安い保険料をランキングで紹介します。なお、保険料が最も安いものを高ランクとし、それ以外にかかる保障内容などは一切加味しないものとします。40歳男性、入院給付金5,000円の引受基準緩和型医療保険の場合5位:メットライフ生命月額3,881円4位:アクサ生命月額3,859円3位:東京海上日動あんしん生命月額3,726円2位:オリックス生命月額3,621円1位:メディケア生命月額3,100円引受基準緩和型医療保険に加入する前の注意点引受基準緩和型医療保険には、無選択型生命保険のように重要な注意点があるため、この注意点をあらかじめ知った上で加入の申し込みをすることがとても大切です。契約日から1年以内の保障は半減引受基準緩和型医療保険は、無選択型医療保険のように、保障がされない免責期間というものはありませんが、契約日から1年以内に保険金の支払事由に該当した場合、受け取ることができる保険金は、災害などの特殊な事情を除いて、当初契約した保険金の半分になります。なお、健康状態について詳細に告知をすることによって、引受基準緩和型ではなく一般の医療保険に加入できる場合もあります。保険料の払込期間を選択できない一般の医療保険では、保険料の払込期間を60歳や65歳のように払込期間を選択できるものの、引受基準緩和型の医療保険は、保障は一生涯であるものの、保険料の払込期間も基本的に死亡するまで払い続けていかなくてはなりません。そのため、引受基準緩和型や無選択型の生命保険に加入を検討している場合、次項で解説する内容を読み進めていただき、じっくり家族と話し合って方向性を決めてみることを強くおすすめします。持病がある場合、安い保険料の生命保険に加入するのは難しい持病がある人が生命保険に加入する場合、持病の内容などによるものの、引受基準緩和型の生命保険や無選択型の生命保険でなければ加入することが難しいのが現状です。また、安い保険料を求める程、保障が薄くなったり、保障範囲が限定されるなどのデメリットがあることを認知した上で加入手続きを取る必要があると言えます。[adsense_middle]持病がある場合、一般・緩和型・無選択型の順番で申し込むのがおすすめ生命保険に加入するための引受基準は、保険会社によってそれぞれ異なるため、一概に持病があるからといった理由で健康体の人が加入できる一般の生命保険に加入できないとは言い切れない部分があることも確かです。そのため、手間や時間がかかってしまうものの、一般の生命保険・引受基準緩和型の生命保険・無選択型の生命保険の順番で、加入の申し込みをしてみるのがおすすめです。保険の申し込み前に、公的保険や公的年金制度の保障について知っておこう持病を抱えている人にとって、引受基準緩和型や無選択型の生命保険に対するニーズが高いことも十分わかるのですが、持病があっても無くても公的保険や公的年金の保障が受けられることに変わりありません。そのため、これらの制度を加味した医療費などの準備を医療貯蓄という形で計画的に行うことができれば、無駄な支出を削減し、効果的にお金を残せることも知っておく必要があります。FPなどの専門家へ医療貯蓄を相談する選択肢も持ちたい引受基準緩和型や無選択型の生命保険は、保険料が高く保障に厚みがないため、持病を抱えている人ほど、計画的な医療貯蓄は効果が高いと考えられます。持病を抱えている人は、医療費が心配、保険に加入していると安心などといった目先の部分にどうしても目がいきがちですが、保険料負担と医療貯蓄にかかるお金の出入り(キャッシュフロー)をFPなどの専門家を通じて比較検討することで、お金のロスを防げる可能性が高くなります。まとめ持病があっても加入できる生命保険や加入しやすい生命保険はあるものの、一般の生命保険に比べてデメリットが多いことは確かです。そのため、現状だけではなく、将来のことを考えた上で、本当に加入する必要性があるのかしっかりと検討する必要があると言えます。特に、公的保険や公的年金制度で受けられる各種保障も考慮すると高い保険料を支払ってまで厚みのない保障を準備する必要があるのかどうかの判断基準になるものと思われます。
2019年08月16日通常、生命保険に加入するためには、健康状態が良好なほか、過去に大きな病気や治療歴などが無い必要があります。ちなみに、妊娠は、病気にはあたらないため、問題なく生命保険に加入できそうですが、実のところ、妊娠の時期や申し込みのタイミングによっては、生命保険に加入できないことがあるのは確かです。そこで本記事では、妊娠中における生命保険の加入を中心に、押さえておきたいポイントを解説していきます。妊娠におけるタイミングと医療保険の加入条件について上記図は、協会けんぽの健康保険証の例ですが、被扶養者となっているため、この場合、仮に、協会花子さんが出産したとしても、出産手当金が支給されることはありません。上記図では、任意継続被保険者が健保太郎さんの例ですが、ポイントは、女性の方で健康保険証に任意継続被保険者という文言が記載されている部分にあります。健康保険の任意継続被保険者は、出産手当金の支給対象外です。被扶養者および任意継続被扶養者は、いずれも出産手当金の支給対象外です。なお、出産手当金が支給対象となる、健康保険の被保険者の確認方法は、以下の通りです。上記図は、男性である協会太郎さんの例ですが、ポイントは、出産する女性が被保険者である部分となりますので、女性の方で、ご自身の健康保険証に本人(被保険者)という文言が記載されていれば、出産手当金の支給対象と簡単に判別することができます。出産手当金は、産前産後休暇中に対して支給される出産手当金は、健康保険の被保険者が、出産をするために仕事を休んだ場合に支給されるお金ですが、支給対象となる期間は、産前産後休暇中になります。なお、出産手当金が支給されるためには、本記事で紹介した大まかな解説のほかにも細かな条件もあることから、出産手当金について気になる方は、以下、同サイト内で公開している記事に一通り目通ししてみるのが望ましいでしょう。高額療養費制度高額療養費制度とは、医療費が高額となった場合に一定の自己負担金額まで医療費負担を減らすことができる制度のことを言いますが、出産の場合、正常分娩なのか異常分娩なのかによって取り扱いが全く異なります。なお、正常分娩の場合は、高額療養費制度を適用することはありませんので、以下、異常分娩の場合について触れておきます。異常分娩は、高額療養費制度の対象になる厚生労働省では、異常分娩について、分娩に係る異常が発生し、鉗子娩出術、吸引娩出術、帝王切開術などの産科手術または処置などが行われるものとしています。ポイントは、異常分娩によって出産した場合、健康保険や国民健康保険といった公的保険の保障対象(保険適用)となるほか、異常分娩に要した高額な医療費は、高額療養費制度の対象になるところにあります。異常分娩による出産の場合、限度額適用認定証の交付を受けておく異常分娩による出産の場合、産科医からあらかじめ産科手術による旨を告げられることも多く、そのような場合は、事前に限度額適用認定証の交付を受けておくと良いでしょう。限度額適用認定証の交付を受けることで、先に解説をした高額療養費について後日請求手続きをする必要もなく、かつ、まとまったお金を一時的に負担する必要がないため、出産後で時間的な余裕を持ちにくい多くの女性にとって便利な制度です。医療費控除医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、支払った医療費が多額になった場合に、所得税や住民税など納めるべき税金を軽減させられる制度のことを言います。医療費控除は、出産をする時期的なタイミングが大きく影響することになりますが、出産するために定期的に産科などの医療機関に通い、出産も同じ年に行った場合などは、特に、医療費控除が適用しやすい傾向にあります。医療費控除の適用を受けるためのポイント医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間において、世帯全員の支払った医療費をすべて合算して適用することが可能です。また、医療費控除を適用するには、確定申告を行わなければならないほか、所得によって適用できる医療費控除の金額が異なる特徴もあります。なお、医療費控除の詳細については、以下、同サイト内で公開している記事に一通り目通しいただくことで、ポイントや手続方法を確認することができます。妊婦さんは、妊娠中に保険加入するべきなのか?これまでの各種制度を踏まえますと、あくまでも筆者個人の主観となりますが、妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対です。この理由について、2つの理由を上げ、合わせて、それでも保障が必要な妊婦さんを対象に妊娠中でも加入できる保険について触れていきます。[adsense_middle]理由① 妊娠中の保険加入は、保障内容と加入目的がかけ離れる可能性が高い妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対の1つ目の理由は、妊娠中の保険加入は、保障内容と加入目的がかけ離れる可能性が高いためです。仮に、医療保険に加入する場合、妊婦さんが求めている出産にかかる医療保障が不担保となる場合がほとんどであるため、そもそも求めている保障が一時的に得られないことがあります。そのため、本来の保険加入の目的から外れているのではないかと考えられることが1つ目の反対理由です。理由② 正常分娩も異常分娩も極端に大きな自己負担を強いられにくく、貯金でカバーできる妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対の2つ目の理由は、正常分娩も異常分娩も極端に大きな自己負担を強いられにくく、貯金でカバーできるためです。たとえば、正常分娩で50万円のお金がかかった場合、出産育児一時金から42万円支給されるため、差し引きすると8万円の自己負担金額です。異常分娩で高額な医療費がかかった場合、高額療養費制度が適用でき、かつ、出産育児一時金も支給されるため極端に大きな自己負担を強いられにくいと考えられます。とにかく保障が無いと不安という妊婦さんは、少額短期保険を検討妊婦さんの中には、とにかく保障が無いと不安という方もおられると思います。そのような方の場合、妊娠中の一時的な保障の準備として、少額短期保険(ミニ保険)を検討してみるのも良いでしょう。少額短期保険は、保険期間が1年間と短く保険料が掛け捨てとなりますが、妊娠中の一時的な保障をどうしても欲しいという方にとっては加入検討してみる価値はあると思われます。少額短期保険の手続きは、いつまで行う必要がある?妊婦さんが、少額短期保険に加入する場合、妊娠10ヶ月まで、妊娠27週までなど少額短期保険によって加入できる時期が異なるほか、保障がされない免責期間や医療保険のように不担保扱いとなる場合もあります。そのため、妊娠が分かり、少額短期保険の一時的な保障が必要な場合は、できる限り早く加入手続きを済ませておくのが望ましいと考えられます。医療保険と少額短期保険の主なポイントを比較本記事の最後に、保険会社が販売している医療保険と少額短期保険の主なポイントを比較した表を紹介しておきます。なお、妊婦さんが、それぞれに加入するものとした場合の比較とします。まとめ妊娠中に生命保険に加入することはできるものの、十分な保障が確保できている保険契約とは言い切れない場合があります。そのため、妊婦さんは、公的保険の制度を踏まえた上でもなお、保障が必要なのか、その必要性について再検討してみるべきでしょう。また、将来において妊婦になる予定がある場合、すべり込みで生命保険の加入や見直しを検討するのではなく、先々のことも考えて余裕を持った保険対策をしておきたいものです。
2019年08月15日顧客の利益を無視した保険契約が横行していたかんぽ生命。でも、これも人ごとじゃないかも——。保険の販売員が教えてくれない保険見直しのNG行動とは?——月13万円ほどの年金収入がある軽度認知症の高齢女性は、複数の保険に加入させられ、月25万円もの保険料を取られていた。日本郵政グループの「かんぽ生命保険」による不正販売。8月1日時点で、過去5年間の不適切な契約が18万3,000件に上っていることが確認されている。一方、民間の保険会社では’05年に起きた保険金不払い問題で金融庁から指導が入り、このような不正契約は起きにくくなっているという。だが、あからさまではなくても、顧客の利益よりも自分たちの利益を優先する業者は多い。保険に詳しいファイナンシャルプランナーの飯村久美さんはこう語る。「保険会社は不利なことは伝えてくれません。特に、“損する”行動を取りやすいのが、保険の見直しのタイミング。自分で確認すべきことは調べましょう」そこで飯村さんに、保険の見直し時に「損するNG行動5」を教えてもらった。【NG1】お宝保険を解約する「まず、今の保険が貯蓄型か、掛け捨て型かを確認してください。終身保険など、貯蓄型の場合は、加入年をチェックしましょう。加入時期により、『予定利率』が違います。これは、保険会社が契約者の保険料を運用している利回りのこと。この利率が高いほど、保険契約の満期時や解約時の返戻金が多くなります」(飯村さん・以下同)’80年代から’90年代前半にかけて、予定利率は5%以上あった。「特にバブル時代のものは、『お宝保険』と呼ばれています。40代後半以上の人なら、お宝保険に入っている可能性も高い」一方、保険会社としては、“割が合わない”。お宝保険に入っていると知らずに、保険外交員に『いい保険が新しく出たので乗り換えませんか?』と言われて乗り換えてしまう人も多いという。現在の予定利率は1%に満たない。「人によっては、かなりの額を損することになります。保険証書の裏側に返戻金のことが書いてあるので、見直す前に確認してください。利率が2%以上あった’00年以前に加入したものであれば、とりあえず解約しないのが正解」【NG2】“転機”なのにそのまま“子どももまだ小さいし、夫が亡くなったら、教育費に困ってしまう”。そう思って、結婚や出産を機に、生命保険に加入する人は多い。「たとえば、子どもも巣立って、これから老後を迎える50代の夫婦が死亡保障額を3,000万円に設定していたら、もったいないですよね。20代、30代に契約した保障額を見直さないと、保険料も高いまま」家を買ったときも、見直しどき。「住宅ローンを組んだ場合、夫に“万が一”が起きても、ローンはなくなり、家が資産として残るので、保障額を下げてもいいです」いずれにせよ、ライフステージに変化があったら、保障内容を見直さないと損することになる。【NG3】1社だけで検討する「うちはずっと○○生命なので」。そんな理由で見直しの選択肢を絞っていたら、間違いなく損だ。「保険を選ぶときは、保障内容と保険料などから2〜3社で比較検討したいもの。会社によって得意とする保障分野が異なるのです。広告費がかからないぶん保険料が安く抑えられているネット保険や、営利を目的としない共済もあります」【NG4】保険を「自動更新」掛け捨ての保険には、5年や10年ごとの更新期に、契約者から解約や減額の申し出がない限り、自動更新され続けるものがある。「保障額をそのままで更新すると保険料がアップする保険が多くあります。更新期の前に、通知が来るので、必ず内容を確認すること。保険料が高いと思ったら、保障額を減額すると、安くなります」【NG5】公的な保障を考えない“専業主婦だし、夫が病気になったり、亡くなったりしたら、収入が途絶えてしまう”。そんな不安から、高額な生命保険に入っている人もいるだろう。だが、公的な社会保障を十分に確認していない人が多いという。「厚生年金に加入していれば、夫が亡くなったときに申請すれば遺族厚生年金が入ります。また、病気で休業を余儀なくされた場合でも、傷病手当をもらうことができますし、高額療養費制度もありますので、医療費の自己負担額にも上限があります。企業内保障が存在することもあるので、夫の勤務する会社の福利厚生も知っておくべきです」社会保障だけで、万が一のときに生活が成り立つことも。それを確認しないまま、保険を見直すと損をする原因となる。最後に飯村さんは願いを込めて、こう語った。「自分と家族にとって、人生の助けになるべきものが保険です。契約者をないがしろにしたかんぽ生命の問題をきっかけに、入っている保険が、営業マンのためではなく、家族のためのものになっているか、見直してみてください」
2019年08月15日生命保険料控除は、保険会社に対して支払った生命保険料がある場合、一定の計算式にあてはめて計算した金額を所得税や住民税といった税金を計算する上で控除することができるものを言います。ざっくり言ってしまいますと、生命保険に加入している場合、税金を少なくすることができることになりますが、本記事は、この生命保険料控除の計算方法を中心に押さえておきたいポイントを紹介していきます。生命保険料控除の計算をするための重要ポイント2つ.手元にある生命保険料控除証明書を新制度と旧制度に分ける新制度で、一般用の合計金額は、120,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、80,000円超に該当し、この結果、一般用の生命保険料控除は40,000円であると計算されます。また、新制度で、介護医療用の合計金額は、60,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、40,000円超80,000円以下に該当し、この結果、介護医療用の生命保険料控除は35,000円であると計算されます。結果、一般用40,000円と介護医療用35,000円を合算した75,000円が生命保険料控除の金額となります。参考大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額は、一般用266,870円、介護医療用104,492円といずれも80,000円超に該当しているため、どちらも一律40,000円の控除金額となります。したがって、一般用40,000円と介護医療用40,000円を合算した80,000円が生命保険料控除の金額となります。生命保険料控除のシュミレーションは、控除証明書がすべて届いた後に行う生命保険料控除を正しく計算するためには、現在加入している生命保険の控除証明書がすべて届いてから行うことが重要なポイントとなります。この理由は、計算方法の流れの中でも紹介しましたように、生命保険料控除証明書に記載されている制度や金額を基に生命保険料控除が計算されるためです。したがって、生命保険料控除証明書が届く秋ごろに行い、以後、行うことになる年末調整や確定申告前の対策とするのが最も望ましい方法と言えます。[adsense_middle]年末調整で適用し忘れた生命保険料控除は確定申告で行える会社員や公務員などのような給与所得者の場合、毎年12月頃に勤務先が行う年末調整によって1年間の税金精算手続きが完了することになります。この時、年末調整で適用をし忘れた生命保険料控除や誤った生命保険料控除で税金の精算を終えた場合、確定申告をすることによって訂正することができます。特に、次項で紹介するようなパターンにあてはまる場合は、再確認しておくことが望ましいでしょう。夫婦いずれも給与所得者(課税対象者含む)である場合の注意点本人と配偶者が共に給与所得者で、いずれも年末調整をする場合、生命保険料控除の適用の仕方に工夫をした方が得策な場合があります。たとえば、生命保険料控除の適用対象者になる人とは、その生命保険料を実際に負担している人だけに限らず、別の家族を適用対象とすることができ、大まかなイメージを次項で紹介します。参考生命保険料控除の賢い適用の仕方こちらはあくまでも参考情報であり、それぞれの世帯における状況をあらかじめ確認精査する必要があると前置きした上で、生命保険料控除の賢い適用の仕方を紹介します。なお、生命保険料控除の計算方法で紹介した以下、2つの生命保険に加入していると仮定し、いずれも保険料を支払っている人は夫であるものとします。夫婦で分散して生命保険料控除を適用する大同生命と第一生命の生命保険料控除を夫だけに単独で適用した場合と夫婦それぞれが1つずつ適用した場合の違いは以下の表の通りです。(計算過程は省略します)生命保険料控除を夫が単独で適用すると、夫個人の生命保険料控除は、分散するよりも多くなりますが、世帯で考えますと、妻が全く生命保険料控除の適用ができない分、ロスが大きくなることが分かります。生命保険料控除の計算に医療費や医療保険金が影響することはない生命保険料控除は、あくまでも1年間に支払った生命保険料に対して控除されるものにあたるため、医療費控除のように、実際に支払った医療費や受け取った医療保険金の金額が生命保険料控除の計算に影響を与えるということはありません。ごく稀に、生命保険料控除や医療費控除をごちゃまぜに考えてしまう人もおられますので、この点には注意が必要と言えそうです。1年の途中で新規加入や見直しをする場合は、年払いが得策生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で実際に支払った保険料を基に算出される控除となります。そのため、この1年間の途中で生命保険の新規加入や見直しをする場合、保険料の支払方法を月払いではなく年払いにすることによって、月払いよりも総支払保険料を安く抑えられ、かつ、生命保険料控除を多く適用できる可能性があるため得策です。とても細かいですが、この辺もできる限り意識しておきたいものです。まとめ生命保険料控除は、仕組上、新制度および旧制度の違いのほか、夫婦共働き世帯なのかどうかなど、置かれている世帯の状況によっては、適用の仕方が節税になるかどうかの違いを生じさせます。そのため、少なくとも生命保険の新規加入や見直しを行った場合、自分たちはどのような組み合わせで生命保険料控除を適用するのが最適なのか、時には、FPなどの専門家を通じてしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
2019年08月13日編集部の「これ、気になる!」
兄の連れてきた婚約者は…
妻は看病してもらえないのが普通ですか?