真実に反した、労働者の主張昨今、残業代請求やパワハラ等の労働問題で、労働基準監督署に駆け込む新入社員を含む若手社員が急増したように思います。使用者側に非があるケースであれば良いのですが、真実に反した相談内容なのではないかと疑問に思わざるを得ない事例もよく見られます。今回は、社内で不正を働いた社員を懲戒解雇懲戒解雇をされた社員が、『不正を働いた覚えなどない。証拠もない。にもかかわらず不当に解雇された』として労働基準監督署に駆け込む会社側の落ち度(長時間労働やパワハラ等)により精神疾患を発症したとして労災認定を受けるさらに、会社に対し、多額の慰謝料や未払給与等の請求という事例について触れたいと思います。 近年ハードルが低くなった、労働問題の弁護士介入ひと昔前まで、使用者と労働者との紛争に弁護士が介入してくることが現在ほど多くありませんでした。社員に不正がある場合に限らず、能力不足等の事情により解雇をした場合においても弁護士が介入して裁判所で争われるといった事態を心配することはあまりなかったのでしょう。しかし、貸金業者の相次ぐ倒産により、いわゆる過払いバブル時代にこれをよりどころとしていた弁護士の業績が悪化し、残業代請求や不当解雇による損害賠償請求という労使問題に弁護士が積極的に介入するようになってきたことも要因の1つであることは否めません。弁護士によっては、法律相談料や最初にいただく着手金はいずれも無料とし、実際に会社から支払を受けることができた場合にその一部を報酬としていただくというような価格設定をしているところもあり、弁護士に相談しようという心理的ハードルがかなり下がっている実情もあろうかと思います。 不正をした社員を懲戒処分にした結果、会社が慰謝料を請求される恐れがある弁護士介入により労働審判や裁判に持ち込まれるケースでは、会社が行った解雇処分が有効と判断されるケースは極めて稀です。解雇、特に懲戒解雇処分に関して、法的には非常に厳しい要件が課されています。解雇処分よりも軽い戒告・減給・停職等の懲戒処分を段階的に踏んで指導の機会を経てもなお改善されない、かつそれが一目で分かる証拠を残しておかないと、懲戒解雇処分は無効とされてしまうケースがほとんどというのが実情。能力不足を理由に懲戒解雇をすることを裁判所が有効と認められることは、まずほとんどありません。 横領や詐欺、背任等の会社に直接損害を与えるような不正事例を行なった社員に対しては懲戒解雇も有効と認められることが多くあります。しかしそれには、「不正の事実」を証拠で証明することが必要です。証拠の確保ができないまま不当解雇をしてしまえば、証拠も十分でないのに見込みだけで安易に下した不当解雇と判断せざるを得なくなり、被害を受けたはずの会社が不正を働いた従業員に対して、多額の慰謝料や未払給与等を支払うこととなるケースが増加してきているのです。使用者からすると常軌を逸した事態です。しかし、このような事態が増えてきているのが現実です。それでは、不正などを働いた社員を懲戒としたい場合、会社としては、どのようなことに気をつけて懲戒解雇処分を下せば良いのでしょうか。 【社員の不正事実の調査方法】(およそ事実調査一般に共通します)下記は不正事実の発生から懲戒解雇処分に至るスキームと段階ごとの留意点です。概略についてのみ記しますが、参照ください。1.調査体制と調査方針・スケジュールの確立2.客観証拠の収集【どのような証拠が必要か?】請求書、注文書、納品書、契約書、見積書、稟議書、決算書、出金伝票、帳簿類、メール、その他連絡文書等金銭の流れが分かる預金通帳等リベートを取得したことが分かる証拠あるいはリベートの費消先の分かる証拠が必要。※会社の損害の穴埋め等、会社に還流している部分は横領や不法行為とはならない可能性あり。3.自宅待機命令のタイミング【調査期間中の自宅待機命令】原則として賃金支払い義務あり就労させないことにつき、不正行為の再発、証拠隠滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存する場合には支払い義務を免れる(日通名古屋製鉄作業株式会社事件名古屋地判平3・7・22)4.当事者及び関係者からの一斉同時聴取【事情聴取の手法】事実調査に熟練した弁護士に依頼、それができない場合には2名で聴取騙されない、性悪説に立つ。全く信じていないという演技も必要。なるべく録音する客観証拠をぶつけるタイミングは工夫が必要。手の内を見せない。自白の獲得は、極めて重要人は、利益誘導でしか自白をしない信頼関係の「舞台」を設定する工夫は重要聴取者、情報集約者、処分者等の役割分担の工夫も一案客観証拠の収集を視野に入れながら聴取する弁護士の同席を認める必要はない聴取内容は、なるべく一問一答式で、実際の話し言葉を忠実に再現した書面を作成の上、署名・押印を求める。本人が頑なに拒否する部分は、そのまま盛り込んであげることで、書面の信用性が高まる。録音していない場合には、自筆の書面も提出させる否認している場合にも、後で新たな弁解を出させないために、あるいは、主張の矛盾を浮き彫りにするために、その証拠化は重要5.事実認定と処分方針の確定6.弁明手続の実施処分の見込とその理由となる事実を本人に説明の上、十分に弁解を聞いた上で最終処分を下すべき。これを怠ると、処分が無効となる可能性がある。7.懲戒解雇解雇後の本人の調査協力は得られないので(逃げた者勝ちになる可能性が高い)、その前段階、社員の身分を有する間の早い段階での調査と証拠の確保が決定的に重要。任意の証拠提出依頼を繰り返し、ありとあらゆる証拠を早期に確保すべきである。調査協力及び拒否に関する規程類の整備も考慮に値する。【モデル就業規則】第○条従業員の調査協力義務1.会社は、コンプライアンス違反の疑いを察知したときは、当該事実の有無、その内容等について必要な調査を行う。2.従業員は、前項に基づき会社が必要性を認めて適宜の方法により実施する調査に協力する義務を負い、正当な理由なく調査への協力を拒んではならない。3.会社は、第1項に基づく調査に際し、必要に応じ、従業員に対し、自宅待機を命じることができる。8.刑事告訴、民事訴訟等の手続選択告訴して刑事手続を先行させられると楽。捜索は、刑事事件でしかできないし、100万円を超える場合には、弁償しないと実刑になる可能性が高く、否認せずに認めて、必死に弁済しようとする動機が一気に高まる。刑事記録の入手が可能になるし、警察・検察と弁護士が連携して、強制執行に必要な情報の入手も可能となる。告訴先は、所轄の刑事二課か、検察庁の特別刑事部。民事裁判官は、刑事手続以外での証拠収集の限界や、横領や背任等の経済事犯犯の認定方法を必ずしも正確に理解しているとは限らない。さいごに〜リスクを軽減するために〜前項で述べたような事実調査を実施し、不正等の事実を証明できる証拠をきちんと確保した上で懲戒処分を下したとしても、必ず有効になるという保証はありません。その処分の有効無効は裁判官の判断に委ねられているためです。つまり、使用者は常に抱えるリスクについて考えなければなりません。手を尽くしても払拭し切れないリスクに対しては保険が有効であり、唯一のリスク軽減の手段といえます。「保険でカバーできる部分は大胆かつ実務的に。保険でカバーできない部分は法的にプロテクトしつつ慎重に。」これがリスク管理の基本的な考え方であり、私たちが使用者にアドバイスする上でも常に心がけていることです。最後に、近時急増する労使問題で使用者側が裁判所で敗訴するリスク等に備える各種保険が売り出されていますので、その一部を紹介いたします。 ~雇用慣行賠償責任保険(EPLI)の活用の検討~ ・不当解雇を含む無効な懲戒処分、セクハラ・パワハラ、名誉毀損等での損害賠償金(不当解雇による未払給与含む)及び弁護士費用を含む裁判費用をカバー・東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損保、AIG損害保険会社、チューリッヒ保険会社等で商品化している 執筆/シティ総合法律事務所(「弁護士」というと、敷居が高く、話しにくいと思われるかもしれませんが、我々自身、そういう弁護士は苦手で、親身に温かく皆様のお悩みをお聞きする温かい法律事務所であると自負しておりますので、どうぞご安心して、何でもお気軽にご相談ください。)社員の不正等に絡む労使問題の裁判所の実情と対応のコツはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。社員の不正等に絡む労使問題の裁判所の実情と対応のコツはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年08月17日8月14日(現地時間)はテイラー・スウィフトにとって忘れられない日だった。今年はフロリダ州タンパのステージで「Reputation Tour」を行っていたテイラーだが、「People」誌によれば、ライブの途中、涙ながらに昨年の同日の出来事について語り出したのだという。「1年前、私はタンパのスタジアムでライブをしていたわけではなかった。コロラド州デンバーの法廷にいたの。陪審員たちが私を支持し、私のことを信じると言ってくれた日だったわ」。2013年、テイラーはショーのバックステージで写真撮影をしている時、元DJのデヴィッド・ミューラーにお尻をわしづかみにされるというセクハラ被害を受け、訴訟を起こした。結果、昨年8月14日にテイラーが勝訴し、デヴィッドは1ドルの損害賠償を払うことに。テイラーは金銭目的ではなく、女性のために立ち上がりたいという理由で1ドルを請求していた。テイラーは14日のライブでこの訴訟問題を思い出し、こういった被害に遭っても人々が声を上げられないのは、「信じてもらえないと思ってしまうからなんだと思う」とファンに向かって意見を述べた。「私に起きたことを信じてもらえていなかったら、人生がどんな風になっていたかわからないわ」。また、テイラーは浮き沈みの激しい人生を送る中、寄り添ってくれるファンが支えになっていると感謝。感動した多くのファンは、観客席でこのセクハラ訴訟の勝利のシンボルとなった1ドル札を掲げてテイラーに声援を送ったそうだ。(Hiromi Kaku)
2018年08月16日6月に発生した大阪北部地震や7月の西日本豪雨は、人々の生活に重大な影響を与えました。住居の倒壊や土砂災害などで、命を落とした人々も存在しています。そのような場合家族としては「そっとしておいてほしい」と思うものですが、メディアは大々的に被害者の実名を報道し、全国へと発信。視聴者からは「ほっといてやれ」「なぜ実名を流すんだ」と批判されている状況です。メディアは「報道の自由」を主張しているようですが、個人のプライバシーを侵害しているようにも思えます。法的に見て、問題ないのでしょうか?パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解をお伺いしました。■非常に難しい問題櫻町弁護士:「地震や津波、豪雨などの災害でお亡くなりになった方のご遺族、あるいは、行方が分からず安否不明とされた方のご家族の中には、自分の家族が死者・行方不明者として報道されることを望まない方もいらっしゃると思います。ただ、そうした「公表を望まない遺族・家族」が、死者・行方不明者の氏名等を報道した報道機関に対して損害賠償請求をした場合に、これが認められるかどうかはなかなか難しい問題です。こうした損害賠償請求が認められるためには、第三者の行為(この場合は「報道」)によって、「権利あるいは法律上保護される利益」(民法709条)が侵害された、といえなければなりません。そこで、「自分の家族が死者・行方不明者として報道されたこと」についてどのような権利あるいは利益が侵害されたかについて考えてみると、「プライバシー」や「静穏に故人を悼む利益」、「敬愛追慕の情」などがあげられるでしょう。しかし、「プライバシー」として保護されるためには、一般に、公表される事柄がア私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであることイ一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによつて心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであることウ一般の人々に未だ知られていないことがらであることという要件を満たす必要があるとされています(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決・判タ 165号184頁)。「自分の家族が災害で亡くなった、行方不明になったこと」が報道された場合、上記のうちアとウについては満たすといえると思いますが、イについては、(当該家族がどう思ったか、感じたかではなく)一般人の感受性・感覚に照らしてみた場合に「公開を欲しない」あるいは「心理的な負担、不安」を覚えるということが言えるか、判断が分かれ得るように思われます」 ■損害賠償責任が生じないこともあるさらに、プライバシーにあたる場合であっても、それを公表されない法的利益よりも、公表する理由が優越するときには、公表は違法ではなく、プライバシー侵害による損害賠償責任は生じません。この点について、例えば東京高裁平成17年5月18日判決・判時1907号50頁は、「プライバシー権の侵害については、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為が成立するものである」と述べています。災害における死者・行方不明者の氏名等を報道する理由について考えてみた場合、消防等による捜索・救助体制の検討のために必要な情報である、あるいは、親族や知人友人などの「安否を確認したい」という要望に資するものである、といったことが考えられ、そうすると、公表されない利益よりも公表する理由が優越するという見方もできるでしょう(もっとも、前者については、報道機関による公表までは必要なく、関係機関のみで共有を図ればよいのではないか、という議論もあると思います)。また、「静穏に故人を悼む利益」や「敬愛追慕の情」については、死者あるいは行方不明者の名誉等を損なうような特段の事情がない限りは、その侵害が認められる可能性は低いとい思われます。例えば、大阪地方裁判所平成元年12月27日判決・判時1341号53頁は、遺族の「敬愛追慕の情」が侵害されたことを認めましたが、この事案では、エイズで死亡した患者の「肖像写真等を入手するため」に、写真週刊誌のカメラマンが「来訪の目的、身分等を秘して・・・虚偽の申出をし、・・・関係者以外の立入りが認められていなかった右教会の二階に無断で上がり込み、原告らが右のとおり亡春子を静かにしのんでいる最中にフラッシュを使用して祭壇に飾られてあった同女の遺影を盗み撮りし、そのまま戸外に逃走し、そのような経緯で撮影された写真とともに、患者の経歴等を「エイズ死『神戸の女性』の足どり」との見出しで写真週刊誌に掲載したという事実を認定した上で、「本件報道は、亡春子の名誉を著しく毀損し、かつ生存者の場合であればプライバシーの権利の侵害となるべき亡春子の私生活上他人に知られたくないきわめて重大な事実ないしそれらしく受け取られる事柄を暴露したものであるが、このような報道により亡春子の両親である原告らは、亡春子に対する敬愛追慕の情を著しく侵害されたものと認められる。」としたものです。 ■自治体の発表について櫻町弁護士:「報道機関が災害での死者・行方不明者の氏名等の情報を報道する前提として、そうした情報をどう入手するのかという点を考えてみると、被災者数が少なく、報道機関が自らの取材活動においてそうした情報を入手できる場合は別として、大規模災害においては通常、自治体からの発表によることが多いでしょう。この場合、報道機関による報道の是非とは別に、「自治体が死者・行方不明者の氏名を発表することの是非」という論点もでてきます。実際、先般の西日本豪雨の際には、自治体によって公表するかどうかの判断が分かれていたようです。「死者・不明者実名公表、3県で差情報、共有か保護か」()毎日新聞平成30年7月12日「11日に一転して不明者の氏名を公表した岡山県は、当初は市町村から寄せられた情報を基に基本的には人数や性別を公表し、氏名に関しては市町村の判断に委ねていた。このため、自治体で対応にばらつきがあり、非公表としたケースが目立ったものの、新見市のように「早期発見につながる」として氏名を公表する市や町もあった。」自治体がこうした情報を発表する場合の根拠ですが、例えば東京都の場合は、「東京都個人情報の保護に関する条例」において以下のような規定があり、多くの自治体では同種の条例を制定していると思われますので、「個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるとき。」が発表の根拠になるでしょう。第10条実施機関は、保有個人情報を取り扱う事務の目的を超えた保有個人情報の当該実施機関内における利用(以下「目的外利用」という。)をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。一本人の同意があるとき。二法令等に定めがあるとき。三出版、報道等により公にされているとき。四個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるとき。なお、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」では、以下のような規定があります。2項4号の「本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき」あるいは「保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき」が根拠として考えられるでしょう。第8条行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。2前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。一本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。二行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。三他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。四前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。ちなみに、国が策定する「防災基本計画」(平成29年4月)()においては、「市町村は、人的被害の状況(行方不明者の数を含む。)、建築物の被害、火災、津波、土砂災害の発生状況等の情報を収集するとともに、被害規模に関する概括的情報を含め、把握できた範囲から直ちに都道府県へ報告するものとする。通信の途絶等により都道府県に報告できない場合は、直接国〔消防庁〕へ報告するものとする。特に、行方不明者の数については、捜索・救助体制の検討等に必要な情報であるため、市町村は、住民登録の有無にかかわらず、当該市町村の区域(海上を含む。)内で行方不明となった者について、都道府県警察等関係機関の協力に基づき、正確な情報の収集に努めるものとする。」、「都道府県は、市町村等から情報を収集するとともに、自らも必要な被害規模に関する概括的な情報を把握し、特に、市町村が報告を行うことができなくなったときは、被災地への職員派遣、ヘリコプター等の機材や各種通信手段の効果的活用等により、あらゆる手段を尽くして積極的に情報収集を行い、これらの情報を国〔消防庁〕に報告するものとする。また、必要に応じ、関係省庁及び関係地方公共団体に連絡するものとする。都道府県警察は、被害に関する情報を把握し、当該情報を国〔警察庁〕に連絡するものとする。」とされ、「人的被害の数(死者・行方不明者数をいう。)については、都道府県が一元的に集約、調整を行うものとする。その際、都道府県は、関係機関が把握している人的被害の数について積極的に収集し、一方、関係機関は都道府県に連絡するものとする。当該情報が得られた際は、都道府県は、関係機関との連携のもと、整理・突合・精査を行い、直ちに消防庁へ報告するものとする。また、都道府県は、人的被害の数について広報を行う際には、市町村等と密接に連携しながら適切に行うものとする。」とされています」この件についてはかなり難しい問題である様子。しかし、視聴者から災害時毎日のように悲惨な光景をテレビに映し出し、亡くなられた方の名前を報じられることは「気分が良くない」との声が上がっていることも事実。報道のあり方について、考え直す時期が来ているのかもしれません。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)西日本豪雨や大阪地震で批判を浴びた被災者の実名報道違法ではないのか弁護士が解説はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。西日本豪雨や大阪地震で批判を浴びた被災者の実名報道違法ではないのか弁護士が解説はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年08月09日一般的に事故物件とは、何らかの事情でその物件内で人が亡くなったことによる心理的瑕疵(心理的に感じる何らかの抵抗、嫌悪感等)のある物件を指します。もし自分の所有する物件が事故物件になってしまったらどうしたらいいのでしょう!?■ もし事故が起きてしまったら:自殺などの場合Brunch / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです入居者が自殺によって亡くなった場合、もし未払い家賃や内装等の原状回復費用が発生しているならば、その費用は保証人や相続人に請求することができます。さらに、「自殺があった物件」になったことで入居希望者がなかなか見つからなかったり、賃料を減額せざるを得ない等の損害が出た場合、保証人や相続人に対して損害賠償請求をすることができます。入居者は借りている物件に対して注意義務(その物件を善良なる管理者として注意して管理・使用する義務:民法第400条)を負うことから、入居者がその物件内で自殺などで亡くなった場合にはその注意義務に違反したことになるのです。そして、その入居者が亡くなっている以上、損害賠償債務は保証人が負うことになります。また、入居者が死亡しても賃貸借契約は即座に消滅せず、亡くなった入居者の権利(借家権)や財産は相続人に引き継がれます。つまり、損害賠償債務も相続人に「相続財産として」引き継がれることになるのです。このように、万が一の事故が起こってしまった場合は、保証人や相続人に損害賠償を請求することができますが、そのケースごとに判断が分かれますので、実際に事故が起きてしまった場合は専門家にご相談ください。注意すべき点sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)2020年4月1日に改正民法が施行され、保証人に関する規定が変わるのですが、これは不動産の賃貸借に関する連帯保証人にも関係します。具体的にいうと、今後2020年4月1日以降の賃貸借契約には連帯保証人が保証する債務に「極度額」が明確に記載されるようになります。これまでの契約条文では、連帯保証人の債務に上限を設けることはほとんどありませんでしたが、民法改正後は契約条文に「極度額を○○万円を上限として……」という一文が加わることになります。そうなれば上記で示したような「損害賠償」までは請求できなくなる場合がありますので、2020年4月1日以降の賃貸借契約は「保証の極度額」に注意しましょう。もとくん / PIXTA(ピクスタ)また、相続人に損害賠償を請求する場合も注意が必要です。そもそも相続人が相続を放棄した場合は、亡くなった入居者の権利(借家権)は引き継がれません。その場合、損害賠償債務も引き継がれることが無いので損害賠償を請求できる相手がいなくなってしまいますのでここにも十分ご注意ください!■ もし事故が起こった場合:自然死などの場合TATSU / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです自然死(病死、孤独死など)の場合、未払い家賃などがあれば保証人や相続人に請求できますが、損害賠償請求はほとんどの場合でできません。損害賠償請求できるのは入居者に注意義務違反(過失)があった場合であり、自然死にはその「過失」があったとはいえないのです。とはいえ、急激な高齢化を迎えている日本では、高齢者の孤独死がますます増えていくことが予想されます。この様な状況を踏まえ、最近では賃貸経営のリスク軽減のために様々な保険会社が「孤独死保険」の販売を始めています。孤独死保険とは?タカス / PIXTA(ピクスタ)孤独死保険は、物件内で死亡事故(孤独死・自殺・犯罪死)が発生した場合に、そのお部屋の原状回復費用(遺品整理、清掃、消臭、汚損等)や事故後に借り手がなく、空室になった場合の家賃損失(家賃保証保険金)を保証してくれるものです。この保険には、孤独死保険として独立した商品や、火災保険の特約として孤独死に対応する商品など色々な種類があります。賃貸経営をしている、若しくは予定している人にとって、今後この孤独死保険は自分の物件を守る大きなセーフティネットになりそうです。ABC / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです2020年の民法改正、相続人の相続放棄、高齢化社会など、賃貸住宅を取りまく環境は厳しさをましていきますが、関係する法律を理解することや孤独死保険などを活用することで、万一の場合に備えておきましょう!
2018年08月03日普段、何気なく使っているものがときに大きな事故を生み出すことがある。私にとって “自転車” がまさにそれでした。普段から気をつけていても、ふとしたタイミングで事故は起こるもの。今日、自分が加害者・被害者になってしまう恐怖を目の当たりにして、今回学んだこと・実は知らなかった事故に関する知識をご紹介します。前を見てたのに事故って起こるんだ…。事故が起こったその日、私は早めに家を出てゆっくりカフェでくつろいでから用事へ向かう予定でいました。そのため、特段急いでいたワケではなく普通のスピードでいつも通り、駅までの道を自転車でせっせと漕いでいたところ…。突然目の前から、同じように自転車に乗っている女性が私の方に向かって現れました。お互いスピードを出していなかったものの、ちょうど曲がり角で死角になっていたのか、至近距離で相手の存在に気づいたので、避けきれず自転車もろとも転倒。曲がり角で死角になっていたといえど、そこまで道が狭い場所でもないし、何より前をまっすぐ見て走っていたのに、相手を気づかなかったうえに避けられなかったという事実に自分でもびっくりしました。気をつけているようで気をつけていないのか、気をつけていてもそうなってしまうのか……。こんなふうに事故って簡単に起こるものなんですね。「あ、ヤバい。やっちゃった。」うぅ…めちゃくちゃ痛い。と、重くなる体をムクリと起こして「大丈夫ですか?」と相手に声をかけると…、相手の女性はうなだれるように倒れながら顔をおさえていました。しかも女性の手もとは血だらけで、ポタポタと大きな血の塊がコンクリートに凄まじい勢いで落ちているではありませんか…!「あっ。ヤバいやつだコレ。どうしよ、ヤバいよヤバいよ、マジで」と、私の脳内はもはや出川哲郎状態に。トラブルが起こると人は、思考がシャットダウンされ「ヤバいよ」という単語しか出てこない状況になるようです。怪我をした女性も錯乱状態になっていて、話しかけても「…はい」という反応だけ。正直、「一応意識はあるようだし、このまま去ってしまおうか……」なんていう悪い考えもよぎりました。余裕を持って出かけていたとはいえこの後の用事のことを考えると早く脱出したいという気持ちが先行していました……。でも、血を流している人をこのままにしておくのはさすがにダメだわ。とりあえず消毒と絆創膏を……と近くのコンビニに駆け寄って何もできないなりの手当をして、相手の回復を待ってみました。血が止まる頃にはお相手の方の意識もはっきりしてきたので、連絡先を交換して一度その場を去ることになりました。一連の出来事が落ち着いて自分の状態を見返すと、スカートがビリビリに破れまくりの、服が乱れまくりで、当然髪の毛も乱れ髪。もはや全く別の事件が起こってしまったのではないかという状態で、とても電車には乗れないため一時帰宅をしました。保険に入っていないと、訴訟問題に発展する?家について、着替えると冷静になってきたせいか、怪我をした部分の痛みを強く感じるように。ここで今日の予定を断念し、病院へ行くことを決意。その間、自転車事故について調べるとこんな事案が出るわ、出るわ…。「自転車保険に入っていなかったので相手と訴訟問題でもめた」「事故現場で警察を呼ばないとひき逃げ扱いにされる」「慰謝料問題で示談が成立しない」今、まさに自分が起こした事故が後々に、民事裁判レベルのトラブルに発展している事実を、このとき初めて知りました。自転車事故は軽く見られがちですが自動車事故と同じ扱いになるとのことで、本来はその場で110番か最寄りの交番に行って現場確認を取らなくてはいけないそうです。さらに、自分もしくは相手の自転車が破損していた場合、修理代の負担はどちらがするのか、怪我をしていた場合の治療費はどこまで出すのか、事故の大きさによっては数百万以上の損害がかかってくる可能性があるので、保険に入っていないとその示談交渉は全て自分で執り行う必要があります。また、自分が入っていても相手が自転車保険に入っていない可能性もあります。そうなると慰謝料を請求しても払ってもらえない可能性があるので、自転車を使う方は必ず自転車保険に入っておくことをオススメします。私は当時、自転車保険はおろか、自転車保険の代わりになる保険(火災保険・個人賠償責任保険)も何ひとつ入っていませんでした。状況と相手が悪ければ、かなりの大事になったはずなので、もうしばらくは恐くて自転車に乗れません……。もし自分が加害者になったら?・相手も自転車を乗っていたこと。・お互い結果的に軽い怪我で済んだ。・自転車の破損もなかった。・お互いに大事にしたくない意志があった。幸いにもこの4点がお互いに合致していたため、今回の事故は警察に事故証明届を提出するだけで済みました。例えば、これが自転車と歩行者だった場合、過失割合は自転車側のほうが圧倒的に不利です。もちろん、事故の状況にもよって過失割合に変動はありますが、事故当時を検証する証拠もなければお互いの記憶に頼ることが多いので、どちらに非があるかということで揉めるケースがほとんどなのだとか。どんなに気をつけていても、自分に非がないと思っていても事故が起こって、相手に怪我をさせてしまった以上、自分が加害者になることがあります。そうなってしまった場合、絶対にやってはいけないのが「自分は悪くない」と横柄な態度をとったり、責任を負いたくないあまり逃げようとする行為。逃げずに真摯的な対応で被害にあった人の気持ちのケアを忘れないことが大切です。そのうえで自分の身を守るためにも、しっかり主張するべきところはする。全ての非が自分にあるわけではない場合は、それを裏づける材料をしっかり残しておくと良いでしょう。事故が起こった時の現場を写真に撮っておくなどできるだけ当時の状況が詳しく残る材料があるほうが後々揉めごとに繋がりません。事故は意外と身近に潜んでる私の場合、今回は本当にお相手の方が良い人で、軽い事故で話が済みました。でもそのほうが実は稀だという事実を知って、改めて自分の身の回りに起こる出来事の怖さに、そして自分の危機管理能力の低さに情けなさを感じています。もちろん、保険も加入しましたよ!最近では、出会う人、出会う人に「保険、入ったほうが良いよ…!」など、どこの保険会社の回し者かと思われるくらいのうっとうしさが板についてきました。ぜひ、みなさんも身近なトラブル・事故には気をつけてくださいね!
2018年07月08日たまにに、駅のホームなどで嘔吐物が放置されている様子を目にします。嘔吐物が放置されていたら、他の人間は大迷惑ですし、見たくもないものを見させられては、自分まで気分が悪くなってしまいます。それを片付ける駅の係員は、もっと迷惑。他人の嘔吐物を掃除するなどということは、気が進むものではありませんよね。また、当事者が放置したまま逃げてしまうこともあります。その場合、駅側から損害賠償請求などすることはできないのでしょうか?Q.駅で嘔吐したあと放置して立ち去った。駅側から損害賠償請求を請求できる? A.場合によっては請求できることもあります嘔吐物を処理せず立ち去った場合、鉄道会社はコストをかけてこれを清掃します。そのため、当該コストについて損害賠償請求を受ける可能性はあります。ただし実際に請求がされるケースは少ないのが現状です。仮に自分の嘔吐物を他人に掛けてしまった場合は衣服等のクリーニング費用について賠償を求められる可能性があります。 損害賠償請求されないとしても、他人に迷惑をかけることは確かです。体調管理や酒飲み過ぎなどに注意し、公共施設で嘔吐することのないよう努めましょう。*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*監修弁護士/梅澤 康二(プラム綜合法律事務所。労務全般の対応、M&A取引(対象会社に対するデューディリジェンス)、各種契約書の作成・レビュー、取締役会議事録の整備、その他企業法務全般のご相談一般民事・交通事件・債務整理・相続問題に係る法律相談、刑事事件に係る法律相談を中心に取り扱う。) 駅で嘔吐物を放置…損害賠償請求することはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。駅で嘔吐物を放置…損害賠償請求することはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月28日損害賠償請求など訴訟を起こす際には、弁護士の力が必要となります。それは誰もがわかっていると思いますが、実際費用がいくらかかるのかは、あまり知られていません。やはり、高いのではないかと思ってしまいますよね。仮に相手を訴えるとなった場合、その要因は相手方にあるわけですから、主張が認められた場合裁判を起こすことで発生した弁護士費用も負担してほしいと思うもの。そのようなことは可能なのでしょうか? Q.裁判を起こすことで発生した弁護士費用を相手に請求したい。そのようなことは可能?A.基本的にはできませんが、不法行為による損害賠償請求の場合は請求できることがあります。実は、基本的に裁判にかかった弁護士費用を相手に請求することはできません。しかし、相手の不法行為が原因の損害賠償請求については、弁護士費用も『損害』として相手方に請求することができることがあります。不法行為は、民法709条に定められるものですが、たとえば…・暴力による怪我・交通事故による損害・安全対策を怠ったことによる労働災害・不貞行為の慰謝料・DVの慰謝料などが挙げられます。このような場合は、相手方に弁護士費用を請求することが可能となります。なお、契約上の義務の不履行など、債務不履行による訴訟については、請求できないことが通例となっています。 裁判に勝訴するためには弁護士の力が必要ですが、費用が気になるのもまた事実。だからといって二の足を踏んでいては、何も始まらないとはいえますよね。たとえば、資力によっては法テラスという制度を利用するなど、弁護士費用に関しては工夫をすることが可能です。また、完全に成功報酬だけで対応してくださる先生もいます。費用についても親身になって相談に乗ってくれる弁護士がほとんどです。相手方に請求できるケースがあることを踏まえた上で、相談してみましょう。 *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*監修弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*画像イメージです(pixta)弁護士費用を訴訟相手に支払ってもらうことはできる?→できるものとできないものがあるはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。弁護士費用を訴訟相手に支払ってもらうことはできる?→できるものとできないものがあるはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月20日世間を巻き込んだ大騒動へと発展した日本大学アメリカンフットボール部選手による悪質タックル問題。タックルはもちろんですが、背景にあるとされる内田正人前監督・井上奨コーチの圧迫的な指導が問題になっています。スポーツの世界で、今回のように相手を故意に怪我させるようなプレーを行うことはめったにありません。しかし、「故意に」怪我をさせようとするプレーヤーや、それを指示する指導者が絶対にいないとも言い切れません。仮に「故意に怪我」をさせた場合、被害を受けた側は損害賠償などを請求することはできるのでしょうか?笠原総合法律事務所の生田康介弁護士に見解を伺いました。 ■スポーツの試合で故意に相手を怪我させたら…?生田弁護士:「故意に他人に暴行したり、怪我を負わせたりすると刑法上の暴行罪、傷害罪に問われ、民法上は不法行為に基づく損害賠償責任が生じます。しかし、スポーツの最中に相手に暴行したり怪我を負わせたりしても、原則として刑事上、民事上の責任を問われることはありません。スポーツは身体や用具の接触を伴う以上、常に怪我などを負う危険性があり、それを最小限なものとするために厳格なルールが決まっています。したがって、ルールの範囲内での行為については、正当な行為として違法ではないと解されています。逆に、ルールの範囲外の反則行為で相手を怪我させた場合は、正当行為とは認められず、刑事上、民事上の責任が生ずる可能性があります。もっとも、故意に反則を犯したのか、勢い余って反則になってしまったのかの線引きは難しく、裁判上責任ありと判断されたケースはさほど多くはありません。あくまで、個々のスポーツの特性や事故が起こった際の具体的状況を全体的に考慮して、違法か否かの判断がなされるものと考えられます」 ■日大アメフト部員の悪質タックルは不法行為になる?次に今回の日本大学アメリカンフットボール部員による悪質タックルについて、不法行為になりうるのかなど、見解を伺いました。生田弁護士:「今回の悪質タックルケースは、プレーが終了してから4~5秒後にタックルに行っており、故意に反則を犯したことが明白であること、タックル自体が重大な怪我につながる可能性のある行為であることからすると、刑事上、民事上の責任を追及される可能性はあると考えられます。もちろん、それを監督やコーチが指示したのであれば、共同で責任を問われることになります。この先は私見になりますが、私は高校、大学とラグビーをしており、試合において、「あいつを潰せ」、「殺す気でタックルしろ」と声を掛けることは珍しいことではありませんでした。だからといって、反則をしてまで相手を傷つけるような人は誰もいません。そんなことをしたら自分自身が非難されるし、タックルという行為が危険な行為であるということがよく分かっているからです。本件の本質は、選手があそこまでの行為に及ぶことを決断するほどの根強い心理的圧迫が、監督やコーチから日常的になされていたのではないかという点にあるのだと思います。」アメリカンフットボールやラグビーといったコンタクトスポーツであっても、「明らかにルールを逸脱している」と判断される行為によって相手を怪我させた場合は、刑事・民事で責任を問われる可能性があるということを指導者・選手とも、認識しておく必要があるのではないでしょうか。*取材協力弁護士:生田康介(笠原総合法律事務所)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)*画像はイメージです(pixta)日大アメフト部員による悪質タックル…スポーツの試合で故意に相手を怪我させた場合不法行為になる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。日大アメフト部員による悪質タックル…スポーツの試合で故意に相手を怪我させた場合不法行為になる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月18日*画像はイメージです:月4日、人気映画『君の名は。』などのコンテンツを、ファイル共有ソフトを使ってインターネット上にダウンロードできるようにしたとして、無職の男性(54)が逮捕されたとの報道がありました。また、少し前(平成24年)のことですが、違法ダウンロードに対して刑事罰が科される法改正がなされ、注目を集めました。法改正当時は“動画サイトを視聴するだけで逮捕されてしまう”などという懸念もされ、大きな話題を呼んだものです。刑事罰化の法改正から6年が過ぎたいま、違法ダウンロードの話題は少し落ち着いた感じがありますが、はじめに紹介した『君の名は。』の事例のように、違法コンテンツに関する法的トラブルがなくなったわけではありません。そこで今回は、“違法ダウンロード”で逮捕されないために、知っておいて損はない、違法コンテンツにまつわる法律問題についておさらいしてみたいと思います。 ■そもそも違法ダウンロードって?違法ダウンロードとは、簡単にいえば、「違法にアップロードされたコンテンツを、それと知りながらダウンロードすること」をいいます。つまり、違法ダウンロードとは違法アップロードが前提となっており、コンテンツを“利用する側”の法的責任に関する問題なのです。 ■違法ダウンロードで逮捕されるケースとは?違法ダウンロードで逮捕されうるケースは、次の2パターンがあります。(1)そもそも私的使用目的ではない私的使用目的でない違法ダウンロードは、法改正前から刑事罰の対象でした。例えば、ダウンロードしたものを転売するとか、大勢の前で上演してみせるとか、そういった目的でダウンロードすることは、もとから逮捕などの対象となる行為だったのです。(2)私的使用目的だが、有料の音楽や動画の違法ダウンロードである有料の音楽や動画の違法ダウンロードは、たとえ私的使用の目的であっても逮捕などの対象となります。(この内容を定めたのが平成24年の法改正です。)典型的な例は、違法にアップロードされたDVDやCDのダウンロードです。音楽や動画が対象ですから、画像の違法ダウンロードは刑事罰の対象にはなっていません。(ただ、画像の違法ダウンロードも損害賠償などの対象であり、法的責任を問われる行為です。許される行為ではありませんので、注意しましょう。)■動画サイトの視聴で逮捕される?YouTubeなどの動画サイトは今でも人気を集めていますが、違法アップロードされたと思われる動画もしばしば見受けられます。有料のはずの音楽や動画もアップロードされており、これを知らずに視聴してしまったユーザーも逮捕されてしまうのか、法改正のときに多くの議論を呼びました。結論的には、視聴しただけで逮捕などをされる可能性は低いといえます。文化庁も公式見解として、このようなケースは刑事罰の対象にならないと明言しています。Q違法に配信されている音楽や映像を視聴したら、違法ですか?A違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音・録画が伴わないため違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。(政府広報オンラインより引用)しかし、法律の解釈は文化庁ではなく裁判所が行うものですから、刑事罰の対象になる可能性がゼロとまでは言えません。 ■違法ダウンロードで逮捕されないために違法アップロードされたコンテンツには近寄らないということに尽きます。怪しいコンテンツや怪しいサイトには近寄らないほか、ファイル共有ソフトも原則として利用するべきではありません。ファイル共有ソフトの中には、ダウンロードと同時にアップロードも行われるというものもあります。知らずにダウンロードした結果、違法アップロード者としての責任を問われるというケースも珍しくありません。違法ダウンロードという行為は、有料のコンテンツを無料で楽しむものです。しかし、違法な行為である以上、それなりのリスクは覚悟しなければなりません。気軽に行った行為で後悔しないためにも、インターネット上のコンテンツとの関わりには普段から注意を払っておきましょう。 *著者:弁護士 渡辺 泰央(四谷コモンズ法律事務所。インターネットトラブルやWEBに関する事案を多く取り扱う。)【参考】*政府広報オンライン【画像】イメージです*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)【元記事】*違法ダウンロードで逮捕されないためには?
2018年06月16日5月29日、不動産賃貸業者のレオパレス21が施工を担当した物件について「建築基準法に違反している物件があった」と発表。利用する借主・貸主に衝撃が走りました。同社によると界壁と呼ばれる部材が未設置または基準を下回る長さの物件があったとのことで、発表時点で290棟のうち、38棟で界壁がないなどの不備があったと報じられています。 ■「界壁」は防音にも影響がこの「界壁」は、火災時の延焼防止などの観点から建築基準法で屋根裏まで設置するよう義務付けられているもの。また、防音性能にも影響を及ぼすと考えられています。物件の居住者にとって生活音の漏れは気になるもので、人によっては気を取られ、精神に異常をきたしてしまうことも。大抵不動産会社は「音に問題がある」とはいいませんので、そんな物件に入居するハメになれば、「騙された」と思ってしまうことでしょう。今回の界壁不正物件に居住し、騒音に悩まされていた場合、レオパレス側に損害賠償などを請求したくなるもの。そのようなことは可能なのか、星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。 ■損害賠償を請求することはできる?星野弁護士:「行政法規である建築基準法に違反しても、ただちに民法上の不法行為に基づく慰謝料が発生するとはいえません。建築基準法に違反したことと、壁が薄くなり騒音が発生したこと、さらに騒音が受忍限度を超える結果にまで至っている場合には慰謝料が発生する可能性はあります。ただし、生活騒音自体は基本的に建築基準法違反があってもなくてもある程度は発生するものであり、レオパレス物件の性質上ある程度の騒音は予想可能でその上で入居しているので、建築基準法違反と受忍限度を超える生活騒音を招いた結果の法的な因果関係が証拠上認められるか、がポイントとなると思います。建築基準法違反による慰謝料を請求できる可能性はありますが、実際の裁判では難しい立証が求められます。」 限度を超える騒音に悩まされていることが立証される場合は慰謝料請求は可能ですが、難しい立証を求められる可能性が高いとのこと。実際のところ請求するか否かは個人の判断ですが、訴えを起こしたい場合は「立証」できるような証拠集めから始めたほうが良さそうですね。*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)レオパレス21の違法建築問題…不備物件での騒音に対して損害賠償請求は可能?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。レオパレス21の違法建築問題…不備物件での騒音に対して損害賠償請求は可能?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月14日『大量懲戒請求』、この単語を聞いてピンとくる方は多いのではないでしょうか?いわゆる、ネット右翼、通称『ネトウヨ』から、数名の弁護士に大量の懲戒請求が届いた問題。実際に大量懲戒請求を受けた弁護士がツイッターを通じて、この件に対し物を申したり、嫌がらせとも取れる手紙が届いたことを写真つきで公開したり、とネットでも話題となっており、ちまたではさまざまな声が上がっています。今回は、その渦中の弁護士のひとり、北周士先生に、『大量懲戒請求問題』について伺いました。 Q.今回の一件、先生に大量の懲戒請求が届いたきっかけや、経緯はどういったものだったのでしょうか?A.朝鮮学校への補助金の交付に賛成したとして東京弁護士会の会長・副会長合計9名と、佐々木亮弁護士のもとに、大量の懲戒請求が突然届きました。佐々木亮弁護士は、「朝鮮学校への補助金云々にはまったく関与していない、身に覚えがない」といった旨をTwitterにつぶやいており、そのツイートに、「そんな(大量の懲戒請求が届く)のはおかしい」とリプライ(返信)をしたところ、私にも飛び火してきた、というのが始まりです。詳しくは、Twitterにて佐々木弁護士が解説してくれているので、こちらをご覧ください。佐々木亮弁護士ツイッターアカウント Q.実際に先生が『朝鮮学校への寄付金交付』などに関わっていた事実はあったのですか?A.ありません。 Q.現状、どれくらいの懲戒請求が来ているのでしょうか?A.私のもとには960件、佐々木先生のところには約3,300件来ております。 Q.賠償請求はする予定ですか?する場合、何に対する損害賠償でしょう?A.6月末を目処に訴訟を提起する予定でおります。なお、それに先駆けて謝罪の申し入れと和解を呼びかけています。損害賠償の理由としては『虚偽告訴』及び『威力業務妨害』に基づく損害賠償請求となります。 Q.和解にも応じていますか?A.応じています。詳しい数字は言えませんが、現時点で二桁ほどの方々と和解が成立しています。 Q.賠償金・和解金それぞれの金額はどのくらいを想定しているのでしょうか?A.1名あたり5万円です。なお訴訟時の請求金額については30万円を予定しています。 Q.和解をした人から謝罪の表明などはあったのでしょうか?A.ありました。主なものとしては「そのときは本当に日本が良くなると思っていた。」「時代を変えられるのではないかという高揚感があった。」などの表現が多かったと思います。 Q.ネット右翼、いわゆる『ネトウヨ』について先生はどうお考えですか?A.ネトウヨと言ってもすでに意味としては多義的です。本件はネトウヨであること自体は問題ではないと考えており『匿名性を盾に特定の個人を集団で叩く』という行為に問題があると思っています。 Q.ネットでは、『匿名で発言できる』ということから『好き勝手言える』という意識が蔓延しているように見受けられ、今回の一件もその象徴だという印象を受けました。このようなネットリテラシーについて、弁護士の視点から、どんな危険性があると考えますか?A.ネットリテラシーの問題ではなく、彼らは彼らなりに『自分の行いは正義である』『自分の行いは日本をよくするものである』と考えていたことが問題だと思います。思想に関係なく『直接的に他者を加害する行動は問題である』という当たり前の点を認識し直す必要があると思います。ネットの匿名性と顔が見えない他者性はこの部分の攻撃のたがが外れやすくなると考えています。ネットを通じた先の相手方も実在する人間であり、直接的な加害行為を行った場合ペナルティを受ける可能性があるということを認識すべきであると考えます。またネット上の『匿名性』は実際に特定をしようとすれば特定が可能なものに過ぎません。その点についても認識を持つべきだと思います。 Q.懲戒請求をしてきた人々に伝えたいことはありますか?A.私を懲戒しても日本は特に良くならないと思います。他者の権利を制限しようとするときは自己にそれが跳ね返ってくる可能性が当然にあるということについては認識しておくべきだと思います。特に専門家に対し懲戒請求をしようとするのであれば、それこそ専門家(弁護士)に相談をしてからするべきでしょう。 Q.事実上、誰でもできてしまう『懲戒請求』。改善の余地がはないのでしょうか?A.弁護士法では『何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる』と規定されていることからすれば、懲戒請求権者を制限することは現行法上困難であると考えます。しかしながら、現時点では架空人でも懲戒請求ができてしまうことからすれば①本人確認資料の添付、②実費(郵送代等)の予納程度は求めるべきではないかと考えています。また、明らかに懲戒理由に当たらないものについては、本人に対する答弁書等の提出を求めることなく弁護士会が請求を却下する簡易却下の手続も設けるべきではないかと考えます。 Q.今回のことを受けて、先生のご意見A.ほぼ上で述べた通りです。本件を思想の問題に『矮小化』することは避けるべきだと考えております。 編集部コメントネットが普及し、匿名でなんでも言えるようになってから、それなりの年月が経ちました。今回の一件には、多くの人々が関与するこのネット社会で、自身がどうあるべきか、自身の行いはモラルに反していないか、見つめ直すよい機会になったのかもしれませんね。 取材協力/北周士先生(北・長谷見法律事務所企業・個人を問わず「困難な状況にいる方」がその状況を克服し、さらに先に進んでいくための手助けを担うことを得意とする弁護士。「特にこれから企業を発展させていこうとしている若手経営者及び先代が育て上げた企業を引き継ごうとしている若手経営者の活動をお手伝いする業務に注力しております。」)執筆・取材/アシロ シェア法編集部(シェア法を盛り上げようと日々奮闘中。執筆いただける弁護士先生募集中です。)画像提供/北周士先生【弁護士大量懲戒請求】渦中の北周士弁護士に直撃! 「ネトウヨが問題なのではない」はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【弁護士大量懲戒請求】渦中の北周士弁護士に直撃! 「ネトウヨが問題なのではない」はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月12日ある美容室Aに勤めるNo.2美容師のBさんは、前々から独立志向を持っていました。そんなBさんは、ついに独立開業を決意。美容室を退職します。その際、BさんはA美容室のスタッフに声がけ。呼応した同士とともにA美容室の近隣で独立開業します。さらにBさんは、A美容室の顧客情報を持ち出したようで、A美容室のお客さんが、Bさんの店舗に流れているそうです。A美容室としては、商売上がったりの危機。Bさんに損害賠償請求したいところです。そのようなことは可能なのでしょうか?センチュリー法律事務所の小澤亜季子弁護士に見解を伺いました。 ■損害賠償請求できる?小澤弁護士:「社会的相当性を逸脱した引き抜き行為は、不法行為として損害賠償請求できる可能性があります。例えば、スタッフを一斉にかつ大量に引き抜く場合や、店が倒産する等の虚偽の情報を流して引き抜いた場合には、不法行為が成立しうるといえます。また、Bの持ち出した顧客情報が、不正競争防止法上の「営業秘密」に当たる場合、A美容室は、営業秘密侵害行為によって被った損害の賠償請求ができます。顧客情報が「営業秘密」に該当するためには、その顧客情報を秘密として管理すること、例えば、カードやファイルの場合であれば、マル秘の表記をする、施錠できる場所に保管する必要があります。データの場合であれば、パスワードを設定する等して、従業員の中でも一定の者しかアクセスできないようにすることが必要です。」 ■独立店舗を近隣に出す行為を防止できないの?損害賠償請求は?独立店舗を近隣に出す行為については、違法ではないのでしょうか?小澤弁護士:「Bには「職業選択の自由」があるため、退職後に競合する他店を営むことは、原則として許されます。しかしながら、Bが、違法にAの顧客を奪う等社会通念上許容できない行為を行った場合には、例外的に、損害賠償請求できる可能性があります。Bの行為に違法性があるかどうかは、退職した者の地位、待遇、元の店に及ぼす影響、行為態様、計画性等、諸般の事情が総合考慮されます。」 ■防止策は?このような独立開業や営業データの持ち出しなどを防止するために企業はどのような対策を取ればよいのでしょうか?小澤弁護士:「顧客情報の管理方法を見直す、顧客情報等の秘密保持、退職後の競業禁止、引き抜き禁止について、スタッフから誓約書を提出させるなどの対策が挙げられます」雇っているスタッフが独立開業し、ライバルとなるケースは多々あると聞きます。オーナーとしてはそのような場合を見据えた店舗運営と従業員管理が必要といえるでしょう。 *取材対応修弁護士:センチュリー法律事務所小澤亜季子(依頼者の皆様の不安を少しでも取り除けるように、お気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)従業員がメンバーを引き抜き独立…近所に出店した相手に損害賠償は請求できる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。従業員がメンバーを引き抜き独立…近所に出店した相手に損害賠償は請求できる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月09日新潟県で発生した女子小学生殺害事件は、日本社会に大きな衝撃を与えました。犯人が捕まり、近隣住民には安堵が広がっていますが、残忍な手口と犯行に、怒りの声は収まっていません。そんな怒りの陰で疑問視されたのが、メディアの取材方法。警察が捜査を行っている際、現地を訪れたマスコミが深夜に近隣住民宅のインターフォンを鳴らし話を聞く、了解なしにマイクを向けるなどしたとして、住民から苦情が寄せられました。事態を受けた新潟市は、市長が限定的な取材を行うよう申し入れましたが、受け入れられたか否かについては、微妙なところでした。 ■メディアの過剰取材が問題化メディアの過剰取材は社会問題化しています。日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題でも、監督やコーチへのしつこい取材や、関係のない家族へのインタビュー、さらには関係ない学生にマイクを向けるなど、やりたい放題の印象です。このようなメディアによる乱暴とも思える取材手法は、違法にならないのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。 ■あまりにもひどい場合は損害賠償請求も可能冨本弁護士:「あまりにも酷い場合侵害の態様、程度が社会的に許容しうる一定の限界を超えますので、不法行為(民法90条)であるとしてメディアに対し損害賠償を求めることができると考えます。メディアの報道は、国民の「知る権利」に奉仕し、メディアの取材の自由も表現の自由を保障した憲法21条の精神から十分尊重に値すると考えられてはいます(博多駅事件最高裁決定)。しかし、こうした十分尊重に値する取材も、他人の私生活の平穏・名誉・プライバシー等を侵害すれば違法になり得ます。」やはりあまりにも酷い場合は、損害賠償を請求することができるようです。 ■失礼な取材を受けた場合どうしたらいい?自分が取材対象になってしまう可能性は、誰もが持っています。仮にメディアから失礼な取材を受けた場合、どのようにして被害を訴えていけばよいのでしょうか?冨本弁護士:「メディア対一般人(私人間)の問題ですが、こうした私人間でも、一方の社会的に許容しうる限度を超える侵害に対しては、不法行為等の規定によって保護を図るという方法があります(三菱樹脂事件最高裁判決)。連日被害を受けているような場合、いつ誰からどういった被害を受けたかについて日記にまとめ、録音・録画することによって証拠にしておき、弁護士に相談されるとよいでしょう。」国民の知る権利に奉仕する存在とされるマスメディアですが、過剰な取材は違法になりえます。仮にそのような行為にあってしまった場合は、証拠を残した上で然るべき機関や弁護士に相談してみましょう。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)深夜にマスコミの取材依頼…過剰な取材に違法性はないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。深夜にマスコミの取材依頼…過剰な取材に違法性はないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月08日セックスはいつも性病に感染するリスクと隣り合わせ。でも、信頼する恋人が相手だと、ついつい油断してしまうこともありますよね。恋人としか関係を持っていないのに、性病にかかったら…そのショックは大きいものでしょう。心も体も傷ついて、100年の恋も冷めるどころか、憎しみまで生まれてしまうかも。「訴えてやる!」と言いたくなるのも当然でしょう。では、実際に慰謝料を請求することはできるのでしょうか? ■性病をうつしたら犯罪?性病に感染していると自覚しながらセックスをし、その結果相手に性病をうつした場合、厳密に考えていくと、刑事法上は傷害罪に該当する可能性があります。これは、15年以下の懲役または50万円以下の罰金と、決して軽いとは言えない罪ですが、実際にこれで起訴に至ることは考えにくいでしょう。そもそも、いわゆる強姦(正確には強制性交等罪)ではなく、双方が同意したうえでそのような行為に及んでいるのであれば、これを罪として処理されることはまれなのです。もちろん、自覚をしていない状態で性病をうつしてしまった場合は、傷害罪のような故意犯ではなく、過失傷害罪が成立し、30万円以下の罰金を受ける可能性はありますが、これも傷害罪同様、可能性としては低いでしょう。現に起訴されたケースは聞きません。ただし、以下のようなものは存在するのでご紹介しておきます。2014年に、エイズウイルス(HIV)に感染していると自覚していた男が5人の女性を強姦したという事件です。参考: 「エイズ感染」告知後に5人をレイプ 失意が生んだ戦慄の犯行手口(週刊現代)エイズウイルス(HIV)に感染したことで自暴自棄になったことで及んだ犯行だと言っていますが、あまりにも卑劣でショッキングな犯行。結局男は強姦罪(現 強制性交等罪)などの罪が成立し、情状を考慮しても懲役23年の実刑と判断されました。ただし、単に性病であることを知りながら性行為をしていたというより、強姦致傷、住居侵入、窃盗など悪質な行為を何件も行っていたことが判断の肝にあると言えるでしょう。以下で説明していくように、このような事件は、金銭賠償で解決されることがほとんどであるといえます。 ■性病をうつされた場合の慰謝料?そもそも、一口に性病と言っても、症状の軽いものから重いものまでさまざま。それに応じて、治療にかかるお金や期間も変わってきます。当然ながら、慰謝料の金額も大きく変動します。一生完治しない病気もあるわけですから。医学上、女性が性病に感染した場合不妊につながるリスクも。うつされた病気が原因で不妊になった場合は慰謝料が高額になることもあるでしょう。ですので、単純に慰謝料金額は?と言われても「ケース・バイ・ケース」としか答えようがないのです。ただしそれでも、過去の裁判例などは参考になるでしょう。たとえば、東京地裁において平成28年 6月29日に下された判決。インターネット上の婚活サイトに会員登録した原告が、同サイトで独身(未婚)として会員登録していた被告と知り合って多数回にわたって性交を伴う交際をしたところ、被告から同交際中にクラミジア(本件性病)をうつされ、かつ、同交際終了後、被告が既婚者であることが判明したなどとして、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案。原告は、被告から本件性病をうつされたと認められるとするとともに、被告は、故意に自らを独身者と偽ることによって原告を欺いて本件交際をしたと認められるとした上で、被告が原告に本件性病を感染させたことについての慰謝料額を30万円、被告が原告の性的自由を侵害したことについての慰謝料額を40万円と認定したほか、弁護士費用7万円も相当因果関係のある損害と認めて、請求を一部認容した事例があります。請求金額としては300万円であったようですが、一定の慰謝料を認容しているケースと指摘できるでしょう。 ■慰謝料を請求するには?まず、医師の診断を受け、診断書をもらうこと。これで損害部分は立証ができましょう。問題は、因果関係です。というのは、その人が原因となり、性病に感染したという結果が生じたと即断できる領域の問題ではないからです。とはいえ、交渉で話がまとまらなければ、裁判となります。そもそも、慰謝料を請求するには、うつした人(加害者)がうつされた人(被害者)にうつしたことを立証する必要があります。仮に、しかし、その人としか性行為をしていないとしても、性病にかかった帰責性は、被告にある、また、もっぱら被告にあることを確実に証明することはとても難しいでしょう。そこで、「性病にかかったみたい…。」といった内容のメールやLINEが残っていれば、その証拠をもって、弁護士に相談してみるのもいいでしょう。弁護士は、今ある証拠を元に証明することを得意としていますので、きっと力になってくれるはずです。 ■風俗店でうつされた場合は?風俗店であっても、同様に傷害罪・過失傷害罪の成立する法律上では可能性はあります。慰謝料請求をすることもありえるといえばありえるのでしょうが、風俗店を利用する、ということは、性病にかかるリスクがある、ということを踏まえて利用しているとみられるでしょう。ここでは、仮に慰謝料を請求したとしても、過失相殺(どちらにも過失がある)としてなる可能性も指摘すべきです。ほかにも、加害者を特定する、また、すでに指摘した因果関係を立証するのは極めて困難でしょう。「泣き寝入りではないか」と相談を受けたことはありますが、もう一つ指摘すべきこととして、これを請求することによって当該業態を利用した性交渉の事実が明るみになり、たとえば離婚問題などの紛争に拡大してしまうリスクがあることは認識しておく必要があります。 ■まとめもし、性病をうつされてしまったら、その相手を罪に問う…ということは難しいとしても、慰謝料の請求はできるようです。不特定多数の人と性行為をしたり、風俗店でサービスを受けたりすると、当然ながら性病に感染するリスクが格段に上がるといわざるをえません。「風俗は浮気じゃない!」と考える人もいるかもしれませんが、それを浮気としないとしても、大切な恋人に性病を移すリスクがあるということは理解しておくべきでしょう。もしうつされてしまったら、泣き寝入りする必要はありません。まずは弁護士に相談してみましょう。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:アシロ シェア法編集部(シェア法を盛り上げようと奮闘中。監修・執筆いただける弁護士先生大募集中です。シェア法ライターも募集中。)*画像はイメージです(pixta) パートナーから性病をうつされた…相手を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。パートナーから性病をうつされた…相手を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月31日営業マンに必須なものは色々とありますよね。「車」もその1つではないでしょうか。鉄道など公共交通機関が整備されていない地域もあるだけに、日々自動車で移動している人が多数かもしれません。そんな営業車ですが、当然「事故のリスク」はつきもの。人身事故は稀であると思いますが、車庫入れの際に壁にぶつけてしまう、擦ってしまうなどすることは多々あります。その場合の修繕費は、会社が持つべきなのでしょうか?それとも給与天引きなどで、社員が支払うべきなのか。法的にどうするのが妥当なのか、センチュリー法律事務所の佐藤宏和弁護士に伺いました。 ■さまざまな事情を考慮して決定される佐藤弁護士:「社員が営業車を傷つけたことで会社に修理費用が発生した場合で、保険でカバーできない場合にどうするか、ということですね。直感的に考えられるのは、仕事中に起きた事故なのだから損害を賠償する必要がないのではない、という考え方、もう1つは、仕事中とはいえ社用車を傷つけた社員とそうでない社員がまったく同じ扱いにはならない、という考え方でしょう。結論的には、過失の程度、つまり不注意がどれくらいあったかなどのさまざまな事情を考慮して、修理費用の一部を負担することになる可能性があると考えられます。これを法律的に言うと、社員が不法行為(民法709条)によって損害賠償責任を負うことはあるとしても、会社は社用車を使って社員に仕事をさせることで利益を得ているわけですから、報償責任を負うものとして、信義則上、その一部しか賠償請求できないということになります。判例では、急停止した先行者に前方不注意等の過失により営業車を追突させた事案で、『使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる』と、諸般の事情を考慮して、『使用者は、信義則上、右損害のうち4分の1を限度として、被用者に対し、賠償及び求償を請求しうるにすぎない』としたケース(最判昭和51年7月8日茨城石炭商事件)があります」 ■損害賠償責任を考えることもできる佐藤弁護士:「法律論として、もう1つの考え方は、社員と会社は労働契約を結んでいることから、労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償責任(民法415条)を考えることもできます。この場合、労働契約上、業務命令に基づく労務の過程で生じた事故であれば、一定のリスクがあるのは当然だから、単なる過失に過ぎない場合は労働者の責任は制限されるべきという考え方もあります。上記の最高裁判例はやや古い事案ですが、最近の下級審裁判例では、このような責任制限の論理を用いて労働者の責任を1割と認定したケース(東京地判平成17年7月12日労判899号47頁)もあります。いずれにしても、個別具体的な事情に即して、妥当とされる責任割合が認定されることになると考えられます」 過失・不注意の程度によって、「どちらが払うか」が変わってくるようですね。 ■原則として就業規則が優先される佐藤弁護士:「就業規則に特別な規定があれば、それは労働契約の一部を構成するため、その規定の内容が不合理であるなどの事情がない限り、当該規定に基づいて判断することになると思われます。ちなみに、労働基準法24条1項に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」という『賃金全額払いの原則』があり、原則として賃金との間で相殺することはできません。ただし、『法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる』と、あるとおり、就業規則に規定がある場合や本人の同意がある場合は、賃金との相殺も認められます。」 就業規則に規定がある場合は、その規定に則って行動することになるようです。 ■自家用車を営業車にしている場合は?それでは自家用車を営業車として使い、傷をつけてしまった場合はどうでしょうか?佐藤弁護士:「上の問題は、会社が社員に損害賠償責任を追及できるかというものでしたが、この問題は、社員が会社に損害賠償責任を追及できるかというものになります。直感的には、会社の仕事で自分の車が傷ついたのだから、ある程度費用を負担してくれないか、という考え方があるということでしょう。この場合、どういう法律的な理屈で責任追及するのか、ということが問題になります。仮に会社が不法行為(民法709条)を行ったとするなら、会社の過失が必要になりますが、会社が社員の車を傷つけないよう注意を払うべきなのにこれを怠った、と言える必要があります。また、会社が労働契約上の債務不履行(民法415条)を行ったとするなら、会社が義務に違反した事実が必要になります。もっとも、上の問題と同様に、就業規則に特別な規定があれば、当該規定に基づいて判断することになると思われます。自家用車を営業用に使用することが一般的に行われる会社などでは、就業規則に規定が存在する場合も考えられるため、原則として就業規則上の規定に従って判断することになると思われます」 会社用・自家用に限らず、就業規則の規定に従うことが原則で、それがない場合は傷をつけた際の状況などを判断した上で決定されるとのこと。営業車を使っている人でも、意外と事故や傷をつけた場合の取り扱いがどうなっているか知らない場合も多いと聞きます。伝聞ではなく、就業規則をしっかりと確認するようにしましょう。 *取材協力弁護士:センチュリー法律事務所佐藤 宏和(東京弁護士会所属。米国公認会計士(未登録)の資格所持。不当解雇や残業代請求などの労働問題を得意とする。業務内容や社内の力関係を理解し、膨大な事実の中から法律上意味のある事実を見つけ出し、事件をスピード解決へと導くことに重きを置いています。) *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)営業車を傷つけてしまった!社員が修理費用を支払うべき?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。営業車を傷つけてしまった!社員が修理費用を支払うべき?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月30日医療従事者はミスが許されないものですが、やはり人間であるだけに、重大な病気などを「見落としてしまう」ことがあります。昨今は「セカンドオピニオン」も行われていますが、浸透しているとは言い難い状況。1人の医師から出された「重大な病気ではない」診察結果を信じ、「大丈夫だ」と感じていたが症状が改善せず、別の病院に行ってみると重篤な病気だった、ということも残念ながら発生しているようです。病気を発見できず、症状の進行を招いた場合、「見過ごした医師」に損害賠償などを請求することはできるのでしょうか? Q.病気を医師に見過ごされ、別の病院に行ったら発覚…発見できなかった医師を訴えることはできる?A.提訴には十分な事前調査が必要一口に「見過ごした」といっても、「単純な見落としなのか」「検査時に発見が難しい状況だったのか」など、そのときの「状況」を慎重に検討する必要があります。当時のカルテを取り寄せ、医療に詳しい弁護士と話し合い、そして第三者の医師に意見を聞くなど、広く情報(証拠)を集めたうえで提訴に踏み切ることを検討します。勝訴する為には、見落としについて医師に「過失」があったことを、訴える患者側が立証しなければなりません。「見落としがあったから即訴える」とはいかず、その医師が見落としてしまった原因を、集めた情報(証拠)によりしっかりと事前調査する必要があります。そのうえで、提訴が妥当であるかを判断することになります。「どうしても提訴したい」という場合、まずは医療問題を多く取り扱う弁護士に相談することをおすすめします。 *監修弁護士:若井 亮(不動法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta) 重大な病気を見過ごされた…医師を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。重大な病気を見過ごされた…医師を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月29日自転車保険の加入を義務付ける自治体が増えています。子どもの運転する自転車が死亡事故を起こし、数千万円の賠償金支払いが命じられたケースもあり、子を持つ親としては注目せざるを得ない話題ですよね。そこで、なぜ自転車保険の加入義務化が進んでいるのか、ファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんにお話を伺いました。「自転車保険」でなくてもいい?義務化に対応する保険とは自動車保険にくらべて、未だ耳に新しい感じもする自転車保険ですが、そもそもこれはどのようなものなのでしょうか?「『自転車保険の義務化』という言葉に注目が集まっているものの、実は自治体が義務化してまで推奨しているのは、他人にケガをさせたり、物を壊したりなどで与えた損害を補償するための『個人賠償責任保険』に限られています。そして『自転車保険』は、この個人賠償責任保険と、自分のケガの治療費、死亡を補償してくれる『傷害保険』をセットにして自転車ユーザー向けに保険会社が販売しているものなのです。義務化に対応するために加入する場合であっても、必ずしも『自転車保険』と名のついたものでなくて構いません」なるほど。一律で「自転車保険」とは言われていることには、わかりやすさ優先の側面があるようです。※この記事では便宜上、義務化に関わる保険を「自転車保険」と書いています。ちなみに個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険などの特約になっていたり、クレジットカードに付帯していることもあるので(しかも適用は家族全員!)、忘れているだけで実は加入済みというケースも多いようです。あわてて加入する前に、現在の加入保険の状況を確認するべきでしょうね。自転車保険の義務化が進んでいる理由では、その自転車保険の義務化が進んでいる理由は何でしょうか?「小学生が起こしてしまった自転車事故で、9000万円を超える賠償金の支払いが命じられたというニュースが記憶に新しい方も多いでしょう。自治体が加入義務化に関心を高めている背景には、こうした自転車側が加害者となり、高額の賠償金が命じられる判例が増えていることがあります。お子様がこのような事故を起こしてしまうことは想像したくないかもしれませんが、この賠償責任は未成年といえども免れることができません。数千万円という高額な損害賠償額となった場合、加害者側に支払い能力がなければ、現実的にはどうにもならない面もありますので、被害者救済の面から『自転車保険』への関心はますます高まっていくのではないでしょうか」なお現在、義務化されている府県は現在(平成30年4月1日時点)のところ大阪府、滋賀県、兵庫県、鹿児島、京都府、埼玉県の1府、5県。ほか名古屋市や、金沢市などのように県単位ではなく市レベルでの義務化となっている地域や、義務化の前段階にある地域もあります。温度感に違いこそあれ、いずれ自転車保険の加入を推進していく流れは変わりません。自動車に乗るなら自動車保険に入っていないと非常識。自転車に乗るときも自転車保険に入っていないと非常識、そう言われる日も遠くないでしょう。(文・宇都宮雅之)
2018年05月27日TOKIOの山口達也氏が女子高生を自宅に招き、わいせつ行為を働いた事件は、世の中に大きな衝撃を与えました。山口氏は事務所を契約解除となりましたが、ほかのメンバーも事件後記者会見を開き、謝罪しています。本来直接的な責任がない4人が謝罪する必要はないと思われるのですが、彼らは取材陣に頭を下げることになりました。その理由は、一緒のグループに所属していながら罪を防げなかったなどの「連帯責任がある」からとのこと。5月13日に放送された『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)でも関係者に謝罪する様子が放映されており、メンバーは「お詫び行脚」となっているようです。 ■議論になる「連帯責任」のあり方企業でも社員が犯罪などの不祥事を起こした場合、まったく関係ない社員にも「連帯責任」が波及し、減給などの処分になることがまれにあるようです。また、スポーツ部が活動を自粛することもあります。このような連帯責任は法的に見て「しなければいけない行為」なのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きしました。 ■連帯責任はとるべきなのか?「法律上、連帯責任は、契約がある場合や共同して不法行為をしてしまった場合に限定されています。もちろん、会社の役員が会社に対して損害賠償義務を負う場合の責任では、連帯責任を問われることはありますが、たとえば強制わいせつ罪などの罪が、連帯責任に波及することは基本的にはありません。ただし、たとえば、強制わいせつ罪が成立しやすくなるよう、助けてしまった、ですとか、その場に一緒にいた、という場合には、幇助という形で関与した者として、罪に問われたり、損害賠償義務を負うことはあり得ます」(齋藤弁護士)やはり直接的に関与しておらず、特段契約を交わしていない場合、連帯責任を問われる可能性は低いようです。 ■連帯責任で処分を受ける行為は?「連帯責任」として会社から処分などを受ける行為についてはどうでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士に聞いてみると…「法律上は、ありません。しかし、TOKIOのメンバーは一体感が強く、他のメンバーの責任は一緒に取りたい意思があるのでしょう。法律上の当然の義務ではなくても、一緒に謝辞を示すことはあると思いますし、一緒に謝罪の意思を示すことはあり得ます。少なくとも、義務がないんだからやらない、などの投げやりな態度ではないことが理解できますね」(齋藤弁護士) ■処分を受けてしまった場合は?それでは仮に会社から「連帯責任」として減給などの処分を強要された場合どのような対応を取れば良いのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士に再度確認してみました。「これは法律上の根拠がない、一方的な不利益処分の可能性が高いので、争うことはできるでしょう。ただし、一定の合意をしてしまった場合には別になります」(齋藤弁護士)ケース・バイ・ケースではありますが、基本的に「連帯責任」と称して関係ないと思われる人間を処分することはできません。仮に連帯責任による処分を強要された場合は、その場で受け入れず、明確に拒否したうえで対応を協議しましょう。*取材対応弁護士/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。) *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)TOKIOの「連帯責任」…取る必要があったの?法的見解で解説!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。TOKIOの「連帯責任」…取る必要があったの?法的見解で解説!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月22日■ATMコーナーはこの撮影用に制作したオリジナルのセットです。実在するものではありません。イメージ写真です。5月1日、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が合併し、「きらぼし銀行」が発足。行員は気分新たに業務を開始させました。ところが、蓋を開けてみると、旧新銀行東京の店舗でキャッシュカードが利用できない、旧八千代銀行のATMで一部の振り込みができないなどのトラブルが発生。15時頃には復旧しましたが、なんとも幸先の悪いスタートとなりました。なかには、影響を受けた利用者もいたことでしょう。 ■原因はプログラムミス?一連のシステム障害ですが、プログラムミスが原因だった可能性が高い模様。システムは人間が作るものですから、どうしても不具合は発生してしまうもの。開発会社としては、ある種致し方ない部分があります。しかし、お金を支払う側にしてみれば、当然約束した期日にシステム障害が発生するのは納得がいかず、損害賠償を請求したくなるのは当然ではないでしょうか。はたして請求することはできるのでしょうか。パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解をお伺いしました。 ■損害賠償を請求できる?「毎日新聞平成30年5月1日付「きらぼし銀行復旧システム障害で1万6000件に影響」によれば,「合併に伴って旧八千代銀の送金に使うシステムを修正した際、不具合が生じた可能性がある」、「今回のきらぼし銀行のシステムトラブルもプログラムミスが原因とみられる」とあります。きらぼし銀行のシステムトラブルが、報道でいわれているような「プログラムミス」に起因するものなのかどうかは、今後の調査をまたなければ分かりません。仮にシステムが納入・検収され、実際に稼働を開始した後になって、プログラムの不具合(いわゆる「バグ」)が原因で(発注者側の)想定したとおりにシステムが稼働しないという問題が生じた(判明した)場合には、一般に、「瑕疵担保責任」(民法570条。同559条で他の有償契約について準用)の問題として扱われることになります。」(櫻町弁護士) ■瑕疵担保責任とは?「ここで瑕疵担保責任にいう「瑕疵」とは、契約の目的物が(その種類のものとして)通常有すべき品質・性能を有していない状態をいうものとされています。ただし、裁判例においては開発されたシステムに「バグ」がある場合に、ただちに「瑕疵にあたる」とされている訳ではありません。例えば、東京地方裁判所平成9年2月18日判決(判タ964号172頁)は、「いわゆるオーダーメイドのコンピューターソフトのプログラムで、本件システムにおいて予定されているような作業を処理するためのものであれば、人手によって創造される演算指示が膨大なものとなり、人の注意力には限界があることから、総ステップ数に対比すると確率的には極めて低い率といえるが、プログラムにバグが生じることは避けられず、その中には、通常の開発態勢におけるチェックでは補修しきれず、検収後システムを本稼働させる中で初めて発現するバグもありうるのである。(略)顧客としては、そのような既成ソフトのない分野についてコンピューター化による事務の合理化を図る必要がある場合には、構築しようとするシステムの規模及び内容によっては、一定のバグの混入も承知してかからなければならないものといえる。」として,(システムの規模及び内容によっては)一定のバグが生じることを前提に,「コンピューターシステムの構築後検収を終え、本稼働態勢となった後に、プログラムにいわゆるバグがあることが発見された場合においても、プログラム納入者が不具合発生の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終え、又はユーザーと協議の上相当と認める代替措置を講じたときは、右バグの存在をもってプログラムの欠陥(瑕疵)と評価することはできないものというべきである。これに対して、バグといえども、システムの機能に軽微とはいえない支障を生じさせる上、遅滞なく補修することができないものであり、又はその数が著しく多く、しかも順次発現してシステムの稼働に支障が生じるような場合には、プログラムに欠陥(瑕疵)があるものといわなければならない」として,「不具合発生の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終えること」ができたときや、「ユーザーと協議の上相当と認める代替措置を講じたとき」には,バグがあったとしても瑕疵と評価することはできない,と判示しています。また,東京地方裁判所平成25年5月28日判決(判タ1416号234頁)も、「一般に,コンピュータソフトのプログラムには不具合・障害があり得るもので,完成,納入後に不具合・障害が一定程度発生した場合でも,その指摘を受けた後遅滞なく補修ができるならば,瑕疵とはいえない。しかし,その不具合・障害が軽微とは言い難いものがある上に,その数が多く,しかも順次発現してシステムの稼働に支障が生ずるような場合には,システムに欠陥(瑕疵)があるといわなければならない。」と、一定程度のプログラムの不具合・障害の発生を前提としてそれらが「遅滞なく補修ができる」ときは、瑕疵にはあたらないと判示しています。したがって、システム構築を発注した側がシステム会社に損害賠償請求をすることができるかどうかは、バグが遅滞なく補修できるかどうか、システムの稼働に支障が生じるかどうか、といった観点から判断されるということになるでしょう」(櫻町弁護士)※なお,2017年5月に成立し,2020年4月に施行予定の改正民法(平成29年法律第44号)においては、瑕疵担保責任という概念に代えて、「契約不適合責任」という概念が採用され、代金減額請求権が認められるなどの変更がありますので注意が必要です。 今回のようにシステムトラブルによって営業に支障をきたすことは多々あります。そのようなとき、損害賠償を請求ができるか否かについては、トラブルの度合いによるようです。大規模なシステム改修が入るときは、予め「障害が発生した場合」の対応について、決めておくとよいかも知れませんね。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)きらぼし銀行の発足初日にシステム障害…発注側は損害賠償を請求できる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。きらぼし銀行の発足初日にシステム障害…発注側は損害賠償を請求できる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月18日テレビには芸能人や著名人だけでなく、一般の人が映っていることがあります。取材を受けて応じている場合もありますが、「取材は受けない!」と断っている姿が放映されていることもあります。取材を断ったにも関わらずその姿を放映するのはアリなのでしょうか?琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士にお聞きしました。プライバシー権や肖像権を侵害されたか?テレビ取材を断ったのに勝手に撮影され、放映された。こんな時、慰謝料や損害賠償請求はできますか?川浪弁護士「撮影態様が社会的に受忍すべき限度を超えたものであれば、肖像権侵害やプライバシー権侵害を理由に損害賠償を請求することができます。社会的に受忍すべき限度を超えたかどうかは、撮影内容、撮影場所、撮影された人の社会的地位、撮影方法、撮影の必要性、撮影者の意向等の事情を総合して判断されます。」いわゆる「プライバシー権」や「肖像権」について明確に規定した法律は、日本には存在しません。しかし、これらの権利が侵害された場合に不法行為に基づく損害賠償請求を認めた判例があるそうです。川浪弁護士「実際に、テレビ番組の生中継において廃棄物等の収集に従事している様子を無断で放送した行為が肖像に関する人格的利益やプライバシーの侵害にあたるとして損害賠償請求をした事件において、テレビ局に対し、120万円の損害賠償請求を認めた事例もあります(東京地裁平成21年2月17日判決)。」また、放映・公表されそうになった場合には、事前に差し止め請求ができます。とはいえ、憲法で定められた表現の自由や報道の自由と衝突するため、厳格な要件が必要となるそうです。それでは、街中や店内にいるところなどを無断で撮影され、放映された場合はどうでしょうか?川浪弁護士「ケースバイケースです。中継中に偶然写り込んだような場合には何の中継中なのか、映像はどの程度鮮明なのか(個人を特定できる程度なのか)等の事情によりますが、損害賠償請求は認められにくいでしょう。他方で、自宅内にいるところを無断で撮影された場合には、プライバシー侵害の程度が高く、無許可で放映すると損害賠償請求が認められる可能性は高いといえます。」 写真でもプライバシー権や肖像権はある映像ではなく写真がテレビ放映されたり、出版物に掲載されたり、展示された場合は、慰謝料や損害賠償を請求できますか?川浪弁護士「上記と同様にその放映や掲載が受忍限度を超えた場合には、不法行為に基づき損害賠償請求をすることができます。裁判例で、街中を歩く一般人の写真(胸元に大きく赤字でSEXとデザインされた衣服を着用)を無断で撮影しファッションサイトに掲載した行為が肖像権侵害にあたるとして損害賠償請求が認めたものがあります(東京地裁平成17年9月27日)。」 重大性や社会的関心によって変わるプライバシー権や肖像権がどこまで認められるかは、一般市民と公人・芸能人などで違いがありますか?川浪弁護士「芸能人・公人についても、肖像権やプライバシー権が認められますが、特有の事情は考慮されます。(なお、芸能人等については氏名や肖像が経済的価値を有する場合があり、その場合にはその経済的価値をコントロールする権利としてパブリシティ権が問題となりますが、ここでは割愛します。)語弊を恐れずにいえば、著名人になる道を選択したのだから、世間の注目を浴び、ある程度プライベートが晒されてしまうことについては、自分でも分っていたはずでしょう、ということです。いわゆる有名税みたいな考え方ですね。ただし、著名人だからといってなんでも晒されていいわけではありません。例えば、ジャニーズ事務所所属タレントの自宅の住所を載せた『ジャニーズおっかけマップ・スペシャル』の出版の差し止めを認めた裁判例があります(東京地裁平成10年11月30日判決)。著名人といえども、自らの住所について公表されることまで、承諾しているとは考え難いということですね。」それでは、一般人でも何らかの事件に関わっている疑いを持たれていた場合はどうでしょうか?川浪弁護士「事件の内容、疑いの程度等にもよりますが、例えば、犯罪に関与しているような場合、自己の容ぼうが無断で撮影・放映された場合に被る精神的苦痛は甚大といえます。一方で、一般社会の知る権利に奉仕するため、それを報道すべきともいえます。これらの調整という困難な問題がありますが、事件の重大性から社会的な関心が強いような場合には、肖像権やプライバシー権の侵害は認められにくくなるでしょう。」個人の権利を守るためのプライバシー権や肖像権と、報道の自由や公共の利益。法的にはどちらが上であるとか強いなどとは決まっておらず、それぞれのケースによって検討し、調整されるものなのです。 *取材協力弁護士:琥珀法律事務所川浪 芳聖先生(弁護士の役割は、一言で表すと「法的問題の解決」ですが、依頼者さんにとっては、解決(結果)に至るプロセスも非常に重要だと考えています。依頼者さんの話をじっくり聞いて、丁寧に説明することを心がけています。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。*画像はイメージです(pixta)テレビで勝手に顔出しされていた!肖像権の侵害じゃないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。テレビで勝手に顔出しされていた!肖像権の侵害じゃないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月17日6万作以上の漫画を無料で読める状態にし、月間利用者は1億人とも言われた漫画村。閉鎖はしたものの、漫画村の運営方法や法的解釈、国としての対応など、未だ注目が集まっています。通常、著作権を侵害された者は損害賠償請求ができますが、この巨大サイトの場合、もし損害賠償をしたら一体いくらになるのか?りのは綜合法律事務所の荻原邦夫弁護士にお伺いしました。本当に違法ではないのか?漫画村サイト内では、「他サーバーにアップされた漫画を閲覧させているだけなので違法ではない」「海外運営なので日本の法律は適用されない」と説明されていました。本当にそうなのでしょうか?荻原弁護士「漫画村内のサーバーには画像を保管していないことについてですが、そもそも何をもって漫画村外だと主張しているのか、です。漫画村により管理されているのであれば、それは漫画村内と評価することができます。多量のデータを整然と管理できていることからも、漫画村の関与は推察されてしまうでしょう。また、海外での運営が本当だとしても、その実態が問題になります。実質の運営主体が日本にあるとされることは十分考えられます。また、日本に向けた日本語によるサービスであれば、それをもってそもそも日本で行われていると評価することができる場合もあります。漫画村側は、違法ではないことを主張していますが、それが裁判で認められるのは容易ではないと考えます。」利用しただけでも犯罪になる?法的に問題があるサイトを利用した場合、利用者も罪に問われることはあるのでしょうか?荻原弁護士「利用者の行為は、漫画村のWEBサイトで漫画を見ることですが、いわゆる海賊版ということになり、著作権法違反の問題を考えなければなりません。現在の著作権法では、仮にそれがいわゆる海賊版であるとしても、罰則が適用されるのは、ダウンロードして録音または録画をしたときです。漫画の閲覧だけで利用者に対して著作権法違反を問うことはできません。しかし、広い意味で違法行為への加担と評価する余地がないわけではありません。漫画村を利用することが完全に合法であると言い切ることは難しいです。」漫画村の存在自体もグレー、利用についてもグレーのようですね……。 賠償金は数百億円から数千億円!?もしも漫画村で閲覧可能にされた作品の全著作者が損害賠償請求したら、総額はいくらになりますか?荻原弁護士「損害額は、請求する側が算出する必要があります。漫画村の場合は、単純に物を転売された場合と異なり、複製が容易な著作物を閲覧させるという形態ですので、どのように損害を算定するかを考えなければなりません。ひとつの考え方として、本来であれば売れた商品が売れなくなったというものがあります。今回のケースでいえば、漫画村で閲覧されたものは、本来であれば正当な商品が買って読まれる商機を奪ったということになります。著作権法では、このような考え方により損害額の推定のための規定をいくつか設けています。実際の計算は複雑な部分もありますが、概要、次のいずれかの方法を取ることが可能です。1)侵害者の譲渡等数量×権利者の単位あたりの利益2)侵害者が得た利益3)ライセンス料相当額1)の方法が比較的容易な算出方法でしょう。漫画村への訪問者数が数億ならば、一冊あたりの利益を数百円とすれば、全体で数百億円から数千億円以上の損害額が推定は一応可能になります。もちろん、この金額は、現実の漫画の市場の規模からして大きすぎますので、それだけの損害が実際にあったといえるかという問題はあります。個々の著作権者全員が損害賠償を請求するともいえません。また、損害額が認められたとしても、侵害者側の支払能力がないことも考えられます。漫画村に類似する侵害行為は、今後も生じてくることが考えられます。個別の損害賠償事件としての性質もありますが、コンテンツ産業として、法整備も含めての対策が必要といえます。」著作者全員での損害賠償請求は途方もない金額になってしまいそうです。これが現実的な金額ではない可能性があるとはいえ、利用者の「タダで読めてラッキー」「違法じゃないなら利用してもいいだろう」という軽い気持ちの積み重ねがこの金額に表れているともいえます。漫画などのコンテンツ文化を廃れさせないためには、法整備などの対策とともに著作権に対する国民の意識向上が必要なのではないでしょうか。 *取材協力弁護士:荻原邦夫(りのは綜合法律事務所。刑事事件を主に取り扱っています。お客様に落ち着いていただき、理解していただけるよう対応します。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)*画像はイメージです(pixta)漫画村を全著作者が損害賠償請求したら総額はいくら?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。漫画村を全著作者が損害賠償請求したら総額はいくら?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月14日リアーナを含む元交際相手たちへの暴行など、これまでも様々な事件を起こしてきたクリス・ブラウンが、またしても自らイメージダウンを招いた。クリス宅で女性が監禁され、クリスの友人らに複数回レイプされるという事件が起きたのだ。「The Guardian」紙などが報じた。被害者女性ジェーン・ドウ(英語圏で匿名や身元不明の女性の呼称)の弁護士グロリア・オルレッドによれば、「これは、私が担当した性的暴行事件の中でもあまりにおそろしいものの1つです。クライアントのジェーン・ドウさんは無理やりされた行為のせいでひどいトラウマにさいなまれています」とのこと。事件が起きたのは今年2月23日(現地時間)。クリスの友人でラッパーのヤング・ローとクリスのコンサートで知り合ったジェーンとルームメイトは、公演後スタジオでのアフターパーティーに誘われた。その際、「スタジオ内では使ってほしくない」という理由で携帯電話を取り上げられたそうだ。スタジオツアーの後は、クリスの自宅に招かれたが、そこにはドラッグやアルコールで酔った女性たちがいてジェーンは怖くなってしまった。追い打ちをかけるようにクリスたちは銃を見せびらかして脅し、最終的にジェーンはヤングやグルの女性と性行為させられる結果に。それも、ベッドルームと洗濯室と2つの場所に渡ってレイプされたという。ジェーンはクリス、ヤング、彼らの仲間の女性に対し、損害賠償を請求している。(Hiromi Kaku)
2018年05月11日男性にとって風俗店は一種の癒やしを得ることのできる場所のようですが、勤務する女性にとってはお金を稼ぐ“職場”。当然ながら、出会いなどは、まったく求めていないことがほとんどです。しかしなかには客と勤務者が恋愛関係に発展することがあり、それを期待する男性もいるよう。通常店で連絡先を交換することは禁止行為とされていますが、目をかいくぐり、自分の連絡先を渡す、女性から聞き出すなどしているようです。もちろんそれも自由ではあるのですが、ときにトラブルに発展することもあるとか…。 ■禁止行為で金銭を要求されることも通常連絡先を要求された場合、「禁止行為だから」と断るのが通例。しかし、あまりにしつこい場合、禁止行為として店員に通報されることになります。店は事前に禁止行為をしないよう客に同意をとりますから、違反があれば適切な措置を受けることに。場合によっては罰金と称して高額な金銭を要求されることもあるようです。このような場合、禁止行為を破ったことが事実であれば、金銭を支払わなければならないと思いがち。しかし、実際には、本当に店側の主張通りお金を支払わねばならないのでしょうか? ■金銭を支払う必要がある?前提としてお店などが「罰金」と称するものについては、支払う必要はありません。「罰金」とは刑事罰で、国家が私人に科すものであり、個人が個人に請求できるものではないからです。次に「損害賠償」と称して請求された場合ですが、これはケースバイケースとなります。連絡先を交換することによって「精神的苦痛を受けた」「店が損害を被った」などと主張してくるものと思われますが、これについてはその正当性について吟味が必要です。 ■すぐに支払わず弁護士へ相談を本来連絡先交換など禁止事項として列挙されている行為はしないことが望ましいのですが、仮に行ってしまい金銭を要求された場合は、その場ですぐに金銭を支払わず、専門知識を持つ弁護士に相談することが有効手段になります。警察に相談したとしても民事不介入とされる可能性が高く、あまり意味をなしません。風俗店でのトラブルは口外しづらいことから一人で悩む人も多いと聞きます。そのようなときこそ、トラブルに強い弁護士の力を借りてみましょう。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)風俗嬢に連絡先を渡したら「禁止行為」を指摘され金銭要求…お金を支払う必要はある?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。風俗嬢に連絡先を渡したら「禁止行為」を指摘され金銭要求…お金を支払う必要はある?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月28日Businessman in suit at soccer field kicking ball. Mixed mediaサッカー日本代表をロシアワールドカップ出場に導いたバヒド・ハリルホジッチ監督が、4月に突如日本サッカー協会から解任通告を受けました。成績不振などが主な理由と言われていますが、ハリルホジッチ氏は納得していないようです。そして一部報道では、違約金と慰謝料の請求、また名誉毀損での訴訟なども検討していると言われています。ハリルホジッチ氏の主張は認められるのでしょうか?エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に解説していただきました。 ■違約金や慰謝料の請求はできる?「サッカーW杯も間近に迫る中での今回の電撃解任に、驚かれた方は少なくないと思います。解任に伴う違約金等の支払の可否は、日本サッカー協会と代表監督との間の契約内容がどうなっているのか次第で大きく変わります。まず、解任そのものの有効性ですが、契約上、中途解任ができないような内容になっていれば、解任の有効性自体否定される可能性はあります。しかし、今回の解任劇を見る限り、そのような条項にはなっていないのではないかと考えます。サッカー代表監督の契約は、民法上の準委任契約に該当するものと考えられますが、民法上の準委任契約も、委任者(≒サッカー協会)がいつでも契約を解除することができることが定められています(民法651条1項)次に違約金ですが、そもそも契約違反がなければ、違約という問題にはならないと考えられます。仮に、契約上の解任事由がないにもかかわらず解任されたということであれば、違約金という問題が生じる余地もありますが、先に述べたとおり、契約上協会側はいつでも解除できるとされている可能性が高く、違約は直接的に問題となる可能性は低いものと考えられます。」(大達弁護士) ■違約金でない金銭的請求は?「違約金ではない金銭的請求についてはどうでしょうか。民法上の準委任契約においては、受任者(≒ハリル氏)にとって不利な時期に契約を解除した場合の損害賠償義務が定められており(同条2項)、これに従えばハリル氏は、契約上の在任期間の報酬に相当する金額を請求できる可能性はあると思います。もっとも、同様に、契約上の解任事由に該当するとされ、しかもその解任事由が生じた場合にはサッカー協会が報酬の支払義務を免れると定められているような場合には、請求することは難しくなるでしょう。慰謝料という点について、慰謝料は精神的損害に対する賠償金を意味しますが、解任という行為自体の有効性が否定されるような場合でもない限り、契約上の解任権限を行使されたことのみをもって、精神的損害が生じたと言うことまでは難しいのではないでしょうか。」(大達弁護士) ■名誉棄損に該当する?「名誉棄損とは、公然と事実を摘示して人の社会的評価を低下させる行為を言いますが、刑法上は名誉棄損罪(刑法230条1項)の成立が問題となり、民法上は不法行為(民法709条)の成立が問題となります。ただし、刑法上においては、公共の利害に関するものであって、もっぱら公益を図る目的があったような場合には、真実性の証明による免責が定められており(刑法230条の2)、必ずしも名誉棄損があったからといって罪が成立するわけではありません。また、民法上も、同様の考え方は採用されています。サッカー日本代表監督という立場が必ずしも公共の利害に関するものと言い切れるかについては議論の余地があるかもしれませんが、今回のように選手との信頼関係が損なわれたことや、成績不振などの事実の摘示があったからといって、ただちに名誉棄損として罪が成立したり、民法上の損害賠償請求が認められたりする可能性は決して高くないと考えられます。」(大達弁護士) ■落ち着きどころは?「契約の定めがどうなっているかわからない以上、確たることは言えませんが、双方ともに代理人を立てる場合には、契約上の文言に照らし、双方の言い分を互いに検証することになるでしょう。その上で、自身の主張にどこまでの分があるのかを見極め、交渉による解決を目指すことになると思います。サッカー協会としては、W杯本番直前の段階において、他国に日本代表の情報が流出するリスクをも負うわけですから、場合によっては金銭的決着を見る代わりに、互いに秘密保持義務を課することによってそのリスクを回避するといった解決策も考えられるでしょう。なお、少し場面が異なりますが、数年前に日本自転車競技連盟が日本代表総監督の解任を巡り、訴訟にまで至ったことがありました。この場合には、契約上解任ができないという条項を含んだ契約であったことから、その解任の是非を問い提訴に至ったものと考えられます。今回の件の落ち着きどころはまだ見えてきませんが、日本代表選手たちが心ゆくまでサッカーに打ち込み、よい結果を出せるように、早い段階での解決を心から願うばかりです。」(大達弁護士) 契約内容の詳細が不明なため確実なことは言えませんが、現状判明していることだけを見ると、慰謝料や名誉毀損が認められる可能性は低く、契約上の在任期間に受け取るべき報酬を請求できる可能性は高いようです。このような事態になった以上、ある程度ハリルホジッチ氏のケアをすることも義務といえるのではないでしょうか。日本サッカー協会には適切な対応をとってもらいたいものです。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)解任で慰謝料請求検討のハリルホジッチ前監督…主張は認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。解任で慰謝料請求検討のハリルホジッチ前監督…主張は認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月24日日本中にどれくらいの空き家があるか、ご存知ですか?総務省の統計(平成25年住宅・土地統計調査)によると、総住宅数のうち空き家の占める割合はなんと13.5%。しかも、増加しています。これだけ家が空いているなら勝手に住むこともできるかも…と考えてしまいますが、誰も住んでいなくても家には持ち主がいます。こんな空き家のトラブルについて、不動法律事務所の若井亮弁護士にお聞きしました。勝手に住み着くのは不動産侵奪罪亡くなった親族が残した空き家に誰かが住んでいた。住んでいたのは故人の知り合いで、故人から居住を許されたと言っているが、書類などはなく口約束のようだ。こんなケースの場合、この居住者を何らかの罪に問うことはできますか?若井弁護士「この居住者が権利を有していないのであれば、そこに住み着くことは不動産侵奪罪(刑法235条の2)にあたる可能性があります。ただし、罪を問うことができるのは原則として検察官だけですので、あなたができるのは警察に被害届を出すなど、刑事事件化のきっかけを与えることに留まります。」それではこの居住者を追い出しても問題ありませんか?若井弁護士「完全に所有権を有しているのであれば、追い出すことができます。問題はその手段です。話し合いで出ていってくれるのであればいいのですが、実力行使に出た場合は、民事上の責任として不法行為による損害賠償責任を負う、暴行罪や傷害罪等の刑事上の責任を追う可能性があります。自分が権利者であっても、自力救済禁止の原則という法理により、不穏当な手段は一般的には正当化されないのです。話し合いで出ていってくれない場合は、通常は民事訴訟により立ち退きを迫ることになるでしょう。」持ち主には、もちろん居住者を追い出す権利がありますし、勝手に住み着いた者は刑事罰に問われる可能性もあります。それでも実力行使は避けるべきでしょう。重要なのは誰が所有権を持っているかもし家の元の持ち主である故人がこの居住者に「家をあげる」と一筆残していた場合はどうでしょう?若井弁護士「当事者間、すなわち故人と居住者との間では有効ですが、居住者がそれ以外の第三者に対し、その家に住む権利を主張するには、不動産登記をしなければなりません。したがって有効とは言い難いでしょう。」家の持ち主はあくまでも不動産登記している人。重要なのは誰が登記しているかなのです。ところで、居住者から、住んでいた間の家賃をもらうことはできますか?若井弁護士「家賃はあくまでも契約関係にある者に発生するので、もらうことはできません。しかし、家賃相当額の費用を請求することはできますので、結果的には家賃をもらえるのと同様の結果を得ることができる場合があります。」家の正当な持ち主であれば、故人の意思を問わず居住者を追い出すことも、費用を請求することもできます。家や土地などの不動産を相続した場合、その名義変更には期限が設けられていませんが、後々のトラブルを防ぐには、まずは名義変更をお忘れなく。 *取材協力弁護士:若井 亮(不動法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)空き家に勝手に住み着かれた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。空き家に勝手に住み着かれた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月21日福田財務事務次官が、女性記者にセクハラ発言した問題が話題となっていますね。「おしり触っていい?」「抱きしめていい?」など、女性にとっては聞くに耐えない言葉が飛び交う音声データが公開されました。福田次官は、自身の声か判断できないとしていますが、これが福田次官のものだった場合、当然セクハラ問題として取り上げられるべきものでしょう。しかし、音声データは、福田次官らしき男性の音声のみで、女性記者の音声は公開されていません。結局、辞任を決めた福田次官。不確定な音声データを公開されたとして、公開した雑誌社に対し、名誉毀損として提訴する意向を表明しました。 連日報道されるこの問題、さまざまな憶測を読んでいます。一体誰が言っていることが本当なのか…。間接的にしか把握できない私たちにとって、なんともモヤっとする問題ですよね。 では、法的に見ていくとどのような見解になるのでしょうか? 筆者の疑問を、虎ノ門法律経済事務所齋藤健博弁護士に直撃してみました。 Q.セクハラで訴える、となると、証拠が必須になりますよね。では、被害を訴える女性記者が、福田次官をセクハラとして訴えるとなった場合、今回のように女性記者の音声が伏せられた状態の音声データは証拠として認められるのでしょうか? A.結論から言いますと、証拠になり得ます。しかし、内容が人格侵害に至ったという証拠として価値がある音声であれば、です。もし、女性記者の音声が明らかになったとしても、全体の文脈から考えて、その会話が性的発言を助長するようなものではいなら、そもそもセクハラとして認められない可能性があります。もちろん、ことさら一方的に、女性に申し向けていれば、これはセクハラにはあたるでしょうね。とりいそぎ音声の同一性を争う以上は、これも争点になるとは思いますが。 Q.もし、福田次官の言っていることが事実であれば、女性記者を名誉毀損で訴えた場合、勝訴する見込みはありますか? A.「公務員の地位には公共性あります。公共性とは、国民の税金で運営されている公務員組織が、適切に運営されているのは正当な関心事だとの趣旨です。そうすると、名誉毀損罪が成立する可能性は私人に比較すると低いです。ただ、ことさらな公開の必要性がないなら、損害賠償の余地ありますね。」 Q.批判が殺到している、「女性記者は名乗り出てください」という、財務省の今回の調査。齋藤先生はどのような見解でしょうか? A.「名乗り出ること自体は義務ではありません。調査方法としては、他の効果的な手段が見出せないで困っているという印象を受けますね。」 大きく話題となっている、財務事務次官セクハラ騒動。真実が隠された現状では、どちらに正当性があるのか、判断できませんね。真実はどうであれ、『セクハラ』はセンシティブな問題。日本の社会を担う公人の方々には、国民からの信用を失いような、こういった報道をされないよう、日々十二分に気をつけて過ごしていただきたいものです。 *弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*執筆/シェア法編集部(編集者兼ライター。シャア法を盛り上げようと日々奮闘中。)*画像はイメージです(pixta)財務事務次官のセクハラ騒動について、弁護士に聞いてみた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。財務事務次官のセクハラ騒動について、弁護士に聞いてみた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月20日ラスベガスの裁判所に出廷したデビッド・カッパーフィールド(写真:AP/アフロ) 世界で最も稼げるマジシャン、デビッド・カッパーフィールド(61)が苦境に立たされている。 2013年、MGMグランドホテルで行われたショーに観客として来場していた英国人男性ギャヴィン・コックスが、カッパーフィールドのトリックによって身体と脳に損傷を負ったと主張し、損害賠償を求めてカッパーフィールドを訴えたのだ。 17日の公判では、カッパーフィールドの友人でショーのエグゼクティブ・プロデューサーを務めるクリス・ケナーが出廷。ステージに上げた観客を消し、会場の後方に再び出現させるという有名なマジックのトリックを、陪審員に向けて事細かに解説することを強いられた。 ランダムに選ばれた観客は、懐中電灯を持った舞台係の誘導に従って暗いカーテンに覆われた隠し通路を急いで通り抜けるよう言われる。この通路はホテルの外やキッチンにも通じており、会場の後方まで続いている。そして、クライマックスの瞬間に合わせて観客を登場させるという、意外とシンプルなトリックだった。コックスは、この通路を走っているときに転んで負傷し、これまでに40万ドルの治療費がかかったと主張している。 コックスの弁護士は、この通路が非常に暗かった上にホテルが工事中であったこと、そして、事前に足元の危険を知らされなかった点を指摘。これに対し、MGMグランドの弁護士は「コックスが通る10分前にカッパーフィールドも同じ通路を歩いたが、全く危険はなかった」と反論。カッパーフィールドの弁護団も、コックスのケガとトリックには一切の関連はないとしている。公判の行方は、また後日お伝えする。
2018年04月19日■漫画村は違法ではないの?漫画村は、日本国内の漫画が不正にアップロードされていたサイト。漫画の作者や販売会社がその著作権を違法に侵害されたものと主張していました。日本国内で公開・販売されている漫画は著作物に該当するため、著作権法に基づく保護を受けます。作者が漫画村のようなサイトに掲載することを許可している場合は別ですが、していない場合は著作権侵害になりえるのです。サイト運営者が特定できた場合、実はその責任は重くその人物は最高で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられることになります。また、それが法人の場合は3億円以下の罰金もありえます。あまりにも著作権者の利益を侵害する行為態様で、実際の損害が大きい場合には、かなり重い処分も想定されます。また、このほかに損害賠償請求を受ける可能性もあります。いずれにしても、漫画村は違法である可能性が極めて高く、その存在が疑問視され続けてきました。 ■なぜ存続していたのか?違法性が指摘されてきた漫画村がなぜ存続していたのか。その理由は運営者が海外にサーバーを置いていることを理由に、「日本の法律適用範囲外」と主張していたことにあります。これは国際私法のという領域の問題なのですが、要は、日本の法律が適用されずに済むのだ、という主張です。また、漫画村は違法性の指摘について「漫画村自身は違法アップロードしているわけではなく、ウェブ上に存在している画像データを参照しているだけだから違法性はない」としてきました。そうすると、実際に著作権を侵害されたことが明白であるにもかかわらず、作者は訴えようにも運営者の実態がつかめないこと、費用がかかることなどから泣き寝入り状態となっていたようです。ただし漫画作者もこの状況に辟易としており、「サイトをブロックできないか」と国内プロバイダに要請する準備していたと報じられています。 ■違法であることには変わりなしサーバーが海外にあったとしても、日本の著作物を違法にアップロードしている行為は明らかに違法。そして、「画像データを参照しているだけ」という主張についても、許諾なく著作権が認められる以下の三要素を満たしているとは思えません。①公表された著作物であること②公正な慣行に合致すること③目的が正当な範囲にあること しかも、「参照」というのであれば、著作権法上要求される引用の要件を検討する必要もありましょう。しかし、下記の要件も満たしていないものと思われます。①引用された部分が明確であること(明瞭区別性)②引用する側が「主」で,引用される側が「従」といえる関係にあること(主従関係性)したがって、漫画村の存在は、すべてが「違法」である可能性が極めて高いと言えます。漫画村が本当に閉鎖されたのかどうかについては今後の推移を見守る必要がありますが、作者と運営会社に多大な損害を与えたのは事実といわざるをえません。まずは、運営者を特定したうえで、日本のクリエイターの利益を保護すべく、法的措置が講じられることもひとつの解決方法なのではないでしょうか。 *弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています【弁護士監修】漫画村がついに閉鎖?その違法性について検証してみたはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【弁護士監修】漫画村がついに閉鎖?その違法性について検証してみたはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月11日4月9日、愛媛県の松山刑務所から27歳の男性受刑者が脱走。付近の民家に押し入り財布と自動車を盗み、広島県尾道市に逃げ込んだ模様です。10日現在犯人は捕まっておらず、広島・愛媛両県警が捜査員を大量に動員し、行方を追っています。今回刑務所の失態で受刑者を脱走させてしまい、犯罪被害者を出してしまったことになります。そうなると、被害を受けた側としては、当然刑務所やそれを管理する国に損害賠償を求めたいところ。そのようなことは可能なのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博先生に伺いました。Q.刑務所の失態で脱走した受刑者に犯罪被害…損害賠償を求めることはできる? A.国家賠償請求をできる可能性があります国家賠償法『第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる』これは、国も不法行為責任を負い、損害賠償義務を負う根拠となるものなのです。ただし、国賠請求するには、実際に管理していた公務員の水準においても、損害を発生させることについて故意または過失が認められる必要があるのです(これを専門用語で職務行為基準説といいます)。本件では、刑務所の施設の現実的な管理方法ですとか、実際執務にあたっていた公務員の管理の内容などが争点となるでしょう。また、実際に生じてしまった損害との因果関係も争われるでしょう。たとえば、近隣の飲食店が損害を主張しても、しっかり公務員が管理していれば、損害は発生しなかったんだとの因果関係を肯定できなければなりません。実は、管理をしていた公務員個人に対しては原則として責任追及ができません。これを認めてしまうと、公務の委縮を招いてしまうからです。ともあれ、今回のような刑務所からの『脱走者』は、怖い存在ですよね。管理側の請求をするにはハードルがありますが、あきらかにこれによって損害が生じたのであれば、国への賠償請求も視野に入るでしょう。刑務所関係者には脱走者をこれ以上出さないようしっかりと管理してもらい、国には被害に遭われた方に対する謝罪と賠償をしっかりと行ってもらいたいものですね。(齋藤先生) *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*弁護士監修・執筆/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)弁護士に聞いた!刑務所の失態で脱走した受刑者が犯罪…被害者は損害賠償を請求することができる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。弁護士に聞いた!刑務所の失態で脱走した受刑者が犯罪…被害者は損害賠償を請求することができる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月10日京王電鉄が京王線にて、平日深夜帯に痴漢防止の女性専用車両を設けるようになった2000年12月から、今年で19年。現在では全国の鉄道会社で導入され一般的なものになりましたが、女性優遇で男性差別的であると反対する声も依然存在します。抗議する男性たちが女性専用車両に乗り込むという活動も行われ、今年2月には東京メトロ・千代田線の女性専用車両に数名の男性が乗り込み乗客とトラブルを起こし、電車が遅延したと報道されました。このような抗議活動について、星野・木川・長塚法律事務所の木川雅博弁護士に伺いました。男性による乗り込みは犯罪ではない女性専用車両に強引に乗り込むという抗議活動は、何らかの罪に問われますか?「『強引に乗り込む』という抗議活動の態様、程度にはよりますが、抗議活動を行うこと自体が民事上違法の評価を受けたり、何らかの犯罪に該当したりすることはありません。なお、抗議活動とは関係なく、他の車両だと間に合わない、間違った、などの理由で女性専用車両に乗ったとしても、罪に問われることはありません。」(木川弁護士)女性専用車両は鉄道会社が提供するサービスのひとつですから、法的な拘束力があるものではありません。暴力などを用いて誰かを傷つけるほどの強引な乗り込みでない限り、このような抗議活動自体を罪に問うことはできないのです。 電車を遅延させても罪には問われない?それでは、この抗議活動によって電車の遅延などが起きた場合、この活動に携わった者は何らかの罪に問われたり、損害賠償を請求されることはありますか?「抗議活動による列車遅延によって鉄道会社に損害が生じた場合、鉄道会社は、抗議活動を行った者たちに対して損害賠償請求を行うことが可能です。乗り合わせた乗客たちも同様に損害賠償請求をしたくなるかもしれませんが、こちらは請求できないといえます。また、列車遅延や安全確認のための列車停止を引き起こした場合、その態様いかんによっては威力業務妨害罪が成立する可能性はあります。最近、抗議活動中の車内で乗客が非常ボタンを押したケースがありましたが、非常ボタンが押された後も活動を継続していたら威力業務妨害により立件されていたといえましょう。その他、鉄道営業法38条違反や同法42条1項4号によって処罰・対処される可能性もあるでしょう。」(木川弁護士)女性専用車両への乗り込み自体は犯罪ではありませんが、それによって遅延などが引き起こされた場合は、損害賠償請求の対象となったり、罪に問われる可能性があるのです。この抗議活動に対抗したら?それでは、このような抗議活動に対抗する場合はどうでしょうか?乗り込んできた男性を女性乗客が無理やり引きずり下ろすなどして降車させた場合、女性乗客は何らかの罪に問われますか?「立件するかどうかは別として、『無理やり引きずり下ろす』と暴行に当たるといえます。引きずり下ろした結果、けがをさせてしまったら傷害になってしまいます。」(木川先生)たとえ抗議活動が過激化するなどして安全をおびやかされたとしても、手を出してしまってはいけません。駅員や鉄道会社に伝えるなどするべきでしょう。そもそも痴漢という犯罪がなくなれば、女性専用車両は不要になるもの。あくまでも対症療法的な存在である女性専用車両の是非を問うのもいいですが、どうしたら痴漢をなくせるかという視点も重要ではないでしょうか? *取材協力弁護士:木川雅博 (星野・長塚・木川法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野・長塚・木川法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング) *取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)女性専用車両反対のための乗り込み活動は合法?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。女性専用車両反対のための乗り込み活動は合法?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月10日兄の連れてきた婚約者は…
裏切り夫が毎週カレーを作る理由
婚約者は既婚者でした