出勤前に子どもを保育園に送り、帰宅後は子どもをお風呂に入れて、夕食の後片付け。妊娠・出産後も仕事を続ける女性が珍しくないいま、家庭のなかで「パパに求められる役割」も変化しているように感じます。では実際、共働き家庭のパパたちは、どんなことをしていて、「イクメン」についてどう思っているの?そんな疑問を探るべく、未就学児を持つパパたちの会に潜入し、皆さんの本音を聞いてきました。■未知なる「パパ会」発足の経緯は、パパならではのママへの気遣い!ママ会ならぬ、「パパ会」が行われたのは、とある週末の夜。子どもが同じ保育園に通う30代前半~50代のパパ、15人が集まりました。ほとんどがママと同世代のご夫婦で、20代後半から30代のはじめに1人目のお子さんが誕生しています。このパパ会、そもそもは保育園の保護者会長を務めたパパが、忙しい時間を割いてほんの数百円の運営費をやりくりしようとがんばっているママたちの姿を目の当たりにしたことをきっかけに発足したそう。定期的にパパ会を開き、会費を多めに集め、余剰金を保護者会費に回す仕組みをつくり、ママたちの時間、精神的負担をサポートしています。年齢も職業も異なるパパ同士ですが、子どものことから日常生活の他愛のない話題まで、とてもリラックスした様子で盛り上がっていました。■「朝食づくり」担当も! 気になるパパの家事分担事情夫婦ともに仕事をし、忙しい毎日を送っている皆さんに、まずは子育て、家事においてご自身が担っていることを聞いてみると、約半数が「保育園への送り」をしているとのこと。さらに、そのうち4人のパパは朝食づくりも担当! 毎朝5時半起きで和食を用意しているパパもいました。帰宅後も、食器洗いに洗濯、子どもとお風呂、そして自分のワイシャツのアイロンがけなど、「家のことはママにまかせっきり」スタンスなパパは見当たらず、それぞれのライフスタイルのなかで、できることをしている様子でした。ここで気になるのが、育児や家事を積極的にする、その動機。 ちょっとうがった見方をすると、ママに指示されてそうなったとか、ご機嫌取りのためやむなく、とも思えそうですが…。「妻に指示されてやるようになった部分も、ないとはいえません。けれど、毎日頑張っている妻を見て、少しでも負担を軽くしてあげたい気持ちもあるんです。家族のために、自分が役立っていると思えることがうれしくもあり、やらされている感はあまりないんですよ」と、パパ会メンバーのMさん。また、Iさんは「うちは夫婦で話し合って、お互い納得できる方法を最初に決めました。面倒なときもありますが、どのみちやるのであれば、前向きに取り組みたいと思っています」と言います。基本は奥さまへの愛からくる行動であることが伝わりましたが、それでも「完璧を求められると、ちょっとキツイね」とちらっと本音をこぼす一面も。Nさんの「お皿がきれいに洗えていないと、妻に『仕事は最後まできっちりやってください』と、自分がいつも部下に言っているようなことを指摘される。そんなことがあった次の日は、部下にいつもより優しくなったりするんだよね(笑)」との発言には、周囲のパパがいっせいに「そうそう!」と賛同。「男性って単純だから、言い回しひとつでやる気になったり、逆にモチベーションが下がったりするもの。『助かるな』、『ありがとう』など、ひとことでいいので添えてくれると、よし、次も頑張ろう! と思えちゃう」というのが、パパさんたちの共通意見でした。パパにもっと協力してほしい! と思うママは、パパのやる気を引き出す上手な言い回しを心がけてみるのも、ひとつの手かもしれません。■「イクメン」と呼ばれるのはこそばゆい? パパたちの本音子育ても家事も、自分がしたいからする。そんな能動的な姿勢は、周囲から見ると「イクメン」として映りそうです。では、ご自身にはズバリ、イクメンの自覚はあるのでしょうか。 この問いを投げかけると、皆さん、うーんと考え込んでしまいました。そんななか、パパたちに「イクメン中のイクメン」と称されるSさんはこう語ってくれました。「本来、子育てって夫婦一緒にするものですよね。子どものお世話や家事の分量ではかるものではないから、どこまでやったらイクメン、ということではないのかなと。僕の場合で言えば、子どもの成長ってあっという間なので、子どもにまつわることは何でも関わっていきたいんです。自分が見ていないときに、面白いことが起こると悔しくなる(笑)。だから、保育園の保護者会にも出たいし、妻と一緒に子育てを楽しんでいきたい。もしかすると、それが世の中的にはイクメンに映るかもしれませんが、イクメンと呼ばれたくてそうしているわけではないんですよ」(Sさん)。Iさんは、「育児をしている男性は、だれでもイクメンなんじゃないかなと。一昔前の、仕事人間な父親だって、家族のために、子どものために働いていて、口に出さなくても子どもを気にかけている。それだって、イクメンだと思うんですよ。流行り言葉的にイクメンと呼ばれると、若干抵抗があったりしますね」と、ぽつり。奥さまにほめられたい、周囲にイクメンとして認められたいからそうしているのではなく、自分自身が「子育てをめいっぱい楽しみたい」のが、今回集まったパパたちの大きなモチベーション。だから、イクメンと呼ばれると、ちょっとこそばゆいような、複雑な気持ちになるようです。さて、今回は、子育てに家事に協力的なパパの声を中心にご紹介しましたが、なかには「ママを支えたい気持ちはあるけれど、時間的に難しい」と、複雑な胸の内を明かしてくれたパパもいました。次回はそんなパパにフィーチャーし、求められる役割について思うところ、そして、ママの心の持ち方について、考えてみます。
2016年05月10日2015年12月に厚生労働省が「労働安全衛生法」という法律を改正し、50人以上が働く会社はストレスチェックを行うことが義務づけられました。対象となる会社に勤めている方は、自分のストレス状況をチェックする機会がやってきます。そこで、会社で行うストレスチェックとはどんなものなのか、ストレスチェックの流れや個人情報に関する注意点などを含めて紹介します。■ストレスチェックとは?日本では仕事における強い不安や悩みからストレスを感じている人が5割を超え、仕事でのストレスが原因で体調を崩す人も増えています。なかには労災認定されるケースもあるようです。ストレスチェック制度は総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医などで構成される衛生委員会などによって調査・審議されます。その際、「職業性ストレス簡易調査票」などを用いて仕事や心身のストレス要因、周囲のサポート状況など調査し、労働者のストレス状況を検査します。この検査による個人結果をひとりひとりに通知します。労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためないように普段からセルフケアを行うこと、会社側も職場環境の改善に取りくむことを目的としています。ストレスチェックの結果、ストレスが高いと判断された場合、本人が希望したら医師による面接指導が行われるそうです。じつは、従業員にはストレスチェックを受ける義務はなく、受けないという選択もできます。しかし、自分の状態を客観的に知ることができる機会のため、受けてみるのもいいかもしれません。■一番気になる個人情報について「会社がストレスチェックを実施すると、個人の結果も会社に知られてしまう?」と、個人情報に関することが一番気になるところです。基本的には、同意しなければ会社に個人結果が知られることはありません。しかし、規程はしっかりと確認しましょう。・会社内に実施事務従事者という担当者が配置される場合ストレスチェック制度の実施事務従事者は、個人の調査票のデータ入力や結果の出力、保存に携わります。個人結果に関わるので、人事権を持たない職員などが担当することが定められています。ストレスチェック業務を通して知りえた個人の結果などには守秘義務が課せられるので、実施事務従事者以外の会社の人に知られることはありません。・面接指導対象と通知を受けた場合ストレスチェック制度では、会社が面接指導を行う医師を決定し、対象者との面接指導の日時を調整や面接指導の結果の報告を受け、必要に応じて就業上の措置を行うように定めています。そのため、面接指導対象との通知を受け、医師との面接指導を受けたいと希望した場合は、会社に申しでることが必要となります。会社側も、申し出があった時点では、どの従業員が面接指導の通知を受けたのか知らないので、面接指導対象者かどうか確認しなければなりません。このときに、ストレスチェックを行った医師などから、だれが面接指導対象であるかという個人結果が会社に通知されます。自分のどんな情報が会社側に伝わるかは規程に必ず書かれてあるので、しっかりと読み、担当者に確認して把握しておくといいでしょう。医師との面接指導には会社に知られる情報もあります。しかし、医師との面接は、就業時間として認められることや面接費用も会社が負担するなどのメリットもあります。面接指導の通知が来た場合は、ご自身でしっかりと考えて、受けるかどうかを決めてみてください。■個人結果を集計して集団分析もストレスチェックは個人のストレスを集計・分析するとともに、会社側はその個人結果をもとに職場ごとや年齢、勤続年数など、集団的にストレス状況を分析するケースもあります。この場合も、個人の結果が会社に知られることはなく、会社は分析した集団ごとのストレス状況を把握し、職場環境の改善に取りくみます。厚生労働省のホームページには、ストレス状態を知ることができる簡単な検査も掲載されています。ストレスによって体調を崩してしまう前に、自分のストレス状態を知り、ストレスと付きあうコツや解消する方法を身につけることが大切です。・ 厚生労働省
2016年04月24日働くママたちにとって、育休中は「子どもと一番長く一緒にいられる期間」と言っても過言ではありません。復職後に待つ怒涛の日々を思うと、悔いの残らないよう過ごしたいですよね。しかし実際には、復職してはじめて気づく「やっておけばよかった!」ということがたくさんあるといいます。そこで今回は、育休・復職を経験した働くママたちの「やっておけばよかった!」体験談を紹介します。家事分担、育児のやり方などを 家族でじっくりと話し合っておくまずは、アパレル関連の会社に勤める、Cさんの体験談です。「長女を出産後、育休を終えて復職すると、目がまわるほど忙しい日々が待っていました。仕事・育児・家事に追われ、1日24時間ではまったく足りない! という状態。夫も協力すると言ってはいたのですが、分担などをきちんと話し合わないまま復職してしまったため、うまく回らず。夫が家事を手伝ってくれても、そのやり方にイライラしたり、二度手間になったり。きちんと話し合っておかなかったことを後悔しました」復職後は、毎日をなんとか乗り切ることで精一杯。復職後に夫の協力を得るためには、家事分担や家事・育児のやり方などについて、じっくりと話し合っておいた方が良さそうです。 予防接種を受けておく続いては、まだ復職して間もないという、商社で働くHさんの体験談です。「復職して数週間後に、息子のインフルエンザがうつってしまい、会社を休むハメになってしまいました。しかも、夫にまでうつり、一家全滅。自分も高熱でキツイ中、看病しなくてはならなくて、かなりつらかったです。それに、復職して間もないのに、数日間出勤できなくなったことも申し訳なくて。きちんと予防接種を受けておけば防げたかも…と、反省しています」復職すると生活が一変するため、疲れで体調を崩すことも。復職後に備えて予防接種を受けておくなど、育休の間にしっかりと体のことを考えておきたいですね。子どもの写真や動画はたくさん撮っておく最後は、印刷会社に勤務するKさんの体験談です。「職場復帰初日。自宅で息子を見てくれている母から届いた息子の写真を見て、思わず涙があふれてしまいました。覚悟はしていたものの、やっぱり息子と長い時間離れるのは寂しくて。復職後に息子が寂しい思いをしないよう、せめて育休中は……と思いきりかわいがったつもりでしたが、離れて寂しい思いをするのは親の方でした」子どもとの思い出を写真などの形に残し、それを通勤中や仕事の合間に見て元気をもらっているという先輩ママは多いようです。長く子どもと一緒にいられる育休中に、写真や動画をたくさん撮っておくと、職場復帰後の癒しになるかもしれませんね。育休・復職を経験した働くママたちが揃って口にするのは、「想像の何倍も忙しくて大変だった」ということ。育休中は子どものことだけに集中して過ごしたいところですが、復職後の生活について考えることもお忘れなく!
2016年04月21日仕事に家事に育児に…と、働くママたちにはやることがいっぱい。しかし、日々フル稼働しながらも、仕事のなかで叶えていきたい夢や目標は少なからずあることでしょう。だからこそ、「いってらっしゃい」と家族を送りだしたら、すぐに仕事モードに切りかえたいもの。でも、昨晩の夫との小さないさかいや夕飯の献立に気を取られて、仕事に集中できない。そんなとき、すぐに気持ちをシフトできる方法を紹介します。■ルーティンをつくろうどうしてもすぐに仕事モードに切りかわれないという方は、自分なりのルーティンをつくってみるのも一案です。フィギュアスケートの羽生結弦選手が演技前に十字を切るポーズをしたり、ラグビーの五郎丸歩選手が祈るようなポーズをすることで有名になったルーティン。決まった動作をすることによって気持ちを切りかえ、集中することができるのです。ルーティンといっても大げさなものでなくて構いません。その場でジャンプをする、バッティングのマネをする、コーヒーを飲む、「今日もがんばりましょう」と自分に話しかけてみる。簡単なことでいいのです。自分がやる気になるようなルーティンをつくることで、スムーズに仕事モードに移ることができます。■やるべきことを事前に書きだしておきましょうスムーズに仕事に入るために、事前に何をしておくべきか、順序まで考えてメモをつくっておくのもいいでしょう。おすすめは、退社時間に次の日にやるべきタスクを考えて、どこかに書きとめておくこと。もちろん、急な用事を頼まれることもあるでしょう。でも、社会人になって長い期間がたったのなら、仕事の要領はある程度予測がつくはずです。会社に着いてから「今日は何をやるんだったかな?」と考えるよりも、やるべきことを先にスケジュール化して従う方が効率よく、集中して仕事ができるものです。時間割をつくるのもいいでしょう。出社したらすぐにメールのチェック、10時になったら会議の準備、15時になったら休憩してストレッチなど。自分の裁量で仕事ができる方は、1日を時間割化してしまった方がだらだらとせずに仕事に取りかかれること請けあいです。■それでも引きずるようなら…ルーティンもした。やることも書きだした。時間割もつくってみた。だけどどうにも仕事に身が入らない。そんなときは根本解決が必要です。問題と正面から向きあいましょう。何がそれほど心を悩ませているのか? 何が問題でどのように解決したらいいのか? どうしたら問題を解決できるのか? これからどうしていけばいいのか? 一度自分自身に問いかけてみましょう。そうすることで見えてくるものがあり、開ける未来があるはずです。子どもも大事、夫も大事、けれど自分の仕事だってもちろん大事。それも自分自身の一部ですよね。前向きに仕事を楽しむためにも、上手な切りかえ方法を身につけられるといいですね。
2016年04月21日平成28年4月から、女性活躍推進法がスタートしました。以前と比べると働くママへの理解が深まり、産後も会社に復帰しやすい環境が整いつつあります。そんななか、これまでの会社から離れ、あえて独立や起業を選んだママも。子育てをしながら独立へ一歩踏みだしたきっかけやその道のり、独立後の生活の変化までを先輩ママに伺いました。■独立を決めた理由。そこには大きなできごとが…お話を伺ったのは、カラーコンサルタントとして独立し、色彩専門オフィス「セレスティー」代表をつとめる鶴巻亜記さん。企業を対象としたカウンセリングやセミナー、講師業をされています。建築設計事務所で秘書として働いていた鶴巻さんは、29歳のときに長女を出産。その後は復帰し、仕事内容や人間関係への大きな不満もなく働いていたそうです。そんな鶴巻さんに転機が訪れたのが、32歳のとき。会社の人事異動で、これまでいた部署のメンバーが大きく入れかわることになったのをきっかけに、このまま会社員でいることに疑問を持ちはじめます。「あと30年間同じ仕事を続けたいかを考えてみると、そうではなかったんです。せっかくなら、20代のころから好きで、勉強を続けてきた“カラー”を仕事にしたいと思うようになりました。このとき長女は2歳。子育てにも慣れてきて、自分のことに目を向ける余裕が出てきたころでもありました」(鶴巻さん)とはいえ、子育てしながら働ける環境を手放すことには不安もあったといいます。迷いつつも、「独立」への気持ちを固めたのには、大きなきっかけがありました。それが、ふたり目のお子さんの妊娠と、流産。おなかに小さな命を宿してほどなくのお別れに、当時は本当に落ちこんだと鶴巻さんは言います。「言葉では言いあらわせないくらい、ショックでした。でも、いつまでも悲しみにとらわれていては先に進めません。気持ちを切りかえるためにも、何か夢中になれることをしようと、独立を決意しました」(鶴巻さん)気持ちをリセットして、一念発起。起業セミナーなどに通ううちに、子育てをしながらカラーの仕事で独立し、活躍しているロールモデルと出会い、独立後のビジョンがよりくっきり見えてきました。■開業資金は100万円以内! 子育て中だから、リスクは最小限に在職中から起業に向けたセミナーに通いながら、少しずつカラーの仕事をスタート。子育てしながらのWワークは体力的に大変ではありましたが、家族のサポートを得て何とか乗りきったそう。退職後まもなく独立し、念願のサロンを開業します。開業資金は、100万円足らず。「子育て中だから、お金は借りないと決めていました」と鶴巻さん。事務所探しからカラーの仕事に必要なもの、サイトの開設まですべてひとりで手配し、費用を最小限に抑えました。ビジネスプランを立て、満を持しての開業でしたが、最初は仕事がなかなか増えずやきもきする日々が続きます。軌道に乗りはじめたのは、開業から2年ほどたってから。「仕事がこないのは知識が足りないからだと思い、最初は勉強ばかりしていました。でも、あるとき方向性を変えて、積極的に外に出るようにしました。さまざまな人に『独立しました』と言ってまわったら、人づてで少しずつ仕事が増えはじめたんです。実際に顔を合わすことなくオンライン上でビジネスができたり、不特定多数に情報を発信できたりするいま、それらを上手に活用するのはもちろん大切なことです。でも、フェイスtoフェイスのやりとりやリアルでの人とのつながりは、それ以上に大切なんだな、と痛感しましたね」(鶴巻さん)■子育て中の独立・起業。生活はどう変わった?仕事が回るようになり、どんどん実績を伸ばしていった鶴巻さん。独立から3年がたつころには、新たな家族も増え、ほどなく個人経営から法人化をはたし、公私ともに充実した日々を送っています。「いま、あらためて振りかえってみると、子育て中だからこそ、独立を決意できたと思います。会社にしばられず、自分のペースで子育てと仕事を両立させたい、という気持ちももちろんありました。しかし、私の場合は、『自分が好きなことで、仕事をする』姿を子どもに見てほしいな、という気持ちのほうが強かったかもしれません。それが子どもたちに伝わっているかどうかは別ですが…」と鶴巻さん。実際に、仕事のスケジュールは子どもの用事を“先取り”してから組んでいるのだそう。自分で時間をつくれることで気持ちの面でも余裕ができ、子どもとのかかわりをより楽しめるようになったそうです。一方、仕事には波がつきものです。独立すれば、そのすべてを自分で受けとめ、コントロールする覚悟も必要です。「うまくいくときもあれば、うまくいかないときもあって当たり前です。うまくいかなくてやめてしまう人が多いのですが、そこでいかにふんばれるかどうか、ですね。長期的なビジョンを持って、うまくいかないときに備えて予防線をいくつも張っておき、長く続けていくことが大切なように思います。もうひとつ、自由なスケジュールを組めるということは、裏を返すと動かなければ何も生産できない、ということでもあります。自分のなかでの優先順位をはっきりさせて、管理できる人はきっとうまくいくと思います」(鶴巻さん)仕事に対する責任感や管理能力によって向き不向きはあります。しかし、ライフワークバランスを自分で調整でき、自分らしく働けることは、子育て中の女性にとって大きな魅力にうつるのではないでしょうか。「私もいずれ独立して好きなことをしたい!」と考えているママにとって、少しでもご参考になれば幸いです。 ・色彩専門オフィス セレスティー
2016年04月20日本格的な春の訪れとともに人の心も開放的になるここイタリア。街のお店やレストラン、カフェも深夜遅くまで開いているところが増えてきました。そんな春先に、カフェでたまたま隣になった人と知り合ったおかげで、転職のチャンスをつかんだ知人がいます。その行動力に、共通の知人たちは拍手喝采していました。彼だけに限らず、新しい環境や人間関係を求め、その中に素早くなじんでいくのがとても上手なイタリア人を見ていると、まねしてみたいな〜と思うこともしばしばです。ここでは、そんな彼らがどのように「新しいことになじむコツ」をつかんでいるのかをご紹介します。 ■周りを巻き込むフリーのエンジニアとして働く知人男性は、仕事柄さまざまな国に赴任していました。言葉も文化も違う環境で働く中とは言え、かけ出しのころは失敗が多かったといいます。新しい環境に早くなじむため、いろんな仕事を引き受けた時期があり、その結果自分のキャパシティをこえ多くの人に迷惑をかけたこともあるそう。それ以来「今の自分ができること・できないことをきっちり把握するようにしている。自分にできないことがある場合は他の人を推薦し、巻き込んでいく。新しい仕事はみんなで作り上げる、というスタンス」という方針を通しています。「新しい環境に自分だけ…と思ってしまうと誰でも萎縮し、周りが見えなくなる。ひとりでなんとかしようと思わずに、積極的に他の人の協力を仰いでみるのが成功のコツ」だといいます。協力してくれた人との新しいつながりをきっかけに、そこから別の仕事に発展することもすくないとか。 ■雑談でコミュニケーション作り転職を重ねキャリアアップしてきた知人女性は、どんな環境に入っても1ヶ月くらいあればとけこめると豪語していました。コツは雑談することにあり「仕事中はさすがに私語をすることはないけど、コーヒーブレイクのときや昼休みは必ず、同じ場にいる人にちょっとでも声をかける」のが彼女の習慣です。とは言え「話がややこしくなりがちで、さらっと切りあげられない。場合によっては後味が悪くなることもある」と、恋バナ・テレビの話題・スポーツネタは避けているとか。短時間に、多くの人といろいろな話をすることで、自分の顔を覚えてもらうだけでなく社内の人間関係や全体像が見え「自分の立ち位置や仕事の進め方の方針を決めやすい」といいます。そうして知り合った人を新規プロジェクトに推薦したところ、大当たり。取引先から注文が相次ぎ、彼女のその年のボーナス査定はそれまでで一番良かったそうです。 歳を重ねるにつれて、新しい人・モノ・環境へなじみにくくなっていくものですが「新しいことを始めたり、新しい人と知り合うのは誰でも緊張するもの。その緊張をどれだけほぐせるかがキモ」と語る人もいて、イタリアの人たちの前向きさに頭が下がる思いでした。小さなきっかけを大きな成功へ変えるためにも、新しいことに一歩、二歩と、踏みだしてみてはいかがでしょうか。
2016年04月15日35歳は人生においてターニングポイントでもあります。「今の仕事からキャリアップを図りたいのか?」「子育てが落ち着いてきたら自分の時間をどう使うのか?」「今後、パートナーとどう人生を歩んでいくのか?」人それぞれさまざまな思いがあることでしょう。そこで、35歳を過ぎたら女性がすべき5つのことをまとめてみました。■ 1.アラフォーに向けて体づくりをする30歳を過ぎると加齢により体力が低下してきます。筋力や持久力が衰え、20代の頃と同じようには行動できなくなってきます。しかし、今から体力づくりをしておけば、アラフォーになってからも健康的なライフスタイルを送ることができます。ジムに通うのも良いですし、時間がない人は毎日30分だけでもウォーキングだけでも違います。身体は使わなければ衰えるだけ。年齢を重ねていくからこそ、“バテない力”をつけておきましょう。■ 2.自分が没頭できる趣味を1つ見つける子どもが小さいうちは子育てに忙しい毎日を送っているでしょうが、だんだんと子どもが成長して手が離れてくると時間に余裕ができてきます。この先、子どもがもっと成長して時間がポッカリ空いてしまったときに「自分は何のために生きているんだろう?」と思うかもしれません。そんなときに自分が没頭できることを1つでも持っておくと、余暇を楽しんで生きることができます。何かを始めるのに遅いということはありません。少しでも興味のあることに出会ったら、積極的にトライしてみてください。 ■ 3.エイジングケアを始めるいつまでも若く見える女性に共通していえるのは、肌がキレイなこと。年齢を重ねてもいつまでもイキイキとした女性でいるためには、エイジングケアを怠ってはいけません。20代はスキンケアを多少怠っても若さでキープできますが、35歳を過ぎたらしっかり保湿できる化粧水や美容液を使用する必要があります。また、内側からのケアも大切です。水分補給はしっかりして、ビタミン類や食物繊維がある食べ物を積極的に摂ると良いでしょう。■ 4.旦那さんと共有できる楽しみを見つける子どもが独立した後は、旦那さんとの2人暮らしになります。いつまでもよきパートナーでいるためには、お互いが共有できる楽しみを見つけること。年に1度は海外旅行へ行ったり、コンサートへ行ったりと、お互いに楽しみをシェアできる関係を築いていくのです。それぞれで趣味を持つことはよいことです。でも、何か1つでも夫婦で共有できることを見つけると2人で過ごす時間が今よりもっと楽しくなりますよ。■ 5.今後のライフプランを立てる35歳を過ぎたら、将来のライフプランを立てることをオススメします。まず「家を買いたい」「転職したい」「ゆとりある老後を過ごしたい」など、実現したい将来の夢を書きだしていきます。そして、思い描くライススタイル実現に向けて、今後生活していくために必要な生活資金、老後のための貯蓄、子どもの結婚など、具体的にマネープランを立てていきます。ライフプランを立てる上で、住宅、老後資金、教育費、ローン金利などの情報はリサーチしておくことが大切。年代別にエクセルなどで表にまとめておくと、将来の目標と実践すべきことがクリアに見えてきます。35歳は第2の人生をスタートする転機です。ぜひ上記の5つのことを参考にして、残りの人生を謳歌してください。「これからどうやって生きていきたいのか?」を明確にして実現へと動けば、40代、50代と充実したライフスタイルを送ることができますよ。
2016年04月12日メディアで話題の心理カウンセラー、心屋仁之助さんとその一門が相談に答える「凍えたココロが ほっこり温まる、心屋仁之助 塾」。今回は、「いまの立場を失うのがこわくて、休職できずにいる」というまるさん(38歳・会社員)に心屋塾上級認定講師のいかり屋圭子さんからアドバイスをいただきました。■まるさんのお悩み年始に円形脱毛症になってから日々悪化しており、全頭脱毛症になりかけています。頭頂部の薄毛が気になるため、部分ウィッグをしている状態です。まわりの目が気になってしまい、仕事に身が入りません。本当は1、2ヶ月休養したい気持ちがあります。前に上司に病気の話をしたことがあります。課長は一週間休んでみるかと言ってくれましたが、部長は部署異動してみるかと言ってきました。そのことがあり、長期休みの相談をできずにいます。私は独身なので、ひとりで生きていくためにも、一生懸命仕事に取りくんできました。おかげで、上司から高い評価をいただいております。忙しい部署ではありますが、異動はしたくないのです。一度異動になったら、その部署に戻るのはむずかしい会社です。そのせいか、最近、上司からいらないと言われる夢をよく見るようになりました。朝から憂うつです。本当は休んだ方が良いのはわかっていますが、いまのポジションを失うのが怖いのです。どう心を導けば、失う怖さを克服できるのでしょうか?■心屋塾上級認定講師・いかり屋圭子さんよりまるさん、つらいですね。きっと良くなると思ってお答えしますね。「安心して休んでください! それで良くなります」それだけです。安心していると安心が来ますし、不安でいると不安がきます。ただそれだけです。「休んで復帰した後のことは、そのとき考える」くらいでいてください。まるさんが書いていらっしゃる「本当は休んだほうが良いのはわかっている」という自分の心の声に正直になり、長期休暇のお願いを上司の方にしてみましょう。いまのままですと、悪循環で心も体も休まりませんよね。脱毛症はストレスが大きな要因だと思われますから。そして、上司の方もその言葉を待っていると思います。休まないまるさんを心配していると思います。まるさんは「休んだらポジションがなくなる」「異動したら戻れない」という思いにさいなまれています。それが不安の素ですよね。それ、本当でしょうか。それがたとえ本当のことだとして、髪の毛とどちらが大切でしょうか。お悩みを読ませていただくと、まるさんが現在の部署やポジションに執着すればするほど、脱毛していくようなイメージが浮かんでしまいました。その強い念の力で髪の毛を自ら抜いているイメージがします(あくまで私の勝手なイメージです)。「休みたい」と「休めない」のせめぎあいですね。ですから、その執着を手放せば、快方に向かうと思います。安心するためにはどうしたらいいかと申しますと、一度その不安を「そうなってもいい」と覚悟することです。「異動してもいい」「仕事が変わってもいい」この言葉を言えますか。そして、言うとどんな気持ちがしますか。感じてみてください。そして、「ダメなやつだと思われてもいい」「上司にガッカリされてもいい」「上司の期待にこたえられなくてもいい」「お母さんの期待にこたえられなくてもいい」「お父さんの期待にこたえられなくてもいい」言うとどんな気持ちがしますか。まるさんは独身で、ひとりで生きていくためにお仕事をがんばられてこられたのですよね。私も30歳で離婚してからは、ひとりで働いて生きてきたので、お気持ちはなんとなくわかります。以前の私は、「ひとりだから生きていくためにがんばらなければ」と無意識に思っていたようです。会社員なのだから、ルールは守るべき、少しくらいの体調不良で休んだりすることは罪悪感がありました。そのくせ矛盾していますが、疲れをためて突然休むことが多かったです。有給休暇は計画的に取得するよりも、疲労がたまったときの突然の休みにあてることが多く、そんな自分を情けなく感じていました。そして、また自分を責める。そんな嫌なループにはまっていたように思います。持病のせき喘息も、発症時に休んで早めに完治させれば良かったと思います。しかし、忙しいときに周りの方に迷惑をかけたくないという思いと、休んだ後にさらに自分が大変になるのがわかるため、休めませんでした。そして、悪化させてしまいすっかり持病になってしまいました。振りかえって思うことは「あのとき休めば良かった」ただそれだけです。会社というものは、私たち一人がいなくてもまわるようにできています。それはまるさんにとって「自分のポジションが無くなる」という悪い意味に解釈すればそうだし、「休ませてもらえるシステムがある」「会社は自分がいなくても大丈夫」といういい意味に解釈すればその通りになるものです。いま、まるさんには「休みなさい」という強いサインが送られてきていますよね。それはご自身が一番わかっていることだと思います。でも、休むのは怖い。何が怖いかというと、自分のポジションが無くなること。上司にがっかりされることなのではないでしょうか。上司、ひいては親かもしれませんね。だから、怖いけれども一度それを諦めてみてください。手放してみてください。「自分のポジションがなくなってもいい」「上司にがっかりされてもいい」口に出してみてください。きっと言いにくいのではないかと思います。けれど、何度も何度もつぶやいている間に、たぶん少しずつ気持ちが変わっていくと思いますよ。「ま、いっか」「それでもなんとかなるか」「そうなっても命までとられるわけではないし」「会社を辞めさせられるわけではないし」「いままでもなんとかしてきたし」と。物事はなんとかなるようにできていますし、流れに任せているとどこかにたどり着きます。それは自分が勝手に想像している範疇をあっけなくこえる場所にです。いい意味でね。「休みたくない」「異動したくない」とがんばるのではなくて、「休むこと」「何もしないこと」をがんばってみるのです。これまでのまるさんの常識とは逆ですね。目の前に来た流れに乗ってみるのです。それはどこに行くかはわからなくても。髪の毛さんが「休みなさい」と必死に教えてくれています。「私を大切にして」と叫んでいるようにも感じます。イメージのなかで「髪の毛さん」を両手に乗せて「どうしてそういうことするの?」とたずねてみてください。きっと何か優しい言葉を伝えてくれると思います。がんばらなくてもいい。自分を大切にしていい。安心していていい。会社も上司もまるさんの味方だと思ってみてください。まるさんを心から心配してくれていると思ってみてください。社会も人もまるさんが思っているより優しいし親切ですよ。執着しているものを手放して「安心して休む」ことで、きっと回復に向かわれると思います。 ・このカウンセラーのブログを読む
2016年04月12日3児の父親であり、自らも育児休業を取得した青野慶久社長率いるサイボウズ。「育児休業最長6年」「選択型人事制度」の導入など画期的な働き方改革を行い、2005年に28%だった離職率を、2013年には4%にまで改善させた。いわゆるIT業界の「7K」(きつい、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇が取れない、化粧がのらない、結婚できない)を克服し、子育てしながらも働きやすい環境を実現するために、どのような取り組みをしてきたのか。同社事業支援本部 人事部マネジャーの松川隆さんに話をうかがった。○社長自ら会社の制度を”フル活用”男性の多いIT企業としては珍しく、女性社員が4割を占めるサイボウズ。離職率の改善などを実現できた背景には、画期的な人事制度の改革がある。例えば、2006年に導入した「最長6年間」の育児休業制度は、男女問わず妊娠判明時から取得が可能。子どもが生まれてから小学校に就学するまでの間、何度でも取得できるという画期的な取り組みだ。しかし、どんなに素晴らしい制度を打ち出しても、活用できる風土がなければ社員は使いづらい。「やはり、導入当初は休暇を取ることに引け目を感じる社員もいました。しかし、社長の青野が育児休業を取得したことで、社内の空気が大きく変わりました」と松川さん。青野社長は、3人の子どもを持つ父親。労働時間も子どもの都合に合わせてフレキシブルにするなど、同社の制度をフル活用している。トップが率先して制度を活用することで、積極的に育休を取得する雰囲気が生まれ、最近では1カ月の育休を取る男性社員も出てきた。また、最長で4年8か月の育休を経て復職した女性社員もいるという。同制度は最長6 年間取得可能であるが、実際には1年程度で復職する女性がほとんど。もちろん、会社が早期復職を促しているわけではない。1年程度で復帰しても、安心して働き続けられる環境が整っているからだ。それが、2007年にスタートした「選択型人事制度」である。○働き方は「月単位」で選べる「選択型人事制度」とは、ライフステージの変化に合わせて、希望の働き方を自由に選べる制度。「PS2(ワーク重視型)」「PS(ワークライフバランス型)」「DS(ライフ重視型)」の3種類から選択できる。具体的には、「PS2(ワーク重視型)」は裁量労働制を適用し、月40時間のみなし残業をつける。「PS(ワークライフバランス型)」は、月間残業時間40時間以内で働く人が対象となる。「DS(ライフ重視型)」は、残業なしで短時間勤務も可能。希望に応じて労働時間を自由に設定できる。「ちなみに『PS』はプレイステーション、『DS』は任天堂DSの略称です。好きなゲームを選ぶのと同じ感覚で、自分の好きなワークスタイルを自由に選ぶ。働き方で優劣をつけることなく、お互いの価値観を尊重しようというメッセージを込めています」と松川さん。現在は、働く場所の自由度3種類(オフィス中心、在宅中心、その中間)と、前述した時間の自由度3種類を掛け合わせた合計9種類の中から月単位で希望の働き方を選べるようになっている。さらに柔軟な働き方を可能にするべく2012年に「ウルトラワーク」も導入。「選択型人事制度」が長期的な働き方の選択であるのに対し、「ウルトラワーク」は、単発で働く時間と場所を自由に選べるというものだ。例えば、「子どもが急に熱を出したので家で仕事をしたい」「保育園の行事の前後に業務をこなしたい」「深夜に自宅で海外のクライアントとWeb会議をしたい」など、必要に応じて事前にスケジュールに登録するだけで、いつでも誰でも利用できる。制度導入後の社員の反応はどうだったのだろうか。「さまざまな働き方を選ぶ人が増えてきて、子育て中の在宅勤務に対する理解度が深まったと思います。また、働き方を自由に選ぶということは、『覚悟をもつ』ということ。理想の働き方を”責任をもって”選択することで、より一人ひとりが自分の人生に真剣に向き合うようになったのではないでしょうか」と松川さん。実際、女性だけでなく男性の中にも、積極的に子育てに参加しながら、自宅で仕事をする社員も増えてきたという。こうした取り組みを実施することで、同社では妊娠・出産を機に退職する社員はゼロとなり、育児休業からの復帰率も100%を達成した。新制度の導入により、「子育てしながら働きやすい職場」を実現したサイボウズ。後編では、多様な働き方をする社員がいる中で、どのような人事評価を行っているのかをお伝えする。
2016年03月29日2月、東京都主催のイベント「ワークライフバランスフェスタ東京2016」が都内で開催された。イベント内では、「多様化する働き方 ~これからの企業成長に欠かせない"しごとスタイル"とは? ~」と題したパネルディスカッションが開催され、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏らが登壇した。登壇者は小室氏の他、日本レーザー代表取締役社長の近藤宣之氏、NPO法人パオッコ理事長・太田差惠子氏、住友重機械エンバイロメント代表取締役社長の真鍋教市氏、そしてコーディネーターとしてフリーアナウンサーの住吉美紀氏。二児の母で子育て中である小室氏は残業を減らして業績を上げるコンサルティングに定評があり、これまでに900社以上のコンサルティング実績を持つ。近藤氏は、2014年より厚生労働省「女性の活躍推進協議会」委員を務める。太田氏が立ち上げたパオッコは、離れて暮らす親のケアを考える会で、遠距離介護や仕事と介護の両立などをテーマに情報発信している。住友重機械エンバイロメントは、平成27年度東京ワークライフバランス認定企業(長時間労働削減取組部門)である。「育児と介護と仕事」をキーワードに、各分野の専門家が終結してのディスカッションとなった。○「仕事を覚える前にワークライフバランスを考えるな」小室氏(以下、敬称略): この2年で、企業におけるワークライフバランスの注目度が上がりました。これからは人材の奪い合い時代に突入し、人がとれる企業、とれない企業に二分化されていくと予想されます。私がコンサルティングをした企業では、労働時間を減らすと業績が上がり、女性従業員の出生数も増えた、といった企業が増えてきているのが特徴です。近藤:最近は女性がとても元気。しかしながら日本には男性優先の風土があるので、企業風土を変えるためにも、私たちの話は社長に聞いてもらいたい。真鍋: 弊社では、正社員の女性比率は10%程度ですが、来年度の新入社員は半分が女性となります。ですが男性中心の会社でワーカーホリックな社員も多い。現在、残業時間削減の取り組み中で、残業を減らしてできた時間をどう使うか、というところからスタートしています。住吉: 20代におけるワークライフバランスで重要なことは何でしょうか。近藤: 最近の若い人は、ワークライフバランスというと「ライフ50、ワーク50」という考えですがこれは間違い。私は一生を通じて、ワークライフバランスが取れていればいいと考える。若いうちはワークライフバランスを考える前に仕事を覚えるべきだ。真鍋: 「石の上にも3年」という言葉がありますが、若い人には、「お前たちが3年我慢するんじゃない。経営者が新人に対して3年間我慢するんだ」と伝えています。仕事を覚える前にワークライフバランスなどといっていると、結局仕事も覚えられず、バランスもとれなくなっていきます。小室: これからの時代、しっかりと学んでいかないと生き残れないのが20代。20代の将来は、世界での日本の立場も低くなり、「英語は当然。その他に何語が話せるの? 」という時代となります。ということで、この世代は「ライフ」の部分もとてもシビアになってきますね。○子育て女性社員のモチベーションは評価法で変わる住吉: 子育て中の世代はいかがでしょうか。小室: 企業からは、「時短勤務などの制度を整備して充実させているが、ぶら下がり社員が増える」といった悩みが寄せられ、そんな女性にカツをいれる講習をリクエストされます。まずなぜ子育て中の女性は仕事のモチベーションが下がるのかを考えていくと、彼女たちが働く職場は、長時間労働でないと評価されないムードであることが多い。時短勤務スタッフの大半は、かつての仕事量を残業無く時短の中で完了させていることが多く、つまりは人件費自体は下がっているのです。ですが、本人の退社後にイレギュラー対応があり、周りの人がサポートをすることで本人の査定が下がり、周囲の人はサポートした分評価が上がる。仕事ではこんな不条理感があり、かといって子どもも自分の思い通りには行かない。そんな負のスパイラルの中で、仕事に期待を抱かなくなり、モチベーション低下につながります。私は期間あたり生産性ではなく、時間当たり生産性に評価を変えるようコンサル先では提言しています。女性は、きちんと評価されることでモチベーションが上がっていきます。あとは、短時間勤務とその他の人たちとの兼ね合いも問題になりますね。しかし、長時間労働をする人も、実は様々な「ライフ」を抱えているのです。育児や介護といった特別な「ライフ」の事情をいってこない人にも有休をしっかりとらせる。長時間勤務をクライアント事情、業界慣習だからと諦めるのではなく、クライアントにも説得に行くといった社長の姿勢も大切です。社員全員の「ライフ」が充実していれば、1時間くらい早く帰る人がいてもうるさく言わなくなりますよ。太田: 最近は出産・結婚年齢が上がり、介護と子育てが同時進行の「ダブルケア」が多くなっています。会社に内緒で介護を続けるのはほぼ不可能。介護をしているといえる職場の雰囲気づくりが大切です。企業風土を変えるのは難しいが、地域包括職員を呼んでのセミナーやグループワークなどを企業内で行うことで、社内で介護の話をしてもいいんだ、と思わせることが大事です。小室: 親と年齢が離れている団塊ジュニア世代は、35歳でも介護が始まる年齢になってきています。突然介護が始まるとパニックになるので、事前に知識があるかどうかで大きく変わります。近藤: 介護も育児も、さらには社員自身の病気も会社から見ると同じリスク管理。そこでわが社では、「ダブルアサインメント・マルチタスク」を経営方針としています。組織は、20%のリーダー格、60%の中間層がいて、残り20%がぶら下がり型となる。そこでぶら下がりを切ろう! としてはいけない。もし自分が病気や介護、育児が理由でリーダー格からぶら下がり層へと落ちていったとしても働き続けることができるんだ、という安心感が社員のモチベーションを上げることにつながります。そして最後に小室さんも、「確かにマルチタスクとダブルアサインメントは大切」とコメント。「1960年代~1990年代は長時間労働で勝てる時代でした。しかし今は男女共に、短時間労働と多様性で勝負しないとビジネスで勝てないという人口構造になっています。経営者は意外と他人に説得されたがっているもなので、どんどんぶつかっていってほしい」と締めくくった。
2016年03月11日レノボ・ジャパンは4日、同社の関連会社3社と合同で、秋葉原オフィスにいる従業員を対象とした「テレワークデイ」を実施。その様子を報道陣向けに公開した。「テレワークデイ」は、「全社テレワーク」が可能な体制の確立を目指すとともに、その経験を産業界に提案することを目的とした実施するもので、レノボ・ジャパンに加え、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、NECパーソナルコンピュータ、モトローラ・モビリティ・ジャパンの4社が参加した。○テレワーク浸透に向けた取り組みレノボ・ジャパンでは、同社が設立した2005年からすでにテレワークが可能なシステムを構築。2011年3月の東日本大震災でもテレワークが推奨されたが、インフラ面や社内ルールが十分に整備されていない部分があったことに加え、そもそもテレワークをするという意識が醸成されていなかったなどの理由から利用率は3割程度にとどまっていた。2014年の本社移転を期に固定電話にLync(現Skype for Business)を採用し、PCを使って電話の発信や着信が可能とした。また、2015年12月からテレワークの推進に向けて、秋葉原オフィスの従業員を対象に、テレワークによる効果や課題の洗い出しを行うパイロット運用を開始した。パイロット運用では、1週間のうちにテレワークできる上限日数を定めていたが、これを撤廃し、回数無制限とした。また、外部からアドバイザーを招き、テレワークを導入している他社の事例や、育児・介護で今後ますますテレワークの重要性が増すことなどを学ぶことで、テレワークに関する文化の醸成を図った。なお、パイロット運用の開始にあたって、インフラ面ではすでに導入している仕組みを利用したため、追加の投資は発生していないとのことだ。この結果、それまで34%だった利用率が88%まで向上。また、48%がパイロット運用を始める前と後で、生産性が上がったと実感。ワークライフバランスについても78%が向上したと答えている。具体的には「資料作成に集中できる」や「通勤ストレスの解消ができた」「休暇を利用しなくても介護/育児/通院/荷物の受け取りができた」とのメリットが挙げられた。レノボ・ジャパンで"ワークスタイル変革プロジェクト"を担当する村上武士氏も「レノボ・ジャパン設立当初からいるが、そのころはテレワークを取るという考えがまったくなかったが、実際にテレワークをしてみると、家族と一緒に食事を取れたり、子どもとすごす時間がふえたりと、ワークライフバランスが上がった」という。このほかにも「"小1の壁"(子どもが保育園から小学校に上がったときに、学童保育が延長保育に対応していなかったり、PTAや保護者会などで時間を取られてしまうといった課題)に直面したときにこの制度があったら」という声や「妊娠中の配偶者のそばにいられるため安心して仕事ができる」といった感想も紹介された。一方で、マルチディスプレイなどオフィスの方が働きやすい環境が整っている、あるいは紙による承認フローが残っているので、出社しなけければならないというケースや、退勤という仕事のやめ時がなく、むしろ業務時間が増えた、資料と声だけでやり取りするオンライン会議で話が伝わりにくい、テレワークに消極的な人がいてとりにくいといった課題も見つかった。「特に文化の醸成や意識を変えるといった部分は、すぐに対応するのが難しいと感じているが、繰り返し意識喚起を続けていく」(村上氏)とした。また、テレワークによって部門の生産性が下がったと答えたマネージャはわずか4%にとどまったが、顔を合わせて指示した方がわかりやすい、あるいは顔が見えないので、部下の体調が悪いときやモチベーションの把握が難しいといった見えないからこその難しさや、テレワークの頻度が増えたときにマネジメントできるか不安といった声が寄せられた。このほか、Skype for Businessの立ち上げを忘れる、または立ち上げが遅れて連絡がすぐに取れないケースもあったという。「パイロット運用では、生産性については大きな問題もなく、トラブルも発生しなかった。ただし、テレワークを前提としたルールの整備や社員の意識・行動変革が必要なところもあり、今後も取り組みを進めたい」と村上氏。レノボではパイロット運用の結果をもとにガイドラインなどを整理して、4月からの正式導入を予定している。実際のテレワーク業務に当たっては、会社支給PCからVPNで、社内サイトやチャット、メール会議システムといった社内システムにアクセスする。通信は暗号化され、不正アクセスが発生した際に追跡するため、すべてのアクセスログを取得する。システムについて説明した皆川達哉氏によると、テレワークのシステムは、数万人のアクセスに耐えるスケーラビリティ、Quality of Service(QoS)による高い通話品質、セキュリティといった特徴を備えるという。さて、「テレワークデイ」はこれまでのテレワーク推進の取り組みをさらに推し進めたもので、電話業務が中心となるインサイドセールス部門とコールセンターのメンバーを除く、秋葉原オフィスに勤務する正社員と派遣社員が対象となる。今回は全社員580人のうち、84%に当たる社員がテレワークで業務を行う(対象外の部門を除くと97%の参加率)。実際にオフィス内を見学したところ、ほとんど人がいない。「いつもは常にうまっている」という会議室も数カ所を除き、使われていなかった。それでいながら、業務自体はいつもと変わらずに行われているという不思議な感覚だった。○身近な環境を変えることで、発想の変化につなげる「テレワークデイ」の実施にあたり、レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目真伸氏は、「テレワークの推進は、"未来型企業"へ変革するための1つ」という。留目はこのところ、さまざまなイベントで"未来型企業"についてコメントしている。それは、1つの会社の中にとどまるのではなく、さまざまな企業に加えてエンドユーザーとも協力しながら、新しいビジネスやワークスタイルを「共創」していくというものだ。NECレノボ・ジャパングループでは、あらゆるユーザーが常にコンピューティングパワーによってサポートされ、活動できるようなデジタルライフの実現を目指して「共創プロジェクト」を発足し、取り組みを進めている(「共創プロジェクト」については、レノボ・ジャパン設立10周年記念事業説明会のレポートを参照してほしい)。その一環として、ライフスタイルやワークスタイルの変革を目的とする「D3プロジェクト」を推進している。留目氏は「現状を変えていくためには、自分たちが持つ既存の考え方や発想の仕方を変えていく必要がある。社内だけで完結するのではなく、社外も含めてさまざまな人とディスカッションすることで、新しい発想の種を得ることが重要だ」としたうえで、「テレワークによって、時間の使い方を変えたり、オフィス以外の場所で仕事をするといった形で、自分の身近な環境を変えることでも、発想の変化につなげてほしい」という。また、ほかの先進国と比べて日本では、長時間労働をはじめとする労働環境の整備が遅れている傾向にも触れ、「まもなく団塊ジュニア世代が親の介護という問題に直面する。これに対応していくのが喫緊の課題となる。フレキブルな働き方を実現していかなくてはいけないタイミングだ。また、事業継続という点から見ても、例えば災害が起きたときにオペレーションをどう継続していくか。テレワークが解決策の1つになる。テレワークに必要な技術はとりたて新しいものではないが、いまあるものをしっかりと活用して、その効果を自分たちでも実感するのが、こうしたソリューションを提供する会社として重要だと考えている」と結んだ。
2016年03月04日かけもちで仕事をすることがめずらしくないここイタリア。1日に3つの仕事をこなす知人女性は「いま編み物にハマっていて、赤ちゃん用ボレロをつくっている」と話していました。仕事と家事で忙しいなか、よくそれだけの時間をひねりだせるものだ…と感心したものです。イタリアのマンマたちは、忙しくても自分の時間を見つけだすのが上手。少しの時間でいろいろなことにチャレンジしている人がわりと多いです。生活をさらに充実させるため、彼女たちが実践している「すきま時間のつくり方」のコツをご紹介します。1.スケジュール帳で時間管理講師として働く知人女性は、忙しい合間をぬって国家試験の勉強をしていました。帰りが遅い日も多いと聞いていたので、どうやって時間をさいているのか聞いたところ「一日のうちのどのタイミングで勉強するか管理するために、手帳を使っているの」という答えが返ってきました。手帳は「時間軸で予定を書きこめるバーチカルタイプ、閉じたら手のひら程度のサイズ」という彼女流のこだわりがあり、「仕事・家事を含めて、寝る前に次の日の予定をなるべく10分刻みで書いておく」のが習慣です。「これだと、どの時間を勉強にふりわけられるかがひと目でわかる。どの時間に何をしたか簡単に書いておけば、どれくらい勉強が進んでいるかもわかるしね」と、時間管理のコツを語っていました。「10分でもいいから勉強する」というルールで一日の勉強時間をはかると、平均100分ほどあてることができていたとか。おかげで、先月見事に試験にパスできたそうです。2.リアルタイムでテレビを見ないIT企業で働く知人女性が、3人目の子どもを出産し子育てに追われていたときのことです。「3人の子どもの世話は予想以上に大変。夫と二人で家事・育児を分担していたけど、それでも時間の余裕がなかった」と当時を振りかえっていました。仕事にも支障が出そうになり「これではまずい」と、時間の使い方をチェックしたところ「テレビを見ながらの生活」をしていたことに気がついたそう。「食事中なら子どもが見たがる番組にあわせてダラダラ食事。そのほかの家事なら映画やバラエティ、ドラマ。見る番組のペースにあわせてついつい家事をやっていた」ことを反省し、「大人は帰宅後、ニュース以外のテレビを見ない」ルールに変更したといいます。見たい番組はすべて録画してモバイルやタブレットに落とし、通勤中や休憩時間に見ているとか。おかげでいまは、家事も子どもの世話も短時間で全部すませることができ、寝るまでの1時間半を自分の時間にあてています。一日のうちで、自分が何にどれくらい時間をかけているのかをまず把握することが、自由になる時間をつくるコツと言えるでしょう。自分のための自由な時間は、心や生活の余裕につながるもの。すきま時間を活用して、仕事もプライベートにもメリハリをつけるのも悪くなさそうですね。(金丸 標)
2016年03月01日女性の「活躍」の必要性が、今盛んに叫ばれている。2014年6月に改訂された『日本再興戦略』では「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」が掲げられ、2015年8月には「女性活躍推進法」が成立した。この法律により、大企業は自社の女性の活躍の状況を分析し「行動計画」をつくることが義務付けられることになった。こうして国を挙げて女性の活躍を掲げるようになった背景には、日本であまりにも女性の活躍が進んでいなかったという事実がある。2013年10月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」では、日本の順位は136カ国中105位と諸外国とくらべてかなり低いことがわかる。僕の周囲を見回しても、子育て・出産と仕事の両立という課題で悩んでいる女性は少なくない。なぜ、こんなにも日本では女性の活躍が難しいのだろうか?本書『働く女子の運命』(濱口桂一郎/文藝春秋/2015年12月/780円+税)によると、女性の活躍が日本で進まない一番の原因は、日本企業の多くが採用するメンバーシップ型雇用システムにあると論じられている。政府でなされている議論を見ていると、どうしても「活躍」という言葉だけが一人歩きしてどこに向かっているのかわからない印象を受けてしまうが、本書を読めば女性の活躍が進まない理由について構造的な理解が可能になるだろう。○メンバーシップ型社会で仕事と家庭の両立はかなりきつい日本の場合、新卒で会社に就職すると最初にどんな仕事をやらされるのかはわからないことが多い。入社後はじめて配属が知らされ、その後も数年ごとにジョブローテーションという形で部署異動を繰り返し、スキルをまんべんなく身につけていく。賃金は仕事の内容ではなく勤続年数に応じて決まる。会社によって多少の差異はあるものの、概ね「正社員」として働いている人はこのような形でキャリアを積み上げていくことになるだろう。日本企業では、社員は特定の職務に紐付いているわけではなく、会社に紐付いていると考えることができる。だからまったく経験のない職務への配置転換も行われるし、時には転勤もありうる。今ある目の前の仕事をこなせるかということよりも、数十年に渡って会社の一員として、理不尽な命令にも従ってくれるかという全人格的判断が重視される。このような労働社会のあり方を、本書では「メンバーシップ型社会」と呼んでいる。このようなメンバーシップ型社会で活躍するためには、ある程度私生活を犠牲にして会社に尽くす必要があるが、それができたのは今まで主婦に家事と育児をほとんどすべて任せた男性たちだった。この事実上の男性コースに入れてもらった少数派の女性たちは、男性と同じように私生活を犠牲にするというルールの下で戦っていかなければならない。そこでさらに育児・子育ても両立しようと考えると、超人的な体力・精神力が必要になる。活躍している女性のインタビューなどを見るとこういった超人的な人たちばかりがフィーチャーされるが、それは一部の人の特殊ケースであって、すべての人にこのような超人的なライフスタイルを求めるのは現実的ではない。必要なのは社会構造そのものの見直しではないだろうか、と本書は提言しているように見える。○ジョブ型社会の男女平等日本がメンバーシップ型社会なのに対して、欧米はジョブ型社会だと言われている。ジョブ型社会では、企業の中の労働をその種類ごとに職務(ジョブ)として切り出し、その各職務を遂行できる技能(スキル)のある労働者をはめ込む。ジョブ型社会ではメンバーシップ型社会のように突然無関係の部署に配置転換されたり、転勤を強制されることは基本的にない。賃金もそのジョブのスキルに対応して払われるので、会社の在職期間が伸びれば自動的に上がるというようなこともない。会社と労働者の結びつきがそれほど強くないので、ワークライフバランスの追求も現実的になる。ジョブ型社会で男女平等を実現する場合、ジョブへの就労自体の男女平等を促進すればいい。男性の占める割合が多いジョブなら、時には女性を優遇して(アファーマティブアクション)男女比の適正化をはかる。また、男性の多いジョブと女性の多いジョブの付加価値が同様で賃金格差があるというなら、「同一価値労働同一賃金」を適応して賃金の適正化をはかる。メンバーシップ型社会における男女平等よりも話はずっとシンプルになる。○働く男子も必読日本がメンバーシップ型社会であることから生じている問題は、何も女性の社会進出に限った話ではない。たとえば、日本人が働きすぎていてワークライフバランスが改善しないという問題も、結局は「会社と労働者の結びつきが強すぎる」ことに原因がある。そういう意味では、本書は働く女子に限らず、男子も読む必要があると言えるだろう。本書をもとに「働きづらさ」の正体について考えてみるというのはいかがだろうか。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2016年01月29日いま、単身女性は実に3人に1人が貧困で、母子世帯となると57%にもなるといわれています。ここ数十年の間で、女性が社会で活躍できる場が増えてきているはずなのに、女性の貧困化が進んでしまっている原因とはなんなのでしょう?貧困の根本的な原因と、その対策をまとめてみました。■日本は女性の就業率が71.8%なのに管理職が少ない日本にくらべ、欧米では女性が男女の性差なく活躍しているイメージがあると思います。しかし近年、日本の増加傾向に対して欧米での女性就業率は低下しており、実際は日本の方が女性就業率は高くなっているのです。日本の場合、女性が管理職など重要なポストについている割合は海外とくらべて著しく低いのが現状。その原因としては、ワークライフバランスの理想と現実がまだまだかけ離れているということが挙げられます。多くの会社では、女性も男性と同じように新卒採用されていますが、管理職に就けるようなポストには採用されないケースが多いのです。昇進が見込めないポジションであれば、当然昇給も期待できるわけがありません。よって、こういった現実も女性の貧困化原因のひとつです。また、ワークライフバランスを保てないことで、結婚、出産というタイミングで離職してしまう女性が多いことから、管理職に女性を採用できないという意見もあります。内閣府の調査データによると、実際に就業していた女性のうち、結婚・出産で離職する人は3人に1人の割合。それに対して、北欧での女性就業率は非常に高く、もっとも高い国が82.8%のスウェーデンです。北欧では、重要なポストに就いている女性が大勢います。実際、私も仕事でノルウェーを訪問した際、4人の子どもがいながら、部長職に就いているという女性に出会い、驚いたものです。ノルウェーでの女性役員の割合は、なんと、世界一で36.1%。北欧の社会保障が充実しているというのは日本でもよく知られていますが、女性がこのように活躍できるのも、社会全体が女性をサポートしているということなのでしょう。■貧困対策として真似したい北欧のワークライフバランス(1)ノルウェーのクオーター制それでは、日本と北欧の女性の就業状況は、一体どう違うのでしょうか。その大きな違いとして、ノルウェーにはクオーター制という法律が2004年より上場企業を対象に導入されています。この法律は、取締役のうち、いずれの性別も4割を下回ってはいけないというもの。クオーター制を導入することにより、結婚、出産後も女性が継続して働き続けられるような労働環境を整備することが必然的に求められました。当然、女性の労働意欲もより高いものになっていったのです。(2)ライフワークバランスの意識ライフワークバランスを意識した働き方が浸透していることもあり、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドでは、週48時間以上働く人は全体の10%程度で、1日の平均労働時間は6.6時間。有給休暇も、年間最低25日の付与が義務づけられています。でも1日の労働時間が短くなると、生産性が下がってしまうのではないかということが気になりますよね。そこでノルウェーの友人に尋ねたところ、私生活と仕事のメリハリをしっかりつけることでストレスも軽減され、仕事のモチベーションを保つことができるので、結果的に効率的だとのことでした。そのため、過労で体調を崩す人も少ないそうです。こういった事実から、ノルウェーでは、ワークライフバランスに満足している人は、全体の9割にも上るといいます。(3)柔軟な労働時間制度ワークライフバランスを保つために、日本のフレックス制度よりも柔軟な労働時間制度を導入している企業が北欧には多く存在します。スウェーデンでは、企業の約65%が就業時間や休日を柔軟に変更できる制度を導入しています。この結果、女性が育児にかける時間は毎週15時間以上なのだとか。この労働時間制度により、女性だけではなく、男性も日本に比べて多くの時間を家族と過ごすことができるということ。育児休暇も、男女ともに3年取得できるということで、夫婦が協力し合って労働と育児を両立することができるようになっています。*日本ではまだまだ、北欧のような労働環境を整えるのは難しいのかもしれません。しかし、北欧は時間をかけてワークライフバランスを維持できる環境をつくり上げてきました。日本も今後、満足度の高いワークライフバランスを実現すべく、北欧のワークスタイルを参考にしていきたいものです。女性を採用する側も、される側も、労働に対する意識を変えていく必要があるでしょう。長く働き続ける環境をつくり上げることで、女性の貧困問題の解決にもつながっていくのではないでしょうか。(文/hazuki)【参考】※女性就業率、日本は34カ国中24位OECDまとめ-日本経済新聞※What It Costs to Be Me: Women’s Average Salaries-marie claire
2016年01月27日茨城県警察はこのほど、所轄署の署長や本部の刑事部長ら78名の幹部職員全員が「イクボス宣言書」に署名したと発表した。同県警察は、いつ起こるかわからない事件・事故の対応に追われるなか、どのようにワークライフバランスを実現しようと考えているのか。担当者に聞いた。○幹部職員の意識改革が子育てしやすい職場作りにつながる「イクボス宣言書」は、ワークライフバランスが実現できる職場作りを目的として、同県警察が作成したもの。宣言書には、「職員が仕事と家庭を両立できる働きやすい職場環境を作り…(中略)…自らも仕事と私生活を充実させる『イクボス』となります」と書かれている。なぜこのような取り組みを実施したのか。この点について警務部の担当者は、「この年代の職員には、これまで仕事一筋に打ち込んできた人が多い」と指摘。ワークライフバランスを推進するためには、職員が休暇を取りやすいよう、幹部職員の意識改革を徹底する必要があると考えたという。宣言書の署名にあたっては、幹部職員全員が、イクボスのアドバイザーによる講義を受講。ただ署名するだけではなく、イクボスについての資料を自分の机に掲示して、意識づけるところまで徹底している。○出産前後の休暇、男性の取得率100%を目指すそれでは子育てしやすい職場作りに関して、具体的にはどのような目標を定めているのか。警務部担当者によれば、最も力を入れているのが男性職員による「配偶者出産休暇」と「育児参加休暇」の100%取得だ。「配偶者出産休暇」とは、配偶者の出産前後に3日間の範囲で休暇を取得できるというもので、現在でも、2015年1月1日~11月5日までに配偶者が出産した男性職員の97.8%が取得している。一方、配偶者の出産前後に育児を目的として5日間の範囲で取得できる「育児参加休暇」の取得率については、同期間で49.6%にとどまっている。担当者は、「まだまだ制度の周知が不十分。子どもがうまれる予定の職員を把握して、積極的に制度を紹介していきたい」と話した。同県警察ではこのほかにも、中学校就学前の子どもを持つ職員については、深夜・時間外勤務を免除できる制度を平成26年4月、独自に創設している(県職員に適用される条例の定めでは、子どもの年齢上限が、小学校就学前までとなっている)。出産時だけでなく、その後の子育てにおいても頼りになる制度が充実しつつあるようだ。○メリハリのある働き方だからこそ、仕事に全力投球できるしかし、事件・事故の対応に追われる警察という組織で、ワークライフバランスを実現していくことは難しいのではないだろうか。この問いに関して担当者は、「緊急事案にしっかり対応するために、逆に必要な働き方だ」と答えた。「何もないときには早く帰宅し、休暇も取得してもらう。ムダを省き、業務の効率化を進めることで、仕事に全力投球できる」という。さらに、育児だけでなく、病気やけが、家族の介護など、多くの職員がさまざまなライフイベントに直面することを想定しているという同県警察。職員が1人欠けても仕事が回るような業務力をつけるという目的からも、今回の取り組みは有効とのことだ。県民の安心・安全を守るという職務を全うしてもらうためにも、これらの取り組みが推進されていくことを望みたい。
2016年01月26日「『イクメン』提唱者が語る今の"なんちゃってイクメン"に必要なこと」と題した前編では、国内外のワークライフバランス先進企業を研究してきたダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さんに、育児に取り組む際の夫婦のあり方について聞いた。後編となる今回は、育児をしながら、認知症を患う父親の介護を行っている渥美さんに、引き続き「ダブルケアに取り組むときの夫婦のあり方」について語ってもらった。○育児からのキャリアアップとしての「介護」を――渥美さんは、育児をしながらお父さまの介護にも取り組まれています。最もつらかったのはどんなことですか? そしてどのように乗り越えていらっしゃいますか?父が統合失調症を発症したときは、自分に対して罵詈(ばり)雑言を浴びせてきて、尊敬して大好きな父が壊れていくのがつらかったです。そして、報われないのもつらかったですね。自分なりに一生懸命やっていることが評価されないつらさもあります。育児と介護を急にいっぺんに両立するというのは大変だけど、先に育児を経験していたから乗り越えられたと思います。ライフのキャリアアップと呼んでいるんですけど。自分が親におむつを取り換えてもらっていたというのを、育児によって逆側の立場で追体験していれば、おやじの排せつ介助だってできるんですよ。自分ひとりで大きくなったつもりでいると、親にやってあげているという姿勢になる。恩返しだと思えるからできていると思います。子どものおむつを替えたことがないと自慢する男がいますが、自分が介護される立場になったとき、絶対におむつを取り換えてもらえないと思います。――夫婦で介護と育児を両立していくには何が必要ですか子育てをやってくれたんだから、介護だってやってくれるはずだろう。養ってやっているんだから当たり前だろうと介護を妻に押し付ける短絡的な考えを持った男性がすごく多い。しかし妻にも親はいるし、相手の親の介護なんてねぎらいがあれば成り立ちますが、当たり前だというのは絶対にうまくいかないです。介護をきっかけに離婚する熟年夫婦は増えている。深刻な問題です。また、特に男性は仕事の感覚で介護をやる人が多くて、それは間違いなく失敗するんですよ。100%全部やってあげようとする。でも、介護される側にとって、全てのことを人にしてもらってありがとうって言わなきゃいけないってすごく無力感にさいなまれるんですね。生きる力を奪うんです。全部やってあげるのではなくて、高齢者に「ありがとう」と言う場面をたくさん作るのが高齢者への最大のリスペクトだと思います。人に感謝されるのが生きる原動力になるからです。○ギブ&テイクの姿勢が大事――「ダブルケア」の状況では、周囲の協力も欠かせないと思いますちょっとでも恩を売れる場面があったら、先に恩を売っておくというのがすごく大切。必ず自分に返ってきます。例えば僕は、地域で子ども会を運営しています。たいしたことをやっているわけではないのですが、あの人は地域の子どもたちの面倒をみて偉いと勘違いしてくれている近所の人たちは(笑)、何か困ったことがあると助けてくれるんです。――例えばどんなことですか?父が徘徊して困ったときは、地域に包囲網があって助かりました。「お父さん、おばあちゃんちの前にいるけど大丈夫? 」とか、「新聞がたまっているから倒れているのでは? 」などと連絡をくれるんです。近所の目って、都会では人為的に作らないと難しいと思っていたので、菓子折りを持ってあいさつに行って、事情を伝えて携帯電話の番号を伝えておくだけでもそういう風に助けてくれる人はいます。これは職場でも言えることで、貢献する姿勢がすごく大事だと思います。貢献する姿勢があるからこそ、支援もしてもらえます。私の同僚たちは、自分がつらいときにすごく助けてくれんです。なんでもギブ&テイクですよね。――親戚同士の連携はどうでしょう?全員参加で逃げを許さない、できることは全部やるという雰囲気で介護をするという体制をつくることが大切です。自分が父を邪険にしたら、将来子どもたちから邪険にされるだろうって思ったらそんなことできないですよね。自分の親が、祖父母に対してどういう風に接しているのかというのを、子どもたちは見ています。反対に、祖父母を大切にしていたということを刷り込みできていたら、子どもたちは親を介護するのが当たり前と感じるようになると思います。○大変だ合戦をやめる――最後に、育児と介護に取り組む夫婦のあり方について教えてください父の介護が必要になったとき、妻は次男を産んだばかり。育児と介護で夫婦関係は最大の危機を迎え、離婚寸前までいきました。それでもやってこられたのは、そのとき息子の難病が発覚したことがすごく大きかったです。縁あって一緒に暮らしている人はかけがえのない存在で、そういう人たちとの時間もいつまでも続くわけじゃなく、当たり前と思っちゃいけないと2人とも気づけたんです。さらに介護に直面したとき、「大変だ合戦」をやめたことも大きかったと思います。お互いに、自分が大変だと主張しあうことをやめました。わが家では、「大変だ」という言葉を使うときには必ず相手を主語にしています。そうすると、譲り合う状況が生まれます。夫婦は一番近い他人というじゃないですか。よほど努力しないと円満な関係は維持できない。妻に対しては「夫を敬いますか」、夫に対しては「妻を愛しますか」と確認する結婚の誓いの言葉がありますが、これは努力し続ける覚悟を問うた言葉だと思っています。愛するっていうことを男性は努力しないと続けられない。女性の場合はリスペクトがなくなっちゃうから、夫にとっては妻を愛し続ける努力だし、妻にとっては夫を敬い続ける努力が必要なんだと思います。○「長いものに巻かれるな! 苦労を楽しみに変える働き方」(1,300円・税別)「イクメン」という言葉の生みの親であり、国内外のワークライフバランス先進企業、約950社を訪問ヒアリングし、企業や自治体のダイバーシティの取り込みをサポートするなど、この分野の第一線で活躍する渥美氏。プライベートでは、2度の育児休暇を取得し、また子どもの1人は難病のため看護を経験し、認知症と統合失調を患う父親の介護も続ける。さらに自分自身が発達障害であることをカミングアウト。ダイバーシティ・コンサルタントとしての数多くの事例研究と、自分自身が数々のライフでの困難を乗り越えてきた経験から導き出した実践的な仕事術を紹介する。
2016年01月24日10年前に「イクメン」という言葉を提唱し、国内外のワークライフバランス先進企業を研究してきたダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さん。2015年11月に著書「長いものに巻かれるな! 苦労を楽しみに変える働き方」を出版した。プライベートでは2度の育休を取得し、また子どもの1人は難病のため看護を経験し、認知症と統合失調症を患う父親の介護も続けている。そんな渥美さんに、育児に向き合う夫婦のあり方についてお話を伺った。○”なんちゃってイクメン”は”真正イクメン”へのプロセス――「イクメン」という言葉を提唱された10年前に比べ、「イクメン」事情はどう変わりましたか?10年前と明らかに変わってきたなと思うのは、父親が休日に子どもたちを連れて外に出掛けるというのは普通になったなということです。また、地域によっては平日の夕方以降もそういう男性たちの姿を見るようになりました。明らかに、男性の家事・育児参加は進んでいると思います。ただ、6年前に厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を立ち上げたとき、男性の育休取得率を13%に上げようという目標を国は立てていましたが、ここについては結果が出ていない。男性社員1人が1日休みを取りましたというだけで、「くるみんマーク」(厚生労働省による子育てサポート企業の認定制度)の認定を受けている企業もあるのが現状。家事・育児に関してはまだまだお手伝い程度の男性が多く、本格的に休みを取る人は少ないと思います。――親が育児をするのは当たり前なのに、少しお手伝いするだけで「イクメン」というのはどうかという批判もありますたしかに、渥美さんが変な言葉を作ったから、私の夫が「イクメン」ぶって困るって文句を言われることがあります。そういう「なんちゃってイクメン」は、かなり困ったなと思っています。ただ、「男子厨房に入らず」とか「子どもを抱っこしたことがない」と自慢する上の世代の男性たちに比べればかわいいほうだなと思いますし、それは真正イクメンに変わっていくプロセスになればいいと思います。家事や育児に携わっていくなかでいかに大変かとわかったり、「イクメン」と言えば言うほど妻からの風当たりが強くなったりすれば、そのうち自慢しなくなると思いますよ。プロセスとしてまだやりたてだししょうがないと、おう揚に構えてほしいです。○出産前に「1次反抗期」をつくる――それではどうしたら、夫が「真正イクメン」になってくれるのでしょうかまだ子どもがいない、ラブラブなときに「1次反抗期」をつくっておくべきかなと思っています。――「1次反抗期」とは?夫が家事をやらなくても「いいよいいよ」とやり過ごすのではなく、摩擦を作っておくんです。「私はあなたと人格が違うんだ」「私の時間はすべてがあなたの時間ではない。私の時間は私の時間」「あなたの時間は一部あなたの時間だけれど、共有する時間は役割をシェアしましょうね」という風にです。そしてそのことを「見える化」したほうがいい。例えば夫が家事をやらないと言うなら、その分家政婦さんを雇った場合にこれくらいお金がかかると提示する。それを夫の給与から天引きするとか。シェアしないと成り立たないという覚悟は示しておかないといけないです。子どもがうまれると夫は、「妻の愛情が子どもに移ってしまった」「子どもをうんで妻は変わった」とか言い始めるんですよ。一方で妻側からは「あの人は何で変われないの」と変わらない夫と変わった妻が相手を否定しあう。これを「2次反抗期」と私は呼んでいるのですが、「1次反抗期」がないと、「2次反抗期」がすごく深刻化します。子どもがうまれてからでは遅くて、うまれる前に夫を改造することも妻の甲斐性だと思いますね。○夫は愛されたくてすねている――子どもがうまれてからは、夫にどう協力を仰いだらいいでしょうか僕の周りでは、妻からネガティブなことしか言われていない男友達がすごく多いんですね。イクメンブームで、男も子育てをするものだという雰囲気で女性たちが結婚して、夫を見てがっくりくる。それで僕の名前を引き合いに出して「渥美さんを見習ってほしい」とか言われているわけです。僕には困ったところがたくさんあるのに、いいところだけ切り取ってね。まずは片目をつぶって、相手がやってくれたことをほめる。特に自分の子どもがお父さんを自慢することをぜひ実践してほしいと思います。特に、子どもにほめられると男性は変わると思います。妻と子どもの言葉ってすごく大きいんです。以前、家族とうまくいっていない男友達を誘って、一緒に父子旅行をしたときに、僕は友人の子どもたちに向かって友人がどんなにいいやつか、友達甲斐のあるやつか、学生時代のエピソードの数々を面白おかしく話しました。すると、子どもたちはお父さんにリスペクトの目を持つようになった。そしたら友人はすごく張り切っていましたよ。ここまでがんばるのか、というくらい、旅行中がんばっていました。夫は愛されたいんだもん。僕の周りの妻とうまくいってない夫って、みんな愛されたくてすねているだけですよ。――ここまで、育児に向き合う夫婦のあり方について語ってもらった。続く後編では、育児と介護の両立「ダブルケア」にどう取り組むべきか、引き続き渥美さんに聞く。
2016年01月23日エン・ジャパンは20日、「ワークライフバランス」に関する調査の結果を発表した。対象は同社サイトを利用する3,523名。期間は11月26日~12月23日。○勤務時間・日数、派遣社員の6割が「ちょうど良い」「現在のワークライフバランスはどうか」を雇用形態別に聞いた。「良い」と回答した割合が最も多かったのは「派遣社員」(41%)だった。次いで、「契約社員」「アルバイト」(ともに34%)となり、正社員(18%)が最下位だった。ワークライフバランスが「悪い」と回答した人に対して、「どうすれば改善すると思うか」を聞いた。「仕事の割合を減らす」と回答したのは「正社員」(83%)が最多だった。以降、「契約社員」(58%)、「派遣社員」(49%)と続いた。一方、「仕事の割合を増やす」と回答した割合は「アルバイト」(45%)が最多に。次いで、「派遣社員」(25%)、「契約社員」(11%)となった。「勤務時間・勤務日数についてどう感じるか」を質問したところ、「ちょうど良い」と回答した割合が最も高かったのは「派遣社員」(67%)だった。次いで「契約社員」(58%)、「アルバイト」(54%)。勤務時間・勤務日数が「長い」と回答した層は「正社員」(63%)、「短い」では「アルバイト」(26%)がそれぞれ最多となった。
2016年01月21日●都市勤めのビジネスパーソンが地方で勝負する価値近年、「地方創生」を耳にする機会が増えたが、実際に都内で働く人が地方でビジネスをするなら、どのようなメリットがあるのだろうか。そこで今回は、過去に岩手県知事や総務大臣などのキャリアを持ち、『地方創生ビジネスの教科書』(文藝春秋/1,200円+税)の著者でもある、日本創成会議座長の増田寛也氏に、地方での働き方や地方が求める人材について、お話を伺った。○地方の働きやすさとは――都市勤めのアラサービジネスパーソンが地方で勝負するメリットは何だと思いますか仕事上での自己実現について考えると、都内よりも達成しやすいと思います。私が岩手県の知事を経験して感じたのは、地方では人材層が薄いということです。だからこそ、スキルを持っている人は強い。ビジネスパーソンが自信のある分野でビジネスを始める場合、都心と比べて競争相手が圧倒的に少ないと思います。また、地方であれば職住近接30分以内が多く、物価も安いので、生活がしやすいでしょう。30代前後の既婚者や子育て中の方がワークライフバランスを両立させるには、東京は難しい地域だと思います。通勤時間が片道60~80分と長時間で、近所との関わりが少ないケースも多いです。例えば子供が熱を出した場合、地方の企業であれば「一旦、家に帰って子供の様子を見たらどうか」と声をかけてくれます。15分ほどで自宅に帰れて、子供を看病したら会社へ戻れる。この"近さ"が地方で働く良さだと思います。起業してみたい方にとっては、細部の法律関係まで相談可能な体制になっていることが重要だと思いますが、今は地方の環境も相当整ってきています。競争相手が少なく、環境が整っており、ワークライフバランスを確立させやすい。こうした生活環境からみた働きやすさが、地方のメリットとして大きいのではないでしょうか。出身地の近くで知り合いがいれば、ネットワークを広げやすいという利点もありますね。――逆にデメリットはありますか?人によって考え方は異なりますが、毎晩違うナイトスポットに出掛けたい、歌舞伎座に通いたい、など都市的な刺激に飢えている人にとって、あまり満足感は高くないかもしれません。――Iターン、Uターンでは、東京より南の地方が人気だと思うのですが、東京より北の状況はいかがでしょうかたしかに、移住となるとそうですね。北の地方の場合でも、東北を飛ばして北海道に行きがちです(笑)。しかし、たとえば仙台なら東京から1時間半ほどで行けますし、都会の需要に合ったサービスを仕事にしたい方にも、良い地域ではないかと思っています。●地方で活躍するのに"必要な力"とは○地方で働くために知っておきたいこと――都市で働くビジネスパーソンが地方でビジネスを行うにあたって、気をつけなければならないことはありますかすべてその土地の習慣に従う必要はありませんが、東京と若干異なっていることは知っておいた方がいいでしょう。時間や生活の感覚において、ゆったりとしている部分はあります。都心のように、時間に対して1分1秒を争うことはありません。――例えば、土地による習慣や、人間関係はあまり気になったりはしないのでしょうか相手が30代前後の働いている人であれば、土地の習慣によって仕事が進めにくくなることはほとんどないと思います。もちろん、全体でみれば閉鎖的なところはありますが、県庁所在地や、第二の都市程度であれば、経済が発展しています。はじめは相手の口が重たくなることもあるかもしれませんが、実際に入ってみると、親切な人が多いんです。ただ、行ってみないとわからない部分も多いので、東京から地方へ行って働いている人達の口から話を聞く機会があるとなお良いですね。○いま、地方が求めている人材とは――都市で働くビジネスパーソンが地方で活かせる、求められるスキルというのはありますか地方で人材が足りないのは、サービス業やITなどの事業です。また、デザイン系も手薄ですね。――どういったサービス産業が多いのでしょうかサービス産業の幅は広いのですが、特に観光業です。なかでも、今注目されているものに、インバウンドに対しての通訳やレセプションの応対などがあります。こうした観光業において、地方にはまだまだ伸びしろがある。近隣の都市とライバル関係にあるよりも、むしろ広く協力関係をつくることが大事になっています。地元の人達だけでは、観光協会で留まって衰退しています。だからこそ、県から飛びだして、他県の端までダイナミックに動き、企画することが必要です。――サービス産業などにしても、企画を立てられる力が求められるのでしょうか企画のみならず、実現へむけての交渉、集客、PRまでを含む全部をひとつにまとめられるような力が求められます。古い企業形態のまま固まっている企業が多いので、新しい分野に広げていく意欲と、新しい分野で全体をとりまとめられることが大事。そのあたりは、なかなか地元の人だけだと出来ないことだと思います。やっぱり実際に行ってみないと、自分に合っているかどうかわからないですよね。ドアをノックしてみて初めて、その先の人や自然など、地方ならではの良さを感じるのではないでしょうか。――ありがとうございました『地方創生ビジネスの教科書』(文藝春秋/税別1,200円)日本各地に眠る宝の資源を発掘し、磨き、売り込み、稼ぐには?地方に魅力的な仕事を生むことで、人が集まり、街がつくられ、次世代へもつながる。本書では、「地方創生ビジネス」10の事例を紹介。鍵を握るI&Uターン、地方ならではのIT活用、人づくり・場づくり、補助金からの自立、日本一の売り場へ並べる方法、農協との共存作法、小ささを逆手に取る方法、など「成功の極意」を惜しみなく伝える。
2015年11月04日インヴァランスはこのほど、「女性のワークライフバランスに関する意識調査」の結果を発表した。調査は9月11日~13日、全国の働く女性600名を対象にインターネットで行われた。○働く女性の年収は「平均366万円」調査ではまず、働く女性の年収について調べたところ、「299万円以下(33.2%)」「300~399万円(22.7%)」「400~499万円(18.0%)」と回答した人が多く、その平均値は366万円であることがわかった。○働く女性3割に"恋人"アリ次に、「あなたは現在特定の恋人がいますか?」と質問したところ、30.8%が「恋人がいる」と回答。また、「恋人にしたい人がいると仮定した場合、どのような行動を取りますか?」と尋ねたところ、「相手からのアプローチを待つ(25.8%)」「どちらかと言うと相手からのアプローチを待つ(45.8%)」と回答した女性が7割にのぼったことから、働く女性の多くが「恋愛に対して受け身である」という実態が判明した。○恋愛に求めるものは「刺激」よりも「安定」続いて、「恋愛に求めるものは何ですか?」と質問したところ、全体では79%が「安定を求める」と回答した。また、職業別で見ると、営業職の女性の49.3%が「刺激を求める」と回答していることから、積極性を求められる営業職は、プライベートにおいても「肉食系」の姿勢を彷彿させる結果となった。
2015年10月08日長い間「働きすぎ」といわれ続けてきた日本人。ことし1月に発表された日本労働組合総連合会の調査によると、日本の正規労働者の1日の平均的な労働時間は8.9時間。一般社員の6割が「残業を命じられることがある」と答えています。そんな状況を打開する方法のひとつが時短勤務ですが、日本ではなかなか定着していないのが現状です。そんななか、賃金はそのまま勤務時間だけを短くする試みが、早くから行政や各地の企業で試験的に行われてきた「時短勤務先進国」がスウェーデンです。イギリスの報道機関『ガーディアン』を参考に、スウェーデンの事例から時短勤務の可能性を考えてみましょう。■時短勤務は「高い給料より魅力的」だった!?スウェーデンのとある公営老人ホームで6か月前、看護師たちに対して時短勤務が導入されました。給料は減らすことなく、1日あたり8時間勤務だったシフトを6時間に短縮したのです。給料がそのままというところは、福祉に厚い北欧ならでは。6か月後、看護師たちのストレスは減り、より精力的に仕事をするようになりました。入居者へのケアの質も向上し、スタッフの生産性もアップ。離職率も著しく低下するなど、効果はいろいろなところに現れています。人材獲得の面でも、時短勤務のメリットは大です。スウェーデンのあるインターネットプロバイダ企業では、3年前から時短勤務制を導入し、より優秀な人材を採用しやすくなったといいます。経営者は「能力の高い人材を惹きつけ、留まらせることは企業にとってとても重要なこと。職を探す人々にとって、ワークライフバランスの観点からこの1日6時間労働制は高いお給料よりも魅力的であることが多々ある」と指摘します。■時短勤務の課題はスタッフ増によるコストいいことづくめに思える時短勤務。雇用する側にとって、もっとも大きい課題はコスト面です。1例目の老人ホームのケースでは、この時短シフトで仕事を回すため、14人の新たなスタッフが雇い入れられ、人件費が増加しています。こうしたコスト増が原因で、時短勤務を導入しても継続できないケースが少なくありません。しかし、スウェーデンではコスト面での課題を克服した事例も報告されています。イエーテボリにある自動車メーカーの事業所では、13年前に6時間勤務が導入されました。朝7時から夕方4時まで実働8時間(休憩1時間)のフルタイムシフトから、給料はそのままに休憩時間を減らし、朝6時からと昼12時からの交代制シフトに変更。導入以前は仕事中のミスが多く、スタッフのストレスになっていたり顧客をより長い時間待たせたりしていたのが、時短勤務を導入してからは効率がアップ。機械を効率的に稼働させることができ、結果、利益が導入前より25%増に。時短勤務制度は現在も継続中です。■いまだ認知度の低い「短時間勤務制度」導入されれば労働者へのメリットは多いけれど実現にはハードルもある、というのが実のところ。実は、日本の厚生労働省でも時短勤務を推進しています。育児や介護、自己啓発や心身の健康、モチベーション向上を目的として、フルタイム社員よりも1週間の労働時間が短い働き方を推進する「短時間正社員制度」の導入を呼びかけていますが、導入している事業所は14.8%(平成26年実績)。平成26年に行われた実態調査では、「自社の働き方になじまない」(46.2%)、「従業員にニーズがない」(39.3%)、「内容をよく知らない」(30.3%)といった理由で、ほとんどの企業で導入に至っていません。日本では、『earth music&ecology』を展開する株式会社クロスカンパニーが2011年から短時間正社員制度を導入し、話題になりました。育児目的で1日4時間勤務が可能な「キッズ短時間」と、結婚・妊娠・産前・育児・介護・傷病目的で1日6時間勤務となる「短時間勤務制度」の2種類で実施していますが、そうした取り組みはまだごく一部に限られています(このほかの事例は厚生労働省・短時間正社員制度導入支援ナビで見ることができます)。*導入した企業からはさまざまなメリットが報告される時短勤務。労働者が気持ちよく働ける環境づくりに有効な方法であることは間違いありません。先進事例を参考に日本でも、一人ひとりがワークライフバランスの面から望ましい働き方を選択できる社会の実現を目指したいものです。(文/よりみちこ)【参考】※Efficiency up, turnover down: Sweden experiments with six-hour working day―theguardian.com※労働時間に関する調査―日本労働組合総連合会※短時間正社員の導入実績:平成26年度雇用均等基本調査結果概要―厚生労働省※短時間正社員制度に関する実態調査結果報告書(概要)―厚生労働省
2015年10月07日キャリアデザインセンターは8月21日、「学生時代の就活」と「今」の会社選びの基準の変化に関するアンケート調査結果を発表した。調査は7月16日~21日、同社が運営する「女の転職@type」の20代~30代女性会員およびWebマガジン「Woman type」サイト読者270人を対象にインターネット上で行われた。「学生のころの就職活動時と現在で、会社を選ぶときに重視することは変わりましたか?」と聞いたところ、7割近くが「変わった」と回答。次に、「学生のころ、会社を選ぶときに重視したこと」「今現在、会社を選ぶときに重視すること」を聞くと、学生時代に重視していたポイントは「仕事内容」(74.4%)が1位で「給料」(49.6%)が2位だったのに対し、今重視するポイントは1位「給料」(76.3%)、2位「仕事内容」(58.1%)と逆転していることが分かった。理由を聞いたところ、「学生のころは仕事終わりの楽しみについてばかり考えていたため、おしゃれな街で働きたいと思っていたが、それよりもまずワークライフバランスがなってないと充実した生活が送れないと気付いたため」(24歳/システム開発)や、「学生のころは給与が多い職場を重視していたが、同僚や上司の人間関係が良くないと楽しく働けないと分かった」(34歳/エステティシャン)などの回答が挙がっている。他には、「最近は結婚を考えるようになったので、ワークライフバランスを気にするようになった。仕事が終わってからご飯を作る時間が必要だな、とか」(25歳/営業事務)、「これまでは自分のために使う前提で給与や休みの時間のことを考えていたが、子供ができてからは子供と一緒により長くいられて、子供のための貯金ができるほどの給与を、と考えるようになった」(25歳/看護師)などが見られた。
2015年08月24日大手総合商社の住友商事は、時間外勤務の削減や仕事と育児・介護の両立支援など、さまざまなワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の施策に取り組んでおり、2015年4月には、特に優良な子育てサポート企業として、厚生労働大臣の"プラチナくるみん認定"を受けた。10年前から良い職場環境づくりに取り組み続けている背景にはどのような考えがあり、また、どのような世界が見えているのだろうか。ワーク・ライフ・バランス推進を担当している人事厚生部 課長の本山ふじか氏にお話を伺った。○ワーク・ライフ・バランスの理念と推進体制――まずは御社のワーク・ライフ・バランスに対する基本的な考えを教えていただけますか?当社がワーク・ライフ・バランスへの取り組みを積極的にはじめたのは2005年からなのですが、この時に「社員一人ひとりの仕事を含めた生活全体の充実が、活力を生み、新たな価値創造の原動力になる」と基本理念を掲げました。皆さんに共感してもらえる普遍的な概念だと思いますが、それをあらためて言葉にしたわけです。一般的に人材戦略のサイクルは「人材の確保」→「人材の育成」→「人材の活用」という流れとなりますが、当社ではワーク・ライフ・バランスを主に「人材の活用」面での施策と位置付けています。それが社員の活躍のベースになるという考えがあるからです。――どのような体制で、理念を具体的な施策に落とし込んでいるのでしょうか?「ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクトチーム」を設立し、就業環境の整備や意識改革など、さまざまな施策を実行し続けてきています。人事だけで旗を振るのではなく、現場の状況もよく分かっている、各部門からの代表者で構成されており、いろいろなテーマで議論をしたり、人事からの提案を現場でもんでもらえるような双方向の関係を築いています。働き方の変革が活動の柱で、時間外勤務の縮減や有休取得の推進を全社員向けにやってきています。また、育児や介護といった個別事情を有する社員の支援も、法律で求められている以上の制度整備や事業所内保育所の設置など、積極的にやってきました。○社員の意識をどう変えていくか――ワーク・ライフ・バランスの概念はどうやって社員に伝えていったのでしょうか?意識改革については、例えば、労働組合と協力して「働き方カイゼンセミナー」を開催し、「働く」ということの意味を、さまざまな角度から考える機会などを提供しています。昨年は「今でしょ!」の林修先生や、医師と小説家を両立されている海堂尊先生を招いて、仕事か私生活かの二択ではなく、自分の人生で大事な物事をどうやってマネージしていくかなど、自分自身にとっての仕事の意味を考えさせられるお話をしていただきました。また、「ワーク・ライフ・バランスの推進」「仕事と育児」「仕事と介護」をテーマにしたパンフレットをつくり、全社員に配って、自社にはこのような制度があるということや、各種制度の趣旨や適正な利用についてきちんと紹介し、理解を促しています。――いずれもボリュームのある、充実した内容の冊子ですね。当事者だけでなく、妊娠中はどのようにコミュニケーションを取るべきかなど、上司や同僚が日頃思っている疑問にも答えるような内容にしています。育児休職に入る女性は、必ず上司と共に個別の面談をしているのですが、その時にこれをテキストとして使っています。本人と上司それぞれが気を付けるべきことや、本人のキャリアをどうやって考えていけばよいのか、良い事例・悪い事例ともにこれまでのノウハウが詰まっています。とはいえ、ライフイベント(結婚・妊娠・出産・育児など)の態様は一般化できるものではなく、住まいが遠い・近い、妊娠中の体調、お子さんの状況、家族のサポートの有無など個人の事情がそれぞれ違うので、一人ひとりの実状を踏まえた上で、各種支援制度の適切な利用方法を判断してほしいと、本人と上司に伝えています。○女性が活躍できる職場に――出産・育児関連としては、どのような施策をされているのでしょうか?代表的な例としては、事業所内保育所を2008年から運営しています。普通の保育園は4月にしか入れませんが、この保育所はいつでも入所が可能ですので、復職のタイミングをあえて4月にする必要がありません。現在は20名弱の方が使っていて、男性社員の利用も3割程度あります。――保育所を含め福利厚生の充実は、就職先を考える学生にとっても好評だと思うのですが、女性社員の採用はどの程度あるのでしょうか?女性は基幹職と事務職に分かれるのですが、女性基幹職を新卒で初めて2桁採用したのは2003年からです。以降は年度によって多少凸凹ありますが、平均して全体の2割程度を採用しています。2003年以前は、毎年1人2人の採用でした。――女性比率が少ないにもかかわらず、出産・育児のための制度を充実させることは、大きな決断のようにも思えます。そうですね。2003年から一定数の女性基幹職を採用するようになり、2005年に全女性基幹職を対象に意識調査を実施し、その時の「保育園があったらいい」「こんな制度が欲しい」という声を一つずつ検討し、必要と判断したものを実現してきました。当時はまだまだ女性基幹職の人数が少なかったので、不安な気持ちも大きかったようですが、こうした環境整備を、「会社が本気で自分たちに期待してくれている」というメッセージと捉え、「モチベーションが上がった」という声も多く聞かれました。採用した女性を、男性と同様に育成してきており、育児休職からの復職率もほぼ100%です。今後は、特にライフイベントと両立させながらの活躍事例をいかに増やしていくかが課題です。○海外勤務の支援制度――御社には海外駐在員が多数いらっしゃいますが、その方々に対しても支援をされているのでしょうか?海外駐在は商社の中でキャリアを積みあげていく上では当たり前にある仕事です。しかし、「小さい子どもがいるから」と、海外に送ることを上司がためらってしまっているところがありました。女性たちに聞いてみたところ「子育て中だからといって、海外駐在というチャンスを無くしたくない」という意見が多くあったので、それをもとに支援制度を設けたという経緯があります。――通常、海外駐在はどれくらいの期間になるのでしょうか?先進国への駐在の場合は4、5年とそれなりの期間になります。今、お子さんがいる女性はアメリカに2人、タイに1人いて、それぞれ活躍してもらっています。――具体的にどういった支援をされているのですか?いろいろありますが、例えば、保育費が日本以上にかかる場合は超過分を会社が補助しています。また、海外勤務ではまず自分が先に現地へ行って、あいさつ周りをしたり生活環境を整えてから帯同家族を呼び寄せるのですが、小さなお子さん一人では飛行機に乗れないですよね。このとき連れていく家族の渡航費も会社で負担をしています。個別対応にしても良かったのですが、あえて制度にしたのは「子どもがいる女性も海外に出していいんだ」と分かってもらうためのメッセージです。能力もやる気もあるのに活躍の場を提供できないのは、「もったいない」と考えています。***10年間にわたってワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる住友商事。後編はプロジェクト発足の経緯と、今後のビジョンについてお伝えする。
2015年07月23日誰もが、仕事とプライベートの時間のバランスをとって充実した毎日を送りたいもの。このバランスは“ワークライフ・バランス”と呼ばれ、世界各国で注目されています。実は今、世界中で人々のワークライフ・バランスが乱れているのです。それがよくわかるのが、経済協力開発機構(OECD)が2012年時点での加盟35か国のフルタイム労働者の平均労働時間をランキングで表したデータ。年あたりの数字なので、少々イメージしにくいかもしれませんが、まずはその中から平均労働時間の長い10か国、短い10か国をご紹介します。■平均労働時間の最も“長い国”トップ101位:メキシコ(1年間で平均2,226時間)2位:韓国(1年間で平均2,090時間)3位:ギリシャ(1年間で平均2,034時間)4位:チリ(1年間で平均2,029時間)5位:ロシア(1年間で平均1,982時間)6位:ポーランド(1年間で平均1,929時間)7位:イスラエル(1年間で平均1,910時間)8位:エストニア(1年間で平均1,889時間)9位:ハンガリー(1年間で平均1,888時間)10位:トルコ(1年間で平均1,855時間)■平均労働時間の最も“短い国”トップ101位:オランダ(1年間で平均1,381時間)2位:ドイツ(1年間で平均1,397時間)3位:ノルウェイ(1年間で平均1,420時間)4位:フランス(1年間で平均1,479時間)5位:デンマーク(1年間で平均1,526時間)6位:アイルランド(1年間で平均1,529時間)7位:ベルギー(1年間で平均1,574時間)8位:ルクセンブルク(1年間で平均1,609時間)9位:スウェーデン(1年間で平均1,621時間)10位:スロベニア(1年間で平均1,640時間)そして気になる日本は1年間で平均1,746時間、平均労働時間の長い方から15番目です。各国の1日あたりの労働時間が示されていないため、比較できないのが残念ですが、ショッキングなことに、日本はOECD加盟国の平均値(1年間で平均1,765時間)を若干下回っています。意外と少ない気がしますが、これは休日の日数がほかの国よりも多めなことが影響したようです。週休2日が浸透しており祝日も15日と多め、年末年始やお盆休みもあります。ちなみに、日本の1日の平均労働時間は9.1時間でした。■世界中が「働きすぎ」と感じている!それでは、各国の人々は、自分のワークライフ・バランスが適正だと感じられているのでしょうか。アメリカの情報サイト『Mashable』によると、アメリカでは46%、イギリスでも40%以上のフルタイム労働者が、「仕事のせいでプライベートの時間が思うように取れない」と感じている、という調査結果が出ています。(アメリカは平均労働時間が1,654時間/1年間で長い方から24番目、イギリスは1,790時間/1年間で長い方から12番目)このことからも、世界中で大勢の人々が「仕事のために家庭やプライベートを犠牲にしている」と感じている現状が浮かび上がってきます。働き過ぎは、労働者の健康を損なうだけでなく、職場での事故の原因になったり、労働者のストレスを助長します。ワークライフ・バランスの不均衡は、多くの危険をはらんでいるのです!■ワークライフ・バランスを整える5ヶ条この働きすぎ問題を解決するにはどうしたらいいのでしょうか?今、「ワークライフ・バランスがうまくいってない」と感じている人には、以下のイギリスの団体『メンタルヘルス財団』からの「ワークライフ・バランスを適正化させるアドバイス」が参考になります。(1)長くではなく賢く働くこと。生産性を低下させるような活動(たとえば長ったらしい会議など)に巻き込まれないよう注意してください。(2)適切な休憩をとること。ランチには少なくとも30分は確保し、できれば外を散歩するなど気分転換をしましょう。(3)仕事と休暇に線引きをすること。もし仕事を持ち帰るときも、自宅の中で仕事をする場所を決め、仕事が終わったらその部屋からすぐに出ましょう。(4)仕事関係のストレスとメンタル面の健康はリンクしています。運動やリラクゼーション、趣味でストレスを減らすよう努めましょう。(5)あなたのワークライフ・バランスについて同僚や上司と話してみましょう。現状をより正確に把握するためには、労働時間を1日単位ではなく週ごとや月ごとで記録すること。そして、仕事について悩んだり、考えたりした時間も記録すること。こうした時間ぜんぶが、仕事に関連するストレスになっているのです。この5ヶ条があなたのワークライフ・バランスを整える助けになりますように。(文/よりみちこ)【参考】※Working hours around the world: Does work-life balance exist?―Mashable
2015年05月02日オウチーノ総研はこのほど、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の20~39歳の未婚男女662名を対象に実施した「ワークライフバランス」に関する調査結果を発表した。調査期間は4月7日~8日。○仕事とプライベートを両立したい人、88.0%調査ではまず、「仕事とプライベートを両立したいと思いますか?」と質問したところ、「強くそう思う(49.5%)」「まあまあそう思う(38.5%)」回答した人は88.0%に上った。自分の時間や家族との時間など、プライベートを充実させたいという意見のほか、「どちらも充実してこそ、満たされた人生が過ごせると思うから」など、双方のバランスを重視する意見も目立った。では、実際に仕事とプライベートを両立できている人はどのくらいいるのだろうか。調査した結果、「あまりできていない(35.3%)」「全くできていない(15.4%)」と回答した人はおよそ5割だった。また、恋人の有無で「両立できている」人の割合を比較すると、「恋人がいる人」は59.9%、「恋人がいない人」は44.2%と、恋人の存在が「仕事とプライベートの両立」に良い影響を与えていることが浮き彫りとなった。両立できている理由を聞くと、残業がないことや有給休暇の利用など、自分の時間をしっかり取れていたり、プライベートに仕事を持ち込むことなく、オンオフの切り替えができたりしているとのこと。一方、両立できていない人の多くは、仕事が忙しくプライベートの時間が取れていないよう。また、どちらも中途半端であることや、収入が低いことなども理由として挙がった。○仕事とプライベート、優先すべきはどっち?次に、「通常、仕事とプライベート、どちらを優先させますか?」と質問したところ、「仕事優先」「どちらかというと仕事優先」と回答した人は49.1%、「どちらかというとプライベート優先」「プライベート優先」という人は50.9%と、ほぼ半数ずつという結果となった。男女別では、男性は「仕事優先(51.1%)」、女性は「プライベート優先(52.8%)」となったものの、いずれもほぼ半数と、意外にも男女間の差はほとんど無かった。○両立できている人は「勤務時間」「休日」に対する満足度が高い最後に、現在の仕事の満足度について、「勤務時間(残業など)について」、「休日(休日出勤や有給休暇など)について」、「収入について」、「仕事内容について」、「仕事のやりがいについて」の5項目を100点満点で採点してもらったところ、全ての項目で「両立できている」人が「両立できていない」人を大きく上回った。特に、「勤務時間(70.8%)」や「休日(71.1%)」に対する満足度は7割超と高いことから、両立のためには「プライベートの時間がしっかり取れること」が重要であることが伺えた。
2015年04月17日内閣府は19日、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート 2014」を発表した。○今後の課題は「意識改革」同レポートは、企業と労働者、国民、国、地方公共団体等の取り組みの紹介、実情把握、課題の洗い出しと今後取り組むべき事項を提示したもの。作成は労使・地方公共団体・有識者から成る「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」と「仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議」による。「長時間労働」について、「週間労働時間が60時間以上」の雇用者の割合は2010年より4年連続で低下。業種別では「運輸業、郵便業」「建設業」が高く、「電気・ガス・熱供給・水道業」「医療・福祉」が低かった。「年次有給休暇取得率」は2000年以降、50%を下回る水準。事業規模別取得率を見ると、「1,000人以上」の企業の取得率は55.6%、「30人~99人」の企業では42.2%であった。「今後に向けた課題」では、「長時間労働の抑制や年次有給休暇取得の促進に向けた労使の意識改革や職場の雰囲気づくり」「短時間で質の高い仕事を評価する仕組みの構築や仕事を代替できる体制づくり」「非正規雇用の労働者を含む男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備」などが上げられた。(※画像は本文とは関係ありません)
2015年02月24日人材不足・女性の労働力が社会にとって必要といわれる昨今、働きながら子育てをするための制度やサービスが充実しています。以前は義務化されていなかった時短勤務が浸透していることも、保育園や幼稚園の時間延長サービスがどんどん拡大していることも、私が娘を出産した12年前と比べると、驚くほどの違いです。マネー相談の際に「時短勤務にして手取り額を減らされるのと、長時間働いて延長保育料を払うのと、どちらを選んだほうが得なのか」というご質問を受けることがあります。「どちらが得か」と言っても、単にお金だけの問題ではないので簡単に比べられるものではなく、ご職場環境やライフスタイルを整理しながら必要なサービスを選択していくことになります。今回は、選択の参考にしていただけるよう、それぞれのメリットと注意点をお伝えしておきましょう。■手取り額がいくらになるかを要チェック! 時短勤務のメリットと注意点「時短」という呼び方が一般的ですが、正式には「短時間勤務制度」といいます。「改正育児・介護休業法」により、会社の規模にかかわらず、条件を満たした人なら男女どちらも利用できます。法定では3歳まで、企業の規定によっては小学校卒業までというところもあります。必ずしも、時短勤務を選択=子育てを最優先と考えているとは限らず、むしろ「子供がいても仕事はしたい! でも現実的に復帰直後から長時間預けるのは、親子ともどもヘトヘトになってしまう」という理由で選択する方が多いようです。日本の企業には残業が当然という風潮があり、あえて「時短」を利用しないと、定時では帰りづらい職場もあります。それもどうかと思いますが、しかしながら、昔だったら妊娠・出産を機に退職するしかなかったような職場であっても、この制度によりキャリアを継続できるのは大きなメリットです。ただし、短縮された時間の分の賃金の保証はないため、その分は給与を支払わないという会社がほとんど。勤務時間は以前の8割くらいでも、職務手当てをはずされてしまった上、給与天引き額があまり変わらないことで、給与の手取り額が半分くらいになってしまった、という方もいます。時短制度を利用して勤務する場合、手取りの給与額がどれくらいになるかを確認し、その間の収入でライフプランが達成できるかについて、家計の収支や貯蓄ペースをしっかり検証する必要があるでしょう。■保育料+付帯コストに要注意、延長保育のメリットと注意点延長保育とは、基本保育時間より早い時間や遅い時間を補完する「長時間保育」、「時間延長サービス」などと呼ばれるものです。保育園により時間や利用料の規定が異なりますが、労働時間の多様化から延長保育・夜間保育の予算も付くようになり、認可保育園でもかなり長い時間、延長保育を実施する園が出てきました。働くママにとって、子どもを遅くまで預けられると「仕事で迷惑をかけなくて済む!」という安心感があるのはたしか。今まで時短制度を使うことで周囲に申し訳なさを感じている方の中には、時短制度の終了とともに延長保育を利用する方もいます。ですが、気をつけて欲しいことが2つあります。まずは、延長保育の利用料だけではなく、「今日は遅くなったから、夕飯は外で食べよう」と外食が増加するように、付随するコストが発生しがちであること。実際、ファイナンシャルプランナーとしてプランニングしていると、忙しい方ほど支出が多いことを実感します。そのほか、長時間働くことにより、体が疲れてしまうので休日には鍼灸やマッサージに通ったり、仕事のストレスで買い物が増えたり、という場合もあるので要注意です。さらに、子どもが成長して長時間保育にも慣れたとほっとしたのもつかの間、「小1の壁」といわれる時期が来てしまうことも覚えておきましょう。小学校に上がると多くの保護者が利用する学童保育の多くには、保育園ほどの延長サービスはありません。保育園が22時まで預かってくれるからと、めいっぱい延長保育を利用してしまうと、子どもが小学生になっても同様な働き方をするためにはシッターを雇う必要が出てしまうなど、より多くのコストがかかる可能性があります。ファイナンシャルプランナーとして、私が多くの方におすすめしているのは、子どもが小さいうちは時短制度を活用し、子どもの成長に合わせて定時終了にシフトしていくことです。定時に帰る人が少ない職場では難しく感じるかもしれませんが、効率的な時間の使い方はワーキングマザーの腕のみせどころ。周囲とコミュニケーションをはかりつつ、限られた時間の中で責務をまっとうすることで、周囲の理解や自分自身のスキルアップにつながるはずです。もちろん必要に応じて延長保育を取り入れる時期があってもいいのですが、定時で帰ることの罪悪感から利用するのではなく、未来の自分や子どもにとってプラスとなる選択であるかどうかをしっかり見極めて、上手に延長保育を活用していきましょう。
2014年12月29日ここ数年、「ノー残業デー」を実施する企業が増え続けている。ビジネスマンの業務効率化を考えさせる契機としてもらうため、あるいは余った時間をスキルアップの時間として使うため、さらには残業時間の削減のため、といった具合にメリットが多々あるとされている。また現場の本音を言えば、誰だって「早く仕事を終わらせて飲みに行きたい」「趣味の時間にあてたい」など、限りある時間を有効に使いたいと考えるものだ。しかし、「ノー残業デー」なのに残業をせざるを得ない状況におかれることが多かったり、そもそも残業を削減することが難しかったりという理由で、思い通りに進んでいない企業も多いのが実情だ。そんな悩みを抱えている企業にとって、理想通りの「ノー残業デー」を実施するにはどうしたらよいか?少し考えてみたいと思う。○ワークライフバランスの見直し「ノー残業デー」がもたらす最大の効果は、「決められた労働時間でいかに業務を効率よくこなすために、何をしなければいけないのか」という所にある。どうしても日常的に残業を繰り返すクセがついてしまうと、残業ありきで仕事を考えてしまいがちになる。「今日は残業しない」というキマリを作って、その日残業をしないで業務を終えるためにはどうすればよいか、効率よく仕事をこなすには何をすればよいかを考え、実行に移すのが狙いだ。しかし、実際には様々な理由で継続的にノー残業を実現するのが難しい場面もある。例えば、顧客が時間外でも活動していたり、部署の特性や風潮的に残業を強いられるケースだ。顧客側の理解が得られないというのは、この問題がまだまだ浸透していないという社会的な背景もあるため、ある意味仕方がない部分もあるが、上長をはじめとした経営陣が相手に対して理解を得ようとする活動も必要だ。問題となるのは後者の例にあるような、社内で抱える問題によって「ノー残業デー」が形骸化されてしまうことだ。「あの部署の人間が残業しているなら……」「上司が忙しそうで帰り辛い」など、強制力がないことを前提とする「ノー残業デー」では、たとえ帰ることが可能でもうしろめたさを感じてしまうのだ。○「わかっているけど」を「わかった」へ「ノー残業デー」は特定の曜日や日付に当てるところがほとんどだ。しかし、その曜日や日付が問題となるのであれば、実施するタイミングを部門ごとに設定するなど、柔軟な運用も欠かせないだろう。また、強制力を設けていないとはいえ、残業できる環境を与えたままでいることも「ノー残業デー」の形骸化を加速しているといえる。「ノー残業デー」を意識づける方法としては、社内掲示板へのアナウンスや照明・エアコンのオフといった対応をとる企業は比較的多く見受けることができる。例えば「ノー残業デー」には照明を落とすという企業の場合、最初はそれをトリガーに帰社を考えてみるが、スイッチひとつで元の状態に戻せてしまう気楽さから、次第に照明オフと同時に誰ともなく照明スイッチをオンにするという状況が作られてしまう。そこでひとつの方法として試していただきたいのが、多くの現場で利用されているPCで同じ事を実施する方法だ。PCの場合は一度落としてしまうと、再起動までに一定の時間が必要になる。もちろん、作業中に落とされてしまっては被害が出るので、オフにする時間の徹底は必要になるが、少なくとも照明スイッチのオンオフよりは、形骸化への歯止めにはなるはずだ。PCの電源管理には様々なものがあるが、電源オンオフの一元管理はもちろん、部門事で実施日を割り当てるなどの機能性を考えると、候補をかなり集約することができる。そこでひとつの選択肢として挙げられるのが、NECキャピタルソリューションが提供している「PIT-PowerController for AMT」だ。○経営層でも管理できる容易さ「PIT-PowerController for AMT」は、対象となるPC端末の電源をグループ単位で管理できるソリューションとなる。全社的な一斉適用はもちろん、部門ごと、部署ごと、さらにはグループごとといった詳細な管理も可能だ。これは先ほど触れた部分的な「ノー残業デー」には必須の機能となる。例えば部門A~Cは20時にシャットダウンし、「ノー残業デー」の部門Dは19時にオフにするといったスケジュールも設定可能となる。UIは非常に分かりやすく、特に情報システム部の手を借りずとも運用が可能な点も見逃せない。これは「ノー残業デー」を経営層がコントロールするのか、情報システム部が管理するのかといった、企業文化的な背景を考えたうえで必要なことだ。PCの電源管理を経営者が自ら率先してコントロールしていることを社員に知ってもらうことで、「ノー残業デー」のより深い浸透も期待できる。○PCの電源管理ひとつで考え方も変わる「ノー残業デー」が普及し始めた背景には、日本流の「給与性」ではなく欧米流の「成果報酬」への切り替えというものもある。成果報酬型の普及が進むのであれば、仕事のプロセスを効率化すればするほど、報酬も大きくなる可能性が高くなる。そのときになって慌てるか、段階的な導入が進んでいる現時点から慣れておくかは、スタートダッシュ時に大きな違いとなって現れるはずだ。また、経営者にとっても残業代という負担の大きい支出と向き合い続けるのか否かでは、今後の戦略もずいぶん違ったものになる。最小限の残業で、これまで以上の結果が伴うことが、まさに理想といえるだろう。それに対する貴重な契機となる「ノー残業デー」を確かなものにするため、トリガーとして「PIT-PowerController for AMT」を活用してみるのも、十分選択肢に入るはずだ。もちろん、このツールで電源の一斉管理がなされても、クライアントがPCのスイッチを再びオンにすることはできる。しかし、倫理感として、経営者自らが設定した時間であれば、各社員の受け取り方も違うはずだ。なお、「PIT-PowerController for AMT」の導入コストは、1コンソールあたり50万円(税抜)となっている。クライアント数での課金とは違い、管理用のPCに対する課金である。「残業」に対して社会的にも注目が集まっている現在、「PIT-PowerController for AMT」を使ったPCの電源管理を、経営者が自ら行うという手法は効果的だと考えられる。社員のスキルアップはもちろん、様々なメリットが生まれる「ノー残業デー」を本来の意味で実施するためにも、残業に対する考え方とワークライフバランスの見直しをしてみてはいかがだろうか。
2014年12月09日Spire Research & Consulting(本社/シンガポール)は12月1日、インド、中国、マレーシアの3カ国の女性経営者および管理職についての調査を取りまとめ、その結果を発表した。○キャリアアップには勤務体制の多様性が必要同社は、ASEAN、アフリカ、中東、中南米など新興国市場に特化したリサーチを行っている。今回、インド、中国、マレーシアの各100名、合計300人を対象に調査を実施した。教務体制についてフレックスタイムや在宅勤務など働き方の多様性が必要であるか尋ねたところ、インドでは44%、マレーシアは55%、中国は46%が「そう思う」と回答した。3国共通で女性のキャリアアップには勤務体制の多様性が求めていることが分かる。各国の「ワークライフバランス」について聞くと「ワークライフバランスがとれていない」と答えた国は中国が85%と最も高く、マレーシアは43%、最も低かったのはインドで12%だった。職場における男女差別問題について尋ねると、中国では42%、インドは21%、マレーシアは35%が「感じる」と回答している。インドでは、男子校の卒業生で構成される「オールド・ボーイ・ネットワークの存在」で情報が女性を含めた外部に共有されないことが問題であるという人が38%みられた。○3カ国とも出産・育休後に同じ地位に復帰することを望む管理職についている女性のロールモデル(模範となる女性)について聞くと、インドでは51%、中国では23%もの女性たちが「ロールモデルがいない」と回答した。ロールモデルがいると答えた女性たちは女性ジャーナリストやすでに活躍している女性CEO、またマレーシアでは「母や姉」など身近にいる人を挙げている。各国の女性たちは現状の仕事環境をどのように改善したいか具体的に尋ねたところ、3国とも女性が出産・育休後に同じ地位に復帰することを求めていることがわかった(中国57%、インド63%、マレーシア47%)。インドでは「男女差別とハラスメント社内ホットラインの設立」を26%が求めており、実際に差別にあっている女性が多くいることを示唆している。
2014年12月02日ヴォーカーズはこのほど、同社が運営する就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」に投稿された4万370件の「社員による在籍企業評価レポート」の回答データから抽出した退職理由に関わるキーワードを公開した。その結果、退職理由に関わるキーワードとして最も多かったのは「仕事」で、以下、「上司」「環境」「成長」「給与」と続いている。口コミでは、「他にやりたい仕事があった」「仕事の幅を広げるため」といった文脈で、「仕事」という言葉が多く使われており、自身のキャリアと会社が与える業務やキャリアパスとの不整合が退職の原因となっていると、同社は推測している。「上司」については、「上司との相性の悪さ」や「上司に不満」といった直截的な理由を挙げる回答も見られ、同社は、モチベーションを維持するうえで上司との良好な関係性が重要であり、逆の場合はそれが退職の引き金になることがうかがえるとしている。さらに、退職理由に関するクチコミのキーワードを分類したところ、退職要因として考えられる6つの傾向が指摘されている。最も大きな退職要因は、「キャリア」で出現率が約40%となっており、これに、「待遇」16.18%、「ワークライフバランス」15.18%と続いている。同社は、これら3つの退職要因が社員の満足度に直結する重要な要素と考えられると分析している。退職理由の6大要因を男女別で見ると、女性のほうが男性よりも、「ワークライフバランス」「人間関係・社風」を約2倍、「ハードワーク」を約5倍重視しているようで、出現率が高くなっているという。年齢別で見ると、すべての層において「キャリア」に関するキーワードが上位を占めている。20代から30代前半では、「プライベート」「家庭」「結婚」といったキーワードが上位に現れている一方、「ワークライフバランス」に関係するキーワードは、年齢が上がるにつれて少なくなくなっている。そのほか、年齢が高くなるほど、「リストラ」「希望退職」といったキーワードが上位に登場している。
2014年11月10日うちのダメ夫
あの日、私はいじめの加害者にされた
夫がわたしを忘れる日まで