働くママたちにとって、育休中は「子どもと一番長く一緒にいられる期間」と言っても過言ではありません。復職後に待つ怒涛の日々を思うと、悔いの残らないよう過ごしたいですよね。しかし実際には、復職してはじめて気づく「やっておけばよかった!」ということがたくさんあるといいます。そこで今回は、育休・復職を経験した働くママたちの「やっておけばよかった!」体験談を紹介します。家事分担、育児のやり方などを 家族でじっくりと話し合っておくまずは、アパレル関連の会社に勤める、Cさんの体験談です。「長女を出産後、育休を終えて復職すると、目がまわるほど忙しい日々が待っていました。仕事・育児・家事に追われ、1日24時間ではまったく足りない! という状態。夫も協力すると言ってはいたのですが、分担などをきちんと話し合わないまま復職してしまったため、うまく回らず。夫が家事を手伝ってくれても、そのやり方にイライラしたり、二度手間になったり。きちんと話し合っておかなかったことを後悔しました」復職後は、毎日をなんとか乗り切ることで精一杯。復職後に夫の協力を得るためには、家事分担や家事・育児のやり方などについて、じっくりと話し合っておいた方が良さそうです。 予防接種を受けておく続いては、まだ復職して間もないという、商社で働くHさんの体験談です。「復職して数週間後に、息子のインフルエンザがうつってしまい、会社を休むハメになってしまいました。しかも、夫にまでうつり、一家全滅。自分も高熱でキツイ中、看病しなくてはならなくて、かなりつらかったです。それに、復職して間もないのに、数日間出勤できなくなったことも申し訳なくて。きちんと予防接種を受けておけば防げたかも…と、反省しています」復職すると生活が一変するため、疲れで体調を崩すことも。復職後に備えて予防接種を受けておくなど、育休の間にしっかりと体のことを考えておきたいですね。子どもの写真や動画はたくさん撮っておく最後は、印刷会社に勤務するKさんの体験談です。「職場復帰初日。自宅で息子を見てくれている母から届いた息子の写真を見て、思わず涙があふれてしまいました。覚悟はしていたものの、やっぱり息子と長い時間離れるのは寂しくて。復職後に息子が寂しい思いをしないよう、せめて育休中は……と思いきりかわいがったつもりでしたが、離れて寂しい思いをするのは親の方でした」子どもとの思い出を写真などの形に残し、それを通勤中や仕事の合間に見て元気をもらっているという先輩ママは多いようです。長く子どもと一緒にいられる育休中に、写真や動画をたくさん撮っておくと、職場復帰後の癒しになるかもしれませんね。育休・復職を経験した働くママたちが揃って口にするのは、「想像の何倍も忙しくて大変だった」ということ。育休中は子どものことだけに集中して過ごしたいところですが、復職後の生活について考えることもお忘れなく!
2016年04月21日やっぱり○○○が悪!今後求められるのは“生産性”。【前編】では、女性活躍推進が「行われている」・「行われていない」と感じる双方の意見から、女性活躍推進を企業は打ち出してはいるが、現状はアピールをしているだけという実態を紹介しました。この状況、どうしたら変わるのでしょうか?イラスト/進藤やす子シティリビングWeb働く女の会議室「女性活躍推進法」の巻●「インターバル規制」って知ってる?長時間労働是正のカギになるかもシティリビング東京版3/11号「輝いて、活躍。できる?」では、仮想の【こんなのあったらいいな法案】として、「男性の育児・家事への参加・理解」「保育園の拡充」「長時間労働の是正」を提示。働く女性たちが望むのは、実現可能な改革メニューです。では、女性活躍推進がもっと実態をともなっていくために、どんな施策が求められる?ワーク・ライフバランスの永田瑠奈さんに聞きました。EUでは、その日の業務を終えてから11時間たたないと翌日の勤務を開始してはならないという「インターバル規制」があります。今後、生産性の高い仕事をしていくことが求められるなか、『時間への意識』は重要なポイント。インターバル規制を設けて長時間労働を是正していくことは、女性の活躍推進を後押ししてくれるのでは。●“女性活躍=管理職”になるってこと?女性の労働力がないと日本経済の危機女性活躍=「女性が管理職になる」と認識され、女性活躍推進を自分ゴトに感じられない人も。「女性が全員活躍したいわけじゃない」なんて声もあるなか、働き方の多様性の観点から、今求められているのはどんなことでしょうか?女性活躍推進法の状況把握項目に「管理職に占める女性比率」があるので、女性活躍=「管理職を増やすこと」という認識が生まれてしまっています。まずは、なぜ女性活躍推進が必要なのか、どうしたら女性の活躍を推進できるのか、企業側も女性側も正しく理解する必要があります。今の日本の人口構造では、少子高齢化して労働力がどんどん減少。実際、ある大手化学メーカーでは、定年退職で5年後は社員数が半分に。大手通信社でも、8年後に社員数が3分の1に減少、毎年3000人が定年退職するなか、新卒採用90人にとどまっているとか。少ない労働力をフル活用して、日本経済を支えていかなければならないのです。そこで、日本は“女性”に着目しました。HDI(人間開発指数)を見ると、日本は他の先進国と同レベルに高い教育を受けています。一方、GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)は、日本は他の先進国と比べて極めて低い。男女ともに高い能力を持ちながら、女性を活用しきれていない。ヒラリー・クリントン氏は、日本は女性の労働力率を男性と同程度に引き上げればGDPが16%も上がる試算を紹介しています。つまり、労働力が減少している日本にとって、女性のチカラは必要不可欠なのです。●女性活躍の壁①「長時間労働」結婚も出産も育児も仕事もあきらめたくない!人口が減少し続ける日本経済では、女性の労働力が不可欠とはいうけれど、男性のような、がむしゃらな働き方を女性は望んでいないし…。そこで、まずできるのは、長時間労働をやめること。今の日本では多くの職場が長時間労働。例え前向きに「活躍したい」と思っても、長時間労働の職場では大事な会議ほど夜に行われていたり、大きな仕事ほど残業ができる人に振られたりするのが現状。そして、女性の場合は妊娠・出産など時間的な制約で、重要な意思決定の場にいられない、大事な仕事は任されない、遅くまで仕事をする同僚に申し訳ない気持ちになる。長時間労働は、女性にキャリアをあきらめざるを得ない状況をつくってしまっているのです。また、夫が長時間労働の家庭では、妻が育児・家事のすべてを担当することとなり、女性はキャリアをあきらめざるを得ません。女性が活躍するために必要なのは、女性だけが早く帰れる制度ではなく、男女ともに働きやすい労働環境の整備なのです。●女性活躍の壁②「ロールモデル不足」あんなふうになりたい!と思える女性を増やす社内唯一の女性管理職が長時間労働で身も心も疲れ切っていたら、憧れも希望も持てず、むしろネガティブな印象しか残りません。長時間労働に加え、ロールモデル不足も女性の活躍を阻害している要因の一つ。活躍している女性が組織で少ないほど、会社が期待する「女性の活躍」は、“バリバリ働くAさんのようになってほしいってこと?” という誤解が生まれ、女性にプレッシャーを与えます。しかし活躍しているロールモデルの女性がたくさんいれば、仕事の壁にぶつかっても、成長後の将来像をイメージして頑張ることが可能に。「活躍」は、人の数だけ種類があって良いはず。女性管理職比率を上げる動きは、男女平等ということではなく、女性管理職を増やすことで、社内のロールモデルを増やす動きなのです。多くの組織では、女性活躍推進法のスタートで「女性を活躍させなければ」と、本人の意思なしに女性を管理職にしたり、急に重要な仕事を任せたりと、女性がポジティブに受け取れない状況が起きています。まずは、なぜ女性の活躍を推進する必要があるのか、その背景を正しく理解すること。そして女性の活躍を推進するために必要なことを問題点から把握し、本質を理解すること、この2つが組織側に求められています。正しい理解があれば、間違った発信や誤解はなくなり、女性にとっても「女性が活躍する」ことが「自分ゴト」になるのではないでしょうか。●今後いっそう求められる、生産性の高い働き方周囲が長時間労働の職場で、有給休暇すら取得しづらい職場だったら、いくら制度を整備しても使われない制度になっていくばかり。まずは、長時間労働の問題に着手しなければなりません。しかし、こうした話をすると必ず「こんなに仕事があるのに、時間だけ減らすなんて無理!」となります。確かに、働き方を変えずに残業だけが禁止されたら、仕事はあふれるばかりで、組織が成り立たなくなってしまう。NO残業デーがそれを教えてくれていますが、週1日だけ残業を禁止しても、働き方が変わっていなければ、定時に帰った翌日に残業が増えるだけで、何も解決していないのです。そこで、「今の仕事量、もしくはそれ以上を短い時間でこなせる生産性の高い働き方」がこれからの時代に求められます。残業ができなくても、時短勤務でも、最高のパフォーマンスで仕事ができれば、必ず高い成果を出すことができます。実際、メーカーのY社で、時間当たりの生産性ランキングを出したところ、上位20位までの6割が時短勤務中の女性だったそう。起床後13時間後の集中力は、酒酔い運転時と同じという研究結果を、東大の島津教授が紹介されていました。時間をかければ高い成果が出るわけではなく、短い時間だからこそ集中して終わらせる意識が高まり、早く帰ることで健康管理にもつながります。まずは上記について組織側がしっかりと理解し、評価をしている管理職や男性も含めた意識の改革が必要。そして、女性も、諦あきらめずに自分らしい「活躍」の姿を描いて、それに向かってチャレンジしましょう。株式会社ワーク・ライフバランス永田瑠奈(ながた るな)さん2012年に株式会社ワーク・ライフバランスへ参画。自身も長時間労働でキャリアが見えなくなる経験をしていることから、女性たちのキャリア支援セミナーや女性を育成する管理職向けのマネジメント研修などを担当。取材協力/ワーク・ライフバランス
2016年04月21日平成28年4月から、女性活躍推進法がスタートしました。以前と比べると働くママへの理解が深まり、産後も会社に復帰しやすい環境が整いつつあります。そんななか、これまでの会社から離れ、あえて独立や起業を選んだママも。子育てをしながら独立へ一歩踏みだしたきっかけやその道のり、独立後の生活の変化までを先輩ママに伺いました。■独立を決めた理由。そこには大きなできごとが…お話を伺ったのは、カラーコンサルタントとして独立し、色彩専門オフィス「セレスティー」代表をつとめる鶴巻亜記さん。企業を対象としたカウンセリングやセミナー、講師業をされています。建築設計事務所で秘書として働いていた鶴巻さんは、29歳のときに長女を出産。その後は復帰し、仕事内容や人間関係への大きな不満もなく働いていたそうです。そんな鶴巻さんに転機が訪れたのが、32歳のとき。会社の人事異動で、これまでいた部署のメンバーが大きく入れかわることになったのをきっかけに、このまま会社員でいることに疑問を持ちはじめます。「あと30年間同じ仕事を続けたいかを考えてみると、そうではなかったんです。せっかくなら、20代のころから好きで、勉強を続けてきた“カラー”を仕事にしたいと思うようになりました。このとき長女は2歳。子育てにも慣れてきて、自分のことに目を向ける余裕が出てきたころでもありました」(鶴巻さん)とはいえ、子育てしながら働ける環境を手放すことには不安もあったといいます。迷いつつも、「独立」への気持ちを固めたのには、大きなきっかけがありました。それが、ふたり目のお子さんの妊娠と、流産。おなかに小さな命を宿してほどなくのお別れに、当時は本当に落ちこんだと鶴巻さんは言います。「言葉では言いあらわせないくらい、ショックでした。でも、いつまでも悲しみにとらわれていては先に進めません。気持ちを切りかえるためにも、何か夢中になれることをしようと、独立を決意しました」(鶴巻さん)気持ちをリセットして、一念発起。起業セミナーなどに通ううちに、子育てをしながらカラーの仕事で独立し、活躍しているロールモデルと出会い、独立後のビジョンがよりくっきり見えてきました。■開業資金は100万円以内! 子育て中だから、リスクは最小限に在職中から起業に向けたセミナーに通いながら、少しずつカラーの仕事をスタート。子育てしながらのWワークは体力的に大変ではありましたが、家族のサポートを得て何とか乗りきったそう。退職後まもなく独立し、念願のサロンを開業します。開業資金は、100万円足らず。「子育て中だから、お金は借りないと決めていました」と鶴巻さん。事務所探しからカラーの仕事に必要なもの、サイトの開設まですべてひとりで手配し、費用を最小限に抑えました。ビジネスプランを立て、満を持しての開業でしたが、最初は仕事がなかなか増えずやきもきする日々が続きます。軌道に乗りはじめたのは、開業から2年ほどたってから。「仕事がこないのは知識が足りないからだと思い、最初は勉強ばかりしていました。でも、あるとき方向性を変えて、積極的に外に出るようにしました。さまざまな人に『独立しました』と言ってまわったら、人づてで少しずつ仕事が増えはじめたんです。実際に顔を合わすことなくオンライン上でビジネスができたり、不特定多数に情報を発信できたりするいま、それらを上手に活用するのはもちろん大切なことです。でも、フェイスtoフェイスのやりとりやリアルでの人とのつながりは、それ以上に大切なんだな、と痛感しましたね」(鶴巻さん)■子育て中の独立・起業。生活はどう変わった?仕事が回るようになり、どんどん実績を伸ばしていった鶴巻さん。独立から3年がたつころには、新たな家族も増え、ほどなく個人経営から法人化をはたし、公私ともに充実した日々を送っています。「いま、あらためて振りかえってみると、子育て中だからこそ、独立を決意できたと思います。会社にしばられず、自分のペースで子育てと仕事を両立させたい、という気持ちももちろんありました。しかし、私の場合は、『自分が好きなことで、仕事をする』姿を子どもに見てほしいな、という気持ちのほうが強かったかもしれません。それが子どもたちに伝わっているかどうかは別ですが…」と鶴巻さん。実際に、仕事のスケジュールは子どもの用事を“先取り”してから組んでいるのだそう。自分で時間をつくれることで気持ちの面でも余裕ができ、子どもとのかかわりをより楽しめるようになったそうです。一方、仕事には波がつきものです。独立すれば、そのすべてを自分で受けとめ、コントロールする覚悟も必要です。「うまくいくときもあれば、うまくいかないときもあって当たり前です。うまくいかなくてやめてしまう人が多いのですが、そこでいかにふんばれるかどうか、ですね。長期的なビジョンを持って、うまくいかないときに備えて予防線をいくつも張っておき、長く続けていくことが大切なように思います。もうひとつ、自由なスケジュールを組めるということは、裏を返すと動かなければ何も生産できない、ということでもあります。自分のなかでの優先順位をはっきりさせて、管理できる人はきっとうまくいくと思います」(鶴巻さん)仕事に対する責任感や管理能力によって向き不向きはあります。しかし、ライフワークバランスを自分で調整でき、自分らしく働けることは、子育て中の女性にとって大きな魅力にうつるのではないでしょうか。「私もいずれ独立して好きなことをしたい!」と考えているママにとって、少しでもご参考になれば幸いです。 ・色彩専門オフィス セレスティー
2016年04月20日女性活躍、打ち出してるけど、アピールだけ!?イラスト/進藤やす子シティリビングWeb働く女の会議室「女性活躍推進法」の巻●女性活躍推進は、“絵に描いた餅”!?労働者301人以上の企業に、女性が活躍するための行動計画策定などを義務づける「女性活躍推進法」が4月1日スタート。でも、当事者のはずの働く女性たちは実感してる?そんな疑問を読者に調査!施行前に取り組みを行ってきた企業もあるためか、「会社で女性活躍推進法の取り組みが積極的に行われている」と35%の読者が回答(シティリビングWebで3/9~30実施、N465)。一方、「女性活躍推進の変化を感じている」と答えたのは、わずか9%!積極的に行われていても、変化を感じるまでには遠い現状です。投票はシティリビングWebで実施。2016年3月9日~30日。有効回答482件。15時ブレイク「教えてあなたのYES・NO」より。●「そもそも活躍って何?」「女性みんなが昇進したいわけじゃない」「女性活躍推進が積極的に行われていない」と感じている理由は?具体的にどう思っているの?女性活躍以前に、男性中心の働き方から脱却できていない企業が多数あるのが実態です。◆女性活躍どころか、そもそも男女平等ですらない。まずはそこから。大手企業だけ施行はどうかと思う。この法律では中小企業に行き渡らない◆会社で耳にはするが、実際何を推進したいか不明瞭。そもそも活躍って何?◆上司も具体的に何をすればいいのかわかってなく、丸投げ。結局「やってます」アピールがしたいだけ。これで変わると思えない◆これから頑張ると指標を会社側は打ち出しているが、それは女性管理職を増やす指標。昇進したいわけではなく、女性が働きやすい職場づくりを進めてほしい◆全くどこの国というくらい男性社会です◆女性活躍の場が増えているのは感じるが、対象は未婚女性。既婚女性は対象外。女性の敵は意外に女性です◆女性で管理職になった前例もないし、その必要もない雰囲気◆女性の中にはキャリアを突き詰めたい人と、そうでない人がいる。それぞれの築きたいキャリアに沿って女性が活躍しやすい社会になってほしい◆プロジェクトメンバーから「子供が小さい人は残業をしたがらないしすぐに休む」と思われ除外される。昇進も能力的に疑問でも男性が選ばれやすい◆男性は女性の活躍を心から願っていない◆働き方の多様性ということで、女性活躍推進グループが発足したが活動の様子はない。子どものいる女性は働きやすい環境だが、独身者にしわ寄せが来て不満。給与体系も変わらないし、仕事ばかりが増えていいことありません●女性活躍推進って結局アピールだけ? 下駄をはかせて昇進させられても…「女性活躍推進が積極的に行われている」は、一見聞こえがいいですが、実態はそうでもないみたい。【女性活躍推進、行われています!派】◆女性の取締役、部長が多い。産休、育休復帰率は知る限り100%◆男性の多い職場だが働きやすいことこの上ない。男性社員も子供の行事などで気軽に休める◆約20名の部署で女性が半数、うち役職付き女性2名。まぁ行われているほうだと思う◆最近女性活躍推進会議なるものが会社で始動。建設業のイメージを変えようと必死◆女性管理職登用や時短勤務制度の拡充で女性が働きやすい。出産後復職する女性がとても多い【女性活躍推進、行われているけど…疑問派】◆積極的に行われているが、私にはあまり関係がない◆男性同様に働いている人は未婚、または既婚で子供がいない人。一部上場企業なので、とりあえず活用しているアピールのためという感じ◆社外には女性管理職率●%を目指すと宣言していますが、下駄をはかせて昇進させようとしている雰囲気。こんなことでいいの?◆法律だけ(数字)独り歩き。実績や中身が伴わない女性管理職が増えるのは心配◆活躍推進を利用してより大きな責任や仕事量は回って来るが、男性ほど活躍の場はない◆管理職に女性を増やす方針だが、なりたくない人もいることをわかってほしい◆社長が積極的な「女性活用」をうたって女性を昇進させているが、辞退する人もいる。本人の希望するライフスタイルとの兼ね合いが難しい◆外資なのでパフォーマンス的には行われている。しかし企業側と特定の女性職員との利害一致になっているだけ。浸透しているように感じない●「なぜ国や組織が女性の活躍を推進するのか」。理解不足が負の連鎖に今回、シティリビングの読者からの意見を、ワーク・ライフバランスの永田瑠奈さんは、「企業や組織が、女性活躍推進=『女性の活躍を推進します』とだけ発信している場合、おそらく多くの女性は『女性の活躍って何?』『何を推進するの?』と疑問を持っているはず。『なぜ女性の活躍を国が推進しているのか』『なぜ組織は推進しなければならないのか』が、正しく理解できていないと、『女性の活躍を推進します』というだけの抽象的な発信になり、さらには、『活躍したいわけじゃないし…』というような負の連鎖を生んでいる」と、分析しています。では、この現状を打破するためには?次回、具体的な解決策に迫ります。株式会社ワーク・ライフバランス永田瑠奈(ながた るな)さん2012年に株式会社ワーク・ライフバランスへ参画。自身も長時間労働でキャリアが見えなくなる経験をしていることから、女性たちのキャリア支援セミナーや女性を育成する管理職向けのマネジメント研修などを担当。取材協力/ワーク・ライフバランス
2016年04月19日この春から職場復帰を果たしたママもいることでしょう。子どもが小さいうちは時短勤務をすることが多いですが、だからといって仕事を途中で放りなげると嫌われてしまいます。そこで、短い時間でも効率的に仕事をこなす方法を紹介します。■1日のスケジュールを紙に書く子どもを保育園に送りとどけてから出社するママは、朝から疲れてしまうことがあります。家族の朝ごはんをつくるだけでなく、自分と子どもの支たくもしなくてはなりません。すでにひと仕事終えた気分です。そこですぐに仕事にとりかかっても、効率的ではありません。まずは、1日のスケジュールを紙に書いて整理しましょう。スマホのTo Do機能を使ってもいいのですが、やはり自分で書いたほうが流れを把握しやすいもの。メモ用紙などに今日中にやらなくてはいけないことをまとめます。リストができたら、優先順位を決めましょう。自分にしかできないこと、明日でも間に合うこと、誰かにお願いできそうなことなどをまとめると、いますぐやらなくてはいけないことが明確になります。■時間を効率的に使う方法朝はまだ頭がぼんやりしていることもあるので、できるだけ頭を使わない作業に費やすのがおすすめ。スケジュールやメールのチェック、書類整理、資料のコピーのような作業からスタートして、じょじょに仕事モードのスイッチをオンにしていきます。本格的に仕事をはじめるときには、目標時間を定めること。たとえば、伝票整理は12時までに終わらせる、プレゼン用の書類は15時までに部長に見せるといったように、自分にノルマを課します。時間を決めれば、それまでに終わらせようとがんばれるし、自分の抱えている仕事の所要時間を把握できるようになります。■引きつぎのタイミングを考える会社の制度にもよりますが、時短勤務の場合は16~17時まで働くことが多いようです。定時にさっと退勤できるように、終業時間の1~2時間前には引きつぎの準備をしておきましょう。1日では終わらない大きな仕事を抱えているときには、誰かに割りふれるか、フォローしてくれる人とボリュームを考えます。定時になってから資料を渡されても、相手にだって予定があるわけです。急に仕事をお願いするのではなく、事前に相談しておいたほうが受けいれてもらいやすくなります。仕事を引きうけてもらったときには、ちょっとしたことでもお礼を忘れずに。ささいなことにも心配りをすることが、時短勤務を円滑に進めるための秘けつです。時短勤務はママたちに認められた権利ではありますが、それに甘えすぎると同僚たちに迷惑をかけてしまいます。制度とはいえ、自分が帰宅した後もほかの人たちは働いているわけですから。そのことを忘れずに、できるだけ効率良く仕事を進める方法を見つけていきたいですね。
2016年04月15日「幸福とは何か?」。多くの学者や思想家たちがこのテーマと向き合い、言葉を尽くして語ってきました。それを記した「幸福論」には難しい内容のものもありますが、思い切って読みはじめてみると、そこには意外と身近に感じられる金言がいっぱい!今回はそんな「幸福論」の中から、恋に迷う大人女子にもおすすめの3冊をご紹介します。■優しさ溢れるヒントが満載「幸福論」(アラン著/白井健三郎訳/集英社文庫)フランスの哲学者・アランは、実践的人間哲学の新しいスタイルを作ったと言われている人物。「実践的人間哲学」なんて難しそうですが…。この「幸福論」は、幸福をテーマとした短いコラムのような文章を集めたもので、意外と読みやすいです。一冊丸ごと読み切る自信がない方は、まず目次の気になった項目だけを読んでみるのもアリ。「悲しいときは、こんな風にしてみたら?」「ここをちょっと変えてみたら、幸福が手に入るかもよ?」そんなヒントをちょっとずつくれるような感じで、とても「優しさ」を感じます。 ■恋愛や結婚、出産など現代の女性も共感できる「ラッセル幸福論」(B.ラッセル著/安藤貞雄訳/岩波文庫)続いては、イギリスの哲学者、バートランド・ラッセルの「幸福論」。この「幸福論」は二部構成で、第一部が「不幸の原因」、第二部が「幸福をもたらすもの」となっています。幸福論なのに、ほぼ半分が「不幸の話」になっているワケですが、ただ「原因」について語るだけにとどまらず、原因を取り除くためのヒントも丁寧に示してくれます。また、女性の幸せ・自由などに触れた文章は、現代の日本女性が共感できる部分も多いはず。恋愛や結婚、出産についてもたっぷり書いてあるので、今の自分と重ね合わせながら読める「幸福論」だと思います。■男性目線だけど清々しい「私の幸福論」(福田恆存著/ちくま文庫)最後に紹介するのは、福田恆存(ふくだつねあり)の「私の幸福論」です。もともと若い女性向け雑誌に連載されていた文章なので、「雑誌のコラム感覚」で読めるというのが大きな魅力。仕事、恋、結婚、家庭など、女性が抱える問題について書かれています。また、この本の内容が、あくまでも男性である著者の目線で語られているというのもおもしろいところ。著書自身もまえがきで「女性の読者であるあなたがたの耳に、かならずしも快くはひびかない」と書いているのですが、たしかに女性にとっては耳の痛い話もたくさん出てきます。ちなみに、本編は「美醜について」からスタート。最初から、「耳の痛い話」なのですが、それがかえって清々しいような…。なんとも言えないスッキリ感があります。今回紹介した3つの「幸福論」。興味がわいたら難しく考えず、本を開いてみてはいかがでしょうか? もしかしたら、恋や仕事、人生そのものを大きく変える言葉に、めぐり合えるかもしれません。
2016年04月08日サイボウズでは、2007年に導入した「選択型人事制度」により、子育て中の女性にも活躍のフィールドが広がった。社員の働き方が年々多様化していく中で、給与評価はどのように決めているのだろうか。前編に引き続き、サイボウズ事業支援本部 人事部マネジャーの松川隆さんに話をうかがった。○残業時間数は給与額と直接関係なし給与は、「市場価値(社外的価値)」と「社内信頼度(社内的価値)」を総合的に判断して決定する仕組みだ。まず、公的統計や民間データをもとにした職種別のモデル賃金と社員個々のスキルを照らし合わせて、「この人が転職したら、大体このぐらいの金額の給与になる」といったレンジ(幅)を一人ひとり割り出して「市場価値(社外的価値)」を算出する。次に、「社内信頼度(社内的価値)」を「Action5+1」と呼ばれる同社の行動指針(1)理想への共感(2)あくなき探求(3)知識を増やす(4)心を動かす(5)不屈の身体に「公明正大」をプラスした計6つの軸にもとづいて直属の上司と複数のマネジャーが評価する。その結果を加味してレンジの上下を決め、半年に1度の評定会議で最終的な給与を決めるという流れになっている。また、給与決定後に大切にしているのが、社員へのフィードバックだ。「質問してくる社員に対しては、なぜこの給与額になったのか、具体的に今後どうすれば市場価値や社内的価値を上げられるのかをきちんと説明するようにしています」と松川さん。「選択型人事制度」の導入により、社員の働き方が多様化したが、それぞれの働き方の違いも含めて「市場価値」という社外的価値を基準に評価すること。また、徹底したフィードバックを行うことで、人事評価の公平性と納得感を高めているのだ。「選択する働き方と給与額は必ずしも比例していません。勤務時間が短くても、アウトプット(成果)によっては、残業をより長くしている人より給与が高くなることもあります。また、キャリアアップの面でも不利になることはありません」。実際に、同社では女性の管理職も増えており、10人中2人が女性。役員の中根弓佳さんは、2人の子どもを育てながら短時間勤務を利用して働くワーキングマザーだ。○多様な価値観を認め合う企業へ取材を進めていくと、同社は、いわゆる「女性に優しい企業」を目指しているわけではないことがわかった。最終的に目指すのは、「あらゆる立場の社員が活躍できる企業」だ。同社では、より多くの人がより長く働ける企業を目指し、現在もさまざまな取り組みを続けている。2012年からは副業が可能となり、転職や留学で退職しても復帰できる「育自分休暇制度」もスタート。2014年からは、「子連れ出勤制度」の試験運用も進めている。さらに、社員同士が顔を合わせる機会が少ないため、部署を越えてコミュニケーションを取りやすい仕組みもつくった。社員5人以上が集まるイベントや誕生日会、部活動などの費用を会社が助成する。お酒を飲みながらさまざまなテーマについて語り合う「仕事BAR」も定期的に開催している。同社では、このように新しく制度を導入する際にはトライアル期間を設け、社員同士が意見を出し合い改善を加えたうえで本導入する流れとなっている。「制度は与えられるものではなく、つくるものである」という文化が浸透していることも、働きやすさの一因だろう。「新しい制度が増えるごとに、完全在宅勤務の人、2つの企業で働く人、起業する人、学校に通う人など、社員個々の働き方がより多様化してきました。そうした流れの中、育児と仕事の両立は特別なことではないという風土が自然と根付いてきたように思います」と松川さん。この言葉の通り、2006年の育児休暇制度導入以来、社員の働き方の選択肢を増やしていくことで、より働きやすい環境の構築に力を注いできた同社。いずれも制度としてしっかりと定着している。最後に、今後の展望をうかがった。「当社は『100人100通りの働き方』をコンセプトに掲げています。障がい者雇用も含めて、さまざまなバックグラウンドを持った人に対して働きやすい環境づくりを目指し、今後もチャレンジを続けていきたいですね」と力強く語った。さまざまな取り組みを進化させ、文化として根付かせたサイボウズ。このように、多様な価値観を認め合い、”真のダイバーシティ”を目指すことこそが、結果的に女性の働きやすさにつながっていくのではないだろうか。【DATA】社員の男女比: 65対35平均年齢: 33.8歳正社員数: 339人育児休業からの復帰率: 100%
2016年04月05日伊藤忠テクノソリューションズは3月31日、社員の働きがい向上を目指し、育児や介護、自己啓発などのニーズに応じ、多様な働き方を支える新たな労働時間制度を4月1日から導入することを発表した。同社は、朝型勤務の奨励施策の導入や有給休暇の取得促進を進め、社員が働きがいをもって効率的・効果的に働けるよう「働き方変革」を推進しており、今回、「働く時間」と「働く場所」についての自由度を高め、社員が一層公私ともに充実し意欲的な働き方ができる環境整備をさらに進めるという。「働く時間」については、保育所の送迎や、通院、介護など、日常で定期的に発生する事態にも勤務しながら対応できるように、就業時間帯の繰り上げ・繰り下げを可能にする「スライドワーク」、1時間単位での年次有給休暇の取得を可能にする「時間単位有休」を導入。「働く場所」については、外出時の隙間時間やオフィスとの往復時間を活用して効率的な業務を実現する「モバイルワーク」を導入。新たな労働時間制度を含め多様な働き方を実現させることで、指導的地位に就く女性の数を現在の約50名から2020年までに約100名にすることを目標に掲げている。
2016年04月01日3児の父親であり、自らも育児休業を取得した青野慶久社長率いるサイボウズ。「育児休業最長6年」「選択型人事制度」の導入など画期的な働き方改革を行い、2005年に28%だった離職率を、2013年には4%にまで改善させた。いわゆるIT業界の「7K」(きつい、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇が取れない、化粧がのらない、結婚できない)を克服し、子育てしながらも働きやすい環境を実現するために、どのような取り組みをしてきたのか。同社事業支援本部 人事部マネジャーの松川隆さんに話をうかがった。○社長自ら会社の制度を”フル活用”男性の多いIT企業としては珍しく、女性社員が4割を占めるサイボウズ。離職率の改善などを実現できた背景には、画期的な人事制度の改革がある。例えば、2006年に導入した「最長6年間」の育児休業制度は、男女問わず妊娠判明時から取得が可能。子どもが生まれてから小学校に就学するまでの間、何度でも取得できるという画期的な取り組みだ。しかし、どんなに素晴らしい制度を打ち出しても、活用できる風土がなければ社員は使いづらい。「やはり、導入当初は休暇を取ることに引け目を感じる社員もいました。しかし、社長の青野が育児休業を取得したことで、社内の空気が大きく変わりました」と松川さん。青野社長は、3人の子どもを持つ父親。労働時間も子どもの都合に合わせてフレキシブルにするなど、同社の制度をフル活用している。トップが率先して制度を活用することで、積極的に育休を取得する雰囲気が生まれ、最近では1カ月の育休を取る男性社員も出てきた。また、最長で4年8か月の育休を経て復職した女性社員もいるという。同制度は最長6 年間取得可能であるが、実際には1年程度で復職する女性がほとんど。もちろん、会社が早期復職を促しているわけではない。1年程度で復帰しても、安心して働き続けられる環境が整っているからだ。それが、2007年にスタートした「選択型人事制度」である。○働き方は「月単位」で選べる「選択型人事制度」とは、ライフステージの変化に合わせて、希望の働き方を自由に選べる制度。「PS2(ワーク重視型)」「PS(ワークライフバランス型)」「DS(ライフ重視型)」の3種類から選択できる。具体的には、「PS2(ワーク重視型)」は裁量労働制を適用し、月40時間のみなし残業をつける。「PS(ワークライフバランス型)」は、月間残業時間40時間以内で働く人が対象となる。「DS(ライフ重視型)」は、残業なしで短時間勤務も可能。希望に応じて労働時間を自由に設定できる。「ちなみに『PS』はプレイステーション、『DS』は任天堂DSの略称です。好きなゲームを選ぶのと同じ感覚で、自分の好きなワークスタイルを自由に選ぶ。働き方で優劣をつけることなく、お互いの価値観を尊重しようというメッセージを込めています」と松川さん。現在は、働く場所の自由度3種類(オフィス中心、在宅中心、その中間)と、前述した時間の自由度3種類を掛け合わせた合計9種類の中から月単位で希望の働き方を選べるようになっている。さらに柔軟な働き方を可能にするべく2012年に「ウルトラワーク」も導入。「選択型人事制度」が長期的な働き方の選択であるのに対し、「ウルトラワーク」は、単発で働く時間と場所を自由に選べるというものだ。例えば、「子どもが急に熱を出したので家で仕事をしたい」「保育園の行事の前後に業務をこなしたい」「深夜に自宅で海外のクライアントとWeb会議をしたい」など、必要に応じて事前にスケジュールに登録するだけで、いつでも誰でも利用できる。制度導入後の社員の反応はどうだったのだろうか。「さまざまな働き方を選ぶ人が増えてきて、子育て中の在宅勤務に対する理解度が深まったと思います。また、働き方を自由に選ぶということは、『覚悟をもつ』ということ。理想の働き方を”責任をもって”選択することで、より一人ひとりが自分の人生に真剣に向き合うようになったのではないでしょうか」と松川さん。実際、女性だけでなく男性の中にも、積極的に子育てに参加しながら、自宅で仕事をする社員も増えてきたという。こうした取り組みを実施することで、同社では妊娠・出産を機に退職する社員はゼロとなり、育児休業からの復帰率も100%を達成した。新制度の導入により、「子育てしながら働きやすい職場」を実現したサイボウズ。後編では、多様な働き方をする社員がいる中で、どのような人事評価を行っているのかをお伝えする。
2016年03月29日コンピュータビジョン分野で活躍中の企業、フリーランサーへのインタビュー記事 第二弾です。IT技術の発達に伴い、働き方が多様化してきています。コンピュータビジョン分野も例外ではありません。そこで今回は、コンピュータビジョン分野におけるフリーランサーの働き方、業務内容、さらにメリットやデメリットについて、東京近郊でフリーランサーとしてご活躍中の皆川卓也さんに伺いました。○皆川卓也氏プロフィール2009年にビジョン & ITラボを設立し、コンピュータビジョンおよびITシステムに関するコンサルティングやソフトウェア開発にフリーランサーとして従事。2014年に慶應義塾大学情報工学科にて博士(工学)の学位を取得。・ビジョン & ITラボ・「コンピュータビジョン勉強会@関東」主催○フリーランサーとしての働き方を教えてくださいフリーランサー歴は約7年になります。コンピュータビジョンのフリーランサーがすごく少ないこともあり、間を開けることなく仕事はあります。業務を請け負って開発しているため、職場は自宅です。気分を変えるために図書館・喫茶店に行くこともあります。下記のようなコンピュータビジョンに関する案件ならなんでも請け負っています。成熟した画像処理技術の実装最新技術の検証コンピュータビジョンに関するコンサルティングプロジェクトマネジメント○フリーランサーを選んだ理由を教えてください前職をやめたのが博士課程在籍中で、就職は難しかろうと思い独立しました。あと、サラリーマン時代にリストラ2回、ブラック企業勤務などを経験し、サラリーマンを続けることに危機感を感じたのも理由です。自分の名前で仕事をとれたほうが長い目で見ると安定していると思いました。転職が厳しくなるといわれている35歳までに自分の名前で仕事を取れるようにと思っていました。○再就職や起業を考えたことはないのですか?条件によっては就職の可能性もありますが、就職すると今までのお客様を手放すことになるので、また会社をリストラされたときのことを考えると厳しいですね。起業することは、今の方向性でならありえます。今後は、海外の仕事も機会があれば取りたいと考えています。日本の国力が落ちてきたときに備えて、海外の仕事もできるようになっておく必要があると思います。○フリーランサーのメリットとデメリットは何ですか?【メリット】時間が自由に使える自分の名前で仕事を取って来られるいろいろな案件を受けられるためスキルアップになるサラリーマンは上司を選べないが、フリーランサーは取引先を選べる働いただけお金が入って来る早めに新しい技術を使える実際に開発した技術が使われるのが早いいろいろな業界が見られるのが楽しいいろいろな人と知り合えるいろいろな仕事をしている間に、新しいマーケット、アイデアを見つけられるかもしれない映画のエンドロールに出たことがある(笑)【デメリット】収入が安定しないトラブル案件などを取っちゃうと大変なことになる。サラリーマンと違いトラブル対応の時間に対してお金が出ないのがほとんどなので会社員は同僚などから自然と自分の知らない情報などが入ってくることがあるが、一人でやっていると自分が注目していない領域の知識はあまり入ってこない○世の中のサラリーマンについて思うことは?いつでも転職できるようにしておいたほうが良いと思います。自分の市場価値を意識しておく必要があります。いつでも転職できる状態であれば、会社や組織の影響で人生がおかしな方向に進んで行くことはないのではないでしょうか。○ビジョンを教えてください「アカデミックとビジネスを繋ぐ」「技術の町医者」(お客様が気軽に相談に訪れ、抱える問題に対して診断を行って技術的な問題に落とし込み、技術開発や大学との共同研究、コンサルティングなどの適切な治療を行う)です。○皆川さんのコア技術は何ですか博士課程では一般物体認識や物体検出などを研究していましたが、今はコンピュータビジョンと名の付く仕事はなんでもやっています。最近ではPoint Cloud(図1)やDeep Learningなどの話が多いです。ほかにも拡張現実感「AR」(図2)や顔認識・顔追跡(図3)、ナンバープレート認識、トラッキング、カメラキャリブレーションの話なんかもあります。○将来、コンピュータビジョン分野のフリーランサーはどうなっていると思いますか?未来は読めません。GoogleとかMicrosoftからするとコンピュータビジョンは自分たちのプラットフォームを便利にしてユーザを呼び込むためのツールでしかありませんから、今後どんどん無料で使えるようにしていくと思います。そういったツールに負けないようにしないといけないと考えています。アカデミックなことをキャッチアップしながら、ツールではできないところを身に付けていきたいと考えています。それができないとおもしろい仕事を継続的に取ることはできません。* * *私、樋口も「自分の名前で仕事を取って来られる」、「いろいろな案件を受けられるためスキルアップになる」「いろいろな人と知り合える」「サラリーマンは上司を選べないが、フリーランサーは取引先を選べる」ということが大きなメリットだと思います。業務内容、取引先などは上司の意向が良くも悪くも強く反映されてしまいます。運が良ければやりがいのある大きなプロジェクトに携われますが、運が悪いと得られるスキルもなく、取引先のわがままに大半の時間を割く仕事を延々とやらなければならない、ということもあり得ます。サラリーマンはメリットも多いので、退職、転職することを強くお勧めする訳ではありませんが、「自分の名前で仕事を取る」ということを選択肢に入れてみてください。著者プロフィール樋口未来(ひぐち・みらい)日立製作所 日立研究所に入社後、自動車向けステレオカメラ、監視カメラの研究開発に従事。2011年から1年間、米国カーネギーメロン大学にて客員研究員としてカメラキャリブレーション技術の研究に携わる。現在は、日立製作所を退職し、東京大学大学院博士課程に在学中。一人称視点映像(First-person vision, Egocentric vision)の解析に関する研究を行っている。具体的には、頭部に装着したカメラで撮影した一人称視点映像を用いて、人と人のインタラクション時の非言語コミュニケーション(うなずき等)を観測し、機械学習の枠組みでカメラ装着者がどのような人物かを推定する技術の研究に取り組んでいる。また、大学院での研究の傍ら、フリーランスとしてコンピュータビジョン技術の研究開発に従事している。専門:コンピュータビジョン、機械学習
2016年03月29日ある有名な職人さんがテレビに出演していたとき、「自分が職人になるなんて思ってもいなかった。小さいころは飽きっぽくて、ひとつのことが続かなかったのに、苦手なことを得意にしたときから人生が変わった。たくさんの人に僕の作品をリクエストしてもらえるようになった」というコメントに、一流と言われる人は「人とは違う何か」をやっているのかも…と感じたものです。苦手なもの・こと・人間関係など、人生の中で「苦手」と思うシーンに誰しもぶつかるのは、ここイタリアでも一緒。それを克服できた人ほど、キャリアも自分もさらにステップアップできていることが多いようです。ここでは、そんな彼らが見つけた「苦手を得意に変えるコツ」についてご紹介します。 1.苦手→チャンスに方向変換会計士として働く知人女性は、新規顧客の担当が苦手だったのですが、同僚の代わりに大口の新規顧客を担当したとき「自分が変わった」そう。最初は辞退しようか迷ったそうですが「失敗したら事務所の信用に関わるけど、成功させたら自分の評価やキャリアをあげられる」と、考えかたを変えて引きうけることに。プレッシャーも相当だったんじゃない? と聞くと「うまくいかなかったら、と考えるヒマを自分に与えないのがプレッシャーに勝つコツ」という答えが返ってきました。さっそく、得意な分野と苦手な分野のふたつに仕事を仕分け、苦手分野を得意とする他の同僚の「早く片づけるコツ」を真似したところ、成果は上々だったといいます。顧客からも高評価をもらったことが自信につながり、新しいクライアントを担当することが得意になっていきました。この経験が生き、数年後に独立したときは多くの顧客が彼女についてきたとか。 2.好きでなくても、続けられることを探すコンサルタントの知人男性は、自分のキャリアを振り返って「自分がこの仕事を選ぶとは思ってもみなかった」と語っていました。彼は30代前半のころ仕事で手痛いミスをし、会社をやめてしばらく浪人していた時期がありました。その間、知人や友人から頼まれて彼らの仕事にアドバイスをしていると、気がつくと口コミで彼に仕事を頼みたいという人が増えたそう。「人に指図するのは正直言って苦手だった。でも、友だちから頼まれているという事情もあるし、応援したくて仕事を引き受け続けた」と当時を振り返る彼。これをきっかけにして仕事への意欲を取り戻し、コンサルタントとして活動するようになりました。「好きこそものの上手なれ、とは言うけど、好きだとか得意だとかいう仕事ばかり選べるわけじゃない。だから、続けるのが苦にならないことをまず探す」ことが、彼の得意分野を広げる方法だといいます。「できるようになればそれが得意になる時が必ず来る。好きになるのはそれからでも遅くない」と語っていました。苦手なことはやらずに、得意なことだけ続けていられれば話は簡単ですが、それだけではすまないのが人生です。苦手を得意に変えるためのコツを自分なりにつかんでおけば、仕事でもプライベートでも大いに役に立つというもの。できることから始めてみて、自分をステップアップさせるのも良さそうです。
2016年03月26日「老後破産」「財政破綻」「経済低迷」…。メディアを通じて伝えられるこうした報道などを見聞きして、将来に対して不安になる若者は少なくない。そしてその不安の内容は「お金」に関するものが圧倒的に多い。だが、メディアを通じたネガティブな報道は、日本で戦後続いた「右肩上がり」の時代を前提にしているケースが多い。ライフネット生命の創業者で同社代表取締役会長兼CEOである出口治明氏は、それとは別の見方をすることによって、「お金」に関して違う行動をとることができるのではないかと著書で提案している。今回は、その著書『働く君に伝えたい「お金」の教養』(ポプラ社、定価1,300円(税別))に関し、インタビューした内容をお伝えしたい。○『世代間格差』を言い立てる学者らは「とんでもない」――出口さんは最近、歴史に関する著書も多いですが、この『働く君に伝えたい「お金」の教養』でも、たとえば年金のできた経緯や保険ができた経緯など、いろんな物事の経緯というものを詳しく書かれていますね。それは歴史が好きか嫌いかにかかわりなく、どんなものにでも、それが生まれた経緯や理由があるのです。物事の本質を理解するためには、淵源の姿を見なければいけないというのは、人間の共通知というか、広い意味で世界の人々の常識だと思います。制度であれ、仕組みであれ、なぜこんなものができたのか、という最初の姿を見ないことには、理解ができないということです。パートナー(もしくは恋人)を理解しようと思ったら、パートナーの生まれた街やそのご両親、通った学校など、こんな環境で育ったからこの人はこうなったんだと理解しようとするのが普通です。それと同じですね。――今回は主に20代の方に向けて書かれたということですが。僕はどんな社会であれ、若者こそが僕たちの未来だと思っています。僕の年金を払ってくれるのは若者しかいないので(笑)。これも人間の共通知で、どこの国にも若者が未来だという格言があります。同じ本を書くなら若い人向けにしたい、というのも世界共通だと思います。――今回の著書でも書かれていますが、メディアは、「世代間格差」とか「老後破産」「下流老人」など、どうしても若者の不安を煽ってしまう傾向にありますね。「世代間格差」を簡単に説明しますと、1961年に国民皆年金・皆保険ができたときは、若者11人で、戦争で苦労したおじいさん・おばあさん1人を養っていた、一つのサッカーチームで高齢者1人を養うという世界です。それが少子高齢化によってサッカーチームは騎馬戦になり、今や肩車に向かっているのです。おじいさんの平均寿命も延びて80歳をはるかに超えたので、20年以上背負わなければいけないという状況になっているのです。世代間の不公平は、この現象を言い換えているだけです。「世代間格差」を言い立てている学者は、支える側の若者がサッカーチームになるまで移民を受け入れようと主張するか、おじいさん、おばあさんには早く死んでもらうようにしましょう、と言わなければロジカルではありません。そう主張できるだけの根性があるなら世代間の不公平という言葉を使ってもいいですが、彼らは煽っているだけなのです。世代間の不公平という耳障りのいい言葉で、不安を煽って商売したいから言っているだけで、冷静に考えたら筋が通っていない理論だと言うしかないですね。○今の20代の人と「バブルおじさん」とは全然違う環境――確かにそうですね。今回の著書では、高度成長時代を生きた「バブルおじさん」の話も出てくるのですが、話している前提が、今の20代の人と「バブルおじさん」とでは、全然違うということを力説されていますね。この本をつくる過程では、20代の編集者とライターを相手に「バブルおじさん」の時代とは外部環境が全然違うということで話を始めたら、そのことを聞きつけたライフネット生命の社内の若手がそれはいい話ですね、私たちも手伝いますよと言って、この本をつくるチームができたのです。普通はライターと編集者の方が僕を取材して、その口述テープをもとに原稿をつくっていただき、それに対して僕がいろいろ意見を言って直しを入れるのですが、今回は僕が直す部分をライフネット生命の若手チームが代行してくれてやってくれました。その後、出口さんの名前で出すので最後の校正だけはやりなさいと指示されたので、原稿を見ていろいろ意見を書いたのですが……その7割くらいは20代の編集者の方と社内の若手チームに却下されてしまいました(笑)。――それは何で却下されてしまったのですか。本の本筋とは違いますと。こんなことはおじいさんのたわごとですとか(笑)。――そんなこと出口さんに言えるのですか。しょっちゅうですよ。――そうすると、この本の中身は…僕が話したことがベースにはなっていますが、その並べ方というか、デザインは20代の若手チームが全部つくってくれました。まさに「20代の20代による20代ための本」といえます。――出口さんのご経験で、京都大学に進学された際、京都は美味しいものがたくさんあるから、美味しいものをたくさん食べてやろうと思って、他は節約したというエピソードが印象に残りました。お金を使う際は「オール・オア・ナッシングの原則」にしているということですが。昔からオール・オア・ナッシングは大好きなんです。集中して楽しいことにお金を使うべきです。――法則的なことでいえば、財産3分法(※「手取りでもらったお金を『財布』『投資』『預金』の3つに振り分ける」)というのもありますね。ドルコスト平均法(※「同じ投資対象を、常に一定の金額で、定期的・機械的に買っていく投資手法」)についても書きました。こういう基本中の基本、原理原則を知っているだけでも、いろいろなことがわかります。――日本の学校では教えてくれないですね。教えるべきだと思います。先進国はこれを教えています。選挙について書いた部分のように、北欧では具体的にどう投票すればいいのかを当たり前に教えるので、他の先進国では若者の投票率も高いのです。――選挙の事前予想が、自分が賛成するものであったら、選挙に行ってその人の名前を書く、白票を出す、棄権する、のいずれかを選べばいい、結果は同じだから、という話ですね。ただし、事前予想が自分の考えと違ったらとるべき手段は一つだけ、選挙に行き、違う人の名前を書く。わかりやすいですね。こういう当たり前のことを教えないから正しい判断ができなくなるのです。教育というのは生きる力を与えるものですから。○「消費税は高齢化対策、税金の姿は社会の動態によって変わる」――出口さんの自由奔放な考え方が、この著書には盛り込まれていると思ったのですがいかがでしょう。世界の常識を話しているだけですから。僕の考えは自由奔放ではなく、むしろ保守的だと思います。日本の常識が世界では非常識なだけです。――消費税の話もそうですね。私は消費税を否定的にとらえていたのですが。消費税は、高齢化対策です。さっきの話で、11人のサッカーチームがおじいさん1人を養うなら、所得税と社会保険料でいい。でも、肩車でサポートするとすれば、所得税と社会保険料だけでもちますか。――無理ですね。おじいさん、おばあさんにも少しは払ってほしいと思うでしょう。それが消費税です。――消費税に反対する人は、消費税には逆進性があるからだめだと主張していますが。逆進性が本当だったら、電気料金や水道料金にもなぜ軽減税率を適用しないのですか。全く論理的ではないと思います。ヨーロッパが全部消費税に向かったのは、高齢化社会になったからです。アメリカでは消費税はやっていないという学者がいますが、当たり前ですよ。アメリカはサッカーチームがラグビーチームに増えているのですから。――移民を受け入れて人口が増え続けていますからね。サッカーチームがラグビーチームに増えているのなら、誰が好んで消費税を入れますかというごく単純な話です。所得税と社会保険料で十分です。税金の姿は、社会の人口動態によって変わるので、人口構成の変化をよく見ないで主張する学者は勉強不足だと思います。――出口さんの「お金のリテラシー」の一つに、ファクトというか、信頼できる機関が出している一次データをきちんと見て、物事をそれで判断しなさいといわれていますが、そういうことなんですね。この本を拝読するまでは、年金は社会保険料でまかなえていると思っていたのですが、かなり税金が入っているんですね。そうです。基礎年金の半分は税金。加えて、そもそも社会保険料というのは一種の目的税です。税金には目的税とそうでない税金がありますが、それは使い道とのリンクの強弱によるので、社会保険料も税金です。アメリカでは社会保険税と呼んでいます。○「日本の高度成長は"キャッチアップモデルが奏功したおかげ"」――高度成長期の「バブルおじさん」が誕生した歴史は大変興味深かったです。極論すれば、スタートは毛沢東のおかげです。――そうですね。中国が共産主義国家になったので、冷戦構造の中で日本が国民党の代わりにアメリカの花嫁になったという。ドッジ・ラインや朝鮮戦争や、いろいろなラッキーな要素が積み重なって、日本の「バブルおじさん」がつくられるきっかけになったということなんですね。若い皆さん、お父さん、お母さんに質問してください。何で日本はお父さん、お母さんの時代に豊かになったのですかと。お父さん、お母さんはきっとこう答えるでしょう。それはお父さんやお母さんが汗水たらして、長時間働いたからだよ、わかるよね、と。でもそれは違います。長時間黙って働けば、成長する条件が揃っていただけです。皆さんがお父さん、お母さんと同じ働き方をしても、絶対8%成長は達成できません。――私も会社に長くいれば、残業代がもらえる制度は疑問を持っているのですが。日本では、残業していたら、たまたま帰ってきた偉い人がその姿を見て、「よう頑張っているな」と声をかけます。日本を除く他の先進国では全く逆で、「こんな時間まで残って残業代をくすねているとんでもないやつだから、早くクビを切らな」と思うわけです。例えば、9時から6時まで、勤務時間内に集中して働く人が一番いい社員なわけです。日本ではバブルおじさんの偉い人が、「遅くまでご苦労さん」とほめる。それを聞いた人はみんなこの会社では遅くまで残っていたらほめられるんだ、遅くまでいたら残業代も入るぞ、と思ってしまう。高度成長期の成功体験を忘れることができないバブルおじさんの価値観にだまされてはいけません。――ちなみに、ライフネット生命はそういう働き方ではない?ライフネット生命はベンチャーです。ベンチャーはとにかく忙しいので残業もあります。ですが、たとえば有給休暇の消化率は75%くらいあります。――すごいですね。3年働いたら1週間の休暇が取れる特別休暇というものもあります。毎日、夜10時、11時まで働いていたら、いつ、人・本・旅で勉強するのか。勉強しなければ、いい知恵なんて生まれないじゃないですか。67年生きてきていろいろな本を読みましたが、長時間働いてこんな素晴らしいアイデアが生まれたとか、生産性が上がったとかいう類の本は、1冊も読んだことがないです。――お金のリテラシーを身に付けるには、そういうことに自分で気づかないとだめですね。本日はありがとうございました。
2016年03月24日●安倍首相も支持した「働き方改革」ファザーリングジャパンは3月18日、 長時間労働をテーマとした緊急フォーラムを開催。政府が設置した産業競争力会議の民間議員として、「日本再興戦略」に長時間労働の是正を盛り込んだ、ワーク・ライフバランス社の小室淑恵社長が「働き方改革」の現状と展望について語った。○長時間労働の是正に政府がかじを切った理由私は2014年9月、政府が設置した産業競争力会議のメンバーとなりました。しかし大変残念ながら、11月までの間は長時間労働是正についての発言をしようとすると、全力でとめられました。長時間労働の是正については、官邸内で結論が出ていないのでもう少しトーンを抑えるようにと。しかし12月以降、政府の方が長時間労働への意識を急に高めてきています。象徴的なのは、2015年6月30日に出された「日本再興戦略」(今後5年間の経済成長戦略について方針を定めたもの)の内容です。内容をつめる打ち合わせを重ねるごとに、長時間労働是正について当初はたった2行だったものが、どんどん前のページに移ってきて量が増えてきて、最後は総論と呼ばれるメインのページの半ページを割くほどになった。「長時間労働の是正は、この国の経済成長に大きな効果をもたらす」という文脈が盛り込まれたのです。また、「一億総活躍国民会議」で今春策定される「ニッポン一億総活躍プラン」の中には、「総労働時間の抑制」という言葉が盛り込まれる見込みです。私は長時間労働の是正について、ずっと政府の動きをウオッチしてきましたが、この言葉が政府の定める方針で出てきたのは初めて。安倍首相も、「働き方改革は次の3年間の最大のチャレンジです」と発言しています。なぜ政府の意識は変わったのか。それはこの3年で「働きながら子育てできる」と実感できる社会を作り、出生率を上げないと、日本は経済破綻を起こすということを、政府が理解し始めたからです。日本におけるベビーブームは第1次、第2次で終わってしまいました。そうなると、出産適齢期にあたる人口のボリュームゾーンは、いわゆる第2次ベビーブームの時にうまれた「団塊ジュニア世代」しかありません。ただ、その「団塊ジュニア世代」の出産適齢期は、医療の手を借りてもあと2~3年だと思っています。だからここで手を打たないと、いくらこのあとに対策を打っても手遅れになってしまうのです。もしこのまま今の出生率が続いた場合、2100年の日本の人口は現在の4割にまで落ち込みます。そしてそのまま下げ止まらずに減っていく。人口が減り続ける国では借金が返せませんので、2100年を待たずして経済破綻が起きると思います。一方で今対策を打ち、出生率が回復して7~8割にとどまれば、世界の中で非常に安定した経済の位置をキープすることができます。――それでは、なぜ出生率を上昇させるために長時間労働の是正が必要なのでしょうか。また、「長時間労働の存在が、母親に罪悪感を抱かせる」と語った小室淑恵さんの、働き方改革に対する思いは。●長時間労働の存在が母親に罪悪感を抱かせる○なぜ出生率の上昇に、長時間労働の是正が必要なのか実際に私たちがコンサルティングをしている企業の例で考えてみましょう。まずコンサルティングに入る前の「労働時間の上限がない企業」では、月末や年度末までにいかに成果を出すかという戦いになります。「期間あたり生産性」といいますが、これをすると、自分が勝つためにはノウハウを他人と共有せず、自分ができる限りの時間を費やして他者と差をつけるという「個人戦」に走ることになります。その結果、以下のことが起こります。(1)時間的制約のある育児・介護中の社員は勝負に勝てなくなりモチベーションが下がる(2)独身社員に仕事が集中して婚活の時間がなくなる(3)男性社員が育児に参加できず第2子がうまれない(4)育児中女性社員のモチベーションが下がり管理職を打診しても受けなくなる(5)介護中の社員が離職し、ベテランのノウハウが失われる一方で、「労働時間に上限のある企業」になるとどのような変化が起こるのか。生産性をあげるために、1時間あたりの成果を競い合うという評価制度に変える必要が出てきます。「時間あたり生産性」といいますが、これを評価基準にすると、時間内に成果を出せばいいということになり、時間的制約のある社員のモチベーションが上がります。また、独身社員、子どもを持つ男性社員にも「ライフ」の時間ができる。全員が協力して効率を上げていかなければならないので「チーム戦」になり、ノウハウが属人化せずチームで共有されるようになります。そうすると、前にあげた5点が解消されますよね。これと同じことが、日本の社会でも言えるのです。三六協定で労働時間の上限を設定すれば、企業間の争いは「短い時間で高い労働生産性を競う」という形に変わります。すると以下のことが起こります。(1)1人に多くの労働時間を割けないので、労働者の頭数を増やすために、時間的制約のある育児・介護中の社員も積極採用するようになる(結果として潜在労働力を活用でき、GDPが向上する)(2)独身社員の労働時間が減り、婚活・自己研さんの時間がとれる(3)子持ちの男性社員が育児に参加できるようになり、第2子がうまれたり、妻の就業率がアップしたりする(4)育児中の女性社員が業績に貪欲になり、管理職を目指すようになる(5)介護中の社員が離職せずに済むため、高齢社員が活躍できるようになり、社会保障費の削減が見込める結果として「働きながら子育てできる」環境が整い出生率が上がるうえ、GDPも向上し、介護離職0も達成できると私は考えています。1990年代半ばまでは若者がたっぷりいる社会でした。しかし、これからは高齢者が大半である社会に変わっていきます。ですから、男女で効率よく仕事をして、多様性で勝っていく社会に飛び移らないといけない。政府と企業の経営者に加え、個人の仕事のやり方を変えることも必要だと思っています。○時間的制約がない社員こそ、長時間労働の是正を時間的制約のない人たちは長時間労働をしても本人は問題ではないかもしれない。しかし、その人との比較の中で時間が足りないから何かが足りないのだという苦しさみたいなものを、育児中の社員は持っていると思います。その結果、一番危ないと思っているのはその葛藤の中で子どもにあたってしまうことです。例えば、育児中の社員が職場で肩身の狭い思いをして、仕事ができないという犠牲を払って、全力で保育園の子どものお迎えに行ったとします。そこまでして急いで迎えにいったのに、子どもに「まだここで遊んでいたい」と言われるとすごくショックな気持ちになって子どもにあたってしまう。そしてその直後にすごく罪悪感を持って、もう2度とこういう思いをしたくない、私が仕事に未練があるからいけないのだと思い、仕事へのモチベーションを下げてしまう女性ってたくさんいるのではないかと思っています。ですから、労働時間の上限を入れることによって、フェアな戦いができ、きちんと評価され、生産性が上がるという仕組みをつくっていかないといけない。育児をしていない人は長時間労働でいいということではなく、社会全体で考えなければいけない問題だということを認識してほしいと思います。
2016年03月22日ある日、自分のおなかのなかにもうひとつの命を授かったときの感動は、なんともいえません。しかし、よろこんだ次の瞬間に大きな不安がよぎってしまうのが、現代の出産環境…。働く女性が出産のときに抱える悩みと、事前に確認しておきたいことについてご紹介します。■マタニティハラスメント体験談マタニティハラスメント(=以下、マタハラ)とは、労働者が職場から妊娠・出産による不利益を受ける嫌がらせのことをいいます。たとえば、妊娠を会社へ報告したときに「うちでは産休・育休はとれない」「急な人事異動で、新しい部署では仕事を全然まわしてもらえなくなった」「パートや派遣、契約社員などの場合は、急に雇用を打ち切られる。退職を促される」などの不利益な扱いのことです。じつは私も、とある大手企業で派遣社員として働いていたときに、マタハラを受けました。まず、妊娠がわかったときに派遣元の営業さんに報告をしたところ、「派遣では産休・育休はあってないようなもの」といわれ、先々の相談に乗ってくれる様子ではありませんでした。また、妊娠6~7カ月の頃にようやく派遣先にも報告し、一度は産休ギリギリまで働くと合意をしましたが、急きょ「後任者が見つかったから、もう休んでいい(=契約解除)」と言われました。■出産の前後にふりかかる大きな不安マタハラ以外にも、さまざまな悩みがあります。出産後も雇ってもらえるかどうかも、不安を感じるところです。仕事が安定している正社員のある女性は、数年前にひとりめを出産したとき、保育園に入れず、会社復帰ができない可能性があったそう。結局、彼女は子どもが1歳になるまで育休がとれるところを、0歳児クラスに空きがある保育園へ申し込みをして、早めに復帰しました。正社員で働いていた別の女性は、当時の会社が社会保険と雇用保険に入っておらず、産休育休中の給付金がもらえない状況に。子育て中の経済的な不安を避けたい彼女は、転職を選びました。■妊娠・出産にそなえて確認しておきたいことこれから、妊娠・出産を考えている人は、次の予備知識を事前に調べておきましょう。1. マタハラとは何か2. 産休・育休を取得するための条件3. 産休・育休中の手当や給付金の受給資格4. 住んでいる地域の保育園事情私もこれらを学ぶことで、“保険組合や会社の総務へ相談する”という選択肢が生まれ、無事に産休・育休をもらうことができました。ひとりでも多くの女性が、安心して仕事と子育ての両立ができる社会になりますように。そのためにまずは、ひとりひとりの女性が、自分で知識を蓄え、そなえることが重要です。
2016年03月20日Google Japanは、同社のオフィシャルブログで女性の社会進出を支援するプロジェクト「Women Will」プロジェクトの中の「#HappyBackToWork」の分析結果を発表した。「Women Will」は、テクノロジーを活用したより柔軟な働き方で女性の社会進出を支援していくプロジェクトで、Googleが2014年に立ち上げている。今回オフィシャルブログで紹介された「#HappyBackToWork」は、出産などを機に、さまざまな理由から女性が仕事をやめてしまう状況を改善することを主眼に日本での活動として行われている。一般ユーザーや企業から広くアイデアを募りながら分析し、理念に参加する企業がトライアルしていくという試みがなされており、2015年3月5日からの1年間で5,000を超えるアイデア、700社のサポータ企業の賛同、1,600件のアイデアの実践という成果を達成している。今回、応募されたアイデアから多く用いられるキーワード約600("育児"、"時短"、"家事"、"残業"、"保育園"など)を抽出し、関連性をもとに「誰ができるアクションか?」という縦軸、「何を変えたいか?」という横軸で整理し、分布図として可視化している。図を大別すると、1.男性が働き方を変える(左上)2.男性が育児・家事を変える(右上)3.企業・社会が働き方を変える(左下)4.企業・社会が育児・家事を変える(右下)に分類されるが、縦軸のアクションを求めたい対象はやはりパートナーである男性に起こして欲しいという傾向が見られ、2週間の育休ではなく1年間の定時あがりを求める案(区分1)や夫婦での育児/家事の夫婦でのシェア案(区分2)などが例として掲載されている。また、変えるべき対象としては、「在宅勤務が普通にできる社会に」(区分3)、「子連れ出勤ができる職場に」(区分4)などが具体例として掲載されている。なお、同社ではこれらのアイデアを参考にして復職ママを応援する「#HappyBackToWork WEEKS」を開催。Women Willに賛同する企業からの取り組みやサービスが展開される。#HappyBackToWork WEEKS 参加企業は以下の通り。(五十音順 プロジェクト公式Webサイト掲載企業より)AsMama / アンファー / 壱頁 / インターネット・アカデミー / ウーマンネットアカデミー&コンサルティング / 営業部女子課 / ABC Cooking Studio / エニタイムズ / NTTドコモ / NPO法人 ファザーリングジャパン / オイシックス / CaSy / カラーズ / KIDSLINE / ゴーシュ 研究所 / JapanTaxi / セールス・オンデマンド / 西友 / セーフティ・プロ / 全研本社 / ソウ エクスペリエンス / ソニー 生命保険 /ちぇぶら / ChatWork / テンプグループ / ドコモ ヘルスケア / 戸板女子短期大学 / 東海旅客鉄道 / 東京急行電鉄 / ニフティ / 日本旅行 / ノバレーゼ / ハッピーコム / 働きごこち 研究所 / BEAMS / フィリップス エレクトロニクス ジャパン / ブランニュウスタイル / Philips /Priv. Spoons Club / ベアーズ / ホームワーカーズコミュニティ / ポピンズ / ホワイトプラス / マドレボニータ / mamagaku(一般社団法人 子育てデザイン総合研究所)/ Mamasan&Company / ママスクエア / 三越伊勢丹 /メディアジーン / モーハウス / 森ビル / 楽天 / リラク / Waris
2016年03月16日2月、東京都主催のイベント「ワークライフバランスフェスタ東京2016」が都内で開催された。イベント内では、「多様化する働き方 ~これからの企業成長に欠かせない"しごとスタイル"とは? ~」と題したパネルディスカッションが開催され、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏らが登壇した。登壇者は小室氏の他、日本レーザー代表取締役社長の近藤宣之氏、NPO法人パオッコ理事長・太田差惠子氏、住友重機械エンバイロメント代表取締役社長の真鍋教市氏、そしてコーディネーターとしてフリーアナウンサーの住吉美紀氏。二児の母で子育て中である小室氏は残業を減らして業績を上げるコンサルティングに定評があり、これまでに900社以上のコンサルティング実績を持つ。近藤氏は、2014年より厚生労働省「女性の活躍推進協議会」委員を務める。太田氏が立ち上げたパオッコは、離れて暮らす親のケアを考える会で、遠距離介護や仕事と介護の両立などをテーマに情報発信している。住友重機械エンバイロメントは、平成27年度東京ワークライフバランス認定企業(長時間労働削減取組部門)である。「育児と介護と仕事」をキーワードに、各分野の専門家が終結してのディスカッションとなった。○「仕事を覚える前にワークライフバランスを考えるな」小室氏(以下、敬称略): この2年で、企業におけるワークライフバランスの注目度が上がりました。これからは人材の奪い合い時代に突入し、人がとれる企業、とれない企業に二分化されていくと予想されます。私がコンサルティングをした企業では、労働時間を減らすと業績が上がり、女性従業員の出生数も増えた、といった企業が増えてきているのが特徴です。近藤:最近は女性がとても元気。しかしながら日本には男性優先の風土があるので、企業風土を変えるためにも、私たちの話は社長に聞いてもらいたい。真鍋: 弊社では、正社員の女性比率は10%程度ですが、来年度の新入社員は半分が女性となります。ですが男性中心の会社でワーカーホリックな社員も多い。現在、残業時間削減の取り組み中で、残業を減らしてできた時間をどう使うか、というところからスタートしています。住吉: 20代におけるワークライフバランスで重要なことは何でしょうか。近藤: 最近の若い人は、ワークライフバランスというと「ライフ50、ワーク50」という考えですがこれは間違い。私は一生を通じて、ワークライフバランスが取れていればいいと考える。若いうちはワークライフバランスを考える前に仕事を覚えるべきだ。真鍋: 「石の上にも3年」という言葉がありますが、若い人には、「お前たちが3年我慢するんじゃない。経営者が新人に対して3年間我慢するんだ」と伝えています。仕事を覚える前にワークライフバランスなどといっていると、結局仕事も覚えられず、バランスもとれなくなっていきます。小室: これからの時代、しっかりと学んでいかないと生き残れないのが20代。20代の将来は、世界での日本の立場も低くなり、「英語は当然。その他に何語が話せるの? 」という時代となります。ということで、この世代は「ライフ」の部分もとてもシビアになってきますね。○子育て女性社員のモチベーションは評価法で変わる住吉: 子育て中の世代はいかがでしょうか。小室: 企業からは、「時短勤務などの制度を整備して充実させているが、ぶら下がり社員が増える」といった悩みが寄せられ、そんな女性にカツをいれる講習をリクエストされます。まずなぜ子育て中の女性は仕事のモチベーションが下がるのかを考えていくと、彼女たちが働く職場は、長時間労働でないと評価されないムードであることが多い。時短勤務スタッフの大半は、かつての仕事量を残業無く時短の中で完了させていることが多く、つまりは人件費自体は下がっているのです。ですが、本人の退社後にイレギュラー対応があり、周りの人がサポートをすることで本人の査定が下がり、周囲の人はサポートした分評価が上がる。仕事ではこんな不条理感があり、かといって子どもも自分の思い通りには行かない。そんな負のスパイラルの中で、仕事に期待を抱かなくなり、モチベーション低下につながります。私は期間あたり生産性ではなく、時間当たり生産性に評価を変えるようコンサル先では提言しています。女性は、きちんと評価されることでモチベーションが上がっていきます。あとは、短時間勤務とその他の人たちとの兼ね合いも問題になりますね。しかし、長時間労働をする人も、実は様々な「ライフ」を抱えているのです。育児や介護といった特別な「ライフ」の事情をいってこない人にも有休をしっかりとらせる。長時間勤務をクライアント事情、業界慣習だからと諦めるのではなく、クライアントにも説得に行くといった社長の姿勢も大切です。社員全員の「ライフ」が充実していれば、1時間くらい早く帰る人がいてもうるさく言わなくなりますよ。太田: 最近は出産・結婚年齢が上がり、介護と子育てが同時進行の「ダブルケア」が多くなっています。会社に内緒で介護を続けるのはほぼ不可能。介護をしているといえる職場の雰囲気づくりが大切です。企業風土を変えるのは難しいが、地域包括職員を呼んでのセミナーやグループワークなどを企業内で行うことで、社内で介護の話をしてもいいんだ、と思わせることが大事です。小室: 親と年齢が離れている団塊ジュニア世代は、35歳でも介護が始まる年齢になってきています。突然介護が始まるとパニックになるので、事前に知識があるかどうかで大きく変わります。近藤: 介護も育児も、さらには社員自身の病気も会社から見ると同じリスク管理。そこでわが社では、「ダブルアサインメント・マルチタスク」を経営方針としています。組織は、20%のリーダー格、60%の中間層がいて、残り20%がぶら下がり型となる。そこでぶら下がりを切ろう! としてはいけない。もし自分が病気や介護、育児が理由でリーダー格からぶら下がり層へと落ちていったとしても働き続けることができるんだ、という安心感が社員のモチベーションを上げることにつながります。そして最後に小室さんも、「確かにマルチタスクとダブルアサインメントは大切」とコメント。「1960年代~1990年代は長時間労働で勝てる時代でした。しかし今は男女共に、短時間労働と多様性で勝負しないとビジネスで勝てないという人口構造になっています。経営者は意外と他人に説得されたがっているもなので、どんどんぶつかっていってほしい」と締めくくった。
2016年03月11日3月になり、大学三年生にとっては学生生活最大の試練、就活シーズンが近づいてきましたね。ゆったり働きたい人、バリバリ働きたい人、それぞれが目標に向かって全力で頑張る時期。そんな中、今の女子大生たちの中には、一風変わったキャリアプランをたてながら就活をしている人も多いんだとか。その名もズバリ、「ゆったりキャリア志向」。いったい今のゆとり女子大生たちは、どんな働き方を目指しているのか…その本音に迫りました!■専業主婦にはなりたくない「同期の女子と就活について話すと、だいたいみんな、そこそこの名前の知れた企業に入って、結婚しても、子どもが出来ても働きたいって思っている子が多い。いまどき、専業主婦というと、男からも女からもバカにされて生きづらい気がするし、活動的な女子が多いから、専業主婦はヒマすぎるって思っているみたい」(W大学)なんと意外なことに、早く結婚して専業主婦になりたいと思っている女子大生は少数派なんだそう。最近は女子大生でも、ひとりで世界を巡ったりするほど活動的な学生が増えたので、彼女達の目には「専業主婦」は退屈に映ってしまうそう。■子どもができたらキャリアチェンジ「就職先は大手損保。今の就職先を選んだのは、とりあえず結婚するまでバリバリ働いて稼いで、結婚したり子どもが出来たりしたら、エリア限定職などラクな職種にチェンジする…っていう働き方もできそうだなと思ったから。あととりあえず大手のネームバリューがあれば、他の楽な業種に転職もできそうだし」(K大学)今の女子大生達は、専業主婦にはなりたくないと思う一方で、結婚したり子どもが出来たタイミングで、家庭と両立しやすい職種・業種にキャリアチェンジすることを視野に入れて就職先を選ぶこともあるようです。都合がいいようにも思えるかもしれませんが、じつは最近の大きな企業では、こうした女性向けのキャリアチェンジ制度を整えているところも多いのです。企業側としても、せっかく育てた人材が結婚などを機に退職されてしまうよりは、こうしたキャリアチェンジ制度を利用してでも、スキルのある人材が残ってくれる方がプラスだと考えているのかもしれません。■ゆるっと仕事と家庭を両立したい?まとめると、今の女子大生たちが立てているキャリアプランは、「結婚するまではバリバリ働いて稼いで、結婚したら家庭と両立できる仕事量にチェンジ」というもののようです。女性の社会進出が進む一方で、保育所はまだまだ不足していたり、産休・育休制度の不整備、はたまた、多くの会社では育児の都合で急な休みを取るなんてことは難しい…というのも現状です。女子大生達が目指している「ゆったりキャリア」は、現状の中でで最大限「仕事と家庭」を両立させるための方法なのかもしれません。
2016年03月11日日本総合研究所は3月7日、「男性管理職のアンケート意識調査」の結果を発表した。執筆者は同社創発戦略センターESGアナリストの小島明子氏。○昇進するためには定時後の業務もやむを得ず?男性管理職に女性の登用について尋ねたところ、「賛成」は85.1%、「反対」は14.9%で、9割弱が女性の登用に賛成すると回答した。賛成する理由については、「女性の視点が入ることで、商品開発等イノベーション創出につながること」が53.1%を占めた。小島氏は「女性の登用に対する男性管理職の理解は十分得られていると考えられる」と分析している。組織で昇進をするための働き方について、女性登用賛成派と反対派でみたところ、昇進のためなら、定時以降に上司から依頼された仕事を行うことや会議に出席することを「仕方がない」と答えた割合は、女性登用反対派では7割前後、賛成派でも6割強に上った。小島氏は「女性の登用に賛成している男性管理職であっても、自身の昇進のためには定時以降の勤務を受け入れている」と指摘。その上で、「企業として積極的に働き方改革を進め、定時退社や残業の削減を積極的に推進しなければ、そもそも働きやすい職場環境の実現は難しい」としている。調査期間は2015年3月24~31日、有効回答数は40~59歳の男性管理職516人。
2016年03月09日今の仕事に満足はしているけれど、もっと良い働き方があるのではないか……そんな風に考えたことはありませんか?フリーランスとして企業に属せずに働くスタイルが注目されていますが、なかなか踏み出せない人も多いことでしょう。人間関係や時間に縛られず自由に仕事ができるというプラスイメージの反面、収入が不安定というマイナスイメージもつきまといます。今回はフリーランス6年目の私の現実を紹介したいと思います。そもそもどうしてフリー(ライター)になったのかフリーライターというと、もともと編集プロダクションや出版社などで経験を積んだ人が独立してなるものというイメージがあるのではないでしょうか。以前は私もそう思っていました。でも私にはライターにつながるような経験も仕事のコネもありませんでした。そんな私がフリーライターになったのは、バリ島への移住がきっかけでした。当初の予定を繰り上げての移住だったので蓄えも十分ではなく、生活していくために働くことはマストでした。とはいえ現地での仕事はなかなか決まりません。そこでインターネットで在宅ワークの仕事を見つけて応募したことが、フリーライターとしての始まりでした。1記事で約100円という仕事でしたが「経験のない私でもできるかもしれない」と、思い切って応募したことを覚えています。現在はクラウドワークを支援するサイトが複数あるので、こうしたサイトに登録してキャリアスタートさせる人も少なくないようです。そんな経緯で、私は1記事100円からライターのキャリアをスタートしました。1記事100円で食っていけるのか?結論から言うと、食っていけません。初めての収入は月2万円足らずだったと思います。これではさすがに物価の安いバリ島でも生活するのは困難です。6年目の今はもう少し収入は増えましたが、ライター業一本で生活できるかというとまだまだ不安定な状態です。正直このペースは遅い方だと思うので、私よりも経験年数が浅くてもライターの収入だけで生活している人もたくさんいると思います。では私がどうやって生活しているのか、です。平流のフリーランス蘇生術をお伝えしたいと思います。肩書きを一つに絞らない以前フリーランスの先輩から「4本の柱(仕事)を持つことが大切」と言われたことがあります。フリーランスは、いつ仕事がなくなるかわかりません。生活を安定させるために、そして何より好きな仕事を続けるためにも収入を安定させることは大切だと諭されました。そして、互いに補足しあい継続できるような複数の仕事を持つことをすすめられました。とはいえいきなり4つもの仕事を見つけるのは難しかったので、少しずつライター以外の仕事を作っていきました。具体的にはライターを始めた翌年にバリ島の布を使ったオリジナルの衣類やバリ雑貨などを日本向けに販売する小さなビジネスを、その2年後にバリ島で4棟だけの小さな宿を始めました。いずれも規模は大きいとはいえませんが、この3つの仕事を回すことでなんとか収入を確保しています。また私の友人はパートで週2回ほど看護婦の仕事をしながら自宅でアロマ教室を開いたり、イベントをプランニングしたりして収入を得ています。別の友人は改造バンで移動コーヒーショップを営みながら、翻訳の仕事を外注で受けています。肩書きを一つに絞らないことでフリーで生きていく可能性が広がることは事実です。フリーランスの道は平等に開けている「二兎を追うもの、一兎も得ず」という諺があるように、あれこれと手を出すことに抵抗がある人もいるでしょう。私も一つの道を究めることは美しいと感じます。一方、こだわりを貫くためには資金や時間にもある程度の余裕が必要です。フリーランスという不安定な立場では、この余裕はなかなか生まれにくいもの。私は複数の仕事をすることで収入が安定しやすくなったことに加えて、さまざまな興味を仕事にできるという喜びも感じています。フリーランスは一部の特別な人たちだけ開かれた道ではありません。誰にでも、フリーランスの道は開けています。凡人ライターの私が言うのだから、間違いありませんよ。
2016年03月03日多くの企業が決算期を迎える3月。連日の残業でプライベートがぼろぼろ…という人も多いのでは? そこで、繁忙期を乗りきるための時短テクを紹介します。■忙しいときほどファイリングやメモをまめに忙しさに追われて、机やPCのデスクトップがぐちゃぐちゃになっていませんか? メモやファイルが散乱すると、次に使う際にすぐ見つからず、結局時間をとられてしまいます。そのときどきは面倒でも、メモやファイリングはまめに、落ちついて整理しましょう。どうしても都度の処理や作業はできない…という人は、作業時間をあらかじめ確保しては。どんなに忙しくても、強制的にスケジュールに入れてしまった方が、後々スムーズに運ぶことが多いですよ。■メールより電話、資料より雑談がいい場合もあるなんでもメールですむがゆえに、電話をかけるのがはばかられる感覚ってありませんか? でも、相手の返事次第でこちらの提案が変わる場合や、前提が複数あるような話は、電話の方が早く、先方の時間も奪わずにすみます。つねにメールで処理している人は、ケースバイケースで電話をうまく活用することで時短になるかもしれません。また、上司やクライアントから資料提出を求められたときは、イメージや方向性を事前に共有しておくことが大切です。忙しいときほど雑談や打ちあわせの時間を持ち、資料をつくりこむ前に骨子を「握って」おきましょう。そうすることで、無駄な作業や時間を省き、相手の求めるものに近づけることができます。■体調管理がなによりの時短にプライベートでも時短は可能です。そのとき、一番肝心なのは体調維持。無理をして体を壊すと、仕事が遅れるだけでなく、周りにも迷惑をかけてしまいます。何よりの時短は体を整えること。朝食を抜かない。睡眠をしっかりとる。マスクと手洗いを欠かさない。生活面での基礎をしっかりつくるだけでも効果がありますよ。また、心のゆとりも重要です。たとえば、バスタイムをゆっくりとってリラックスする時間をつくるなど。スマホを防水にして音楽や動画を楽しめば、物理的な時短にもなって一石二鳥。バラエティなどで大笑いして気分転換したり、超セレブな世界を舞台にした海外ドラマ・映画など、現実離れした世界観にひたれば、リフレッシュ効果も抜群です。忙しい季節、うまく乗りきって、気持ちよく春を迎えましょう!
2016年03月02日『自分を磨く働き方』(安田佳生著、フォレスト出版)の著者は、普通の人があまり経験したことのない、できれば経験したくないような苦境を乗り越えてきた人物。1990年に「ワイキューブ」を設立し、斬新な人材コンサルティング事業によって話題となったものの、2011年には同社が倒産。それどころか、結果的には自己破産に至ったというのです。本書の根底にあるのは、そんな著者がその後3年の歳月を経てたどりついたという「理想の働き方」。それは「人は楽しむために生き、そして楽しむために働く」というシンプルなもの。そんな視点を軸として「仕事をつまらなくしているものの正体」を明らかにし、やりがいを持ち、楽しく仕事をするにはどうすればいいのかを解き明かしているわけです。そのなかからきょうは、お金についての考え方を見てみたいと思います。■お金が犯した罪とは?世の中にまだお金がなかった時代、人が一対一の物々交換によって欲しいものを手に入れていたという話は、いまさら語るまでもないこと。米を肉と、または肉を魚と交換していたわけです。そしてそののち、交換の道具として「お金」が登場します。それまでは相手が欲しがるものを持っていなければ交換が成立しませんでしたが、お金を介在させることによって取引がしやすくなったのです。肉や魚と違って、お金は腐ることがありませんし、いつまでも蓄えておけます。だからお金さえあれば、時を選ぶことなく、欲しいものが欲しいときに手に入るようになったわけで、これはお金の功績。しかしお金は同時に、矛盾も生み出すことになったといいます。蓄えられるという性質があるため、お金そのものが価値を持つようになったということ。その結果、お金を大事にする人が増えたのです。本来は肉や魚を手に入れるための道具だったはずなのに、それ以上の価値がお金についてしまったという、ある意味では予想外の結果。では、お金そのものが価値を持つようになると、どんなことが起きるのでしょうか?簡単にいうと、お金を基準として世の中の価値がはかられるようになっていくのです。そしてそうなった結果、「本当に価値あるものはなんなのか」ということが見えにくくなってくるわけです。その結果、社会の発展よりも株主や経営者の儲けが重視されるようになり、社員はいつでも替えがきく歯車となっていくことになっていきます。著者によれば、これこそが「お金が犯した罪」。■誰も働かなければいいだとすれば、どのようにすればそんなシステムから抜け出ることができるようになるのでしょうか?この問いに対して、著者はこういいます。資本家に対抗するには、誰も彼らのために働かなければいいのだと。お金がない者同士がみんなで集まって、「どんなに金を積まれても、嫌いな人の仕事は絶対にやらないぞ!」と同盟を組めばいいというのです。そして、資本家の仕事をボイコットすればいいというのです。それは、あまりにも非現実的な話であるように聞こえます。けれど著者は、そんな意見に対して、「社員がみんな会社をやめたらどうなるのか」と反論します。もしもそんなことになったら、当然のことながら会社は利益を出せなくなり、資産家は金儲けができなくなるでしょう。■資本主義社会は終り!しかし一方で、この考え方が成功することもないともいうのです。ボイコットは歩調を合わせなければ効果がないものなのに、そんな流れのなかからは「私がその仕事をやります!」と抜け駆けする人が出てくるものだから。いってみれば賢い投資家は、そこまでお見通しなのです。だからこそ、「お金の価値を暴落させる作戦」に出るしかないと著者は主張します。どういうことかといえば、「お金のために働く」ことをやめるということ。「もっと収入を増やしたい」「お金持ちになりたい」と考えるのではなく、「生きていくのに十分なお金さえあればいいじゃないか」と考える。みんながお金を欲しがらなければ、お金の価値は下がり、誰もお金で動かされなくなるというわけです。そしてお金の価値が暴落すれば、資本主義社会は終りを告げることになります。そこにこそ、人間にとっていちばん大切な生き方があるというのです。*おわかりのとおり、これは極論中の極論です。つまり、ある意味で著者は一種のジョークとしてこの考え方を展開しています。しかし重要なのは、冗談めかした極論の向こう側に、本質的な部分もはっきりと見えるということ。つまり、「誰もが忘れかけていたお金についての大切なこと」を再認識するためにも、読んでみて損はないと思います。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※安田佳生(2015)『自分を磨く働き方』フォレスト出版
2016年03月01日「最近の若者はすぐに会社を辞めてしまう…」そんな声があらゆる企業で聞こえているようです。「熱意が足りない」「夢がない」「辛抱強くない」などとボロクソに言われることも多いゆとり世代。新卒入社した会社でも3年も経たない間に見切りをつけてしまうことも多く、「ナゼ…?」と不思議がる世代の人も少なくありません。■ゆとり世代が3年以内に退職するのはなぜ?バブル世代やそれまでの時代は、年齢とともに昇給し、ある程度のポジションに就くことができていました。しかし現代では年功序列が当たり前でなくなり、大手企業であってもつぶれるリスクのある現代。長く同じ企業にいつづけてもいいことなんてありません。それどころか、同じ企業でルーチンワークを繰り返すことは、転職のリスクを高めることだと感じることもあるでしょう。そんななか、ゆとり世代では自身のスキルを磨きあらゆる会社に対応できる能力を身に着けようとする「スキル派」と、お金に執着せずに今ある生活のなかで幸せを見出そうという「プライベート派」に分かれています。■スキル派の働き方スキル派の働き方は、多方面で使える能力を磨くことにあります。そのため、自分の本業以外にも仕事をつくり、能力を磨いている傾向があるのです。週休3日制+バイトor勉強「会社帰りにセミナーに行ったり勉強会に参加したりして、仕事とは別の能力をつけるようにしている」(25歳・広告)ユニクロを筆頭に週休3日制を取り入れている企業もちらほらと出てきています。そのぶん、土日は休みでなかったり1日あたりの労働時間が長かったりするのが特徴です。とはいえお金の出ない残業時間を費やしていくよりは多少労働時間が増えても週に3日休みがほしいというゆとり世代も多いそう。そんな彼らは、休みの日にバイトをして別のジャンルのスキルを身に着けたり、学校へ通って役立つ資格取得を目指したりしているといいます。休みを利用して、仕事以外の能力を身に着けることで、多分野の仕事で活躍できる人間を目指すのです。週末副業で年収+30万!「仕事はあくまで仕事と割り切って、休日は個人の趣味を活かして収入を得ている。いずれこっちを本業にしたいな(28歳・販売)会社員をしながら、週末は趣味や得意分野を活かした副業をするゆとり男女もいるようです。副業はwebデザインやライターなどのネット業界のものから、趣味の手芸やアクセサリー作りを活かしてネット販売をするという人も。「退職後にはこっちを本業にしたい」「あと5年働いたら独立する」と考えている人もいるそうです。会社に頼らず自分の力で稼いでいくというスタンスですね。■プライベート派の働き方職の生き残りをかけて、長い目で働くことを考えているスキル派。一方プライベート派は、「今ある生活のなかに幸せを見つけていこう」というスタンスです。派遣で働きプライベートを充実!「去年までは正社員で働いていたけど、激務薄給に耐えられず今は派遣。時給2100円で事務をしている。困らない程度には稼げているし、残業もない。プライベートが充実しているからストレスもためずにすむ」(27歳・事務)ボロ雑巾のようになるまで働くのではなく、自分のペースで働くというプライベート派。実生活が潤うのと、果てしない残業がないのとでストレスがたまることはありません。金銭面といつ派遣切りにあうかわからない…という不安はついてまわりますが、正社員と比べると派遣は転職先を見つけやすい傾向があります。みなさんはスキル派、プライベート派、どちらでしょうか?自分に合った働き方を見つけていきたいですね。
2016年02月29日日本は世界的に見ても、豊かなことで知られる国。実際、GDP(国内総生産)ランキングでは現在も世界3位の座をキープ(2015年4月現在)しています。しかし、「一人当たりの購買力ランキング」を見るとどうでしょう。なんと、市民一人あたりの豊かさは世界29位なのです! 「豊かな国」とは言い難い、シビアな現実を見た気がします。ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEOの出口治明さんと、内閣府と大学教員の経験を持つエコノミスト・島澤諭さんの共著書『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』(SBクリエイティブ)では、日本人の労働生産性について警鐘を鳴らしています。そこで今回は、この本より抜粋した「日本人の働き方の5つの課題」を紹介したいと思います。■1:「おもてなし」は自己満足?日本のサービスは質が高いのですが、それが料金に含まれていないことが、労働生産性を低くしている原因にもなっているそう。たとえば、ブラック企業として取り上げられる企業はほとんどがサービス業です。賃金も上がらず、労働時間ばかり長く、離職率も高くなっています。従業員に見合った対価を与えられないのに、「おもてなし」ばかり強制するのはおかしいこと。お金のとれない「おもてなし」は自己満足に過ぎない、と著者はいいます。なぜ日本は一人あたりのGDPの順位が29位と低いのかといえば、労働生産性が低いから。労働生産性とは「いかに効率よく人と時間と資源を活用しているか」の指標で、「生産量(GDP)÷(就業者×労働時間)」で割り出されます。生産性が低いとそれに見合った給料しか貰えず、いつまでたっても生活が豊かにはならないのです。■2:年功序列は時代遅れ!同一労働・同一賃金のすすめ年功序列とは、勤続年数が増えていくに従い、地位も賃金も上がっていく仕組みです。著者は「若いときに搾り取られた給料以上の働いた分を、年をとったら取り返す仕組み」とも表現しています。これが維持される限り、年をとれば必然的に働かなくなります。現状維持で給料がたくさんもらえる人は、わざわざ生産性を上げる努力はしないでしょう。やる気がある人でも、いくらがんばっても賃金が上がらないとなれば、やりがいを感じられずにやめてしまうかもしれません。高度成長の時代はうまくいったシステムも、現在ではうまくいかないとのこと。やはり同一労働・同一賃金の、生産性に応じた給料体系にするべきのようです。■3:残業禁止が生産性を上げる日本の生産性を上げるためには「残業の廃止が必要」と著者はいいます。ダラダラ残業してしまう人は、労働生産性が高いとはいえません。日本の生産性の低い理由のひとつに、「仕事のコストパフォーマンスを重視されない」ことがあります。これは「いくら仕事ができても、給料はそんなに変わらない」ということとイコールです。コストパフォーマンスに重きが置かれない場合、ロイヤリティー(忠誠)に重きを置かれるようになるそう。すると「残業する人ほど真面目」、「遅くまで仕事をするほど愛社精神がある」などと評価され、余計に生産性が上がらなくなってしまうのです。残業禁止については個人の意識よりも、企業や管理職が率先して取り組まないとなかなか解決できない問題のようです。■4:「どのくらい仕事をしたか」という評価の仕組みをつくる今後は「なにをどれだけやったか」という評価の仕組みをつくる必要があるでしょう。生産性に見合った賃金を支払う仕組みを作るためには、各人の生産性を正確に計測し、それを評価した上で、その評価に対して上司と部下の双方で対話が必要とのこと。また個人では、自分の頭で人とは違うことを考えることも重要。仕事の生産性を上げるために、自分でいろいろな方法を「ラン&テスト」で試すのがいいようです。仕事のスピードが上がれば、生産性の向上に繋がるでしょう。■5:労働生産性のアップは今後の日本に不可欠!日本は少子高齢化の影響で、労働人口は減少傾向です。2060年には労働人口が約4割も減ってしまうそう。このまま労働生産性が変わらなければGDPも約4割減ってしまいます。労働生産性の向上を阻む最大の壁は「時間もスタッフも無限に使える」といった誤った考え方です。著者も「『長時間働いたから良い仕事ができた』と言う例は67年間の人生で見たことない」とのこと。ご飯をしっかり食べて、しっかり寝て休養するほうが、何倍も良い仕事ができるはずなのです。世界を見ても、今は「時短」に向けて動いています。例えばドイツはGDPが世界4位の経済大国ですが、午後6時以降の残業は禁止にする法改正に取り組んでいます。日本も働き方を見なおすときが来ているようです。*日本は一人あたりの豊かさで考えると、決して世界に誇れる状況ではありません。今後の日本を考えると、働き方を改革し、労働生産性を上げるように努めていかなくてはならないようです。この本は“日本の未来と働き方を考えたい”すべての人に、ぜひ読んでほしいと思います。(文/齊藤カオリ) 【参考】※出口治明・島澤諭(2016)『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』SBクリエイティブ
2016年02月28日育休の間に法律が改正! どうなる、派遣の働き方子育てとのバランスを考えて、働く日や時間を選びやすい派遣社員として働くママはたくさんいます。また、子育てが落ち着いたので、派遣で働き始めようかと考えているママたちもいるのではないでしょうか。一方で、去年の2015年9月に「労働者派遣法(通称:派遣法)」が改正されたことで、どのような影響が出るのかよくわからず、不安に感じている人も多いのでは。そこで、3月2日(水)に銀座で、10日(木)には新宿で、派遣法の改正についての解説や、派遣でのキャリアの棚卸の仕方のカウンセリングを行う無料セミナー「派遣社員のおしゃべりCafe」が行われるとのこと。主催する連合総合労働局 労働法制対策局の渡辺温子さんにお話を聞いてみました。「昨年、派遣法が改正されましたが、企業の人事や派遣会社向けのセミナーがある一方で、派遣で働く方々の認知度は低く、多くの方が今後の働き方に不安を抱いていらっしゃると思います。派遣期間の上限の変更や、派遣で働く方々のキャリアアップのために派遣会社に教育訓練/キャリアコンサルティングが義務化されたこと、雇用安定処置の実施、労働契約申込みみなし制度など、派遣で働く方に影響が大きく、登録会社や派遣先選び方の参考になる視点ですので、ご自分のためにも理解をしておいたほうがいいかと思います。ただ、専門的な用語なども多く、難しく感じてしまう部分もあるかもしれません。また、私たち連合が行う労働相談でも、派遣の方々は職場で相談相手がいなかったり、孤立感を感じたりしてしまうことも多いと耳にしてきました。そこで、今回は派遣会社や派遣先企業とは異なる中立的な立場の私たち連合から派遣法のことを説明したり、注意点などをお伝えしたりするだけでなく、派遣の方同士が気軽に話をしていただける場を作りたいとの思いから、『おしゃべりCafe』を開催することにしました。『日頃の疑問や悩みを誰かと話したい』『同じ派遣で働く方と情報交換したい』という方にぜひお越しいただきたいと思います。」当日は、連合から法律の改正などに関してのポイントを聞けるほか、キャリアカウンセラーの錦戸かおりさんから「自分の未来を幸せにするヒント」と題して、普段自分ではなかなか整理しづらい働き方との向き合い方など、実践的な話が聞けるとのことです。会社帰りに立ち寄ってもらえるよう、駅近くの会場で軽食が用意されているそうなので、気になる方は立ち寄ってみては?●無料セミナー「派遣社員のおしゃべりカフェ」 特設ページ よりお申込みが必要です。【第1回】1.日 時:2016年3月2日(水)18:30~20:30 ※17:30受付開始2.場 所:ZX Panorama Lounge(最寄駅:JR有楽町駅、東京メトロ有楽町線銀座駅など)3.参加費:参加費無料(軽食付き)【第2回】1.日 時:2016年3月10日(木)18:30~20:30 ※17:30受付開始2.場 所:シャンクレール新宿(「ヒルトン東京」ビル地下1階)(最寄駅:JR新宿駅)3.参加費:参加費無料(軽食付き)
2016年02月28日出社する必要もなく、専門分野を生かしながら自分のペースで仕事に臨める「クラウドソーシング」が話題を呼んでいます。『クラウドワーキングで稼ぐ! ―時間と場所にとらわれない新しい働き方』(吉田浩一郎著、日本経済新聞出版社)は、日本最大級のクラウドソーシングサービスとして知られる「クラウドワークス」の創業者。クラウドソーシングに関する第一人者として、このビジネスの可能性を本書で明らかにしているわけです。とはいえ、クラウドソーシングについて漠然とわかってはいても、まだまだ知識が足りないと感じている方も少なくはないはず。そこで改めて、このビジネスの可能性についておさらいしてみましょう。■クラウドソーシングの意味「クラウド」は「群衆(crowd)」で、「ソーシング」は「外部委託(outsourcing)」の意。クラウドソーシングとは、この2つを組み合わせた造語です。2005年にこの考え方を初めて提案したのは、米「WIRED Magazine」の編集者・ライターであるマーク・ロビンソン、ジェフ・ハウの両氏。クラウドソーシングについては、「従業員によって行われている機能を、ウェブ上に開かれた外部ネットワークを通して、世界中の群衆(crowd)へ委託(sourcing)すること」と定義しているそうです。クラウドソーシング、つまり業務を委託する主体は当然ながら企業ということになります。■クラウドワーキングの意味同じく注目しておきたいワードが、業務を委託される側の立場に立った「クラウドワーキング」。ちなみにこちらの「クラウド」は、クラウドソーシングの「群衆(crowd)」ではなく、「雲(cloud)」のこと。これはIT業界で使われている「クラウドコンピューティング(cloud computing)」の略称。いうまでもなく、さまざまなデータをインターネット上に保存するサービスです。著者によれば、クラウドソーシングとクラウドワーキングは、コインの表裏のような関係。大まかに説明すれば、前者の視点は「企業」であり、後者の視点は「個人」。クライアントである企業が、受注者としてのクラウドワーカー(おもに個人)に対して仕事を依頼する「群衆(Crowd)+外注(Sourcing)」の関係がクラウドソーシング。そしてクラウドワーカーが、クライアントに対して業務実行・納品を行う「雲(Cloud)+働く(Working)」の関係がクラウドワーキング。■世界の市場は1兆円規模へ当然のことではありますが、クラウドワーキングが成立するためには、「企業がどれだけ仕事を依頼するか」というクラウドソーシングの市場規模が重要な意味を持つことになります。なお、その点について参考になるのが海外の事例。なぜなら欧米ではすでに、クラウドワーキングが広く浸透しているからです。そして、それを立証するものとして著者は興味ふかいエピソードを引き合いに出しています。2014年春に開催されたカンファレンス「クラウドソーシング・ウィーク(Crowdsourcing Week)」においての、当時のElance(イーランス)による役員による講演のこと。驚くべきことにその方は、2015年にはクラウドソーシングの世界市場が1兆円規模に達しているだろうと予測したというのです。事実、この見通しは正しいものになりつつあり、世界的な視野で捉えた場合、角国でクラウドソーシングサービスが急速に広がっていることが実感できるのだといいます。■国内でも市場が急成長中!そうなると、気になってくるのは日本の状況。この点について矢野経済研究所は、2015年に650億円、2018年には約1,820億円まで成長すると予想しているのだとか。およそ3年程度の期間で、一気に2,000億円規模にまでふくらむと指摘しているわけです。また、業界の活性化と健全な発展に貢献することを目的として、クラウドソーシング大手各社が立ち上げた「一般社団法人クラウドソーシング協会」の中長期予測によれば、8年後の2023年には国内市場もおよそ1兆円程度まで成長するだろうという試算結果が出たというのです。*つまり、これがクラウドソーシングの可能性。インターネットの普及と足並みを揃えてワークスタイルが刻々と変化していくなか、この動きには大きく注目する必要がありそうです。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※吉田浩一郎(2015)『クラウドワーキングで稼ぐ! ―時間と場所にとらわれない新しい働き方』日本経済新聞出版社
2016年02月22日朝日新聞社は2月20日、「『女性にやさしい』その先へ! 」と題したフォーラムを開催。資生堂の魚谷雅彦社長が、短時間勤務制度を利用している子育て中の社員にも、遅番や土日勤務などに取り組んでもらう制度改革、いわゆる「資生堂ショック」について語った。○職場の不公平感とキャリアを積めない不安フォーラムでははじめに、魚谷社長が働き方の制度改革を行った真意について語った。その中でまず強調したのは、「資生堂ショック」が女性活躍を先進的に進めてきたからこそ必要な改革だったということだ。同社が仕事と家庭の両立支援を導入したのは1990年代。育休制度に加え、「カンガルーム」と呼ばれる企業内保育所を完備し、子育て中の女性が働きやすい環境を整えてきた。短時間勤務制度を利用している美容部員が育児に専念できるよう、店頭活動の手伝いをする「カンガルースタッフ」を配置しているのも、同社の特徴的な取り組みといえる。しかしこれらの制度の導入により、職場環境に支障が出てきた。「先輩社員がいる中で、育児中の社員が先に退社するのは勇気がいること。制度的には認められているが、社員間でも人間の気持ちとして不公平感が生まれてしまった」と魚谷社長。また、客と接する時間が減っていくことで、自身のキャリアに不安を覚える子育て社員も増えていったという。○ノルマのために無理強いしたわけではないこのような課題に直面し取り組むことになったのが、短時間勤務制度を利用している子育て中の社員にも、遅番や土日勤務に入ってもらうという対策だった。魚谷社長は、「家族からどの程度サポートが得られるかなど、社員1人1人が上司と面接をして丁寧に仕組みを作り上げていったもので、決してノルマのために無理強いしたわけではない」と主張。現場の社員の中からも、今回の制度改革によって「自分の仕事の責任が果たせると思い、気持ちがすっきりした」との声が寄せられているという。「今までの取り組みの中でうまくいったこともあるが、一方で課題も出てくる。ここでひるんではいけない。もう一歩前に進む道として改革を選んだ」とのことだ。○女性管理職を増やしていくさて、今回の働き方改革を経て、資生堂の女性活躍推進はどのような方向に向かっていくのだろうか。魚谷社長が強調したのは、社内のダイバーシティを進めるということ、そして"女性管理職を増やす"ということだ。「女性の管理職を増やすために数値目標を立てるということを、影響力のある立場にいるわれわれが、勇気を持って取り組まないと物事は変わっていかない」と主張。「単に女性に責任ある仕事をしてくださいというだけではなく、将来的にポテンシャルがある人にどのようなキャリアパスをたどってもらうか、キャリア設計や育成をしていく」と話した。さらにダイバーシティの感覚に優れた外国人の採用や、在宅勤務など多様な働き方の積極的導入、それに前の終業から次の始業までの間に一定の休息を取らせる「勤務間インターバル制度」の整備なども進めていきたいとした。一部では女性活躍の後退とも指摘された「資生堂ショック」。今回の制度改革を、社会全体としてどう捉えるべきなのか。「『育休世代』のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? 」の著者である、ジャーナリストの中野円佳さんらが、魚谷社長講演後のフォーラムで語った内容は、後編でお伝えする。
2016年02月22日2003年、杉並区立和田中学校の校長に、都内における義務教育初の民間校長が就任して話題になったことがあります。『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』(藤原和博著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者が、まさにその人。リクルート社フェローを経て、2008年の任期満了まで勤め上げた実績をお持ちで、現在は教育改革実践家として多方面で活躍中。本書ではそのような実績に基づき、「21世紀の働き方」を提案しているのです。きょうはそのなかから、「LECTURE 3-2初対面の15秒で相手を“つかむ”には」を取り上げてみたいと思います。■1:つかみを取るここ8年ほどで約1,000回の講演を行ない、20万人を動員しているという著者には、ビジネス系の講演会で必ず実施している例題があるそうです。【例題1.】初対面の人と名刺交換をする瞬間、自分のキャッチフレーズをいうとしたら?15秒で答えてください。【答え】初対面ではいきなり名刺を渡すのではなく、キャッチフレーズなどを効果的に使用することによって、自分のキャラクターを相手と共有することが効果的。それは相手との心の距離をすっと縮め、接点をつくる技術で、「つかみを取る」ともいわれるもの。■2:自分プレゼンたとえば著者の場合は、顔を利用したキャッチフレーズとして「こんにちは、教育界のさだまさしです」というのだとか(筆者注:たしかに著者は、歌手のさだまさしさんに似ています)。こういうと大概の方が笑ってくれるそうですが、つまり「さだまさし」という著名人のおかげで、相手の脳と自分の脳が瞬時につながるということ。そのため、すぐに仕事の話に入りやすくなるというわけです。これが、「自分プレゼン」。なお自分プレゼンとは、相手の頭のなかに“像”を結ぶことなので、キャッチフレーズを使用する場合は、その言葉から連想される“像”を相手と共有していることが前提となるそうです。■3:さらにストーリーを加えるなお、より汎用性があるのは、名前にストーリーを加えること。たとえば「◯◯県△△市に多い名前です」「種子島に鉄砲を持ち込んだ最初のひとりになにか縁があったらしい」など、自分で物語を演出してみるのです。ただし報道機関ではないのですから、さほど史実に正確でなかったとしても問題なし。ちなみに平凡な名前でも、ストーリーは用意できるもの。たとえば、ある官庁に「喜平」という名前の偉い方がいるそうなのですが、その人が名刺を差し出すと、相手が萎縮してしまってコミュニケーションがうまくとれないことがあるというのです。そこで彼は、こんなストーリーを用意しているのだとか。「喜平という名前は時代劇なんかによく出てくるんですけどね。見ていると、だいたい最初に出て、橋のたもとあたりでお侍さんに着られる村人の役なんですよ(笑)」「お堅くて偉い人」と「斬られ役の名もなき村人」とのギャップが印象的で、自然に映像が浮かんできて、おもしろい「つかみ」になるということ。その後に仕事の話をはじめると、すでに脳と脳がつながってコミュニケーションレベルが上がっているからこそ、話がうまくいくわけです。では、次の例題を見てみましょう。■4:イマジネーションを駆使し、工夫する【例題2.】初対面の人と名刺交換をする瞬間、自分の名前にストーリーを添えるとしたら?15秒で答えてください。【答え】ポイントは、イマジネーションを駆使し、工夫してみること。なお、この「15秒」が、初対面のときには決定的に重要なのだと著者は主張しています。なぜなら、人間には動物的な感覚が根強く残っているものだから。つまり誰しも、初対面の相手が的なのか味方なのかを、最初の15秒程度で見分けているということ。とはいえ、私たちは服を着て、人間的な社会性も身につけているもの。「どう判断したか」は、口にも顔にも出さないわけです。たとえば「あっ、つまらなそうな人。もう二度と会わないな」と判断しているのに、何十分もうなずきながら話を聴き続ける人もいるでしょう。だとすれば、そんなことにならないようにすべき。そのために肝心なのが、最初の15秒だということです。この15秒で、相手と自分の脳をつなげておくわけです。*タイトルからもわかるように、講義形式になっていることも本書の特徴。つまり気負う必要なく、自然にスラスラと読んでしまえるのです。時間をかけずに要点をつかむことができるので、「将来の働き方」が気になっている方には格好の一冊だといえます。(文/書評家・印南敦史)【参考】※藤原和博(2015)『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年02月20日『勝ちつづけるチームをつくる勝負強さの脳科学 「ピットフォール」の壁を破れ!』(林成之著、朝日新聞出版)の著者は脳神経外科医。しかも、競泳、女子サッカー、女子バレー、フィギュアスケート、柔道など、さまざまなスポーツの日本代表監督、チーム、選手を脳科学的指導でメダル獲得に導いてきたという実績を持っている人物です。つまり本書ではそのようなキャリアを軸として、チームとメンバー個々の力を同時に伸ばすための組織論を、脳科学的な観点から展開しているわけです。そして、その視点とともに、内容の方もなかなかにユニーク。■はたして100点は満点なのかたとえば著者は第1章「成果をあげるチームとは? 目的を達成する『勝負脳』のチーム理論」のなかで、ひとつの疑問を投げかけています。それは、「はたして100点は満点なのか?」ということ。たしかに日本では、100点満点を取ることが美徳とされており、100点を目指すことが当たり前のことのように思われています。だから必然的に、「あと何点足りない」という「引き算思考」で物事を判断しようという考え方が定着してしまっているわけです。しかし、このような考えで試合に臨んだとすると、「試合当日にようやく100点の状態に到達させることができた」「なんとか間に合った」というような考えが生まれてきてしまっても無理はありません。そうなると、「試合をしながら強くなる」とか、「敵の想定外の実力を発揮する」といった、100点を超えていく力を発揮することができなってしまうわけです。でも、それでは意味がありません。■意識のたるみが結果に影響するまた、ここには「人間の脳は、結果を達成すると無意識のうちに気持ちがたるむ」という現象も含まれてくるのだと、著者は脳科学的に指摘しています。ゴール(終わり)を意識すると無意識のうちに気持ちがたるんでしまうので、気持ちと一体で機能する脳の働きまでが低下することに。だから結果的には、逆転負けをしてしまうというのです。また同じ原理で、優勝したあとの脳のなかの気持ちのたるみによって、連続優勝することが難しくなることも考えられるとか。「強いチームになかなか勝てない」とか、「相手が予想以上に強かったので負けた」という現象も、ここに原因があるようです。■働き方にマッチングする考え方だとすれば、本能的に気持ちがゆるむことをなんとかする必要があるでしょう。そのために、私たちはどうすればよいのでしょうか?著者はこの問いについての解決策として、「人間の行動を決める脳の働き方にマッチングする考え方」を導入することを勧めています。少しわかりにくいですが、つまりはこういうこと。人間の考えは、脳のなかのいくつもの異なる機能を持った神経核の連合によって生まれるのだそうです。そのことによって具体的になにが起こるかといえば、たとえば最初はチームメンバー同士の協力体制が悪かったとしても、繰り返し一緒に考えているうちに、変わっていくものがあるというのです。すなわち、いつも「自分たちにはなにかが足りない、欠けている」と考えるのではなく、そのレベルがどんどん上がっていく「足し算思考」に進化していくということ。■引き算思考から足し算思考へ!このように考えれば、100点がいまの条件においての頂点であったとしても、そこから先は、100点は単なる通過点になるはずです。そこで100点を満点とする「引き算思考」から「足し算思考」へと切り替えることが可能になるということ。すると目指す目標は100点ではなく、120点、130点となっていく。だから、そこを目指すことによって、驚くようなパフォーマンスが可能になっていくわけです。事実、強いチームや勝ち続けるチームの選手は、優勝して100点を取ったとしても、「自分たちには、まだまだ課題がある」と達成すべき目標を持っているものなのだとか。いつまでも舞い上がってはいないということです。「いまはレベルが低くても、最後には誰にも追随を許さない高いレベルになってやる」と考えることによって、人に感動を与える。そして人が感動してくれることに対して「同期発火」し、勝つ能力をさらに高め、連戦連勝できるすばらしい成果を見せてくれるというわけです。*スポーツの最前線で選手たちを指導してきただけあり、話題の中心にあるのは選手たちのエピソードです。しかしおわかりのとおり、ここに示された組織論はスポーツの世界だけではなく、あらゆるビジネスシーンにもそのままあてはまるはず。だからこそ、特に組織のリーダーにとっては、読んでみる価値のある内容だといえそうです。(文/書評家・印南敦史)【参考】※林成之(2015)『勝ちつづけるチームをつくる勝負強さの脳科学 「ピットフォール」の壁を破れ!』朝日新聞出版
2016年02月18日●「普通の人間」が両立するために「働くママ」として世の中で紹介されるのは、仕事も育児もバリバリこなすスーパーママのような存在が多いけれど、誰もがみんなそうやって働けるわけじゃない。ママ社員のリアルな悩みや乗り越え方、会社にどういうことを望んだのかなど、様々なWEBサービスを手がけるGMOペパボの社員に話をきいた。○「会社を辞めてもメリットはない」――お二人共、入社されてからお子さんが誕生されているんですね。子供ができて会社を辞めたいと思ったりはしなかったんですか?杉村:全然考えなかったですね。ちょうど同時期に妊娠した社員が2人いたのですがて、よくみんなで一緒に育休から復帰できるといいねと話していました。――戻ってきて一番大変だったことはなんですか?杉村:子供が思った以上に熱を出すことです(笑)。特に保育園入園後は、園で病気をもらってくることもあるので。あとは、10時~19時という勤務だと、保育園のお迎えに間に合わないんですよね。GMOペパボで初めて子供を産んだのが私だったので、人事に相談して勤務時間を8時~17時にして、18時半のおむかえに間に合うような時差勤務制度を取り入れてもらいました。――馬居さんはいかがでしょうか? 辞めたいと思ったことは馬居:1人目のときは正直なにもわからなくて、辞めるという選択肢すらありませんでした。会社の先輩ママ達に「仕事をつづけたほうがいいよ」とアドバイスをもらっていました。金銭的にも精神的にも「辞めるメリットはない」って。杉村:たとえば働いている人だったら、「育児休業給付金」などの雇用保険制度があるので、辞めるとこうした給付も無くなるよ、と(笑)。精神的にも、ずっと家に1人で子育てをするのは大変です。馬居:会社に先輩ママがいると、いろいろ教えてもらえるし、愚痴も言い合えたり、相談もできるのでとてもよかったです。――馬居さんが大変だったことは馬居:私は産後4カ月で復帰したのですが、そのときの役職はマネージャーでした。周りも支えると言ってくれてたし、自分も問題ないんじゃないかと思っていたのですが、産前と全く同じ仕事の仕方をしていたら、私自身が40度を超す熱を何度も出したり体調を崩すようになってしまって。そんなことは初めてで、それまで自分は無理ができる人間だと思っていましたが、普通の人間だと気がつきました。杉村:馬居さんのときは、ちょうどGMOインターネットグループが提供する託児所「キッズルーム GMO Bears」ができていましたよね。馬居:会社に託児所があるのはすごく心強かったです。復帰したのが、まだ授乳期中だったので、仕事の合間に託児所にいき、子供にもちょくちょく会えるし、不安なことも託児所で相談できたので。本当に助かりました。でも、授乳をしながら働いたことが、体調を崩してしまった一つの理由だったのかもしれません。特に私が担当していたのは、新規事業だったこともあり、マネージャーである自分がこんな状態ではいけないと思い、信頼できるメンバーに託して、マネージャーは辞めさせてもらいました。それからは、いちディレクターとして働いています。○ものごとが思い通りにならない前提で動くように――お子さんがいると、「話が通じるだけいい」と、会社の人に怒らなくなるといった話をきいたことがありますが、社内のコミュニケーションに変化はうまれましたか?杉村:たしかに、子供を産む前より寛容になった気がします。「5歳児よりは話が通じる!」って思うし(笑)。馬居:若い後輩たちがみんなかわいく思えてきます。ちょっと失礼な話ではあるのですが、年上の男性たちも、「皆赤ちゃんだったんだな」と思うとかわいく見えることもあります(笑)。――人の育て方がわかったんでしょうか?馬居:子供を産むまでは、自分の人生を良くも悪くも思った通りに動かそうとしていたのですが、子供は全く私の思い通りにはならないので「今、目の前にあることをいかに円滑にすすめるか」と考えるようになりました。相手が若くても年上でも、仕事ができてもできなくても、みんなでいい方に向かうにはどうしたらいいかと考えて動くようになりましたね。――実はお母さんはマネージャー向きなんでしょうか?馬居:子育てを経験したことがある人はマネジメントに向いているかもしれません。ただ現実問題、マネージャーは自分の時間を犠牲にしないといけない事もあるので、難しいことが多いとは思います。子供を育てていると、確かにいろいろなことに寛容にはなるのですが、何かが進まない時に、倍追いつめられるというか。ひとつ歯車が狂うと、全部が狂ってきてしまうんです。でも誰にも迷惑をかけたくなくて、更に追い詰められる。なので今は、日々自分を追い詰めてしまわられないようにバランスを取りながら考えて動いています。杉村:復帰した当初は、締め切りのある仕事は1人でもたないように、当時の上司が配慮してくれました。上司は子育ての先輩でもあったので、子供に急な発熱が起きることなどに理解があり、万が一その日仕事ができなくなっても、大丈夫なようにと。馬居:子供は本当に急に熱を出しますからね。でもたぶんそれも2歳くらいまでなんですよね。1歳半くらいから急に風邪をひかなくなるので、そこまでガマンすれば……。それがわかるだけでずいぶん気持ちが楽になります。わからないと、「どこまで続くの!?」と不安になってしまうので。●世の中は絶対良くなっているはず○お父さんも子育てが楽しくなれば――世の中の働くスーパーママを見て、思うところはありますか? 「無理だよ」といったような気持ちは馬居:子育てって、その人がどんなに優秀だろうが、そうでなかろうが、仕事をしていようがしていまいが、フラットだと思っています。スーパーウーマンに見えるママでも、結局はそれぞれ子供に喜怒哀楽を抱く、いちママであることは同じでしかないと思うんです。かっこよくてキラキラしているママを取り上げた雑誌なんかを見ても、もうその通りには見えません。悩んでないママなんか、絶対に世の中にいないと思う。杉村:みんな絶対子供に振り回されてる。馬居:スーパーウーマンががんばるのは素晴らしいことだと思うけど、その周りの人たちが、ちゃんと支えてあげてほしいなと思います。――そんなにママが悩んでいる時、お父さんはどうなんでしょうか?馬居:私達が思っているよりは、お父さんも悩んでいるみたいです(笑)。自分が子供のころの"お父さん"世代とは、「父親」って違う生き物になっていますね。保育園にお迎えに行って、週末も子供とすごすのは当たり前だし、奥さんの仕事も忙しい……。杉村:「自分のお父さんは土日も家にいなかったし、かまってもらった思い出もないのに、どうして自分はこんなにがんばらなきゃいけないんだろう?」という気持ちはあるみたいですね(笑)。馬居:男の人の方が、私たちよりもっとお手本がいないですもんね。お父さんたちは、昔の世代と環境が全く違うし。「イクメン」とかも、理想像があやふやというか。ちゃんとしていないじゃないですか。杉村:よく言われるイクメン像をやろうと思ったらもたないですよね。馬居:難しいですよね。何かが壊れますよね。本人なのか、家族なのか。――例えばネット上で、「僕は子育てを手伝ってます」と言った人が、「手伝うとはなんだ!」と怒られたりしているのをよく見ますが……馬居:うちの夫はエンジニアで、WEBをすごく見ているので、何をいったら妻が怒るかという地雷は把握しています(笑)。杉村:うちの夫もWEBエンジニアなので、なんだかんだネットの情報は見ていて「こんなことでみんな怒るんだね」と言っています(笑)。――情報は大事ですね。今は男性も仕事と育児が両方できなければいけない、ある意味オールマイティにならなければいけないことへの戸惑いは馬居:夫を見ていると、「仕事も子育てもやらなければいけない」という使命感があるというより、子供と関わっていたら子育てが楽しくなってきちゃったから、頑張ってる感じだと思うんですよね。私たちは妊娠している時からママになっていってるんですが、お父さんたちは子育てをしながら少しずつお父さんになっていっている気がします。杉村:子供は3歳を超こえてから急に人間らしくなるので、さらにかわいくなったと言っています(笑)。息子が自分の趣味を理解してくれて一緒に遊べるようになったのがうれしくなったらしくて。新しい友達ができたみたいな感じなのかもしれないですね。馬居:子分みたいな存在なのかもしれません(笑)。○「産んだのは自己責任」と思ってしまうことも――もっと会社が、あるいは社会がこうなってほしい、と思うことはありますか?馬居:ママたちって、働いていても働いていなくても、実は全員みんな追い詰められてしまうことがあると思うんですよね。今は色々な価値観があって、どんなライフプランを選択するかは自分やパートナーで考える潮流があると思います。どれもいいよね、となっているから、なおさら「子供を産んだのは自己責任」と、自分に帰ってきてしまう。――「好きで産んだんだろう」みたいな……馬居:誰に言われたわけでもないのに、自分で自分に言ってしまうんです。仕事があっても「産もう」と選択をしたから、「自分でやらなきゃ」って追い詰められてしまうので、誰かに助けてほしかったという思いはあります。私はもちろん周りのみなさんに助けてもらったんですが、もっと世の中が「みんなで子育てをする環境」になってくれたらいいなと思います。――実際、今は会社には色々な要望を反映してもらっているのでしょうか杉村:そうですね、うちは人事にも働くママが2人いますし、かなり働くママの実情を把握して、要望が通る方だと思います。最近だと、"小1の壁"に直面するスタッフが実際にいたので、そこはなんとかならないかと相談し、対応してもらいました。具体的に言うと、子供が小学校に就学すると時短勤務や時差出勤制度が利用できなくなり、制度上、通常勤務時間での勤務スタイルに戻らなくてはならない状況でした。小学校は、保育園よりも早く下校時間を迎えるのに、一方で私達の勤務時間は長くなってしまうんです。こうした背景から、小学校3年生まで時短・時差勤務ができるようにしてもらいました。でも理想を言えば、子供を育てている人たちだけじゃなくて、みんなが勤務時間を自由に選べるといいのかなとは思います。その人にあった生活のリズムがあったりするので。ただ、完全に自由にしちゃうと、みんなが揃う時間が少なくなるのでミーティングを開催しにくいといった問題も出てくるとは思いますが。馬居:あとは会社の利益が下がって悪循環になるのは困るので、子供がいても、利益に寄与できる働き方をしたいとは思っています。――会社に望むだけではなく馬居:そうですね。私たちは会社が制度を導入してくれて、働きやすい環境で仕事できているから、会社の利益のことも考え全力をつくしていますが、「子供がいることで、みんなと同じ働き方ができないなら、言われたことだけやっていればいい」と言われてしまうような環境だったら、会社への愛着もなくなってしまいますよね。ママになると違う人間になるんじゃなくて、たまたまそういう期間なんだよ、という認識が広がってくれたら嬉しいですね。――この数年でいろいろな変化を感じますか?馬居:振り返ってみると、1人目の時より2人目の時の方が予防接種の助成金が増えていたりとか、一生懸命子育てがしやすい社会になるよう進めてくれている誰かがいるんだなと思います。確実に、働きながら子供を育てやすい世の中になる希望はありますね。ただ、実際のGMOペパボのママ達たちは、みんな3年後、5年後の展望に向かっているというよりは、目の前のことに一生懸命なんじゃないかな、と思います(笑)。よく、子育てと仕事の両立は短距離走だね、と言っているのですが、あと何カ月走ろう、次は1歳半まで、その次は3歳になるまで、と「目の前のここまで頑張ろう」ということしか考えられないんです。それ以上考えると不安になるので、目の前のことだけ見るようにしています。――キャリアプランを立てる、などは馬居:キャリアプランを立てるのは難しいですね(笑)。でも子供を産んで後悔することはまったくないし、絶対皆が世の中を良くしてくれているから、そこは信じて産もう! とは言いたいです。杉村:会社に、「このままだと働けなくなりますよ」とSOSを出したときに「それじゃ困るから変えよう」と言ってもらえるのは嬉しいですよね。馬居:そう言ってもらえるように私達も頑張らないといけないですね。
2016年02月12日●テレワーク推進に必要な要素日本マイクロソフトは昨年、8月24日から28日にかけて「テレワーク週間 2015」を実施した。このテレワーク週間は「日本におけるテレワークの推進への貢献」を目指したもので、今回は651の法人が賛同。テレワークを「実践する」「学ぶ/議論する」「応援する/協力する」という3つの観点から、各法人がそれぞれの立場に応じて取り組みを行った。「テレワーク週間 2015」の実施後、同社が賛同法人のテレワーク推進担当者に対して行ったアンケートでは、意識面の成果として「前向きな活動になった」が88%、「今後のテレワーク推進の助けとなった」が86%という結果に。また、全体の約3割以上が10%以上の経費削減効果を、過半数が時間の削減効果を実感しており、売上・利益への将来期待に関しては全体の25%が「20%以上の実ビジネス効果を期待」と回答しているという。今回の取り組みで、同社はどのような成果を得たのか? 「テレワーク週間 2015」プロジェクトの推進メンバーであった、日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション部 部長の岡部一志氏に話を聞いた。○テレワーク推進には社内の制度や文化も必要「テレワーク週間 2015」では実に多くの賛同法人でプラスとなる成果が見られたが、この点について岡部氏は「テレワークは、社内における制度や文化から、弊社が推進しているようなIT分野まで、さまざまな"環境"が影響します。この環境は企業によって異なりますから、それぞれの立場に応じた最適なテレワークへの取り組み方法を考えていただければと思います」と語る。制度では、人事や在宅勤務制度の有無など企業としての体制が大きく関係してくる。文化については、社風とスタッフの意識が重要な鍵となるそうだ。例えば、テレワークが許可されていても「自分だけ会社に行かなくて良いのだろうか」という周囲への後ろめたさを感じて、なかなか実行に移せないケースは多い。また、上司がテレワークをまったく実施しなかったり、表向きは賛成でも「仕事は会社でやるもの」という固定概念を崩さないような場合、その部下はどうしても遠慮がちになるだろう。さらに意識の面では、仕事に対するモチベーションも関係してくる。多くの人にとって、会社では緊張感を持って仕事に取り組む場所、自宅はリラックスできる場所、といったメンタル面の区分があるもの。この区分を超える際、特定の行動によって“スイッチが入る”といった感覚はないだろうか。スーツを着る、化粧をする、通勤電車に乗る、会社の建物に入るなど、ポイントは人によってさまざまだが、テレワークにより自宅で業務を行う場合、こうした切り替えがしづらくなる可能性もある。また、在宅勤務では公私のけじめをつけることも重要といえる。例えば幼い子どもがいる家庭の場合、けがや病気などがあってもすぐに対応できるのは良いのだが、どうしても育児優先になってしまい、気が散って仕事に集中できないといった事態に陥りがちだ。しかし勤務時間内である以上、業務効率の低下は抑えなければいけない。このように、テレワークを支えるのはITインフラだけではない。社内の制度や文化が整ってこそ、初めて実現できるものなのである。文化に関しては社員への事前アンケートなどにより、考えられる課題や解決ポイントの洗い出しを行っておくと良いだろう。○テレワーク週間実施のきっかけは東日本大震日本マイクロソフトがテレワークをより強く推進するに至った経緯のひとつに、2011年に発生した東日本大震災が挙げられる。同社では2011年2月に東京都内5カ所(当時)のオフィスを統合・本社移転し、「品川本社オフィス」を開設した。フリーアドレス制の新たなワークプレイスを構築したが、3月に東日本大震災が発生。3営業日は全社員を自宅待機とする一方で、迅速に顧客支援および災害対策本部を設置し、会議や業務をすべてテレワークで行うと決定したという。岡部氏は「当時はまだテレワークの事前準備がそこまで整っておらず、社内も混乱を極めていました。しかしそれでも、通常業務とは異なる数多くの緊急対応をテレワークでこなしていったのです」と、当時の様子を思い出しながら語る。同社ではこうした経験を風化させないためにも、BCPの観点から2012年3月に初となる「テレワークの日」を実施。2013年は3日間、2014年は1週間の「テレワーク週間」へと規模を拡大し、その中でBCPだけでなく業務効率化も主目的に採り入れていったのである。そして2015年、同社はテレワーク週間で「派遣スタッフの在宅勤務のトライアル」「カスタマーサポート部門のテレワークトライアル」「滞在型テレワーク検証」という3つの新たな試みを実施した。●テレワークに限界はあるのか?○派遣スタッフの在宅勤務まず派遣スタッフの在宅勤務は、パソナの「テレワーク労務管理ツール with Skype for Business」を用いて、全社の約1割の派遣スタッフが在宅勤務のトライアルを行うというもの。派遣スタッフがテレワーク週間に参加するのは、今回が初の試みとなる。実施後に行ったアンケートによると、参加者の92%が「時間の有効活用になる」、56%が「業務効率向上の効果あり」と回答。管理者を含めて8割以上が「今後も利用したい」と答えたそうだ。「実施に際しては、社内向けの端末しか持っていない派遣スタッフもいましたので、新たにテレワークで利用可能な端末を支給するといった環境面の整備も行いました」と岡部氏。さらに「在宅勤務においては、"出社しているのと同様の業務をこなせる状態"が創り出すことが必須です。さらに業務効率を向上できれば100点満点ですね。そこに、通勤がないため時間を有効活用できる、といった効果がプラスされます」と続けた。○カスタマーサポート部門のテレワークトライアルカスタマーサポート部門のテレワークトライアルは、カスタマーサポート部門の1グループ11名が岐阜県飛騨市の古民家で、寝食をともにしながら業務に携わるというもの。同社内では約7割がフリーアドレス制を採用しているが、製品開発チームとお客さまサポートの2部門については特殊な環境を要することから、固定席での業務が基本となっている。そうした中で、今回のトライアルに参加したのは「Office 365/Exchange/Skype for Business」などのサポートを行っているチームだ。これらはいずれもテレワークに必須のツールであり、サポートを行う自分たちがテレワーク経験を持つ必要がある、という観点で挑戦することとなった。ただし、チームとして同じ空間を共有する必要があるため、個別に在宅勤務を行うのは難しい。そこで考え出されたのが、古民家を使った合宿タイプのテレワークトライアルである。今回はトライアル場所の選定から機材の搬入まで、スタッフたちが自ら積極的に動いて実現したそうだ。実施後のアンケートでは、通常のオフィスでの業務と比べて、62%が「効率化の向上」を感じた、38%は「通常のオフィスと同じ効率で業務ができた」と回答。また、フレキシブルな働き方の実践により地元住民と交流ができるなど、カスタマーサポート部門の新しい可能性を見いだせたという。岡部氏は「テレワークとして成功を収めただけでなく、今後の業務をより効率化するためにはどのような環境作りが必要かを理解できたり、チームワークの重要性が再確認できたりと、目に見えない副次的な学びの効果も得られたようです」と語る。○北海道別海町での滞在型テレワーク検証北海道別海町での滞在型テレワーク検証は、総務省「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」の委託先候補として選出された、日本マイクロソフトが行っている「地方創生テレワークプロジェクト」の一環として実施したもの。テレワーク週間中に開催した第1期から10月末まで4期に渡り、社員19名、家族を含めると合計55名が参加した。滞在場所は、旧光進小中学校跡地を有効活用し、2015年8月24日にオープンした「別海町テレワークセンター」だ。検証の結果について岡部氏は「参加者からは、社内と同様に業務がこなせたことに加えて、リフレッシュできたり、周囲の雑音がないため仕事に集中できるなど、メンタル面のプラス効果が大きかったという声が聞かれました」と語る。施設の隣には広大な牧場が広がっており、休憩時間に牧場を眺めてリフレッシュするなど、普段都心で仕事をしている社員にとっては大きな癒やし効果となったようだ。また、単身で移動する出張と違い、業務時間が終わったら家族と一緒に過ごせるのもポイントのひとつ。社員が働いている間、家族は別海町で観光などを楽しむことができる。参加者からは「滞在型のテレワークで、朝、昼休み、夕方と自然に囲まれながら家族と過ごせ、有意義な滞在だった」とワークライフバランス向上にも役立ったと、満足の声が多数聞かれたという。***こうして「テレワーク週間 2015」は大きな成果を残したが、同社では今後もテレワーク週間を通じてさまざまな取り組みを実施していく予定だ。賛同法人の拡大はもちろん、未経験分野へのチャレンジも積極的に行うという。「テレワークの推進は、業務効率の向上や競争力強化など、企業にとって大きなプラスになります。そこで弊社では日本のビジネス環境を変えるだけでなく、自分たちの働き方をより変革させ、生産性の向上や事業の拡大をする、そしてツールをより多くの企業に使っていただくという、事業の柱としても捉えています」と岡部氏。「テレワーク週間 2016」ではどのような新しい取り組みが行われるのか楽しみだ。
2016年02月09日義父母がシンドイんです!
あの日、私はいじめの加害者にされた
夫がわたしを忘れる日まで