*画像はイメージです:今年11月、運送会社に勤めていた女性事務員が配送する商品を盗みオークションサイトに出品していたため、懲戒解雇処分になっていたことが明らかになりました。本件、盗んだ商品を販売していますが、どのような罪状になるのか、また、補償があるのかといった点について解説してみたいと思います。 ■窃盗・詐欺罪に本件は窃盗罪と詐欺罪になると思います。まず他人の商品を盗み取っているわけですから窃盗罪になります。次に盗んだ商品をオークションに出品し、落札した人からお金をだまし取っているいるわけですから詐欺罪になります。この窃盗罪と詐欺罪は、同じ人が犯した複数の犯罪(併合罪)ということになり、懲役の長期の上限が窃盗の懲役の長期の上限(10年)の1.5倍(15年)となり、重く処罰される可能性があるわけです。 ■商品の落札者の責任は?盗品と知らず落札した場合や、落札した後に盗品と知ったという場合であれば、責任はありません。普通ないことですが、落札者が盗品と知って購入した場合には、落札者は盗品有償譲受の罪の責任を負います。盗品を購入するような人がいれば、窃盗の件数が増えかねませんので、盗品有償譲受の罪は、窃盗罪や詐欺罪よりも重く、「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」で処罰される可能性があります。 ■被害者の補償は?盗んだ人に対して損害賠償請求することも考えられますが、配送会社の事務員が盗んだということであれば、配送会社に補償してもらうことになるでしょう。 *著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【画像】イメージです*TAROKICHI / PIXTA(ピクスタ)
2017年12月25日*画像はイメージです:大企業では、社員に対し様々な福利厚生が用意されています。その内容は住居や保険、保養所・寮・クラブ活動など、多岐に亘ります。一方、中小企業は費用を福利厚生にかけることが難しいため、内容はどうしても限られてしまいます。零細企業になると「まったく用意されていない」というケースもあります。そのような企業に勤務する者にとっては、非常に納得のいかない事態。そもそも「福利厚生がまったくない」のは許されるのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。 ■「福利厚生がまったくない」のは許される?「結論からいうと、法律で義務づけられている福利厚生もないというのは許されません。福利厚生とは、事業主が労働者のために提供する給料以外のサービスのことをいいます。福利厚生には、雇用保険制度への加入など事業者に法律上の義務がある法定福利厚生と、食堂や社員寮の充実といった事業者に法律上の義務がない法定外福利厚生があります。法定福利厚生については、事業主に法律上の義務があるわけですから、ないというのは許されません」(冨本弁護士) ■法定福利厚生の種類は?「法定福利厚生には、以下のようなものがあります。(1)雇用保険制度への加入雇用保険は、国が失業した労働者に、必要な給付を行ったり、再就職の手助けをしたりするための制度です。事業主は、1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある人を雇い入れた場合、雇用保険制度に加入し保険料を支払わなければなりません(雇用保険法第5条・6条)。保険料は労働者と事業主の双方が負担します。 (2)労災保険制度への加入労災保険は、仕事が原因で怪我をしたり、病気にかかったり、死亡したり、あるいは通勤途中で事故にあったりした労働者に対し、国が事業主に代わって補償する制度です。事業主は、労働者(パートやアルバイトも含みます。)を1人でも雇い入れていれば労災保険制度に加入しなければなりません(労働者災害補償保険法第3条)。保険料は事業主の全額負担です。 (3)健康保険制度への加入健康保険は、労災以外で怪我をしたり、病気にかかったり、死亡したりしたり、出産したりした、労働者やその家族に対し、国が一定の給付をする制度です。一定の業種で常時5人以上労働者を雇い入れている場合、事業主は、健康保険制度に加入し保険料を支払わなければなりません(健康保険法第3条第3項)。保険料は、事業主と労働者の折半です。 (4)厚生年金保険制度への加入厚生年金保険は、労働者が高齢・障害で働けなくなった場合、あるいは労働者が死亡した場合に、労働者やその家族に対し、国が一定の給付をする制度です。一定の業種で常時5人以上労働者を雇い入れている場合、事業主は、健康保険制度に加入し保険料を支払わなければなりません(厚生年金法第6条第1項)。保険料は、事業主と労働者の折半です」(冨本弁護士) ■法定福利厚生がないとどうなるの?「法定福利厚生がないことによって、労働者は、本来もらえるはずの保険給付がもらえなくなる場合があります。この場合、事業主は、労働者から、その分の額を損害として賠償請求されてしまいます」(冨本弁護士) 福利厚生には法律上の義務がある法定福利厚生と、法定外福利厚生があり、法定福利厚生を用意していない企業については、労働者から損害賠償可能性があるとのこと。自分の会社が法定福利厚生に入っていないという場合は、弁護士に損害賠償請求を含めて相談してみましょう。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*polkadot / PIXTA(ピクスタ)
2017年12月09日「すでに兵庫県、大阪府、鹿児島県、滋賀県などでは自転車保険加入が義務化されています。背景にあるのは、自転車事故による損害賠償額が、場合によっては“超高額”になってしまうことなんです。とくに’13年に兵庫県で起きた事故は、自転車保険を意識させる大きな出来事だったと思います。当時小学5年生の少年が、夜間走行中、62歳女性に正面衝突。女性は頭蓋骨骨折の重傷で、一命は取り留めたものの、意識が戻らなかった。女性への損害賠償額は、9,521万円。子どもの起こした事故のため、監督責任のある母親に賠償命令が神戸地裁から下されました」 そう話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。埼玉県は今年10月、自転車保険への加入について、これまでの努力義務から義務に引き上げる条例を公布した。施行は来年4月からされる。同じく京都府でも、自転車保険の加入が義務化されることになった。挙げた賠償額は、現実離れした額に思えるかもしれない。しかし、自転車事故は、乗る人なら誰もが起こすリスクがあるのだ。 「朝、ぎりぎりまで子どもがぐずって保育園に急いで自転車を飛ばすママさんや、仕事帰りに夕飯の買い出しに追われる主婦でも加害者となりうるため、“まさか”に備える必要があるのです」(柏木さん) では、自転車保険に入るまえに知っておくべきことは何だろうか。柏木さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに教えてもらった。 【ポイント1】「個人賠償責任保険」の重複加入に注意! 一般的に販売されている自転車保険とは、自身に対する「死亡保障」や「入院保障」と、事故を起こした場合に被害者への補償に充てる「個人賠償責任保険」という保険がパッケージ化されたもの。個人賠償責任保険については、“知らない間に加入していた”という人も多いのだ。 「クレジットカードに年間費数千円で付加しているので、加入している人も多いはずです。また、自身に覚えがなくても火災保険や自動車保険に組み込まれていたり、マンション住まいの場合は管理組合で各種保険に加入していることもあります」(柏木さん) 【ポイント2】月額数百円で加入できる商品が多数 具体的な保険商品について、風呂内さんはこう語る。 「『au損保:自転車向け保険 Bycle』は、『本人タイプ』、家族で入れる『家族タイプ』などのコースがあり、どのコースでも個人賠償責任の上限額が2億円以上という特徴があります。『本人タイプ』で個人賠償責任保険の上限額が最大2億円の商品は、月額360円です。また、『東京海上日動:ネットでeジョー「eサイクル保険」』は、条件次第で本人タイプ・個人賠償責任保険無制限が、月額170円という低価格に抑えられます」(風呂内さん) 【ポイント3】自転車そのものにかける保険も 2で挙げた商品のように、個人に保険をかけるのではなく、自転車そのものに保険をかけるものもある。それが、自転車店などで、自転車安全整備士による点検整備を経て受け取れる「TSマーク」だ。 「このマークには、1年更新型の賠償責任保障が組み込まれています。個人向けの商品との違いは、TSマーク付きの自転車に乗っていれば自転車保険に加入していない場合でも補償の対象になる点。マークには青色と赤色の2種類があり、それぞれ補償内容が異なります。相手側が死亡、重度後遺障害を残した場合の賠償責任補償の上限が、青色1,000万円、赤色は1億円です」(柏木さん) 【ポイント4】自転車の受け取りは自転車店で! 最近では、ネットで気軽に自転車を購入する人も多い。しかし、商品の受け取りは、あえて近所の自転車店で行ったほうがよいと柏木さん。 「店頭では安全上の注意や、条例のこと、自転車保険に関しての説明も、きっとしてくれるはずです。保険加入も含め、自転車事故への備えを考えるきっかけにしましょう」(柏木さん) 【ポイント5】保険金が下りないケースも 「当然のことながら、けんかや、嫌がらせなど故意による事故は対象外です。また、飲酒運転や『幼児2人同乗基準適合車』ではないのに子どもを同乗させるなどの“法令違反”を犯していた場合、保険金が支払われないことになるでしょう」(柏木さん) ひとたび事故を起こせば、高額な賠償額を前に、“事故破産”にもなりかねない自転車事故。加入している人も、これから検討するという人も、まず相手を思いやった“安全運転”を心がけよう。
2017年12月08日「全国平均で、自転車が関わる人身事故は交通事故全体の約2割。ですが埼玉県は3割と高く、自転車事故が多い県と言えます。にもかかわらず’16年の県内調査では、自転車保険の加入率は45%と半数以下にとどまっていたため、加入の義務化に踏み切りました」 そう語るのは、埼玉県・県民生活部の職員。埼玉県は今年10月、自転車保険への加入について、これまでの努力義務から義務に引き上げる条例を公布した。施行は来年4月からされる。同じく京都府でも、自転車保険の加入が義務化されることになった。 生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、自転車保険における都道府県の取り組みについてこう語る。 「すでに兵庫県、大阪府、鹿児島県、滋賀県などでは自転車保険加入が義務化されています。背景にあるのは、自転車事故による損害賠償額が、場合によっては“超高額”になってしまうことなんです」 日本損害保険協会のホームページによると、次のような判例が出ている。 【ケース1】賠償額9,266万円 男子高校生が自転車で歩道から車道を斜めに横断した際、対向車線から自転車で直進してきた24歳男性会社員と衝突。男性会社員には言語機能の喪失等重大な障害が残った。(’08年・東京地裁判決) 【ケース2】賠償額6,779万円 男性がペットボトル片手に下り坂を猛スピードで走行。交差点に進入した際、38歳の女性に衝突。女性は脳挫傷で3日後に死亡。(’03年・東京地裁判決) こうした事件が後を絶たない、と柏木さんが続ける。 「とくに’13年に兵庫県で起きた事故は、自転車保険を意識させる大きな出来事だったと思います。当時小学5年生の少年が、夜間走行中、62歳女性に正面衝突。女性は頭蓋骨骨折の重傷で、一命は取り留めたものの、意識が戻らなかった。女性への損害賠償額は、9,521万円。子どもの起こした事故のため、監督責任のある母親に賠償命令が神戸地裁から下されました」 兵庫県では、全国に先駆けて’15年10月に義務化をスタートさせている。同県の県民生活局の職員に話を聞いてみた。 「交通事故件数は減っているものの、人対自転車の事故は’13年までの10年間で1.9倍増。事故に遭われた方がすみやかに賠償を受けられるためにも、保険加入義務化の声は上がっていたんです。’13年には24.3%だった加入率が、’16年に義務化してからは60%、’17年には64.7%に増えました」 先に挙げた賠償額は、現実離れした額に思えるかもしれない。しかし、自転車事故は、乗る人なら誰もが起こすリスクがあるのだ。 「朝、ぎりぎりまで子どもがぐずって保育園に急いで自転車を飛ばすママさんや、仕事帰りに夕飯の買い出しに追われる主婦でも加害者となりうるため、“まさか”に備える必要があるのです」(柏木さん)
2017年12月08日*画像はイメージです:システム業界などでは、以前勤めていた会社から「ちょっとわからないことがあるんだけど……」と電話がかかってくることが稀にあるようです。中には、自分が構築したシステムに重大なバグや設計ミスが発覚することもあるのだとか。そのようなとき、会社側から「責任をとってほしい」「改修作業をしてほしい」などと、持ちかけられることもあるようです。労働者側としては落ち度があったとはいえ、既に雇用契約は切れているうえ、新しい仕事もあり、応じたくはありません。このような場合、労働者は賠償責任や改修作業に応じるべきなのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。 ■賠償責任の有無や改修作業に応じる義務は?「改修作業に応じる義務はないですが、担当者に落ち度があれば損害賠償請求に応じる義務がある場合もあるのではと考えます。通常、会社と担当者との間では労働契約(雇用契約)があるのではと考えられます。労働契約(雇用契約)の場合は、労働者は使用者の指揮命令に従って労務を提供する義務を、会社の方は賃金を支払う義務を負います(民法623条)。したがって、労働契約の期間中であれば、担当者は、改修作業を行わなければいけません。しかし、担当者が退社して、労働契約が終了しているとなると、担当者は、労務を提供する義務を負いません」(冨本弁護士) ■請負の場合は応じる義務が発生「なお、会社と担当者との法律関係が、労働契約(雇用契約)でなく、請負契約ということであれば、担当者は改修作業に応じる義務があります。請負であれば、請負人は仕事を完成させる義務を、会社の方は報酬を支払う義務を負います(民法632条)。また、請負の場合、納品されたものに欠陥があれば、会社としては、請負人に対しその修理をするよう請求できます(民法634条1項)。したがって、請負であればですが、担当者が開発したシステムに重大なバグが存在し、会社から回収作業を求められた場合、担当者としては応じる義務があります」(冨本弁護士) ■「落ち度」が認められれば損害賠償を負う場合もあるが……「会社と担当者の関係が労働契約(雇用契約)の場合でも、担当者に落ち度があれば、たとえ労働契約が終了した後といえども、損害賠償責任を負う場合があります。ただし、会社は労働者を指揮監督していたわけですから、損害の公平な分担という考え方から、会社の労働者に対する損害賠償請求については、裁判上かなり制限され、軽い落ち度であれば認められないこともあります。法律上は以上のようになると考えますが、改修作業がそれ程難しくないのであれば、退職した担当者としては、制限されているとはいえ賠償責任を負わないようにするために改修に協力し、会社の方も、退社した担当者に協力してもらう以上、相応の対価を支払うのが現実的であるかと考えます」(冨本弁護士) 担当者に「落ち度」があると判断された場合は、損害賠償責任を負うケースもあるようです。改修作業については、請負契約でなければ、原則応じる必要はないとのこと。法的には以上ですが、ブラック企業などは強行な損害賠償や無償による改修作業を求めてくることも考えられます。その場合は、弁護士とともに然るべき措置を取りましょう。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです* stefanphotozemun / Shutterstock
2017年11月23日*画像はイメージです:先日、ある有名人が「自分の住所をネットに書き込まれた」として、警察に被害届を提出したものの、受理されなかったことを告白し、話題となりました。昨今SNSや掲示板などで個人の住所や電話番号が第三者によって書き込まれることは稀にあるだけに、「他人事とは思えない」という声があがっています。本当に住所などの個人情報をネットに書き込むことは違法ではないのでしょうか?インターネット問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。 ■刑法上違法とはいえない「刑法上、違法というためには、当然、刑法に違反していることが必要です。刑法には色々な罪が定められていますが、刑法に定められている罪以外のものについては、罪とされることがないのが原則です。この原則は罪刑法定主義と呼ばれます。氏名や住所を公開することは、どの刑法上の罪にも当たりません。このようなことをされると、“名誉毀損だ”と主張する方が多いように感じますが、名誉毀損は社会的評価の低下がなければ成立しません。氏名や住所が公開されても、社会的評価が低下することはないため、名誉毀損が成立することはありません。今回、警察が被害届を受理しなかったのは、このような理由と考えられ、極めて当然の対応ということになります」(清水弁護士) ■民事上は不法行為となる余地がある「しかし、氏名や住所はプライバシーとして保護される余地があります。承諾なくプライバシーを公開すれば、プライバシー侵害となり、これは民事上、不法行為ということになります。したがって、この例でも、氏名や住所を公開した人物に対して、プライバシー侵害として損害賠償請求をする余地があります。ただし、住所や氏名が開示されただけということだと、賠償額としては高くはならないと思われます。なお、損害賠償請求は、その公開した人物に対してすることが必要です。しかしインターネット上に公開された場合、公開した人が誰かということが分からない場合が多いのではないかと思います。この場合、発信者情報開示請求という手続きを経てからでないと、損害賠償請求をすることができません。したがって、公開した人の責任追及をしようとしても、少々大変かもしれません」(清水弁護士) 刑法に反していないため警察が被害届を受理しない行為は「当然のこと」なのだそう。しかし、書き込んだ人物を特定することができれば、民事上の不法行為に問うことができる可能性は高いようです。インターネット上に他人の個人情報を書き込むのはやめましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年11月19日*画像はイメージです:交通違反などが原因で、パトカーから止まるよう指示されることは、多々あります。そんなときほとんどの人は指示に従うことでしょう。しかし、なかには逃げたいと思う人もいるはず。交通違反以外に「やましいこと」がある場合などは、実際に逃走するケースもあるようです。 ■死亡事故を起こすケースも稀に発生するのが、パトカーから逃げようとして事故を起こし、運転者が亡くなってしまうケース。この場合、逃走するほうに非があるのはわかるのですが、追い立てたパトカー側にも責任を問う声があります。このような場合、運転者の遺族としては警察に補償を求めたいところ。また、仮に何の罪もない通行中の一般人を巻き込んだ事故となれば、こちらの家族も治療費や補償を警察に求めていきたいところでしょう。警察に補償を求めることはできるのか。エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に解説して頂きました。 ■警察に補償を求めることはできる?「警察官などの公務員の違法な行為によって損害を受けた場合には、その公務員が所属する国又は公共団体に対して、国家賠償法による損害賠償請求をすることが考えられます(国家賠償法1条1項)。パトカーに追跡されていた車が事故を起こしたようなケースでは、その追跡行為が違法である場合に限り、その警察を設置している公共団体に対して、国家賠償法に基づく損害賠償請求をすることができます。そして、どのような場合に警察官の追跡行為が違法となるかについて、最高裁判所は、「およそ警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断してなんらかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問し、また、現行犯人を現認した場合には速やかにその検挙又は逮捕に当たる職責を負う(警察法2条、同65条、警察官職務執行法2条1項)」として職責を認定しています。そのうえで「職責を遂行するために被疑者を追跡することはもとよりなしうるところ」として、追跡行為自体の正当性を認めています。「警察官がかかる目的のために交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合」については、その「追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要する」として、逃走態様や交通状況等の事情から判断して追跡が不相当と言える場合には違法性を認めるとしました(昭和61年2月27日判決)。これは、パトカーに追跡されていた車に同乗していた者や、事故に巻き込まれた一般人のような第三者が損害賠償請求する場合だけでなく、パトカーに追跡されていた車を運転していた本人が損害賠償請求をする場合にも、警察官の追跡行為が違法となるのはどのような場合かについての判断基準となっています。この判例を受け、実際の裁判例を見てみると、損害賠償請求が認められたものとしては、警察官が、暴走行為をするバイクを停車させるために幅寄せ等の行為をした結果、バイクが標識と衝突し、運転者が死亡、同乗者が重傷を負った事例において、幅寄せ行為等に警察官の過失が認められ、追跡方法が違法であると判断され、損害賠償請求が一部認容されたものがあります。(徳島地裁平成7年4月28日判決)」(大達弁護士) ■損害賠償が認められる可能性は低い?「その他、警察官の呼びかけを無視して逃走をしているような場合で、警察官の追跡行為が違法とされた目立った例は見当たりません。警察官の追跡行為が違法とされる可能性がある例として考えられるのは、下記の条件をすべて満たすような限定的な場面と思われます。・逃走運転者の人物や住所が警察に知れていて、後に逮捕や検挙、任意の取り調べが容易でその場での追跡が不必要である・追跡原因となった違法事由や嫌疑が軽微なものである・追跡行為によって事故等が起こる具体的な危険性が生じている上記の条件をすべて満たしつつ、漫然と追跡し続けた結果として事故が発生したような場合でない限り、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められる可能性は低いと考えられます。なお、事故に巻き込まれた第三者は、事故を起こした運転者やその保険会社に対して、損害賠償請求をすることができ、それによって損害はある程度填補され得ます(自動車損害賠償保障法3条、民法709条)」(大達弁護士) 警察による追跡行為が違法とされる例は限定的のようです。補償を求めることができるケースもありますが、無用なトラブルを避けるためにも、やましいところがないのであれば、パトカーに呼び止められた場合には、素直に応じることが無難なようです。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*curvabezier / PIXTA(ピクスタ)
2017年11月18日マンションを売却する際に注意することのひとつに瑕疵担保責任があります。この瑕疵担保責任によって、物件を引き渡した後に損害賠償を請求されるといった事例も少なくありません。トラブルを未然に防ぐためにも瑕疵担保責任についてしっかり学んでおきましょう。難しそうだけど瑕疵担保責任って重要なの?瑕疵担保責任とは不動産売買の際に重要なもののひとつで、簡単に言うと、「物件に問題や欠陥があった場合の責任」です。マンションを売却する場合は、そのマンションで買主がきちんと生活できることを保証する責任が売主にあるということを意味しています。細かく分けると、瑕疵が「通常必要な品質や性能を有していない」という意味にあたります。売主が故意に隠したものはもちろん、過失(気付かなかった)であっても責任を負うことになります。その場合、買主が欠陥や問題を見つけてから1年以内であれば売主に責任を追及できることになっています。責任の追求とは具体的に契約の解除か、損害賠償請求を指します。瑕疵担保責任は、宅地建物取引業法と民法で定められているものです。民法の「第570条(売主の瑕疵担保責任)」には、「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。」とあります。民法第566条は、売買の目的物が契約に達せない時は、買主は契約の解除を求めるか、損害賠償を請求することができるという内容です。また、買主がこの事実を知った時から契約の解除や損害賠償の請求は1年以内に実行しなければならないと記載されています。ただし、いつから欠陥や問題が始まったのか判断がつきにくいため、売買の際に瑕疵担保責任についても契約を結ぶのが一般的です。通常は引き渡し後3か月や6か月、古い物件の場合は瑕疵担保責任を負わないという「瑕疵担保責任免責」を設定するケースもあります。買主に不利が及ばないための瑕疵担保責任ですが、売主にも不利が及ばないような配慮もされています。マンションの価格を無料査定してみる瑕疵担保責任で多い事例は何?マンションの売却後に瑕疵担保責任を追及されるケースには、いくつか特徴があります。一番多いのはやはり設備や設置機器の故障や不具合でしょう。例えば、給湯器が故障していてお湯が出ないなどです。またエアコンの効きが悪いなども瑕疵担保責任の対象になります。買主に追求された場合、売主が修理費用を負担することになります。また、換気扇から異音がするといったことも瑕疵担保責任の対象になります。細かいところで言えば、「蝶番に付いているはずのネジが1つない」といったことでも、追求されると瑕疵担保責任の対象になります。こうしたことは、普段の生活をしている分には気にならないのですが、買主の新生活を保証する責任があるため、瑕疵担保責任の対象になります。「契約に不利なので言いたくない」という売主もいますが、後で追求される前に気になる点を不動産会社に話しておいた方がいいでしょう。また、住居内で家族が死亡した場合も注意が必要です。自然死であれば瑕疵担保責任の対象にはなりませんが、自殺の場合は瑕疵担保責任の対象になる、といったように素人では判断の難しいケースもあります。このようにご自身で判断が付きづらい場合も、あらかじめ不動産会社に確認するのが無難です。瑕疵担保責任の内容は契約書に記載するマンションの売買を行う際は不動産売買契約を交わしますが、同時に売主が瑕疵担保責任を負うかどうかを決め、契約書に記載してから取り交わすことになります。これはマンションの売却後、物件に欠陥があった場合にどのように対応するのか、あらかじめ決めておくためです。あまりにも物件が古い場合は、双方の合意のもと売主が瑕疵担保責任を負わない「瑕疵担保責任免責」を選択する方法もあります。一方、売主が瑕疵担保責任を負う場合は、引き渡しからどれくらいの期間かなどを取り決めます。それは売買契約に瑕疵担保責任についての記載を行わない場合、民法の規定が採用されるからです。民法では期間が限定されないため、売主は半永久的に瑕疵担保責任を負うことになってしまうのです。不動産売買は宅地建物取引主任者などが執り行うため、瑕疵担保責任のことについてはほとんどお任せすることとなります。しかし「分からないので」と言いなりになっていては売主に不利な契約となる可能性もあります。しっかり瑕疵担保責任の知識を得ておくことも、売主としての責任と言えるでしょう。まとめ愛着を持って住んでいたマンションの次の住人は新しい買主です。売主には、買主の新生活を保障する責任があるということを覚えておきましょう。そのためにも瑕疵担保責任について正しい知識を得ることはとても重要です。ただし2017年に民法の改正案が可決され、3年以内に施行されることになっています。改正民法では実は瑕疵担保責任という概念がなくなり、買主の権利がさらに拡大する見通しです。マンションの売却を検討している方は改正民法の動向にも注目しておきましょう。まずはマンションの価格を無料査定してみる
2017年11月16日*画像はイメージです:月17日、CD585枚を山中に廃棄したとして、福岡県内に住む30代の男性が逮捕されたことが判明。このような不法投棄は紛れもない犯罪ですが、罪の重さや定義などは、いまいちよくわからないのも事実。そこでピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。に、CD投棄事件と絡めて解説していただきました。 ■不法投棄の罪の重さは?「不法投棄は、“廃棄物の処理及び清掃に関する法律”により、不法投棄者は五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金(法人の場合は三億円以下の罰金)に処せられる場合があります。ここで不法投棄とは、同法で定められた処分場以外の場所に廃棄物を投棄することです。もっとも、廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべき、とされています。CDが、直ちに廃棄物に当たるか否かは、そのCDの状態等によって、ということにはなりますが、よほどの新品ではない限り、通常は廃棄物にあたるものと思います。そうでければ、不法投棄しないでしょう」(森川弁護士) 不法投棄者は個人の場合5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、法人の場合3億円以下の罰金に処される場合があるそうです。重罪ですね。不法投棄は絶対にしないようにしてください。 *取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*poosan / PIXTA(ピクスタ)
2017年10月30日頭髪が生まれつき茶色いのに学校から黒く染めるよう執拗に強要されたという大阪府立高校3年の女子生徒が、府に損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。このニュースに、Twitter上では著名人からも憤りの声が多数寄せられている。 脳科学者の茂木健一郎氏(55)は《女子生徒が全面的に正しい。学校や、大阪府は、根本的な勘違いをしている》と怒りのツイート。 学校側は生徒に対し、入学直後から1~2週間ごとに黒染めを指導。染色を繰り返したため生徒の頭皮はかぶれ、髪はぼろぼろに。生徒は教諭から「母子家庭だから茶髪にしているのか」などと中傷されたほか、茶髪を理由に文化祭や修学旅行の参加も認められなかったそうだ。 さらに、学校側は「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒染めさせることになる」と、生徒の代理人弁護士に伝えたという。 この発言に《これは本当に酷いね》とツイートしたのは城田優(31)。《これ本気で言ってるのでしょうか?恐ろしすぎる》と憤りを露わにした。 日本の高校に通ったフィフィ(41)は、自身も頭髪指導をされた経験があるという。《アフリカ大陸出身の私もパーマか?って聞かれたり…天パにストパーかけろと強要する先生もいて、パーマかけろって本末転倒だよね》とツイートした。 高校生の頭髪をめぐっては東京都でも、茶髪やパーマが生まれつきかどうか確認する「地毛証明書」の提出を求める都立高校があるが、《黒髪ストレートじゃない人だけに「地毛証明書」を求めるのも人権侵害》という声も。頭髪指導をめぐる議論はまだまだ続きそうだ。
2017年10月28日10月23日、NHKが定例会見を行い、俳優・小出恵介(33)の所属事務所との損害賠償請求を含む協議について言及した。今年6月、小出が『フライデー』に17歳の女性との“淫行疑惑”を報じられた影響で、同局の土曜ドラマ『神様からひと言~なにわお客様相談室物語~』が放送中止になっていたのだ。 「NHKのドラマは全6話まで撮影が終わっていたにも関わらず、お蔵入りになってしまいました。1話あたり5千万円ほどで、NHKだけでも違約金は3億円に上るそうです。ほかに出演予定だったドラマや映画、CM等もろもろ計算すると、違約金の総額は5億円以上とも言われています」(芸能関係者) 同局の木田幸紀放送局長は損害賠償について「(小出の)所属事務所と協議し、合意にいたりました」と報告。「内容に関しては公表を差し控えたい」としたものの、「こちらの求めていた通りの合意でした」と説明した。 実は3カ月前、本誌は謹慎生活中の小出を直撃している。そこで語っていた“複雑胸中”とは――。 7月下旬の午後4時ごろ、自宅マンションから姿を現した彼に記者が声をかけた。 ――『女性自身』です。事件に関して何かおっしゃりたいことは? 「……」 報道直後は小出が一方的に叩かれていたが、高校生と報じられていた相手女性が“シングルマザー”と判明。それ以降、ネット上では彼女のプライバシーが次々とさらされるという事態に発展した。小出と関係を持ったことを、当初は自慢げにSNSで吹聴していたとされ、女性への心ないバッシングもあった。 いずれにせよ、これまで明らかになっているのは、女性側の声ばかり。小出の“言い分”もあるはずだが、彼は口を開いてこなかった。 ――小出さんも、いろいろお話されたいことがあるのでは。 「ええ、そうですね。なんか、自分もやっぱり発言させてもらえない色んな事情があって……。ただ、世の中の空気がどういうふうになっているのか、僕も知りたいなって思ってるんです。でも、なかなか触れられなくて……」 ――NHKの違約金だけで3億円と聞きました。 「金額のことは分かりません。もちろん違約金が発生していることは知っています」 ――小出さんと事務所、どちらが払うんですか。 「まだ協議中です」 そして、今後についてはこんな“不安”を語った。 ――復帰はいつごろに? 「正直、分からないです。事務所もどうするかわからないみたいなので」 彼は現在も、猛省の日々を送っている。
2017年10月23日*画像はイメージです:昨今、電車の窓ガラスが割れる事故が頻発しています。9月21日には、午前9時にJR東海道線の川崎~品川間で、そして午後1時半頃には東急東横線菊名~妙蓮寺間で窓ガラスが割れる事故が発生しました。幸いけが人などは出なかったようですが、かなりのスピードを出す乗り物であるうえ、電車がすれ違った場合かなりの風圧が発生することから、乗客が危険な状況にさらされることは間違いありません。仮に電車の窓ガラスが割れ、乗客が負傷した場合、責任は誰が取るのでしょうか。治療費の請求などが可能であるかも気になります。エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。 ■電車の窓ガラスが割れ負傷した場合誰が責任を取る?「満員電車の窓が割れると一口に言っても様々な原因が考えられると思いますので、次のとおり場合分けしてみましょう。(1)満員電車に詰め込まれた乗客の圧力によって割れた場合(2)線路の敷石が跳ね上げられて割れた場合(3)投石など第三者の行為によって割れた場合今回は(1)(2)(3)のそれぞれについて解説してみたいと思います。まず、旅客運送に関しては、商法は590条1項で、次のように定めています。「旅客ノ運送人ハ自己又ハ其使用人カ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メニ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス」これは、鉄道などの旅客運送において乗客が損害を負った際には、旅客運送上の注意を怠っていなかったことを旅客運送会社自身が証明しない限り、その会社が損害賠償責任を負うとするもので、今回のケースでは、いずれの場合においても、鉄道会社が注意を怠ったかどうかがポイントとなります。以下、この前提を基に(1)、(2)、(3)について考えてみます。 ■(1)満員電車に詰め込まれた乗客の圧力によって割れた場合まず、通常想定しうる乗車数を超えているにも関わらず、駅員や乗務員等が乗車規制などの措置をとらなかったため、電車の窓ガラスが車内からの乗客による圧力に耐えられず割れてしまい乗客が怪我をしたというような場合についてです。また、整備不良等によって窓ガラスに欠陥が生じており、それに満員電車の乗客による圧力が加わったことによって窓ガラスが割れ、乗客が怪我をしたような場合には、鉄道会社が旅客の運送に関し注意を怠っていたといえそうなので、鉄道会社は損害賠償責任を負うことになると思われます。 ■(2)線路の敷石が跳ね上げられて割れた場合次に、敷石が跳ね上げられることにつき、相当の注意をしていたとしても跳ね上げられる危険のある敷石を発見できなかったというような場合についてです。これは、例えば、電車が通る直前にカラス等のいたずらによって線路上に置石がされた場合などのような不可抗力的な場合でない限りは、そのような危険を排除するという旅客運送上の注意を怠るものとして、鉄道会社は損害賠償責任を負う可能性が高そうです。 ■(3)投石など第三者の行為によって割れた場合最後に第三者の故意による違法行為が原因で窓ガラスが割れたような場合についてです。原則として、その行為をした者が民法709条に基づく損害賠償責任を負うこととなり、旅客運送事業者が責任を問われることにはならなさそうです。ただし、その行為が行われることが予見できたのにこれを防止しなかったなどの事情、具体的には線路に侵入防止のフェンスを設置しなかったとか、線路のすぐ脇で投石を伴う騒動が生じている状況を知りながら、何らの措置も取らずに通常運行したことにより投石事故が生じたような場合には、鉄道会社は旅客運送上の注意を怠ったものとして、損害賠償責任を負う可能性もあると思われます。毎日お世話になる人も多いであろう電車。満員電車には様々なトラブルがつきものですが、譲り合いの精神で環境は大幅に変わりますので、乗車時には時間にも心にも余裕をもって利用したいものですね」(大達弁護士) 鉄道会社が旅客運送上の注意を怠ったことにより窓ガラスが割れたと認められた場合は、損害賠償責任を負う場合があるようです。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*R-DESIGN / PIXTA(ピクスタ)
2017年10月19日*画像はイメージです:昨今、芸能人や一般人に対して「ドッキリ」を仕掛ける番組が増加しています。「ヤラセ」ではないかとの声もありますが、仮に本当に騙している場合、少々「やりすぎ」と感じることもあります。場合によっては、騙された側がドッキリと告げられ、怒り出すことも。通常このような場合は番組側が謝罪するなどしてとりなすため、問題にはならないのですが、あまりにも度が過ぎる場合は、「提訴」に踏み切ることもあるかもしれません。「ドッキリ番組」で騙された側が違法性を主張することはできるのでしょうか?パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士にご意見を伺いました。 ■違法性を主張することはできる?「ヤラセではなく“本当に騙している”、つまりそのような“ドッキリ”を仕掛けられることについて本人の同意を得ていないということであれば、それが民事上の不法行為、あるいは刑事上の犯罪行為にあたる場合には、損害賠償責任を負ったり、刑罰が科せられたりする可能性があります。例えば、対象者が所有する自動車のタイヤをパンクさせるという行為をドッキリとしておこなった場合、当該行為は“器物損壊”として、民事上の損害賠償責任を負う可能性と、刑事上の犯罪として刑罰を受ける可能性(3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料。刑法261条)があるといえます。なお、“ドッキリ”の具体的内容によっては、対象者の権利や利益を侵害していない、あるいは損害が生じていないとして、法的な責任を負わないというケースもあるかもしれませんが、例えば、大声で人を驚かすというようなドッキリについては、人の左耳もと近くで携帯用拡声器を通じてやにわに大声で“市長”と怒鳴りつけた行為を、暴行罪(刑法208条)にあたると判断した裁判例があります(大阪地裁昭和42年5月13日判決・判時487号70頁)ので、状況によっては同じように“暴行”と判断されることもあるでしょう。ですから、“これぐらいなら大丈夫だろう”と軽率に判断し、行為に及ぶことは控えたほうがよいと思います」(櫻町弁護士) ヤラセではく本当に騙されている場合、その内容によっては違法性を主張できることもあるようです。 ■肖像権侵害の可能性も「また、“ドッキリ”の場合は、対象者の驚いている様子等を撮影し、これを放送することになると思いますが、本人の同意を得ないで容貌等を撮影する行為、また、それを不特定多数に公表する行為については、“肖像権侵害”として民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。例えば、刑事裁判の被告人につき、法廷での容貌などを撮影した行為、及びその写真を週刊誌に掲載して公表した行為が不法行為にあたるかが争われた裁判で、最高裁判所は(“肖像権”という表現は使っていませんが)“人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する”、“人は、自己の容ぼう等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益も有すると解するのが相当”としています(最高裁判所平成17年11月10日判決民集59巻9号2428頁)」(櫻町弁護士) 本当に騙されているとするなら、法律違反が発生する可能性が高い番組であるようですね。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*あんころもち / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月25日*画像はイメージです:月30日、SNS『GREE』内で自分になりすまし、他人を罵倒する書き込みをされたとして、長野県に住む男性がなりすまし実行犯に対し、723万円の損害賠償を求めた裁判の判決が大阪地裁で行われました。その中で裁判長は「社会的評価を低下させ、名誉権を侵害した」として、被告側に130万円を支払うよう命令。「なりすまし」行為で名誉権侵害が成立することが、司法によって認められることになりました。 ■なぜ723万円が130万円に減額された?今回の判決で、なりすまし行為が名誉権侵害であることが認められましたが、723万円の損害賠償請求額が130万円に大幅に減額されたことも事実。被害者としては納得がいかないかもしれません。なぜこのような金額になったのでしょうか。インターネット問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。「賠償額については、慰謝料と認容額の約1割分が「弁護士費用」として認められるのが通常の実務です。慰謝料額についてはこれまでの蓄積から概ね30~100万円程度の間で、裁判官の心証により認定されることが多いです。なお、これらのほかに、インターネット上の権利侵害の場合には誰がやっているか不明であるため、発信者情報開示請求が必要になり、そのために調査費用(弁護士費用)がかかることになります。これについても認めてもらえる方向になってきていますが、報道だけからは、この件でそれが認められているかは明らかではありません。ただ、金額が比較的高いことからすると、認められていると想像されます」(清水弁護士)今回の損害賠償額は、過去の判例から見ると、一般的な金額といえるようです。 ■なりすまし被害に遭った場合どのように犯人を特定する?TwitterやFacebookなどでは、たびたびアカウントが乗っ取られる事態が発生し、誰にでも「なりすまし」をされるリスクがあります。仮になりすましを受けた場合損害賠償請求を行うことができることは分かりましたが、どのようにすれば相手を特定できるでしょうか。法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に方法などをお伺いすると……。「なりすましの場合、それだけでは一般的には権利侵害とはいえないですが、名誉毀損やプライバシー侵害がある内容が含まれていれば、それを理由にして発信者情報開示請求を行うことで特定することができる余地があります」(清水弁護士)「なりすまされただけ」では一般的に権利を侵害しているとはいえませんが、名誉毀損やプライバシー侵害に遭った場合は、それを理由に発信者開示請求を行い、犯人を特定できる可能性があるそう。そうはいっても、自分が受けている被害が名誉毀損やプライバシー侵害にあたるかどうかは、判断のつきにくいところ。まずはインターネット問題に精通した弁護士への相談してみることが、第一歩といえるでしょう。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Pretty Vectors / Shutterstock
2017年09月12日*画像はイメージです:中古住宅の購入を検討する上で、住宅の欠陥の有無は気になるところです。しかし、目に見えないところに欠陥がある場合には、当該欠陥についての告知を受けない限りは、発見することが難しいです。例えば、中古住宅の前住民が自殺していたような場合には多くの人がその購入を戸惑うと思います。この意味で、その物件は欠陥ある物件といえそうですが、売主が告知してくれない限りは、知る機会すらありません。このような『いわくつき』の物件のことを、『事故物件』と呼ぶことが多いようですが、今回は、このような『事故物件』を、『事故物件』ではない価格で売却した売主及び仲介した不動産業者の責任について考えてみます。 ■事故物件とは『事故物件』という単語に明確な定義はないようですが、一般的には、いわくつきの物件であり、購入者が心理的に購入を躊躇うような物件、法律的にいえば、心理的な瑕疵(=欠陥)のある物件を示しているといえます。ただ、この心理的なものについては、人によって感じ方は違うかもしれません。自殺に限っても、10年前に自殺があった物件と、1ヶ月前に自殺があった物件とでは感じ方は変わるのではないでしょうか。裁判上も、自殺からどのくらいの期間が経過しているのかといった事情のほか、居住目的か事業用目的かといった事情を総合考慮した上で、心理的な瑕疵といえるかの判断がされています。 ■売主の責任は?売買契約における売主は、法律上、瑕疵担保責任を負っています(民法570条)。この瑕疵担保責任は、欠陥のある物件を売ったことに対する売主の責任であり、売主の認識を問わずに発生する責任とされています。つまり、売主が欠陥の存在を知らなかった場合であっても、売主には欠陥ある物件を売ったことに対する責任があるということです。したがって、前住民の自殺が心理的な瑕疵に該当する場合においては、この瑕疵担保責任に基づき、買主から契約の解除を求められ、売買代金の返金及び損害賠償請求を受ける可能性があります。では、売主が、心理的な瑕疵の存在を知りながら、これを買主に告知しなかった場合はどうでしょうか。この場合にも、先ほどの瑕疵担保責任は当然発生しますが、そのほかにも、告知義務違反による損害賠償請求、あるいは、契約上の違約金の請求等を受ける可能性があります。 ■仲介不動産業者の責任は?仲介に入った不動産業者が、買主に対して、心理的な瑕疵を告知しなかった場合はどうでしょうか。まず、先ほど述べた瑕疵担保責任は、あくまで売主の責任ですから、仲介不動産業者がこの責任を負うことはありません。ただし、心理的な瑕疵の存在を把握していたか、あるいは把握できて当然という場合には、瑕疵担保責任ではなく、告知義務違反を問われる可能性は残されます。まず、売主からは心理的な瑕疵の存在を聞かされていたものの、あえてこれを告知しなかった場合は、心理的な瑕疵に該当するため、不動産仲介業者にも告知義務が認められ、仲介不動産業者にも告知義務違反が認められることになるでしょう。この場合、買主から損害賠償請求を受けることは十分に考えられます。 他方で、売主から心理的な瑕疵の存在を聞かされていなかった場合はどうでしょうか。この場合には、通常の不動産仲介業者に求められるだけの注意義務をもって対応していたにも関わらず、心理的な瑕疵を把握することができなかったといえれば、責任を負うことはないと考えられます。ただし、売主の説明に不信な点があることに気がついていたにも関わらず、調査を行わなかった場合などにおいては、不動産業者としての責任追及を受ける可能性は十分にあるといえそうです。 中古物件の購入者としては、『事故物件』であることを隠されないためにも、また、万が一隠された場合に備えて、是非とも、過去の事故・事件の存否を売主や仲介不動産業者に確認しておきたいところです。 *著者:弁護士 河原﨑友太(浦和法律事務所。2017年2月にマンション管理士に登録。ご相談に際しては、ご相談に見える方が、弁護士に何を期待しているのかを見定め、丁寧な事情聴取、解決方法の提案を心がけています)【画像】イメージです*kirin / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月01日*画像はイメージです:「私は、ある株式会社の常務取締役を務めておりますが、社長から『他の取締役と意見が合わないから辞めてくれないか』と言われました。辞めざるを得ないのでしょうか。会社に対して何も主張できないのでしょうか」取締役のかたからこのようなご相談をいただきました。通常の労働者であれば、労働法によってその地位が保護されていますが、取締役などの会社の役員は会社との関係でどのような立場になるのでしょうか。 ■労働者との違い株式会社と取締役との法律関係は、雇用関係ではなく、委任関係とされています(会社法330条)。従業員が取締役に選任されるにあたって、退職手続をとり、退職金をもらう人もいらっしゃるかと思いますが、それはいったん労働契約が終了するためです。したがって、労働者の場合と異なり、取締役には労働契約法上の解雇規制(労契法16条)の適用はありません。なお、取締役の中には、従業員兼務取締役という立場の人もいて、この場合は労働者の地位が残っていると考えられています。次に、任期中に取締役を解任したい場合には、株主総会決議によって解任することができます(会社法339条1項)。取締役の解任には、労働契約上の解雇規制とは異なり、特段の理由を必要とせず、株主総会決議があれば自由に取締役を解任することができます。 本件では、常務取締役ですので、通常従業員兼務取締役ではなく、純然たる取締役です。そうだとすると、労働者ではありませんので、労働契約法上の解雇規制の適用もなく、当該会社の株主総会決議によって、解任することができます。 ■取締役解任の損害賠償請求それでは、取締役の解任の場合には、会社に対して何も主張できないのでしょうか。会社法339条2項は、解任された取締役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができると規定しています。これは、取締役の解任の自由を保障しつつ、正当な理由がある場合を除いて、解任そのものによる損害賠償を認めることで、取締役の任期に対する期待保護と株主の会社支配権の確保との調和を図ったものと説明されています(法定責任説)。この会社法339条2項により請求できる損害賠償の範囲は、取締役が解任されなければ在任中および任期満了時に得られた利益の額とされており、典型的には残任期分の役員報酬相当額となります。一方で、慰謝料や弁護士費用は原則として認められません。 ■損害賠償請求が認められないケースも先ほど、損害賠償額の範囲について触れましたが、どんなケースで損害賠償請求が認められるのでしょうか?これについては、会社法339条2項には記載があり「正当な理由」のある解任を除き損害賠償請求が認められる、とされています。つまり、「正当な理由」がある場合には、取締役解任に対する損害賠償請求は認められないことになります。取締役解任の「正当な理由」の有無で争われる主要なケースは以下のような4つに大別されます。 (1)法令・定款違反行為、心身の故障(2)職務への著しい不適任など(3)経営上の判断の失敗(4)主観的な信頼関係喪失(大株主の好みや、より適任な者がいるというような単なる主観的な信頼関係喪失) それぞれのケースが正当な理由に該当するかどうかですが、(1)(2)に関しては、正当な理由に該当するとされています。(3)については正当な理由の有無について争いがあるとされており、(4)は正当な理由とは原則として認められません。 本件では、他の取締役と意見が合わないという理由だけでは、④の主観的な信頼関係喪失といえ、正当な理由は認められないでしょう。したがって、本件では、残任期分の役員報酬相当額の損害賠償請求が認められる可能性が高いといえます。 *著者 弁護士 小林 洋介(センチュリー法律事務所。一つ一つのご相談には個性があり、解決策もさまざまです。それぞれのご相談の事情や時代の変化に応じて、既存の解決策にとらわれず、新しい解決策を常に模索し、提案し続けていきたいと考えております)【画像】イメージです*プラナ / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月31日ものまね歌手の荒牧陽子(36)が26日深夜放送の日本テレビ系「24時間テレビ」内の「今夜限り!生しゃべくりでタレコミ続出!その真相を初告白007」に生出演。5年ぶりのテレビ復帰を果たした。 荒牧は5年間表舞台から姿を消した理由を「のどが潰れてしまったので静養していたのと、あとはショーをやらせていただいた」と説明。MCをつとめた、くりぃむしちゅーの上田晋也(47)から「今は完治した?」と聞かれると「はい!」と笑顔で答えた。 復調ぶりを裏付けるように浜崎あゆみ(38)、坂本冬美(50)、新ネタのchay(26)らものまねをメドレーで披露。上田はこの5年でレベルアップを絶賛した。 「荒牧は11年、くりぃむしちゅーがMCをつとめた日テレの『スター☆ドラフト会議』に彗星のごとく登場。出演するやいなや、倖田來未(34)らのものまねで一躍ブレーク。その後、壮絶な争奪戦の末に大手芸能プロの系列事務所に所属しテレビのオファーが殺到しすっかり売れっ子になっていました」(テレビ局関係者) ところが13年1月、「激務から来る喉・体調・メンタル不調」を理由に芸能活動一時休止を宣言。今回の復帰まで、プライベートは波乱万丈だったというのだ。 「13年5月に仕事で知り合った年上のテレビプロデューサーと結婚。しかし略奪婚だったため結婚前から夫の前妻と揉め、ついには前妻から損害賠償を求めて提訴されてしまったのです。結果は敗訴。このゴタゴタが原因でテレビから消えていたが、14年ごろから仕事復帰。16年秋ごろには晴れて第1子を出産して、ようやく平穏が訪れていました」(芸能記者) 人生の荒波を乗り越え、母になっただけにその芸に磨きがかかったようだ。
2017年08月28日*画像はイメージです:近年、「終活」という言葉がクローズアップされてきていますが、それに従って、自分の財産の整理や相続について計画をする人が増えているように感じます。そのような人が、自分の死後の財産をどのように残すかを決めるために、どのような方法があるかを考えた場合、真っ先に思い浮かぶのは、遺言書ではないでしょうか。しかしながら、遺言は場合によっては記載通りに遺産が継承されないこともあるのです。どういったことなのか解説していきたいと思います。 ■遺言は無視される?日本における相続では、民法で法定相続分という割合が決まっており、相続人の間で、この法定相続分に従って、亡くなった人(法律用語で「被相続人」といいます)の遺産を分割するのが原則です。ただし、遺産分割は、被相続人の財産の死後における処遇を決めるものですので、被相続人の意思を反映させるべきとも考えられています。その意思表示の方法が「遺言」です。法律上、遺言は、相手方の受領を必要としない相手方の無い単独行為であるとされています。要するに、遺言をした人が死亡すると、原則として、受け取る相続人の意思にかかわらず、遺言に書かれた内容どおりに財産が承継されるということです。ただし、 判例上、相続人の間で、被相続人が残した遺言の内容と異なった遺産分割協議を行うことは禁止されないとされています。「遺言は無視されちゃうの?何で?」と思うかもしれませんが、財産の承継を指定された相続人において、遺産を受け取りたくないという場合もあります。例えば、親が実家の土地建物を長男に継いでほしいと思い、これを長男に相続させるという遺言を残していたけれども、長男は実家を出ており、自分の家も所有してるため、実家に戻る予定はないというような場合です。このような場合に、長男が引き継がなければならないとすると、長男は「自分は住まないし、維持費用もかかるので、実家を売却して手放したい」などと考えることも十分にありえます。もし、他の兄弟が承継して実家を残してくれるというのであれば、遺言にこだわらずに、他の兄弟に承継してもらったほうが、実家は残るので、そのほうがかえって被相続人の意思にも適うという見方もできます。このような考えもあり、相続人が遺言と異なる遺産分割の合意をすることは認められていて、その場合は、結果として、被相続人が思い描いたような財産承継がなされないということになります。遺言を残す側からしたら、遺言が守られない場合があるということに納得がいかないかもしれません。しかし、財産を残したい被相続人の側だけでなく、もらう側の相続人にも立場や事情があります。 ■相続対策よりも…遺言を残すことを考えている人にとっては、自分の遺志をしっかり残すということが、なによりも大事かもしれません。しかし、その前に、遺志を受け取る側の迷惑になっていないかをよく考えたり、いざ自分が亡くなってしまった後に、受け取る側の相続人に迷惑だと思われないように、生きているうちに家族・親族としっかりコミュニケーションをとっておくということを忘れないようにしてほしいです。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、コミュニケーション不足による親族間のトラブルは少なくありませんし、お金の問題ですから解決も難しいです。問題が大きくなってしまうと疎遠・絶縁となってしまったというケースも珍しくはありません。普段からのコミュニケーションを大切にしているという前提があってこそ、われわれ弁護士の専門的な助言が、遺言を残したい方の想いを実現するためにより役立ってくるのだと思っています。 *著者:千屋全由(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。企業関係の相談・紛争処理から貸金返還や交通事故等の損害賠償請求といった個人の法的トラブルまで、様々な案件に携わっている)【画像】イメージです*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月25日「記事が出て1週間がたった8月17日の夜、彼女が名古屋・中日劇場で出演していた舞台『音楽喜劇のど自慢上を向いて歩こう』のスタッフや出演者が集まって食事会があったんです。上原さんは落ち込んでいるようすはなく、最後まで参加しました。それどころか、ふだんよりも積極的に話しかけにいったり、出席者たちと盛り上がっていましたよ」(参加者の1人) 8月10日発売の『女性セブン』で、14年に自殺した夫・TENNさん(享年35)の“自死の真相”を報じられた上原多香子(34)。TENNさんの葬儀は、同年9月に大阪市内でしめやかに執りおこなわれた。あれから3年、彼女は“悲劇の妻”であり続けてきたが――。 「今回、TENNさんの弟が“もう黙っていられない”と、残されていた遺書を公開したのです。そこには、彼女が不倫していたことが書かれ、不倫相手の俳優の実名を挙げて、“彼と幸せになってほしい”という衝撃的な言葉が記されていたんです」(スポーツ紙記者) 遺族はこれまで、自殺の真相について堅く口を閉ざしてきたが、その陰ではさまざまなことが起きていた。 「じつは、彼が亡くなった数カ月後に、精神的なダメージを受けたということを含めて、ご遺族から彼女に対して損害賠償請求がされたんです。金額は3~4千万円と聞いています。ご遺族としては、せめて法的なことだけでもきっちりしておかないと、気持ちの整理がつかなかったのでしょう。でも、上原さんも応じる気持ちはあったのですが、お金の問題もあって、話し合いが延び延びになって……」(前出・TENNさんの知人) さらに遺族の態度が硬化したのは今年5月。『フライデー』で上原の“新恋人”が報じられたときだ。“新恋人”として報じられたのは、演出家のコウカズヤ(40)。みずから劇団を主宰する、新進気鋭の演劇人だ。冒頭のとおり、名古屋での舞台関係者との食事会では、明るい表情を見せていたという上原。その背後には、この新しい彼と目指す“新生活”があったのだ。 「コウさんは、彼女の不倫が原因でTENNさんが自殺したことも知ったうえで、彼女と付き合い始めたんです。だから今回の報道が出ても気持ちに変わりはなく、しっかりと彼女を支えていくつもりですよ」(コウの知人) 上原が食事会で見せたようすは“カラ元気”ではないと、彼女の知人も話す。 「彼女は、報道に動じていませんよ。いつか出るものと思っていましたから。もちろん、TENNさんには申し訳ないという気持ちはあるでしょう。でも、前に進むしかないという気持ちのほうが大きいんです。いまの彼女には、コウさんの存在が支え。彼と再婚するつもりで、周囲にもそう話していて、それが励みになっているんです。じつは7月上旬に、“妊娠”の兆候が出て、産婦人科にも通ったそうです。どうしても子供がほしいという気持ちなんでしょうね。ただ、TENNさんのご遺族からしたら、“何を浮かれて……”と思われるのは、しかたないかもしれませんね」 待ち受けるのは茨の道か――。
2017年08月22日*画像はイメージです:お盆が終わりに近づき、夏のレジャーも一段落といったところでしょうか。今年も楽しく安全に夏のレジャーを満喫された方が大半だとは思いますが、今年の夏はレジャー施設のアトラクションに関する事故のニュースが多かったように感じます。そこで、今回は、もしアトラクションの利用者等が事故に遭ったときは誰がどのような責任を負うかについて解説します。また、「事故により負傷・死亡した場合でも施設運営者は一切の責任を負いません」等の(免責を伴う)同意書にサインした場合は責任追及が不可能となってしまうのかという問題についても併せて述べたいと思います。 ■事故が発生したら過失のある人に責任追及を行うことができるアトラクションの事故原因には整備不良や点検不足、耐用年数を超えた部品の使用等様々なものがありますが、何らかの人為的ミスの場合には、そのミスをした人に過失(事故の結果を回避する義務違反)があると考えられます。また、整備や点検作業には問題がないが、使われている部品に不備があった場合にはメーカーに過失が認められることもあります。今年の夏、バンジージャンプの命綱が切れて男性が負傷するという事故がありましたのでこれを例にすると、この事故の場合、報道によれば約3ヶ月前に専門業者がワイヤを点検した際には異常がなく、また、施設職員も開園前後に命綱の強度を確かめており、確実な原因は不明とのことです。各点検作業がマニュアル等に沿った確実なものであったかや、ワイヤや金具の耐用年数等に問題はなかったかなどがポイントとなり、各点検作業に問題がなかった場合には部品製造業者の過失を考えることになるでしょう。なお、このような事故の場合、過失の有無で判断するという点は、民事責任も刑事責任も違いはありません。また、過失の特定は非常に困難な場合も少なくないのですが、ほとんどの場合レジャー施設は施設管理者賠償責任保険などの保険に入っていますので、一定の調査が終わり次第、訴訟提起をしなくとも保険金によって治療費等の損害が賠償されることがあります。ただし、利用者が係員の指導に従わずに危険な遊び方をしていたり、身長・年齢制限等に反して利用していたりした場合には、利用者にも過失があるとして過失相殺がされることがあります。 ■免責同意書にサインしていても損害賠償を求めることは可能アトラクションの中でもバンジージャンプ等のとくに危険なものについては、「事故により負傷・死亡した場合でも施設運営者は一切の責任を負いません」旨の条項が入った(免責を伴う)同意書に署名を求められることがあります。しかし、利用者が死傷した場合に事業者側の責任をすべて免責する条項は消費者契約法や公序良俗に反するものですので、施設運営者は過失がある限り損害賠償義務を負います。ただし、過失相殺があり得ることは上記のとおりですし、たとえば「施設運営者の判断によって利用を中止した場合には料金を返金しません」などの同意書記載の他の条項については有効ですので、免責部分が無効であるからといって同意書の全体が無効になるわけではないことには注意してください。危険なアトラクションであってもレジャーである以上は安全が保障されなければなりませんので、危険なものであればあるほど施設運営者側は高度の注意を払って安全に務める必要があるといえるでしょう。他方、そのようなことはないとは思いますが、利用者の皆様はスリルを求めるあまり危険な利用方法をすることなく、係員の方の指示に従ってくださいね。 *著者:弁護士 木川雅博 (星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)【画像】イメージです*じゃぁきぃ / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月17日歌手のテイラー・スウィフトが、元ラジオDJのデヴィッド・ミューラーに対してのセクハラ裁判に勝訴した。この訴えは、2013年6月コロラド州デンバーのペプシ・センターにおける「レッド・ツアー」のライブ前にテイラーがデヴィッドにセクハラを受けたというものだったが、今回テイラーは損害賠償たった1ドル(約110円)の「名誉」の裁判に勝訴し、その額をこのような性的暴行の被害者のための基金に寄付するという。テイラーの声明には「判事ウィリアム・J・マルティネス氏及び慎重な判断を下してくださった陪審員の方々、そして私の弁護団に感謝を述べたいです。彼らは、私や性的暴行によって沈黙をさせられてきた被害者の方々のために戦ってくれました。そして、この4年に及ぶ苦しい試練と2年続いた裁判の間サポートしてくれた全ての人々に感謝します」「このような裁判には多大な費用がかかり、これを賄うことができる自分自身というものを自覚しています。私の望みはこのような性的暴行の被害者の声に手をさしのべることで、近い将来には彼らをサポートしているいくつかの団体に寄付を行いたいと思っています」とつづられている。一方のミューラーは、テイラーがデンバーのラジオ局KYGO-FMにこの暴行を告げたことで自身の「夢の仕事」を失ったとしてテイラー本人を300万ドル(約3億3000万円)の損害賠償を求め提訴していたが、テイラーにこの象徴的な1ドルの逆提訴をされていた。さらにミューラーは、テイラーの母アンドレア・スウィフトと彼女のラジオ関係者も提訴していたが、1週間にわたる公判の後1日もかからずに陪審員から棄却された。今月11日には裁判所において、テイラーの元ボディーガードも暴行が行われた現場を目撃したとし、「私は見たんです。ミューラー氏がテイラーに腕を回した時、手がスカートの方にのびました。テイラーは飛び上がって、スカートを下げ、女性がいる場所へ逃げていました」と証言していた。最近テイラー自身もこの事件が「卑劣でぞっとする」とし、「彼は私のお尻を触り続けたので遠くに逃げたのです。掴まれたのです。とても長い時間でした」と告白していた。(C)BANG Media International
2017年08月16日*画像はイメージです:月11日、京セラドーム大阪で練習中のオリックス・バファローズ中島宏之選手に鉄パイプが落下。右腰から背中に当たるという事故が発生しました。幸い、中島選手は命に別状なく軽症でしたが、一歩間違えれば大事故だっただけに、衝撃が広がりました。ちなみに、原因は広告を取り付ける作業をしていた作業員が誤って落としてしまったためだったそうです。このようなケースでは死亡事故も発生しており、社会問題化しつつあります。仮に作業員の過失で人を死傷させてしまった場合、「誰が、どのように」責任を取ることになるのでしょうか?ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。 ■責任は誰がとる?「最近増えている工事現場の落下事故。落ちてくるのは鉄パイプや工具など、当たれば命に関わるものばかりです。落下させたことについて、誰がどのような責任を問うのか考えてみたいと思います。落下によりけがをした人、被害者が亡くなった場合にはその遺族は、もちろん実際に落下させた人に過失があれば、損害賠償を請求できます。治療費や慰謝料等々が含まれます。ただ、落下させた本人は莫大な賠償金を支払えるだけのお金を持っていないことも少なくありません。そこで、法律上は使用者責任、代理監督者責任というものが認められており、建設会社の社長や現場監督などにも責任を追及することができます」(寺林弁護士) ■犯罪は成立する?「業務上の注意を怠った結果このような事故が起こったということであれば、業務上過失致死傷罪が成立する可能性があります。これも、事故を起こした本人だけでなく、社長や現場監督にも成立する可能性があります。成立すると5年以下の懲役刑もしくは禁固刑、又は100万円以下の罰金に処されることとなります。東京オリンピックも近くなり、首都圏では大規模な工事が増えています。一度事故が起きれば重い責任が課されることとなります。工事関係者の皆様には、十分な注意をお願いしたいものです」(寺林弁護士)厳しい環境での作業は非常に大変だと思いますが、事故が起きないよう十分に注意してもらいたいものですね。 *取材協力弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*TATSU / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月16日*画像はイメージです:「隣の住民が深夜に音楽を鳴らしていてうるさい!」住民のかたから、大家さんや賃貸物件管理会社のもとへはこんな苦情が届きます。こんなとき、あなたが大家さんだったら、どのように対処しますか?多くの場合は、苦情元となっている住民からヒアリングを行い、必要に応じて注意喚起をすることになるでしょう。でも、注意しても一向に改善されない、むしろ、対抗するかのようにひどくなっていくような場合には、法的な手段を考えていく必要があります。そこで、迷惑行為に対抗する一手段としての賃貸借契約の解除(追い出し)が可能かについて考察してみます。 ■そもそも迷惑行為をしている賃借人を追い出せるの?部屋を借りている人は、契約又は目的物の性質によって定まった用法に従い、その部屋の使用をしなければならないという用法遵守義務を負っています(民法616条で準用される民法594条第1項)。例えば、賃貸借契約の中で、ピアノなどの楽器の使用を禁止するという用法が定められていれば、賃借人は部屋で楽器を使用してはいけません。また、このような特約による用法が定められていなくても、深夜にピアノを大音量で弾くようなことがあれば、あまりにも常識はずれな行動として、用法遵守義務違反となる可能性が高いといえます。用法遵守義務違反が認められる場合、大家さんは、部屋を貸している人との賃貸借契約を解除することができます(民法541条)。契約違反しているから出て行ってくれという具合です。ただし、部屋の貸し借りの契約については、「信頼関係破壊の法理」と呼ばれる考え方があり、義務違反行為があっただけではなく、義務違反の結果として信頼関係が破壊されていると評価できて初めて解除できるという扱いになっているので、この点は注意が必要です。 ■騒音、ゴミ屋敷、ペット飼育といったケースでは?用法違反行為にもいろいろなケースがありますが、代表的な用法違反行為といえば、冒頭で挙げたように騒音の問題でしょう。騒音の場合、その頻度や時間帯、音量等を考慮して、近隣住民において受忍すべき限度を超えていると認められれば、義務違反行為として契約を解除できるでしょう。裁判例の中には、徹夜マージャンやカラオケ、歌声、喧嘩、床を叩く音などの事案で解除が認められたケースがあります。次にゴミ屋敷の問題ですが、ゴミの放置による多少の不潔状態が継続した程度では解除できないと考えられますが、これも、社会常識の範囲を超えるようなゴミの量になれば別でしょう。裁判例においても、2年以上にわたってゴミ屋敷の状態が継続した事案において、衛生上の問題だけではなく、火災の危険性も加味した上で、契約の解除を認めた事案があります。ペット飼育については、建物の損傷や臭い、鳴き声による騒音、安全面などが判断材料とされているようです。もちろん動物の種類も検討対象となり、犬でいえば、小型犬か否かに言及する裁判例もあります。ペット飼育が判明した時点では安全性などの問題が認められないとしても、将来における安全性等の問題までが解決されているわけではありませんから、大家さんとしては、用法遵守義務違反を理由として、契約の解除を検討していくことになるでしょう。 ■喫煙行為による損害賠償請求が認められたケースも数年前に、階下に住む住民によるベランダでの喫煙行為によって、健康被害を受けたとして損害賠償請求訴訟が提起され、不法行為が認められた事案がありました。マンションである以上、近隣からのタバコによる煙の流入について、一定程度受忍する必要があるものの、受忍限度を超えていれば不法行為が成立すると判断されています。したがって、受忍限度を超えるようなベランダ喫煙に対しては、健康被害を受けた近隣住民からの損害賠償請求とは別に、大家さんからの契約解除の言い渡しもあり得るかもしれませんのでご注意を。 *著者:弁護士 河原﨑友太(浦和法律事務所。2017年2月にマンション管理士に登録。ご相談に際しては、ご相談に見える方が、弁護士に何を期待しているのかを見定め、丁寧な事情聴取、解決方法の提案を心がけています)【画像】イメージです*kiko / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月12日昨今は「完全紹介制」「会員制」の飲食店が増加しています。情報化社会の中で敢えて住所などを公開せず、ひっそりと営業することで、「存在価値を上げたい」「来てくれるお客様を大切にしたい」などの狙いがあるようです。当然そのような店舗はお客様に対しネットに住所や評価を書きこまないよう求めるわけですが、中にはそれを無視する形で飲食店の評価サイトに投稿する人もいるようです。店側としては情報の削除を求めるのは当然のことでしょう。書き込んだ人間が断り続けるのなら、損害賠償などの法的措置に出ざるを得ません。しかし、仮に提訴したとしても、訴えが認められない可能性が高いというのです。本当でしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に真相を聞いてみました。Q.完全紹介制の情報を勝手にサイトに投稿されたうえ、削除要求にも応じない…損害賠償は可能ですか?*画像はイメージです:名誉毀損や営業に支障がでた場合でない限り、損害賠償は認められないものと思われます。「飲食店の情報についてサイトに掲載されたことについて損害賠償を求める裁判はいくつかなされておりますが、公開されている裁判例を見る限りでは名誉棄損等が伴う場合でなければ基本的には損害賠償を認めていません。紹介制の店舗がサイトに掲載されたことについて損害賠償を求めた裁判(ニュースなどでも取り上げられました)についても、店舗側の訴えが否定されています。同判例で裁判所は、店舗情報について公開するかしないかについては営業権の一つとして認められているものの、店舗情報がそのサイト以外では公開されていることや、店舗情報の掲載が名誉棄損等を伴うものではないことを理由として、店舗情報の公開を違法とは認めませんでした。裁判所が上記判断を行ったのは、サイト運営者の表現の自由や受け手の知る権利を重視しているという理由からだと考えられます。もっとも、店舗情報が完全非公開であり、かつ情報開示により実際に営業に支障が生じたという場合であれば、損害賠償が認められる余地はあるでしょう」(大窪弁護士) 過去の裁判事例を見る限り、名誉毀損や情報開示によって営業に支障が生じたというケースでない場合、損害賠償請求などを行ったとしても、認められる可能性は低いようです。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*amadank / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月10日7月、夏の高校野球甲子園大会の地方予選が各地で行われ、各地の代表校が決定しました。高い人気を持つだけに、観戦に行かれた人も多いのではないでしょうか。球場に足を運ぶと分かることですが、選手たちは猛烈な暑さのなかで試合をしています。人工芝を採用している場合、太陽熱が照り返すことで、体感気温が40度以上にもなるといわれています。そうなると心配なのが熱中症。最近は昔のように「水を飲むな!」という指導は無くなり、熱中症対策としてこまめな水分補給をするよう指導しているため、危険性は低くなっているようですが、選手が熱中症にならないとはいい切れません。もし、選手が熱中症で倒れ、危険な状態になった場合、主催者に責任は発生しないのでしょうか?Q.高校野球で選手が熱中症で倒れた場合誰が責任をとる?*画像はイメージです:熱中症を予防する十分な対策が取られていたといえない場合、主催者及び指導者に責任が生じると考えられます。「主催者は選手が安全に野球をすることができるように安全管理をする義務を負っています。たとえば悪天候で台風が迫っているにも関わらず試合を中止しなかったり、怪我が発生してしまうような設備故障を放置していたりするのと同様に、熱中症が発生しそうな天候の場合には、少なくとも熱中症が生じたときに機敏に対応できるよう、給水や病院へ搬送することの準備等ができるような体制を整えておく必要があるといえるでしょう。その義務を怠ったために熱中症などの事故が発生したといえるような場合には、民事上の損害賠償責任(民法415条、同709条など)、あるいは刑事上の責任(刑法211条「業務上過失致傷罪」)を負う可能性がありますし、実際にマラソン大会の事例では、主催者である地方公共団体などの側に損害賠償を求めて提訴された事例もあります。また、高校野球は、学校教育の一環として行われているので、当然学校側の責任も問われることになりえます。それが国公立の高校であれば、当該自治体や国家賠償も問題となり得ます。高校教育は義務教育ではありませんが、学校側は、生徒を入学させた以上、教育を受けさせるに当たって生徒の身の安全が害されないように配慮する義務を負うからです。具体的な義務としては、こまめに休憩をとらせる、水分補給を徹底する、体調の変化に注視する、それでも危険な場合には選手を試合から抜けさせ、場合によっては試合を辞退する、などの措置を取る必要があるでしょう。高校3年間の短い青春を謳歌すべく、野球に打ち込み、まさに熱中する姿は私たちに忘れかけた何かを思い起こさせるような気もしますが、熱中が熱中症にまで至ってはいけません。昔とは違う夏の暑さの中では自身の体調管理も含めて高校野球だということを実感し、細心の注意を払ったうえで、高校球児たちには全力プレーをしてもらいたいものです」(大達弁護士) おそらく主催者側はしっかりとした対策を取っていることだろうとは思います。しかし、年々暑さが厳しくなっているのも事実。主催者にはもう一度熱中症対策が十分であるか否かを検証してもらいたいものです *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*m.Taira / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月06日最愛の息子の命を奪われた、拓磨さんの両親の怒りがいまも収まるどころか増すばかりなのは、A氏と東電の不誠実な対応の数々だ。 「拓磨の遺体が見つかり、無言の帰宅をした拓磨に『会いに来てほしい』とA氏とその上司に電話で懇願しました。拓磨のパソコンから見つかった遺言に、A氏による無視のことが書かれていたからです。しかし2人は、『移動の足がない』、『ほかに優先する用事がある』などといって来ることを拒みました。人の命より大切な用事っていったいなんでしょうか。A氏は今でも拓磨の墓前に来てくれないどころか、一度も『申し訳ない』と言ってくれません」(明さん) さらに拓磨さんが自殺した2カ月後の8月に当時の大月支社長から「(芦澤さん夫妻は)署名活動などして会社に挑戦的。私の上司もお怒りだ。新盆見舞いに行く予定だったが行かない。今後いっさい関わらない」と電話で威嚇されたことがあったという。 両親は、拓磨さんの自殺に関する社内調査結果にも不信感を抱く。 「’11年7月に調査責任者のC氏やA氏らが、無視やいじめなどの事実は認められないと口頭説明に来たのです。その説明を文書化して欲しいと依頼すると、A4の紙1枚に14行だけ、『芦澤宅で説明したとおり』などと書かれた中身のないものが手渡されました」 明さんは無視の客観的証拠を探そうと、拓磨さんが業務で使用していたパソコンのデータ開示を求めた。だが東電はいったんは了承したものの、削除してしまったという。 山梨支店で管理職を務めていただけに、明さんは東電の隠ぺい体質はよく知っている。 「業務中の事故で誰かが死んでも、会社に都合よく理由付けをしてしまうこともありました。そういう体質があったところに、福島第一原発事故でより隠蔽体質が強くなった。不祥事や事故が起きても社内の専門部署でチェックして、都合の悪い事実は外に出さないようになったのです」 息子の死を無駄にしないためには裁判で争うしかないと二人は決意した。東電に籍を置く限り戦えないと考えた明さんは、’14年6月に退職。 ’11年に労災を申請し不支給決定があったが、’14年の12月、労災不支給を取り消す行政訴訟と、A氏と東京電力を相手どった損害賠償請求裁判を甲府地裁に起こした。 裁判で、東電の主張の信ぴょう性が揺らぐ場面があった。 A氏の先輩社員B氏は損害賠償裁判の証人尋問で、「いじめの社内調査は受けた記憶がない。調査責任者の副支社長C氏のことも知らない」などと証言。だが、前出の東電の内部向けの調査報告書には、「B氏はもっと面倒見るように言ったことが認められる」と書かれていた。明さんが入手した、C氏の大学ノートにも「もっと面倒見ろとA氏を怒った」とB氏から聞き取りした結果が記されている。 社内調査を受けていないというB氏の証言と食い違っていたのだ。損害賠償裁判でのB氏の証言内容を聞いたC氏本人も「私はB氏にも聴取しているし、その内容をノートにメモした」と発言している。 芦澤さん夫妻の弁護団の一人、山際誠弁護士は、裁判の今後についてこう語る。 「業務で心理的負荷が発生したことが自殺につながるなどした場合の労災認定基準を厚生労働省では定めており、拓磨さんが受けていた“無視”は『弱、中、強』の『強』に当たると考えられます。こうした状況を見て、無視が不法行為と認定されれば、A氏に損害賠償請求が認められるだけなく、東京電力にも使用者責任が及ぶかも知れません。さらに東電が職場環境を調整する安全配慮義務を怠ったとなれば、そこにも責任が生まれることになるのです」 本誌は、A氏にコメントを求めた。A氏は「拓磨さんを無視していません」とした上で、職場に置いてきぼりにしたことや、ご両親への謝罪についてはこう答えた。 「たまたま作業というか仕事が重なってしまったので、置いておくというか、連絡が取れませんでした。(謝罪については)、本人が悩んでいたことに気づけなかったことは申し訳ないが、それ以外はしっかりと対応していたと思います」 東京電力にも取材を申し込むと、「個別の裁判に関する内容につきましては、回答を差し控えさせていただきました」(東電パワーグリッド広報)との回答だった。 3年に渡る裁判は8月3日に行政裁判、8日に損害賠償請求裁判が結審を迎える。 息子の自殺から6年。いまだに東電からの情報が出ない状況に、父親の明さんは唇をかみしめながらこう言う。「東電は事件を風化させたがっているのかもしれませんが、拓磨が死を賭してまで訴えようとした『第二、第三の自分を作らないで欲しい』との願いを消し去ることだけはしたくありません」 (取材・文・撮影/桐島瞬) ←前編にもどる
2017年08月05日インタビューに答えるアンドレア・ポライトジャーナリスト、ジェフ・ポールのTwitterより 2015年、米ダラスに住むニーリー・モルドヴァンという女性ブロガーがウェディング・フォトグラファーを訴えた。それから約2年半。長い裁判がようやく結審した。事の顛末を辿ってみよう。 2014年10月、ニーリー・モルドヴァンと夫アンドリューが結婚式を挙げた。記念すべき式の撮影は、ウェディング・フォトグラファーのアンドレア・ポライトに依頼した。パーティは滞りなく終わったが、その数週間後に事件は起こった。モルドヴァンはポライトに、「高解像度の写真はいつもらえるのか」と問い合わせのメールを送った。ポライトは「契約では、アルバムが完成したらお渡しすることになっています」と返信。そのやり取りの前に、ポライトはアルバムの表紙を飾る写真を選ぶよう夫妻に頼んでいた。これは契約に盛り込まれており、150ドルの料金がかかるオプションだった。しかし、夫妻はこの150ドルを支払うことを拒否。これを受け、ポライト側はアルバムの製作作業を中断していたという。 メールを返信した2日後、ポライトは自分がとんでもない事態に巻き込まれていることを知る。夫妻は地元テレビ局にコンタクトを取り、「悪徳業者が写真を人質に取って法外な料金をふんだくろうとしている」と話している様子が報道されてしまったのだ。「本当にショックです。すでに千ドル以上払っていたのに、さらに150ドルも払えだなんて。あれは私たちの思い出なのに」と涙ながらに訴える花嫁の姿は、地元民の同情を買うには十分だった。 「一夜にして、13年かけて築いてきた私のビジネスは崩れ去りました。私はダラスのエリートを何組も撮影していたんです。中傷やいやがらせが始まり、恥をかきました」とポライトは当時の様子を語る。実際、100件近くあった予約が取り消されたという。モルドヴァンはYelpでポライトの会社に酷いレビューを書いたり、ソーシャルメディアやブログでも彼女を非難し続けた。 翌2015年3月、ポライトはモルドヴァン夫妻を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こした。約2年に渡る法廷闘争の末、陪審はモルドヴァン側による中傷や軽蔑、悪意の満ちるコメントなどを有罪と認め、判事は約100万ドルの支払いを夫妻に命じた。 ポライトはダラス・ニュースの取材に応え、「私は、自分の成し遂げたことを誇りに思います。自分自身の評判を取り戻すことは闘いでした」と語る。一方モルドヴァンはTwitterなどのアカウントに鍵をかけ、沈黙している。
2017年08月03日今、航空会社のトラブルといえばユナイテッド航空が想起されるが、今回はパナマのコパ・エアラインの機内で起こった。 サラ・セレステ・ファルファン・ガルシアという名の女性が、パナマからリマへのフライトに搭乗した。彼女はコパ・エアラインのポイントプログラムメンバーで、ビジネスクラスを予約していた。彼女の子どもと他の親類はエコノミークラスに座ることになっていたという。ビジネスクラスには持ち帰り自由のブランケットが用意されており、ガルシアさんはそれを手に取り、エコノミークラスに座る我が子に手渡しに行った。すると、キャビンアテンダント(CA)がその行為を見咎め、止めるように声をかけてきた。そのCAは、彼女がFacebookに書き込んだ内容によると「暴力的な言葉を使い、体を押して」きたという。 2人は小競り合いになり、CAは「警察を呼ぶ」と言って、彼女とその家族に飛行機から降りるよう通告。駆けつけたパトカーでガルシアさん一行は警察署へ連行された。 双方の主張は真っ向から異なっている。ガルシアさんは「あのCAは足を引きずるふりをして、さも私に傷つけられたかのように振る舞っていた。飛行機から引きずり下ろされことで子どもが精神的苦痛を強いられたので損害賠償を請求する」と既に法的手続きを進めている。 コパ・エアラインは自社の従業員を全面的に擁護。「任務を正しく遂行したスタッフへの攻撃的かつ混乱を招く態度は許しがたい。実際にクルーはケガを負い、着陸後、医師の診断を仰いでいます」と、ガルシアさんに対しこちらも法的手段を取るようだ。
2017年08月01日*画像はイメージです:マンションを購入する際、できればトラブルなく生活を迎えたいものですが、購入時に知らなかったことが原因で、楽しく迎えるはずの新居での生活が一変してしまうこともあります。そこで、今回は、マンションの購入時には知らなかった近隣工事による騒音の問題に絞って、損害賠償請求の可否を検討してみます。 ■騒音と損害賠償請求損害賠償請求の相手として、まずは騒音を出している当事者、つまり、工事施工業者(あるいは依頼した施主)が考えられます。この場面においては、工事による騒音が、一般人を基準として受任の限度を超えるか否かで判断します。そして、受忍限度については、侵害行為の態様、侵害の程度、騒音との位置関係、防音措置が取られているか、あるいは、関係法令に違反しているかなどの事情を総合考慮して判断することになります。例えば、建設工事に関しては、騒音規正法という法律が存在していて、騒音を伴う一定の『特定建設作業』(例えば、くい打ち作業など)についての騒音規制をしています。騒音規制の内容は、「特定建設作業の場所の敷地の境界線において、85デジベルを超える大きさのものではないこと」などと定められています。工事施工業者に対する損害賠償請求(主として慰謝料請求)が認められるか否かの判断に際しては、この騒音規正法に反しているかなどの視点で総合的に検討されることになるでしょう。 ■マンションの売主に対する損害賠償請求の可否その他の損害賠償請求の相手としては、マンションの売主を想定することもできます。近隣工事による騒音被害が『瑕疵かし』(=欠陥)に該当するという主張(瑕疵担保責任)や、これを隠して売られたために損害を被ったという主張(不法行為責任)などが考えられますが、ここでは、瑕疵担保責任の追及に限定して検討してみます。 ■瑕疵担保責任の追及これまでに蓄積されてきた『瑕疵』に関する裁判例によれば、瑕疵とは、物理的な欠陥に限らず、近隣環境の瑕疵や心理的な瑕疵も含まれるとされています。つまり、マンションそのもの(防音設備も含めて)には生活上何らの支障もないけれども、例えば、近隣に暴力団事務所が存在しているような場合(環境瑕疵)や過去にその物件で殺人事件があった場合(心理的瑕疵)などにも瑕疵に該当する場合があります。近隣での建設工事による騒音についても、環境瑕疵に該当する可能性があります。ただし、騒音があるからといって直ちに瑕疵とはなりませんので、前出の受忍限度の考え方はここでも妥当すると思われます。なお、近隣における建設工事は、半年や1年程度のものが大半だと思いますが、その長短は瑕疵かどうかの判断にも影響するとともに、損害の大小にも影響すると考えられます。 ■何が賠償の対象となるかさて、瑕疵担保責任が認められるとして、賠償の対象となる損害は二つ考えられます。一つは、騒音の存在によりマンションの交換価値が下がっているとして、本来の交換価値との差額を賠償の対象(損害)とすることが考えられます。この場合には、交換価値の低下を客観的に証明しなければなりません。ただし、近隣工事が半年ないし1年で終了し、その後は騒音が無くなるとすると、賠償の対象となる損害がどの範囲になるのかは非常に難しい問題を含みます。もう一つは、騒音の存在により精神的な損害を被ったとして慰謝料請求をすることが考えられます。近隣工事による騒音が瑕疵と評価される場合には、通常生じる損害として賠償の対象となると考えられます。 ■夜勤の人が昼間に眠れない損害は?先に出てきた騒音規制は、睡眠を想定して夜間の騒音を規制しています。そのため、夜勤を日常としている方は、睡眠時間となるはずの昼間に工事が実施されるという非常に辛い立場に置かれます。さすがに、昼間も工事ができないとなると、何も建設できなくなりますから、上記規制時間帯はやむを得ないと思われますが、夜勤の方が昼間の工事により睡眠障害等の影響を受ける場合には、損害の大小、つまり、賠償額の問題に集約されることになると考えられます。 ■最後に瑕疵担保責任を追及する場合には、善意・無過失であることが要求されます。つまり、瑕疵を認識し、あるいは、認識することが容易であった場合には瑕疵担保責任を追及することができません。そのため、購入前には、散歩がてら近隣の様子をチェックしておくべきといえそうです。 *著者:弁護士 河原﨑友太(浦和法律事務所。2017年2月にマンション管理士に登録。ご相談に際しては、ご相談に見える方が、弁護士に何を期待しているのかを見定め、丁寧な事情聴取、解決方法の提案を心がけています)【画像】イメージです*kurosuke / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月29日7月21日、船越英一郎(57)の所属事務所が松居一代(60)へ法的措置の準備に入ったと発表した。一連の行為を名誉毀損や業務妨害行為に当たるとするもので、この日は奇しくも船越の誕生日だった。 「所属事務所は『これ以上看過できない』として、訴えを決断。まずは松居さんのブログや動画の削除について仮処分申請を求めるようです」(芸能関係者) それだけ船越側も本気なのだろう。離婚問題に詳しいレイ法律事務所の松下真由美弁護士は、夫婦間の名誉毀損行為についてこう語る。 「夫婦間のSNSを使った暴露行為は、最近増えているんです。“リベンジ暴露”と呼ばれるもので、立派な違法行為。事務所側としては、損害賠償よりもリベンジ暴露をやめさせたいと思います。しかし仮処分決定が出ても、松居さんがブログや動画でのリベンジ暴露を辞めないこともあるうる。その場合、松居さんは1日あたり数万円程度の“間接強制金”を課される可能性があります。それはリベンジ動画をやめるまで加算されていくのです」 だが一部で松居のブログ収入は月3千万円以上ともいわれている。1日数万円程度で松居の暴走を止めることは困難。お金が続く限り船越と“差し違え”覚悟で発信を続けられるのだ。船越側の訴訟準備が報じられた当日にも、松居は全文英語でのスピーチを投稿。これまで主張してきた“船越が不倫している”という内容を、世界に発信し始めたのだ。 「松居さんはブログでも世界進出計画を明かしています。アメリカを拠点として、ビジネス展開をしていくつもりのようです。その際にSNSなどの発信力が強ければ、成功しやすくなることは間違いありません。“ゲリラ戦”を繰り広げるほど、ファンが増えて次のビジネスの足掛かりにもなる。だから彼女は強気を貫いているのでしょう」(前出・芸能関係者) リベンジ暴露の裏にあった“恐怖のシナリオ”。いっぽう徹底抗戦の構えの松居を前にして、船越自身は憔悴するばかりだという。 「船越さんはホテルを転々とする日々。『NHKに迷惑かけたくない』と出入りの際も帽子やマスクをかぶって変装しているそうです。また先日には渡辺謙さん(57)の不倫釈明会見を見て『あまり責められてないね』と羨ましそうに漏らしていました」(テレビ局関係者)
2017年07月26日兄の連れてきた婚約者は…
裏切り夫が毎週カレーを作る理由
婚約者は既婚者でした