豊崎由美おすすめ　50年間初恋の人を待つ奇人変人の愛の物語

左・『コレラの時代の愛』G・ガルシア＝マルケス木村榮一 訳新潮社3000円。右・『現代詩文庫94伊藤比呂美詩集』伊藤比呂美思潮社1165円。

あなたはどんな時に無性に本を読みたくなりますか。例えば恋愛に悩んだとき、何かを欲するようにページをめくる、そんなことありませんか。「愛と快楽」をテーマに、各界の著名な方々が女性の「読むべき本」をセレクトしてくれました。 究極の片思いあり、愛と友情の天秤あり、はたまた、世俗の常識を蹴散らす愛もあり。文学に見る愛と快楽には驚かされてばかり。 【詩人・水無田気流さん推薦】 ■『現代詩文庫94伊藤比呂美詩集』伊藤比呂美 欲情と排泄、挽歌と寿歌、日常と異世界といった対極のものが交差する作品がずらり。水無田さん曰く、「“伊藤比呂美”の製造工程を煌々と照らし出しているかのよう」。思潮社1165円 「贅沢で獰猛な有象無象が躍る詩集には、もう一か所好きなところがあります。＜めでたい／めでたいは性交／殖える殖える人間／死ぬ死ぬ人間／殖える殖える／死ぬ死ぬ／殖えても死んでも／めでたいは性交／性交はゆかい／ゆかいは赤んぼ＞」（水無田さん） 【書評家・豊崎由美さん推薦】 ■『コレラの時代の愛』G・ガルシア＝マルケス木村榮一 訳 愛の告白をする日をひたすら待ち続け、ついにその夜がやってきたとき。