2017年7月25日 21:15
「体を売りながら」生きる少女…|12星座連載小説#125~牡羊座11話~
想像を絶する現実を突きつけられた気分だ。
「で、結構売れたらしくって、そのAV。ママがまた一緒に出ようってしつこいの。だから家を出て“ウリ”しながらネカフェで生活してるのよ」
『1日の売上はどれくらいなんですか?』
「う~ん、お金持ってる人とかは、一回5万くれたりもするけど、平均で2万ってとこかな。ホテル代は相手にもってもらって。ただ、“ヤリパク”されることもあって、あれだけはカンベンだわ。まぁ、本当にお金に困ったら、避妊なしで3万とかもらうこともできるけど……、でも病気とか妊娠怖いし」
さゆりさんはやたらと饒舌だ。きっと孤独で、寂しくて、人に話すことで自分を正当化したいのだろう。
“私は間違っていない”
そう誰かに認めてもらいたいのかもしれない。
それから30分ほど、彼女の仕事内容や生活のこと、そして生い立ちについてインタビューした。
話の途中、彼女がポツリと呟いた、
「おうちに帰りたい」
という言葉に、胸が痛んだ。
謝礼を渡し、如月とネットカフェを出る。
―――二人とも無言のまま、バンを会社まで走らせる。
私は平凡ながら、幸せな少女時代を過ごしてきた。
人生は時として避けられない出来事が待ち受けていたりもする。