2017年7月26日 21:15
「I am. 」~私は存在する。~|12星座連載小説#126~牡羊座 最終話~
その後、祐也とは別れて、すぐに引越すなどバタバタだった……。
今回の番組作りでは、私も女として学ぶことが沢山あった。
私は寂しさゆえに、祐也のような“ダメ男”を作り出してしまった。
だけど、男女の不健全な状況の悲しさを、番組作りを通して、私はまざまざと見せつけられたの。
“美智子さん”と“さゆりさん”から教わったと言ってもおかしくないだろう。
彼女たちが特別なわけじゃない……。
誰しも彼女たちと同じ状況になる可能性は秘めているんだから。でも、それは女であることの性(さが)でもあって、何かひとつボタンをかけ間違っただけ。
祐也との別れは辛かった。
頭では理解していても、心が追いついていかない……。
きっとこの感覚は、取材させてもらった“あの二人”も、もっているものだと思う。
でも、そんな“割り切れなさ”をいつまでも見て見ぬフリしていちゃダメなのよ―――。
夏希にも、それを気づいて欲しかったな……。
後ろ髪引かれる思いを残しながら、どこか清々しく社内のラウンジを歩く。何かの終わりは、同時にまた何かの始まりでもある。
今、私が担当しているのはバラエティー番組。
タレントに気を遣いながら、何が“ウケるのか”を考えながら、毎日を過ごしている。