2017年10月7日 11:00
北野武「へへっ、そうでしょ」新作『アウトレイジ』、あの人のセリフが気になる!
違いはそれだけなんだよ。あのね、お笑いって悪魔のようなもので、シリアスな部分には、必ず笑いが忍び寄るんだよ。分かりやすいところで言うと、例えば結婚式でブーケトスでスカートが脱げちゃったり、ケーキが落っこちちゃったり。あるいは葬式で、足がしびれて倒れたり、とか。厳粛さと笑いって、隣り合わせなんだ。
――場が厳粛であればあるほど、実は笑いが忍び寄っている?
北野:
うん。それは死に対しても同じことで、ヤクザ映画だったら、「てめぇ、殺すぞ、この野郎!」って銃口を突きつけて、引き金を引いたら、カチャッ、カチャッ。「あれ?弾がない!」って、完全にコントだよね。
笑いは常に、緊迫感とか緊張感を壊してやろうと狙ってるわけだ。
――ということは、殺人場面で笑うのは不謹慎?と思っていたんですが、笑っていいんですね。
北野:
うん、いいのいいの。
――ちなみに、北野組というのは厳粛な雰囲気なんですか?
北野:
うちの場合はね、俺はすごく穏やかなんだけど、スタッフが怖い(笑)。なかにはすごい迫力ある人もいるから、初めて来た役者さんとか、震え上がるみたい。で、俺が「いいよいいよ、適当で」って場を和ませたりするんだけど、なかなか緊張はほぐれない(笑)。