2017年10月12日 07:00
役所広司 才能に嫉妬する俳優は「いっぱいいますよ。上も下も」
苦しみながらも乗り越えている姿を目にして、役者っていうのはこんなにも一生懸命やらなきゃいけない仕事なんだと知りました。
――役所さんでも過酷、ですか。
役所:
監督のOKの範囲はいろいろありますけれど、できるだけいいものを目指したいじゃないですか。ある時には監督の求めるさらに上をいきたいとも思う。それを追求しようとすると、やはり過酷です。
――どんな役でも、軽やかに演じていらっしゃる印象なのですが、その基盤にあるのは役への丁寧な理解や、緻密な表現だと感じます。
役所:
お芝居はひとりで作るものじゃないんでね、結局は共演者の方がいてこそのものですよ。ただ演じていて、理由はわからないけれど時々体感的に気持ち悪いと感じることがあります。
そういう時は監督と相談しながら、その違和感をなくしていくようにはしています。――役所さん自身が憧れたり、その才能に嫉妬したりされる俳優さんはいらっしゃいますか。
役所:
いっぱいいますよ。上も下も。海外にもいますし。
――それは悔しいことですか?それとも刺激になりますか?
役所:
いい映画でいい俳優さんを見ると、勇気が湧いてきます。頑張ろうって。それは若い頃からそうで、いい作品を観ると、自分も公務員をやめて役者になって、お客さんにこんなにいい思いをさせられるチャンスを持っているんだな、頑張ろうって思います。