2015年7月9日 13:00
野田秀樹×毬谷友子が再び 舞台『障子の国のティンカーベル』
2014年の初演の舞台より。撮影・引地信彦(Nobuhiko Hikichi)
多くのアーティストにとって、想像力を刺激するミューズの存在は必要不可欠だ。ウォーホルにとってのイーディや、ピカソにとってのジロー、谷崎潤一郎にとっての妻・松子…。
劇作家の野田秀樹さんにとって、女優・毬谷友子さんもそのミューズのひとりだろう。野田さんが自ら主宰し、’80年代から’90年代にかけて絶大な人気を誇った劇団夢の遊民社。そこで上演された舞台『贋作・桜の森の満開の下』の初演で、毬谷さんはヒロインの夜長姫を演じている。美しく可憐な姫から狂気の鬼へと変化するキャラクターは、変幻自在の声を持つ毬谷さんという女優あっての役柄だったと言っていい。
そんな野田戯曲の体現者ともいえる毬谷さんが、昨年、初期戯曲でひとり芝居の『障子の国のティンカーベル』に挑戦した。この戯曲は、若き日の作者が突然の衝動に突き動かされて、「1981年正月の3日間を返上し、殴り書いた」もの。この戯曲に出合ってすぐ毬谷さんが上演したいと願い出てから10年近くを経ての実現だったそう。野田さんの疾走する言葉を操って、ひとりでティンカーベルとピーターパンを自在に演じ分けるのは相当な難関。